特許第6189027号(P6189027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6189027-接離機構 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189027
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】接離機構
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20170821BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20170821BHJP
   F16H 21/44 20060101ALI20170821BHJP
   F16H 19/06 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G03G15/16 103
   G03G15/00 550
   F16H21/44 Z
   F16H19/06
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-231618(P2012-231618)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-85376(P2014-85376A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165136
【氏名又は名称】桂川電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲之助
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−163051(JP,A)
【文献】 特開平09−281811(JP,A)
【文献】 特開2007−286382(JP,A)
【文献】 特表2011−520656(JP,A)
【文献】 特開平02−190872(JP,A)
【文献】 米国特許第6002891(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00− 15/02
G03G 15/16
G03G 21/16
F16H 19/00− 19/08
F16H 21/00− 21/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像を担持する像担持体と、
前記像担持体に接触するように転写部を形成する転写ローラと、
前記転写部において前記転写ローラに接触し、像担持体に形成された像を転写する記録媒体と、
前記転写ローラが取り付けられた取付部材と、
第一駆動手段と、一端が前記第一駆動手段に連結されたロッドであって、前記第一駆動手段の回転力を直線運動に変換する変換手段とからなり、前記記録媒体と前記像担持体との間隔を所定距離となるように、前記転写ローラの配置高さを設定する第一調整手段と、
前記取付部材に取り付けられ、前記転写ローラの配置位置の微調整を行う第二調整手段と、
前記取付部材の動きを規制する規制手段と、
前記第一調整手段と前記取付部材と前記変換手段とを連結する連結手段とを有し、
前記連結手段は、略三角形状からなり、該連結手段の頂部と取付部材の頂部を軸支する第1ピンと、第一調整手段の一端を連結する第二ピンと、前記取付部に連結する第三ピンと、前記転写ローラを前記像担持体側に付勢させ、前記規制手段が当接部に突き当たった場合に生じる振動を吸収する付勢手段とからなり、
前記第一駆動手段は、第一駆動軸と、該第一駆動軸の駆動力を、前記変換手段に伝達する第一伝達手段とからなり、
前記第一伝達手段は、薄板の円盤部材であって、偏心した位置において前記第一駆動軸と連結され、前記第一駆動軸の回転を伝達し、且つ前記変換手段の一端と連結されてなり、
前記第一伝達手段と前記ロッドと前記第一駆動軸とにより、リンク機構を構成し、
前記第二調整手段は、前記取付部材の一端側に取付られた第二駆動手段と、該第二駆動手段の駆動力を伝達する第二伝達手段とからなり、前記第二駆動手段は、第二駆動源と第二駆動軸とからなり、前記第二伝達手段は、前記第二駆動軸に連結した駆動ローラと、前記転写ローラに対して偏心して配置された従動ローラと、駆動ローラと従動ローラとに張架されたベルトとからなり、
