(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F4/00-4/82 C08F251/00-299/08 C08L1/00-101/04 G02B1/00-1/02 C08J7/04-7/06 G02C1/00-13/00
親水性セグメント及び線状シリコーンセグメントが、前記重合度に基づいて、13:1〜500:1の比率で前記非反応性親水性ポリマー中に存在する、請求項1に記載の組成物。
前記親水性セグメントが、ビニルアミド、ビニルラクトン、ビニルイミド、ビニルラクタム、親水性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから形成される、請求項1に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される非反応性は、有意な共有結合を形成することができないことを意味する。有意な共有結合が不在であるとは、共有結合が僅かに存在することがあっても、それがポリマー中の湿潤剤の保持に偶発的であることを意味する。偶発的な共有結合が、存在することがあっても、それ自体によって、ポリマーマトリックスとの、又はポリマーマトリックス中の非反応性親水性ポリマーの会合を保持するには十分ではないであろう。その代わりに、湿潤剤をポリマーと会合させ続ける圧倒的に主要な作用は、シリコーンセグメントの少なくとも一部の捕捉である。本出願による、シリコーンセグメントは、少なくとも部分的に疎水性ポリマーマトリックス内に物理的に保持される、又は少なくとも部分的に疎水性ポリマーマトリックスに結合される場合、「封入される」。これは、少なくとも部分的に疎水性ポリマーマトリックス内のシリコーンセグメントのエンタングルメント、ファン・デル・ワールス力、双極子間相互作用、静電気引力、水素結合、及びこれらの効果の組み合わせによって行われる。
【0010】
本明細書で使用される、少なくとも部分的に疎水性ポリマーマトリックスとは、疎水性モノマー、マクロマー、及びプレポリマー等の疎水性成分に由来する反復単位を含むものである。疎水性成分は、水中に可溶ではなく、重合されるとき、約90°を超える接触角を有するものである。
【0011】
本明細書で使用される、安定したとは、化合物が、湿潤剤あるいは湿潤剤とポリマー基材の組み合わせのいずれかの所望の特性に有害な影響を及ぼす、121℃の単一のオートクレーブ処理サイクルを通して、30分間変化しないことを意味する。例えば、シロキサンセグメントと親水性ポリマーセグメントとの間のエステル結合は、幾つかの実施形態では、望ましくない。オートクレーブ処理は、乾燥した、又はホウ酸緩衝食塩水等であるが、これに限定されない、眼に相溶性のある食塩水の存在下で行われ得る。
【0012】
本明細書で使用される、ほぼ単分散とは、1.5以下の多分散性を意味する。幾つかの実施形態では、本発明のポリマーは、約1.3未満、他の実施形態では、約1.05〜1.3の多分散を示す。
【0013】
本明細書で使用される、会合されたとは、親水性ポリマーが、共有結合しないで、少なくとも部分的に疎水性ポリマー中に保持されることを意味する。
【0014】
本明細書で使用されるセグメントとは、組成物又は親水性等の同様の特性を有する反復単位を有するポリマーの一部分を指す。
【0015】
本明細書で使用されるシリコーンセグメントとは、−[SiO]−を指す。それぞれの−[SiO]−反復単位におけるSi原子は、アルキルであり得るか、又はアリール置換され得、好ましくは、C
1〜4アルキルで置換され、一実施形態では、メチル基で置換されて、ジメチルシロキサン反復単位を形成する。
【0016】
本明細書で使用される線状シリコーンセグメントとは、ポリマー主鎖中のシリコーン及び酸素原子を有するシロキサン反復単位を指す。例えば、ポリジメチルシロキサンは、−SiO−基が、その主鎖中に含有されるため、線状シリコーンセグメントの一例である。ポリTRISは、シロキサン基が、炭素−炭素主鎖へのペンダントを含有しないため、線状シリコーンセグメントではない。
【0017】
本明細書で使用される基材とは、シート、フィルム、チューブ、又は生物医学デバイス等の更に複雑な形態等の物品を指す。
【0018】
本明細書で使用される「生物医学デバイス」とは、哺乳動物組織の中若しくは上、又は体液に使用されるように設計された任意の物品である。これらのデバイスの例には、カテーテル、インプラント、ステント、縫合糸、並びに眼内レンズ及びコンタクトレンズ等の眼科用デバイスが挙げられるが、これらには制限されない。
【0019】
本明細書で使用される用語レンズとは、眼内又は眼の表面上に置かれる眼科用デバイスのことを指す。これらのデバイスは、光学矯正、美容の増強、UV防護、可視光線又はまぶしさの軽減、創傷治癒、薬や栄養補助食品の送達を含む治療的効果、診断評価若しくは監視、又はそれらの任意の組み合わせを提供することができる。用語レンズには、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内挿入物、及び光学挿入物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で使用されるシリコーン含有ポリマーは、シリコーン又はシロキサン反復単位を含有する任意のポリマーである。シリコーン含有ポリマーは、シリコーンエラストマー等のホモポリマー、又はフルオロシリコーン及びシリコーンヒドロゲル等のコポリマーであり得る。本明細書で使用されるシリコーンヒドロゲルとは、シリコーン含有単位及び少なくとも約10%、幾つかの実施形態では、少なくとも約20%の水分含有量を含むポリマーを指す。
【0021】
本明細書で使用されるRAFTとは、可逆付加フラグメンテーション連鎖移動重合を指す。
【0022】
本明細書で使用される反応性成分は、重合時、ポリマーの構造の一部になる重合反応混合物中の成分である。したがって、反応性成分は、ポリマーネットワークに共有結合するモノマー及びマクロマー、並びにポリマーネットワークに共有結合しないが、ポリマーと永久に、又は半永久に会合される成分を含む。共有結合しない成分の例には、重合不可能な湿潤剤、薬剤等が含まれる。ポリマーの構造の一部にならない希釈剤及び加工助剤は、反応性成分ではない。
【0023】
本明細書で使用される置換とは、ハロゲン、エステル、アリール、アルケン、アルキン、ケトン、アルデヒド、エーテル、ヒドロキシル、アミド、アミン、及びこれらの組み合わせを含有するアルキル基を指す。
【0024】
本明細書で使用されるフリーラジカル源とは、好適な化合物(単数又は複数)の熱的に誘導される均一の切断(ペルオキシド、ペルオキシ酸エステル、又はアゾ化合物等の熱反応開始剤)、モノマー(例えば、スチレン)からの自然発生、酸化還元を開始するシステム、光化学を開始するシステム、又は電子ビーム、X線、若しくはガンマ線等の高エネルギー放射線法等のフリーラジカルを生成する任意の好適な方法を指す。「フリーラジカル源」として作用することが知られている化学種は、当業者によって反応開始剤と一般に呼ばれ、本発明の目的のために、それ自体が称され得る。
【0025】
本発明の安定した非反応性親水性ポリマーは、親水性セグメント及び当該非反応性親水性ポリマーの少なくとも一方の末端上の線状シリコーンセグメントを含む。シリコーンセグメントは、約5〜約200個のシロキシ単位を含む。
【0026】
一実施形態では、安定した非反応性親水性ポリマーは、式Iを有する。
【化1】
式中、R
1からR
6、R
9X、Q、Z、n、t、及びpは、以下に定義され、
(i)式H
2C=UVを有する少なくとも1つの親水性モノマー、
(ii)式IIが0.1を越える連鎖移動定数を有するポリシロキサンRAFT剤、
【化2】
及び
(iii)フリーラジカル源(即ち、反応開始剤)から生成されるフリーラジカルを接触させることによって形成され得る。
【0027】
上記の式では、R
1は、置換又は非置換C
1〜24アルキル、幾つかの実施形態では、置換又は非置換C
1〜10アルキル、他の実施形態では、C
1〜6、C
1〜4、メチル、又はn−ブチルから選択され、
R
2〜R
5は、H、C
1〜C
4アルキル、C
6〜10アリール、及びこれらの組み合わせから独立して選択され、一実施形態では、R
2〜R
5は、C
1〜C
4アルキル、及びこれらの組み合わせから独立して選択され、別の実施形態では、R
2〜R
5は、メチルであり、
nは、6〜200、6〜60、6〜50、6〜20、6〜15であり、幾つかの実施形態では、6〜12であり、
R
9は、直接結合、C
1〜12アルキレン、C
1〜4アルキレンから選択される。
【0028】
ポリシロキサンRAFT剤の式IIでは、R
6は、フリーラジカル重合を開始するフリーラジカル脱離基である。R
6は、任意に置換されたアルキル、任意に置換された飽和、不飽和、又は芳香族炭素環式若しくは複素環式環、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルコキシ、又は任意に置換されたジアルキルアミノからなる二価基から選択される。一実施形態では、R
6は、任意に置換されたベンジル、任意に置換されたフェニル、エタノエート、任意に置換されたプロピオネート、4−シアノペンタノエート、又はイソブチレート官能性から選択される。
【0029】
Xは、−O−(CO)−、−(CO)O−、−NR
8−(CO)−、−(CO)NR
8−、−O−、又は直接結合から選択され、
R
8は、H、メチル、エチル、又はプロピルから選択され、
Zは、水素、塩素、フッ素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルコキシカルボニル、任意に置換されたアリールオキシカルボニル(−COOR”)、カルボキシ(−COOH)、任意に置換されたアシルオキシ(−O
2CR”)、任意に置換されたカルバモイル(−CONR”
2)、シアノ(−CN)、ジアルキル−若しくはジアリール−ホスホナート[−P(=O)(OR”)
2]、ジアルキル−若しくはジアリール−ホスフィナート[−P(=O)(OR”)
2]、任意の機構によって形成されたポリマー鎖からなる群から選択され、
pは、1又は1、1〜5、3〜5を超える整数、及び幾つかの実施形態では、1又は2である。p≧2である場合、R
1は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、ポリマー鎖、又はこれらの組み合わせのいずれかから派生されるp原子価部分から選択され、接続部分は、脂肪族炭素、芳香族炭素、シリコーン、及びイオウからなる群から選択される。そのような実施形態は、式I及びIIの以下の構造類似体、即ち、式III及びIVにおいて開示される。
【化3】
式中、tは、1又は1を超える整数である。t≧2である場合、R
6は、p原子価であり、2つ以上のチオカルボニルチオ官能基に接続される。そのような実施形態は、式I及びIIの以下の構造類似体、即ち、式V及びVIにおいて開示される。
【化4】
【0030】
親水性セグメントQは、式の反復単位を含み、
【化5】
式中、
Uは、水素、ハロゲン、C
1〜C
4アルキルからなる群から選択され、これらは、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ(OR”)、カルボキシ、アシルオキシ、アロイルオキシ(O
2CR”)、アルコキシ−カルボニル、アリールオキシ−カルボニル(CO
2R”)、及びこれらの組み合わせで任意に置換されてよく、
Vは、水素、R”、CO
2H、CO
2R”、COR”、CN、CONH
2、CONHR”、CONR”
2、O
2CR”、OR”、及びハロゲン、更に環式及び非環式N−ビニルアミドからなる群から選択され、
R”は、任意に置換されたC
1〜C
18アルキル、C
2〜C
18アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、アルカリルからなる群から選択され、式中、置換基は、エポキシ、ヒドロキシル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、カルボキシ、カルボキシ基及びカルボキシレート、スルホン酸及びスルホネート、アルコキシ−若しくはアリールオキシ−カルボニル、イソシアネート、シアノ、シリル、ハロ、及びジアルキルアミノ、リン酸からなる群から独立して選択される。一実施形態では、R”は、メチル、ピロリドニル、−N(CH
3)−COCH
3[N−ビニルアセトアミド]、−CH
2CH
2−COOH、−CH
2CH
2CH
2−COOH、−CH
2CH
2CH
2CH
2−COOH、−(CH
3)
2−CH
2−SO
3H、−CH
2CH
2CH
2−
+N(CH
3)
2−CH
2CH
2CH
2−SO
3−。
からなる群から選択される。一実施形態では、置換基R
2〜5は、同一である。別の実施形態では、R
2〜5は、同一であり、メチル、エチル、又はフェニルから選択される。更に他の実施形態では、R
2〜5は、同一であり、メチル又はエチルから選択される。更に他の実施形態では、R
2〜5のそれぞれが、メチルである。
【0031】
安定した非反応性親水性ポリマーの例は、角括弧によって特定される置換基R
1、X、及びR
6を用いる式VIIIにおいて、以下に示される。
【化6】
p原子価R
6連結を有する、安定した非反応性親水性ポリマーの例には、以下が含まれる。
【化7】
【0032】
他の実施形態では、Xは、エチレニル又は−O(C=O)−から選択され、その加水分解安定性のため、エチレニルが好ましい。
【0033】
他の実施形態では、R
6は、以下から選択されたアルキレンであるか、
【化8】
以下から選択されたニトリロアルキルであるか、
【化9】
又は以下から選択された芳香族基である。
【化10】
【0034】
R
6の選択は、選択されたチオカルボニル化合物及び次のステップにおいて重合のために使用されたモノマーによって影響を受ける。
【0035】
一実施形態では、R
6は、以下の構造から選択される。
【化11】
R
6ポリシロキサン官能性RAFT剤(右)最終的なコポリマー(左)の構造
【0036】
一実施形態では、R
6が、p原子価である場合、それは、以下の構造からなり得る。
【化12】
【0037】
Zは、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたアルキルチオ、任意に置換されたアリール、又は任意に置換されたベンジルから選択される。一実施形態では、Zは、任意に置換されたアルキルチオであり、他の実施形態では、Zは、任意に置換されたアルコキシである。
【0038】
上記の置換基が、任意の組み合わせにおいて組み合わされ得ることが理解されるべきである。例えば、前述の説明には、Zに対して3つの別々に定義された置換基ファミリーを有する化合物のファミリーが含まれる。これらの置換基ファミリーのいずれかは、他の置換基に対して開示された置換基ファミリーと組み合わせてよい。
【0039】
非反応性親水性ポリマーの親水性セグメントは、約10〜約1500、幾つかの実施形態では、少なくとも約300、他の実施形態では、少なくとも約500の重合度を有する。更なる実施形態では、非反応性親水性ポリマーの親水性セグメントは、約300〜約10,000、約300〜約5,000、約500〜約10,000、約500〜約5,000、約500〜約2000、及び約700〜約2000の範囲内の重合度を有する。重合度は、MALDI−TOF、SEC−MALLS、NMR、又はこれらの組み合わせから得られ得る。
【0040】
親水性セグメントは、線状、分枝上、又はくし形に構造されるような任意の所望の構造を有し得る。一実施形態では、親水性セグメントは、線状である。
【0041】
一実施形態では、親水性セグメントは、既知の親水性モノマーから形成され得る。親水性モノマーは、10重量%の濃度で、25℃で、水と混合される場合、透明な単相を得るものである。親水性モノマーの例には、ビニルアミド、ビニルイミド、ビニルラクタム、親水性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、ビニル尿素、及びこれらの混合物が含まれる。
【0042】
