(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態に係る流体提供装置]
図1は一実施形態に係る流体提供装置の模式的斜視図である。
図1に示すように、一実施形態に係る流体提供装置1は、コネクタ40が取り付けられた袋30と、袋30を保持する枠体10と、袋30から流体を吸引し吐出する吸引吐出装置20と、を備えている。以下、詳細に説明する。
【0010】
(袋30)
図2は袋の模式的斜視図である。まず、
図2を参照しつつ、袋30について説明する。
【0011】
袋30には流体が封入されている。流体は、例えば、シャンプー、リンス、洗剤、またはケチャップやマヨネーズなどの調味料などである。流体は、不飽和脂肪酸を含んだ油脂を含有するシャンプーまたはリンスであることが好ましく、特に、不飽和脂肪酸を含んだ油脂の含有量が袋30に封入される全流体量の1%以上であるシャンプーまたはリンスであることが好ましい。不飽和脂肪酸は酸化しやすいため、これを含んだ油脂を含有するシャンプーまたはリンスは、常に鮮度を保った状態(酸化していない状態)で提供されるよう、短期間で使用し尽くすことができる量(例:業務用であれば2リットル以下、家庭用であれば500ミリリットル以下)だけ袋30に封入されていることが好ましい。もっとも、このようにすると、袋30をこまめに付け替える必要があるが、本実施形態によれば、流体提供装置1の正面からでも背面からでも袋30を目視することができるため、袋30に封入されている流体の減り具合を見るために枠体10を回転させるなどの面倒な作業を利用者に強いることがない。したがって、流体の減り具合を確認する利用者の労力を低減して、利用者による袋30のこまめな付け替えを促進することができる。なお、不飽和脂肪酸とは不飽和の炭素結合を1つ以上もつ脂肪酸のことをいう。
【0012】
流体は、例えば、袋30内の空気をいったん脱気し、袋30内に空気がまったくあるいは実質的に流入しないように袋30に封入することが好ましい。これにより、流体の酸化を効果的に防止することができる。なお、後述のとおり、袋30には使い捨て形式(付け替え形式)の袋が用いられるため、流体の封入は、流体提供装置1あるいは袋30の出荷前に、工場などにおいて行なわれる。
【0013】
袋30は、自立できる形状を有していてもよいし、自立できない形状を有していてもよい。本実施形態によれば、枠体10により袋30が保持されるため、自立できない形状であっても、袋30の姿勢を安定させることができる。
【0014】
袋30には使い捨て形式(付け替え形式)の袋が用いられる。本実施形態によれば、正面からでも背面からでも袋30を目視することができるため、袋30に封入されている流体の減り具合をひと目で確認して、袋30を適切なタイミングで付け替えることができる。
【0015】
図2に示すように、袋30にはコネクタ40が取り付けられている。コネクタ40は袋30の内部と外部に開口を有する貫通孔46を備えている。貫通孔46には吸引吐出装置20のポンプ部26が挿入される。コネクタ40は、袋30を枠体10の内側に容易に位置させることができるよう、例えば、袋30の頂部に取り付けられていることが好ましい。
【0016】
コネクタ40は、ポンプ部26の挿入前は貫通孔46を封止し、ポンプ部26の挿入により封止を解除する封止弁50を有していることが好ましい。このようにすれば、袋30に封入されている流体の酸化を効果的に防止することができる。封止弁50は例えば貫通孔46内や貫通孔46の開口などに取り付けることができる。封止は、例えば、ポンプ部26の挿入により封止弁50が破壊されたり移動したりすることにより解除することができる。なお、本実施形態では、封止弁50は、ポンプ部26の挿入前は貫通孔46の開口(袋30の内部にある開口)を塞いでいるが、ポンプ部26の挿入により下方に押され、封止が解除されるよう貫通孔46の開口(袋30の内部にある開口)から離間するものとする。
【0017】