前記従動ローラの回転により、前記転写ローラに接離させて、前記転写ローラとの間に一定の隙間を形成し、記録媒体を搬送した場合に生じる振動を前記付勢手段により吸収することにより、隙間の
微調整を行うことを特徴とする接離機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面が凹凸を有する記録媒体、特に、紙、フィルムまたは天然や人造の布帛、織物、不織物等と現像剤像担持体のベルトとの間隔を所定距離となるように転写ローラを配置位置に設定する接離機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙、フィルムまたは天然や人造の布帛、織物、不織物、編み物(ニット)等の表面に凹凸を有する記録媒体に、画像を記録する装置として、特許文献1、2および3がある。
【0003】
特許文献1、2は、特許文献1の図2、特許文献2の図1に示すように、予め、記録媒体となる布帛が巻きつけられた巻付けローラと、巻付けローラから繰出された布帛を巻き取る巻取りローラとにより、布帛をインクジェットヘッドに搬送して、布帛にインクを吐出して、布帛に画像を形成するものである。
【0004】
特許文献1の構成は、インクを記録媒体に塗布する構成であるため、インクジェットヘッドと記録媒体との間に隙間が必要となる。また、記録媒体の特性、例えば、編み物(ニット)のように凹凸があるものは、記録媒体の表面上に色むらや歪んだ画像が出力されてしまい、品質の低下が生じてしまうという問題があった。
【0005】
このため、特許文献2の図3に示すように、凹凸が生じないように記録媒体を均一に引っ張る構成がある。しかし、記録媒体が幅広の場合には、巻出しローラおよび巻取りローラが幅方向に長くなるため、巻出しローラおよび巻取りローラの撓み、搬送時に生じる記録媒体の伸縮が発生し、これらを調整することが難しい。
【0006】
この問題を解決するために、特許文献3がある。特許文献3の構成は、第12図および第13図に示すように、レ−ザ発振器1よりのレ−ザビ−ム12はハ−フミラ−101によって2本のビ−ムに分割され、一方のみが変調器3でコンピユ−タからの画像情報出力により変調され、固定鏡102によって光路を曲げられた他方のビ−ムと回転鏡5の同一面で反射され各々検出用ビ−ム103と露光用ビ−ム12として走査される。
【0007】
検出面ビ−ム103はさらに固定鏡104によって複数個のビ−ム検出器18の受光方向に曲げられる。検出用ビ−ム103は各ビ−ム位置検出器18によりビ−ム位置信号となり、変調器3への入力信号のタイミングを矯正し質のよい静電潜像を形成し、これによりトナー像を布帛上に転写しこれを固着させる。
【0008】
【特許文献1】特開平7−101121号公報
【特許文献2】特開2009−235588号公報
【特許文献3】特開昭52−18983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献3は、第18図に示すように、転写ローラ(117、117´)により、記録媒体をドラム(D、D´)に押圧する構成であるため、記録媒体の特性に対応して、画像出力の品質を一定にすることが難しい。
【0010】
例えば、記録媒体が、サテンやシルクのように表面が平滑なものは、転写ローラ(117、117´)に記録媒体をドラム(D、D´)に押圧することが品質を高められる。
【0011】
さらに、記録媒体が、編み物(ニット)のように凹凸があるものは、転写ローラ(117、117´)とドラム(D、D´)との間に記録媒体を押圧した場合、記録媒体の凹部分が隙間となって、その部分の現像剤の転写(記録媒体に現像剤が付着する状態)が悪くなる。この結果、記録媒体の凹部部分は鮮明さが欠け、記録媒体に転写された画像の品質が低下してしまう。
【0012】
このような記録媒体は、ドラム(D、D´)から記録媒体の凹部に現像剤を埋め込んで、記録媒体表面上に現像剤を均一に転写して、問題を解決するという点から、転写ローラ(117、117´)とドラム(D、D´)との間に一定の隙間を形成することが望ましい。
【0013】