好適な親水性モノマーの例には、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ビニルイミダゾール、N−N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、アクリロニトリル、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニルアセタート、(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルオキサゾリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3−(ジメチル(4−ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン−1−スルホネート(DMVBAPS)、3−((3−アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン−1−スルホネート(AMPDAPS)、3−((3−メタクリロイルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン−1−スルホネート(MAMPDAPS)、3−((3−(アクロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン−1−スルホネート(APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン−1−スルホネート(MAPDAPS)、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルプロピオンアミド、N−ビニル−N−メチル−2−メチルプロピオンアミド、N−ビニル−2−メチルプロピオンアミド、N−ビニル−N,N’−ジメチル尿素等、及びこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、親水性モノマーは、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリル酸、N,Nジメチルアクリルアミド等、及びこれらの混合物が含まれる。幾つかの実施形態では、親水性セグメントはまた、メタクリル酸、アクリル酸、3−アクリルアミドプロピオン酸、4−アクリルアミドブタン酸、5−アクリルアミドペンタン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタン酸(AMBA)、N−ビニルオキシカルボニル−α−アラニン、N−ビニルオキシカルボニル−β−アラニン(VINAL)、2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン(VDMO)、ナトリウム−2−(アクリルアミド)−2−メチルプロパンスルホン酸塩(AMPS)、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸カリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリル酸ナトリウム塩、ビス3−スルホプロピルイタコン酸二ナトリウム塩、ビス3−スルホプロピルイタコン酸二カリウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、ビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、スルホエチルメタクリレートを含む反応性スルホン酸塩、及びこれらの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない、荷電モノマーを含むこともできる。親水性セグメントが少なくとも1つの荷電親水性モノマーを含む実施形態では、コモノマーとして非荷電親水性モノマーを含むことが望ましい場合がある。
【0043】
親水性セグメントの線状シリコーンセグメントに対する重合度(DP)の比率は、20:1〜500:1であり、他の実施形態では、30:1〜200:1、50:1〜200:1の比率があり、他の実施形態では、70:1〜200:1の比率がある。
【0044】
本発明の非反応性親水性ポリマーは、多くの重合のプロセスによって形成することができる。一実施形態では、非反応性親水性ポリマーは、RAFT重合を使用して形成される。他の実施形態では、非反応性親水性ポリマーは、従来のフリーラジカル重合によって形成される。
【0045】
ポリシロキサンRAFT剤
式IIのポリシロキサンRAFT剤は、少なくとも1つの反応性線状ポリシロキサンを直交型反応性化合物上の少なくとも1つの反応基と反応させることによって形成することができる。その後の又は同時に起こる反応では、反応性チオカルボニルチオ求核試薬は、直交型反応性化合物上の少なくとも1つの他の反応基に反応する。直交型反応性化合物は、1つの基での反応が、継続して、他の反応基のうちの少なくとも1つの反応もなく完了するか、又はほぼ完了することができるように、異なる反応性又は反応機構を有する少なくとも2つの反応基を含む。直交型反応性化合物は、構造
RG
1−R
6−RG
2
を有し、式中、R
6は、上で定義される、フリーラジカル脱離基であり、RG
1及びRG
2は、酸ハロゲン化物及びアルキルハロゲン化物、活性化エステル及びアルキルハロゲン化物、アルキルハロゲン化物及び不飽和二重結合、並びにこれらの混合物などがあるが、これらに限定されない、対の直交型反応基から独立して選択される。アルキルハロゲン化物の例には、C
1〜20臭化物、C
1〜20塩化物、及びC
1〜20ヨウ化物、更に具体的には、臭化メチル、臭化エチル、塩化メチル、塩化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化ベンジル、塩化ベンジル、又はヨウ化ベンジルが含まれる。
【0046】
酸ハロゲン化物の例には、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化プロピオニル、臭化プロピオニル、及びヨウ化プロピオニルが含まれる。不飽和二重結合の例には、ビニル及びアリル二重結合が含まれる。活性化エステルの例には、N−ヒドロキシスクシンイミジル−、パラ−ニトロフェニル−、及びペルフルオロフェノールカルボニルエステルが含まれる。直交型反応性化合物の具体的な例としては、パラ−クロロメチルスチレン、4−(ブロモメチル)ベンゾイルブロミド(4−BBB)、2−ブロモプロパノイルブロミド、及び2−ブロモアセチルブロミド、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の組み合わせは、当業者に明らかである。
【0047】
好適なチオカルボニルチオ部分には、キサントゲン酸エステル、ジチオエステル、ジチオカルバメート、トリチオカーボネートなどを含むことができる。具体的かつ好ましいチオカルボニルチオ官能基を、以下の構造において以下に示す:
【化13】
式中、wは、1〜12の整数であり、R
10、R
11、及びR
12は、任意に置換されたアルキル又はアリール基であり得る。一実施形態では、R
10は、C
1〜C
6アルキル(C
1であることが最も好ましい)であり、R
11は、フェニル基である。他の実施形態では、R
10は、C
1〜6アルキルであり、R
11は、炭素結合した芳香族複素環(例えば、4−ピリジニル)である。他の実施形態では、R
12は、フェニル又はベンジルであり、フェニルであることが好ましい。
【0048】
一実施形態では、重合剤は、少なくとも1つのチオカルボニルチオ含有化合物であり、一実施形態では、少なくとも1つのキサントゲン酸塩である。他の実施形態では、チオカルボニルチオ含有化合物は、ジチオカルバメートである。他の実施形態では、少なくとも1つのトリチオカーボネートが使用される。更に、他の実施形態では、ジチオエステルが使用される。
【0049】
好適な反応性チオカルボニルチオ求核試薬の例としては、O−アルキル−キサントゲン酸塩、N−アルキル−カルバモジチオ酸塩、S−アルキル−トリチオカーボネート塩、N−アルキル−カルバジチオ酸塩、及びフェニル、ベンジル、又はアルキルジチオ酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいチオカルボニルチオ求核試薬には、O−アルキル−キサントゲン酸塩及びS−アルキル−トリチオ炭酸塩が含まれる。具体的な例には、O−エチルカルボノジチオ酸塩、O−プロピルカルボノジチオ酸塩、O−ブチルカルボノジチオ酸塩、O−ペンチルカルボノジチオ酸塩、O−ヘキシルカルボノジチオ酸塩、O−デシルカルボノジチオ酸塩、O−ドデシルカルボノジチオ酸塩、O−(2,3−ジヒドロキシプロピル)カルボノジチオ酸塩、エチルカルボノトリチオ酸塩、プロピルカルボノトリチオ酸塩、ブチルカルボノトリチオ酸塩、ペンチルカルボノトリチオ酸塩、ヘキシルカルボノトリチオ酸塩、デシルカルボノトリチオ酸塩、ドデシルカルボノトリチオ酸塩、2,3−ジヒドロキシプロピルカルバモトリチオ酸塩、メチル(フェニル)カルバモジチオ酸塩、メチル(ピリジン−4−イル)カルバモジチオ酸塩、ベンゾジチオ酸、及び2−フェニルエタンジチオ酸塩のアルカリ金属塩のI群及びII群が含まれる。
【0050】
直交型反応性化合物及びチオカルボニルチオ求核試薬の反応は、ポリシロキサンに結合する連鎖移動剤を形成する。これらの反応の順序は、必ずしも重要ではなく、成分は、上記の順序で1つの瓶中で共に反応させることができるか、又はチオカルボニルチオ求核試薬及び直交型反応性成分を予め反応させて、その後、反応性線状ポリシロキサンと反応することができる連鎖移動剤を形成することができる。
【0051】
R
1が一価である場合、反応性線状ポリシロキサンは、R
1(上で定義される)によって一方の末端上で終了し、直交型反応基RG
1及びRG
2のうちの少なくとも1つで反応させることができる基によってもう一方の末端上で終了される。例えば、RG
1又はRG
2のうちの少なくとも1つは、ビニルである場合、ポリシロキサン反応基は、シランであってもよい。少なくとも1つのRG
1又はRG
2が活性化エステルである場合の別の例では、ポリシロキサン反応基は、一次アルコール又はアミンなどの求核部分であってもよく、これは、アミノプロピル又はヒドロキシプロピルから選択することができる。ポリシロキサンは、C
1〜C
4ポリアルキル及びポリアリールシロキサンから選択することができる。好適なポリシロキサンには、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、及びこれらのコポリマーが含まれる。反応性線状ポリシロキサンは、以下の式の化合物から選択することができる。
【化14】
【0052】
R
1〜R
5が上で定義される場合、nは、約6〜約200個、約6〜約60個、約6〜約50個、約6〜約20個、約6〜約15個、約6〜約12個、幾つかの実施形態では、約10〜約12個のシロキサン反復単位である。例えば、幾つかの実施形態では、nは、範囲を表すことができることを理解されよう。例えば、nが10である反応性線状ポリシロキサンは、8〜12個の反復単位を有し、ほぼ10が中心にあるポリシロキサンを含むことができる。
【0053】
R
9’は、H、非置換C
1〜12アルキル、ヒドロキシル、アミノなどで置換されたC
1〜12アルキルから独立して選択され、幾つかの実施形態では、R
9’は、非置換C
1〜4アルキル、ヒドロキシル、アミノなどで置換されたC
1〜4アルキル、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0054】
反応性線状ポリシロキサンの具体的な例には以下が含まれる。
【化15】
【0055】
一実施形態では、mは、0〜9、0〜5であり、幾つかの実施形態では、0〜3であり、幾つかの実施形態では、0又は3である。
【0056】
ポリシロキサン官能性RAFT剤が、酸ハロゲン化物及びアルキルハロゲン化物(例えば、4−BBB)の両方を含む直交型反応性化合物によるエステル化又はアミド化によって調製される場合、反応は、少なくとも1つの酸掃去剤の存在下で行うことができる。これを以下の反応スキームIに示す。酸掃去剤には、Na
2CO
3又はLi
2CO
3、トリエチルアミン(TEA)などの三級アミン、又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TMP)などの非求核ヒンダード二級アミンなどの炭酸塩が含まれる。反応中、ポリシロキサンの制御されないスクランブリングを防ぐために、TMPは、炭酸塩上で好ましい。また、幾つかの実施形態では、TMPは、アルキルハロゲン化物及び酸ハロゲン化物による低反応性のため、TEA上で好ましい。エチル−ジ(2−メチルプロピル)アミンなどの立体的にヒンダードされた三級アミンはまた、アルキル及び酸ハロゲン化物によるその反応性が非常に低い限り、使用してもよい。
【化16】
【0057】
ポリシロキサン官能性RAFT剤が、反応性二重結合及びアルキルハロゲン化物(例えば、1−(クロロメチル)−4−ビニルベンゼン)を含む直交型反応性化合物によるヒドロシリル化の化学反応によって調製されるとき、この反応は、カールステットの触媒などのPt触媒の存在下で行われる。反応スキームIIにおいて以下に示される、この反応経路は、必要とされる反応ステップの数がより少なく、ポリシロキサンのスクランブリングが軽減されるため、エステル化又はアミド化に好ましい。更に、この反応経路の最終生成物は、R
6とポリジアルキルシロキサン鎖との間に更に加水分解に安定な連結(即ち、X)を得る。最終RAFTポリマーでは、これは、ポリジアルキルシロキサンセグメントと親水性ポリマーとの間に純粋な炭素を含有する二価の連結を得る。
【化17】
【0058】
直交型反応性化合物と反応するポリジアルキルシロキサン群とチオカルボニルチオ部分の数は、反応性シリコーンの性質、直交型反応性化合物上の特定の官能基の性質及び数、並びに対象となる最終化合物を形成するのに使用されるチオカルボニルチオ求核試薬、即ち、ポリジアルキルシロキサン官能性RAFT剤の反応性の性質に依存する。例えば、ヒドロキシプロピル末端n−ブチルポリジメチルシロキサンは、TMP(反応スキームIを参照)の存在下で、4−(ブロモメチル)ベンゾイルブロミド(4−BBB)と反応する場合、当業者は、ヒドロキシプロピル末端n−ブチルポリジメチルシロキサンと酸臭化物の4−BBBとの間にエステル形成を観察することを期待する。当業者は、4−BBBにおいて酸塩化物と反応する、カリウムO−エチルカルボノジチオ酸(EX)などのチオカルボニルチオ求核塩を期待しないが、その代わりに、4−BBBにおいて酸臭化物のEXとの置換を期待するであろう。1つの酸ハロゲン化物及び2つのアルキルハロゲン化物を含有する直交型反応性化合物が、4−BBBの代わりに、例えば、3,5−ビス(ブロモメチル)ベンゾイルブロミドを使用する場合、当業者は、2つの別々であるが、共有結合したチオカルボニルチオ部分を含有するポリジアルキルシロキサン官能性RAFT剤を得ることを期待するであろう。親水性モノマーの存在下で、重合させるとき、この特定のポリシロキサン官能性RAFT剤は、鎖の一方の末端で単一のポリシロキサンセグメント及び反対の末端で2つの親水性セグメントを含む重合構造を得る。上述のヒドロシリル化化学を使用し、2つ以上の親水性セグメント及び1つの線状シリコーンセグメントを有する構造、又は2つ以上の線状シリコーンセグメント及び1つの親水性セグメントをもたらす類似の合成経路は、本発明には好適であることを当業者により理解されよう。
【0059】
反応は、0℃〜約100℃の温度で行うことができる。一実施形態では、反応は、ほぼ周囲温度で行われる。反応は、1分間〜約24時間行うことができ、幾つかの実施形態では、1時間〜約3時間行うことができる。この反応の生成物は、ポリシロキサンRAFT剤である。
【0060】
反応は、未希釈で行うことができるか、又はポリシロキサンモノマー、チオカルボニル化合物、直交型反応性化合物、及びそれらの反応により形成された中間体を溶解することができる少なくとも1つの極性非プロトン性溶媒中で行うことができる。好適な溶媒には、アセトニトリル、アセトン、DMF、NMP、及びこれらの組み合わせなどが含まれる。
【0061】
一実施形態では、ポリジメチルシロキサンRAFT剤は、それぞれ、適切に選択されたモノマー、フリーラジカル開始種(即ち、CGI−819又はAIBNなどのフリーラジカル開始剤)、及び任意に、反応に使用される全ての反応物及び生成物を溶媒和し、反応から得ることができる溶媒と接触させる。本ステップの反応時間は、約1分間〜約12時間であり、幾つかの実施形態では、約1〜約6時間である。反応温度には、約0℃〜約150℃のものが含まれる。
