(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189150
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】脚部の伸縮構造、及び、テーブル
(51)【国際特許分類】
A47B 9/00 20060101AFI20170821BHJP
A47B 13/02 20060101ALI20170821BHJP
A47B 91/02 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
A47B9/00 Z
A47B13/02
A47B91/02
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-190511(P2013-190511)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-54188(P2015-54188A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100133307
【弁理士】
【氏名又は名称】西本 博之
(72)【発明者】
【氏名】村松 浩
(72)【発明者】
【氏名】横山 剛
【審査官】
大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3073878(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3140608(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3144444(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 9/00、 9/14、 9/18
A47B 13/00、13/02
A47B 91/02−91/10、91/16
F16B 12/00−12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に配置される脚体と下部に配置される脚体とを備え、
前記上部に配置される脚体及び前記下部に配置される脚体のうちの一方の脚体が、他方の脚体よりも大きな外形を有し、
大きな外形を有する前記一方の脚体は、筒状に形成されるとともに小さな外形を有する前記他方の脚体に対向する側の端部が開放され、前記他方の脚体を内包したときに筒状の内面と前記他方の脚体の外面とが3点以上で当接する形状を有し、
前記一方の脚体が前記他方の脚体を内包することによって短縮状態が形成され、
前記他方の脚体を前記一方の脚体に内包させる際の嵌め込み方向に沿った線を回転軸として前記他方の脚体と前記一方の脚体とを相対回転させ、前記一方の脚体における開放された側の端部が前記他方の脚体と3点以上で当接するように、前記一方の脚体を前記他方の脚体に載置する或は前記他方の脚体を前記一方の脚体に載置することによって伸長状態が形成され、
前記上部に配置される脚体の下端、及び、前記下部に配置される脚体の上端にはそれぞれ第一の凹部が形成され、
前記伸長状態において、前記上部に配置される脚体の前記第一の凹部と前記下部に配置される脚体の前記第一の凹部とが嵌合する、脚部の伸縮構造。
【請求項2】
前記上部に配置される脚体及び前記下部に配置される脚体は、水平断面における外形が互いに相似形である、請求項1に記載の脚部の伸縮構造。
【請求項3】
前記上部に配置される脚体及び前記下部に配置される脚体の少なくともいずれかは、水平断面における外形が、楕円、長円或は多角形である、請求項1又は2に記載の脚部の伸縮構造。
【請求項4】
前記脚体は3つ設けられると共に上下方向に並べて配置され、
最上部に配置される前記脚体である上部脚体の下端には前記第一の凹部が形成され、
最下部に配置される前記脚体である下部脚体の上端には前記第一の凹部が形成され、
前記上部脚体の下部且つ前記下部脚体の上部に配置される前記脚体である中間脚体において、当該中間脚体の一方の端部には、前記上部脚体の前記第一の凹部が嵌合する前記上部脚体用の前記第一の凹部と、前記下部脚体の前記第一の凹部が嵌合する前記下部脚体用の第二の凹部とが形成され、当該中間脚体の他方の端部には、前記下部脚体の前記第一の凹部が嵌合する前記下部脚体用の前記第一の凹部と、前記上部脚体の前記第一の凹部が嵌合する前記上部脚体用の第二の凹部とが形成され、
前記第二の凹部は、前記第一の凹部とは異なる深さを有し、
前記伸長状態において、
