(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188973
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】圧力容器
(51)【国際特許分類】
F17C 13/06 20060101AFI20170821BHJP
B29C 49/20 20060101ALI20170821BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20170821BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20170821BHJP
F16J 13/12 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
F17C13/06 301Z
B29C49/20
B29C49/04
F16J12/00 P
F16J13/12
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-576099(P2016-576099)
(86)(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公表番号】特表2017-523357(P2017-523357A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2015063116
(87)【国際公開番号】WO2015197375
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2017年2月27日
(31)【優先権主張番号】DE102014009342.5
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ライムント ヘルミヒ
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−189106(JP,A)
【文献】
特開平11−013995(JP,A)
【文献】
特許第5456889(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/12
B29C 49/00−49/46
F16J 12/00−13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続エレメント(10)、内側容器(30)および、該内側容器(30)を取り囲む支持シェル(40)を有する圧力容器(1)であって、当該圧力容器(1)は以下の特徴、すなわち:
・前記接続エレメント(10)は、スリーブ形状のネック部分(11)と肩部分(13)を有しており;
・前記接続エレメント(10)は、その外面(16)を介して、前記内側容器(30)の内面(31)に結合されており;
・前記内側容器(30)は、該内側容器(30)が少なくとも部分的に前記接続エレメント(10)と前記支持シェル(40)との間においてサンドイッチ状に配置されているように、前記支持シェル(40)に結合されており;かつ
・当該圧力容器(1)は、前記接続エレメント(10)の前記ネック部分(11)によって画定されている少なくとも1つの開口(2)を有している
という特徴を有する圧力容器(1)において、
前記接続エレメント(10)の、前記内側容器(30)に向けられた前記外面(16)は、少なくとも部分的に、50μmを超える平均粗さを有しており、
前記接続エレメント(10)の前記外面(16)は、少なくとも部分的に、熱可塑性プラスチックから成る被覆層(20)を備えており、
前記接続エレメント(10)の前記ネック部分(11)の前記外面(16)は、前記ネック部分(11)の周方向に延びる少なくとも1つの環状溝(12)を有しており、
前記被覆層(20)は、前記接続エレメント(10)の前記ネック部分(11)の前記外面(16)全体を、連続的に覆っていて、前記少なくとも1つの環状溝(12)を埋めていることを特徴とする、圧力容器(1)。
【請求項2】
前記接続エレメント(10)の前記肩部分(13)の前記外面(16)は、前記接続エレメント(10)の半径方向の延在成分を有する少なくとも1つの半径方向溝(14)を有している、請求項1記載の圧力容器(1)。
【請求項3】
前記被覆層(20)は、前記接続エレメント(10)の前記肩部分(13)の前記外面(16)全体を連続的に覆っていて、かつ前記少なくとも1つの半径方向溝(14)を埋めている、請求項2記載の圧力容器(1)。
