(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188971
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】キッチン機器のためのツール検出
(51)【国際特許分類】
A47J 43/06 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
A47J43/06
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-566764(P2016-566764)
(86)(22)【出願日】2016年2月21日
(65)【公表番号】特表2017-514622(P2017-514622A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2016053615
(87)【国際公開番号】WO2016135068
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2016年11月4日
(31)【優先権主張番号】15156686.6
(32)【優先日】2015年2月26日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス サッチャ
(72)【発明者】
【氏名】シゴット トーマス レオンハルド
【審査官】
長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02456045(GB,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0322411(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/124859(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチン機器のパワーユニットであって、
ツールを接続するための機械的インタフェースと、
前記ツールを駆動するため、前記機械的インタフェースを回転させるためのモータと、
前記モータを制御するためのコントローラと、
前記機械的インタフェースに接続されたツールの振動を感知するように構成された振動センサと、
を有し、
前記振動センサは、前記感知した振動を表す振動情報を前記コントローラに供給するため、前記コントローラに接続され、
前記コントローラは、前記感知された振動情報から、ツールの複数のクラスのうちのどれが前記パワーユニットに接続されているのかを識別するように構成される、キッチン機器のパワーユニット。
【請求項2】
前記コントローラが、ツールの複数のクラス及び対応する駆動パターンに関する情報を格納しているメモリを含み、前記コントローラが、識別されたツールのクラスに基づいて複数の駆動パターンから選択された駆動パターンで前記モータを駆動するように構成される、請求項1記載のパワーユニット。
【請求項3】
前記コントローラが、前記振動情報に基づいて動的に前記モータの駆動を適合させるように構成される、請求項1又は2に記載のパワーユニット。
【請求項4】
前記パワーユニットが、筐体を有し、前記機械的インタフェースが、前記筐体を通じて延在し、前記振動センサが、前記機械的インタフェースに隣接して前記筐体内に配置される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパワーユニット。
【請求項5】
前記モータが、ブラシレスモータである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパワーユニット。
【請求項6】
キッチン機器のキットであって、
ツールを接続するための機械的インタフェースと、前記ツールを駆動するため、前記機械的インタフェースを回転させるためのモータと、前記モータを制御するためのコントローラと、前記機械的インタフェースに接続されたツールの振動を感知するように構成され、前記感知した振動を表す振動情報を前記コントローラに供給するため、前記コントローラに接続される振動センサと、を有する、パワーユニットと、
前記機械的インタフェースへの接続のための複数のツールと、
を有し、
各ツールは、前記パワーユニットに接続された場合に振動し、
前記コントローラは、前記感知された振動情報から、ツールの複数のクラスのうちのどれが前記パワーユニットに接続されているのかを識別するように構成される、キッチン機器のキット。
【請求項7】
前記コントローラが、ツールの複数のクラスのうちの識別されたツールのクラスに基づいて前記モータのための駆動パターンを選択するように構成される、請求項6記載のキット。
【請求項8】
前記ツールの各々が、前記ツールが前記パワーユニットに接続されるとともに前記モータによって駆動された場合、前記機械的インタフェースの回転軸に関して、軸方向又は放射状に、固有振動を持つように構成される、請求項6又は7に記載のキット。
