(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部からなり、
前記融着部は、前記サイドシール部が延びる方向と直交する断面において、着用物品の着用者の肌に近い側から遠い側に向かう方向を内外方向Pとし、該内外方向Pに直交する方向を厚さ方向Qとしたときに、厚さ方向Qにおける両端部と、該両端部間における最も着用者の肌に近い内側端部との間の、内外方向Pに沿う距離Dwが、前記内側端部と該融着部の外縁における対向部位との間の、内外方向Pに沿う距離Dc以上であり、且つ前記サイドシール部が延びる方向と直交する断面において、前記融着部の前記外縁が、前記内外方向の内方に向かって窪んだ形状を有している、パンツ型着用物品。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明のパンツ型着用物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1は、
図1〜
図3に示すように、吸収性本体2と、着用物品の外面を形成する外装体3とを備え、前身頃F(腹側部1A)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1と後身頃R(背側部1B)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1とが接合されて一対のサイドシール部4,4、ウエスト開口部8及び一対のレッグ開口部9,9が形成されているパンツ型使い捨ておむつである。外装体3は、吸収性本体2の非肌当接面側に位置して該吸収性本体2を固定している。
【0013】
おむつ1は、
図3に示す如き展開且つ伸長状態の平面視において、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有している。おむつ1は、着用時に股下部に配される股下部1C並びにその縦方向Xの前後に位置する腹側部1A及び背側部1Bに区分することができる。股下部1Cにおける外装体3は、その縦方向Xに沿う左右両側縁部にレッグ開口部9,9形成用の凹欠部が形成されている。また、おむつ1は、
図4に示すように、おむつ1を縦方向Xに二分する仮想中心線CLを境にして、前身頃Fと後身頃Rとに区分することができる。
【0014】
尚、本明細書において、肌当接面は、パンツ型着用物品又はその構成部材(例えば吸収性本体)における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、パンツ型着用物品又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。おむつ1において、縦方向Xは、使い捨ておむつ又はその構成部材である吸収性本体2の長辺に沿う方向(長手方向)に一致し、横方向Yは、使い捨ておむつ又はその構成部材である吸収性本体2の幅方向に一致する。
【0015】
吸収性本体2は、
図3に示すように、一方向(縦方向X)が相対的に長い縦長の形状を有しており、肌当接面を形成する表面シート(図示せず)と、非肌当接面を形成する裏面シート(図示せず)と、これら両シート間に介在配置された液保持性の吸収体(図示せず)とを具備し、該吸収体は、縦方向Xと同方向に長い形状を有している。吸収性本体2は、その長手方向を、展開且つ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに一致させて、外装体3の中央部に公知の接合手段(接着剤等)により接合されている。ここで、展開且つ伸長状態とは、サイドシール部を引き剥がして、おむつを展開状態とし、その展開状態のおむつを、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0016】
外装体3は、
図2及び
図3に示すように、おむつ1の外面(外装体3の非肌当接面)を形成する外層シート31と、該外層シート31の内面側に配され、おむつ1の内面(外装体3の肌当接面)を形成する内層シート32と、両シート31,32間に接着剤により固定された複数本の糸状又は帯状の弾性部材5,6,7とを含んで構成されている。両シート31,32間は、所定部位において接着剤又はヒートシール等(図示せず)によって接合されている。
【0017】
外装体3(外層シート31、内層シート32)は、樹脂材を含み、該樹脂材を主成分として形成されている。外装体3(外層シート31、内層シート32)の一例として、樹脂材としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱融着性の合成樹脂を含み、不織布、フィルム、不織布とフィルムとのラミネートシート等からなるものが挙げられる。不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。
【0018】
おむつ1における一対のサイドシール部4,4は、
図2に示すように、それぞれ、前身頃Fにおける外装体3の縁部と後身頃Rにおける外装体3の縁部が、サイドシール部4の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41を有している。おむつ1におけるシール縁部41は、サイドシール部4,4のそれぞれにおいて、ウエスト開口部8とレッグ開口部9との間の全長に亘って連続して形成されている。シール縁部41における融着部40は、外装体3を構成する複数枚のシート(外層シート31、内層シート32)の縁部が重なった状態で、それらのシートの構成樹脂が溶融固化して形成されている。
【0019】
シール縁部41における融着部40は、
図2及び
図4に示すように、サイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、着用物品の着用者の肌に近い側から遠い側に向かう方向を内外方向Pとし、該内外方向Pに直交する方向を厚さ方向Qとしたときに、厚さ方向Qにおける両端部4a,4bと、該両端部4a,4b間における最も着用者の肌に近い内側端部4cとの間の、内外方向Pに沿う距離Dwが、前記内側端部4cと該融着部の外縁4dにおける対向部位4d’との間の、内外方向Pに沿う距離Dc以上である。