【請求項4】
接続エレメント(10)、内側容器(30)および、該内側容器(30)を取り囲む支持シェル(40)を有する圧力容器(1)を製造する方法であって、当該方法は以下の方法ステップ、すなわち:
・前記接続エレメント(10)を、開放された収容位置にある複数部分から成るブロー成形型であって、閉鎖された位置では成形キャビティを形成するブロー成形型内に装入するステップ;
・前記収容位置にある前記ブロー成形型内にチューブ形状のプリフォームを押し出して、前記接続エレメントを前記チューブ形状のプリフォームによって取り囲むステップ;
・前記ブロー成形型を閉鎖し、前記プリフォームを、前記ブロー成形型を用いて前記接続エレメント(10)の外面(16)に圧着させるステップ;
・前記内側容器(30)に対する差圧を使用することによって、閉鎖された前記ブロー成形型の前記成形キャビティ内において前記プリフォームを成形するステップ;
・前記ブロー成形型を開放して、該ブロー成形型から前記内側容器(30)を取り出すステップ;および
・前記内側容器(30)を前記支持シェル(40)によって取り囲むステップ、
・前記ブロー成形型内への前記接続エレメント(10)の装入前に、該接続エレメント(10)の外面(16)を粗面化するステップ、
を有する方法において、
前記接続エレメント(10)の前記外面(16)の前記粗面化を、選択的レーザ溶融を用いた前記接続エレメント(10)の前記外面(16)への材料層の被着によって行うことを特徴とする、圧力容器(1)を製造する方法。
【請求項5】
前記接続エレメント(10)の前記外面(16)の前記粗面化を、前記接続エレメント(10)の前記外面(16)への研磨性の投射材の投射によって行う、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記接続エレメント(10)の粗面化の後でかつ前記ブロー成形型内への装入前に、前記接続エレメント(10)の前記外面(16)を、熱可塑性プラスチックから成る被覆層(20)によって被覆する、請求項4から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
以下の方法ステップを用いて:すなわち、
・前記接続エレメント(10)の前記外面(16)に向けられたプラズマジェットを発生させるステップ;
・前記被覆層(20)を形成する前記熱可塑性プラスチックと粉末として存在するプラスチックとをプラズマジェット内に供給するステップ;および
・前記プラズマジェットおよび/または前記接続エレメント(10)相互を相対的に移動させて、前記プラズマジェットを前記接続エレメント(10)の前記外面(16)全体にわたって移動させるステップを用いて、
前記被覆層(20)を前記接続エレメント(10)の前記外面(16)に被着させる、請求項6記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器、特に、圧力下にあるガスおよび/または液体、特に圧力下にある水素および/または天然ガスを収容する、自動車用の圧力容器に関する。本発明はさらに、相応の圧力容器を製造する方法に関する。
【0002】
圧力容器は、圧力下にあるガスおよび/または圧力下にある液体を貯えるために使用される。例えば既に、天然ガスによって作動する自動車において圧力容器が使用されている。さらに、圧力下にある水素によって満たされる、自動車用の圧力容器が公知である。水素は、内燃機関において酸素と一緒に燃焼すること、または燃料電池において酸素と反応して水になり、このとき得られた電気エネルギは、アキュムレータまたは電動機に供給される。
【0003】
相応の圧力容器は、大きな負荷に耐えなくてはならない。天然ガス用の圧力容器は、例えば250バールまでの圧力によって満たされる。水素用の圧力容器は、700バールまでの圧力によって満たされる。
【0004】
欧州特許出願公開第0810081号明細書(EP 0 810 081 A1)に基づいて公知の圧力容器は、接続エレメント、内側容器、および内側容器を取り囲む支持シェルを有している。接続エレメントは、スリーブ形状のネック部分および肩部分を有していて、その外面を介して内側容器の内面に結合されている。内側容器は、支持シェルに結合されていて、内側容器は、接続エレメントとの結合部の領域において接続エレメントと支持シェルとの間においてサンドイッチ状に配置されている。圧力容器は開口を有しており、この開口は、接続エレメントのスリーブ形状のネック部分によって画定されている。接続エレメントのネック部分はさらに、雌ねじ山を有しており、この雌ねじ山には、供給管路に接続可能な弁装置がねじ込まれている。