前記上部脚体の前記第一の凹部と前記中間脚体に設けられた前記上部脚体用の前記第一の凹部とが嵌合し、前記中間脚体に設けられた前記下部脚体用の前記第一の凹部と前記下部脚体の前記第一の凹部とが嵌合し、
又は、
前記上部脚体の前記第一の凹部と前記中間脚体に設けられた前記上部脚体用の前記第二の凹部とが嵌合し、前記中間脚体に設けられた前記下部脚体用の前記第二の凹部と前記下部脚体の前記第一の凹部とが嵌合する、請求項1から3のいずれか一項に記載の脚部の伸縮構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の脚部の伸縮構造を有する脚部を備えたテーブルであって、
前記脚部は1本であり、
最上部に配置される前記脚体の上端には天板が固定され、
最下部に配置される前記脚体の下端にはベース板が固定される、テーブル。
【請求項6】
前記脚部は、3以上の前記脚体によって構成される、請求項5に記載のテーブル。
【請求項7】
前記最下部に配置される脚体は、前記小さな外形を有する他方の脚体である、請求項5又は6に記載のテーブル。
【請求項8】
前記脚部を構成する前記脚体は、互いに同じ高さを有する、請求項5から7のいずれか一項に記載のテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚部の伸縮構造、及び、脚部を伸縮可能なテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面から天板までの高さを変更可能なテーブルとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載されたテーブルは、天板と、地板と、天板に取り付けられた中間脚と、地板に取り付けられた中間脚とを備えている。このテーブルは、天板側の中間脚と地板側の中間脚との位置が一致するように天板と地板とを重ねることで、高さの高いテーブルとなる。また、天板側の中間脚と地板側の中間脚との位置をずらして天板と地板とを重ねることで、高さの低いテーブルとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3144444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたテーブルにおいて、天板を安定した状態で支持するためには、天板の周縁部に中間脚を複数配置する必要があり、更に、天体側の中間脚に連結される地板の大きさも大きくする必要があり、使い勝手が悪い。また、天板側の中間脚と、地板との位置ずれ等を防止するために、ジョイナーが別途必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、安定した構造を実現し得る脚部の伸縮構造、及び、この伸縮構造を有し少ない脚部の数で安定した構造のテーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る脚部の伸縮構造は、上部に配置される脚体と下部に配置される脚体とを備える。上部に配置される脚体及び下部に配置される脚体のうちの一方の脚体が、他方の脚体よりも大きな外形を有し、大きな外形を有する一方の脚体は、筒状に形成されるとともに小さな外形を有する他方の脚体に対向する側の端部が開放され、他方の脚体を内包したときに筒状の内面と他方の脚体の外面とが3点以上で当接する形状を有する。この伸縮構造において、一方の脚体が他方の脚体を内包することによって短縮状態が形成される。また、他方の脚体を一方の脚体に内包させる際の嵌め込み方向に沿った線を回転軸として他方の脚体と一方の脚体とを相対回転させ、一方の脚体における開放された側の端部が他方の脚体と3点以上で当接するように、一方の脚体を他方の脚体に載置する或は他方の脚体を一方の脚体に載置することによって伸長状態が形成され
、上部に配置される脚体の下端、及び、下部に配置される脚体の上端にはそれぞれ第一の凹部が形成され、伸長状態において、上部に配置される脚体の第一の凹部と前記下部に配置される脚体の第一の凹部とが嵌合する
【0007】
この伸縮構造では、短縮状態において、小さな外形を有する他方の脚体の外面が大きな外形を有する一方の脚体の内面に3点以上で当接することによって脚体同士の位置が定まるため、脚体同士を固定するための固定手段を別途備える必要が無い。また、この伸縮構造をテーブルの脚部に適用した場合、上記のように、短縮状態においては脚体同士の位置が定まるため、脚部を天板の中央部に1本設けるだけで、天板の縁に偏った荷重が作用してもひっくり返り難く、安定したテーブルとなる。