【0020】
厚さ方向Qにおける両端部4a,4bと、内側端部4cとの間の前記距離Dwは、内外方向Pと平行な直線に沿って測定した距離である。また、内外方向Pにおいて、前身頃1A側の端部4aの位置と、後身頃1B側の端部4bの位置とが異なる場合には、そのそれぞれについての距離Dwが、距離Dc以上であることが好ましい。
また、前記距離Dcは、内側端部4cと、該融着部の外縁4dにおける、該内側端部4cと相対向する部位4d’との間の距離を、内外方向Pと平行な直線に沿って測定する。内側端部4cと相対向する部位4d’は、内側端部4cを通る、内外方向Pと平行な直線が、融着部40の外縁4dと交差する部位である。
なお、本実施形態のおむつ1のサイドシール部4においては、厚さ方向Qにおける、吸着部40の内側端部4cの位置は、前身頃A側の端部4aの位置と後身頃1B側の端部4bの位置との間の厚さ方向Qにおける距離を2等分する中央位置にあるが、本発明における内側端部4cは、該中央位置から何れかの端部4a,4b側に偏った位置に存在しても良い。
【0021】
前記距離Dw,前記距離Dc及び後述する厚さTcは、それぞれ、以下のようにして測定することができる。
〔前記距離Dw、前記距離Dc及び厚さTcの測定方法〕
前記距離Dw、前記距離Dc及び厚さTcは、荷重を加えない状態下の断面をマイクロスコープ(KEYENCE社製 VHX−1000)により50〜200倍の倍率で観察し、計測を行った。
前記距離Dw、前記距離Dc及び厚さTcは、それぞれ、サイドシール部4に沿う方向の相異なる3か所の断面について計測を行い、それらの計測値の平均値を、各値とした。
各部の寸法は、0.01mmの単位まで計測することが好ましい。
【0022】
融着部40の前記距離Dwを前記距離Dc以上とすることにより、サイドシール部を引き裂く際に、横裂けが生じることを確実に防止することができる。また、サイドシール部に横裂けが生じにくいことで、本実施形態のおむつ1は、使用後の取り外しを容易且つスムーズに行うことができる。
本発明者らは、レーザー光の照射による溶断によりサイドシール部を形成した多数のパンツ型使い捨ておむつについて、サイドシール部の引き裂き試験を行った結果、サイドシール部4は、前記内外方向Pにおいて、内側端部4cより外方の部位Hが、該内側端部4cより内方の部位Gより破断しやすいこと、特に外方の部位Hにおける、融着部40と外装体3の繊維形態が残る部分との境界部4eや融着部40内において破断が生じ易いことを知見した。
本実施形態におけるように、前記距離Dwが前記距離Dc以上の融着部を形成して、破断が生じ易い内側端部より外方の部位Hの断面積を増大させることによって、サイドシール部を引き裂く際に、融着部40又はその近傍において破断が生じる確率を増大させることができ、サイドシール部を引き裂く際に横裂けが生じる恐れを顕著に抑制することができる。
【0023】
サイドシール部4の横裂けを一層確実に防止する観点から、前記距離Dwは、前記距離Dcより大きいことが好ましい。更に、前記距離Dwは、前記距離Dcの好ましくは1.3倍以上、更に好ましくは2.0倍以上、一層好ましくは3.0倍以上であり、また、好ましくは8.0倍以下、更に好ましくは4.0倍以下であり、また、好ましくは1.3〜8.0倍であり、更に好ましくは2.0〜4.0倍である。
【0024】
なお、サイドシール部が、内外方向Pにおいて、内側端部4cより外方の部位Hが、該内側端部4cより内方の部位Gより破断しやすいか否かは、以下の破断試験により判断できる。
即ち、サイドシール部4及びその両側の近傍部を、サイドシール部4が中央に位置するように、おむつの縦方向に30mm×おむつの幅方向に50mmの短冊状に切り出し、サンプルを得る。得られたサンプルをテンシロン引っ張り試験機(オリエンテック社製、商品名「RTA−100」)を用いて、当該サンプルの前身頃側の端部及び後身頃側の端部を把持して、180反対方向に引張速度300mm/minで引張る。尚、この試験は、サイドシール部のそれぞれについて、5点のサンプルについて行う。
5点のサンプルのそれぞれについて、破断する位置が、内側端部4cより外方の部位Hであるか、該内側端部4cより内方の部位Gであるかを調べ、外方の部位Hで破断しているサンプル数が、内方の部位Gで破断しているサンプル数より多い場合には、内側端部4cより外方の部位Hが、該内側端部4cより内方の部位Gより破断しやすいと判定し、内方の部位Gで破断しているサンプル数が、外方の部位Hで破断しているサンプル数より多い場合には、内側端部4cより内方の部位Gが、該内側端部4cより外方の部位Hより破断しやすいと判定する。
また、本実施形態の使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃の外装体の厚みにおいて、内側端部4cより外方の部位Hにおける厚みが、該内側端部4cより内方の部位Gにおける厚みより小さい。このことにより、サイドシール部を引き裂く際に、融着部40又はその近傍において破断が生じる確率を増大させることができ、サイドシール部を引き裂く際に横裂けが生じる恐れを顕著に抑制することができる。前身頃及び後身頃における、内側端部4cより外方の部位Hにおける厚み内方の部位Gにおける厚みは、前述の距離Dw、距離Dc及び厚さTcと同様にして測定できる。
【0025】
本実施形態のおむつ1においては、融着部40の外縁4dが、内外方向Pにおける内方に向かって窪んだ形状を有している。そのため、前記距離Dwを前記距離Dc以上とすることが容易であるとともに、おむつ1の着用状態における融着部40の視認性を低下させることができ、おむつ1の外観が下着に近いものとなる。更に、融着部の柔軟性が向上することで、おむつ1の肌触りがより柔らかくなる。