【0005】
圧力容器の変化する圧力負荷に基づいて、圧力容器は、特に接続エレメントと内側容器との結合部の領域において、特に強い負荷を受ける。さらに圧力容器は、特に事故の場合、極めて大きな負荷に耐えなくてはならない。圧力容器を接続エレメントに落下させる落下実験時に、アタッチメントエレメントと内側容器との間における結合面に大きな負荷が発生する。
【0006】
欧州特許出願公開第0810081号明細書(EP 0 810 081 A1)に基づいて公知の圧力容器では、変化する圧力負荷によって、接続エレメントと内側容器との間における結合面に大きな剪断力が加えられ、接続エレメントが比較的容易に内側容器から解離することがある。同じことが、圧力容器をアタッチメントエレメントに落下させる落下テストに対して言える。相応の落下テスト時に接続エレメントは比較的容易に内側容器から解離し、これによって、水素もしくは天然ガスが圧力容器から流出する。さらに欧州特許出願公開第0810081号明細書(EP 0 810 081 A1)に基づいて公知の圧力容器には、接続エレメントに加えられる特定のトルクの超過時に、接続エレメントが内側容器から解離し、その結果この場合においても水素もしくは天然ガスが圧力容器から流出するという問題がある。
欧州特許出願公開第2573447号明細書(EP 2 573 447 A1)に開示された圧力容器は、金属性のヘッド部材、内側容器および該内側容器を取り囲む支持シェルを有する口金を備えている。金属製のヘッド部材は、スリーブ形状のネック部分と環状のフランジとを有している。このとき環状のフランジは、表面被覆層を備えていて、この表面被覆層は、環状のフランジとプラスチックから成る結合部材との間に配置されている。プラスチックから成る結合部材と内側容器の内面との間には、さらに結合層が設けられていてよい。欧州特許出願公開第2573447号明細書(EP 2 573 447 A1)にはさらに、ヘッド部材を、サンドブラスト、円錐形の投射材によるショットブラストによって、または化学的な表面処理を用いて粗面化できることが記載されている。
【0007】
ゆえに本発明の課題は、より安定した圧力容器を提供することである。さらに本発明の別の課題は、相応の圧力容器を製造する、改善された方法を提供することである。
【0008】
この課題は、本発明によれば請求項1の特徴部に記載のように構成された圧力容器によって解決される。さらに本発明の別の課題は、請求項
4の特徴部に記載の方法によって解決される。
【0009】
より正確に言えば、本発明に係る圧力容器は、接続エレメント、内側容器および、該内側容器を取り囲む支持シェルを有している。接続エレメントは、スリーブ形状のネック部分と肩部分とを有している。さらに接続エレメントは、その外面を介して、内側容器の内面に結合されている。そして内側容器は、該内側容器が少なくとも部分的に接続エレメントと支持シェルとの間においてサンドイッチ状に配置されているように、支持シェルに結合されている。圧力容器は、接続エレメントのネック部分によって画定されている少なくとも1つの開口を有している。本発明に係る圧力容器は、接続エレメントの、内側容器に向けられた外面が、少なくとも部分的に、50μmを超える平均粗さを有していることを特徴とする。このとき接続エレメントの外面は、内側容器に向かい合って位置するように配置された面である。
さらに本発明に係る圧力容器は、接続エレメントの外面が、少なくとも部分的に、熱可塑性プラスチックから成る被覆層を備えていることを特徴とする。さらに本発明に係る圧力容器は、接続エレメントのネック部分の外面が、ネック部分の周方向に延びる少なくとも1つの環状溝を有していることを特徴とする。さらに本発明に係る圧力容器は、被覆層が、接続エレメントのネック部分の外面全体を、連続的に覆っていて、少なくとも1つの環状溝を埋めていることを特徴とする。
【0010】
平均粗さは、中心線に対する、表面における測定点の平均間隔を示す。中心線は、基準区間内において接続エレメントの有効断面を横切るので、中心線に関連した断面偏差の総和は最小になる。つまり平均粗さは、中心線からの偏差の算術平均に相当する。
【0011】
接続エレメントの外面の平均粗さは、好ましくは50μm〜1000μm、さらに好ましくは50μm〜500μm、さらに好ましくは80μm〜250μmであり、最高位に好ましくは120μmを超える値である。