【0062】
重合条件
ポリシロキサン官能性RAFT剤を少なくとも1つの親水性モノマーとフリーラジカル反応開始剤を接触させることから生じる最終ポリマーの分子量は、以下の式によって制御される。
【数1】
式中、M
nは、数平均分子量であり、[M]及び[CTA]は、それぞれ、親水性モノマー及びポリシロキサンRAFT剤濃度であり、Xは、親水性モノマー変換であり、MW
モノマーは、親水性モノマーの分子量であり、MW
CTAは、ポリシロキサンRAFT剤の分子量である。M
n/MW
モノマーについて解くことによる等式の再配置により、既定のモノマー変換で親水性ポリマーセグメントに対して予測される重合度(DP)を得る。Xが1(即ち、重合が100%変換である)であり、MW
CTAが、シリコーンセグメントを含むため、計算において無視される場合、その等式は、100%変換で、既定の[M]:[CTA]比に対して得られる標的親水性DPを予測する式まで減じる。
【数2】
【0063】
本発明の目的のために、好ましい標的[M]:[CTA]比は、約10〜2500であり、50〜1500が更に好ましく、200〜1000が最も好ましい。
【0064】
非反応性親水性ポリマーの多分散性は、生成されたフリーラジカルに対するポリシロキサンRAFT剤のモル比を変化させることによって制御することができる。典型的には、反応開始剤に対するポリシロキサンRAFT剤のモル比(例えば、3〜10)の増加は、反応開始剤に由来する鎖の量を低下させ、それによって、ポリマーのより低い多分散性を得る。
【0065】
非反応性親水性ポリマーを形成するための適切なポリジアルキルシロキサンRAFT剤の存在下で、親水性モノマーの重合に対する重合条件は、使用される反応開始剤システムに基づいて選択され、連鎖成長と連鎖停止との間の所望のバランスを提供する。溶媒、反応開始剤、及び添加剤などの他の重合成分はまた、成長ラジカルに対して低い伝達係数を有するように、選択することもできる。
【0066】
非反応性親水性ポリマーが、RAFTによって作製される実施形態では、反応開始システムは、反応条件下で、移動剤による反応開始剤又は反応開始ラジカルの実質的に逆の相互作用がないように、選択される。反応開始剤はまた、反応媒質又はモノマー混合物中に必要な溶解度を有するべきである。反応開始剤は、選択された親水性モノマーに基づいて選択される。そのため、例えば、フリーラジカル反応性親水性モノマーが使用される場合、反応開始剤は、光開始剤、熱反応開始剤、酸化還元反応開始剤、及びガンマ反応開始剤などのラジカル源を提供することができる任意の反応開始剤であってよい。好適な光開始剤には、以下に記載される紫外線及び可視光開始剤が含まれる。熱反応開始剤は、重合の温度で適切な半減期を有するように選択される。これらの反応開始剤には、化合物:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シアノ−2−ブタン)、ジメチル2,2’−アゾビスジメチルイソブチレート4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1)−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−ヒドロキシエチル)]−プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2,2’−アゾビス(2,2,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、t−ブチルペロキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシオクトエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジクミルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ペルオキシ2硫酸カリウム、ペルオキシ2硫酸アンモニウム、ジ−t−ブチル次亜硝酸塩、ジクミル次亜硝酸塩のうちの1つ以上を含むことができる。一実施形態では、熱反応開始剤は、ラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、イソプロピル過炭酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、及びこれらの組み合わせなどの緩やかに上昇した温度でフリーラジカルを生成する反応開始剤から選択される。酸化還元反応開始剤の例には、以下の酸化剤及び還元剤の組み合わせが含まれる:
酸化剤:カリウムペルオキシ二硫酸塩、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド。
還元剤:鉄(II)、チタン(III)、チオ硫酸カリウム、硫酸水素カリウム。
【0067】
一実施形態では、反応開始剤は、重合の条件下で、反応媒質又はモノマー混合物中の必要な溶解度を有し、ラジカル生成を生じる適切な量子を有する光開始剤から選択される。例には、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシド、及び光酸化還元システムが含まれる。別の実施形態では、反応開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド、及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、及びカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせ、並びにこれらの組み合わせなどから選択される可視開始剤から選択される。他の実施形態では、反応開始剤は、光開始剤を含有する少なくとも1つのホスフィンオキシドを含み、他の実施形態では、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドを含む。光開始剤を使用するとき、反応性混合物は、選択された光開始剤に対して活性化する波長において放射線を用いて照射される。
【0068】
重合は、バッチ、連続、又は送りモード下で、溶液、懸濁液、又は乳濁液中で行うことができる。一実施形態では、本プロセスは、ポリシロキサン末端連鎖移動剤を含有する反応性混合物に重合剤を添加することによって行われる。他の条件を用いてもよく、当該技術分野で周知である。
【0069】
非反応性親水性ポリマー
親水性ポリマーは、溶媒沈殿及び/又はその後の溶媒抽出などの周知の手段によって精製することができる。
【0070】
本発明の親水性ポリマーは、
(a)約6〜約200個、約6〜約60個、約6〜約50個、約6〜約20個、約6〜約15個、約6〜約12個、幾つかの実施形態では、約10〜約12個のシロキサン反復単位を有する少なくとも1つの末端の非反応性ポリシロキサンを有し、
(b)前記非反応性ポリシロキサンに、連結基Lによって、少なくとも約300、少なくとも約500、約300〜約10,000、約300〜約5,000、約500〜約10,000、約500〜約5,000、及び約500〜約2000の重合度を有する少なくとも1つの親水性ポリマー鎖が結合され、幾つかの実施形態では、RAFT重合が、使用される場合、及びRAFT剤が、末端でRAFT重合剤の使用前に除去されない場合、結合される。
【0071】
しばしば、RAFT重合剤は、熱的に又は加水分解的に安定せず、したがって、RAFT重合剤が、ポリマー基材に組み込まれる前に、容易に切断されるか、又は置き換えることができるように、末端であることは本発明の利点である。それらの末端使用前に、非反応性親水性ポリマーは、単離され、第2の好適なモノマーと共に第2の「鎖延長」に使用することができる。あるいは、RAFT重合剤は、ポリマー基材に組み込む間、又は使用中(RAFT及び/又はその分解が、非毒性の非刺激性である場合)、親水性ポリマー上に残留するか、あるいは、切断することができる。一実施形態では、RAFT重合剤は、非反応性親水性ポリマーを基材に、又は基材と接触させるべき溶液に組み込む前に、除去される。末端基を除去するための好適なプロセスには、米国特許公開第7109276号、米国特許公開第6794486号、米国特許公開第7807755号、米国特許公開第2007232783号、米国特許公開第2010137548号、米国特許公開第5385996号、米国特許公開第5874511号において開示されるような、アミンによる反応が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
一実施形態では、本発明の非反応性親水性ポリマーは、上記の式Iに示される構造を有する。
【0073】
他の実施形態では、非反応性親水性ポリマーは、従来のフリーラジカル反応物を使用して形成することができる。本実施形態では、非反応性親水性ポリマーは、米国特許公開第2010/0099829号及び共出願されたUSSN第61/482,260号において開示されたプロセスによって、約300〜約1800の分子量を有する疎水性セグメントを用いて、少なくとも1つの親水性モノマー及びアゾタイプのマクロ開始剤のフリーラジカル反応によって形成することができる。
【0074】
本発明の親水性ポリマーは、ポリシロキサン、シリコーンヒドロゲル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテラフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、並びにこれらの混合物及びコポリマーなどを含む、様々なポリマーで非共有会合され得る。
【0075】
少なくとも部分的な疎水性ポリマーマトリックスの更なる例には、関節置換などの移植可能なデバイスに使用される、高度に架橋した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、典型的には、少なくとも約400,000の分子量を有し、幾つかの実施形態では、本質的に0のメルト・インデックス(ASTM D−1238)によって定義され、8を超える比重を低下される、約1,000,000〜約10,000,000の分子量を有し、幾つかの実施形態では、約25〜30の分子量を有する。
【0076】
縫合糸及び創傷包帯を作製する際、糸として使用するのに好適な吸収性ポリマーとしては、ラクチド(乳酸d−、l−、及びメソラクチドを含む)、グリコリド(グリコール酸を含む)、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレレート、1,4−ジオキセパン−2−オン(その二量体1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,14−ジオンを含む)、1,5−ジオキサン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン、及びそれらのポリマーブレンドのホモポリマー及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない、脂肪族ポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
非吸収性ポリマー材料としては、ポリアミド(ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)及びポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン61)のコポリマー及びこれらのブレンド)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチルテレフタレート、コポリマー、及びこれらのブレンド)、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ化ポリビニリデン)ポリオレフィン(例えば、アイソタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレン及びこれらのブレンドを含むポリプロピレン、並びに、主にヘテロタクチックポリプロピレンとブレンドされたアイソタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレンからなるブレンド(1985年12月10日に出願された米国特許第4,557,264号に記載され、Ethicon,Inc.に譲渡され、参照により本明細書に組み込まれるような)及びポリエチレン(1985年12月10日に出願された米国特許第4,557,264号に記載され、Ethicon,Inc.に譲渡されるような)、並びにこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
点状プラグの本体は、任意の好適な生体適合性ポリマーから作製することができ、これには、シリコーン、シリコーンブレンド、シリコーンコポリマー、例えば、pHEMA(ポリヒドロキシエチルメタクリレート)の親水性モノマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びグリセロール、並びに例えば、米国特許第5,962,548号、同第6,020,445号、同第6,099,852号、同第6,367,929号、及び同第6,822,016号に記載されているものなどのシリコーンヒドロゲルポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な生体適合性材料には、例えば、フッ素化ポリマー類、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)、フッ化ポリビニリデン(「PVDF」)、及びテフロンなど;ポリプロピレン;ポリエチレン;ナイロン;並びにエチレンビニルアルコール(「EVA」)が含まれる。
【0079】
超音波外科機器のポリマー部品は、ポリイミド、フルオラエチレンプロパン(FEPテフロン)、PTFEテフロン、シリコーンゴム、EPDMゴムから作製されてもよく、これらのいずれかは、テフロン又はグラファイトなどの材料で充填されてもよく、あるいは充填されなくてもよい。例は、米国特許公開第20050192610号及び米国特許公開第6458142号に開示されている。これらの実施形態については、非反応性親水性ポリマーは、少なくとも部分的に疎水性ポリマーマトリックスを膨張させ、次いで、ポリマーマトリックスと接触させる溶媒と混合することができる。
【0080】
一実施形態では、親水性ポリマーは、レンズ又は涙点プラグなどのシリコーン眼科用デバイス、シリコーンヒドロゲルレンズなどのシリコーンヒドロゲル物品を含む予備成形された物品と会合される。本実施形態では、末端ポリシロキサンは、疎水性ポリマー成分を含む基材と会合する。本実施形態では、親水性ポリマーは、基材も膨張させる溶媒中に溶解される。ポリマー基材は、親水性ポリマーを含む溶液と接触させる。基材が、コンタクトレンズなどのシリコーンヒドロゲル物品であるとき、好適な溶媒には、包装用溶液、保存用溶液、及び洗浄用溶液が含まれる。一例として本実施形態を使用して、シリコーンヒドロゲルレンズを、親水性ポリマーを含む包装用溶液中に入れる。親水性ポリマーは、溶液中の全ての成分に基づき、約0.001〜約10重量%、幾つかの実施形態では、約0.005〜約2重量%、他の実施形態では、約0.01〜約0.5重量%の量で溶液中に存在する。
【0081】
本発明の包装用溶液は、コンタクトレンズの保存のために使用される任意の水性溶液であり得る。典型的な溶液は、塩水、他の緩衝液及び脱イオン水を含むが、これらに限定されない。好ましい水溶液は、塩を含有する食塩水溶液で、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、又は同酸の対応するカリウム塩を含むが、これらに限定されない。これらの成分は一般に混合して、酸及びその共役塩基を含む緩衝液を形成するので、酸や塩基が加わっても、pHには比較的小さな変化しか起こらない。緩衝液は更に、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid)(MES)、水酸化ナトリウム、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2’,2”−ニトリロトリエタノール(2,2-bis(hydroxymethyl)-2,2',2”-nitrilotriethanol)、n−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(n-tris(hydroxymethyl)methyl-2-aminoethanesulfonic acid)、クエン酸、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸など、及びそれらの組み合わせを含む。好ましくは、溶液は、ホウ酸緩衝水溶液若しくはリン酸緩衝生理食塩水溶液である。溶液はまた、粘度調整剤、抗菌剤、高分子電解質、安定剤、キレート剤、酸化防止剤、及びこれらの組み合わせなどの既知の追加成分を含むこともできる。
