(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(A)の含有量が、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対して0.05質量%以上1.5質量%以下である、請求項1または2に記載の電気シェーバー用シェービング剤。
前記成分(B)の含有量が、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対して0.05質量%以上3質量%以下である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の電気シェーバー用シェービング剤。
前記成分(C)の含有量が、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対して70質量%以上である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の電気シェーバー用シェービング剤。
当該電気シェーバー用シェービング剤の使用者が、電気シェーバーまたは肌のいずれの箇所に当該電気シェーバー用シェービング剤を適用するかを選択し、選択した前記箇所に適用して用いられる、請求項1乃至6いずれか一項に記載の電気シェーバー用シェービング剤。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
本実施形態において、電気シェーバー用シェービング剤は、以下の成分(A)、(B)および(C)を含有する組成物である。
(A)アクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体、
(B)数平均分子量が2×10
2より大きく2.5×10
3以下のポリプロピレングリコール、および
(C)水。
また、本実施形態の電気シェーバー用シェービング剤において、粘度が1×10
3mPa・s以上4×10
4mPa・s以下である。
【0014】
本実施形態においては、特定の成分(A)〜(C)を組み合わせて用いる。とくに、成分(B)のポリプロピレングリコールとして、数平均分子量が特定の範囲にあるものを選択して用いている。この成分(B)は、肌へのなじみが良く、かつ、水ともなじみやすい極性油剤である。このような成分(B)を、増粘剤および高分子潤滑剤として機能する成分(A)と組み合わせて用いることにより、電気シェーバーの滑り性を向上させるとともに、肌への負担を軽減することができる。この理由は必ずしも明らかではないが、以下によるものと推察される。
(i)成分(B)が肌に吸着して保護層を形成すること、および、
(ii)成分(A)と成分(B)との相乗効果によりシェーバーヘッドの滑りの持続性が向上すること。
このうち、上記(i)については、成分(B)を含む保護層は、シェービング時にシェーバーの刃から肌を保護するとともに、すすぎ時に肌の上に残存して肌への刺激を低減する機能を有する。かかる機能を有する保護層が形成されるために、たとえば、髭剃り後の肌のひりひり感を抑制することや、髭剃り後の肌の潤い感を向上させることも可能となる。
また、上記(ii)により、シェーバーヘッドの滑りの持続性が向上するため、たとえば、剃り残しの発生を抑制することや、優れた深剃り感を得ることも可能となる。
また、本実施形態におけるシェービング剤は、成分(C)の水を含むため、髭等を柔軟化してそり残しの発生を抑えることができる。
さらに、本実施形態においては、電気シェーバー用シェービング剤の粘度が特定の範囲に設定されており、また、成分(B)が水になじみやすい。このため、シェービング時にはシェーバーヘッドの滑りを充分に得るとともに、シェーバーヘッドへの負荷を低減することができる。また、シェービング後においてはシェーバーからシェービング剤を洗い流しやすい。
以下、各成分をさらに具体的に説明する。
【0015】
成分(A)のアクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体は、アクリル酸と炭素数10〜30のメタクリル酸アルキルとの共重合体(INCI名:アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))であり、1種または2種以上を用いることができる。成分(A)として、具体的には、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2、カーボポールETD 2020、カーボポール1382、Ultrez 20、Ultrez 21(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)などの市販品を使用することができる。
【0016】