【0026】
また、本実施形態のおむつ1においては、前記距離Dwが、該距離Dwを2等分する中央位置における融着部40の厚みTc以上である。本発明において、前記距離Dwが、前記厚みTc以上であることは必須ではないが、前記距離Dwを前記厚みTc以上とすることで、前記内側端部4cより外方の破断が生じ易い部位Hの断面積を増大させることができ、サイドシール部4を引き裂く際に、その近傍で破断が生じる可能性を一層増大させることができるため、横裂けが生じる恐れを一層確実に抑制することができる。
サイドシール部4の横裂けを一層確実に防止する観点から、前記距離Dwは、前記厚みTcの5%超であることが好ましく、より好ましくは10%以上であり、また、柔軟性の観点から、前記距離Dwは、前記厚みTcの50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下であり、より具体的には、5%超50%以下が好ましく、より好ましくは10%以上30%以下である。
【0027】
融着部40の前記距離Dw及び融着部40の前記距離Dcは、ぞれぞれ、サイドシール部4の柔軟性や感触の向上の観点から、小さい方が好ましく、例えば2.0mm以下が好ましく、より好ましくは1.0mm未満である。他方、シール強度の確保の点から0.05mm以上であることが好ましい。
【0028】
なお、融着部40の厚みTcを、融着部40の距離Dwを2等分する中央位置で測定する理由は、様々なシール形状のサンプルに対しても、それぞれに対応して厚みを測定することができるためである。
また、融着部40の外縁4dが内外方向Pの内方に向かって大きく窪んだ形状を有し、外縁4dの一部が、融着部40の距離Dwを2等分する線より内方に存在する場合、融着部の厚みTcには、2等分する線より内側の空間部分の厚みを含む厚みとする。
【0029】
前述したおむつ1は、例えば以下に説明する製造方法によって製造することができる。
おむつ1の製造方法は、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体3におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする重合加圧工程と、加圧状態にあるサイドシール部の形成予定部位に、外装体3の搬送方向Aと交差する方向に延在する光通過部27を介してレーザー光を照射することにより、該外装体3を分断すると共に、その分断によって生じた、積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させてサイドシール部4を形成するサイドシール部形成工程とを具備している。また、重合加圧工程の前に、帯状の外装体3(外層シート31、内層シート32)に吸収性本体2を固定する本体固定工程を具備している。
【0030】
より具体的には、おむつ1の製造方法においては、
図5に示すように、前記重合加圧工程において、帯状の外装体3(外層シート31、内層シート32)をその幅方向に折り畳むことにより、吸収性本体2が固定された帯状の外装体3の前身頃側と後身頃側とを重ね合わせ、それによって、「サイドシール部が形成されていないパンツ型使い捨ておむつの前駆体が一方向に連なってなる、おむつ連続体10」を製造する。そして、前記サイドシール部形成工程において、このおむつ連続体10における帯状の外装体3を、
図6に示すように、レーザー光30の照射により、個々に分断(溶断)するのと同時に、その分断によって生じた、積層状態の複数枚の外装体3(外層シート31、内層シート32)の切断縁部どうしを融着して、一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1を連続的に製造する。
【0031】
より詳細に説明すると、先ず、
図5に示すように、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の外層シート31と、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の内層シート32の間に、ウェストギャザーを形成するウエスト部弾性部材5、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材6及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材7を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する。このとき、レッグ部弾性部材7は、シートの流れ方向とは直交して往復運動する公知の揺動ガイド(図示せず)を介して、所定の脚周りパターンを形成しながら配される。また、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32には、それらを重ね合わせる前に、両シート31,32の何れか一方又は双方の対向する面の所定部位に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を塗工する。尚、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が、両シート31,32における、レーザー光の照射によって分断される部分(サイドシール部4の形成予定部分,
図7中符号10Cで示す分断予定部分)を跨ぐように伸長状態で配されている場合、その分断後の該弾性部材の大幅な縮みや該弾性部材の抜け等の不都合を回避するために、該部分及びその近傍に接着剤を塗工しておくことが好ましい。おむつ1におけるサイドシール部4を挟む両側の凹凸領域43,43は、サイドシール部4の形成予定部分及びその近傍における外層シート31と内層シート32間に接着剤を介在させておき、弾性部材5,6の切断後に、該弾性部材5,6が、両シート31,32とともに収縮して生じる。ウエスト部弾性部材5及び胴回り部弾性部材6には、両シート31,32間に配される前に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を間欠的に塗工しても良い。
