特許第6188972号(P6188972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6188972
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】水吸引ホースにおける又は関連する改良
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/20 20060101AFI20170821BHJP
   F16L 55/24 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   F16L11/20
   F16L55/24 B
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-572802(P2016-572802)
(86)(22)【出願日】2015年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2015077481
(87)【国際公開番号】WO2016083363
(87)【国際公開日】20160602
【審査請求日】2017年2月22日
(31)【優先権主張番号】1420913.4
(32)【優先日】2014年11月25日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516370316
【氏名又は名称】エムステック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】EMSTEC GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト ブリンク
(72)【発明者】
【氏名】イアン クレイグ
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0289943(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104415599(CN,A)
【文献】 国際公開第2008/017937(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/067615(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/010500(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3145218(JP,U)
【文献】 特開2012−30183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/20
F16L 55/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水吸引ホースにおいて、
補助ホースセクション(20)を取り付けるための複数個の取付け手段(18)を有する少なくとも1個のホースセクション(10)であって、前記取付け手段を前記ホースセクションの端部に隣接して配置し、各取付け手段は、前記補助ホースセクションを取り付けるための少なくとも1個の固着孔を有するものとし、前記複数個の取付け手段のそれぞれは、保護コーティングを有する、該少なくとも1個のホースセクション(10)と、
前記ホースセクションの一方の端部に連結する吸引ホースヘッド(30)と、
前記ホースセクションの他方の端部に連結する吸引ストレーナ(118)であって、さらに、第1流体入口(126)、第1流体通路(132)及び第1流体出口(138)を持つ少なくとも第1ストレーナ部材(120)と、並びに第2流体入口(128)、第2流体通路(134)及び第2流体出口(140)を持つ第2ストレーナ部材(122)と、を有し、前記第1ストレーナ部材及び前記第2ストレーナ部材は、流体的に分離された構造を有し、前記吸引ストレーナ(118)は前記ホースセクションの前記他方の端部に連結するよう構成して、前記第1及び第2の流体入口が前記ホースセクションの長手方向軸線に沿って隣接するよう配置し、また前記第1及び第2の流体出口が前記ホースセクションの前記他方の端部に流体的に接続可能な複合出口インタフェースをなす少なくとも2段式ストレーナ構成を形成し、また前記第1ストレーナ部材は前記第2ストレーナ部材と嵌合して前記長手方向軸線に沿って積層体を形成する構成とする、該吸引ストレーナ(118)と、
を備える、海水吸引ホース。
【請求項2】