【0012】
接続エレメントは、金属、特にアルミニウムから製造されていてよい。接続エレメントのスリーブ形状のネック部分には、例えば弁装置をねじ込むための雌ねじ山が配置されていてよい。
【0013】
内側容器は、好ましくはブロー成形された内側容器である。このとき内側容器は好ましくは、複数層の内側容器として形成されており、かつ例えば、HDPE(高密度ポリエチレン)製の外側層、例えばLDPE(低密度ポリエチレン)製の接着促進剤、例えばEVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)製のバリア層、例えばLDPE製の別の接着促進剤およびHDPE製の内側層を有することができる。内側容器のためのその他の層系も可能であり、その限りにおいて、内側容器の層構造に関する制限は存在しない。
【0014】
支持シェルは特に、炭素繊維強化プラスチックから形成されていてよい。好ましくは、支持シェルは、炭素繊維強化された熱可塑性プラスチックから成っている。
【0015】
内側容器はまた、ライニングおよび/または内側シェルおよび/またはライナおよび/またはインライナとも呼ぶことができる。支持シェルは、外側シェルとも呼ぶことができる。接続エレメントは、接続フランジおよび/または挿入体および/またはアタッチメントピースおよび/または極部材とも呼ぶことができる。
【0016】
50μmを超える外面の平均粗さに基づいて、接続エレメントの、内側容器と接触している表面は、増大されているので、接続エレメントはより安定的に内側容器に結合されている。接続エレメントの軸方向負荷耐性および半径方向負荷耐性は、内側容器における接続エレメントの固着力が高められていることによって、従来技術に基づいて公知の圧力容器に比べて高められている。
【0017】
熱可塑性プラスチックとしては、例えばポリエチレン、特に低密度ポリエチレン(LDPE)を挙げることができる。接続エレメントの外面を熱可塑性プラスチックによって被覆することによって、接続エレメントの外面の凹部を特に効果的に熱可塑性材料によって埋めることができ、これによって、接続エレメントもしくは接続エレメントの外面の利用できる結合面を、特に効果的に使用することができる。さらに接続エレメントの外面の被覆層は、圧力容器の内側容器との結合プロセス時に素材結合式の結合部を生ぜしめることができる。これらのことすべてによって、接続エレメントと内側容器との間における結合部はさらに強化される。
【0018】
接続エレメントの外面の平均粗さよりも薄い、熱可塑性プラスチックから成る被覆層を、接続エレメントの外面に被着すると、被着された被覆層から成る外面部分が隆起し、これによってこのような外面部分は、内側容器との接続エレメントの結合時に、素材結合式の結合部に加えて、内側容器との形状結合式の結合部を形成する。
【0019】
もちろん外面を複数の相応の環状溝を有することができる。1つまたは複数の環状溝を提供することによって、内側容器に対する接続エレメントの結合部が強化され、接続エレメントは、内側容器に対する結合部が破壊されることなしに、軸方向においてより強い負荷に耐えることができる。さらに内側容器との接続エレメントの結合部を形成するためには、接続エレメントに対して単に軸方向における力を負荷することしか必要ない。接続エレメントは、その長手方向軸線に対して並行に方向付けられた引張り力によって、熱可塑性の内側容器内において引っ張られるもしくは押圧される。
【0020】
これによって被覆層が環状溝と特に効果的に噛み合うことが保証され、その結果、内側容器の内面との被覆層の結合プロセス後には、接続エレメントと内側容器との間における結合部が破壊されることなしに、特に大きな力を接続エレメントに対して伝達することができる。被覆層は、接続エレメントの閉鎖された表面を形成する。
【0021】
好ましくは、接続エレメントの肩部分の外面は、接続エレメントの半径方向における延在成分を有する少なくとも1つの半径方向溝を有している。接続エレメントを相応に構成すると、圧力容器は、接続エレメントの回転方向負荷時により高い安定性を有する。これによって、接続エレメントを内側容器から解離させることなしに、より大きなトルクを接続エレメントに加えることができる。
【0022】
好ましくは、被覆層は、接続エレメントの肩部分の外面全体を連続的に覆っていて、かつ少なくとも1つの環状溝を埋めている。このように構成されていると、半径方向溝は、接続エレメントの半径方向負荷時により高められた力を受け止めることが可能である。さらに相応に被覆された接続エレメントは、閉鎖された被覆層表面によって改善されて、内側容器の内面に結合することができる。
