(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189030
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】永久磁石式回転電機、回転子、及び固定子
(51)【国際特許分類】
H02K 1/27 20060101AFI20170821BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20170821BHJP
H02K 1/04 20060101ALI20170821BHJP
H02K 21/16 20060101ALI20170821BHJP
H02K 1/16 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
H02K1/27 501M
H02K1/27 501K
H02K1/27 501A
H02K1/22 A
H02K1/04 Z
H02K21/16 M
H02K1/16 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-240563(P2012-240563)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-90638(P2014-90638A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 真琴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 則雄
(72)【発明者】
【氏名】橋場 豊
(72)【発明者】
【氏名】三須 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹内 活徳
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 寿郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 耕二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康人
【審査官】
森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−226785(JP,A)
【文献】
特開2012−105410(JP,A)
【文献】
特開2006−325297(JP,A)
【文献】
特開2005−168153(JP,A)
【文献】
特開2010−220324(JP,A)
【文献】
特開2005−130604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00−1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子鉄心に電機子巻線を有する固定子と、
前記固定子内に回転可能に配置される回転子鉄心に永久磁石を埋設し、前記回転子鉄心の外周に複数の磁極部を有する回転子と、
前記回転子鉄心の外周の少なくとも前記磁極部の中心位置の近傍を起点として前記磁極部とその隣り合う磁極部との中心位置に向かう方向の所定区間において所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気劣化部と、
を備え、
前記磁気劣化部は、前記磁極部の中心位置に近づくほど薄く、前記磁極部間の中心位置に近づくほど厚く形成され、
前記磁気劣化部の磁気特性は、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、前記回転子鉄心の磁気特性よりも劣化している、永久磁石式回転電機。
【請求項2】
前記磁気劣化部は、前記回転子鉄心の外周において前記複数の磁極部の中心位置から所定幅を除いた範囲に形成される、
請求項1に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項3】
電機子巻線を収納する固定子スロットに挟まれた固定子ティースを固定子鉄心の内周に有する固定子と、
前記固定子内に回転可能に配置される回転子鉄心に永久磁石を埋設し、前記回転子鉄心の外周に複数の磁極部を有する回転子と、
前記固定子ティースの前記回転子に面する先端部の全部又は一部において所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気劣化部と、
を備え、
前記磁気劣化部は、前記先端部の中心位置に近づくほど薄く、前記先端部の両端に近づくほど厚く形成され、
前記磁気劣化部の磁気特性は、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、前記固定子鉄心の磁気特性よりも劣化している、永久磁石式回転電機。
【請求項4】
前記磁気劣化部は、前記先端部の両端に形成される、
請求項3に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項5】
前記磁気劣化部は、機械的圧力の印加、局部加熱、レーザーピーニングによる応力で形成される、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の永久磁石式回転電機。
【請求項6】
固定子内に回転可能に配置される回転子鉄心に永久磁石を埋設し、前記回転子鉄心の外周に複数の磁極部を有し、前記回転子鉄心の外周の少なくとも前記磁極部の中心位置の近傍を起点として前記磁極部とその隣り合う磁極部との中心位置に向かう方向の所定区間において所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気劣化部を備え、