【請求項9】
各ツールが、ツールのクラスに対応する固有周波数で振動するように構成され、ツールの各クラスが、異なる固有周波数を持つ、請求項6乃至8のいずれか1項に記載のキット。
【請求項10】
前記振動センサが、前記機械的インタフェースに隣接して前記パワーユニット内に配置される、請求項6乃至9のいずれか1項に記載のキット。
【請求項11】
モータ及び取り外し可能な少なくとも1つのツールを具備するパワーユニットを持つキッチン機器の動作方法であって、前記方法は、
前記パワーユニットにツールを接続するステップと、
前記ツールを駆動するためにモータを駆動するステップと、
前記パワーユニットにおける振動センサにより前記ツールの振動を感知するステップと、
前記振動からツールのクラスを識別するステップと、
を有する、方法。
【請求項12】
識別されたツールのクラスに基づいて複数の駆動パターンから駆動パターンを選択するステップと、
前記選択された駆動パターンに従って前記モータを駆動するステップと、
を有する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記選択された駆動パターンに従って前記モータを駆動するステップが、前記感知された振動に基づいて動的に前記モータの駆動を適合させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン機器に関し、特に、交換可能なツールを具備するキッチン機器に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で、電動のキッチン機器の人気がますます高まっている。かかるキッチン機器は、ハンドブレンダ、ブレンダ、フードプロセッサ、パン焼き機、ミキサを含み、一般的に、電気モータによって駆動される1又は複数の付属品(アクセサリ)を含む。様々な要求を満たすために、機器は、ますます多くのアプリケーション及び機能を有するように設計される。
【0003】
幾つかのキッチン機器では、様々な機能が、単一の一体的な装置に含まれ得る。かかる機器では、様々な機能の制御が容易であり、各機能のためのモータパワー及びモータ速度の調整が容易である。これは、ユーザが、必要な機能を選択するようにコントローラを調整し、コントローラは、必要な機能を選択できるとともに、モータトルクに影響を与えるモータ速度などの適切なモータ駆動パラメータを選択することができるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くのキッチン機器は、パワーユニットと、様々なアクセサリと、を含む。アクセサリは、世界中の各地域のマーケット及び調理スタイルに適合され得る。このような場合、多数の考えられ得るアクセサリ及び機能の観点から、正確なモータ駆動パラメータを保証することは、より困難である。
【0005】
米国特許出願公開第2013/192477号明細書は、ブレンダヘッドに接続され得るモータ駆動されるベース装置を教示している。当該ブレンダヘッドは、モータ駆動されるベース装置がブレンダヘッドを検出した場合に、結合されたユニットをブレンダとして動作させることを可能にするため、モータ駆動されるベース装置上のホール効果センサによって感知される磁石を含む。
【0006】
しかしながら、このソリューションは、2つの異なる動作モード間を選択するだけであり、正確なユーザ操作をなお必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、請求項によって規定される。
【0008】
本発明の一態様に係る例によれば、キッチン機器のパワーユニットであって、ツールを接続するための機械的インタフェースと、前記ツールを駆動するため、前記機械的インタフェースを回転させるためのモータと、前記モータを制御するためのコントローラと、前記機械的インタフェースに接続されたツールの振動を感知するように構成された振動センサと、を有し、前記振動センサは、前記感知した振動を表す振動情報を前記コントローラに供給するため、前記コントローラに接続され、前記コントローラは、前記感知された振動情報から、ツールの複数のクラスのうちのどれが前記パワーユニットに接続されているのかを識別するように構成される、キッチン機器のパワーユニットが提供される。
【0009】
パワーユニットにおいて振動センサを使用することによって、ツールが、任意の電気的接続、センサ、又は、無線周波数識別(RFID)タグなどの電子機器を持つことを必要とすることなく、使用中のツールの動作についてのフィードバック情報を取得することが可能である。RFIDタグ、機械的な直接接続、又は、電気的な直接接続を用いたアプローチは、特に、埃、食べかす、又は、洗剤に対して弱い。さらに、かかるアプローチを封止することは、可能性のあるソリューションの複雑性及びコストを増加させる。従って、特に、ツールは、洗浄可能である必要があり、食洗機に対応できる必要があるため、かかる接続、センサ、又は、ツール内の機器の統合は、一般的に、望まれておらず、ツールのコスト増につながる。