成分(A)は、シェービング剤中での成分(A)の安定性を高める観点、及び潤滑性を高め、シェーバーの滑りやすさを高める観点から、本実施形態における電気シェーバー用シェービング剤中で、中和され、その一部あるいは全部が塩を形成していることが好ましい。塩としては、アルカノールアミン塩、アミノ酸塩、アンモニウム塩、アルカリ金属塩等が挙げられる。成分(A)を中和する塩基は限定されないが、たとえば、アルカノールアミンや塩基性アミノ酸等の有機塩基化合物;およびアンモニア、水酸化アルカリ金属等の無機塩基化合物から選択される1種以上が挙げられる。アルカノールアミンの具体例として、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例として、アルギニン、リジン、ヒスチジン等が挙げられる。水酸化アルカリ金属の具体例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。これらの中で、シェービング剤中での成分(A)の安定性を高める観点、および潤滑性を高め、シェーバーの滑りやすさを高める観点から、無機塩基化合物が好ましく、さらには水酸化アルカリ金属が好ましい。
中和をするための塩の量は、シェービング剤中での成分(A)の安定性を高める観点、および潤滑性を高め、シェーバーの滑りやすさを高める観点から、電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば0.01質量%以上、好ましくは0.035質量%以上である。同様の観点から、電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば2.5質量%以下、好ましくは1.65質量%である。
また、成分(A)の中和率は、同様の観点から、たとえば50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。同様の観点から、たとえば150%以下、好ましくは130%以下、さらに好ましくは120%以下である
さらに、電気シェーバー用シェービング剤中の成分(A)と塩の質量比(成分(A)/塩)は、同様の観点から、たとえば0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.75以上である。同様の観点から、電気シェーバー用シェービング剤中の成分(A)と塩の質量比(成分(A)/塩)はたとえば10以下、好ましくは7以下であり、さらに好ましくは5.5以下である。
【0017】
成分(A)の含有量は、シェーバーの滑りの持続性を向上させる観点から、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上である。また、シェーバーへの負荷を低減する観点から、成分(A)の含有量は、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば1.5質量%以下、好ましくは1.2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0018】
成分(B)は、ポリプロピレングリコールであり、特定の数平均分子量を有する。成分(B)は極性油剤として用いられる。
成分(B)の数平均分子量は、シェーバーの滑り性を向上させるとともに、肌への負担を減らす観点から、2×10
2より大きく、好ましくは2.5×10
2以上であり、さらに好ましくは3×10
2以上である。また、シェーバーへの負荷を軽減する観点から、成分(B)の数平均分子量は、2.5×10
3以下であり、好ましくは2.3×10
3以下であり、さらに好ましくは2×10
3以下である。
ここで、成分(B)の数平均分子量は、ポリスチレンを標準試料とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatography:GPC)により測定される値である。具体的な測定条件については実施例の項にて後述する。
【0019】
成分(B)の含有量は、シェーバーの滑りの持続性および肌への負担の抑制の観点から、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上、さらにより好ましくは0.3質量%以上である。また、シェーバーの滑りやすさとシェーバーへの負荷の低減とのバランスの観点から、成分(B)の含有量は、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば3質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、さらにより好ましくは1.3質量%以下である。
【0020】
本実施形態において、成分(A)と成分(B)との質量比((B)/(A))は、肌への負担を低減する観点から、(B)/(A)をたとえば0.1以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上とする。また、シェーバーの滑りの持続性を向上させる観点から、(B)/(A)をたとえば8以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下とする。
【0021】
