特許第6189169号(P6189169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189169
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】シロアリ駆除剤の有効成分評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/15 20060101AFI20170821BHJP
   A01N 47/34 20060101ALI20170821BHJP
   A01N 47/02 20060101ALI20170821BHJP
   A01N 41/10 20060101ALI20170821BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20170821BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20170821BHJP
   A01M 1/02 20060101ALI20170821BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G01N33/15 Z
   A01N47/34 G
   A01N47/02
   A01N41/10 Z
   A01P7/04
   A01N25/00 102
   A01M1/02 B
   A01M1/20 A
   G01N33/15 C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-215556(P2013-215556)
(22)【出願日】2013年10月16日
(65)【公開番号】特開2015-78877(P2015-78877A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年9月14日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構、イノベーション創出基礎的研究推進事業における「シロアリの卵運搬本能を利用した擬似卵型駆除剤の実用化」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】390000527
【氏名又は名称】住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
(72)【発明者】
【氏名】松浦 健二
(72)【発明者】
【氏名】日室 千尋
(72)【発明者】
【氏名】横井 智之
(72)【発明者】
【氏名】安芸 誠悦
(72)【発明者】
【氏名】野口 裕志
【審査官】 西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−194007(JP,A)
【文献】 特開2004−123691(JP,A)
【文献】 特開2012−077054(JP,A)
【文献】 特開昭58−154501(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/059054(WO,A1)
【文献】 特表2007−523172(JP,A)
【文献】 特開2011−062080(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0108585(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00−33/46
A01M 1/00−99/00
A01N 1/00−65/48
A01P 1/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径5cmのろ紙つきシャーレ内に、ヤマトシロアリの卵エキスと殺虫活性成分を塗布した直径0.4〜0.6mmのガラスビーズ20個およびヤマトシロアリの卵5個をばらばらに配置させて、健康なヤマトシロアリ職蟻10頭をこのシャーレ内に放虫したとき、放虫24時間後に上記のガラスビーズとヤマトシロアリの卵が一緒になった卵塊が形成され、さらに放虫2週間後におけるヤマトシロアリ職蟻の死虫率が80%以上であり、かつこの殺虫活性成分0.2μg含有するメタノール溶液1μLを健康なヤマトシロアリ職蟻の口器部分に投与してから直径5cmのろ紙つきシャーレ内に放虫するとき、放虫後2週後にヤマトシロアリ職蟻の死虫率が100%になる試験法を適用することを特徴とする、シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を簡便に見出す評価方法。
【請求項2】
請求項1の評価方法が、擬似卵運搬によるシロアリ駆除法の殺虫活性成分を見出す方法であることを特徴とする評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疑似卵運搬によるシロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を簡便に見出すことのできる評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主に実用化されているシロアリ駆除法としては、カーバメート系化合物、ピレスロイド系化合物等の殺虫活性成分を含有する製剤をシロアリで被害を受けた箇所やシロアリが家屋に侵入する箇所等に散布する方法があるが、この方法ではシロアリの巣ごと壊滅させることは難しい。一方、シロアリの巣ごと壊滅させるシロアリ駆除法として昆虫成長制御剤を混入した餌をシロアリに摂食させてシロアリ駆除を行うベイト工法が挙げられる。ベイト工法では、限定的に薬剤を使用するので環境を汚染しないという長所がある反面、シロアリを駆除するのに2,3か月もかかるという欠点があった。