【0010】
このため、振動センサを用いたソリューションは、ユーザが、パワーユニットのための正確な設定を選択可能とするため、コントローラに接続された、ノブ、ボタン、又は、スイッチなどの任意のユーザ制御の必要性を回避する。かかる比較可能な場合では、ユーザは、機械的接続にアクセサリを取り付け、パワーユニットのための対応する設定を選択するようにユーザ制御を動作させる。しかしながら、この比較可能な場合は、ユーザ選択された設定が正しくなければいけないことを必要とする。使用のための指示、クイックスタートガイド、又は、製品上のピクトグラムが、ユーザが、適切なアクセサリを具備するパワーユニットについての設定の正確な組み合わせを選択するようにガイドするために使用され得ることが考えられ得る。残念ながら、このアプローチは、消費者を混乱させることがある。実際、全てのユーザが、使用のための指示、又は、クイックスタートガイドを読むわけではない。また、指示を読んだ人でさえ間違うことがある。従って、モータ駆動設定とアクセサリとの間違った組み合わせが、選択されることがあり、これが、残念な結果、消費者の不満、製品の返品にさえつながることがある。
【0011】
一方、振動センサは、任意のユーザ操作、又は、キッチン機器のパワーユニットに対する制御の選択を要することなく、ツールについての情報をフィードバックすることが可能である。
【0012】
キッチン機器のパワーユニットは、オンオフスイッチを含んでいてもよい。また、キッチン機器のパワーユニットは、速度コントロールを含んでいてもよい。このため、キッチン機器のパワーユニットは、動作のための単純な制御のみを必要とする。
【0013】
また、キッチン機器のパワーユニットは、振動検出の機能を制御するため、特に、振動センサのオンオフによりもたらされる機能を切り替えるためのスイッチを持っていてもよい。これは、必要な場合、キッチン機器のパワーユニットがユーザ制御下で動作することを可能にし得る。
【0014】
コントローラは、ツールの複数のクラス、及び、対応する駆動パターンについての情報を格納しているメモリを含んでいてもよい。コントローラは、識別されたツールのクラスに基づいて、複数の駆動パターンから選択された駆動パターンでモータを駆動するように構成されている。これは、各ツールが正しいパターンで駆動されることを可能にする。例えば、幾つかのツールは、他のツールよりも低い駆動速度及び/又は他のツールよりも高いトルクを必要としてもよい。また、他のツールは、間欠的又はパルス状の駆動を必要としてもよい。
【0015】
コントローラは、ブラシレスモータであってもよい。かかるモータを使用して、速度とトルクとの両方を独立して選択することが可能である。
【0016】
また、コントローラは、振動情報に基づいて、動的に、モータの駆動を適合させるように構成されてもよい。このようにして、ツールの駆動は、処理される材料の性質に依存して、適合され得る。
【0017】
パワーユニットは、筐体を有していてもよく、機械的インタフェースは、筐体を通じて延在していてもよい。振動センサは、最も効率的に振動を取得するため、機械的インタフェースの内部又は機械的インタフェースに隣接して筐体に配置されてもよい。
【0018】
実施形態では、機械的インタフェースは、筐体を通じて延在しているシャフトを含み、振動センサは、シャフトに隣接してマウントされ得る。
【0019】
振動センサは、圧電変換器であってもよい。
【0020】
本発明の他の態様は、キッチン機器のキットであって、ツールを接続するための機械的インタフェースと、前記ツールを駆動するため、前記機械的インタフェースを回転させるためのモータと、前記モータを制御するためのコントローラと、前記機械的インタフェースに接続されたツールの振動を感知するように構成され、前記感知した振動を表す振動情報を前記コントローラに供給するため、前記コントローラに接続される振動センサと、を有する、パワーユニットと、前記機械的インタフェースへの接続のための複数のツールと、を有し、各ツールは、前記パワーユニットに接続された場合に振動し、前記コントローラは、前記感知された振動情報から、ツールの複数のクラスのうちのどれが前記パワーユニットに接続されているのかを識別するように構成される、キッチン機器のキットに関する。なお、ツールのクラスは、単一のツールのみを含むことができる、即ち、各ツールは、異なって回転するように構成され得ることに留意する。
【0021】
各ツールは、ツールのクラスに対応する特性周波数で振動するように構成され得る。ここで、ツールの各クラスは、異なる特性周波数を持つ。
【0022】
幾つかのケースでは、これらの特性周波数は、ツールの一部又はツールの全体の共振周波数であってもよい。他のケースでは、共振周波数は、不適切であり、他の特性ピークが選択されてもよい。これは、特に、ジューサなどの莫大な機械的エネルギーを必要とする装置に関するケースであり得る。
【0023】