成分(C)は、水である。水は、たとえば電気シェーバー用シェービング剤の全体中、他の成分を除いた残部とすることができる。また、成分(C)の含有量は、髭を湿潤させて柔軟化する観点から、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば70質量%以上、好ましくは80質量%以上とする。また、シェーバーの滑り性を向上させる観点から、成分(C)の含有量は、当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば99.5質量%以下、好ましくは99質量%以下とする。
【0022】
また、本実施形態においては、電気シェーバー用シェービング剤の粘度が特定の範囲に設定されている。ここで、本明細書における電気シェーバー用シェービング剤の粘度とは、B型粘度計(たとえば東機産業社製TVB10、T−Aスピンドル)を用いて30℃、5rpm、測定開始1分後の条件で測定される粘度(以下適宜「B型粘度」とも呼ぶ。)である。
電気シェーバー用シェービング剤のB型粘度は、シェーバーの滑り性を高めて肌への刺激を低減する観点から、1×10
3mPa・s以上であり、好ましくは5×10
3mPa・s以上である。また、シェーバーへの負荷を軽減する観点から、電気シェーバー用シェービング剤のB型粘度は4×10
4mPa・s以下であり、好ましくは3×10
4mPa・s以下である。
【0023】
本実施形態において、電気シェーバー用シェービング剤は成分(A)〜(C)以外の成分を含んでもよい。
たとえば、電気シェーバー用シェービング剤には、化粧料に使用される一般的なその他の成分を含有させることができる。その他の成分として、たとえば、成分(A)以外の粘度調整剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、清涼剤、色素、防腐剤、香料が挙げられる。これらを含有することにより、たとえば電気シェーバー用シェービング剤の剤型の感触を調整することが可能となる。また、清涼感、香り等を楽しむことも可能になる。また、殺菌剤を配合すれば、剃刀使用前にシェービング剤を適用した段階で、肌を清浄にできるので、肌への病菌の侵入を防止することができる。
また、香料やパラベン等の防腐剤を除く25℃で液状油である流動パラフィンやスクワランの含有量は、電気シェーバー用シェービング剤全体に対し2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
また、炭素数12〜22の高級脂肪酸およびその塩の含有量は、電気シェーバー用シェービング剤全体に対し1質量%未満が好ましく、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
また、炭素数12〜22の高級アルコールの含有量は、電気シェーバー用シェービング剤全体に対し2質量%未満が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
また、酸化チタン等の白色紛体の含有量は、電気シェーバー用シェービング剤全体に対し0.2質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
また、キサンタンガムやカラーギーナン等の多糖類の含有量は、電気シェーバーの劣化を抑制する観点から、電気シェーバー用シェービング剤全体に対し0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。
また、本実施形態において、さらに界面活性剤を含有することができるが、その含有量は当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対して、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下がさらにより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましく、実質含有しないのが殊更好ましい。特に、電気シェーバーへの劣化を抑制する観点からは、非イオン界面活性剤は当該電気シェーバー用シェービング剤中に含まれないか、少ない含量であることが好ましく、たとえば当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対して2質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、0.1質量%以下がさらに好ましく、実質含有しないのが殊更好ましい。ここで、界面活性剤を実質含有しないとは、電気シェーバー用シェービング剤中に界面活性剤が意図的に添加された構成でないことをいい、原料中に含まれる等の理由で電気シェーバー用シェービング剤の製造工程において意図せずシェービング剤に混入する態様を含み得る。
【0024】
本実施形態において、さらに、製剤の安定性を向上させる観点から、炭素数1以上5以下の低級アルコール、炭素数3〜8のジオール、および、数平均分子量が1×10
2〜2×10
3のポリエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を、電気シェーバー用シェービング剤全体に対して0.5〜5質量%程度配合してもよい。これらの中では、製剤の安定性を向上させる観点から、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、数平均分子量が1×10
2〜2×10
3のポリエチレングリコールが好ましい。数平均分子量が1×10
2〜2×10
3のポリエチレングリコールの中では、数平均分子量が5×10
2〜1.8×10
3のポリエチレングリコールが好ましく、数平均分子量が8×10
2〜1.7×10
3のポリエチレングリコールがより好ましく、市販品としては、たとえばポリエチレングリコール1540(三洋化成工業社製)として入手できる。
一方、肌への負担を抑える観点からは、該低級アルコールの含有量を当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば40質量%以下、好ましくは30質量%以下とする。また、肌への負担を抑える観点からは、該低級アルコールの含有量を当該電気シェーバー用シェービング剤全体に対してたとえば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上とする。
また、数平均分子量が10万以上のポリエチレンオキサイドの含有量は、電気シェーバーの劣化を抑制する観点から、電気シェーバー用シェービング剤全体に対したとえば0.005%未満、好ましくは0.002%以下とする。
【0025】
また、電気シェーバー用シェービング剤の製剤形態の具体例として、ゲル状またはゾル状のものが挙げられる。これらの電気シェーバー用シェービング剤は、たとえばチューブやボトルに充填した形態とすることができる。また、本実施形態における電気シェーバー用シェービング剤は、たとえば非発泡性のシェービング剤とする。
【0026】
次に、本実施形態における電気シェーバー用シェービング剤の製造方法を説明する。
本実施形態における電気シェーバー用シェービング剤は、通常の方法により製造することができる。具体的には、たとえば、特定の成分(A)共重合体および(B)ポリプロピレングリコール、(C)水、および他の成分を、配合槽に、それぞれ独立に、あるいは同時に添加混合することにより得ることができる。たとえば、成分(A)を成分(C)に分散させた後、成分(B)を添加することもできる。
【0027】
得られたシェービング剤には、極性油剤である成分(B)、つまり分子量が特定の範囲にあるポリプロピレングリコールが、特定の高分子、つまり成分(A)、および、成分(C)の水とともに配合されている。このため、電気シェーバーを用いたウェットシェービングに得られたシェービング剤を用いることにより、電気シェーバーの滑りの持続性を向上させ、肌への負担を軽減するとともに、電気シェーバーへの過度の負荷を抑制することができる。
【0028】
本実施形態において、電気シェーバー用シェービング剤は、電気シェーバーまたは肌の少なくとも一方に適用して用いられる。具体的には、電気シェーバー用シェービング剤の使用者が、電気シェーバーの刃または肌のいずれの箇所に電気シェーバー用シェービング剤を適用するかを選択し、選択した箇所に適用して用いる。
たとえば、電気シェーバー用シェービング剤をシェーバーに適用することを使用者が選択する場合、電気シェーバー用シェービング剤を電気シェーバーの外刃(網刃ともいう)等に直接塗布して用いることができる。電気シェーバーにシェービング剤を適用することにより、電気シェーバーの刃の表面がより一層確実にシェービング剤で覆われるため、使用者ごとにシェービング剤の適用のしかたにばらつきやむらが生じた場合にも、シェービング時の肌への負担の抑制効果や電気シェーバーの滑り性の向上効果をより一層安定的に得ることができる。
【0029】
本実施形態におけるシェービング方法は、たとえば以下の手順を含む。
本実施形態における電気シェーバー用シェービング剤を、肌に適用するステップ(ステップ11);および
ステップ11の後、電気シェーバーを用いてシェービングするステップ(ステップ12)。
【0030】
または、本実施形態におけるシェービング方法は、たとえば以下の手順を含む。
本実施形態における電気シェーバー用シェービング剤を、電気シェーバー、具体的には電気シェーバーの刃に適用するステップ(ステップ13);および
ステップ13の後、電気シェーバーを用いてシェービングするステップ(ステップ14)。
【0031】
ステップ12および14は、具体的には電気シェーバーにより髭等の体毛を剃るステップである。本実施形態においては、ステップ12または14の前に、肌または電気シェーバーの刃に電気シェーバー用シェービング剤が適用される(ステップ11またはステップ13)。このような手順とすることにより、シェーバーの滑りを良くして深剃り感を得るとともに、肌への負担を抑え、たとえばシェービング後の肌のひりひり感等を低減することができる。また、電気シェーバーを用いてウェットシェービングをおこなう場合であっても、電気シェーバーに過度の負荷がかからないようにすることができる。