コネクタの貫通孔46は、ポンプ部26が貫通孔46に挿入された状態において、貫通孔46の内壁とポンプ部26の外壁との間に隙間がまったく存在しない形状、あるいは実質的に存在しない形状を有していることが好ましい。このようにすれば、ポンプ部26が貫通孔46に挿入されている限り、外気が袋30内にまったく進入しない、あるいは実質的に進入しないものとなる。したがって、袋30に封入されている流体の量が減ると袋30がしぼむようになるため、袋30に残っている流体の量を袋30の形状変化により確認することができる。また、流体の酸化を効果的に防止することができる。なお、一般に、袋30の形状が変化すると、袋30の姿勢が不安定になり、流体を袋30外へ取り出すことが困難になる虞がある。しかしながら、本実施形態によれば、袋30の形状が変化しても、袋30は枠体10により保持されたままであるため、袋30内に残る流体を袋30外へ容易に取り出すことができる。なお、隙間がまったく存在しない、あるいは実質的に存在しない形状とは、例えば、ポンプ部26(本実施形態ではポンプ部26が有する被挿入体26b)が貫通孔46に嵌合する形状をいう。
【0018】
コネクタ40はコネクタ40の外周壁から延伸する延伸部48を備えていることが好ましい。このようにすれば、後述のとおり、第1筒部12によりコネクタ40を保持することが容易になる。なお、延伸部48による保持は、例えば、袋30、袋30に封入されている流体及びコネクタ40に働く重力に反して、延伸部48を上向きに支持することをいう。このようにすれば、当該重力を利用して、袋30を枠体10の内側に位置させることができる。
【0019】
コネクタ40は、延伸部48の下方に、延伸部48とは別の延伸部49を備えていることが好ましい。このようにすれば、後述のとおり、延伸部48に保持されている袋30やコネクタ40が揺れたり傾いたりなどすることを防止できる。したがって、ポンプ部26をコネクタ40の貫通孔46に正確且つ容易に挿入することができる。
【0020】
袋30は、特に限定されるわけではないが、例えば、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートなどから構成される。また、コネクタ40は、特に限定されるわけではないが、例えば、樹脂材料などから構成される。
【0021】
(枠体10)
図3は枠体の模式的斜視図であり、
図4は枠体の模式的正面図であり、
図5は枠体の模式的背面図であり、
図6は枠体の模式的平面図であり、
図7は枠体の模式的側面図である。また、
図8は
図3中のA−A断面を示す図であり、
図9は
図3中のB−B断面を示す図である。さらに、
図10は枠体の内側を枠体の斜め下から見た図である。なお、
図7では第1筒部12を点線により透過的に示している。以下、
図3から
図10を参照しつつ、枠体10について説明する。
【0022】
図3から
図10に示すように、枠体10は、枠体10の内周壁から下方に向けて延伸する第1筒部12と、枠体10の外周壁から上方に向けて延伸する第2筒部14と、を備えている。枠体10、第1筒部12、及び第2筒部14は、例えば、樹脂材料を用いて射出成形により一体成型されている。
【0023】
枠体10は、例えば、上下左右に4本のフレーム10a、10b、10c、10dを有している。枠体10の角部は、角張るよう構成されていてもよいし、本実施形態のように丸みを有するよう構成されていてもよい。流体提供装置1は、左右に位置する2本のフレーム10c、10dのいずれか一方あるいは双方を握持することにより、容易に持ち運ぶことができる。このように、枠体10を用いることにより、使い勝手の良い流体提供装置を提供することができる。
【0024】
4本のフレーム10a、10b、10c、10dは、射出成形などにより一体的に形成されていてもよいし、個別に形成された後、組み合わされていてもよい。本実施形態では、前者の形式で枠体10が構成されているものとする。第1筒部12と第2筒部14は上側のフレーム10aの内周壁と外周壁にそれぞれ設けられる。なお、
図7に示すように、左右の2本のフレーム10c、10dは、平面視において、中央と端部とで異なる厚みを有していることが好ましい。
【0025】
第1筒部12と第2筒部14の外形は、特に限定されず、例えば、円筒状や角筒状などとすることができる。ただし、第2筒部14の外形は円筒状であることが好ましい。このようにすれば、取り付け部22を第2筒部14に対して螺合により接続することが容易になる。
【0026】
第1筒部12は袋30が枠体10の内側に位置するようコネクタ40を保持している。このように第1筒部12がコネクタ40を保持することにより、袋30が枠体10により保持される。
【0027】