このため、記録媒体の特性に応じて、記録媒体を転写ローラと像担持体と間に押圧したり、転写ローラと像担持体との間に一定の隙間を形成したりする構成が必要となる。また、この隙間は、記録媒体の特性によって変化しやすく、僅かな隙間の変化で、転写効率が変動してしまう。このため、隙間の微調整も必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の問題を解決するために、本発明の請求項1記載の発明は、像を担持する像担持体と、前記像担持体に接触するように転写部を形成する転写ローラと、前記転写部において前記転写ローラに接触し、像担持体に形成された像を転写する記録媒体と、前記転写ローラが取り付けられた取付部材と、第一駆動手段と、一端が前記第一駆動手段に連結されたロッドであって、前記第一駆動手段の回転力を直線運動に変換する変換手段とからなり、前記記録媒体と前記像担持体との間隔を所定距離となるように、前記転写ローラの配置高さを設定する第一調整手段と、前記取付部材に取り付けられ、前記転写ローラの配置位置の微調整を行う第二調整手段と、前記取付部材の動きを規制する規制手段と、前記第一調整手段と前記取付部材と前記変換手段とを連結する連結手段とを有し、前記連結手段は、略三角形状からなり、該連結手段の頂部と取付部材の頂部を軸支する第1ピンと、第一調整手段の一端を連結する第二ピンと、前記取付部に連結する第三ピンと、前記転写ローラを前記像担持体側に付勢させ、前記規制手段が当接部に突き当たった場合に生じる振動を吸収する付勢手段とからなり、前記第一駆動手段は、第一駆動軸と、該第一駆動軸の駆動力を、前記変換手段に伝達する第一伝達手段とからなり、前記第一伝達手段は、薄板の円盤部材であって、偏心した位置において前記第一駆動軸と連結され、前記第一駆動軸の回転を伝達し、且つ前記変換手段の一端と連結されてなり、前記第一伝達手段と前記ロッドと前記第一駆動軸とにより、リンク機構を構成し、前記第二調整手段は、前記取付部材の一端側に取付られた第二駆動手段と、該第二駆動手段の駆動力を伝達する第二伝達手段とからなり、前記第二駆動手段は、第二駆動源と第二駆動軸とからなり、前記第二伝達手段は、前記第二駆動軸に連結した駆動ローラと、前記転写ローラに対して偏心して配置された従動ローラと、駆動ローラと従動ローラとに張架されたベルトとからなり、前記従動ローラの回転により、前記転写ローラに接離させて、前記転写ローラとの間に一定の隙間を形成し、記録媒体を搬送した場合に生じる振動を前記付勢手段により吸収することにより、隙間の微調整を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、転写ローラに接触し、像担持体に形成された像を転写する記録媒体と、転写ローラが取り付けられた取付部材と、記録媒体と像担持体との間隔を所定距離となるように転写ローラを配置位置に設定する第一調整手段と、取付部材に取り付けられ、転写ローラの配置位置の微調整を行う第二調整手段と、取付部材の動きを規制する規制手段と、第一調整手段と取付部材とを連結する連結手段とからなる。
【0019】
さらに、連結手段を、略三角形形状とし、該連結手段の頂部と取付部材の頂部を軸支する第一ピンと、第一調整手段の一端を連結する第二ピンと、取付部に連結する第三ピンと、転写ローラを像担持体側に付勢させる付勢手段とにより構成することにより、簡単な構成で、記録媒体の特性に応じて、記録媒体を転写ローラと像担持体と間に押圧したり、転写ローラと像担持体との間に一定の隙間を形成したりすることができる。
【0020】
また、第二調整手段を、取付部材の一端側に取り付けられた第二駆動手段と、該第二駆動手段の駆動力を伝達する第二伝達手段とから構成する。第二駆動手段を第二駆動源と第二駆動軸とし、第二伝達手段は、第二駆動軸に連結した駆動ローラと、転写ローラに対して偏心して配置された従動ローラと、駆動ローラと従動ローラとに張架されたベルトとからなる。この従動ローラの回転により、転写ローラに接離させて、転写ローラの配置位置の微調整を行うことにより、僅かな隙間の変化に対応して、隙間の微調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の接離機構を適用した装置の概略図。
図2図1の矢視を拡大図であり、本発明の接離機構の概略図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、本発明の接離機構を適用した画像形成装置の概略図を示す。
【0023】
この装置は、繰出部Cにより記録媒体Pを繰り出し、繰り出された記録媒体Pを搬送部Dにより画像形成部Eに送って、次いで、転写部Iにより記録媒体Pに画像を転写し、その後、記録媒体Pに転写された画像を定着部Hで定着して、巻取部Gにより記録媒体Pを巻き取るものである。記録媒体Pは、紙、フィルムまたは天然や人造の布帛、織物、不織物、編み物(ニット)等の表面に凹凸を有するものである。
【0024】