【0023】
本発明の課題はさらに、接続エレメント、内側容器および、該内側容器を取り囲む支持シェルを有する圧力容器を製造する方法によって解決され、このとき本発明に係る方法は、以下の方法ステップ、すなわち:
・接続エレメントを、開放された収容位置にある複数部分から成るブロー成形型であって、閉鎖された位置において成形キャビティを形成するブロー成形型内に装入するステップ;
・収容位置にあるブロー成形型内にチューブ形状のプリフォームを押し出して、接続エレメントをチューブ形状のプリフォームによって取り囲むステップ;
・ブロー成形型を閉鎖し、プリフォームを、ブロー成形型を用いて接続エレメントの外面に圧着させるステップ;
・内側容器に対する差圧を使用することによって、閉鎖されたブロー成形型の成形キャビティ内においてプリフォームを成形するステップ;
・ブロー成形型を開放して、該ブロー成形型から内側容器を取り出すステップ
;
・内側容器を支持シェルによって取り囲むステップ
;および
・ブロー成形型内への接続エレメントの装入前に、該接続エレメントの外面を粗面化し、これによって接続エレメントの外面が少なくとも部分的に50μmの平均粗さを有するようにするステップを有する。
【0024】
本発明に係る方法は、
接続エレメントの外面の粗面化を、接続エレメントの外面への材料層の被着によって行うことを特徴とする。
【0025】
好ましくは、接続エレメントの外面の粗面化を、接続エレメントの外面への研磨性の投射材の投射によって行う。この投射材は、任意の研磨性の投射材であってよく、例えば砂(サンドブラスト)であってよい。しかしながらまた、研磨性の投射材としては、セラミック粒子、鋼粒子、鋼砂、コランダムおよびホワイトコランダムを使用することもできる。研磨性の投射材の投射を用いた外面の相応の粗面化は、特に簡単に可能であり、さらに例えば外面のエッチングに比べて、極めて危険なエッチング剤を必要としない。さらに、研磨性の投射材の投射によって、より大きな粗さを得ることができ、これによって接続エレメントと内側容器との結合強度を高めることができる。さらに、接続エレメントの外面を粗面化するために、健康および環境に対して有害な化学的なエッチング剤を必要としない。接続エレメントの外面および内側容器の内面は、緊密な形状結合式の結合部を生ぜしめる。
【0026】
被着は、例えば選択的レーザ溶融によって行うことができる。相応の粗面化方法は、種々異なった粗さを有する、接続エレメントの外面領域を所望のように得ることができるという利点を提供する。
【0027】
好ましくは、接続エレメントの粗面化の方法ステップの後でかつブロー成形型内への接続エレメントの装入前に、接続エレメントの外面を、熱可塑性プラスチックから成る被覆層によって被覆する。上において既に述べたように、接続エレメントの外面の被覆層は、接続エレメントの表面が熱可塑性材料によって効果的に覆われることを保証し、これによって、被覆層である熱可塑性材料と接続エレメントの外面との間における緊密な噛み合い部が得られる。
【0028】
接続エレメントの外面の平均粗さよりも薄い、熱可塑性プラスチックから成る被覆層を、接続エレメントの外面に被着すると、被着された被覆層から成る外面部分が隆起し、これによってこのような外面部分は、内側容器との接続エレメントの結合時に、素材結合式の結合部に加えて、内側容器との形状結合式の結合部を形成する。
【0029】
好ましくは、接続エレメントの外面に向けられたプラズマジェットを発生させ、被覆層を形成する熱可塑性プラスチックを粉末としてプラズマジェット内に供給し、かつプラズマジェットおよび/または接続エレメント相互を相対的に移動させて、プラズマジェットを接続エレメントの外面全体にわたって移動させることによって、被覆層を接続エレメントの外面に被着させる。
【0030】
この被覆方法によって、可変の被覆層厚さを実現することが可能である。また、接続エレメントの異なった外面領域に、種々異なった被覆層厚さを形成することができる。
【0031】
接続エレメントの被覆層を形成する、粉末として存在する熱可塑性プラスチックの粒子サイズは、好ましくは、1μm〜500μmのサイズ範囲、さらに好ましくは2μm〜400μm、さらに好ましくは5μm〜200μm、さらに好ましくは10μm〜100μmのサイズ範囲であり、かつ最も好ましくは20μm〜50μmのサイズ範囲である。
【0032】