また、伸長状態において、第一の凹部同士を嵌合させるだけで脚体同士の位置決めがされ、第一の凹部以外に脚体同士を固定するための固定手段を別途設けること無く、脚体同士をより強固に連結することができる。また、この伸縮構造をテーブルの脚部に適用した場合、伸長状態においても、天板の縁に偏った荷重が作用してもひっくり返り難く、安定したテーブルとなる。
【0008】
上部に配置される脚体及び下部に配置される脚体は、水平断面における外形が互いに相似形であってもよい。この場合には、短縮状態において、他方の脚体の外面が一方の脚体の内面に面で接触するため、より一層強固に互いの位置決めがされ、安定した状態となる。また、脚体を載置する際に脚体同士の中心の位置合わせが容易となる。更に、小さな外形を有する他方の脚体が、一方の脚体内において回転することが防止される。
【0009】
上部に配置される脚体及び下部に配置される脚体の少なくともいずれかは、水平断面における外形が、楕円、長円或は多角形であってもよい。この場合には、このような外形を有する脚体を用いて、脚部の伸縮構造を実現することができる。
【0011】
この伸縮構造において、脚体は3つ設けられると共に上下方向に並べて配置され、最上部に配置される脚体である上部脚体の下端には第一の凹部が形成され、最下部に配置される脚体である下部脚体の上端には第一の凹部が形成され、上部脚体の下部且つ下部脚体の上部に配置される脚体である中間脚体において、当該中間脚体の一方の端部には、上部脚体の第一の凹部が嵌合する上部脚体用の第一の凹部と、下部脚体の第一の凹部が嵌合する下部脚体用の第二の凹部とが形成され、当該中間脚体の他方の端部には、下部脚体の第一の凹部が嵌合する下部脚体用の第一の凹部と、上部脚体の第一の凹部が嵌合する上部脚体用の第二の凹部とが形成され、第二の凹部は、第一の凹部とは異なる深さを有し、伸長状態において、上部脚体の第一の凹部と中間脚体に設けられた上部脚体用の第一の凹部とが嵌合し、中間脚体に設けられた下部脚体用の第一の凹部と下部脚体の第一の凹部とが嵌合し、又は、上部脚体の第一の凹部と中間脚体に設けられた上部脚体用の第二の凹部とが嵌合し、中間脚体に設けられた下部脚体用の第二の凹部と下部脚体の第一の凹部とが嵌合してもよい。この場合には、
第一の凹部と第二の凹部
とを嵌合させることにより、第一の凹部同士を嵌合させた場合とは異なる嵌合深さとなる。これにより、伸長状態において、嵌合する脚部同士の全体の長さを、第一の凹部同士が嵌合している状態とは異なる長さとすることができる。
【0012】
本発明の他の一側面に係るテーブルは、上記の脚部の伸縮構造を有する脚部を備えたテーブルであって、脚部は1本であり、最上部に配置される脚体の上端には天板が固定され、最下部に配置される脚体の下端にはベース板が固定される。このテーブルは、上記の伸縮構造を有する脚部が設けられているため、1本の脚部のみであっても安定したテーブルとなる。また、脚部が1本であるため、テーブルの足元空間を広くすることができる。
【0013】
上記のテーブルにおいて、脚部は、3以上の脚体によって構成されていてもよい。この場合には、高さが最も高い状態と高さが最も低い状態との間において、積み重ねる脚体の数によってテーブルの高さを複数設定することができる。ここで、2つの脚体によって構成された脚部を有するテーブルと、3つの脚体によって構成された脚部を有するテーブルとを比較する。この2つのテーブルの最も高い高さと最も低い高さとは同じとする。この状態において、3つの脚体を有している場合には、2つの脚体を有する場合に比べて、脚体の第一凹部同士を嵌合させたときに嵌合深さを長くすることができる。例えば、2つの脚体を有するテーブルにおいて、脚体の凹部同士の嵌合深さを深くするとテーブルの高さが低くなってしまうため、高さを確保するためには脚体の高さを高くする必要があり、短縮状態においてテーブルを低くすることができない。このように、3以上の脚体によって脚部を構成することで、テーブルの高低差を確保したままで脚体同士を強固に嵌合させることができ、より安定したテーブルとなる。
【0014】
上記のテーブルにおいて、最下部に配置される脚体は、小さな外形を有する他方の脚体であってもよい。この場合には、テーブルの足元空間を更に広くすることができる。
【0015】