繰出部Cと定着部Hと間は、記録媒体Pの引っ張り力が一定となるように調整されている。具体的には、繰出部Cに、一対のローラのグリップ力(F)よりも強い力(F1)が加わるようになると、搬送される記録媒体Pが定着部H側に引っ張られ、この記録媒体Pに強いテンションが作用するように調整されている。
【0025】
この状態を、検知手段(図示せず)を介して制御手段(図示せず)が検知すると、制御手段は、繰出部Cの記録媒体Pの繰出し量(速度)を多く(速く)することにより、記録媒体Pの引っ張り力を一対のローラのグリップ力(f)となるように構成されている。
【0026】
巻取部Gは、画像が定着された記録媒体Pを巻き戻すものである。また、繰出部Cと同様に、巻取部Gも、定着部Hの記録媒体Pの引っ張り力が一定となるように構成されている。
【0027】
この場合、巻き戻される記録媒体Pに強いテンションが作用し、一対のローラのグリップ力(f)よりも強い力(f2)が加わるようになると、繰出部Cの記録媒体Pの巻戻し量(速度)を少なく(遅く)することにより、記録媒体Pの繰出部Cの記録媒体Pの巻戻し力を一対のローラのグリップ力(f)となるように構成されている。このように、記録媒体Pの搬送は、定着部Hのグリップ力、搬送速度を基準として、繰出部Cおよび巻取部Gの調整が行われている。
【0028】
搬送部Dは、繰出部Cから繰出された記録媒体Pを、転写部Iおよび定着部Hに搬送するものである。搬送部Dは、ループ状のベルトD10(無端ベルト)と、駆動ユニットD20と、従動ローラD30とからなる。
【0029】
搬送部Dは、図示しない筐体に取り付けられ、駆動ユニットD20と従動ローラD30とにより、ベルトD10に張力が張った状態で架け渡されている。駆動ユニットD20は、二つのローラからなり、一方のローラ側には後に述べる吸着部D40が設けられている。
【0030】
ベルトD10には、吸着部D40と除電部D50とが配置されている。吸着部D40は、所定の電圧で印加して、記録媒体Pを搬送部DのベルトD10に吸着するものであり、繰出部C側に配置されている。吸着部D40は、記録媒体PをベルトD10上に保持させた状態で、画像形成部Eおよび定着部H側に、記録媒体Pを移動させるとともに、ベルトD10上で記録媒体Pの皺を延ばす。
【0031】
除電部D50は、画像(現像剤像担持体E20に形成された現像剤像)が転写された記録媒体Pを定着部Hに搬送される際に、ベルトD10から記録媒体Pが分離しやすいようにするとともに、この画像が壊れないように除電を行うものである。
【0032】
このため、除電部D50は、ベルトD10に吸着した記録媒体PがベルトD10から分離する部分、つまり、従動ローラD30の上方に配置されている。除電部D50は、コロナ帯電器であり、コロナワイヤD51とコロナワイヤD51を覆うコロナハウスとD52からなり、所定のバイアスが印加されている。
【0033】
画像形成部Eは、記録媒体Pに転写する画像を形成するものである。画像形成部Eは、各色に対応した画像形成手段E10と、各画像形成手段E10で形成された像を転写部I側に搬送する現像剤像担持体E20とからなる。
【0034】
画像形成手段E10は、上から順に、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBKが並列に配置されている。像担持体E11の周囲に、像担持体E11上の残留電荷を除去する除電手段(図示せず)と、像担持体E11の表面を特定極性に帯電する帯電手段(図示せず)、帯電された像担持体E11の静電潜像を形成する露光手段(図示せず)と、像担持体E11の表面に形成された静電潜像を現像剤により現像する現像装置E12とからなる。
【0035】
各色のトナーの供給はトナーカートリッジにより行われる。なお、この実施の形態では、各色の混色が生じたとしても、余り目立たないようにするために、現像剤の搬送方向の順に、垂直に、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBK順に配置されているが、これに限定されることはなく、ブラックBK、シアンC、マゼンタM、イエローYとしてもよい。
【0036】
現像剤像担持体E20は、像担持体Aに相当するものでああり、各色の画像形成手段E10で形成された現像剤像を記録媒体P側に搬送するものである。現像剤像担持体E20は、ループ状のベルトE21(無端ベルト)と、駆動ユニットE22と、従動ローラE23と、近接ローラE24とからなる。
【0037】
