(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーとして自然エネルギーの利用が注目されている。例えば、太陽光発電や風力発電、地熱発電、波力発電、海流発電、潮力発電などがあり、一部のものについては、すでに商業ベースでの実用化が進んでおり、貴重な電力源として活用されている。
【0003】
上記再生可能エネルギーのうち、太陽光発電や風力発電は天候などの影響を受けやすく、発電の安定性が常に問題となる。一方、海流発電や潮力発電は、天候などの影響が少なく安定した発電を維持できるという利点がある。
【0004】
ところで、再生可能エネルギーを利用した発電では、太陽光や風、潮流などが有するエネルギーは大きいものの、そのエネルギーを電力に変換できる効率が低いという問題がある。このエネルギー変換効率(発電効率)を向上させるために、海流発電や潮力発電でも種々開発が進められている。
【0005】
海流発電や潮力発電では、海流や潮流を電力に変換するために水車が使用されるため、発電効率を向上させる上では、海流や潮流によっていかに効率良く水車を回転させるかが重要である。とくに、潮流の場合には、時間によって水流の方向が完全に逆になる場合があるため、このような水流の方向の変化が生じても、発電効率をある程度高く維持できる機構が必要である。
【0006】
海流発電や潮力発電において、発電効率をある程度高く維持するための機構が特許文献1〜3に開示されている。
【0007】
特許文献1〜3の技術では、海流や潮流を通すための筒状空間を有する構造体を設け、この構造体の筒状空間の内部に水車を配置している。そして、水車が設けられている部分に向かって、筒状空間の内部断面が小さくなるように形成しており、その部分の水流が速くなるようにしている。
【0008】
かかる構造とすれば、筒状の構造体の筒状空間内を流れる水流の方向は、筒状空間の軸方向に沿った流れとすることができる。したがって、この方向の流れに対して効率良く回転するように筒状空間内に水車を配置しておけば、発電効率を向上させることができる。
しかも、水車が設けられている部分では、水流の流速が周辺の水流等と比べて速くなっているので、水流中に水車をそのまま配置するよりも発電量を増加させることができる。
【0009】
また、特許文献3の技術では、構造体の外面形状を、その軸方向の中間からその端部に向かって広がるような形状としている。そして、特許文献3には、かかる形状とすることによって、構造体の外面を流れる水流によって筒状空間から水流が排出される端部に渦流を形成することができるので、その渦流の影響によって筒状空間内の水流を増速できる旨の記載もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかるに、特許文献1〜3の技術では、構造体の筒状空間の内部に水流を通すので、発電効率を向上させる上では、筒状空間の軸方向が水流や潮流の方向に一致するように構造体を設置しなければならない。しかし、海流や潮流の方向は一定ではなく、その方向は時間によって変化する。このため、特定の時間の海流や潮流に適するように構造体を設置した場合、他の時間において海流や潮流の方向が変化すると、発電の効率が大幅に低下する。したがって、発電の効率を安定した状態で維持するには、構造体を設置する場所を海流や潮流の方向があまり変化しない場所に限定したり、また、海流や潮流の方向にあわせて構造体を移動させることができるようにしたりしなければならない。
【0012】
また、潮流の場合には、潮の満ち引きの状況によって水流の方向が逆転するので、特許文献1〜3の技術では、このような潮流の変化に対応することができるような構造を採用している。具体的には、構造体の構造を対称形として、筒状空間に対してどちらの開口から水流が流入しても、同等の発電効率を維持できるような構造を採用している。つまり、潮流の方向が180度逆転した場合でも、同等の発電効率で発電できるような構造に形成されている。