第1筒部12は、延伸部48を含むコネクタ40の一部が通過する開口12aと、開口12aを通過して第1筒部12の中空部12cに差し込まれた延伸部48を保持する保持部12bと、を有することが好ましい。このようにすれば、第1筒部12によりコネクタ48を容易に保持することができる。また、第1筒部12の中空部12c内にコネクタ40が有する貫通孔46の開口が配置される。なお、差し込まれた延伸部48は保持部12bの上面に当接する。
【0028】
コネクタ40が延伸部48とは別の延伸部49を有する場合、当該延伸部49は、開口12aを通過することなく、保持部12bの下面に当接することが好ましい。このようにすれば、保持部12が延伸部48と延伸部49とに挟持されるため、袋30やコネクタ40が揺れたり傾いたりなどすることを防止できる。したがって、ポンプ部26をコネクタ40の貫通孔46に正確且つ容易に挿入することができる。
【0029】
第2筒部14は第1筒部12の中空部12cに連通する中空部14aを有する。第1筒部12の中空部12cと第2筒部14の中空部14aが連通することにより、枠体10の外側と内側とに開口を有する1つの貫通孔16が構成される。なお、コネクタ40が有する貫通孔46の開口は、第1筒部12の中空部12c内に位置するため、第1筒部12と第2筒部14とによる貫通孔16内に位置することになる。したがって、吸引吐出装置20のポンプ部26は、第1筒部12と第2筒部14とによる貫通孔16に挿入されることにより、コネクタ40の貫通孔46に挿入されることになる。
【0030】
第2筒部14は第2筒部14の外周壁に第1螺子部14bを有していることが好ましい。このようにすれば、後述するように、取り付け部22を第2筒部14に対して螺合により接続することができる。なお、第1螺子部14bは雄ねじにより構成することが好ましい。
【0031】
(吸引吐出装置20)
図11Aは吸引吐出装置の模式的斜視図であり、
図11Bは
図11A中のC−C断面を部分的に拡大して示す図である。
図11Bにおいては、理解を容易にするため、各種部材の図示を適宜省略している。
図11A、
図11Bに示すように、吸引吐出装置20は、第2筒部14に取り付けられる取り付け部22と、押しボタン部23と、吐出口24と、押しボタン部23が押し下げられた場合に、袋30から流体を吸引し吐出口24から吐出するポンプ部26と、を備えている。以下、
図11A、
図11Bを参照しつつ、吸引吐出装置20について説明する。
【0032】
取り付け部22は取り付け部22の内周壁に第2螺子部22aを有していることが好ましい。このようにすれば、取り付け部22の第2螺子部22aを第2筒部14の第1螺子部14bに螺合させることにより、取り付け部22を第2筒部14に容易に取り付けることができる。
【0033】
コネクタ40が有する貫通孔46の開口が第1筒部12と第2筒部14とによる貫通孔16内に位置するため、袋30を枠体10に取り付け、貫通孔16にポンプ部26を挿入しつつ取り付け部22を第2筒部14に取り付けることにより、ポンプ部26がコネクタ40の貫通孔46に挿入される。したがって、ポンプ部26をコネクタ40の貫通孔46に挿入するにあたり、コネクタ40を指や手などで挟持する必要がない。よって、コネクタ40を指や手などで挟持する場合よりも僅かな力で、且つ、正確に、ポンプ部26をコネクタ40の貫通孔16に挿入することができる。なお、第2螺子部22aは雌ねじにより構成することが好ましい。
【0034】
取り付け部22は、第2筒部14の中空部14aを覆う形状や蓋をする形状などを有していることが好ましい。このようにすれば、第2筒部14の中空部14aに塵や埃などが混入することを防止できる。
【0035】
押しボタン部23は押しボタン部23の下端側の外周壁に第3螺子部23aを備えていることが好ましく、取り付け部22は取り付け部22の上端側の内周壁に第4螺子部22bを備えていることが好ましい。このようにすれば、第3螺子部23aと第4螺子部22bとを螺合させることにより、押しボタン部23を押し下げられた状態に保持することができる。したがって、意図せずに押しボタン部23が押し下げられ、流体が吐出口24から吐出されてしまうことを防止することができる。なお、第3螺子部23aは雄ねじにより構成することが好ましく、第4螺子部22bは雌ねじにより構成することが好ましい。
【0036】