【0082】
基材は、親水性ポリマーの潤滑及び表面を湿潤する有効量に取り込むのに十分な条件下で、親水性ポリマーと接触させる。本明細書に使用される、潤滑有効量は、(例えば、指の間で用具をこすることによって)手で感じることができる、あるいはデバイスを使用する場合、あるレベルの潤滑性を付与するのに必要な量である。更に、本明細書に使用される、表面を湿潤する有効量は、既知の接触角測定法(即ち、液滴法、captive bubble法、又は動的接触角測定法)によって決定される場合、レンズへのあるレベルの増大した湿潤性を付与するのに必要な量である。一実施形態では、デバイスがソフトコンタクトレンズである場合、50ppm程度の少量の親水性ポリマーは、改善したレンズの「感触」及び液滴法によって測定される、より低い表面接触角を提供することが見出されている。製造する包装用、保存用、又は清浄用溶液中で、約50ppmを超える親水性ポリマーの量、更に好ましくは、約100ppmを超える量が、感触の更に顕著な改善を高める。したがって、本実施形態では、親水性ポリマーは、約5000ppmまで、幾つかの実施形態では、約10〜5000ppm、及び幾つかの実施形態では、約10〜約2000ppmの濃度で溶液中に含むことができる。包装されたレンズは、レンズ中で浸透し、エンタングルされる親水性ポリマーの量を増加させるように熱処理することができる。好適な熱処理には、約20分間、約120℃の温度を含む、従来の加熱滅菌サイクルが含まれるが、これに限定されず、オートクレーブにおいて行うことができる。熱処理が使用されない場合、包装されたレンズを、別々に熱処理してもよい。別々の熱処理に好適な温度は、少なくとも約40℃、好ましくは、約50℃から溶液の沸点の間が含まれる。好適な熱処理時間は、少なくとも約10分間を含む。温度が高いほど、より少ない処理時間を必要とすることを理解されよう。
【0083】
多くのシリコーンヒドロゲル材料が、既知であり、使用することができ、これには、セノフィルコン、ガリフィルコン、ロトラフィルコンA及びロトラフィルコンB、バラフィルコンなどが含まれるが、これらに限定されない。ほとんどあらゆるシリコーンヒドロゲルポリマーが、本発明の親水性ポリマーを用いて処理することができ、これには、米国特許公開第6,637,929号、国際公開第03/022321号、国際公開第03/022322号、米国特許公開第5,260,000号、米国特許公開第5,034,461号、米国特許公開第6,867,245号、国際公開第2008/061992号、米国特許公開第5,760,100号、米国特許公開US第7,553,880号が含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
同様のプロセスは、シリコーンヒドロゲル以外のポリマーから作製される基材において使用することができる。一次的変化は、親水性ポリマーを可溶化し、基材を膨張させるべき、溶媒の選択にある。溶媒の混合を使用することができ、界面活性剤などの追加成分を、必要に応じて含むことができる。例えば、本物品が、シリコーンコンタクトレンズ又はシリコーン涙点プラグなどのシリコーン物品である場合、親水性ポリマーは、脂肪族アルコール、水、及びこれらの混合物などの溶媒中に溶解することができる。具体的な例には、上記の濃度で、イソプロパノール、n−プロパノールなどが含まれる。
【0085】
他の実施形態では、親水性ポリマーは、重合物品が作製される反応性混合物中に含むことができる。このような実施形態では、有効量の親水性ポリマーは、全レンズ成分の総重量の約0.1%〜50%の量を含み、約1%〜20%の量が更に好ましく、約2%〜15%の量が最も好ましい。例えば、本物品が、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズである場合、親水性ポリマーは、1つ以上のシリコーン含有成分及び1つ以上の親水性成分を有するコンタクトレンズの反応性混合物中で約20重量%までの量で含むことができる。本発明のポリマーを作製するために使用されるシリコーン含有成分及び親水性成分は、シリコーンヒドロゲルを作製するために、先行技術中で使用される既知の成分のいずれかであり得る。これらの用語、具体的には、シリコーン含有成分及び親水性成分は、シリコーン含有成分が、親水性基を有することができ、かつ親水性成分が、シリコーン基を有することができるため、シリコーン含有成分が、多少親水性であり得、親水性成分が、幾らかのシリコーンを含むことができるという点において、相互排他的でない。
【0086】
本発明の親水性ポリマーの1つの利点は、非反応性親水性ポリマーが、RAFTによって形成される実施形態では、分子量(MW)及び分子量分布(MWD)は、選択された物品の製造の必要条件に依存して容易に制御することができることである。例えば、親水性ポリマーが、鋳型成形したコンタクトレンズを形成するために使用されるものなどの低粘度の反応性モノマー混合物に取り込まれる一実施形態では、親水性ポリマーのMW及びMWDを、約1.3未満の多分散性を有する約100,000g/モルより下に維持することができる。より低いMW親水性ポリマーを有することにより、PVPなどの市販のポリマーと比較して、より高濃度の本発明の親水性ポリマーの添加を可能にする。PVPなどの従来のポリマーは、より高い多分散性を有し、これは、糸引きのため、処理問題を有する傾向がある極めて粘度のあるモノマー混合物中にもたらす場合がある。
【0087】
シリコーン含有成分は、モノマー、マクロマー、又はプレポリマー中に少なくとも1つの[−Si−O−]基を含むものである。1つの実施例では、Si及び付帯するOは、シリコーン含有構成成分中に、シリコーン含有構成成分の総分子量の約20重量%より大きい量で、別の実施形態では30重量%より大きい量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、及びスチリル官能基等の重合性官能基を含む。本発明で有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号及び同第5,070,215号、並びに欧州特許第080539号に認めることができる。本明細書に引用した特許の全ては、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。これらの参照は、オレフィン性シリコーン含有構成成分の多くの例を開示している。
【0088】
好適なシリコーン含有成分は、式Iの化合物を含む。
【化18】
式中、R
1は、独立して、一価反応基、一価アルキル基、又は一価アリール基から選択され、前述のいずれかは、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでもよく、1〜100個のSi−Oの反復単位を含む一価シロキサン鎖は、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はこれらの組み合わせから選択される官能性を更に含んでもよく、
式中、b=0〜500であり、bが0以外のときに、bは、表示値と同等のモードを有する分配であると理解され、
少なくとも1つのR
1は、一価反応基を含み、いくつかの実施形態では、1個と3個のR
1との間は、一価反応基を含む)。
【0089】
本明細書に使用されるとき、「一価反応基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニル、ビニルエーテル、C
1〜6アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、C
1〜6アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド、C
2〜12アルケニル、C
2〜12アルケニルフェニル、C
2〜12アルケニルナフチル、C
2〜6アルケニルフェニルC
1〜6アルキル、O−ビニルカルバメート及びO−ビニルカーボネートが挙げられる。カチオン反応性基の非限定例には、ビニルエーテル又はエポキシド基及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、フリーラジカル反応基には、(メタ)アクリレート、アクリルオキシ、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物が含まれる。
【0090】
好適な一価アルキル基及びアリール基には、置換及び非置換のメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシプロピル、プロポキシプロピル、ポリエチレンオキシプロピル、これらの組み合わせ等の非置換の一価C
1〜C
16アルキル基、C
6〜C
14アリール基が挙げられる。
【0091】
1つの実施形態では、bは、ゼロであり、1個のR
1は、一価の反応性基であり、少なくとも3個のR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、他の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。本発明のシリコーン成分の制限されない例には、2−メチル−、2−ヒドロキシ−3−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキザニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」)、
2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルオキシプロピル−トリ(トリメチルシロキシ)シラン、
3−メタクリルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(「TRIS」)、
3−メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び
3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサンが含まれる。
【0092】
他の実施形態では、bは、2〜20、3〜15、又はいくつかの実施形態では、3〜10であり、少なくとも1つの末端R
1は、一価反応基を含み、残りのR
1は、1〜16個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択され、別の実施形態では、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。更に他の一実施形態では、bが3〜15であり、1つの末端R
1が一価の反応性基を含み、その他の末端R
1が1〜6の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残余のR
1が1〜3の炭素原子を有する一価のアルキル基を含む。本発明のシリコーン成分の制限されない例には、(モノ−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)−プロピルエーテル末端のポリジメチルシロキサン(400〜1000MW))(「OH−mPDMS」)、モノメタクリルオキシプロピル末端のモノ−n−ブチル末端のポリジメチルシロキサン(800〜1000MW)、(「mPDMS」)が含まれる。
【0093】
別の実施形態では、bは、5〜400、又は10〜300であり、両方の末端R
1は、一価反応基を含み、残りのR
1は、独立して、炭素原子間のエーテル結合を有することもあり、ハロゲンを更に含むこともある、1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基から選択される。
【0094】
他の実施形態では、1〜4個のR
1が、下式のビニルカーボネート又はビニルカルバメートを含む:
【化19】
式中、YはO−、S−又はNH−を意味し、
Rは、水素又はメチルを意味し、dは1、2、3又は4、そしてqは0又は1である。
【0095】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーは、具体的には、1,3−ビス[4−(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチル−ジシロキサン、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートを含み、
【化20】
約200以下の係数を有する生物医学的デバイスが所望される場合、1個のR
1のみが一価の反応性基を含むものとし、残りのR
1基のうちの2個以下は、一価シロキサン基を含む。
【0096】
シリコーンヒドロゲルレンズが望ましい1つの実施形態では、本発明のレンズは、ポリマーが作製される反応性モノマー成分の総重量に基づき、少なくとも約20重量%、幾つかの実施形態では約20〜70重量%のシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から作製される。
【0097】
別のクラスのシリコーン含有成分は、次の式のポリウレタンマクロマーを含む。
式XIII〜XV
(
*D
*A
*D
*G)
a*D
*D
*E
1;
E(
*D
*G
*D
*A)
a*D
*G
*D
*E
1又は
E(
*D
*A
*D
*G)
a*D
*A
*D
*E
1
式中、
この場合、Dは、炭素原子6〜30個を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、
Gは、炭素原子1〜40個を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、アリールジラジカル又はアルキルアリールジラジカルを示し、これは、主鎖中にエーテル、チオ又はアミン結合を含有できる。
*はウレタン又はウレイド結合を意味し、
aは、少なくとも1であり、
Aは次の式の2価重合ラジカルを意味する。
【化21】
R
11は独立してアルキル又は1〜10個の炭素原子を有するフルオロ置換アルキル基を意味し、これには炭素原子間にエーテル結合を含んでよく、yは少なくとも1であり、pは400〜10,000の部分重量を提供し、E及びE
1はそれぞれ独立して次の式に示される重合性不飽和有機ラジカルを意味する。
【化22】
式中、R
12は水素又はメチルであり、R
13は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル又はa−CO−Y−R
15ラジカルで、Yは−O−、Y−S−又は−NH−であり、R
14は1〜12個の炭素原子を有する二価ラジカルであり、Xは−CO−又は−OCO−を意味し、Zは−O−又は−NH−を意味し、Arは6〜30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを意味し、wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0098】
1つの実施形態において、シリコーン含有構成成分は、次の式で表されるポリウレタンマクロマーを含む。
【化23】
R
16は、イソフォロンジイソシアネートのジラジカル等のイソシアネート基除去後のジイソシアネートのジラジカルである。別の好適なシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される式X(式中、x+yは10〜30の範囲の数である)の化合物である。
【化24】
【0099】