しかし、水流の方向が逆転したときに、必ずしもその方向が180度逆転するとは限らない。すると、一方の開口から水流が流入する状況において最適な発電効率が得られるように構造体を設置しても、他方の開口から水流が流入する状況においては、同等の効率で発電できるとは限らない。
【0013】
以上のごとく、海流発電や潮力発電において、発電効率を向上させることができ、しかも、水流や潮流の流れる方向が変化しても発電効率をある程度高く維持しておくことができる機構は開発されておらず、かかる機構の開発が求められている。
【0014】
本発明は上記事情に鑑み、発電効率が向上させることができ、しかも、水流や潮流が変化しても発電効率をある程度高く維持しておくことができるエネルギー変換機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1発明のエネルギー変換機構は、水流を受けて回転する垂直軸水車と
、該垂直軸水車に供給される水流を調整する水流制御手段と
、を有するエネルギー変換セットを複数備えており、
各エネルギー変換セットの水流制御手段は、
前記垂直軸水車の周囲に該垂直軸水車の回転軸に対して回転対称となるように配置された4枚の水流制御板を有しており、該4枚の水流制御板は、その表面が前記垂直軸水車の回転軸と平行となるように配設された平板であり、
該4枚の水流制御板は、前記垂直軸水車の回転軸と直交する断面において、該水流制御板の内端縁と前記垂直軸水車の回転軸とを結ぶ内方連結線と該水流制御板の外端縁と前記垂直軸水車の回転軸とを結ぶ外方連結線のなす角度が、22.5〜67.5度となり、かつ、隣接する水流制御板間に形成される隙間が、前記垂直軸水車に向かって狭くなるように配設されており、
前記複数のエネルギー変換セットが、前記垂直軸水車の軸が互いに平行かつ一列に並ぶように配設されており、前記垂直軸水車の軸が一列に並ぶ方向において隣接するエネルギー変換セットでは、隣接する水流制御板の基端同士が該基端間に隙間ができないように連結されることを特徴とする。
第2発明のエネルギー変換機構は、第1発明において、
前記4枚の水流制御板は、前記垂直軸水車の回転軸と直交する断面において、該水流制御板の内端縁と前記垂直軸水車の回転軸とを結ぶ内方連結線と該水流制御板の外端縁と前記垂直軸水車の回転軸とを結ぶ外方連結線のなす角度が、45±10度となるように配設されていることを特徴とする。
第3発明のエネルギー変換機構は、第1または第2発明において、前記水流制御板は、前記垂直軸水車の回転軸と直交する断面において、該水流制御板の内端縁と前記垂直軸水車の回転軸とを結ぶ内方連結線が、該水流制御板の外端縁と前記垂直軸水車の回転軸とを結ぶ外方連結線よりも、前記垂直軸水車の回転方向の下流側に位置するように配設されていることを特徴とする。
第4発明のエネルギー変換機構は、第1、第2または第3発明のいずれかにおいて、前記垂直軸水車がサボニウス型水車であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1発明によれば、隣接する水流制御板間に形成される隙間が垂直軸水車に向かって狭くなるように配設されているので、水流制御手段によって垂直軸水車に向かう水流の流速を、エネルギー変換機構を設置した領域の水流よりも速くすることができる。しかも、4枚の水流制御板が内方連結線と外方連結線のなす角度が22.5〜67.5度となるように配設されている。すると、垂直軸水車に向かう水流の流路をある程度広く維持しつつ水流の流速を効果的に向上させることができ、しかも、垂直軸水車の回転に最適な水流を形成することができる。このため、垂直軸水車の回転速度を上昇させることができるから、エネルギー変換効率を高くすることができる。しかも、4枚の水流制御板が回転対称となる位置に設けられているので、エネルギー変換機構を設置した領域の水流の方向に係わらず、垂直軸水車に向かう水流を形成することができる。つまり、エネルギー変換機構を設置した領域の水流の方向に係わらず垂直軸水車を回転させて発電することができるので、エネルギー変換機構を設置する場所の自由度を高くすることができる。そして、