ポンプ部26は、例えば、ポンプ部本体26aと、コネクタ40の貫通孔46に挿入される中空の被挿入体26bと、吸引口26cと、を備えていることが好ましい。ポンプ部本体26aは、吸引口26cから被挿入体26b内に流体を吸引し、吸引した流体を押しボタン部23を介して吐出口24から吐出する。
【0037】
上述のとおり、ポンプ部26(被挿入体26b)は、ポンプ部26(被挿入体26b)の外壁とコネクタ40の貫通孔46との内壁との間に隙間が生じないあるいは実質的に生じない形状を有していることが好ましく、具体的には、コネクタ40の貫通孔46に挿嵌される形状であることが好ましい。
【0038】
吸引口26cの形成位置は特に限定されない。吸引口26cは、被挿入体26bの側面に形成されていてもよいし、底面に形成されていてもよい。吸引口26cの数も特に限定されない。
【0039】
ポンプ部26は、ポンプ部本体26aの一部あるいは全部がコネクタ40の貫通孔46に挿入されるよう構成されていてもよい。この場合は、ポンプ部26は被挿入体26bを有さず、吸引口26cはポンプ部本体26aに設けられる。そして、袋30に封入されている流体は、吸引口26cからポンプ部本体26aに直接吸引される。
【0040】
吸引吐出装置20は、その他、シリンダ、ピストン、押し下げられた押しボタン部23を押し下げられる前の位置に戻すバネ(図示せず)などを備えている。
【0041】
取り付け部22、押しボタン部23、吐出口24、及びポンプ部26などの吸引吐出装置20を構成する各部には、例えば、樹脂材料を用いて射出成形された樹脂成形品などを用いることができる。
【0042】
[一実施形態に係る流体提供装置1の使用例]
次に、
図12から
図17を参照しつつ、一実施形態に係る流体提供装置1の使用例について説明する。
【0043】
まず、
図12、
図13に示すように、延伸部48を含むコネクタ40の一部を開口12aから第1筒部12の中空部12cに差し込み、第1筒部12の保持部12bにより、差し込まれたコネクタ40の一部のうちの延伸部48を保持する。これにより、コネクタ40が第1筒部12により保持され、袋30が枠体10により保持される。
【0044】
次に、
図14、
図15に示すように、取り付け部22を回転させることにより、第2筒部14の第1螺子部14bと取り付け部22の第2螺子部22aとを螺合させ、取り付け部22を第2筒部14に取り付ける。これにより、吸引吐出装置20のポンプ部26(本実施形態ではポンプ部26が有する被挿入体26b)がコネクタ40に挿入される。
【0045】
次に、
図16に示すように、押しボタン部23を回転させることにより、取り付け部22と押しボタン部23の螺合を解除する。これにより、吸引吐出装置20のバネ(図示せず)が作動して、押しボタン部23が押し上げられる。
【0046】
次に、
図17に示すように、押しボタン部23を押し下げる。これにより、ポンプ部26が働き、袋30に封入されている流体が吸引され吐出口24から吐出される。
【0047】
以上説明したように、実施形態に係る流体提供装置1によれば、袋30が枠体10により保持されるため、正面からでも背面からでも袋30を目視することができる。また、流体提供装置1は、枠体10を構成する左右の2本のフレーム10c、10dのいずれか一方あるいは双方を握持することにより、容易に持ち運ぶことができる。したがって、実施形態に係る流体提供装置1によれば、正面からでも背面からでも袋30を目視することができる使い勝手の良い流体提供装置を提供することができる。
【0048】
以上、実施形態について説明したが、これらの説明は特許請求の範囲に記載された構成を何ら限定するものではない。
コネクタが取り付けられた袋を保持する枠体と、前記袋から流体を吸引し吐出する吸引吐出装置と、を備えた流体提供装置であって、前記枠体は、前記枠体の内周壁から下方に向けて延伸するとともに、前記袋が前記枠体の内側に位置するよう前記コネクタを保持する第1筒部と、前記枠体の外周壁から上方に向けて延伸し、前記第1筒部の中空部に連通する中空部を有する第2筒部と、を備え、前記吸引吐出装置は、前記第2筒部に取り付けられる取り付け部と、押しボタン部と、吐出口と、前記コネクタの貫通孔に挿入され、前記押しボタン部が押し下げられた場合に、前記袋から流体を吸引し前記吐出口から吐出するポンプ部と、を備える流体提供装置。