駆動ローラE22と従動ローラE23と近接ローラE24とによって、ベルトE21は、張力がかかった状態で掛け渡されている。ベルトE21内には、各色の画像形成手段E10(Y、M、C、Bk)に対応した転写手段(Y、M、C、Bk)が配置されている。
【0038】
駆動ユニットE20は、四つのローラからなる。近接ローラE24は、駆動ユニットE20の二つのローラ間に設けられ、ベルトE21に各色の転写手段(Y、M、C、Bk)によりされた現像剤像が記録媒体Pに転写されやすいように、転写部I側に突出している。
【0039】
転写部Iは、現像剤像担持体E20に転写された現像剤像を記録媒体Pに転写するものであり、図示しない筐体に取り付けられている。転写部Iは、転写ローラBと、この転写ローラBを支持する本発明の接離機構とからなる。
【0040】
転写ローラBは、ベルトD10の裏面に常時接触して、記録媒体Pを現像剤像担持体E20のベルトE21に近接し、記録媒体Pに、直流成分または直流成分に交流成分を重畳した転写バイアスを印加する電源700に接続されている。
【0041】
図2に示すように、接離機構は、一対の組からなり、取付部材100と第一調整手段200と第二調整手段300と規制手段400と連結手段500とからなる。
【0042】
取付部材100は、薄板状の部材からなり、中央の頂部110が軸支され、頂部110から見た一端が転写ローラBに連結され、他端が後に述べる第二調整手段300の第二駆動手段310が取り付けられている。さらに、取付部材100の一端側には、後に述べる規制手段400に当接する当接部120が設けられている。
【0043】
第一調整手段200は、後に述べる第二調整手段300を所定の高さに移動するものである。
【0044】
第一調整手段200は、第一駆動手段210と、この第一駆動手段210の回転力を直線運動に変換する変換手段220とからなる。さらに、第一駆動手段210は、第一駆動手段210に接続された第一駆動軸230と、この第一駆動軸230の回転を伝達する第一伝達手段240とからなる。
【0045】
第一伝達手段240は薄板の円盤部材からなり、偏心した位置に、第一駆動軸230に取り付けられている。第一伝達手段240には、後に述べる変換手段220が設けられている。
【0046】
変換手段220は、先に述べたように、第一駆動手段210の駆動を第一伝達手段240に伝達し、第一伝達手段240の回転を直線運動に変換するものである。変換手段220は、一端が第一駆動手段210に連結され、他端が連結手段500に連結されたロッドからなる。
【0047】
この第一伝達手段240とロッド220と第一駆動軸230とにより、リンク機構が構成される。この構成により、第一駆動軸230を介して第一伝達手段240を回転させると、変換手段220が矢印a方向にシフトし、取付部材100の自重および付勢手段600の付勢力により、頂部110を中心として矢印b方向に取付部材100が揺動し、第二調整手段300が所定の高さに移動する。なお、この第二調整手段300の移動は、規制手段400に当接部120が当接するまで行われる。
【0048】
この状態から、さらに、回転すると(図2の状態に戻る)と、変換手段220が矢印a方向とは逆方向にシフトして、変換手段220の他端が連結手段500を突き上げて、規制手段400と当接部120との当接が解除し、第二調整手段300を所定の高さから下方に移動する。
【0049】
連結手段500は、薄板状の部材を略三角形形状にしたものであり、頂部510は第一ピン511により取付部材100の頂部110と一緒に軸支され、一端は第二ピン513により、変換手段220の他端に連結され、他端は第三ピン512により取付部材100に連結されている。



【0050】
連結手段500には、取付部材100を近接ローラE24側に付勢する付勢手段600を収容する収容部520が設けられている。また、収容部520と向かい合う取付部材100位置には付勢手段600を受ける受台130が設けられている。
【0051】
付勢手段600は、後に述べる第二調整手段により転写ローラBを所定位置となるように設定した後、第一調整手段200により、取付部材100を所定の高さに移動した時、またはベルトD10に記録媒体を搬送時に生じるショックを吸収するものである。
【0052】
第二調整手段300は、転写ローラBの配置位置、すなわち記録媒体Pと現像剤像担持体E20のベルトE21との間隔を所定距離の微調整を行うものであり、第二駆動手段310と第二伝達手段320とからなる。
【0053】