粉末として存在する熱可塑性プラスチックの、プラズマジェット内への供給によって、熱可塑性プラスチックは少なくとも表面において溶融され、その結果、少なくとも部分的に溶融された熱可塑性プラスチックの衝突時に、この熱可塑性プラスチックは特に良好に接続エレメントの表面に密着し、これによって接続エレメントの外面との被覆層の特に効果的な噛合い部が得られる。プラズマジェットのためには、好ましくは例えば98.5%の窒素と1.5%の水素とから成るガスが使用される。
【0033】
接続エレメントの表面が、プラズマジェット内に供給された熱可塑性プラスチックを用いて被覆される場合には、熱可塑性プラスチックの供給前に、金属粉末、好ましくは、接続エレメントの表面が形成される材料と同じ材料から成る金属粉末を、プラズマジェット内に、注入することも可能であり、これによって金属粉末は、少なくとも部分的に溶融状体で接続エレメントの表面に衝突し、これにより平均粗さは、所望の値に高められる。
【0034】
好ましくは、接続エレメントの表面は被覆層の被着前にプラズマジェットによってクリーニングされ、このときプラズマジェットは、熱可塑性プラスチック粉末の供給なしに、接続エレメントの表面にわたって移動させられ、これにより汚れは確実に除去される。
【0035】
本発明の別の利点、詳細および特徴については、以下において図面を参照しながら述べる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係る圧力容器を断面して示す斜視図である。
【
図2】極キャップの領域における圧力容器を、支持シェルを省いて、断面して示す斜視図である。
【
図3】極キャップの領域における圧力容器を、支持シェルを省いて、断面して示す斜視図であって、接続エレメントと内側容器との結合部を示す図である。
【
図4】接続エレメントの外面に設けられた半径方向溝および環状溝と共に接続エレメントを示す図である。
【
図5】被覆層を備えた、
図4に示した接続エレメントを示す図である。
【
図6】被覆層を備えた、
図5に示した接続エレメントを断面して示す図である。
【
図7】接続エレメントをクリーニングおよび被覆する被覆装置を示す図である。
【0037】
以下の記載において同じ符号は、同じ部材もしくは同じ特徴を示すので、1つの図面に関連して行われた、部材に関する説明は、他の図面に対しても通用し、従って、説明を繰り返すことは避ける。
【0038】
図1から分かるように、本発明に係る圧力容器1は、接続エレメント10を有しており、この接続エレメント10は、圧力容器1の内側容器30に結合されている。圧力容器1はさらに、内側容器30を取り囲む支持シェル40を有している。圧力容器1は少なくとも1つの開口2を有していて、この開口2は、接続エレメント10のネック部分11によって画定されている。もちろん、本発明に係る圧力容器1は単にただ1つの開口2を有しているのではなく、圧力容器1の、反対側に位置する端部領域にも2つの開口が設けられていて、このとき互いに向かい合って位置する2つの端部領域において、2つの接続エレメント10が内側容器30に結合されているような構成も可能である。
【0039】
図1から分かるように、圧力容器1の端部領域には、キャップ50として形成された衝突保護体50が設けられている。このキャップ50は、軸方向で圧力容器1に加えられた力を大きな面積に分配する。少なくとも1つの軸方向成分を有するこのような力は、例えば事故時または圧力容器1の落下時に発生することがある。
【0040】
図1〜
図6から分かるように、接続エレメント10は、スリーブ形状のネック部分11と、このネック部分11に素材結合式に結合された肩部分13とを有している。接続エレメント10は、その外面16を介して、内側容器30の内面31に結合されている。接続エレメント10の外面16は、内側容器30に、より正確には内側容器30の内面31に結合された面である。
【0041】
図1に示すように、内側容器30は圧力容器1の開口2の領域において支持シェル40に結合されていて、このとき内側容器30は接続エレメント10と支持シェル40との間においてサンドイッチ状に配置されるようになっている。さらに特に
図1および
図2から分かるように、圧力容器1の開口2は接続エレメント10のネック部分11によって画定されている。
【0042】