【0032】
そして、
図5に示すように、一対のニップロール11,11の間に、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6及びレッグ部弾性部材7を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32を送り込んで加圧することにより、帯状シート31,32間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状の外装体3を形成する。
この外装体3の形成工程においては、隣り合う2本の胴回り部弾性部材6,6間において帯状の外層シート31と帯状の内層シート32とを接合する複数の接合部(図示せず)を、凸ロールとこれに対応するアンビルロール等の接合手段(図示せず)を用いて形成することも好ましい。
その後、必要に応じて、弾性部材プレカット手段(図示せず)を用いて、後述する吸収性本体2を配する位置に対応させて、複数本の胴回り部弾性部材6及び複数本のレッグ部弾性部材7を押圧して、収縮機能が発現されないように個々複数個に分断する。前記弾性部材プレカット手段としては、例えば、特開2002−253605号公報に記載の複合伸縮部材の製造方法に用いる弾性部材分断部等が挙げられる。
【0033】
次いで、
図5に示すように、別工程で製造された吸収性本体2に予めホットメルト接着剤等の接着剤を塗工し、該吸収性本体2を90度回転させて、帯状の外装体3を構成する内層シート32上に間欠的に供給して固定する(本体固定工程)。そして、
図5に示すように、吸収性本体2が配置された帯状の外装体3におけるレッグ部弾性部材7で環状に囲まれた環状部の内側にレッグホールLO’を形成する。このレッグホール形成工程は、ロータリーカッター、レーザーカッター等の従来からこの種の物品の製造方法における手法と同様の手法を用いて実施することができる。
【0034】
次いで、帯状の外装体3をその幅方向(外装体3の搬送方向と直交する方向)に折り畳む。より具体的には、
図5に示すように、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3aを、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返して吸収性本体2の長手方向両端部を固定した後、外装体3を吸収性本体2と共にその幅方向に2つ折りする(重合加圧工程における重合工程)。こうして、おむつ連続体10が得られる。
【0035】
次いで、こうして製造されたおむつ連続体10に対して、
図6に示すように、レーザー式接合装置20を用いてレーザー光を照射して一対のサイドシール部4,4を形成し(サイドシール部形成工程)、一対の該サイドシール部4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1を連続的に製造する。
【0036】
レーザー式接合装置20について説明すると、レーザー式接合装置20は、
図6に示すように、矢印A方向に回転駆動される中空の円筒ロール23と、円筒ロール23の中空部に配され、円筒ロール23の周面部を形成する円筒状の支持部材21に向けてレーザー光30を照射する照射ヘッド35と、無端状の加圧ベルト24(押さえ部材)を備えたベルト式加圧装置26とを備えている。
レーザー式接合装置20は、支持部材21(円筒ロール23の周面部)と加圧ベルト24との間隔を増減調整できる間隔調整機構(図示せず)を有し、該間隔の調整により、支持部材21と加圧ベルト24とによって、おむつ連続体10(シート積層体)に加える圧力を適宜調整することができる。
【0037】
支持部材21は、円筒ロール23の周面部(被加工物との当接部)を形成しており、円筒ロール23の回転軸方向両端部を形成する一対の環状の枠体22,22間に挟持固定されている。支持部材21は、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属材料又はセラミックス等の耐熱性を有する材料からなる。
【0038】
支持部材21は、レーザー光が通過可能な光通過部27を有している。支持部材21は、
図6に示すように、光通過部として、該支持部材21を厚み方向に貫通するスリット状の開口部27を有している。開口部27は、平面視して矩形形状を有し、その長手方向を、おむつ連続体10(帯状の外装体3)の搬送方向Aと交差する方向、より具体的には、円筒ロール23の回転軸の軸長方向と平行な方向に一致させて、円筒状の支持部材21の周方向に所定間隔を置いて複数形成されている。支持部材21は、開口部27ではレーザー光を通過させる一方、開口部27以外の部分ではレーザー光を通過(透過)させない。支持部材21に開口部27を形成する方法としては、1)環状の枠体22の周長と同じ長さの単一の環状部材からなる支持部材21の所定箇所にエッチング、パンチング、レーザー加工等により開口部27を穿設する方法、2)支持部材21として、単一の環状部材に代えて、湾曲した矩形形状の部材を複数用い、それら複数の部材を、一対の枠体22,22間に、該枠体22の周方向に所定間隔を置いて配置する方法が挙げられる。
【0039】
ベルト式加圧装置26は、無端状の加圧ベルト24(押さえ部材)及び該加圧ベルト24が架け渡された状態で回転する3本のロール25a,25b,25cを備えている。ロール25a,25b,25cは駆動ロールでも良く、円筒ロール23に連れ回りする従動ロールでも良い。加圧ベルト24は、ロール25a,25b,25cの何れか1以上を回転駆動として、又は円筒ロール23と連れ回りして、円筒ロール23(支持部材21)と同速度で移動する。支持部材21及び加圧ベルト24は、空冷、水冷等により温度を所定の温度範囲に維持することが好ましい。