隣接するエネルギー変換セットによって形成される水流の影響によって、各垂直軸水車に向かう水流の流速を増速する効果を高くすることができる。
第2発明によれば、
エネルギー変換効率を高くすることができる。
第3発明によれば、垂直軸水車に向かう水流によって効果的に垂直軸水車の回転速度を上昇させることができるので、エネルギー変換効率をより高くすることができる。
第4発明によれば、垂直軸水車がサボニウス型水車であるので、水流制御板間を流れる水流による水車の回転効率を向上させることができ、エネルギー変換効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のエネルギー変換機構は、海流や潮流、波のエネルギーを変換する機構であって、エネルギー変換効率を向上させることができ、しかも、海流や潮流の流れる方向が変動したり、波のように短い周期で水が往復運動するような場合であってもエネルギー変換効率の低下を防ぐことができるようにしたことに特徴を有している。
【0019】
なお、本発明のエネルギー変換機構は、水流のエネルギーを利用して発電する発電装置のエネルギー変換機構に適しているが、水流によって水車を回転させることができる環境であれば、本発明のエネルギー変換機構を使用することは可能である。例えば、防波堤や縦桟橋などの固定された構造物に設置したり、または、フロートなどの浮体に搭載したりすることができるが、設置場所はとくに限定されない。
【0020】
また、本発明のエネルギー変換機構を防波堤や縦桟橋に設けた場合には、波のエネルギーを減衰させる効果も得られる。このため、平常時は発電による波のエネルギーを利用した発電設備として機能させつつ、荒天時などには波による災害を防ぐ防災設備としても機能させることができる。
もちろん、本発明のエネルギー変換機構は、単に波などのエネルギーを吸収する設備として使用してもよいのは、いうまでもない。
【0021】
つぎに、図面に基づいて、本実施形態のエネルギー変換機構1を説明する。
なお、以下では、エネルギー変換機構1が発電する機能を有している場合を説明する。
【0022】
図1において、符号2は、本実施形態のエネルギー変換機構1の本体部を示している。
この本体部2は、一対のフレーム3,4を備えている。この一対のフレーム3,4は、両者間に水流を流すことができる空間2hが形成されるように、互いに離間した状態で配設されている。しかも、一対のフレーム3,4は、空間2hの周囲のどの方向からでも空間2h内に水流が流入できるように設けられている。
【0023】
なお、この一対のフレーム3,4の対向する面3a,4aは、互いに平行な平坦面に形成されているが、互いに平行でなくてもよいし、平坦面でなくてもよい。しかし、一対のフレーム3,4の対向する面3a,4aを、互いに平行な平坦面とした場合には、一対のフレーム3,4間を往復流が流れるときに流れの方向にかかわらず流動抵抗を少なくできるなどの利点が得られる。
【0024】
図1および
図2に示すように、本体部2の一対のフレーム3,4間(つまり空間2h)には、垂直軸水車10が設けられている。この垂直軸水車10は、一対のプレート13,13と、この一対のプレート13,13間に設けられた2枚の回転翼12と、一対のプレート13,13の外面に立設された一対の軸11,11と、を備えている。なお、一対の軸11,11は、互いに同軸上に位置するように配設されている。以下では、一対の軸11,11の中心軸を通過する軸を、単に、垂直軸水車10の回転軸CLという(
図2(A)参照)。
【0025】
この垂直軸水車10は、その一対の軸11,11がそれぞれ一対のフレーム3,4に回転可能に取り付けられている。具体的には、垂直軸水車10は、本体部2の空間2hに流入する水流WF(
図2(B)参照)の方向に対して、その回転軸CLの軸方向が交差(好ましくは直交)するように配設されている。
【0026】
また、垂直軸水車10は、空間2hのほぼ中央部に位置するように配設されている。例えば、