脚部を構成する脚体は、互いに同じ高さを有していてもよい。この場合には、短縮状態において最も脚部の長さを短くすることができる。これにより、テーブルの脚部を短縮状態にした場合と伸長状態にした場合との高低差を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、安定した構造を実現し得る脚部の伸縮構造を提供できる。また、本発明の他の一側面によれば、少ない脚部の数で安定した構造のテーブルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る丸テーブルの伸長状態における斜視図である。
【
図3】
図2に示す丸テーブルを矢印Aの方向に沿って見た図である。
【
図4】
図2に示す丸テーブルを矢印Bの方向に沿って見た図である。
【
図7】
図1に示す丸テーブルの短縮状態における斜視図である。
【
図8】短縮状態における脚部の水平方向の断面図である。
【
図9】変形例に係る丸テーブルの分解斜視図である。
【
図10】
図9に示す丸テーブルの伸長状態における斜視図である。
【
図11】
図9に示す丸テーブルの伸長状態における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1から
図4に示すように、丸テーブル1は、天板10、ベース板20、及び、脚部30を含んで構成される。天板10は、円形の板であり、丸テーブル1の最上部に位置する。ベース板20は、円形の板であり、天板10よりも径が小さい。ベース板20は、丸テーブル1の最下部に位置し、丸テーブル1が倒れないように支持する。
【0020】
天板10とベース板20とは、1本の脚部30によって接続される。脚部30は、天板10の下面の中央位置と、ベース板20の上面の中央位置とを接続する。脚部30は、伸縮構造を有している。
図1は、脚部30を伸ばして伸長状態とした状態の丸テーブル1を示している。なお、脚部30を縮めて短縮状態とした丸テーブル1を、後述の
図7に示している。
【0021】
脚部30は、上部脚体40、中間脚体50、及び、下部脚体60によって構成される。上部脚体40の上端は、天板10の下面の中央位置に固定される。上部脚体40と天板10とは、天板10の上面から差し込んだネジを用いて固定してもよく、或は、L字アングルを用いて固定する等、適宜の方法によって固定することができる。下部脚体60の下端は、ベース板20の上面の中央位置に固定される。上部脚体40の上端を天板10に固定する場合と同様に、適宜の方法により、ベース板20の上面に下部脚体60を固定することができる。
【0022】
上部脚体40は、脚部30の伸長状態において下方に接続される中間脚体50よりも、大きな外形を有する。上部脚体40は、筒状に形成され、水平断面が長方形の枠形状を有する。上部脚体40は、脚部30の伸長状態において中間脚体50に対向する側の端部(下方側の端部)が開放されている。上部脚体40は、例えば、4枚の板を枠状に組み付けることで形成される。上部脚体40の下端において、長辺となる一対の辺には、各辺について2つずつ凹部(第一の凹部)41が設けられる。
【0023】
中間脚体50は、脚部30の伸長状態において下方に接続される下部脚体60よりも、大きな外形を有する。中間脚体50は、筒状に形成され、水平断面が長方形の枠形状を有する。中間脚体50は、脚部30の伸長状態において下部脚体60に対向する側の端部(下方側の端部)が開放されている。中間脚体50は、例えば、4枚の板を枠状に組み付けることで形成される。中間脚体50の上端において、長辺となる一対の辺には、各辺について2つずつ凹部(第一の凹部)51が設けられる。中間脚体50の下端において、長辺となる一対の辺には、各辺について2つずつ凹部(第一の凹部)52が設けられる。
【0024】
下部脚体60は、筒状に形成され、水平断面が長方形の枠形状を有する。下部脚体60は、例えば、4枚の板を枠状に組み付けることで形成される。下部脚体60の上端において、長辺となる一対の辺には、各辺について2つずつ凹部(第一の凹部)61が設けられる。
【0025】
上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60は、互いに相似形となっている。また、上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60の高さは、互いに等しい。
【0026】
まず、脚部30を伸長状態にする場合について説明する。
図1に示すように、中間脚体(一方の脚体)50と下部脚体(他方の脚体)60とが3点以上(本実施形態では4点)で当接するように、中間脚体50を下部脚体60に載置する。ここで、下部脚体60において、中間脚体50との当接位置に凹部61が設けられている。同様に、中間脚体50において、下部脚体60との当接位置に凹部52が設けられている。これにより、中間脚体50を下部脚体60に載置したときに、中間脚体50の凹部52と下部脚体60の凹部61とが互いに嵌合する。