本発明での使用に好適な他のシリコーン含有成分には、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ化炭化水素、ポリフッ化エーテル及びポリサッカライド基を含有するマクロマーなど、国際公開第96/31792号に記述されているものが挙げられる。好適なシリコーン含有構成成分の別のクラスには、米国特許第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,244,981号、同第5,371,147号及び同第6,367,929号に開示されるようなGTPを経て作られるシリコーン含有マクロマーが挙げられる。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号、同第5,539,016号は、末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する極性フッ素化グラフト又は側基を有するポリシロキサンについて記述している。米国特許公開第2002/0016383号は、エーテル並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有するシロキサニルリンケージ及び架橋可能なモノマーを含有する親水性のシロキサニルメタクリレートを記載している。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有成分として使用することができる。
【0100】
親水性成分は、残りの反応性成分と混合する場合、得られたレンズに対して、少なくとも約20%、及び幾つかの実施形態では、少なくとも約25%の水分含有量を提供することができるものを含む。好適な親水性成分は、親水性モノマー、プレポリマー、及びポリマーを含み、全反応性成分の総量に基づき、約10〜約60重量%、幾つかの実施形態では、約15〜約50重量%、他の実施形態では、約20〜約40重量%の量で存在してよい。本発明のポリマーを作製するために使用し得る親水性モノマーは、少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つの親水性官能基を有する。重合可能な二重結合の例には、アクリル、メタクリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、フマル酸、マレイン酸、スチリル、イソプロペニルフェニル、O−ビニルカーボネート、O−ビニルカルバメート、アリル、O−ビニルアセチル及びN−ビニルラクタム及びN−ビニルアミドの二重結合が含まれる。そのような親水性モノマーは、それ自体、架橋剤として使用してもよい。「アクリル型」又は「アクリル含有」モノマーは、アクリル基を含有するモノマーである
(CR’H==CRCOX)
式中、Rは、H又はCH
3であり、R’は、H、アルキル、又はカルボニルであり、Xは、O又はNであり、これらはまた、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、及びこれらの混合物などの容易に重合することでも知られている。
【0101】
本発明のヒドロゲルに組み込まれ得る親水性ビニル含有モノマーには、N−ビニルラクタム(例えば、N−ビニルピロリドン(NVP))、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミド、N−2−ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N−カルボキシ−β−アラニンN−ビニルエステル等のモノマーが含まれ、一実施形態では、NVPを有することが好ましい。
【0102】
本発明に用いることができる他の親水モノマーは、重合性二重結合を含有する官能基で置換された末端ヒドロキシル基1個以上を有するポリオキシエチレンポリオールを含む。例としては、重合性二重結合を含有する官能基で置換された末端ヒドロキシル基1個以上を有するポリエチレングリコールが含まれる。例としては、イソシアナトエチルメタクリレート(「IEM」)、メタクリル酸無水物、塩化メタクリロイル、塩化ビニルベンゾイル等のエンドキャッピング基1モル当量以上と反応した、カーバメート又はエステル基等の結合部分によってポリエチレンポリオールに結合した1個以上の末端重合性オレフィン基を有するポリエチレンポリオールを生成する、ポリエチレングリコールが挙げられる。更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、及び米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の適切な親水モノマーは、当業者に明らかである。
【0103】
一実施形態では、本発明のポリマーに取り込んでもよい親水性モノマーには、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン(NVP)、N−ビニルメタクリルアミド、HEMA、及びポリエチレングリコールモノメタアクリレート等の親水性モノマーが含まれる。
【0104】
他の実施形態では、親水性モノマーには、DMA、NVP、HEMA、及びこれらの混合物が含まれる。
【0105】
本発明の反応混合物はまた、1つ以上の親水性ポリマーの親水性成分として含んでよい。本明細書で使用される親水性ポリマーとは、約5,000ダルトン以上の重量平均分子量を有する物質を指し、シリコーンヒドロゲル配合物に取り込まれた際に、前記物質は、硬化されたシリコーンヒドロゲルの湿潤性を増加させる。一実施形態では、これらの親水性ポリマーの重量平均分子量は、約30,000ダルトンを超え、別の実施形態では、約150,000〜約2,000,000ダルトンであり、更に別の実施形態では、約300,000〜約1,800,000ダルトンであり、更に別の実施形態では、約500,000〜約1,500,000ダルトンである。
【0106】
あるいは、本発明の親水性ポリマーの分子量は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,N−Vinyl Amide Polymers,Second edition,Vol 17,pgs.198〜257,John Wiley & Sons Inc.に記載されているように、運動粘度測定に基づいてK値で表示することもできる。この様式で発現するとき、親水性モノマーは、約46を超えるK値を有し、一実施形態では、約46〜約150のK値を有する。親水性ポリマーは、コンタクトレンズをもたらし、かつ湿潤性の少なくとも10%改善をもたらし、いくつかの実施形態では、表面処理なしの湿潤性のあるレンズをもたらすのに十分な量で、これらの機器の配合中に存在する。コンタクトレンズにおいて、「湿潤性」とは、約80°未満、70°未満、いくつかの実施形態では約60°未満の前進動的接触角を示すレンズである。
【0107】
親水性ポリマー類の好適な量には、全ての全反応成分の合計に基づいて、約1〜約20重量パーセント、幾つかの実施形態では、約5〜約17重量パーセント、別の実施形態では、約6〜約15重量パーセントが含まれる。
【0108】
親水性ポリマーの例としては、ポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、及びDMAと、HEMA等のより低分子量のヒドロキシル官能性ポリマーとを共重合させた後に、得られたコポリマーのヒドロキシル基と、イソシアナトエチルメタクリレート若しくはメタクリロイルクロライド等のラジカル重合性基を含有する材料とを反応させることによって官能化されたDMA等の官能化ポリアミド、官能化ポリラクトン、官能化ポリイミド、官能化ポリラクタムが挙げられるが、これらに限定されない。メタクリル酸グリシジルを有するDMA又はn−ビニルピロリドンから作られる親水性プレポリマーも使用してもよい。メタクリル酸グリシジル環は、開環されてジオールを得、これは、混合系において、他の親水性プレポリマーと併用されて使用され得、親水性ポリマー、ヒドロキシル官能化シリコーン含有モノマー及び相溶性を与える他の全ての基の相溶性を向上させる。一実施形態では、親水性ポリマーは、その主鎖中に、環状アミド又は環状イミドなどであるが、これらに限定されない少なくとも1つの環状部分を含有する。親水性ポリマーとしては、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、及びポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリ−2−エチル−オキサゾリン、ヘパリン多糖類、多糖類、これらの混合物及びコポリマー(ブロック若しくはランダム、分枝状、多鎖型、櫛状又は星状を含む)が挙げられるが、これらに限定されず、一実施形態では、ポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)が特に好ましい。PVPのグラフトコポリマー等のコポリマーも使用され得る。
【0109】
親水性ポリマーは、改善された湿潤性、及び特に、本発明の医療デバイスに対して改善されたインビボ湿潤性を提供する。あらゆる理論に束縛されることなく、親水性ポリマーは、水性の環境内で、水に結合した水素原子を受容する水素結合受容体であり、このようにして、事実上、より親水性となると考えられる。水の不存在は、反応混合物中の親水性ポリマーの混和を円滑にする。特化した親水性ポリマーは別として、前記ポリマーが配合物に添加されるとき、親水性ポリマーが、(a)反応性混合物から実質的に相分離せず、(b)得られた硬化したポリマーに湿潤性を付与する、という条件で、いかなる親水性ポリマーも本発明に有用であることが期待される。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーが反応温度で希釈剤中に可溶性であることが好ましい。
【0110】
また、相溶性のある薬剤が、使用されてもよい。幾つかの実施形態では、相溶性のある薬剤は、任意の官能化されたシリコーン含有モノマー、マクロマー、又はプレポリマーであり得、これは、重合される、及び/又は最終物品に形成される場合、選択された親水性成分と混合可能である。国際公開第03/022321号に開示される適合性試験を用いて、好適な相溶性のある薬剤を選択することができる。幾つかの実施形態では、ヒドロキシル基も含むシリコーンモノマー、プレポリマー、又はマクロマーが、反応混合物中に含まれる。例には、3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、モノ−(3−メタクリリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端の、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン(MW 1100)、ヒドロキシル官能化シリコーン含有GTPマクロマー、ポリジメチルシロキサンを含むヒドロキシル官能化マクロマー、及びこれらの組み合わせが含まれる。別の実施形態では、本発明の非反応性親水性ポリマーは、相溶性のある成分として使用することができる。
【0111】
ある実施形態では、少なくとも1つのシリコーン群も含まない別のヒドロキシル含有成分も含まれる。本発明のポリマーを作製するのに使用することができるヒドロキシル含有成分は、少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのヒドロキシル基を含む少なくとも1つの親水性官能基を有する。重合可能な二重結合の例には、(メタ)アクリル、(メタ)アクリルアミド、フマル酸、マレイン酸、スチリル、イソプロペニルフェニル、O−ビニルカーボネート、O−ビニルカルバメート、アリル、O−ビニルアセチル及びN−ビニルラクタム及びN−ビニルアミドの二重結合が含まれる。ヒドロキシル基は、一級、二級、又は三級アルコール基であってよく、アルキル又はアリール基上に位置してもよい。使用することができるヒドロキシル含有モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−O−ビニルカルバメート、2−ヒドロキシエチルビニルカーボネート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ヒドロキシオクチルメタクリレート、並びに米国特許第5,006,622号、第5,070,215号、第5,256,751号、及び第5,311,223号に開示される、他のヒドロキシル官能性モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
ヒドロキシル含有成分はまた、架橋剤としての役割も果たし得る。
【0113】
幾つかの実施形態では、親水性成分には、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが含まれる。ある実施形態では、少なくとも約3重量% HEMA、少なくとも約5重量% HEMA、及び幾つかの実施形態では、少なくとも約6重量% HEMAが、反応性混合物中に含まれる。
【0114】
架橋モノマーとも称される1個以上の架橋剤を、例えばエチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(「TMPTMA」)、グリセロールトリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート(この場合、ポリエチレングリコールは、例えば約5000までの分子量を有する)、並びに2個以上の末端メタクリレート部分を含有する上記のエンドキャップ化ポリオキシエチレンポリオールなどの他のポリアクリレート及びポリ(メタ)アクリレートエステルのような反応性混合物に添加することが、一般に必要である。架橋剤は、通常の量、例えば、反応性混合物の100グラム当たり約0.000415〜約0.0156モルで反応性混合物中に用いられる。別の方法としては、親水性モノマー及び/又はシリコーン含有モノマーが、架橋剤として作用する場合、反応性混合物への架橋剤の追加は任意である。架橋剤として作用でき、存在する場合に反応性混合物への追加架橋剤の添加を必要としない親水モノマーの例は、2個以上の末端メタクリレート部分を含有する上記ポリオキシエチレンポリオールを含む。
【0115】
架橋剤として作用でき、存在する場合に反応性混合物への架橋モノマーの追加を必要としないシリコーン含有モノマーの例として、α,ω−ビスメタクリルオキシプロピル(bismethacryloypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0116】
反応性混合物は、紫外線吸収剤、フォトクロミック化合物、薬学的及び栄養補助化合物、抗菌化合物、反応性着色剤、色素、共重合性及び非重合性染料、離型剤、並びにこれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない、添加成分を含有することができる。
【0117】
一般に、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応性混合物を形成する。好適な希釈剤は、当該技術分野で周知である。シリコーンヒドロゲルについては、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号、米国特許公開第6,020,445号において開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2〜20個の炭素を有するアルコール、一級アミン由来の10〜20個の炭素原子を有するアミド、及び8〜20個の炭素原子を有するカルボン酸が含まれる。幾つかの実施態様では、一級及び三級アルコールが好ましい。好ましい種類は、5〜20個の炭素を有するアルコール及び10〜20個の炭素原子を有するカルボン酸を含む。
【0119】
使用することができる具体的な希釈剤には、1−エトキシ−2−プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−オクタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、2−エチル−1−ブタノール、(3−アセトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1−tert−ブトキシ−2−プロパノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、tert−ブトキシエタノール、2−オクチル−1−ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0120】