図2(B)に示すように、空間2hの断面が正方形である場合には、その対角線DLの交点を回転軸CLが通過するように、垂直軸水車10は空間2h内に配設されている。
【0027】
なお、垂直軸水車10の構造はとくに限定されず、空間2h内に流入する水流によって回転するものであればよく、とくに限定されない。しかし、垂直軸水車10として、抗力型の垂直軸水車を採用する場合には、
図1、
図2に示すようなサボニウス型水車を採用することが好ましい。もちろん他の抗力型の垂直軸水車を使用することは可能であるが、サボニウス型水車を使用した場合、エネルギー変換効率が高くなる。そして、後述する水流制御手段20の水流制御板21によって空間2hに流入する水流を制御した場合に、水流制御板21の端縁近傍において水流の乱れが発生しても、その乱れの影響により回転効率が低下するなどの問題が生じにくいので、好ましい。
【0028】
図1に示すように、垂直軸水車10の一方の軸11は、その一端部がフレーム3を貫通し、フレーム3に設けられている発電手段5に連結されている。この発電手段5は、軸11の回転によって発電することができる機能を有するものである。なお、発電手段5は、軸11の回転によって発電することができるものであればよく、公知の発電機など種々の発電機を使用することが可能である。
【0029】
そして、
図1および
図2に示すように、本体部2の一対のフレーム3,4間において、垂直軸水車10の周囲には、水流制御手段20の複数の水流制御板21A〜21Dが設けられている。この水流制御板21A〜21Dは、その表面が平坦面に形成された板状の部材であり、その表面が垂直軸水車10の回転軸CLとほぼ平行となるように設けられている。
また、
図2(B)に示すように、複数の水流制御板21A〜21Dは、垂直軸水車の回転軸CLに対して回転対称となるように配設されている。しかも、隣接する水流制御板21,21の間に、垂直軸水車10に向かって狭くなるような隙間21hが形成されるように配設されている。
【0030】
以上のごとく、本実施形態のエネルギー変換機構1では、本体部2の一対のフレーム3,4間の空間2hに垂直軸水車10を配置しており、この空間2h流入する水流WFの方向に対して、垂直軸水車10の回転軸CLの軸方向が交差するように配設されている。したがって、空間2hに水流WFが流入すれば、垂直軸水車10を回転させることができるから、垂直軸水車10の回転軸11に連結された発電手段5によって発電することができるのである。
【0031】
しかも、隣接する水流制御板21,21の間に、垂直軸水車10に向かって狭くなるような隙間21hが形成されるように配設されているので、エネルギー変換機構1を設置した領域の水流よりも、垂直軸水車10に向かう水流の流速を速くすることができる。すると、水流制御手段20が設けられていない場合に比べて、垂直軸水車10の回転速度を上昇させることができるから、発電手段5による発電効率を高くすることができる。
【0032】
また、空間2hにはその周囲のどの方向からでも水流が流入できるようになっており、複数の水流制御板21も垂直軸水車10の回転軸CLに対して回転対称となるように配設されている。すると、エネルギー変換機構1を設置した領域の水流の方向に係わらず、流速を速くした水流を垂直軸水車10に供給することができる。そして、垂直軸水車10は供給される水流WFがどの方向から供給されても回転するので、どのようにエネルギー変換機構1を設置しても、エネルギー変換機構1の周囲に水流WFがあれば発電することができる。つまり、エネルギー変換機構1を設置する領域の水流WFの状態に係わらず発電が可能となるので、エネルギー変換機構1を設置する場所の自由度を高くすることができる。
【0033】
(水流制御手段20の説明)
水流制御手段20の水流制御板21A〜21Dは、上述したように、隣接する水流制御板21,21の間に、垂直軸水車10に向かって狭くなるような隙間21hが形成されるように配設されている。このような状態となるように水流制御板21を配設する方法は種々あるが、以下のように各水流制御板21を配設することが好ましい。