請求項1記載の海水吸引ホースにおいて、前記吸引ストレーナは、さらに、第3流体入口、第3流体通路及び第3流体出口を持ち、前記第1及び第2のストレーナ部材とは流体的に分離された構造を有する、少なくとも第3のストレーナ部材を有し、前記第3ストレーナ部材は、前記ホースセクションの前記他方の端部に接続するよう構成して、前記第1、第2及び第3の流体入口が前記ホースセクションの長手方向軸線に沿って隣接するよう配置し、また前記第1、第2及び第3の流体出口が前記ホースセクションの前記他方の端部に流体的に接続可能な複合出口インタフェースをなす3段式ストレーナ構成を形成し、また前記第2ストレーナ部材は前記第3ストレーナ部材と嵌合して前記長手方向軸線に沿って積層体を形成する構成とする、海水吸引ホース。
【請求項3】
請求項1又は2記載の海水吸引ホースにおいて、前記取付け手段は、前記ホースセクションの内部流体通路内に取り付けるものとする、海水吸引ホース。
【請求項4】
請求項1又は2記載の海水吸引ホースにおいて、前記取付け手段は、前記ホースセクションの外部に取り付ける、海水吸引ホース。
【請求項5】
請求項1〜のうちいずれか一項記載の海水吸引ホースにおいて、さらに、前記ホースセクションの前記取付け手段に固定した少なくとも1個の補助ホースセクションを備え、また前記補助ホースセクションは、前記吸引ストレーナ及び前記吸引ホースヘッドにも固定する次亜塩素酸塩供給ホースとする、海水吸引ホース。
【請求項6】
請求項1〜のうちいずれか一項記載の海水吸引ホースにおいて、前記ホースセクションは、さらに、各端部に連結手段(14)を有する、海水吸引ホース。
【請求項7】
請求項記載の海水吸引ホースにおいて、前記連結手段は保護コーティングを有する、海水吸引ホース。
【請求項8】
海水吸引ホースシステムにおいて、
少なくとも1個のケーソン(44)と、
請求項1〜のうちいずれか一項記載の少なくとも1個の海水吸引ホースと、
を備え、前記ケーソンは、前記ホースを懸吊状態に収容し、かつ保持するよう構成する、海水吸引ホースシステム。
【請求項9】
請求項記載の海水吸引ホースシステムにおいて、さらに、前記ケーソンと前記海水吸引ホースとの間におけるケーソンインタフェースを備える、海水吸引ホースシステム。
【請求項10】
請求項又は記載の海水吸引ホースシステムにおいて、前記ケーソンは、組立て中に前記ホースセクションを選択的に固定し得る懸架装置(244)を有する、海水吸引ホースシステム。
【請求項11】
請求項10記載の海水吸引ホースシステムにおいて、前記懸架装置は、現場にあるとき前記ケーソンの頂端部に取外し可能に連結できるものとする、海水吸引ホースシステム。
【請求項12】
請求項10又は11記載の海水吸引ホースシステムにおいて、前記懸架装置は、前記ホースセクションにロック可能に係合し得るばね動作機構を有する、海水吸引ホースシステム。
【請求項13】
請求項10〜12のうちいずれか一項記載の海水吸引ホースシステムにおいて、前記懸架装置は、さらに、前記ホースセクションの外径間における所定相違を補償するよう構成したホースセクションアダプタ(248,250)を有する、海水吸引ホースシステム。
【請求項14】
請求項13のうちいずれか一項記載の海水吸引ホースシステムを備える、FPSO船。
【請求項15】
請求項1〜のうちいずれか一項記載の海水吸引ホースを組み立てる方法において、
補助ホースセクションを取り付けるための取付け手段を有する、少なくとも1個の海水ホースセクションを準備するステップと、
補助ホースセクションを前記海水ホースセクションに取り付けるステップと、
吸引ホースヘッドを前記海水ホースセクションの一方の端部に連結するステップと、
吸引ストレーナ(118)を前記海水ホースセクションの他方の端部に連結するステップと、
前記補助ホースセクションを前記吸引ストレーナ及び前記吸引ホースヘッドに連結するステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースセクション(ホース部分品)、とくに、限定しないが海水吸引ホースシステムのホースセクション、及び海水吸引ホースを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浮体式生産貯蔵積出(FPSO:Floating Production Storage and Offloading)船に設置されるような従来型海水吸引ホースシステムは、一般的に複数のホース及びケーソンを備える。各ホースは、一般的に順次相互連結して連続したホースを形成する複数個のホースセクションを備える。連続ホースは、FPSO船におけるケーソンと組み合わせて海水吸引システムを形成する。