【0027】
なお、
図5に示すように、中間脚体50を下部脚体60に載置する場合、中間脚体50における長方形の枠形状の長辺と、下部脚体60における長方形の枠形状の長辺とが互いに直交するように中間脚体50と下部脚体60とが配置される。また、中間脚体50と下部脚体60との中心同士が一致するように、中間脚体50が下部脚体60に載置される。
【0028】
更に、脚部30が伸長状態である場合、上部脚体(一方の脚体)40と中間脚体(他方の脚体)50とが3点以上(本実施形態では4点)で当接するように、上部脚体40を中間脚体50に載置する。ここで、中間脚体50において、上部脚体40との当接位置に凹部51が設けられている。同様に、上部脚体40において、中間脚体50との当接位置に凹部42が設けられている。これにより、上部脚体40を中間脚体50に載置したときに、上部脚体40の凹部41と中間脚体50の凹部51とが互いに嵌合する。
【0029】
なお、
図6に示すように、上部脚体40を中間脚体50に載置する場合、上部脚体40における長方形の枠形状の長辺と、中間脚体50における長方形の枠形状の長辺とが互いに直交するように上部脚体40と中間脚体50とが配置される。また、上部脚体40と中間脚体50との中心同士が一致するように、上部脚体40が中間脚体50に載置される。
【0030】
このように、凹部同士を互いに嵌合させながら中間脚体50を下部脚体60に載置し、凹部同士を互いに嵌合させながら上部脚体40を中間脚体50に載置することで脚部30の伸長状態が形成される。脚部30が伸長状態である場合、例えば、丸テーブル1の高さが700mmとなるように、脚部30の各脚体の長さを設定することができる。
【0031】
次に、脚部30を短縮状態にする場合について説明する。
図7及び
図8に示すように、上部脚体40は、中間脚体50を内包することができる。具体的には、上部脚体40における長方形の枠形状の長辺と、中間脚体50における長方形の枠形状の長辺とが互いに平行となるように上部脚体40と中間脚体50とを配置し、上部脚体40の下端側から上部脚体40内に中間脚体50を嵌め込む。上部脚体40は、中間脚体50を内包したときに、上部脚体40の筒状の内面と中間脚体50の外面とが3点以上で当接可能となっている。本実施形態においては、上部脚体40と中間脚体50とが相似形であるため、上部脚体40の筒状の内面と中間脚体50の外面とが面で当接する。
【0032】
同様に、中間脚体50は、下部脚体60を内包することができる。具体的には、中間脚体50における長方形の枠形状の長辺と、下部脚体60における長方形の枠形状の長辺とが互いに平行となるように中間脚体50と下部脚体60とを配置し、中間脚体50の下端側から中間脚体50内に下部脚体60を嵌め込む。中間脚体50は、下部脚体60を内包したときに、中間脚体50の筒状の内面と下部脚体60の外面とが3点以上で当接可能となっている。本実施形態においては、中間脚体50と下部脚体60とが相似形であるため、中間脚体50の筒状の内面と下部脚体60の外面とが面で当接する。
【0033】
脚部30を短縮状態にした場合、上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60が互いに同じ高さであるため、上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60の上端がそれぞれ天板10の下面に当接し、上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60の下端がベース板20の上面に当接する。短縮状態における脚部30の長さ(天板10及びベース板20間の長さ)は、上部脚体40(或いは、中間脚体50又は下部脚体60)の高さとなる。脚部30が短縮状態である場合、例えば、丸テーブル1の高さが350mmとなるように、脚部30の各部の長さを設定することができる。
【0034】
ここで、脚部30を伸長状態と短縮状態とに切り替える場合について説明する。上部脚体40及び中間脚体50について伸長状態と短縮状態とを切り替える場合、中間脚体50を上部脚体40に内包させる際の嵌め込み方向に沿った線を回転軸L(
図2、
図5、
図6及び