【0034】
(水流制御板21の傾斜について)
図3に示すように、各水流制御板21A〜21Dは、その外端縁21aと垂直軸水車10の回転軸11と結ぶ線Laに対して、その表面が傾斜するように設けられている。しかも、各水流制御板21は、線La(外方連結線La)に対して、その内端縁21bが垂直軸水車10の回転方向の下流側に位置するように配設されている。つまり、各水流制御板21の表面に沿う水流は、垂直軸水車10の回転翼12を押す力が発生するように流れるので、この水流によって効果的に垂直軸水車10の回転速度を上昇させることができる。
【0035】
とくに、隣接する一対の水流制御板21,21のうち、垂直軸水車10の回転方向の上流側に位置する水流制御板21は、その内端縁21bが、垂直軸水車10の回転軸11を含み隣接する一対の水流制御板21,21における外端縁21a間を2等分する面よりも、下流側に位置するように配設されていることが好ましい。例えば、
図3において一対の水流制御板21A,21Bであれば、上流側に位置する水流制御板21Aの内端縁21bが、垂直軸水車10の回転軸11を含みかつ水流制御板21A,21Bの外端縁21a間を2等分する面SFよりも、下流側に位置するように配設されていることが好ましい。
この場合、各水流制御板21の表面に沿う水流が、垂直軸水車10の回転を妨げる流れとなることを確実に防ぐことができるので、水流により垂直軸水車10の回転速度を上昇させる効果を確実に得ることができる。
【0036】
なお、上述したような効果を得ることができるのであれば、各水流制御板21の外方連結線Laに対する傾斜角度はとくに限定されない。しかし、垂直軸水車10の回転軸11と直交する断面において、外方連結線Laと水流制御板21の内端縁21bと垂直軸水車10の回転軸11とを結ぶ線(内方連結線Lb)とのなす角度θが、22.5〜67.5度となるように配設されていることが好ましい。角度θが、22.5度以下となると、水流制御板21によって形成される水流のうち垂直軸水車10の回転を妨げる水流となる割合が大きくなる。一方、67.5度以上となると、水流制御板21が垂直軸水車10に向かう流れに対して抵抗となってしまい垂直軸水車10に供給できる水量が少なくなってしまうからである。
したがって、内方連結線Lbと外方連結線Laのなす角度θは、22.5〜67.5度が好ましく、45±10度がさらに好ましい。
【0037】
(水流制御板21と垂直軸水車10との距離について)
また、垂直軸水車10の半径方向において、各水流制御板21の内端縁21bを配置する位置は、垂直軸水車10の回転翼21に接触しない位置であればよく、とくに限定されない。
【0038】
(水流制御板21の数)
水流制御手段20は、垂直軸水車10の周囲に設置する水流制御板21の数はとくに限定されないが、少なくとも4枚以上設けることが好ましい。一方、水流制御板21の数が多すぎると、空間2hに流入する水流の流量が少なくなるので、エネルギー変換効率が低下する。したがって、垂直軸水車10の周囲に設置する水流制御板21の枚数は、4枚以上が好ましく、4〜6枚がより好ましい。
【0039】
(複数の水流制御板21の配置について)
上記例では、複数の水流制御板21が垂直軸水車10の回転軸CLに対して回転対称となるように設置した場合を説明したが、エネルギー変換機構1を設置する領域の水流の特性に合わせて各水流制御板21毎にその姿勢を変更してもよい。例えば、流れが変化したときに流れの方向が正反対にならないような場所に設置する場合には、現場状況の観測に基づいて、各方向の水流に対して適正な角度θとなるように、各水流制御板21の姿勢を調整すればよい。
【0040】
(複数の水流制御板21の他の機能について)
上述したように、本実施形態のエネルギー変換機構1では、複数の水流制御板21によって垂直軸水車10が囲まれたようになっている。そして、複数の水流制御板21の間に形成される隙間21hは、垂直軸水車10に近づくにつれて、その間隔が狭くなっている。言い換えれば、垂直軸水車10の収容されている領域が外部に開口している面積が小さくなっている。