【0003】
ホースの自由端には、ホース内に引き込む海水を濾し取る吸引ストレーナを装着する。吸引ストレーナには次亜塩素酸塩分散リングを装着し、この次亜塩素酸塩分散リングを使用してホースで海水を引き込むとき吸引ストレーナの周りに次亜塩素酸塩を分散する。次亜塩素酸塩の分散によりFPSO船の吸引システム及び関連配管における海洋生物増殖を防止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次亜塩素酸塩を分散リングに供給するためには、ホース内に次亜塩素酸塩供給ラインを設ける必要がある。次亜塩素酸塩供給ラインは、複数個のラインセクションから構成される。
【0005】
次亜塩素酸塩供給ラインの破損を防止するためには、各ラインセクションをホース内に固定する必要がある。このことは、各ホースセクション間に複数個のホースアダプタを設けることによって達成される。各ホースアダプタは、各次亜塩素酸塩ラインセクションを固定するための内部マウントをなす。各ホースセクション間にホースアダプタを設置することはコストがかかり、またホースの組立て時間も増加する。さらに、各ホースセクション間にホースアダプタが存在することは、潜在的腐食可能性及び潜在的ホース内漏洩ポイントの数を増大させる。
【0006】
本発明の目的は、改善したホースセクションを備える改良した海水吸引ホースシステム、及び上述の欠点の1つ又は複数を回避又は軽減する海水吸引ホースを組み立てる方法を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様によれば、海水吸引ホースを提供し、この本発明海水吸引ホースは、
補助ホースセクションを取り付けるための複数個の取付け手段を有する少なくとも1個のホースセクションであって、前記取付け手段を前記ホースセクションの端部に隣接して配置し、各取付け手段は、前記補助ホースセクションを取り付けるための少なくとも1個の固着孔を有するものとし、前記複数個の取付け手段のそれぞれは、保護コーティングを有するものとする、該少なくとも1個のホースセクションと、
前記ホースセクションの一方の端部に連結する吸引ホースヘッドと、
前記ホースセクションの他方の端部に連結する吸引ストレーナであって、さらに、第1流体入口、第1流体通路及び第1流体出口を持つ少なくとも第1ストレーナ部材と、並びに第2流体入口、第2流体通路及び第2流体出口を持つ第2ストレーナ部材と、を有し、前記第1ストレーナ部材及び前記第2ストレーナ部材は、流体的に分離された構造を有し、前記第1ストレーナ部材は前記ホースセクションの前記他方の端部に連結するよう構成して、前記第1及び第2の流体入口が前記ホースセクションの長手方向軸線に沿って隣接するよう配置し、また前記第1及び第2の流体出口が前記ホースセクションの前記他方の端部に流体的に接続可能な複合出口インタフェースをなす少なくとも2段式ストレーナ構成を形成する、該吸引ストレーナと、
を備える。
【0008】
有利には、前記吸引ストレーナは、さらに、第3流体入口、第3流体通路及び第3流体出口を持ち、前記第1及び第2のストレーナ部材とは流体的に分離された構造を有する、少なくとも第3のストレーナ部材を有し、前記第3ストレーナ部材は、前記ホースセクションの前記他方の端部に接続するよう構成して、前記第1、第2及び第3の流体入口が前記ホースセクションの長手方向軸線に沿って隣接するよう配置し、また前記第1、第2及び第3の流体出口が前記ホースセクションの前記他方の端部に流体的に接続可能な複合出口インタフェースをなす3段式ストレーナ構成を形成することができる。
【0009】
好適には、前記第1ストレーナ部材は、前記第2ストレーナ部材と嵌合し、前記長手方向軸線に沿って積層体を形成する構成とすることができる。
【0010】
有利には、前記第2ストレーナ部材は、前記第3ストレーナ部材と嵌合し、前記長手方向軸線に沿って積層体を形成する構成とすることができる。
【0011】
有利には、前記取付け手段は、前記ホースセクションの内部流体通路内に取り付けるものとすることができる。
【0012】
好適には、前記取付け手段は、前記ホースセクションの外部に取り付けることができる。
【0013】
有利には、海水吸引ホースは、さらに、前記ホースセクションの前記取付け手段に固定した少なくとも1個の補助ホースセクションを備えることができる。
【0014】
好適には、前記補助ホースセクションは、前記吸引ストレーナ及び前記吸引ホースヘッドにも固定することができる。