コントローラは、ツールの複数のクラスのうち識別されたツールのクラス又は個別のツールに基づいて、電気モータのための駆動パターンを選択するように構成され得る。
【0024】
ツールがパワーユニットに接続され、モータによって駆動される場合、ツールの各々は、機械的インタフェースの回転軸に対して、軸方向又は放射状の固有振動を持つように構成され得る。
【0025】
他の態様では、本発明は、モータ及び取り外し可能な少なくとも1つのツールを具備するパワーユニットを持つキッチン機器の動作方法であって、前記方法は、前記パワーユニットにツールを接続するステップと、前記ツールを駆動するためにモータを駆動するステップと、前記パワーユニットにおける振動センサにより前記ツールの振動を感知するステップと、前記振動からツールのクラスを識別するステップと、を有する、方法に関する。
【0026】
また、上記方法は、ツールの識別されたクラスに基づいて、複数の駆動パターンから駆動パターンを選択するステップ、及び、選択された駆動パターンに従ってモータを駆動するステップを含んでいてもよい。
【0027】
選択された駆動パターンに従ってモータを駆動するステップは、感知された振動に基づいて動的にモータの駆動を適合させるステップを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の例が、添付の図面を参照して、詳細に説明される。
【
図1】
図1は、キッチン機器と、複数のツールと、を持つキットを図示している。
【
図2】
図2は、取り付けられたツールを具備するパワーユニットの概要である。
【
図3】
図3は、パワーユニットの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、電動のキッチン機器を提供する。
【0030】
図1及び
図2によれば、パワーユニット2は、複数のツール4,6,8の1つのためにパワーを供給する。例えば、パワーユニット2は、ハンドブレンダのパワーユニットである。当該ツールは、ブレンダアタッチメント4、泡立て器アタッチメント6、及び、フードプロセッサアタッチメント8を含み、フードプロセッサアタッチメント8は、パワーユニット2が食品を処理するためにボウルにおいて刃を回転させることを可能にするため、ボウル、刃、アダプタを含んでいる。
【0031】
パワーユニット2は、筐体10を持ち、ツールの1つを回転駆動に結合するための機械的インタフェースである連結器12を含む。ツールがパワーユニット2から脱着され得るように、ツール4,6,8は、取り外し可能な態様で取り付けられてもよい。例えば、外部戻り留め(external detent tang)28が、ツール4,6,8をパワーユニット2に留めるために使用される。また、ツールは、ツールを解放する戻り留め28を後退させる解放スイッチ26を動作させることによって、解放され得る。
【0032】
連結器12を回転させ、連結器に接続されたツール4,6,8の回転部分に回転駆動を供給するため、連結器12に機械的に結合される電気モータ14が、供給される。電気モータ14は、コントローラ16によって給電される。
【0033】
振動センサ18が、振動を感知するため、連結器12に隣接して筐体にマウントされる。振動センサは、感知された振動を表す信号がコントローラに渡されるように、コントローラ16に電気的に接続されている。この例における振動センサ18は、圧電変換器である。あるいは、振動センサは、コントローラ16に組み込まれていてもよい。
【0034】
オン/オフスイッチ20が、コントローラに接続されて供給される。
【0035】
コントローラ16は、複数の駆動パターンで電気モータ14を駆動するようにプログラムされている。駆動パターンは、回転速度及び付与トルクにおいて変化してもよい。幾つかの駆動パターンは、間欠的又はパルス状の駆動を含んでいてもよい。駆動パターンは、コントローラのメモリ22に格納される。
【0036】
メモリ22は、ツールの各クラスと関連付けられた複数の振動パターンを格納する。コントローラは、振動センサ18からの信号を取得し、当該信号に基づいてツールのどのクラスが取り付けられたかを識別するようにプログラムされている。例えば、ツールは、ツールの各クラスのための軸方向の振動のための異なる固有共振周波数を有するように設計され得る。コントローラは、当該共振周波数、ひいては、ツールのクラスを識別するようにプログラムされる。
【0037】
代替的な実施形態では、ツール及び/又はツールのクラスを識別するために、単純な共振周波数よりも複雑な特徴が使用されてもよい。
【0038】
コントローラは、識別されたツールのクラス又は個別のツールに基づいて、電気モータのための適切な駆動パターンを選択してもよい。特に、コントローラは、駆動電圧又は駆動速度を調整してもよい。ツール又は複数のツールの幾つかの識別されたクラスに関し、コントローラは、モータ駆動をパルス駆動してもよい。
【0039】