【0041】
このため、流木やゴミなどの漂流物や小船舶等がエネルギー変換機構1に衝突したとしても、漂流物などが垂直軸水車10に接触することを防止できる。つまり、漂流物などとの接触によって垂直軸水車10が損傷する可能性を低くすることができる。
【0042】
したがって、本実施形態のエネルギー変換機構1を海底などに設置しても、長期間安定して発電を維持することができ、漂流物などとの接触による損傷に起因するメンテナンスの頻度を低くできる。
【0043】
なお、本実施形態のエネルギー変換機構1を海底などに設置して漂流物などとの衝突を防ぎつつ、エネルギー変換効率を高く維持する上では、隙間21hの最も狭い部分の幅は垂直軸水車10の半径程度が望ましい。
また、流木やゴミなどが空間2hに侵入することを防ぐ上では、エネルギー変換機構1の周囲に網などを設けることも有効である。
【0044】
(並列式)
本実施形態のエネルギー変換機構1は、一基を単独で設置してもよいが、複数を並べて設置してもよい。つまり、本体部2と、垂直軸水車10と、水流制御手段20をエネルギー変換セットとすると、各エネルギー変換セットにおける垂直軸水車10の軸11同士が互いに平行となるように、複数のエネルギー変換セットを配設してもよい。この場合、隣接するエネルギー変換セット内で形成される水流の影響によって、垂直軸水車10に向かう水流の流速を増速する効果を高くすることができる。
とくに、垂直軸水車10の軸11が一列に並ぶように配設した場合には、より効果的に、垂直軸水車10に向かう水流の流速を増速する効果を高くすることができる。
【0045】
例えば、
図4に示すように、本体部2の一対のフレーム3,4が正方形の平板であって、4枚の水流制御板21の基端が一対のフレーム3,4の各頂点に位置し、かつ、4枚の水流制御板21が回転対称となるように配設されたエネルギー変換セットの場合を考える。この場合に、一対のフレーム3,4の一辺同士が接触し、かつ、垂直軸水車10の軸11が一列に並ぶように配設する。つまり、複数のエネルギー変換セットを並べたエネルギー変換機構1が、平面視で略長方形状になるように配置する。この場合には、隣接するエネルギー変換セットにおいて、水流制御板21の基端同士が連結された様な状態となる。かかるエネルギー変換機構1は、平面視略長方形状の長辺側が、水流に対向するように設置する。例えば、防波堤に設置した場合には、平面視略長方形状の長辺が、海岸線と略平行となるように設置する。すると、エネルギー変換機構1の各エネルギー変換セットに流入する水流は、水流が流入する側(つまり長方形の長辺側)に位置する水流制御板21によって制御増速されて垂直軸水車10に供給される。しかも、水流と平行な側面(つまり平面視略長方形状の短辺)には隣接するエネルギー変換セットが設けられているので、この隣接するエネルギー変換セット内の水流の影響により、垂直軸水車10に供給される水流を増速する効果はより高くなる。したがって、各エネルギー変換セットの垂直軸水車10の軸に上述したような発電手段5を設けておけば、発電効率をさらに高くすることができる。
【実施例1】
【0046】
水車の周囲に水流制御手段を設けたことによって、どのようにエネルギー変換効率が変化するのかについて確認した。
【0047】
実験では、サボニウス型の水車の周囲に水流制御板を設けた装置を水路内に設置し、水路に水流を形成して、水車の回転数と負荷トルクを測定し、水車の回転数と負荷トルクに基づいて水車の動力特性とトルク係数を算出した。
【0048】
水車の動力特性として、周速比λに対する動力係数Cpの変化特性を調べることによって、水流エネルギーの取得効率を確認した。
また、周速比λに対するトルク係数Crの変化特性を調べることによって、水車の特性を確認した。
なお、動力係数Cp、トルク係数Crおよび周速比λは以下の式に基づいて算出した。
動力係数:Cp=T
tω/(0.5ρu