図8参照)として上部脚体40と中間脚体50とを相対回転させる。そして、上部脚体40における長方形の枠形状の長辺と、中間脚体50における長方形の枠形状の長辺とを互いに直交させて上部脚体40を中間脚体50に載置することで伸長状態が形成される。また、上部脚体40における長方形の枠形状の長辺と、中間脚体50における長方形の枠形状の長辺とが互いに平行となるように両者を配置し、中間脚体50を上部脚体40に内包することで短縮状態が形成される。
【0035】
同様に、中間脚体50及び下部脚体60について伸長状態と短縮状態とを切り替える場合、下部脚体60を中間脚体50に内包させる際の嵌め込み方向に沿った線を回転軸Lとして中間脚体50と下部脚体60とを相対回転させる。そして、中間脚体50における長方形の枠形状の長辺と、下部脚体60における長方形の枠形状の長辺とを互いに直交させて中間脚体50を下部脚体60に載置することで伸長状態が形成される。また、中間脚体50における長方形の枠形状の長辺と、下部脚体60における長方形の枠形状の長辺とが互いに平行となるように両者を配置し、下部脚体60を中間脚体50に内包することで短縮状態が形成される。
【0036】
本実施形態は以上のように構成され、脚部30に適用される伸縮構造では、短縮状態において、下部脚体60の外面が中間脚体50の内面に3点以上で当接する、及び、中間脚体50の外面が上部脚体40の内面に3点以上で当接することによって脚体同士の位置が定まるため、脚体同士を固定するための固定手段を別途備える必要が無い。また、脚部30の短縮状態においては脚体同士の位置が定まるため、脚部30を天板10の中央部に1本設けるだけで、天板10の縁に偏った荷重が作用してもひっくり返り難く、安定した丸テーブル1となる。また、脚部が1本であるため、テーブルの足元空間を広くすることができる。
【0037】
上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60は互いに相似形となっている。このため、脚部30の短縮状態において、下部脚体60の外面が中間脚体50の内面に面で当接し、及び、中間脚体50の外面が上部脚体40の内面に面で当接し、より一層強固に脚体同士の位置決めがされ、安定した丸テーブル1となる。また、中間脚体50を下部脚体60に載置する際、及び、上部脚体40を中間脚体50に載置する際に、脚体が互いに相似形であるため、脚体同士の中心の位置合わせが容易となる。更に、中間脚体50に内包された下部脚体60が中間脚体50内で回転することが防止される。同様に、上部脚体40に内包された中間脚体50が上部脚体40内で回転することが防止される。
【0038】
脚部30の伸長状態において、上部脚体40の凹部41と中間脚体50の凹部51とを嵌合させ、中間脚体50の凹部52と下部脚体60の凹部61とを嵌合させる。この場合には、凹部同士を嵌合させるだけで上部脚体40と中間脚体50との位置決め、及び、中間脚体50と下部脚体60との位置決めがされ、これらの凹部41、51、52及び61以外に脚体同士を固定するための固定手段を別途設けること無く、脚体同士をより強固に連結することができる。また、脚部30の伸長状態において、天板10の縁に偏った荷重が作用してもひっくり返り難く、安定した丸テーブル1となる。
【0039】
ここで、2つの脚体によって構成された脚部を有する丸テーブルと、実施形態のように3つの脚体(上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60)によって構成された脚部30を有する丸テーブル1とを比較する。この2つの丸テーブルの最も高い高さと最も低い高さとは同じとする。この状態において、実施形態のように3つの脚体を有している場合には、2つの脚体を有する場合に比べて、脚体の凹部同士(凹部41等)を嵌合させたときに嵌合深さを長くすることができる。例えば、2つの脚体を有する丸テーブルにおいて、脚体の凹部同士の嵌合深さを深くするとテーブルの高さが低くなってしまうため、高さを確保するためには脚体の高さを高くする必要があり、短縮状態において丸テーブルを低くすることができない。このように、実施形態のように3以上の脚体によって脚部30を構成することで、テーブルの高低差を確保したままで脚体同士を強固に嵌合させることができ、より安定した丸テーブル1となる。
【0040】
脚部30の最下部に配置される脚体は、小さな外形を有する下部脚体60とすることで、丸テーブル1の足元空間を更に広くすることができる。
【0041】