図示された実施形態では、ツールは、4つの潜在的なツールクラスに分類される。異なるツールの各々が、1つのクラスに割り当てられる。任意の新規ツールが正しく駆動されるクラスの1つに割り当てられ得るため、このようにして、キッチン機器のモータユニットの製造後にアクセサリを加えることが可能である。
【0040】
クラスは、以下のとおりである。
(a)低トルクでスピード駆動されるツール
(b)高トルクで短時間駆動されるツール
(c)長時間駆動されるツール
(d)最も高い機械的パワーのツール
【0041】
ツールの動作は、クラスによって決定され得る。例えば、クラス(c)のツールは、オーバヒートを回避するため、スピード及びトルクが最も低いパワー損失をもたらす状態で駆動されるであろう。一方、クラス(b)のツールは、最大のトルクで駆動され、クラス(a)のツールは、最高スピードで駆動されるであろう。
【0042】
クラスの上記リストは、完全ではなく、他のクラスが使用されてもよい。特に、特定のツールが特定のクラスの動作に対して異なる動作を必要とする場合、当該ツールは、クラスの単一のメンバとして当該ツールを有する追加的なクラスとして効果的に規定され得る。このようにして、柔軟性が維持される。
【0043】
ツールの駆動は、連結器12の軸周りの回転と関連付けられることに留意する。従って、軸方向における振動は、ツールのクラスを感知及び識別するために特に有用である。
【0044】
本発明の好適な実施形態では、パワーユニットと、複数の異なるツールと、を含むキットが供給される。
【0045】
ツールの各クラスは、対応する振動パターンを付与するように構成されている。あるいは、ツールの各クラスは、異なる振動パターンを生成するように構成されてもよい。
【0046】
ツール4,6,8の振動が必要な特徴を持つように適合させるための1つの手法は、ツールが、ツールのクラスに対応する固有共振周波数を持つように、ツールの剛性を適合させることである。ツールの各クラスに関して、異なる固有共振周波数、ひいては振動パターンにおいて検出される周波数が選択され得る。
【0047】
代替的な手法は、共振周波数、ツールの特定のクラスに対応する固有共振周波数を有する別個の領域又は部分を具備するようにツールを設計することである。
【0048】
更なる代替案は、共振周波数を使用せず、機器を動作させている場合に発生する他の信号を使用することである。
【0049】
また、より様々なツールのクラスをエンコードするためのより多くの様々な振動パターンを規定する更なる機会を供給するため、追加的なコンポーネントを供給する代わりに、特定の方向における特定の周波数のダンピングを供給することも可能である。
【0050】
コントローラの動作が、
図3のフロー図において概略的に図示されている。
【0051】
最初に、ユーザは、連結器12に必要なツールを取り付ける。次いで、ユーザは、電動キッチン機器をオンに切り替えるためにオン/オフスイッチ20を操作する。
【0052】
そして、コントローラは、比較的低速であり得る初期の駆動パターンでツールを動作させる。
【0053】
振動センサ18が、生じた振動を取得し、振動データの形式で、コントローラに情報をフィードバックする。コントローラは、生じた振動とメモリに格納された複数の振動パターンとを比較し、振動に最も近い振動パターンを識別する。各振動パターンは、ツールの特定のクラスと関連付けられている。コントローラは、識別された振動パターンからツールのクラスを識別する。ツールの各クラスに関して2以上の振動パターンがあってもよい。検出された振動が、ツールだけでなく、ツールによって現在処理されている食品にも依存し得るためである。
【0054】
コントローラは、ツールの識別されたクラスに対応する駆動パターンを用いて電気モータを駆動する。
【0055】
永久磁石又はユニバーサルモータの場合、駆動パターンは、特に、利用可能なトルクを決定する、時間の関数としての速度設定に対応していてもよい。
【0056】
代替的な構成では、ブラシレスモータなどの、速度とトルクとの両方を独立して制御可能なモータが使用される。この場合、駆動パターンは、速度設定とトルク設定との両方を決定する。
【0057】
駆動パターンは、各ツール又はツールのクラスのために固定される必要はない。コントローラは、測定された振動のパターンに基づいて、経時的に駆動パターンを調整してもよい。例えば、振動のパターンは、ツールの動きに対してどれくらい抵抗があるかを示していてもよく、駆動パターンは、抵抗の量に依存して調整されてもよい。動きに対する抵抗が振動パターンを変化させ得るため、これは、然るべく駆動パターンを調整するために使用され得る。
【0058】
このように複数の異なる駆動パターンを具備する電気モータを駆動することによって、電気モータの駆動は、各ツール及びツールによって経験される可能な状態に関して適合され得る。正しい駆動パターンでツールを駆動することによって、当該ツールの動作のための正しい回転速度及びトルクが識別され得る。
【0059】