【0032】
また、ステップ13では、たとえば電気シェーバーの刃の上に電気シェーバー用シェービング剤を直接塗布する等の方法により、電気シェーバー用シェービング剤を電気シェーバーの刃に適用する。
電気シェーバーは、内刃と、それを覆う表面の外刃から構成される。本発明の実施形態における、電気シェーバーの刃の上に電気シェーバー用シェービング剤を直接塗布するステップとは、少なくとも、電気シェーバーの外刃に電気シェーバー用シェービング剤を直接塗布するステップを意味する。
電気シェーバーにシェービング剤を適用することにより、電気シェーバーの刃の表面がより一層確実にシェービング剤で覆われるため、シェービング剤の適用のされかたにばらつきやむらが生じた場合にも、シェービング時の肌への負担の抑制効果や電気シェーバーの滑り性の向上効果をより一層安定的に得ることができる。
【0033】
また、ステップ11または13の前に、肌を水で濡らすステップ(ステップ10)をさらにおこなってもよい。
また、ステップ12または14の後、肌またはシェーバーを水で洗い流すステップ(ステップ15)をさらにおこなうこともできる。本実施形態における電気シェーバー用シェービング剤を用いることにより、ステップ15におけるシェーバーの洗浄も容易である。
【実施例】
【0034】
(実施例1〜8、比較例1〜8)
表1および表2に示す組成のシェービング剤を製造し、評価した。結果を表1および表2に併せて示す。
【0035】
(シェービング剤の製造方法)
成分(A)、成分(B)または適宜その他の成分を成分(C)に加え、撹拌して均一に分散させることにより、各例の組成物が得られ、これをシェービング剤とした。
【0036】
(数平均分子量の測定方法)
実施例および比較例におけるポリプロピレングリコールの数平均分子量は、以下の装置および条件により測定することができる。
(測定装置・条件)
東ソー社製 一体型GPC装置
装置:HLC−8220GPC
検出器:RI(示差屈折計)
カラム:TSK−gel G5000HxL(7.8×300mm)×1;
同 G4000HxL(7.8×300mm)×1;
同 G3000HxL(7.8×300mm)×1;
同 G2000HxL(7.8×300mm)×1
移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0mL/min
設定温度:40℃
注入量:100μL(試料濃度:0.4%)
ポリスチレン(※)換算による数平均分子量を測定。
※ポリスチレン:東ソー社製 TSK標準ポリスチレン
【0037】
(組成物の粘度の測定方法)
各例で得られた組成物の粘度を、B型粘度計(東機産業社製TVB10、T−Aスピンドル)を用いて30℃、5rpm、測定開始1分後の条件で測定した。
【0038】
(評価)
10名の成人男性パネルが、各例で得られたシェービング剤を用いて電気シェーバーによる髭剃りをおこない、「シェーバー作動時のモーターへの負荷」、「深剃りできる感じ」、「剃り終わりまでのシェーバーの滑りやすさ」、「ヒゲ剃り後のひりひり感の少なさ」および「シェーバーの洗い流しやすさ」の各項目について官能評価した。
髭剃り方法および評価基準を以下に示す。
【0039】
(髭剃り方法)
洗顔し、タオルで水気をふき取った後、恒温恒湿度(20℃、65%RH)条件の室内でシェービング剤4gを手で髭に適用し電気シェーバー(ラムダッシュES−ST21、パナソニック社製)を用いて髭剃りをおこなった。また、シェービング後の電気シェーバーについた剤は、水道水からの流水ですすぎ洗いした。その後、以下の評価基準に従って各項目について官能評価した。
各項目について、評価結果が3〜5であるものを合格とした。
【0040】
「シェーバー作動時のモーターへの負荷」
シェービング剤未塗布時と比較してモーターの動きが遅いと感じなかった人の人数で評価した。
5:モーターの動きが遅いと感じなかったパネルの人数が10人中9名以上。
4:モーターの動きが遅いと感じなかったパネルの人数が10名中7〜8名。
3:モーターの動きが遅いと感じなかったパネルの人数が10名中5〜6名。
2:モーターの動きが遅いと感じなかったパネルの人数が10名中3〜4名。
1:モーターの動きが遅いと感じなかったパネルの人数が10名中2名以下。
【0041】
「深剃りできる感じ」
5:深剃りできていると感じたパネルの人数が10人中9名以上。
4:深剃りできていると感じたパネルの人数が10名中7〜8名。
3:深剃りできていると感じたパネルの人数が10名中5〜6名。
2:深剃りできていると感じたパネルの人数が10名中3〜4名。
1:深剃りできていると感じたパネルの人数が10名中2名以下。
【0042】
「剃り終わりまでのシェーバーの滑りやすさ」
5:剃り終わりまでシェーバーが滑りやすかったと感じたパネルの人数が10人中9名以上。
4:剃り終わりまでシェーバーが滑りやすかったと感じたパネルの人数が10名中7〜8名。
3:剃り終わりまでシェーバーが滑りやすかったと感じたパネルの人数が10名中5〜6名。