前記磁気劣化部は、前記磁極部の中心位置に近づくほど薄く、前記磁極部間の中心位置に近づくほど厚く形成され、
前記磁気劣化部の磁気特性は、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、前記回転子鉄心の磁気特性よりも劣化している、永久磁石式回転電機の回転子。
【請求項7】
電機子巻線を収納する固定子スロットに挟まれた固定子ティースを固定子鉄心の内周に有し、前記固定子ティースの先端部の全部又は一部において所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気劣化部を備え、
前記磁気劣化部は、前記先端部の中心位置に近づくほど薄く、前記先端部の両端に近づくほど厚く形成され、
前記磁気劣化部の磁気特性は、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、前記固定子鉄心の磁気特性よりも劣化している、永久磁石式回転電機の固定子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、永久磁石式回転電機、回転子、及び固定子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電車、ハイブリッド自動車、電気自動車向けの回転電機においては、艤装スペースが小さく、限られた空間での高トルク、高出力化の要求がある。この要求を満たす回転電機としては、近年の目覚しい研究開発によって高磁気エネルギー積の永久磁石が開発されたことから、永久磁石式リアクタンス型回転電機(以下、永久磁石式回転電機)が注目されている。
【0003】
永久磁石式回転電機においては、回転子の磁気変動に起因するコギングトルクがスムーズな回転を妨げる場合がある。また、高エネルギー密度の永久磁石式回転電機では、電磁加振力も増加し、振動、騒音の増加がある。特に電車やハイブリッド自動車向けでは、車室内の静粛性、並びに車外への騒音低減が厳しく求められる。このため、永久磁石式回転電機では、回転子の表面で、且つ磁極中心に対応する位置に溝を配置し、コギングトルクの抑制、振動、騒音の抑制、且つ鉄損の低減を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−164501号公報
【特許文献2】特開2004−328956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、回転子の表面に配置された溝によって、高速軽負荷時、または無負荷運転の低磁束密度時においてはコギングトルクを抑制することが可能であるが、高トルク運転(低速高負荷時)の高磁束密度では溝で磁束の流れが阻害されるためトルクが大幅に低下する場合があった。したがって、高速域を含む全領域において、トルクを低下させることなく、コギングトルクを低減させることの両立は困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、実施形態の永久磁石式回転電機は、固定子鉄心に電機子巻線を有する固定子と、前記固定子内に回転可能に配置される回転子鉄心に永久磁石を埋設し、前記回転子鉄心の外周に複数の磁極部を有する回転子と、前記回転子鉄心の外周の
少なくとも前記磁極部の中心位置の近傍を起点として前記磁極部とその隣り合う磁極部との中心位置に向かう方向の所定区間において所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気劣化部と、を備える。前記磁気劣化部は、前記磁極部の中心位置に近づくほど薄く、前記磁極部間の中心位置に近づくほど厚く形成される。前記磁気劣化部の磁気特性は、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、前記回転子鉄心の磁気特性よりも劣化している。
【0007】
また、実施形態の永久磁石式回転電機は、電機子巻線を収納する固定子スロットに挟まれた固定子ティースを固定子鉄心の内周に有する固定子と、前記固定子内に回転可能に配置される回転子鉄心に永久磁石を埋設し、前記回転子鉄心の外周に複数の磁極部を有する回転子と、前記固定子ティースの前記回転子に面する先端部の全部又は一部において所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気劣化部と、を備える。
前記磁気劣化部は、前記先端部の中心位置に近づくほど薄く、前記先端部の両端に近づくほど厚く形成される。前記磁気劣化部の磁気特性は、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、前記固定子鉄心の磁気特性よりも劣化している。
【0008】
また、実施形態の永久磁石式回転電機の回転子は、固定子内に回転可能に配置される回転子鉄心に永久磁石を埋設し、前記回転子鉄心の外周に複数の磁極部を有し、前記回転子鉄心の外周の
少なくとも前記磁極部の中心位置の近傍を起点として前記磁極部とその隣り合う磁極部との中心位置に向かう方向の所定区間において所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気劣化部を備える。前記磁気劣化部は、前記磁極部の中心位置に近づくほど薄く、前記磁極部間の中心位置に近づくほど厚く形成される。前記磁気劣化部の磁気特性は、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、前記回転子鉄心の磁気特性よりも劣化している。