3(2RH))
トルク係数:Cr=T
t/(0.5ρu
2(2RH)R)
周速比 :λ=Rω/u
T
t:時刻tにおいて測定された負荷トルク
R:水車の半径
ω:水車回転軸の回転角速度
H:回転翼の回転軸方向の長さ
u:流体の速度
2RH:水車が水流に対して占める断面積
【0049】
実験には、いずれもサボニウス型水車(回転翼の回転軸方向の長さH=300mm、直径120mm、回転翼の外径70mm)を有する装置を使用した。そして、サボニウス型水車の周囲に水流制御板を設置した装置(
図5に示す3種類)と、水流制御板が無い装置の4種類の装置について、測定を行った。
なお、
図5の装置(C)が、本発明のエネルギー変換機構の水流制御板に相当する「渦流型流向制御板」を設置した装置である。この
図5の装置(C)は、その横断面が実質的に
図3と同様の構造を有しており、
図3における角度θが45度となるように水流制御板を設置している。
【0050】
水車の回転数と負荷トルクは、水車の軸に取り付けられた、トルクメータ(小野測器製トルク検出器、型番:DP005)により測定した。測定では、トルクメータの負荷側に電気磁気ブレーキを作用させて、水車の回転数と負荷トルクを同時に測定した。
【0051】
使用した水路は幅500mmの水路であり、この水路に水深h=0.44mとなるように水を流した。なお、装置は水路内の幅方向の中央に設置した。
【0052】
結果を
図6および
図7に示す。
図6に示すように、周速比に係わらず、本発明のエネルギー変換機構の水流制御板に相当する「渦流型流向制御板」(以下、単に「渦流型流向制御板」という)を設置した装置の動力係数が高くなっていることが確認できる。各条件における動力係数の最高値を比較しても、「渦流型流向制御板」を設置した装置では、水流制御板を設けない場合に比べて10倍程度、他の形状の水流制御板を設けた場合と比べても約2倍以上となっており、水流エネルギーの取得効率が非常に高くなっていることが確認できる。
【0053】
また、
図7に示すように、周速比に係わらず、トルク係数も、「渦流型流向制御板」を設置した装置が高くなっていることが確認できる。各条件における最高のトルク係数を比較しても、「渦流型流向制御板」を設置した装置では、水流制御板を設けない場合に比べて8倍程度、他の形状の水流制御板を設けた場合と比べても約2倍以上となっており、水車の特性が向上していることが確認できる。
【0054】
以上の結果より、本発明のエネルギー変換機構のように水流制御板を設置することによって、動力係数およびトルク係数が高くなっていることから、本発明のエネルギー変換機構のように水流制御板を設置することによってエネルギー変換効率を向上させることができることが確認できた。
【実施例2】
【0055】
本発明のエネルギー変換機構のように水流制御板を設置した場合において、水流制御板の設置角度が負荷トルクおよび仕事率に与える影響を確認した。
【0056】
実験は、実施例1と同様の方法によって行った。
実験では、
図5の装置(C)において、角度θを0、22.5、45,67.5、90度、と変化させた。なお、水流制御板は、水流制御板と水車との接触を防ぐために、角度θの変化とともにその長さも変化させている。各角度における水流制御板の長さは、0度(90mm)、22.5度(98mm)、45度(130mm),67.5度(147mm)、90度(174mm)である。
【0057】
結果を
図8に示す。
図8に示すように、角度θを変化させると、負荷トルクおよび仕事率が変化し、45度の条件(つまり130mmの条件)が最も動力係数およびトルク係数が大きくなっていることが確認された。
また、22.5度と67.5度の場合には、45度と比べて大きな差はなかったのに対し、0度および90度の場合には、負荷トルクが小さくなり、仕事率は低下している。
以上の結果より、角度θを変化させることによって、負荷トルクおよび仕事率が変化し、角度θを22.5〜67.5度とすれば、負荷トルクを大きくでき、仕事率を向上させることができることが確認された。