接続エレメント10は、金属から製造されていてよい。本実施形態では、接続エレメント10はアルミニウムから製造されている。内側容器30は、熱可塑性材料から形成されていてよい。この熱可塑性材料は、多層構造を有することができ、このとき例えば真ん中に配置されたEVOH層が、例えばLDPE層として形成された2つの接着促進剤(Haftvermittler)を用いて、HDPEから成る2つの外側層に結合されている。外側シェル40とも呼ぶことができる支持シェル40は、繊維強化プラスチックから形成されている。特に支持シェル40はCFK(炭素繊維強化プラスチック)から形成されていてよく、このときプラスチックは好ましくは熱可塑性プラスチックである。
【0043】
圧力容器1に対する変化する圧力負荷に基づいて、接続エレメント10と、内側シェル30またはライニング30またはライナ30とも呼ぶことができる内側容器30との間における結合部は、特に安定的に構成されていなくてはならない。一方では、接続エレメントには、圧力容器1の外圧と内圧との間における圧力差によって惹起される軸方向力が伝達され、かつ他方では、圧力容器1からの接続エレメント10の弛み回転を引き起こす半径方向力が伝達される。
【0044】
接続エレメント10と内側容器30との間における結合強度を高めるために、接続エレメント10の、内側容器30に向けられた外面16は、少なくとも部分的に、50μmよりも大きな平均粗さを有している。この平均粗さは、好ましくは50μm〜1000μmの値である。外面16が粗く形成されていればいるほど、接続エレメント10の有効結合面積はより大きくなる。これによって粗面化された外面16を備えた接続エレメント10は、内側容器30の内面31とのより緊密な形状結合式の結合部を生ぜしめることができる。接続エレメント10の外面16へのなお熱可塑性状態の内側容器30もしくはなお熱可塑性状態のプリフォームの圧着時に、熱可塑性材料は接続エレメント10の粗い外面16に密着し、これにより接続エレメント10と内側容器30との間における安定した形状結合式の結合部が生じる。
【0045】
接続エレメント10の外面16は、例えば外面16への研磨性の投射材の相応の投射若しくは吹き付けによって形成することができる。例えば外面16はサンドブラストされることができる。さらに、外面16に、セラミック粒子または鋼粒子を投射すること、ならびに例えば鋼砂(Stahlkies)を投射することも可能である。研磨性の投射材を相応に投射すると、50μmを超える大きな平均粗さを有する極めて粗い外面16を生ぜしめることができる。相応に大きな平均粗さは、例えばエッチング法によっては得ることができない、または困難を伴ってしか得ることができない。さらに、エッチング法によって外面を粗面化する場合には、相応に危険な化学物質を使用する必要がある。
【0046】
さらに接続エレメント10の外面16の粗面化を、接続エレメント10の外面16への材料層の被着によって実現することが可能である。材料の被着は、例えば選択的レーザ溶融によって行うことができる。従って例えば、アルミニウム粉を、接続エレメント10の外面16に放射することができ、このとき外面16とのアルミニウム粉の接触領域において、高出力のレーザビームが放射され、これによってアルミニウム粒子は少なくともその表面において溶融し、その結果アルミニウム粒子の表面は、外面16と共に素材結合式の結合部を生ぜしめることができる。
【0047】
特に
図3および
図4から分かるように、接続エレメント10のネック部分11の外面16には、ネック部分11の周方向に延在する複数の環状溝12が形成されていてよい。さらに接続エレメント10の肩部分13の外面16には、複数の半径方向溝14が形成されていてよく、これらの半径方向溝14は、接続エレメント10の半径方向の延在成分を有している。接続エレメント10の外面16へのなお熱可塑性状態のプリフォーム30の圧着によって、熱可塑性材料は環状溝12と半径方向溝14とを埋め、これによって接続エレメント10と内側容器30との間におけるより安定的な結合部が実現される。環状溝12の提供によって、接続エレメント10と内側容器30との間における結合部を破損させることなしに、軸方向に向けられた比較的大きな力を、接続エレメント10に加えることができる。半径方向溝14によっては、接続エレメント10と内側容器30との間における結合部を破壊することなしに、接続エレメント10に対して比較的大きなトルクを伝達することができる。
【0048】
もちろん、環状溝12と半径方向溝14とを有する、
図4に示した外面16も、放射法または被着法によって粗面化することができるので、このような場合には、接続エレメント10と内側容器30との間におけるさらに強い結合部を実現することができる。
【0049】
図5および