【0009】
また、実施形態の
永久磁石式回転電機の固定子は、電機子巻線を収納する固定子スロットに挟まれた固定子ティースを固定子鉄心の内周に有し、前記固定子ティースの先端部の全部又は一部において所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気劣化部を備える。
前記磁気劣化部は、前記先端部の中心位置に近づくほど薄く、前記先端部の両端に近づくほど厚く形成される。前記磁気劣化部の磁気特性は、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、前記固定子鉄心の磁気特性よりも劣化している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかる永久磁石式回転電機の回転子径方向断面図である。
【
図3】
図3は、磁気特性の劣化を示すグラフである。
【
図4】
図4は、磁気特性の劣化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、磁気特性の劣化の有無におけるコギングトルクを例示するグラフである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態にかかる拡大領域の拡大図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態の変形例にかかる拡大領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態にかかる永久磁石式回転電機、回転子、及び固定子を詳細に説明する。なお、本実施形態では極数が8極である場合の永久磁石式回転電機を説明するが、他の極数でも同様に適用できることは言うまでもないことである。また、各実施形態において、同一の構成には同一の符号を付して、重複する説明は省略している。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる永久磁石式回転電機100の回転子径方向断面図である。
図2は、
図1における拡大領域Rの拡大図である。
図1、2に示すように、永久磁石式回転電機100は、固定子鉄心11に電機子巻線20を有する固定子10と、固定子10内に回転可能に配置される回転子30とを備える。固定子鉄心11は、電磁鋼板を積層(
図1に向かった奥行き方向に)した構成である。固定子鉄心11の内周側には、電機子巻線20を収容するスロット40と、スロット40に挟まれたティース50とを具備している。
【0013】
回転子30は、ティース50の内周側の先端であるティース先端部51との間隙(エアギャップ)を介して固定子10の内側に配置される(
図2参照)。回転子30は、回転軸(図示しない)と回転軸受部32を介して接合され、回転軸が中心120を中心に回転することにより、固定子10内で回転する。回転子30は、電磁鋼板を積層(
図1に向かった奥行き方向に)した回転子鉄心31に複数の永久磁石60を埋設した構成である。
【0014】
回転子30の回転子鉄心31には、中心120に対する円周方向に磁化容易方向と磁化困難方向とが交互に形成されている。さらに、回転子30は、外周面に磁気的な凹凸を形成するために、永久磁石埋め込み穴61が磁化容易方向に沿って形成され、永久磁石60が永久磁石埋め込み穴61に埋め込まれて接着剤などにより固定されている。これにより、回転子30では、永久磁石60が磁気的な凸部を複数形成するように回転子鉄心31内部に配置され、具体的には回転子30において8極の磁極部80を構成する。
【0015】
この回転子30の外周において、中心120から磁極部80の中心位置を通る方向がd軸方向、磁極部80間の中心位置を通る方向がq軸方向となる。なお、図示例では、拡大領域Rで拡大した1極分の磁極部80について、直線121を中心120からd軸方向に沿った直線、直線122を中心120からq軸方向に沿った直線としている。
【0016】
図2に示すように、回転子鉄心31の外周には、所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気特性劣化部70が形成されている。この磁気特性劣化部70は、回転子鉄心31の外周から中心120の方向、又は回転子鉄心31の正面方向(
図1に向かった奥行き方向)に向けた機械的圧力の印加、局部加熱又はレーザーピーニング等による応力で形成される。なお、機械的圧力を印加して形成する場合は、印加後に略真円となるように予め弾性変形分の形状が考慮されているものとする。また、回転子鉄心31の正面方向に向けた機械的圧力の印加、局部加熱又はレーザーピーニング等による応力で磁気特性劣化部70を形成する場合は、回転子鉄心31の外周面に接することなく、回転子鉄心31の内部に形成可能である。
【0017】
具体的には、磁気特性劣化部70は、磁極部80の中心位置を通る直線121に近づくほど薄く、磁極部80間の中心位置を通る直線122に近づくほど厚く形成される。なお、磁気特性劣化部70は、回転子鉄心31の外周の全周にわたって形成されてもよい。回転子鉄心31の外周の全周にわたって形成される場合も、磁極部80の中心位置を通る直線121に近づくほど薄く、磁極部80間の中心位置を通る直線122に近づくほど厚く形成されることが好ましい。このように、磁気特性劣化部70を磁極部80の中心位置を通る直線121に近づくほど薄く、磁極部80間の中心位置を通る直線122に近づくほど厚く形成することで、磁気特性劣化部70によるトルク、出力特性の低下を抑えることができる。