【0040】
加圧ベルト24(押さえ部材)としては、加工時に発生する熱に耐えうる耐熱性を有する金属又は樹脂製のベルトを用いることができ、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料からなるものを用いることができる。また、加圧ベルト24としては、通常、被加工物(帯状の外装体3)に対して照射されるレーザー光の透過性を有しないものが用いられるが、該透過性を有するものを用いることもできる。
【0041】
図6に示すように、中空の円筒ロール23の中空部には、該円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に向けてレーザー光30を照射する照射ヘッド35が設けられている。照射ヘッド35は、レーザー光30を自在に走査するガルバノスキャナ(モータ軸にミラーが付いた装置)であり、レーザー光30を円筒ロール23の回転軸と平行な方向(に進退させる機構、レーザー光30が支持部材21上のおむつ連続体10に当たる位置(照射点)を円筒ロール23の周方向に移動させる機構、及び円筒ロール23の周面上でレーザー光30のスポット径を一定にする機構等を備えている。レーザー照射機構は、このような構成を有することによって、レーザー光30の照射点を、円筒ロール23の周方向及び該周方向と直交する方向の両方向に任意に移動させることができる。
【0042】
図6に示すように、おむつ連続体10は、図示しない案内ロール等によって、所定のテンションが掛けられた状態で、矢印A方向に回転駆動される円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21の外面上に導入され、該支持部材21に巻き掛けられるようにして該円筒ロール23の回転によりその周方向に所定距離搬送された後、図示しない導出ロール及びニップロール等によって該支持部材21から離れる。このように、おむつ連続体10を、円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に所定のテンションで巻き掛け且つ加圧ベルト24によって圧接するようにして搬送することにより、おむつ連続体10における支持部材21と加圧ベルト24とに挟まれた部分及びその近傍は、レーザー光の照射による分断前からその厚み方向に加圧(圧縮)された状態となる。このため、おむつ連続体10が不織布を含む場合等に、該おむつ連続体10をより効率的に圧縮させることができ、結果として、斯かる圧縮中のおむつ連続体10に対してレーザー光を照射してこれを分断したときに、その分断された部分を構成する複数枚のシート(外装体3)の切断縁部どうしをより確実に融着させることが可能となり、サイドシール部4の融着強度の向上が図られる。
【0043】
図6に示す実施形態においては、おむつ連続体10を連続搬送しつつ、その一方の面10aを、円筒ロール23の周面部を形成し且つレーザー光30が通過可能なスリット状の開口部27(光通過部)を有する支持部材21の外面に当接させ、支持部材21と加圧ベルト24(押さえ部材)とによって加圧状態となったおむつ連続体10(サイドシール部4の形成予定部位)に対して、支持部材21側から開口部27を介してレーザー光30を照射することにより、おむつ連続体10を分断するのと同時に、その分断によって生じた前記加圧状態にある複数枚のシート(外装体3)の切断縁部どうしを融着させて、サイドシール部4を形成する(サイドシール部形成工程)。
【0044】
図7は、レーザー式接合装置20を用いておむつ連続体10(帯状のシート積層体)を分断するのと同時にサイドシール部4(シール縁部)を形成する様子を説明する図であり、
図7(a)には、おむつ連続体10のレーザー光30による分断予定部分10C(サイドシール部4の形成予定部位)及びその近傍が模式的に示されている。図示の態様におけるおむつ連続体10の分断予定部分10Cは、おむつ連続体10の吸収性本体2が配置されていない領域における長手方向(搬送方向A)の中央である。斯かる分断予定部分10Cは、ウエスト開口部8(
図1参照)の開口端部及びその近傍が、8枚のシートが重ねられた8層構造部分、それ以外の部分が、4枚のシートが重ねられた4層構造部分となっている。4層構造部分は、
図7(a)に示すように、腹側部1Aにおける1枚の外装体3を構成する2枚のシート(外層シート31及び内層シート32)と、背側部1Bにおける1枚の外装体3を構成する同じく2枚のシート31,32とからなり、これら4枚のシートが積層されて構成されている。一方、8層構造部分は、前述したように、おむつ連続体10の製造時に帯状の外装体3の両側部3a,3aが吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返されている(
図3及び
図5参照)ことに起因して、腹側部1A及び背側部1Bそれぞれに外装体3が2枚存し且つこれら計4枚の外装体3,3が積層されているので、結果として8枚のシート31,32が積層されて構成されている。尚、4層構造部分及び8層構造部分それぞれにおいて、互いに重なり合うシート31,32間には、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が介在配置されている場合がある。以下、主として、4層構造部分について説明するが、特に断らない限り、8層構造部分も4層構造部分と同様に構成されサイドシール部4が形成される。
【0045】
おむつ連続体10における4層構造の分断予定部分10Cにおいて、おむつ連続体10の一方の面10a(支持部材21との当接面)を構成する外層シート31及び一方の面10aを構成するシート以外のシート(内層シート32)は、何れか一方又は両方が、レーザー光30を吸収して発熱するシートである。図示の態様においては、分断予定部分10Cを構成する4枚のシート31,32の全てが、レーザー光30を吸収して発熱するシート(不織布)である。また、分断予定部分10C及びその近傍における互いに重なり合う外層シート31及び内層シート32の2枚のシート間は、レーザー光30の照射前において、接着剤等により接合されていても良く、全く接合されていなくても良い。