好ましい希釈剤には、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−ドデカノール、1−デカノール、1−オクタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、エタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−オクチル−1−ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0121】
更に好ましい希釈剤には、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−ドデカノール、1−デカノール、1−オクタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、1−ドデカノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、t−アミルアルコール、tert−ブタノール、2−ブタノール、1−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−オクチル−1−ドデカノール、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0122】
非シリコーン含有反応性混合物のための好適な希釈剤には、グリセリン、エチレングリコール、エタノール、メタノール、エチルアセタート、塩化メチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、二価アルコールのホウ酸エステルが含まれるが、これに限定されない、米国特許公開第4,018,853号、米国特許公開第4,680,336号、及び米国特許公開第5,039,459号において開示されるような、低分子量PVP、並びにこれらの組み合わせなどが含まれる。
【0123】
希釈剤の混合物が、使用されてもよい。希釈剤は、反応性混合物中の全成分の合計の、約55重量%までの量で使用されてもよい。更に好ましくは、反応性混合物中の全成分の合計の約45重量%未満の量、更に好ましくは、約15〜約40重量%の量で使用される。
【0124】
重合開始剤は、反応性混合物中に含まれるのが好ましい。重合開始剤は、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリル等の、中程度の高温でフリーラジカルを発生させる化合物、及び、芳香族アルファ−ヒドロキシケトンや、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、酸化アシルフォスフィン、酸化ビスアシルホスフィン、三級アミン+ジケトン、これらの混合物などの光開始剤系を含む。光開始剤の具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、及びカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組み合わせがある。市販の可視光開始剤系としては、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(いずれもチバ・スペシャルティ−・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)より)及びLucirin TPO開始剤(BASF社より販売)が挙げられる。市販の紫外光開始剤としては、Darocur 1173及びDarocur 2959(チバ・スペシャルティ−・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals))が挙げられる。使用することができるこれら及び他の光開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2
nd Edition by J.V.Crivello& K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998において開示されており、これは、参照により本明細書に組み込まれる。この開始剤は、反応混合物の光重合を開始するのに有効な量、例えば反応性モノマー100重量部に対し、約0.1〜約2重量部の量で反応混合物中に用いられる。反応混合物の重合反応は、使用される重合開始剤に応じて熱又は可視光若しくは紫外光、又は他の手段を適宜選択して開始することができる。また、例えば電子線を使用することにより光開始剤を使用することなく反応を開始させることもできる。しかし、光開始剤を使用するとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))などの酸化ビスアシルホスフィン、又は1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4−4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせであり、重合の開始の好ましい方法は、可視光である。最も好ましいのは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))である。
【0125】
反応性混合物中に存在するシリコーン含有モノマーの好ましい範囲は、反応性混合物中の反応性成分の約5〜95重量パーセント、更に好ましくは約30〜85重量パーセント、及び最も好ましくは約45〜75重量パーセントである。上記の発明中に存在する親水性モノマーの好ましい範囲は、反応性混合物中の反応性成分の約5〜80重量パーセント、更に好ましくは約10〜60重量パーセント、及び最も好ましくは約20〜50重量パーセントである。上記の発明中に存在する希釈剤の好ましい範囲は、全反応性混合物(反応性及び非反応性成分を含む)中の約2〜70重量パーセント、更に好ましくは約5〜50重量パーセント、及び最も好ましくは約15〜40重量パーセントである。
【0126】
反応性成分及び希釈剤の好ましい組み合わせは、特許請求された希釈剤の1つ以上の約25〜約55重量%のシリコーン含有モノマー、約20〜約40重量%の親水性モノマー、約5〜約20重量%のヒドロキシル含有成分、約0.2〜約3重量%の架橋モノマー、約0〜約3重量%の紫外線吸収モノマー、約2〜約10重量%の非環式ポリアミド(全反応性成分の重量%に基づいた全て)、及び約20〜約50重量%(反応性及び非反応性の両方の全ての成分の重量%)を有するものである。
【0127】
本発明の反応性混合物は、振盪又は攪拌などの当業者に周知のいずれかの方法で形成でき、周知法によるポリマー用品又は用具の形成に使用できる。
【0128】
例えば、本発明の生体医療用機器は、反応性成分及び希釈剤を重合開始剤と混合し、適切な条件下で硬化させることによって調製して、生成物を形成し、その後、木摺打ち、切断などによって適切な形状に形成することができる。別法として、反応性混合物は、型に入れた後に硬化させ、適当な物品とすることができる。
【0129】
コンタクトレンズの生産における反応性混合物の加工には、スピンキャスティング及び静鋳造法(static casting)を含めた様々なプロセスが既知である。スピンキャスト法については米国特許第3,408,429号及び同第3,660,545号に開示されており、静止キャスト法については米国特許第4,113,224号及び同第4,197,266号に開示されている。本発明のポリマーを含むコンタクトレンズを製造するための好ましい方法は、シリコーンヒドロゲルを直接型成形することによるものであり、この方法は経済的であり、かつ含水レンズの最終的な形状の正確な制御を可能とするものである。この方法の場合、最終の所望のシリコーンヒドロゲル、すなわち、水膨潤ポリマー、の形状を有する型に反応性混合物を入れ、モノマーが重合する条件に当該反応性混合物を供し、それによって、ポリマー/希釈剤混合物を所望の最終製品の形状にする。次いで、本ポリマー/希釈混合物を、溶媒で処理して、希釈剤を除去し、最終的には、それを水で置き換え、元の成形したポリマー/希釈物品の寸法及び形状と全く同様の最終寸法及び形状を有するシリコーンヒドロゲルを生成する。本方法は、コンタクトレンズを形成するために使用することができ、米国特許第4,495,313号、第4,680,336号、第4,889,664号、及び第5,039,459号において更に記載され、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
本発明の生体医療用デバイス、特に眼科用レンズは、これらを特に有用にする、バランスのとれた性質を有する。このような性質としては、透明性、含水量、酸素透過性、及び接触角が挙げられる。本発明による少なくとも1つの非反応性親水性ポリマーの取り込みは、非常に望ましい接触角、並びにリポカリン、脂質、及びムチンの取り込みレベルの減少により証明される、改善した生体認証の性能を有する物品を提供する。本発明の非反応性親水性ポリマーを取り込むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、約50°未満、幾つかの実施形態では、約40°未満の接触角を示し、40%、幾つかの実施形態では、50%以上の接触角を低下する。同様に、リポカリンは、30%以上低下させることができ、約2μg以下を有するシリコーンヒドロゲルレンズを製造することができる。ムチンの取り込みレベルは、少なくとも約10%、幾つかの実施形態では、少なくとも約20%減少させることができる。脂質の取り込みは、50%以上低下させることができ、約15μg以下を有するシリコーンヒドロゲルレンズを製造することができる。本発明の親水性ポリマーを取り込むシリコーンヒドロゲルレンズは、約4μg以下のムチンの取り込みレベルを示す。
【0131】
一実施形態では、生体医療用デバイスは、含水率が約17%を超える、好ましくは、約20%を超える、更に好ましくは、約25%を超えるコンタクトレンズである。
【0132】
本明細書で使用するところの透明性とは、視認できるヘイズが実質的にないことを意味する。好ましくは、透明なレンズは、約150%未満のヘイズ値を有し、より好ましくは、約100%未満のヘイズ値を有する。
【0133】
シリコーン含有レンズの好適な酸素透過係数は、好ましくは、約4768リットル(40バレル)を超え、更に好ましくは、約7152リットル(60バレル)を超える。
【0134】
幾つかの実施形態では、本発明の物品は上記に述べた酸素透過係数、含水率、及び接触角の組み合わせを有する。上記の範囲のすべての組み合わせは、本発明の範囲に含まれるものとみなされる。
【0135】
非限定例は、本発明の以下に更に記載している。
【0136】
レンズの湿潤性は、液滴法を使用し、室温で、KRUSS DSA−100 TM機器を使用し、精査溶液として脱イオン水を使用して測定され、判定された。テストすべきレンズ(3〜5/試料)を、脱イオン水中ですすぎ、包装用溶液を取り除いた。それぞれのテストレンズを包装用溶液で湿らせておいた糸くずの出ない吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させて、レンズを乾燥させることなく、表面の水を取り除いた。適切な平坦化を確保するために、レンズは、コンタクトレンズのプラスチック製の型上の凸面上に「皿部を下(bowl side down)」に置いた。そのプラスチック製の型及びレンズは、適切な中央への注射器の整合及び注射器が割り当てられた液体に対応することができるように、液滴装置の容器内に置いた。3〜4マイクロリットルの脱イオン水の液滴は、その液滴がレンズから離れて垂れるように、DSA 100−Drop Shape Analysisソフトウェアを使用して注射器の先端上に形成された。その液滴は、その針を下に移動することによって、レンズの表面上に円滑に放出された。その針は、液滴を分注した後、直ちに回収された。その液滴は、5〜10秒間レンズ上に平衡を保たれ、液滴画像とレンズの表面との間で測定された接触角に基づいて、接触角を計算した。
【0137】
含水率は、次のように測定することができる:テストすべきレンズを24時間包装用溶液中に静置した。先端がスポンジ状のスワブを使用して、3枚のテストレンズのそれぞれを包装用溶液から取り出し、包装用溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させた。ピンセットを使用してテストレンズを秤量皿に置き、秤量した。更に他の2個の試料セットを準備し、前述のように秤量した。秤量皿を3回秤量し、その平均値が湿潤重量である。
【0138】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。少なくとも1354.6Pa(0.4インチHg)の真空が達成されるまで減圧した。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズを4時間乾燥した。パージ弁を開け、オーブンを大気圧に戻した。秤量皿を取り出し、秤量した。含量率は、次のように計算した。
湿潤重量=皿とレンズの合計湿潤重量−秤量皿の重量
乾燥重量=皿とレンズの合計乾燥重量−秤量皿の重量
【数3】
【0139】
試料の水分含量の平均値および標準偏差が計算され報告されている。
【0140】
ヘイズ値は、室温で、平坦な黒色背景上に置かれた、20×40×10mmの透明なガラス製セル内のホウ酸緩衝生理食塩水中に水和したテストレンズを配置し、そのレンズのセルの下部から、セルから垂直に対して66°の角度で、光ファイバーランプ(電力を4〜5.4に設定された口径1.3cm(0.5”)の光導波路を備えたTitan Tool Supply Co.製の光ファイバー光源)で光を照射し、レンズプラットホームの14mm上に配置されたビデオカメラ(Navitar TV Zoom 7000ズームレンズを搭載したDVC 1300C:19130 RGBカメラ)で、このレンズのセル上から垂直にレンズ画像を撮影することによって、測定することができる。EPIX XCAP V 1.0ソフトウェアを使ってブランクセルの画像を差し引くことによってレンズの散乱から背景散乱を差し引く。差し引き後の散乱光画像は、レンズの中心10mmを積分した(integrating)後、曇り度0と設定したレンズを用いずに、任意に曇り度100に設定した−1.00ジオプターCSI Thin Lens(登録商標)と比較することによって定量的に分析される。5個のレンズを分析し、結果を平均化し、標準CSIレンズのパーセンテージとして曇り度を得る。
【0141】
酸素透過度(Dk)は、以下の変数を除いて、ISO 9913−1:1996(E)に、一般に、説明されているポーラログラフィー法によって決定されてよい。測定は、2.1%酸素含有環境で実施する。この環境は、被験チャンバーを配備し、適切な比率、例えば窒素1800mL/分と空気200mL/分、に設定した窒素及び空気注入によって作り出す。調整されたp
O2を使用して、t/Dkを計算する。ホウ酸緩衝生理食塩水を使用した。MMAレンズを使用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って暗電流を測定した。レンズは、測定前に拭き取らなかった。様々な厚さのレンズを使用する代わりに、4枚のレンズを束にした。フラットセンサーの代わりにカーブセンサーを使用した。得られたDk値をバレルで報告する。
【0142】
リポカリンの取り込みは、次の溶液及び方法を使用して測定した。リポカリン溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液(Sigma,D8662)に、2mg/mLの濃度で溶解させたウシのミルク(Sigma,L3908)からのBラクトグロブリン(リポカリン)を含んでいた。
【0143】