【0015】
より好適には、前記補助ホースセクションは、次亜塩素酸塩供給ホースとすることができる。
【0016】
有利には、前記海水吸引ホースは複数個のホースセクションを有することができる。
【0017】
有利には、前記海水吸引ホースは複数個の補助ホースセクションを有することができる。
【0018】
有利には、前記取付け手段は前記ホースセクションのニップルに配置することができる。
【0019】
好適には、前記取付け手段は前記ホースセクションに溶接することができる。
【0020】
より好適には、前記保護コーティングは弾性を有することができる。より好適には、前記保護コーティングはゴムとすることができる。
【0021】
有利には、前記ホースセクションは、さらに、各端部に連結手段を有することができる。好適には、前記連結手段は保護コーティングを有することができる。より好適には、前記ホースセクションは可撓性を有することができる。
【0022】
本発明の第2態様によれば、海水吸引ホースシステムを提供し、この海水吸引ホースシステムは、
少なくとも1個のケーソンと、
本発明の第1態様による少なくとも1個の海水吸引ホースと、
を備え、前記ケーソンは、前記ホースを懸吊状態に収容し、かつ保持するよう構成する。
【0023】
有利には、海水吸引ホースシステムは、さらに、前記ケーソンと前記海水吸引ホースとの間におけるケーソンインタフェースを備えることができる。
【0024】
有利には、前記ケーソンは、組立て中に前記ホースセクションを選択的に固定し得る懸架装置を有することができる。
【0025】
好適には、前記懸架装置は、現場にあるとき前記ケーソンの頂端部に取外し可能に連結できるものとする、海水吸引ホースシステムことができる。
【0026】
有利には、前記懸架装置は、前記ホースセクションにロック可能に係合し得るばね動作機構を有することができる。
【0027】
有利には、前記懸架装置は、さらに、前記ホースセクションの外径間における所定相違を補償するよう構成したホースセクションアダプタを有することができる。
【0028】
好適には、前記海水吸引ホースシステムはFPSO船に取り付けるよう構成することができる。
【0029】
より好適には、前記海水吸引ホースシステムはFPSO船の船殻内に形成するよう構成することができる。
【0030】
本発明の第3態様によれば、本発明の第2態様による海水吸引ホースシステムを備えるFPSO船を提供する。
【0031】
本発明の第4態様によれば、海水吸引ホースを組み立てる方法を提供し、この方法は、
それぞれが補助ホースセクションを取り付けるための取付け手段を有する、少なくとも2個の海水ホースセクションを準備するステップと、
補助ホースセクションを前記海水ホースセクションそれぞれに取り付けるステップと、
前記補助ホースセクションを互いに連結するステップと、
前記海水ホースセクションを互いに連結するステップと
を有する。
【0032】
有利には、前記補助ホースセクションは次亜塩素酸塩供給ホースとすることができる。
【0033】
本発明の第5態様によれば、海水吸引ホースを組み立てる方法を提供し、この方法は、
補助ホースセクションを取り付けるための取付け手段を有する、少なくとも1個の海水ホースセクションを準備するステップと、
補助ホースセクションを前記海水ホースセクションに取り付けるステップと、
吸引ホースヘッドを前記海水ホースセクションの一方の端部に連結するステップと、
吸引ストレーナを前記海水ホースセクションの他方の端部に連結するステップと、
前記補助ホースセクションを前記吸引ストレーナ及び前記吸引ホースヘッドに連結するステップと
を有する。
有利には、前記補助ホースセクションは次亜塩素酸塩供給ホースとすることができる。
【0034】
本発明の実施形態を以下に単なる例として添付図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1態様による海水吸引ホースのホースセクションの側面図である。
図2図1のホースセクションの縦断面図である。
図2a図1及び2のホースセクションの部分端面図である。
図3図1のホースセクションに使用する吸引ストレーナの側面図である。
図4図3の吸引ストレーナの縦断面図である。
図5図1のホースセクションに使用する吸引ホースヘッドの側面図である。
図6図5の吸引ホースヘッドの縦断面図である。
図7】FPSO船の船殻におけるケーソン内に設置したケーソンインタフェースの部分縦断面図である。
図8】本発明の第4態様による海水吸引ホースシステムの側面図である。