第二調整手段300は、取付部材100の一端側に取り付けられた第二駆動手段310と、第二駆動手段310の駆動力を伝達する第二伝達手段320とからなる。第二駆動手段310は、第二駆動源311と第二駆動軸312とからなり、第二伝達手段320の駆動ローラ321に直結されている。
【0054】
第二伝達手段320は、第二駆動軸312に連結した駆動ローラ321と、転写ローラBに連結した従動ローラ322と、駆動ローラ321と従動ローラ322とに張架されたベルト323とからなる。
【0055】
従動ローラ322は転写ローラBに取り付けられている。従動ローラ322の偏心した位置に連結軸330が設けられている。転写ローラBは連結軸330に軸支されている。この構成により、従動ローラ322の回転に伴い、転写ローラBが上下に変位(矢印c)し、記録媒体Pと現像剤像担持体E20のベルトE21との間隔の微調整が行われる。
【0056】
さらに、ベルトの張架はテンションローラで調整されている。テンションローラは、取付部材100に設けられた調整溝140に沿って移動させて、ベルトの張架の調整を行う。
【0057】
なお、記録媒体Pと現像剤像担持体E20のベルトとの間隔は、図示しない検知手段により検知し、この検知結果に基づいて、第二調整手段300を作動させて、この間隔を所定距離となるように調整する。また、記録媒体Pと現像剤像担持体E20のベルトE21との間隔は、記録媒体Pの特性に応じて決められている。
【0058】
以上の構成のもと、本発明の接離機構の動作を説明する。なお、この動作は、第二調整手段300、第一調整手段200の順で作動する。
【0059】
先ず、第二駆動源311を作動させて、第二駆動軸312を回転させる。この回転は、駆動ローラ321に伝達され、ベルトが矢印d方向に回転する。さらに、ベルトの回転に伴って従動ローラ322が回転する。
【0060】
駆動ローラ322は、転写ローラBに偏心した状態で直結しているため、転写ローラBは、矢印方向cにシフトする。この動作により、転写ローラBの所定位置の設定が完了する。
【0061】
この設定は、後に述べる第一調整手段200により、頂部110を支点として矢印b方向に、取付部材100が揺動した時に、転写ローラBが現像剤像担持体E20のベルトE21に近づくまたは当接(押圧)する方向にシフトするようになっている。
【0062】
次いで、第一駆動手段210を駆動して、第一駆動軸230の回転を第一伝達手段240に伝達する。第一伝達手段240に伝達された第一駆動軸230の回転は、変換手段220に伝達される。この時、変換手段220(ロッド)の一端が、第一駆動軸230から見て偏心した位置に軸支されているため、リンク機構として作動する。
【0063】
第一伝達手段240が矢印方向に回転すると、変換手段220が所定の位置から矢印a方向(前進)または逆矢印a方向(後退)する。
【0064】
この動作により、第一伝達手段240が所定の位置から矢印a方向(前進)した場合、変換手段220は矢印a方向に作動し、規制手段400に当接部120が突き当たるまで、取付部材100は矢印b方向に揺動し、所定の高さまで第二調整手段300(取付部材100)が移動する。
【0065】
この時、規制手段400に当接部120が突き当たった時に生じるショックは、付勢手段600により吸収される。
【0066】
さらに、変換手段220が所定の位置から逆矢印a方向(後退)した場合、頂部110を支点として取付部材100が逆矢印b方向(転写ローラBが現像剤像担持体E20のベルトE21から離れる方向)に揺動する。
【0067】
以上のように、第一調整手段200と第二調整手段300という簡単な構成で、記録媒体Pの特性に応じて、記録媒体Pを転写ローラBと現像剤像担持体E20のベルトE21と間に押圧したり、転写ローラBと現像剤像担持体E20のベルトE21との間に一定の隙間を形成したりすることができる。
【0068】
特に、第二調整手段300により、ベルトD10に記録媒体Pを載置したした時に生じるベルトD10の沈みや、表面の凹凸の差がある記録媒体Pを搬送した場合に生じる振動を付勢手段600により吸収することにより、記録媒体Pの特性に応じて生じる僅かな変化に対応して、隙間の微調整を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
100 取付部材
200 第一調整手段
300 第二調整手段
400 規制手段
500 連結手段
A 像担持体(E20 現像剤像担持体)
B 転写ローラ
P 記録媒体
図1
図2