各実施例について、3枚のレンズがリポカリン溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBSを使用して試験された。テストレンズを、滅菌ガーゼの上で包装用溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのリポカリン溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照レンズは、リポカリンの代わりに、浸漬液としてPBSを使用して準備した。リポカリン溶液中に浸したレンズを含むプレート及びPBS中に浸した対照レンズを含むプレートは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムで覆い、軌道振とう器に乗せ、35℃で、100rpmで攪拌し、72時間処理した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを紙タオルの上で拭い、過剰のPBS溶液を除去し、各ウェルが1mLのPBS溶液を含む、減菌した24個のウェルプレートに移動した。
【0144】
リポカリンの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma,QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、リポカリン溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。光学密度は、562nmの光学密度が読み取れる、SynergyII Microのプレートリーダにより測定した。
【0145】
ムチンの取り込みは、次の溶液及び方法を使用して測定した。ムチン溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液(Sigma,D8662)に、2mg/mLの濃度で溶解させたウシの顎下腺(Sigma,M3895−type 1−S)からのムチンを含んでいた。
【0146】
各実施例について、3枚のレンズがムチン溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてPBSを使用して試験された。テストレンズを、滅菌ガーゼの上で包装用溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのムチン溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照レンズは、リポカリンの代わりに、浸漬液としてPBSを使用して準備した。
【0147】
ムチン溶液中に浸したレンズを含むプレート及びPBS中に浸した対照レンズを含むプレートは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムで覆い、軌道振とう器に乗せ、35℃で、100rpmで攪拌し、72時間処理した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを紙タオルの上で拭い、過剰のPBS溶液を除去し、各ウェルが1mLのPBS溶液を含む、減菌した24個のウェルプレートに移動した。
【0148】
ムチンの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma,QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、ムチン溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算される。光学密度は、562nmの光学密度が読み取れる、SynergyII Microのプレートリーダにより測定した。
【0149】
細胞の生存率は、再構成された角膜上皮組織構成物を使用してインビトロで評価した。その組織構成物は、再構成された全層角膜上皮(Skinethicsからの角膜上皮組織)であり、完全に層を成す上皮構成物を形成するように、ポリカーボネートインサート上の気液界面で、インビトロで成長させた。
【0150】
レンズの評価のために、レンズのパンチ生検(0.5cm
2)を、組織上に局所に適用し、続いて、37℃、5% CO
2で、24時間処理した。レンズの生検を除去し、その組織をPBSで洗浄した。次いで、細胞の生存をMTT比色分析アッセイ(Mosman,T.Rapid colorimetric assay for cellular growth and survival:application to proliferation and cytotoxicity assays.J.Immunol.Methods,65;55〜63(1983))を使用して測定した:組織は、MTTの存在下、37℃、5% CO
2で3時間処理し、続いて、イソプロピルアルコール中に組織を注入した。次いで、イソプロピルアルコール抽出物の吸光度は、マイクロプレートリーダーを使用して、550nmで測定した。結果は、PBS対照の割合(PBSで処理された組織対レンズで処理された組織)として表した。
【0151】
溶液の評価のために、30μgの溶液を、その組織上に局所に適用した。細胞の生存は、レンズに対して記載される通りであった。各評価は、三重に行われた。
【0152】
脂質の取り込みは次のように測定した。
【0153】
標準曲線は、調査中で、各レンズタイプについて設定された。標識コレステロール(NBD([7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル]、CH−NBD;Avanti,Alabaster,AL)で標識化されたコレステロール)は、35℃で、メタノール中の1mg/mLの脂質の原液中に可溶化された。アリコートは、0〜100micg/mLの濃度範囲内で、pH 7.4で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で標準曲線を作成するように、本原液から得られた。
【0154】
各濃度で、1ミリリットルの標準を、24ウェル細胞培養プレートのウェル内に置いた。各タイプの10個のレンズを、別の24ウェルプレートに置き、1mLの20micg/mLの濃度のCH−NBD中の標準曲線試料と同時に浸した。別のレンズのセット(5個のレンズ)を、脂質の入っていないPBS中に浸して、レンズ自体が生成するあらゆる自己蛍光を補正した。全ての濃度は、pH 7.4で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に作製した。標準曲線プレート、試験プレート(CH−NBD中に浸したレンズを含む)、及び対照プレート(PBS中に浸したレンズを含む)は全て、アルミホイルで覆い、暗さを維持し、35℃で攪拌しながら、24時間処理した。24時間後、標準曲線プレート、試験プレート、及び対照プレートをインキュベーターから取り出した。標準曲線プレートは、マイクロプレート蛍光リーダ(Synergy HT)上で直ちに読み取った。
【0155】
試験プレート及び対照プレートからのレンズは、それぞれの別々のレンズを浸すことにより約100mLのPBSを含む3つの連続したバイアル瓶中で3〜5回すすいで、結合した脂質のみが、脂質のキャリーオーバーなしで測定することができるようにした。次いで、レンズは、各ウェル中に1mLのPBSを含む、未使用の24ウェルプレート中に置き、蛍光リーダ上で読み取った。試験試料を読み取った後、PBSを除去し、前述されるように、1mLの未使用のCH−NBDの溶液を、同一の濃度でレンズを置き、次の期間まで振動させながら、35℃でインキュベーター中に戻した。この手順を、レンズ上で脂質が完全に飽和されるまで、15日間繰り返した。飽和で得られた脂質量のみが報告された。
【0156】
リゾチームの取り込みは、以下のように測定した:リゾチームの取り込み試験に使用されたリゾチーム溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液に、2mg/mLの濃度で溶解させたニワトリの卵白(Sigma,L7651)からのリゾチームを含んでいた。
【0157】
リポカリン溶液は、1.37g/Lの重炭酸ナトリウム及び0.1g/LのD−ブドウ糖を補ったホスフェート生理食塩水緩衝液に、2mg/mLの濃度で溶解させたウシのミルク(Sigma,L3908)からのBラクトグロブリン(リポカリン)を含んでいた。
【0158】
各実施例について、3枚のレンズがそれぞれのタンパク質溶液を使用して試験され、3枚が対照溶液としてのPBSを使用して試験された。試験レンズを、滅菌ガーゼの上で包装溶液を除去するために拭い、減菌鉗子を使用して、各ウェルが2mLのリゾチーム溶液を含む、減菌した24個のウェルの細胞培養プレート(ウェル当たり1枚のレンズ)へ、無菌状態で移動した。各レンズを溶液中に完全に浸した。対照として、コンタクトレンズを含まない1つのウェルに2mLのリゾチーム溶液を入れた。
【0159】
レンズを含むプレート及びタンパク質溶液のみを含む対照用プレート及びPBS中のレンズは、蒸発と脱水を防ぐためパラフィルムで覆い、軌道振とう器に乗せ、35°Cで、100rpmで攪拌し、72時間処理した。72時間の処理期間の後、レンズを約200mLのPBSを含む3個の別々のバイアル瓶に浸し3〜5回洗浄した。レンズを紙タオルの上で拭い過剰のPBS溶液を除去し、減菌した円錐形のチューブに移した(チューブ当たり1枚のレンズ)。各チューブは、各レンズの組成から予想されるリゾチーム取り込み量の推定を基に決められる量のPBSを含んでいた。検査される各チューブのリゾチーム濃度は、製造業者が述べている(0.05マイクログラム〜30マイクログラム)アルブミン標準レンジ内であることが必要である。レンズ当たり100μg未満のリゾチームレベルを取り込むことが分かっている試料は、5倍に希釈した。レンズ(Etafilcon Aレンズなど)当たり500μgを超えるリゾチームレベルを取り込むことが分かっている試料は、20倍に希釈した。
【0160】
Etafilcon以外の全ての試料に対して、1mLのアリコートのPBSを使用した。Etafilcon Aレンズに対しては、20mLを使用した。各対照レンズについては、ウェルプレートがリゾチームまたはリポカリンの代わりにPBSを含むこと以外は、同じように処理した。
【0161】
リゾチーム及びリポカリンの取り込みは、オンレンズ・ビシンコニン酸法により、QP−BCAキット(Sigma,QP−BCA)を使用し、製造業者の説明する手順により測定し(標準前処理はキットに記載されている)、リゾチーム溶液に浸したレンズについて測定した光学密度から、PBSに浸したレンズについて測定した光学密度(バックグラウンド)を減じて計算した。
【0162】
光学密度は、562nmの光学密度が読み取れる、SynergyII Microのプレートリーダにより測定した。
【0163】
PQ1の取り込みは、次のように測定した。調製した2、4、6、8、12及び15μg/mLの濃度を有する一連の標準PQ1溶液を使用して、HPLCを較正した。レンズを、3mLのOptifree Replenish(これは0.001wt%のPQ1を含み、Alconから市販品が入手可能である)を含むポリプロピレン製のコンタクトレンズケースに入れた。溶液を3mL含むが、コンタクトレンズは含まない対照用のレンズケースも用意した。レンズ及び対照溶液は、72時間室温で静置した。1mLの溶液を、試料及び対照のそれぞれから取り出し、トリフルオロ酢酸(10μL)で混合した。HPLC/ELSD及びPhenomenex Luna C4(4.6mm×5mm、5μmの粒度)のカラムを使用し、下記の条件で分析した。
装置:Agilent 1200 HPLC又はSedere Sedex 85 ELSDの同等品
Sedex 85 ELSD:T=60℃、ゲイン=10、圧力=340kPa(3.4bar、フィルター=1s
移動相A:H
20(0.1% TFA)
移動相B:アセトニトリル(0.1% TFA)
カラム温度:40℃
注入量:100μL
【表1】
【0164】
各分析で3枚のレンズを使用し、結果を平均した。
【0165】
基準曲線、直径、電力、及びCTを含む、レンズパラメーターを以下の通りに測定した。直径及び電力は、レンズを食塩水に浸し、凹部表面を下にしてキュベットに装着して、Mach−Zehnder干渉計を使用して、測定され、詳細は米国特許公開第2008/0151236号に記載されている。これらのレンズは、測定前に15分間約20℃で平衡安定化した。この干渉計の出力は、試験したコンタクトレンズの2つの光線間の干渉である。
【0166】
矢状深さ及びCTは、GE Panametrics 25 Multi Plus Ultrasonic Thicknessゲージを使用して測定した。ゲージは、変換器からの超音波パルスの測定からレンズの矢状深さ及び中央厚さを測定する。パルスは、変換器に対するレンズに反映する。コンタクトレンズの基準曲線の半径は、矢状深さ及びレンズ直径に基づいて計算した。レンズは、測定前の少なくとも15秒間、Panametrics 25 Multi Plus bowl中で平衡安定化した。レンズは、凹部を下にして、CT及び矢状深さの測定前に全矢状レンズホルダー上に集中させた。
【0167】
以下の略語は、実施例を通して使用され、以下の意味を有する。
【表2】
【0168】
調製物1
アリルアルコールのnBPDMSへのヒドロシリル化
三口丸底フラスコ中に、N
2下で、nBPDMS−H(73g、0.18モル、PTG lot# 1708682.001)及びアリルアルコール(48g、0.83モル、Fluka lot# 127884154306205)を添加した。混合物の温度は、氷浴及びキシレン中に2重量%の白金を含有する500マイクロリットルのカールステットの触媒(Aldrich 01231)を用いて0℃まで低下させた。5分間後、氷浴を除去し、混合物は室温に達した。発熱が観察され、温度は、数分間で最高64℃に達した。次いで、反応混合物を水浴中で冷却し、更に48時間反応させた。残りのアリルアルコールは、減圧下で回転蒸発によって除去した。油性液体を、小シリカプラグを通して濾過し、白金触媒を回収/除去した。
【0169】
調製物2:3−(n−ブチルテトラメチルシロキシジメチルシリル)プロピル4−((エトキシカルボノチオイルチオ)メチル)安息香酸塩(SBX)の合成
100mLの丸底フラスコに、4.71g(10.0ミリモル)のnBSP、3.0g(10.5ミリモル)のBBB、1.27g(10.0ミリモル)のLi
2CO
3、及び20mLのCH
3CNを添加した。溶液を室温で20時間攪拌し、続いて、濾過した。次いで、透明な濾液は、赤みがかった橙色の溶液が得られるまで、1.65g(10ミリモル)のカリウムO−エチルキサントゲン酸塩(KX)で3時間、更に反応させた。反応の終了の少し前に、固体の沈殿物(KBr)を、フラスコの底部に形成した。混合物を、分液漏斗に移し、水及びヘキサンを添加して、水溶性不純物を抽出した。水相を除去し、廃棄する前に、未使用のヘキサンで2回洗浄した。全ての3つのヘキサン相を合わせて、無水Na
2SO
4で乾燥させた。得られた溶液を濾過し、回転蒸発によって赤みがかった茶色の油性液体まで減じた。化合物構造は、
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)0.0(m,〜30H),0.4〜0.6(m,4H),0.8〜0.9(t,3H),1.2〜1.3(m,4H),1.4(t,3H,)1.6〜1.8(m,3H),4.2(t,2H)によって確認された。反応物を以下に示す。
【化25】
【0170】
調製物3:SBXの存在下で、PVPベースの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーNRPTHPの合成
重合溶液は、300:1の[NVP]:[SBX]比及び5:1の[SBX]:[Irgacure−819]比で調製された。一般に、溶液は、50gの蒸留されたNVPを100mLの琥珀瓶に添加することによって調製された。次に、1.063gのSBX及び125mgのIrgacure−819をモノマーに添加し、攪拌して、均一性を確保した。最終重合溶液を含む琥珀色のバイアル瓶を、ゴム製の隔膜で密閉し、N
2で30分間パージして、溶液からO
2を除去した。最後に、密閉した瓶を、一晩保存するために、N
2のグローブボックスに入れた。
【0171】
重合溶液を、N
2雰囲気下で、4つの標準的なPhillips TL 20W/03 RSバルブを用いて、2.0mW/cm
2の強度で3時間硬化した。硬化前に、重合溶液を結晶皿に注ぎ入れ、次いで、反射ガラス表面上に置いた。この反応スキームは、以下の反応スキーム4に示す。
【化26】
【0172】
3時間硬化した後、得られたガラス状の重合材料を結晶皿から取り出し、少量を