図9図8の海水吸引ホースシステムの縦断面図である。
図10】例えばFPSOプラットフォーム上におけるケーソン頂部に据え付けて、組付け中に第1導管を取り付ける懸架装置の斜視図である。
図11図10の懸架装置における一方のばね負荷係合部材を開放した状態を示す斜視図である。
図12】3段式のストレーナであって、各ストレーナ段が、個別流体入口、流体通路及び流体出口を有し、すべてのストレーナ出口を組み合わせて第2導管に流体的に接続可能な単一出口インタフェースにする、該3段式ストレーナの概略的断面図である。
図13】(a)第1段、(b)第2段及び(c)第3段に分解したときの3個のストレーナ部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1及び2は、海水吸引ホースのホースセクション10を示す。このホースセクションは、両側の端部にフランジ14を配置して設けた内部流体通路を形成する円筒形のセクション本体12を有する(フランジ14は、連結手段の実施例である)。
【0037】
図2及び2aにつき説明すると、ホースセクション10は、さらに、次亜塩素酸塩ホースセクション20を取り付けるための取付け手段18を備える(次亜塩素酸塩ホースセクションは、補助ホースセクションの実施例である)。
【0038】
取付け手段18は、ホースセクションニップル(言及せず)に隣接してホースセクション10の内面に溶接する。次亜塩素酸塩ホースセクション20を固定するのに使用する少なくとも1個の固着孔22を有する。
【0039】
ホースセクション10及び次亜塩素酸塩ホースセクション20は、可撓性であり、また重量を減少し、耐腐食性を増し、また優れた疲労特性を付与する抗張補強材を有する。取付け手段18及びフランジ14は、腐食を防止する保護コーティングを有する。この保護コーティングは、弾性材料、例えばゴムとする。
【0040】
図3及び4は、ホースセクション10に使用する吸引ストレーナ24を示す。吸引ストレーナ24は、ホースセクション10に引き込む海水を濾し取る。この吸引ストレーナは、ほぼ円筒形の形状を有し、また吸引ストレーナ24周りに次亜塩素酸塩を分散するのに使用する次亜塩素酸塩分散アセンブリ26を装着する。次亜塩素酸塩の分散により吸引ホースシステム及び関連の配管における海洋生物増殖を防止する。吸引ストレーナ24は、さらに、ストレーナ24をホースセクション10に連結するのに使用するフランジ28を有する。
【0041】
図5及び6は、ホースセクション10に使用する吸引ホースヘッド30を示す。吸引ホースヘッド30(以下「ヘッド」と略称する場合がある)は、ホースセクション10と海水吸引ホースシステムのケーソンとの間のインタフェースをなす。ヘッド30は、ケーソンインタフェースの雌型円錐形着座部に整合する雄型円錐形着座部32を有し、吸引ホースが下方に移動するのを防止する(以下参照)。
【0042】
傾動を防止するため、ヘッド30は、ケーソンインタフェースの内部周縁支持リングに整合する外部上方周縁支持リング34を有する。
【0043】
ヘッド30は、さらに、ホースセクション10に連結するのに使用するフランジ36を有する。ヘッド30は、さらに、次亜塩素酸塩ホースアセンブリ38を有する。さらに、展開/回収ツールに係合するための係合手段40を設ける(以下参照)。図7は、FPSO船の船殻におけるケーソン44内に設置するケーソンインタフェース42の部分縦断面図を示す。ケーソンインタフェース42は、吸引ホースヘッド30の雄型円錐形着座部32に整合する雌型円錐形着座部46を有し、ヘッド30を心出しする。ケーソンインタフェース42は、さらに、吸引ホースヘッド30の外部上方周縁支持リング34に整合する内部周縁支持リング48を有する。
【0044】
図8及び9は、FPSOのケーソン44におけるケーソンインタフェース42から懸吊状態に保持される組み立てた海水ホース50を示す。ホース50は、複数個のホースセクション10と、吸引ストレーナ24と、吸引ホースヘッド30とを有する。海水ホース50及びケーソン44は、海水吸引ホースシステムを形成する。
【0045】
海水ホース50の組み立ては、従来のやり方で、すなわち、ケーソン44の頂部で各ホースセクション10を懸吊するとともに、順次のホースセクション10をこれに取り付けることによって行う。ホースセクション10はフランジ14で互いにボルト連結する。
【0046】