図6から分かるように、接続エレメント10の外面16は、熱可塑性プラスチックから成る被覆層20を備えている。被覆層20の熱可塑性プラスチックは、例えばポリエチレン、特に低密度のポリエチレン(LDPE)であってよい。
【0050】
図5および
図6から分かるように、被覆層20の厚さは、全環状溝12および全半径方向溝14が被覆層20によって埋められるような大きさである。その結果被覆層20は閉鎖された表面を形成し、このような表面は、内側容器30の内面31と素材結合式に結合させることができる。接続エレメント10の外面16における被覆層20の被着によって、外面16の粗面化によって生ぜしめられた外面16の凹凸は、被覆層20の熱可塑性材料によって特に良好に埋めることができ、これによって被覆層20と接続エレメント10との間における特に緊密かつ安定した結合部が生ぜしめられる。被覆層20は、内側容器30の内面31と素材結合式の結合部を形成するので、このようにして、接続エレメント10と内側容器30との間におけるさらに安定した結合部を実現することができる。
【0051】
図7には、接続エレメント10の外面16を被覆する被覆装置100が示されている。この被覆装置100は、プラズマジェット120を発生させる被覆ヘッド110を有している。さらに被覆装置100は、ターンテーブル130を有しており、このターンテーブル130には、被覆される接続エレメント10が固定されている。被覆ヘッド110はさらに、移動テーブル上に配置されていてもよく、このようになっていると、被覆ヘッド110は、接続エレメント10の輪郭に追従することができる。
【0052】
好ましくは、接続エレメント10の外面16の被覆前に、プラズマジェット120が接続エレメント10の表面を移動することによって、外面16はプラズマジェット120によってクリーニングされる。外面16に沿ったこの移動によって、外面16から汚れが除去される。このクリーニングステップの後で、プラズマジェット120には、図示されていない供給管路を用いて、熱可塑性プラスチックが粉末として供給され、これによって粉末である熱可塑性プラスチックは、プラズマジェット120内において完全にまたは少なくとも部分的に溶融される。少なくとも表面において溶融されたプラスチック粒子は、接続エレメント10の外面16に衝突し、この外面16に密着する。プラズマジェット120および/または接続エレメント10相互の相対的な移動によって、プラズマジェット120は、接続エレメント10の全外面16を移動する。これによって外面16における閉鎖された被覆層20の被着を保証することができる。
【0053】
外面16における被覆層20の被着は、例えば外面16に沿ったプラズマジェット120の蛇行状の移動によっても実現することができる。さらにまた、被覆層をリング状の被覆軌道によって形成することも可能である。外面16に対するプラズマジェット120の移動形態に関する制限は、その限りでは存在しない。
【0054】
このようにして被覆された接続エレメント10は、開放された収容位置にある複数部分から成るブロー成形型内に装入することができ、このブロー成形型は、閉鎖された位置において成形キャビティを形成するものである。次いでチューブ形状のプリフォームを、収容位置にあるブロー成形型内に押し出すことができ、このとき接続エレメント10はチューブ形状のプリフォームによって取り囲まれる。次にブロー成形型は閉鎖され、これによってプリフォームはブロー成形型を用いて接続エレメント10の外面16に圧着させられる。このときプリフォームはなお熱可塑性の状態にあるので、プリフォームは接続エレメント10の輪郭に適合することができる。差圧を用いることによって、プリフォームは、閉鎖されたブロー成形型の成形キャビティ内において完全に成形される。ブロー成形型の開放後に、内側容器30はブロー成形型から取り出すことができ、次いで内側容器30に支持シェル40を設けることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 圧力容器
2 開口(圧力容器の)
10 接続エレメント、接続フランジ、挿入体、アタッチメントピース
11 ネック部分
12 環状溝
13 肩部分
14 半径方向溝
15 雌ねじ山
16 外面(接続エレメントの)
20 被覆層
30 内側容器、ライニング、内側シェル、ライナ、インライナ
31 内面(内側容器の)
40 支持シェル、外側シェル(繊維強化プラスチックを含有)
50 衝突保護体、キャップ
100 被覆装置
110 被覆ヘッド
120 プラズマジェット
130 ターンテーブル