【0003】
近年、殺虫活性成分をシロアリ巣の中枢に効率よく運搬させる方法として、擬似卵運搬によるシロアリ駆除法(以下、本シロアリ駆除法という)が開示されており、本シロアリ駆除法に適用するためのシロアリ駆除組成物が開示されている。疑似卵とは殺虫活性成分とシロアリの卵エキスを塗布または含有させた粒子である。これによれば、擬似卵の運搬を阻害しない範囲でピレスロイド化合物、有機リン化合物、カーバメート化合物等の殺虫活性成分を使用できると記載されている。しかしながら、実際に適用できる殺虫活性成分については、具体的にどのような殺虫活性成分が適するのか、またその薬量範囲についても明らかにされていなかった。本シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を見出すためには、評価すべき殺虫活性成分を用いて、シロアリ巣を駆除できるかどうかを評価することになる。そのためには、実験材料となるシロアリ巣を数多く準備する必要がある。このシロアリ巣を準備する方法としては、シロアリの餌を収納した容器にヤマトシロアリ職蟻400頭以上を放虫させて、一ヶ月以上常温で放置させることにより、シロアリ巣を構築させる。このように準備したシロアリ巣を用いて評価すれば確実に本シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を見出せるが、実験材料となるシロアリ巣を準備するのに大変な手間と時間を必要とし、大変効率の悪い方法といえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−342149号公報
【特許文献2】特開2008−194007号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「創立五十年誌」、第5章防除技術の変遷、社団法人日本しろあり対策協会、平成21年3月25日発行、p31−35
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、手間と時間のかかるシロアリ巣を用いずに、シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を簡便に見出すことのできる評価方法を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、
(1)直径5cmのろ紙つきシャーレ内に、ヤマトシロアリの卵エキスと殺虫活性成分を塗布した直径0.4〜0.6mmのガラスビーズ(疑似卵)20個およびヤマトシロアリの卵5個をばらばらに配置させて、健康なヤマトシロアリ職蟻10頭をこのシャーレ内に放虫したとき、放虫24時間後に上記のガラスビーズとヤマトシロアリの卵が一緒になった卵塊が形成され、さらに放虫2週間後におけるヤマトシロアリ職蟻の死虫率が80%以上であり、かつこの殺虫活性成分0.2μg含有するメタノール溶液1μLを健康なヤマトシロアリ職蟻の口器部分に投与してから直径5cmのろ紙つきシャーレ内に放虫するとき、放虫後2週後にヤマトシロアリ職蟻の死虫率が100%になる試験法を適用することを特徴とする、シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を簡便に見出す評価方法、
(2)上記の評価方法が、擬似卵運搬によるシロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を見出す方法であることを特徴とする評価方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、手間と時間のかかるシロアリ巣を用いずに、簡便な評価方法で本シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を見出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ガラスビーズに塗布または含有する殺虫活性成分は、そのまま塗布または含有させることが困難であるため、シロアリに対し疑似卵の運搬を阻害させない溶剤による希釈剤か、特殊な製剤にすることが望ましい。そのような溶剤として、例えば、水、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、グリセリン等のグリコール系溶剤、シリコーンオイル等のシリコン系溶剤等が挙げられるが、シロアリに対して擬似卵の運搬を阻害させない溶剤であればよい。
【0010】
疑似卵の運搬を阻害させない特殊な製剤としては、乳剤、水性乳剤、活性成分の微粉末や微粒子分を分散剤や増粘剤等で水中に分散させた水性懸濁剤、微粒子や微粉末を溶剤で溶解させて、ウレタン等の高分子樹脂で有効成分を包み込み、その粒子を分散剤、増粘剤等を配合させて水中に分散させるマイクロカプセル製剤等が挙げられる。
【0011】
本発明の駆除の対象となるシロアリの種類は、世界中で木材類、紙類、家屋・ビル類、堤防、森林、農作物、配管・ケーブル類等を加害するシロアリ目に属するシロアリ類すべてに適用できる。
【0012】
本シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分を見出すための簡便な評価方法としては、以下の1、2および3の評価項目すべて満足するような方法であることが必要である。
評価項目:
1:試験開始から24時間までは、擬似卵の運搬を阻害しないこと。
2:試験開始から2週間後には、シロアリの死虫率が80%以上であること。
3:シロアリの口器に0.2μgの殺虫活性成分を与えると、2週間後に100%の致死率が得られること。
上記1、2の評価項目を満足する簡便な試験法としては、直径5cmのろ紙つきシャーレ内にヤマトシロアリの卵エキスと殺虫活性成分を塗布した直径0.4〜0.6mmのガラスビーズ20個およびヤマトシロアリの卵5個をばらばらに配置させて、健康なヤマトシロアリ職蟻10頭をこのシャーレ内に放虫することで、簡単に試験することができる。1の評価項目については、ガラスビーズとヤマトシロアリの卵が一緒になった卵塊が形成されることで評価することができる。もし評価する殺虫活性成分が擬似卵の運搬を阻害する場合にはこのような卵塊は形成されない。2の評価項目については、シロアリが擬似卵を運搬する行動をとることで、擬似卵に塗布・含有している殺虫活性成分がシロアリに伝播してシロアリを死亡させる効果を期待し、80%以上の死虫率を与える殺虫活性成分が必要である。
【0013】
次に上記3の評価項目についての試験法としては、殺虫活性成分もしくはその成分を含有する製剤をメタノールで希釈して、殺虫活性成分の薬量を0.2μg含有するメタノール溶液1μLを、健康なヤマトシロアリ職蟻の口器部分に投与してから、直径5cmのろ紙つきシャーレ内に放虫し、放虫後2週後にヤマトシロアリ職蟻の死虫率を求めるという簡単な方法である。その結果、死虫率100%となる殺虫活性成分が、本シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分となる。
【0014】
以下に実地例を示して本発明をさらに具体的かつ詳細に説明するが、実施例はあくまでも例示説明であり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0015】
(実施例1)
本シロアリ駆除法に用いられるシロアリ駆除剤を以下のようにして調製した。
アクセル(登録商標)フロアブル(有効成分メタフルミゾン)25%含有、日本農薬株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が25.0、5.0、0.5、0.25または0.05重量%となるように調整した水希釈液1gを底部直径2cm高さ2.5cmのビーカー内にある5万個の直径0.5mmのガラスビーズに滴下し、充分に攪拌させた。そこに、卵認識フェロモンとして、ヤマトシロアリの卵5個とグリセン10%含有水溶液1gを加えて、さらに充分に攪拌させることにより、擬似卵1粒当たりメタフルミゾン5.0、1.0、0.1、0.05または0.01μgを含有するシロアリ駆除法に用いられるシロアリ駆除剤を得た。
【0016】
(実施例2)
アジェンダ(登録商標)SC(有効成分フィプロニル9.1%含有、バイエルクロップサイエンス株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が0.15、0.05または0.01重量%となるように調整した水希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.03、0.01または0.002μgを含有する本シロアリ駆除法に用いられるシロアリ駆除剤を得た。
【0017】
(実施例3)
フェニックス(登録商標)顆粒水和剤(有効成分フルベンジアミド20%含有、日本農薬株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が0.5または0.25重量%となるように調整した水希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.1または0.05μgを含有する本シロアリ駆除法に用いられるシロアリ駆除剤を得た。
【0018】
(比較例1)
プレオ(登録商標)フロアブル(有効成分:ピリダリル10%含有製剤、住友化学株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が10、5または1重量%となるように調整した水希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分2.0、1.0または0.2μgを含有する比較例のシロアリ駆除剤を得た。
【0019】
(比較例2)
ヒドラメチルノン20重量部、ニューカルゲンFS−26(竹本油脂株会社製)5重量部、イオン交換水50重量部を混合し、グレンミルによって120分間粉砕した。さらにケルザンS(ケルコ社製)0.25重量部、イオン交換水24.75重量部を加えて30分間攪拌することにより、ヒドラメチルノン20重量%含有する製剤を得た。この製剤を水で希釈して、有効成分含量が5.0、2.5または0.25重量%となるように調整した水希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分1.0、0.5または0.05μgを含有する比較例のシロアリ駆除剤を得た。
【0020】
(比較例3)
ステルス(登録商標)SC(有効成分:クロルフェナピル21%含有製剤、BASFジャパン株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が1.0、0.5または0.1重量%となるように調整した水希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.2、0.1または0.02μgを含有する比較例のシロアリ駆除剤を得た。
【0021】
(比較例4)