とくに、次亜塩素酸塩ホースセクション20は、ホースセクション10の組立て前に各ホースセクション10の取付け手段18に取り付ける。組立て中、上側及び下側のホースセクション10を連結する前に、下側ホースセクション10の次亜塩素酸塩ホースセクション20を先ず上側ホースセクション10の次亜塩素酸塩ホースセクション20に連結する。この結果、連続した次亜塩素酸塩ホースが組み立てたホース50の全長にわたり延在する。ホースセクション10の連結をより安全にするため、安全カラー(図示せず)を設け、この安全カラーを下側のホースセクション10に連結するとともに、下側及び上側のホースセクション10における次亜塩素酸塩ホースセクション20を互いに連結することができる。次亜塩素酸塩ホースセクション20を連結した後に、安全カラーを取り外し、また上述したように、ホースセクション10を互いにボルト連結する。
【0047】
吸引ストレーナ24は、ケーソン44内に挿入する前に、第1ホースセクション10の下側自由端に連結すること勿論である。第1ホースセクション10内の次亜塩素酸塩ホースセクション20は、ストレーナ24をホースセクション10にボルト連結する前に、ストレーナ24の次亜塩素酸塩分散アセンブリ26に連結する。
【0048】
吸引ホースヘッド30は、最後の上側ホースセクション10に連結する。最後のホースセクション10内の次亜塩素酸塩ホースセクション20は、ヘッドをホースセクション10にボルト連結する前に、ヘッド30の次亜塩素酸塩ホースアセンブリ38に連結する。
【0049】
海水ホース50は、従来のやり方で展開/回収ツール(図示せず)によってケーソン44内に対して降下及び上昇させることができる。
【0050】
海水ホース50は、従来のやり方で、すなわち、ケーソン44の頂部に向けてホース50を持ち上げ、また上述の組立てステップを逆にして分解する。
【0051】
したがって、ホースセクション10は、補助ホースセクション20を取り付けるための取付け手段18を設けることによって、従来提案の幾つかの件を回避又は軽減する。取付け手段18を有するホースセクション10を設けることは、次亜塩素酸塩供給ラインを支持するため、海水吸引ホースの各ホースセクション間に設けるホースアダプタの必要性を排除する。複数個のホースセクション10から構成される海水吸引ホース50は、増加した耐用寿命、増大した信頼性を有し、また、ホース50の組み立てを一層簡単にする。ホースアダプタを排除することによって、以下の利点が得られる。すなわち、
・海水に露出する海中スチール製コンポーネントの数を大幅に減らし、したがって、コストを減少し、また潜在的な腐食の可能性を最小限にする。
・設置中にホースアダプタに塗布した保護コーティングに対する損傷のリスクがない。ケーソン内での組立ては「手探り」であるため、保護コーティングの損傷は、ホースを点検する又は故障が発覚するまでは認識されない。
・陰極防食のレベルが減少する。
・フランジ付き継手の数を大幅に減少し、したがって、潜在的漏洩ポイントを最小限にする。
・ホース50の内部ボアは滑らかであり、すなわち、内部陽極が存在しない。このことは、ホース50にわたる圧力損失を減少する。
【0052】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述のことに対して変更及び改良を加えることができる。例えば、取付け手段18は、ホースセクション10の内面に配置するものとして図示及び上述したが、取付け手段18はホースセクション10の外面に配置できると理解されたい。
【0053】
さらに、各ホースセクション10は、単独の取付け手段18を有するものとして上述したが、各ホースセクション10は、当然のことながら、ホースセクション10内/外の種々の位置に2個以上の取付け手段を配置して設けることができる。さらに、海水吸引ホース50はFPSO船の船殻におけるケーソン44内に設置するものとして図示及び上述したが、当然のことながら、海水ホース50は、FPSO船の側面に配置したケーソンに設置することができる。
【0054】
取付け手段18は次亜塩素酸塩ラインを固定するのに使用する少なくとも1個の固着孔22に設けるものとして図示及び上述したが、当然のことながら、取付け手段は、次亜塩素酸塩供給ラインをホースセクション10に取り付けるのに適した任意の手段を有することができる。
【0055】
図10及び11は、懸架装置又は懸架ツール244の使用時及びケーソン頂部に取り付けたとき(図10)、及び開放した離脱状態における(図11)別個の実体としてのより詳細な図を示す。懸架装置又は懸架ツール244は、マウント252に動作可能に連結した2個のばね負荷係合部材248,250を有する。マウント252はケーソン44の頂部に取り付けるよう構成する。懸架装置又は懸架ツール244のばね機構は、組付け中にホースセクション10を固定するため、すなわち、導管列を懸吊しつつ、他の導管セクションを接続するよう構成する。懸架装置又は懸架ツール244は、従来の油圧懸架ツールよりも重量が軽量かつコンパクトであり、したがって、空間が限定される領域での据付けを可能にする。