脚部30を構成する上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60を互いに同じ高さとする。この場合には、脚部30を短縮状態にしたときに、最も脚部30の長さを短くすることができる。これにより、丸テーブル1の脚部30を短縮状態にした場合と伸長状態にした場合との高低差を大きくすることができる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、下部脚体60に中間脚体50を載置し、更に、中間脚体50に上部脚体40を載置するものとしたが、下部脚体60が中間脚体50に内包されている状態で、中間脚体50に上部脚体40を載置してもよい。また、脚部30を、上部脚体40、中間脚体50及び下部脚体60の3つの脚体によって構成したが、4つ以上の脚体によって構成してもよい。このように、脚部30を3つ以上の脚体で構成することで、積み重ねる脚体の数を変更することで丸テーブル1の高さ複数設定することができる。
【0043】
次に、脚部の伸長状態における長さを変更可能な変形例について説明する。
図9に示すように、丸テーブル1Aは、実施形態における丸テーブル1の中間脚体50とは構成が異なる中間脚体50Aを有しており、他の構成は実施形態における丸テーブル1と同じである。
図9に示すように、中間脚体50Aには、中間脚体50と同様に、凹部51及び凹部52が設けられている。更に、中間脚体50Aには、凹部51に隣接して、凹部51よりも深さの深い凹部(第二の凹部)53が設けられている。また、中間脚体50Aには、凹部52に隣接して、凹部52よりも深さの深い凹部(第二の凹部)54が設けられている。
【0044】
凹部51と凹部54とは、高さ方向の位置が一致している。また、凹部52と凹部53とは高さ方向の位置が一致している。従って、中間脚体50Aの上下を変更して凹部54側を上方に向けることで、上部脚体40の凹部41と中間脚体50Aの凹部54とを嵌合させ、中間脚体50Aの凹部53と下部脚体60の凹部61とを嵌合させることができる。
【0045】
例えば、
図10に示すように、実施形態における丸テーブル1と同様に、上部脚体40の凹部41と中間脚体50Aの凹部51とを嵌合させ、中間脚体50Aの凹部52と下部脚体60の凹部61とを嵌合させる。脚部30の伸長状態において、中間脚体50Aの長さを変更する場合、
図11に示すように、中間脚体50Aの上下を変更して凹部54側を上方に向けた後、上部脚体40の凹部41と中間脚体50Aの凹部54とを嵌合させ、中間脚体50Aの凹部53と下部脚体60の凹部61とを嵌合させる。このように、深さの深い凹部54及び凹部53に上部脚体40の凹部41及び下部脚体60の凹部61を嵌合させることで、
図10に示す場合に比べて、丸テーブル1Aの高さが低くなる。
【0046】
以上のように、中間脚体50Aに凹部51及び凹部52とは深さの異なる凹部53及び凹部54を設け、嵌合させる凹部を切り替えることで、脚部30の全体の長さを変更することができ、丸テーブル1Aの高さを容易に変えることができる。
【0047】
また、上記実施形態及び変形例では、脚部30を構成する上部脚体40、中間脚体50、中間脚体50A及び下部脚体60は長方形の枠形状を有するものとしたが、これ以外の形状であってもよい。例えば、水平断面における外形が、楕円、長円或は多角形であってもよい。この場合には、このような外形を有する脚体を用いて、脚部30の伸縮構造を実現することができる。
【0048】
また、上部脚体40と中間脚体50とを、及び、中間脚体50と下部脚体60とをネジを用いて連結してもよい。この場合には、脚体同士をより一層強固に連結することができる。例えば、脚体同士を連結する場合、枠形状の脚体の内側からネジを用いて脚体同士を連結することができる。またベース板20の中央部に設けられた孔から手を入れて、脚体の内側からネジを用いて脚体同士を連結することができる。脚体の内側からネジを用いて脚体同士を連結することで、ネジが外部に露出せず、意匠性が良い。
【0049】
また、上記実施形態及び変形例では、伸縮構造を有する脚部30を丸テーブル1に適用したが、例えば、高さを変更可能なイスなど、丸テーブル1以外のものに適用することもできる。また、天板10が丸い丸テーブル1に限らず、四角形など他の天板形状を有するテーブルに脚部30を適用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A…丸テーブル、10…天板、20…ベース板、30…脚部、40…上部脚体(最上部に配置される脚体)、41…凹部(第一の凹部)、50,50A…中間脚体、51,52…凹部(第一の凹部)、53,54…凹部(第二の凹部)、60…下部脚体(最下部に配置される脚体)、61…凹部(第一の凹部)。