【0046】
おむつ連続体10は、
図7(b)に示すように、一方の面10aが支持部材21に当接し且つ分断予定部分10C(サイドシール部4の形成予定部位)がスリット状の開口部27上に位置するように、矢印A方向に回転する支持部材21上に導入されると共に、他方の面10bに加圧ベルト24(押さえ部材)が押し付けられることによって、矢印A方向に搬送されつつ厚み方向に加圧(圧縮)される。そして、斯かる搬送中且つ加圧状態の分断予定部分10Cに対して、支持部材21側から開口部27を介してレーザー光30が照射される。前述したように、レーザー光30の照射点は、円筒ロール23の周方向に任意に移動可能に構成されており、開口部27の該周方向に沿った移動に追従して移動するように設定されているので、該開口部27上に位置する分断予定部分10Cには、その搬送中にレーザー光30が一定時間連続的に照射される。
【0047】
4層構造の分断予定部分10Cにレーザー光30が照射されると、該分断予定部分10Cに存するシート31,32の形成材料(繊維等)は、レーザー光30の直射による発熱によって気化して消失し、該分断予定部分10Cの近傍に存する該形成材料は、レーザー光30によって間接的に熱せされて溶融する。その結果、
図7(c)に示すように、4層構造の分断予定部分10Cが溶断されて、おむつ連続体10から1つの枚葉のシート積層体(おむつ前駆体)が切り分けられる形で、該おむつ連続体10が分断されるのと同時に、その分断によって生じた該枚葉のシート積層体における4枚のシート31,32の切断縁部どうし、及び、切り分けられた該おむつ連続体10における4枚のシート31,32の切断縁部どうしが、それぞれ融着する。これらの切断縁部どうしは、それぞれ、その形成前(レーザー光30の照射によるおむつ連続体10の分断前)から、支持部材21と加圧ベルト24とに挟まれることによって加圧状態(圧縮状態)とされていたものである。図示の態様のおむつの製造方法によれば、このように、一回のレーザー光の照射で、帯状の外装体3の分断と、その分断によって生じた2箇所の加圧状態にある外装体3の切断縁部どうしの融着とを同時に実施するため、2箇所の融着箇所を二回のレーザー光の照射で融着する方法に比べ、おおよそ半分のレーザー出力で融着と分断とを同一工程で実施でき、おむつ1を効率良く製造することができる。
【0048】
シート31,32の切断縁部は、レーザー光30の照射中及び照射終了直後は、発熱して溶融状態となっているが、レーザー光30の照射によっておむつ連続体10から切り分けられた1つの枚葉のおむつ前駆体及び該おむつ連続体10それぞれの、支持部材21と加圧ベルト24とによる加圧状態が保持されたまま、照射終了後からは外気によって速やかに冷却されて固化し、該切断縁部の形成材料(繊維等)が溶融一体化した融着部40となる。こうして、融着部40が形成されることによって、1個のおむつ1における一対のサイドシール部4,4のうちの一方が形成される。尚、必要に応じ、吸引装置、排気装置等の公知の冷却手段を用いてシート31,32の切断縁部を強制的に冷却し、融着部40の形成を促進しても良い。
【0049】
こうして1箇所の分断予定部分10C(サイドシール部4の形成予定部位)が分断されると、レーザー光30は、その照射点が搬送方向Aとは逆方向に隣接する別の開口部27に当たるように移動され、該別の開口部27を介してその上に位置する別の分断予定部分10Cに照射される。これにより、別の分断予定部分10Cが前記と同様に分断・融着され、先に形成されたサイドシール部4と対をなす他方のサイドシール部4(融着部40)が形成される。以後、同様の操作を繰り返すことにより、一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1が連続的に製造される。
【0050】
こうして製造されたおむつ1においては、サイドシール部4に、前身頃Fにおける外装体3の縁部
A1と後身頃Rにおける外装体3の縁部
B1が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41が形成されている。
また、前記距離Dwが前記距離Dc以上である融着部40を有するシール縁部41(サイドシール部4)を得るためには、おむつ連続体10の分断予定部分10Cの近傍を加圧しながらレーザー光の照射を行い、切断端部における繊維が溶融した状態の積層体を、その加圧状態を維持しながら搬送して、溶融した樹脂が固化した後、その加圧状態を解除することが好ましい。このようにして得られたシール縁部41は、着用時におけるサイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、融着部40の外縁4dが、着用物品の内方に向かって窪んだ形状を有している。溶融樹脂の固化を促進する観点からは、おむつ連続体を、少なくとも片面に熱伝導性に優れた金属製の部材を当てて加圧したり、エアー設備等により冷却することが好ましい。
また、記距離Dwが前記距離Dc以上である融着部40を有するシール縁部41(サイドシール部4)を得るためには、レーザーの強度を強くすれば良く、レーザー出力を上げ、走査速度を遅くすることも好ましい。
【0051】
なお、上記の製造方法で得られたおむつ1におけるシール縁部41は、
図4に示すように、内外方向Pにおける融着部40より外側に、外装体3の構成繊維が繊維形状を残した部分を有しない。そのため、おむつ1の着用状態における融着部40の視認性を低下させることができ、おむつ1の外観が下着に近いものとなる。
【0052】