【0056】
これに加えて、図10は、さらに、例えば、次亜塩素酸塩流体を供給するための、ホースセクション10の内部流体通路内に設置する2個の補助流体ライン146,148を有する、ホースセクション10の一部も示す。2個の補助流体ライン146,148は、例えば、ストレーナ24,118の頂部に導入し、この頂部でこれら補助流体ライン146,148を別個の分散リング(図示せず)に接続し、より濃縮した/高い分量の次亜塩素酸塩がホースセクション10列の内部通路に流動できるようにする。これに加えて、2個の個別補助流体ライン146,148を設けることによれば、増加した流体量を供給する、及び冗長性を持たせる。
【0057】
図12及び13は、ホースセクションの端部セクションに流体的に接続可能な吸引ストレーナ118の他の実施形態を示す。ストレーナ118は、3個の流体的に分離された構造を有するストレーナ部材、すなわち、第1ストレーナ部材120、第2ストレーナ部材122、第3ストレーナ部材124から構成し、これらストレーナ部材は3段式のストレーナ118として組み合わせることができる。ストレーナ部材120,122,124それぞれは、流体的に個別の入口セクション126,128,130、流体通路132,134,136、及び出口138,140,142を有する。ストレーナ部材120,122,124は、第2ストレーナ部材122を第3ストレーナ部材124上に整合させて積み重ね、また第1ストレーナ部材120を第2ストレーナ部材122上に整合させて積み重ねることができるように形成する。組み付けたとき、3つの出口138,140,142がホースセクション10に流体的に接続可能な複合インタフェース144を形成する。使用中、流体は、3つすべての入口セクション126,128,130を経て、流体通路132,134,136を個別に通過するよう流動し、複合した出口138,140,142から流出し、ホースセクション10の内部流体通路内に流入する。
【0058】
当業者には、上述の実施形態は単に実施例としてのみ記載し、限定的意味はないものであり、また種々の代替的実施例及び変更例も、特許請求の範囲で定義した本発明の範囲逸脱することなく可能であること、明らかであろう。
【符号の説明】
【0059】
10 ホースセクション
12 セクション本体12
14 フランジ
18 取付け手段
20 次亜塩素酸塩ホースセクション
24 吸引ストレーナ
26 次亜塩素酸塩分散アセンブリ
28 フランジ
30 吸引ホースヘッド
32 雄型円錐形着座部
34 外部上方周縁支持リング
36 フランジ
38 次亜塩素酸塩ホースアセンブリ
40 係合手段
42 ケーソンインタフェース
44 ケーソン
46 雌型円錐形着座部
48 内部周縁支持リング
50 海水ホース
118 ストレーナ
120 第1ストレーナ部材
122 第2ストレーナ部材
124 第3ストレーナ部材
126 入口セクション
128 入口セクション
130 入口セクション
132 流体通路
134 流体通路
136 流体通路
138 出口
140 出口
142 出口
144 複合インタフェース
146 補助流体ライン
148 補助流体ライン
244 懸架装置又は懸架ツール
248 ばね負荷係合部材
250 ばね負荷係合部材
252 マウント
【要約】
海水吸引ホース(50)のためのホースセクション(10)及び海水吸引ホース(50)を組み立てる方法を提供する。ホースセクション(10)は、補助ホースセクション(20)を取り付けるための取付け手段(18)を備える。海水吸引ホース(50)を組み立てる方法は、それぞれが補助ホースセクション(20)を取り付けるようにするための取付け手段(18)を有する、少なくとも2個の海水ホースセクション(10)を準備するステップと、補助ホースセクション(20)を各海水ホースセクション(10)に取り付けるステップと、補助ホースセクション(20)を互いに連結するステップと、海水ホースセクション(10)を互いに連結するステップとを有する。
【選択図】図8
図1
図2
図2a
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13(a)】
図13(b)】
図13(c)】