2:剃り終わりまでシェーバーが滑りやすかったと感じたパネルの人数が10名中3〜4名。
1:剃り終わりまでシェーバーが滑りやすかったと感じたパネルの人数が10名中2名以下。
【0043】
「ヒゲ剃り後のひりひり感の少なさ」
5:ひりひり感が少ないと感じたパネルの人数が10人中9名以上。
4:ひりひり感が少ないと感じたパネルの人数が10名中7〜8名。
3:ひりひり感が少ないと感じたパネルの人数が10名中5〜6名。
2:ひりひり感が少ないと感じたパネルの人数が10名中3〜4名。
1:ひりひり感が少ないと感じたパネルの人数が10名中2名以下。
【0044】
「シェーバーの洗い流しやすさ」
使用後の電気シェーバーに水温30℃の水道水を6L/分の流量で流した際のシェービング剤の洗い流しやすさを以下の基準で評価した。
5:洗い流しやすかったと感じたパネルの人数が10人中9名以上。
4:洗い流しやすかったと感じたパネルの人数が10名中7〜8名。
3:洗い流しやすかったと感じたパネルの人数が10名中5〜6名。
2:洗い流しやすかったと感じたパネルの人数が10名中3〜4名。
1:洗い流しやすかったと感じたパネルの人数が10名中2名以下。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
表1より、実施例1〜8のシェービング剤を用いることにより、シェーバー作動時のモーターへの負荷を軽減することができた。そして、剃り終わりまでシェーバーの滑りの良さが持続し、良好な深剃り感が得られるとともに、肌への負担が効果的に抑制された。また、シェービング後のシェーバーの洗い流しやすさも良好であった。
【0048】
一方、比較例1では、成分(A)を配合しなかったため、髭に塗布してシェービングできる状態の製剤を得ることができなかった。
成分(B)を配合しなかった比較例2、および、ポリプロピレングリコールの分子量が小さすぎた比較例3では、シェーバーの滑りやすさおよび肌への負担の低減の点で充分な特性が得られなかった。また、ポリプロピレングリコールの分子量が大きすぎた比較例4においても、シェーバーの滑りやすさおよび肌への負担の低減の点で充分な特性が得られず、また、シェーバーの洗い流しやすさや深剃り感においても充分な特性が得られなかった。
比較例5では、シェービング剤の粘度が低すぎたため、シェーバーの滑りやすさおよび肌への負担の低減の点で充分な特性が得られなかった。比較例6では、シェービング剤の粘度が高すぎたため、モーターへの負荷の軽減効果が充分に得られず、他の評価項目についても充分な特性が得られなかった。
比較例7では、成分(B)を配合せず、特許文献3に記載の液状油分および低級アルコールを配合したが、シェーバーの滑りやすさ、深剃り感および肌への負担の低減の点で充分な特性が得られなかった。
また、比較例8では、成分(B)にかえてプロピレングリコールを配合したが、シェーバーの滑りやすさおよび肌への負担の低減の点で充分な特性が得られなかった。
【0049】
また、以上においては、シェービング剤を髭(肌)に適用する場合を例示したが、実施例1のシェービング剤を電気シェーバーの外刃に直接適用し、シェービングをおこなった場合にも、「シェーバー作動時のモーターへの負荷」、「深剃りできる感じ」、「剃り終わりまでのシェーバーの滑りやすさ」および「ヒゲ剃り後のひりひり感の少なさ」のバランスは良好であった。また、シェービング後のシェーバーの洗い流しやすさの点でも良好であった。
【0050】
(処方例)
(成分) (質量%)
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
ポリプロピレングリコール(数平均分子量(Mn)1000)
*1 0.5
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール
*2 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
*3 0.5
水酸化ナトリウム 0.26
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
l−メントール 0.03
香料 0.05
青色1号 0.0001
エタノール 1.0
プロピレングリコール 3.0
1,2−ペンタンジオール
*4 0.5
精製水 バランス
合計 100.00
*1) アデカカーポール DL−80、ADEKA社製
*2) エステモール N−01、日清オイリオグループ社製
*3) ペムレンTR−1、Lubrizol Advanced Materials社製
*4) ジオールPD、高級アルコール工業社製
【0051】
実施例1に準じて上記処方の電気シェーバー用シェービング剤を調製した。得られたシェービング剤の粘度は13000mPasであり、「シェーバー作動時のモーターへの負荷」、「深剃りできる感じ」、「剃り終わりまでのシェーバーの滑りやすさ」、「ヒゲ剃り後のひりひり感の少なさ」および「シェーバーの洗い流しやすさ」ともすぐれたものであった。