ミケブロック(登録商標)(有効成分ジノテフラン20%含有、三井化学アグロ株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が0.1、0.05、0.01重量%となるように調整した水希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.02、0.01または0.002μgを含有する比較例のシロアリ駆除剤を得た。
【0022】
(比較例5)
アペリオン(登録商標)「ES」(有効成分インドキサカルブ14.5%含有、住化エンビロサイエンス株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が0.1、0.05または0.01重量%となるように調整した希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.02、0.01または0.002μgを含有する比較例のシロアリ駆除剤を得た。
【0023】
(比較例6)
サイゴー乳剤「ES」(有効成分ペルメトリン10.0%含有、住化エンビロサイエンス株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が0.1、0.05または0.01重量%となるように調整した希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.02、0.01または0.002μgを含有する比較例のシロアリ駆除剤を得た。
【0024】
(比較例7)
スミチオン(登録商標)10FL「ES」(有効成分フェニトロチオン10.0%含有、住化エンビロサイエンス株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が0.5、0.25または0.05重量%となるように調整した希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.1、0.05または0.01μgを含有する比較例のシロアリ駆除剤を得た。
【0025】
(比較例8)
バクトップ(登録商標)MC「ES」(有効成分フェノブカルブ15.0%含有、住化エンビロサイエンス株式会社製)を水で希釈して、有効成分含量が0.5、0.25または0.05重量%となるように調整した希釈液1gを、実施例1と同じようにして擬似卵1粒当たり有効成分0.1、0.05または0.01μgを含有する比較例のシロアリ駆除剤を得た。
【0026】
(試験例1)
水を適量含ませた直径5cmの濾紙付シャーレ(ADVANTEC(登録商標) PD−47B、東洋濾紙株式会社製)に、実施例1〜3および比較例1〜8のシロアリ駆除剤20個をばらばらに配置し、さらにヤマトシロアリの卵5個を同様にばらばらに配置し、ヤマトシロアリ職蟻10頭を放虫して、24時間後における卵塊形成の有無、ヤマトシロアリ職蟻のノックダウン率および2週間後の死虫率を求めた。反復は4回とした。結果を表1に示す。判定方法は以下の通りである。24時間後の卵塊形成が有であり、かつ2週間後に80%以上の死虫率を満たす場合に判定結果の欄に丸印をつけ、満たさない場合は×印をつけた。
【0027】
(1)24時間後の卵塊形成の有無:
供試虫を放虫してから24時間後に擬似卵が運搬されて一カ所に塊として形成された場合に「有」、擬似卵が運搬されずに塊が見られない場合に「無」と表記した。
(2)2週間後の死虫率:
供試虫を放虫してから2週間後の死虫率を、以下の式で求めた。
死虫率(%)=(2週間目の時点で死亡しているヤマトシロアリ職蟻の数)÷(最初に供試したヤマトシロアリ職蟻の数)× 100
【0028】
【表1】
【0029】
表1より、本シロアリ駆除法に適する殺虫活性成分としては、一つ以上の丸印のある実地例1〜3および比較例1、2の5点が判定基準を満たした。
【0030】
(試験例2)
実施例1〜3および比較例1、2に記載の製剤を所定濃度となるようにメタノールで希釈した希釈液1μLをヤマトシロアリ職蟻の口器部分に塗布して、水を適量含ませた直径5cmの濾紙付シャーレ(ADVANTEC(登録商標) PD−47B、東洋濾紙株式会社製)内に放虫して蓋をして、室温で2週間放置した。その後死虫率を求め、100%の致死率を示す最少薬量を求めた。反復は20回とした。試験結果を表2の試験例(2)のA欄に示した。
【0031】
(試験例3)
スプルース等の木粉を餌とし、角型ケース(221×141×37mm)内に、ヤマトシロアリ約400個体を放虫して1ヵ月以上室温に放置させて人工巣を構築させた。次に、実施例1〜3および比較例1〜8のシロアリ駆除剤約5000個を上述の人工巣内の蟻道付近に配置させた。これらのシロアリ駆除剤の薬量設定については次の通りとした。殺虫活性成分については試験例1の判定結果が丸印の薬量とし、比較例3〜8については試験例1で卵塊形成が認められた薬量とし、これらの結果を表2の試験例(3)のB欄に示した。判定方法については、放虫2週間後における人工巣内のヤマトシロアリの死虫率が60%以上の場合、その巣が正常に機能しないことから、巣駆除が成功したものと判定した。試験結果を表2の試験例(3)の巣駆除の欄に示した。また、A欄とB欄の薬量の比率を、表2のB/Aの比率(倍)の欄に示し、擬似卵用の基材に塗布・含有させる殺虫活性成分の薬量が、ヤマトシロアリ1頭を致死させる最小薬量の何倍程度であるかを示した。
【0032】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明から見出される殺虫活性成分を用いることにより、シロアリによる被害を効果的に防止することができる。