外装体3の分断と溶着とが同時に実施される工程を経て得られた一対のサイドシール部4,4を具備するおむつ1は、サイドシール部4の柔軟性、肌触りに優れており、着用感が良好である。
【0053】
レーザー光について説明すると、おむつ連続体10(帯状の外装体3)に照射するレーザー光としては、外装体3を構成するシート(外層シート31及び内層シート32)に吸収され該シートを発熱させる波長のレーザー光を用いる。ここで、「外装体を構成するシート」は、外装体の一方の面(支持部材21との当接面)を構成するシート(例えば前述した態様では外層シート31)に限定されず、外装体を構成するシートであればどれであっても良い。外装体に照射するレーザー光が、該外装体を構成する個々のシートについて、該シートに吸収されて該シートを発熱させる波長であるか否かは、シートの材質と、使用するレーザー光の波長との関係で決まる。外装体を構成するシートが、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品(サニタリー用品)の製造に汎用される合成樹脂製の不織布やフィルムである場合、レーザー光としては、CO
2レーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVO4レーザー、ファイバーレーザー等を用いることが好ましい。また、外装体を構成するシートが、合成樹脂として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等を含む場合、該シートに吸収され該シートを良好に発熱させ得る波長としては、例えば、8.0μm以上15.0μm以下を用いることが好ましく、高出力のレーザー装置が存在するCO
2レーザーの発振波長の9.0μm以上11.0μm以下を用いることが特に好ましい。レーザー光のスポット径、レーザー出力等は、外装体を構成するシートの材質や厚み等を考慮して適宜選択することができる。
【0054】
以上、本発明をその実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
【0055】
例えば、帯状の外装体(シート積層体)は、
図7(a)に示す如き4枚のシートが重ねられたものの他、2枚、3枚又は5枚以上のシートが重ねられたものであっても良い。
また、前記実施形態(態様)における外装体3は、
図3に示すように、腹側部1Aと背側部1Bとで分割されずに、腹側部1A、股下部1C及び背側部1Bに亘る砂時計状等の連続した形状を有していたが、本発明における外装体は、このような連続した形状に制限されず、例えば、着用者の腹側(前側)に配される腹側シート部材と、着用者の背側(後側)に配される背側シート部材とに分割されており、吸収性本体がこれら両シート部材に架け渡して固定されていても良い。このような分割タイプの外装体を具備するパンツ型使い捨ておむつの製造方法における前記重合加圧工程は、吸収性本体が固定された帯状の外装体の前身頃側(帯状の腹側シート部材)と後身頃側(帯状の背側シート部材)とが重ね合わされた構成を有する帯状の外装体におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする。
【0056】
また、前記実施形態では、前記重合加圧工程の実施前に、
図5に示すように、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3a、即ち、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32それぞれの搬送方向に沿う両側部を、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返していたが、帯状の外層シート31として、帯状の内層シート32よりも幅方向(長手方向と直交する方向)の長さが長いものを用い、両シート31,32を重ね合わせたときに内層シート32の側縁から外方に延出する、外層シート31の延出部のみを、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返しても良い。その場合、おむつ連続体10の分断予定部分10Cは、ウエスト開口部8の開口端部及びその近傍が、6枚のシートが重ねられた6層構造部分、それ以外の部分が、4枚のシートが重ねられた4層構造部分となる。また、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3a、即ち、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32それぞれの搬送方向に沿う両側部は、折り畳まなくても良い。
【0057】
また、本発明におけるパンツ型着用物品は、パンツ型使い捨ておむつに限られず、パンツ型の生理用ナプキンであっても良く、また、着用物品の外面を形成する外装体を具備する一方、吸収性本体を具備しない、おむつカバー等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【0058】
前述した本発明の実施形態(態様)に関し、更に以下の付記(パンツ型着用物品)を開示する。
【0059】
<1>
着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部からなり、
前記融着部は、前記サイドシール部が延びる方向と直交する断面において、着用物品の着用者の肌に近い側から遠い側に向かう方向を内外方向Pとし、該内外方向Pに直交する方向を厚さ方向Qとしたときに、厚さ方向Qにおける両端部と、該両端部間における最も着用者の肌に近い内側端部との間の、内外方向Pに沿う距離Dwが、前記内側端部と該融着部の外縁における対向部位との間の、内外方向Pに沿う距離Dc以上である、パンツ型着用物品。
<2>
前記融着部の前記厚さ方向Qにおける両端部は、前身頃側の端部と後身頃側の端部のそれぞれについての前記距離Dwが、いずれも前記距離Dc以上である、<1>に記載のパンツ型着用物品。
<3>