【0018】
また、
図2に示すように、磁気特性劣化部70は、回転子鉄心31の外周部分において、約8割程度を覆う部分に形成されてもよい。具体的には、磁気特性劣化部70において、d軸側の端から中心120に向かう直線を直線123、q軸側の端から中心120に向かう直線を直線124とした場合、直線121から直線122に至る範囲130に対し、約8割程度の範囲131を覆う部分に形成されてもよい。すなわち、磁気特性劣化部70は、極弧率が8割程度の外周面に形成されてもよい。なお、磁気特性劣化部70は、回転子鉄心31の外周部分において、磁極部80の中心位置を通る直線121を中心に所定幅を除いた範囲に形成されることが好ましい。このように、磁極部80の中心位置を通る直線121を中心に所定幅を除いた範囲に磁気特性劣化部70を形成することで、磁気特性劣化部70によるトルク、出力特性の低下を抑えることができる。
【0019】
ここで、磁気特性劣化部70の磁気特性について説明する。
図3、
図4は、磁気特性の劣化を示すグラフである。
図5は、磁気特性の劣化の有無におけるコギングトルクを例示するグラフである。
【0020】
図3、
図4において、グラフ曲線G1は、応力による磁気特性の劣化がない回転子鉄心31の磁界の強さに対する磁束密度の関係を示している。グラフ曲線G2は、応力により磁気特性を劣化させた磁気特性劣化部70の磁界の強さに対する磁束密度の関係を示している。なお、グラフ曲線G2a…G2nは、加える応力を段階的に調整して得られたグラフである。なお、グラフ曲線G2aは磁気特性の劣化を最小とし、グラフ曲線G2nは磁気特性の劣化を最大としている。
【0021】
図3のグラフ曲線G1、G2を比較しても明らかなように、磁気特性劣化部70は、磁界の強さに対する、磁束密度の変化が小さく、低磁束密度の範囲での磁気特性が劣化している。そして、磁界の強さが増すに従って緩やかに磁束密度を増していき、磁束飽和に至る。
【0022】
より具体的には、
図4に示すように、磁気特性劣化部70では、0〜1.5T近傍までの低磁束密度の範囲で、回転子鉄心31の磁気特性よりも劣化している。また、1.7T程度の磁束飽和以後は、磁気特性を劣化させていない回転子鉄心31と略同じ磁気特性となっている。
【0023】
このように、回転子鉄心31の外周部分において、低磁束密度の範囲、すなわち高速軽負荷時、または無負荷運転時に磁気特性が劣化する磁気特性劣化部70を有することから、永久磁石式回転電機100では、
図5に示すように、コギングトルク低下の効果を得ることができる。また、高トルク運転(低速高負荷時)の高磁束密度時には、磁気特性劣化部70の磁気特性が回転子鉄心31の磁気特性と略同じになることから、トルクの低下を防止できる。
【0024】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では回転子鉄心31の外周部分に磁気特性を劣化させた磁気特性劣化部70を形成する構成を例示したが、第2の実施形態では、ティースのティース先端部に磁気特性を劣化させた磁気特性劣化部を形成した点が第1の実施形態と異なる。
【0025】
図6は、第2の実施形態にかかる拡大領域Rの拡大図である。
図6に示すように、固定子10aのティース50aにおいて回転子30aに面するティース先端部51には、所定の厚みで磁気特性を劣化させた磁気特性劣化部52が形成されている。この磁気特性劣化部52は、固定子10aの内周側から外側に向けた機械的圧力の印加、局部加熱又はレーザーピーニングによる応力で形成される。なお、磁気特性劣化部52の磁気特性については、磁気特性劣化部70と同様である。
【0026】
したがって、低磁束密度の範囲、すなわち高速軽負荷時、または無負荷運転時に磁気特性が劣化する磁気特性劣化部52をティース50aのティース先端部51に有することから、永久磁石式回転電機100では、
図5に示すように、コギングトルク低下の効果を得ることができる。また、高トルク運転(低速高負荷時)の高磁束密度時には、磁気特性劣化部52の磁気特性が固定子10aの磁気特性と略同じになることから、トルクの低下を防止できる。
【0027】
図7は、第2の実施形態の変形例にかかる拡大領域Rの拡大図である。
図7に示すように、固定子10bのティース50bにおいて回転子30aに面するティース先端部51には、ティース先端部51の中心位置に近づくほど薄く、ティース先端部51の両端に近づくほど厚く磁気特性劣化部52aが形成される。また、図示例に示すように、磁気特性劣化部52aは、ティース先端部51の中心位置を覆わず、ティース先端部51の両端に形成されることがより好ましい。このように磁気特性劣化部52aを形成することで、磁気特性劣化部52aによるトルク、出力特性の低下を抑えることができる。上述した第2の実施形態は、第1の実施形態と別に実施してもよいし、第1の実施形態と組み合わせて実施してもよい。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0029】
100…永久磁石式回転電機、10、10a、10b…固定子、11…固定子鉄心、20…電機子巻線、30、30a…回転子、31…回転子鉄心、32…回転軸受部、40…スロット、50、50a、50b…ティース、51…ティース先端部、52、52a、70…磁気特性劣化部、60…永久磁石、61…永久磁石埋め込み穴、80…磁極部、120…中心、121〜124…直線、130、131…範囲、G1、G2、G2a〜G2n…グラフ曲線、R…拡大領域