また、駆動パターンは、連続的に、又は、間隔を空けて、例えば、0.1秒乃至60秒毎に、典型的には、1秒乃至10秒毎に、調整され得ることに留意する。このようにして、モータのウォームアップ又は食品の変更によって決定される振動の変化が、然るべく、モータを調整するために使用され得る。
【0060】
従って、モータは、より少ないパワー損失(熱)及び結果的により長い駆動時間につながる、正しい動作範囲で動作する。
【0061】
幾つかのケースでは、ツールの設計を単純化することが可能である。固定の回転速度の電気モータとともに使用されることが意図された幾つかツールは、ツールの動作のために必要な速度までモータの固定回転速度を調整するためのギアを必要とする。モータにどのツールが接続されているのかを感知することによって、モータは、ツールに対応する正しい速度で駆動されることができ、ギアの必要性を回避することができる。
【0062】
幾つかのケースでは、ツールの改善された動作を達成することが可能である。駆動パターンによる正しい駆動速度及びトルクの選択が、ツールにおけるギア設定と結合され、動作を改善するため、モータの固定の動作速度ではなく、モータの最適な動作速度に基づいて、ツールのギア設定を最適に選択することによって、モータの動作点を最適化する。これは、一般的に、特に、パワー損失及び熱が著しく制限される長時間の動作において使用される硬い食品のために有用である。この手法は、速度及びトルクが独立して調整され得るブラシレスモータなどのモータと結合される場合に、特に有用である。
【0063】
また、ツールは、好ましくは、無線領域識別(RFID)タグなどの任意の電子部品の追加を必要としない。かかるタグは、食洗機に適さず、ツールの製造コストを増加させる。上記タグは、典型的に、ツールに埋め込まれることを必要とするためである。しかしながら、かかるタグは、他の理由のために必要とされる場合、除外されない。
【0064】
上記システムは、予めの設定を必要としない。新規ツールは、既存のツール又はツールのクラスの性質に属するものとみなされ得るためである。
【0065】
また、機械的インタフェースがパワーユニット2にツールを固定する必要はない。必要なことは、機械的インタフェースが、パワーユニットによって様々なツールを駆動可能にすることだけである。
【0066】
また、ツールの駆動は、適合され得る。処理中に多くの食品は変化する。幾つかのケースでは、動きに対する抵抗が減少することがある。例えば、野菜が既に細かくされた後に野菜を混ぜる場合は、動きに対する抵抗が減少し、又は、卵を攪拌している場合には動きに対する抵抗が増加する。振動センサ18を用いて振動を測定することによって、コントローラは、例えば、動きに対する抵抗が増加するにつれて駆動速度を遅くするなど、駆動を適合させることができる。
【0067】
各ツールのための正しい駆動パターンで駆動され得る適合可能な駆動の使用は、異なる食品調理技術に適した複数の異なるツールを供給することをより容易にし、異なる領域、国、又は、異なる価格帯において販売されるのに適合され得る。
【0068】
また、駆動ユニットからの信号が処理される方法は変化し得ることに留意する。メモリに格納された異なるツールのクラスの複数の振動の特徴及び駆動パターンの代わりに、ツールの性質を推測し、モータの速度及び/又はトルクを適合させるために振動データを用いる代替的な技術が使用され得る。
【0069】
コントローラの更新をより容易にするために、様々なツールの駆動パターンが、コントローラのメモリ22ではなく、追加的なメモリチップに格納されてもよい。これは、完全なコントローラ16を再設計する必要なく駆動パターンを経時的に変化させることをより容易にするため、追加的なメモリチップが新規の駆動パターンで更新されることを可能にする。
【0070】
更新された駆動パターン又は振動パターンがパワーユニットにアップロードされることを可能にするため、コントローラ16において、ディジタル/インターネット接続を供給することが、更に可能である。これは、パワーユニット2の製造後にツールの新規設計と協調するための自動的な更新を可能にする。
【0071】
また、駆動パターンを選択するために、追加的なセンサが、使用され、振動情報と結合されてもよい。例えば、温度センサが供給されてもよい。これは、例えば、食品から放出される蒸気を検出し、然るべく、処理を調整することができる。
【0072】
本発明を実施する際、図面、開示、及び、添付の請求項の研究から、開示の実施形態に対する他の変形が、当該技術分野における当業者によって、理解及び実施され得る。請求項中、「有する」なる用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形は、複数であることを除外しない。特定の手段が相互に異なる従属項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが好適に用いられないということを示すものではない。請求項中の任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。