前記距離Dwが前記距離Dcより大きい、<1>又は<2>に記載のパンツ型着用物品。
<4>
前記距離Dwは、前記距離Dcの好ましくは1.3倍以上、更に好ましくは2.0倍以上、一層好ましくは3.0倍以上であり、また、好ましくは8.0倍以下、更に好ましくは4.0倍以下であり、また、好ましくは1.3〜8.0倍であり、更に好ましくは2.0〜4.0倍である、<1>〜<3>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<5>
前記サイドシール部が延びる方向と直交する断面において、前記融着部の前記外縁が、前記内外方向の内方に向かって窪んだ形状を有している、<1>〜<4>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<6>
前記距離Dwが、該距離Dwを2等分する中央位置における前記融着部の厚みTc以上である、<1>〜<5>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<7>
前記距離Dwは、前記厚みTcの5%超であることが好ましく、より好ましくは10%以上であり、また、前記距離Dwは、前記厚みTcの50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下である、<1>〜<6>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<8>
前記サイドシール部は、前記内外方向において、前記内側端部より外方の部位が、該内側端部より内方の部位より破断しやすい、<1>〜<7>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<9>
前記距離Dw又は融着部40の前記距離Dcは、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.0mm未満である、<1>〜<8>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<10>
前記距離Dw及び融着部40の前記距離Dcは、ぞれぞれ、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.0mm未満である、<1>〜<9>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<11>
前記距離Dwが0.05mm以上である、<1>〜<10>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<12>
前記前身頃及び後身頃の厚みは、前記内外方向において、前記内側端部より外方の部位の厚みが、該内側端部より内方の部位の厚みより小さい、<1>〜<11>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<13>
前記シール縁部は、内外方向Pにおける前記融着部より外側に、外装体の構成繊維が繊維形状を残した部分を有しない、<1>〜<12>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<14>
パンツ型着用物品が、パンツ型使い捨ておむつである、<1>〜<13>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
【0061】
〔実施例1〕
図5に示す製造方法に従い、
図1〜
図3に示すおむつ1と同様の基本構成を有するパンツ型使い捨ておむつを作製した。吸収性本体として、市販のパンツ型使い捨ておむつ(花王製、商品名「メリーズパンツ」)の吸収性本体を用い、外装体を構成する外層シー31及び内層シート32として、それぞれ、PPの単一繊維からなる坪量17g/m2のスパンボンド不織布を用いた。実施例1のおむつの製造において、おむつ連続体(外装体連続積層体)の溶断手段としてレーザー光を用い、おむつ連続体におけるサイドシール部の形成予定部位にレーザー光を照射してこれを溶断することにより、サイドシール部を形成した。レーザー光の照射は、
図6に示すレーザー式接合装置と同様の構成の装置を用いて行った。レーザー光としては、CO2レーザーを用い、レーザー出力24W、走査速度280m/sとした。
【0062】
〔実施例2〕
実施例1において、レーザーの走査速度を160m/sとした以外は、実施例1と同様にしてパンツ型使い捨ておむつを作製した。
【0063】
〔比較例1〕
おむつの製造において、レーザー光を用いた溶断に代えて、加熱加圧手段(ヒートロール装置)を用いたヒートシール及びそのヒートシール部(被加圧部)の切断手段による物理的な切断を採用し、それらの手段によってサイドシール部を形成した以外は、実施例1と同様にしてパンツ型使い捨ておむつを作製した。
〔比較例2〕
比較例1において、加熱加圧手段(ヒートロール装置)により形成する融着部の幅を変更した以外は、比較例1と同様にしてパンツ型使い捨ておむつを作製した。
【0064】
〔評価〕
実施例及び比較例の各おむつについて、サイドシール部の横裂けの発生率をそれぞれ下記方法により評価した。その結果を下記表1に示す。
【0065】
〔サイドシール部の横裂けの発生率〕
おむつのウエスト領域の腹側領域と背側領域を把持し、ウエストからレッグに向かって引き裂く際、一度で引き裂くことができなかったものを「横裂け」として分類し、集計した。実施例及び比較例の各おむつについて、測定は40回行い、その「横裂け」の発生率を百分率で表した。
【0066】
【表1】
【0067】
表1から明らかなように、実施例のおむつは、サイドシール部の横裂けの発生率が5%以下と少なかった。これに対し、比較例1及び2は、横裂けの発生率が50%と20%であり、横裂けが比較的多い割合で生じた。これらの結果から、実施例のおむつによれば、サイドシール部の横裂けを効果的に防止できることが判る。