1H NMR分析用に保持し、残りの材料を180mLのエタノール中に溶解した。溶液を一晩攪拌し、翌朝ジエチルエーテルから沈殿させた。モノマー変換及び残留した(非精製)ポリマー、及び最終的に沈殿したポリマーをそれぞれ、
1H NMR分光法によって、CDCl
3中に確認した。NMRデータは、重合が、3時間の期間にわたって93%の変換に達したことを示した。沈殿したポリマーは、ほとんどNVPの存在を示さなかったが、残留ジエチルエーテルが存在することを示した。マルチアングルレーザ光散乱法(SEC−MALLS)によるサイズ排除クロマトグラフィーによって、ポリマーの絶対的なMWが、約42,000g/モルであると判定した(表1)。
【表3】
【0173】
調製物3のSEC−MALLSの特徴付け:SEC−MALLSの設定は、0.5mL/分の流速で、40℃で、80%の0.05M Na
2SO
4及び20%のCH
3CNからなる水性/有機共溶出、Tosoh Biosciences TSK−ゲルカラム(SuperAW3000(Exclusion Limit<60000g/モル、150Å)及びSuperAW4000(Exclusion Limit<400,000g/モル、450Å))を、オンラインAgilent 1200 UV/visダイオードアレイ検出器、Wyatt Optilab rEX干渉屈折計、及びWyatt miniDAWN Treosマルチアングルレーザ光散乱法(MALLS)検出器(λ=658nm)を用いて使用した。ポリ(ビニルピロリドン)に対しては、30℃で0.155mL/gのdη/dc(λ=658nm)を、絶対分子量測定のために使用した。絶対分子量及び多分散性データは、Wyatt ASTRA V SEC/LSソフトウェアパッケージを使用して計算した。結果を
図1に示す。
【実施例】
【0174】
(実施例1〜10)
以下の市販のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、上記の方法を使用して、接触角及びリポカリンの取り込みを判定するために測定した。各タイプのレンズを、それらのパッケージから取り出し、表2に示される量で調製物3において生成された非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマー(「NRPTHP」)を含む包装用溶液を含む、ガラス製のバイアル瓶に移した。レンズを、NRPTHP包装用溶液中の再包装し、121℃で28分間オートクレーブし、滅菌後、表2に列挙された時間、周囲温度で、NRPTHP包装用溶液中に浸した。上記の液滴手順によって測定された接触角及びリポカリンの取り込みを測定し、そのデータを表2に報告する。
【表4】
AO=Johnson & Johnson Vision Care,Inc.から市販のHydraclear Plus(セノフィルコン)を含むACUVUE OASYS
AA=Johnson & Johnson Vision Care,Inc.から市販のHydraclear(ガリフィルコン)を含むACUVUE ADVANCE
ATE=Johnson & Johnson Vision Care,Inc.から市販のHydraclear1(ナラフィルコン)を含むACUVUE TrueEye
PV=Bausch & Lombから市販のPUREVISION(バラフィルコン)
【0175】
処理されていないセノフィルコンA基材と比較して(実施例1)、本発明の非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーで処理されたレンズは、より低い液滴値からも明らかなように、著しく改善された湿潤性を示し、またより低いリポカリンの取り込みレベルからも明らかなように、改善された生体能力も有する。ACUVUE OASYSレンズは、3つの異なる濃度/浸潤条件のセット(実施例2〜4)で評価され、全ての実施例は、著しく低下した接触角(少なくとも40%の減少)及びリポカリンの取り込み(少なくとも約35%の減少)を示した。試験した全ての溶液及び曝露時間(即ち、3000対150ppm及び2対14日間)については、本発明により処理されたレンズにおいて、湿潤性又はリポカリンの取り込みの認識できる差異がない。
【0176】
NRPTHPで処理されたレンズに対するリポカリン値が、エタフィルコンAからなるもの、及びアッセイにおける検出の下限値に近づくことに留意することが重要である。
【0177】
3つの他のシリコーンヒドロゲルレンズタイプ(Johnson & Johnson Vision Care,Inc.から市販のHydraclear(ガリフィルコン)を含むACUVUE ADVANCE、Johnson & Johnson Vision Care,Inc.から市販のHydraclear1(ナラフィルコン)を含むACUVUE TrueEye、及びBausch & Lombから市販のPUREVISION(バラフィルコン))が、実施例4の条件を用いて試験された。全ての基材については、液滴の接触角及びリポカリンの取り込みの両方が、著しく低下した。3000ppmのPVP/Silにより処理されたセノフィルコンA、ガリフィルコンA、ナラフィルコンA、及びバラフィルコンAについては、接触角及びリポカリンの取り込みにおいて、以下のそれぞれの割合の減少が観察された:セノフィルコンA、50.2及び41.4%;ガリフィルコンA、40.1及び31.0%;ナラフィルコンA、45.8及び31.0%;並びにバラフィルコンA、55.2及び42%。このデータは、以下の表3に示されるように、これらのレンズが、一連の性質を有するため、特に興味深い。
【表5】
【0178】
実施例1、2、及び4のレンズは、パラメーターを確認するために測定した。これらの結果(基準曲線、中央厚さ、及び直径)を、以下の表4に示す。
【表6】
【0179】
本発明のNRPTHPが、セノフィルコンAの湿潤性及びインビトロ性能において実質的な影響がある一方、それが、レンズのパラメーターにおいて有する効果は、以下の表4のデータにより示されるように、最小限である。NRPTHPで処理されたレンズについて試験した全てのパラメーターは、処理されないレンズと比較して、パラメーターの試験方法の標準偏差内の値を示すパラメーターを示す。
【0180】
(実施例11〜18)
実施例1、5、7、及び9からの対照レンズ(それぞれ、セノフィルコン、ガリフルコン、ナラフィルコン、及びバラフィルコンレンズ)を、3mLのOptifree RepleniSHの多目的用剤(Alconから市販)を含む又は調製物3において調製された0.1% NRPTHPを含むOptifree RepleniSHの多目的用剤のいずれかを含むレンズケースに入れた。レンズケースを閉じ、レンズを多目的用剤中に室温で24時間浸した。接触角及びリポカリンの取り込みは、上記の方法を用いて評価し、これらの結果を以下の表5に示す。実施例1、5、7、及び9(NRPTHPを含まない対照レンズ)、並びに実施例4(オートクレーブ前に包装用溶液中にNRPTHPの取り込み)からの結果は、比較のために表5に追加されている。
【表7】
PS−NRPTHPを包装用溶液に添加し、オートクレーブした。
【0181】
実施例11〜18は、NRPTHPが、OptiFree RepleniSHなどの市販の多目的用剤からコンタクトレンズに取り入れられ得るかどうかを評価するために実施された。実施例1、5、7、及び9(対照レンズ)を実施例11、13、15、及び17(NRPTHPで処理されていないが、MPS溶液中に浸したレンズ)と比較することにより、MPS溶液への浸潤が、試験したレンズのいずれの接触角又はリポカリンの取り込みに影響を及ぼさないことは明らかである。しかし、実施例12、14、16、及び18(NRPTHPを含むMPS中に浸した)は、NRPTHPを含まないMPS中に浸したレンズ(実施例11、13、15、及び17)についてのデータと比較した場合、全てのレンズタイプについて、改善された湿潤性(接触角の低下)及びリポカリンの取り込みの実質的減少を含むインビトロ性能における実質的な改善を示す。NRPTHPを補ったMPS中に浸したレンズにおいて得られた接触角及びリポカリンの取り込みのデータは、3000ppm NRPTHPを含む包装用溶液中に再包装され、オートクレーブされたレンズ(実施例4、6、8、及び10)において得られたものと同様であった。
【0182】
(実施例19〜22)
実施例1(対照)及び4(3000ppm NRPTHP)からのレンズは、Optifree RepleniSHの多目的用剤(Alconから市販)を使用する複数のこすりサイクルに供した後、評価された。それぞれのサイクルについては、レンズが、テスターのある人差し指の上に「凹部が上を向く(bowl up)」ように位置付け、3〜5滴の多目的用剤を、凹部に注入した。次いで、レンズを、それぞれの面に対してテスターの親指と人差し指の間で8〜10回こすった。それぞれのこすり「サイクル」の終了時、レンズをOptifree RepleniSHですすいだ。一連のレンズのそれぞれに供したこすりサイクル数は、表6に列挙される。接触角及びリポカリンの取り込みは、上記のように測定され、これらの結果は、以下の表6に列挙される。
【表8】
【0183】
実施例1、19、及び20からの結果と比較することにより、MPSを用いたセノフィルコンレンズをこすることにより、接触角又はリポカリンの取り込み値のいずれかのごくわずかな変化をもたらすことが理解され得る。しかしながら、実施例21及び22(8回及び16回のこすりサイクルに供したNRPTHPで処理したレンズ)は、実施例4について36°(NRPTHPで処理したレンズ、0回のこすりサイクル)から、実施例21及び22についてそれぞれ、3°及び4°(8回又は16回のこすりサイクルを有するNRPTHPで処理したレンズ)までの接触角の並外れた約90%の低下を示す。Optifree RepleniSHを用いて、こすりサイクルに本発明のレンズを供することはまた、リポカリンの取り込みも更に減少させる。NRPTHPで処理したレンズは、こすらないものよりもこったものが、著しく低いリポカリンの取り込みを示した(実施例4について2.0と比較して、実施例21及び22について1.7及び1.6)。
【0184】
(実施例29)
3つのセノフィルコンレンズをそれらのパッケージレンズから取り出し、調製物3において生成された500ppmの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマー(「NRPTHP」)を含む包装用溶液を含む、ガラス製のバイアル瓶に移した。レンズを、NRPTHP包装用溶液中に再包装し、121℃で28分間オートクレーブし、滅菌後、少なくとも24時間、周囲温度で、NRPTHP包装用溶液中に浸した。NRPTHPで処理されたレンズについてムチンの取り込みを測定し、これらの結果を平均し、3.86+0.21μg/レンズであることが分かった。3つの処理されていないセノフィルコンレンズもまた、試験され、ムチンの取り込みが5.22+0.03μg/レンズの平均を有することが分かった。
【0185】
(実施例30)
PBS中に調製物3のNRPTHPの1%溶液を調製した。NRPTHP溶液の一部は、ガラス製のバイアル瓶中でオートクレーブ処理された。
【0186】
セノフィルコンAレンズを、3mLの0.1重量% NRPTHPの濃度を有するPBS/NRPTHP溶液を含むガラス製のバイアル瓶に入れ、レンズ及び溶液を、ポリプロピレン製のブリスター包装に移し、封入し、121℃で21分間オートクレーブ処理により滅菌した。
【0187】
PBS対照溶液、NRPTHPを含むPBS溶液、オートクレーブ処理後のPBS/NRPTHP溶液、並びにPBS/NRPTHP中でオートクレーブ処理したコンタクトレンズの細胞の生存を測定した。結果を表7に示す。
【表9】
【0188】
80%を超える細胞の生存は、人間の目において挿入時の快適さ及び人間の上皮への最小限の摂動の相互関係を示す。データは、溶液から又はNRPTHPを有するコンタクトレンズが、それと関連するかどうかにかかわらず、高レベルのPRPTHPに曝露する場合、人間の角膜上皮細胞に最小限の摂動があることを示す。
【0189】
調製物4:3−(n−ブチルテトラジメチルシロキシジメチルシリル)プロピル4−((エトキシカルボノチオイルチオ)メチル)安息香酸塩(SBX−D)の合成
3−(n−ブチルテトラメチルシロキシジメチルシリル)プロパノール(4.71g、10モル)を、TMP(1.42g、10モル)を含む20mLのヘキサン中に溶解した。4−(ブロモメチル)ベンゾイルブロミド(BBB)(2.92g、10.5モル)を溶液に添加し、白色固体を直ちに形成した。混合物を一晩攪拌し、翌朝、沈殿物を濾過によって除去した。次いで、カリウムO−エチルキサントゲン酸塩(KX)(1.68g、10.5モル)を数mLのアセトニトリルを含む濾過した反応混合物に添加し、最終混合物を一晩攪拌した。翌朝、混合物を再度濾過し、残留した処理されなかったKXを除去した。ヘキサン及び水を濾液に添加し、混合物を分液漏斗中で振動した。水相を分離し、ヘキサンで2回抽出した。全てのヘキサン相を回収し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶媒を回転蒸発によって除去し、最終生成物、3−(n−ブチルテトラメチルシロキシジメチルシリル)プロピル4−((エトキシカルボノチオイルチオ)メチル)安息香酸塩(SBX−D、以下に示す構造物)を油として単離した。化学構造物が、
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)0.0(m,30H),0.4〜0.6(m,4H),0.8〜0.9(t,3H),1.2〜1.3(m,4H),1.4(t,3H,)1.6〜1.8(m,3H),4.2(t,2H),4.4(s,2H),4.65(q,2H),7.4(d,2H),8.0(d,2H)によって確認された。
【化27】
【0190】
調製物5:O−エチルS−4−(2−(n−ブチルポリジメチルシロキシジメチルシリル)エチル)ベンジルカルボノジチオ酸(XG−1996−XAN)の合成
XG−1996(以下の式XXIに、平均反復の10〜12のmに対応する約1000g/モルを中心とするMW分布に示される)、(10g、10モル)を、100mLの丸底フラスコ中の約40mLのアセトン中に溶解した。カリウムO−エチルキサントゲン酸塩(KX)を添加し、得られた反応混合物を一晩攪拌した。白色塩が溶液から沈殿し、混合物を濾過して、固体を除去した。濾液を回転蒸発によって濃縮した。粗生成物は、黄色油であり、未反応の固体KXを含有した。純水機器の水を、(約40mol)添加し、生成物(O−エチルS−4−(2−(n−ブチルポリジメチルシロキシシリル)エチル)ベンジルカルボノジチオ酸、XG−1996−XAN、(以下の式XXIIに示される構造物)を、ヘキサン(4×40mol)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥させた。ヘキサン溶液をほぼ半分の体積まで回転蒸発させて、シリカゲルプラグ上を通過させた。このプラグをヘキサンですすぎ、全ての要素を混合し、乾燥するまで回転蒸発させて、透明な淡黄色油を得た。化学構造物が、
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)0.03〜0.08(m,75H),0.52(t,2H),0.82−.92(m,4H),1.22〜1.35(m,5H),1.40(t,3H),2.62(t,2H),4.32(s,2H)4.64(q,2H),7.14(d,2H),7.21(d,2H)によって確認された。
【化28】
【0191】
調製物6 SBX−Dの存在下で、PVPベースの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーNRPTHPの合成
調製物3は、調製物2からのSBXを調製物4において調製されたSBX−Dで置き換えるプロセスを繰り返した。調製物4において作製されたSBX−Dは、調製物2において生じたシロキサンの置き換えを示さなかった。置き換えのため、調製物3のNRPTHPは、異なるポリシロキサン単位を有するポリシロキサンセグメントを含むのに対して、調製物6のNRPTHPは、ポリシロキサンセグメントを含み、実質的に、これらの全ては、5個のポリシロキサン単位を有する。ポリマーは、調製物3を特徴付けるために使用された同一のSEC−MALLS技法によって分析され、調製物3のMWと同等のMWを有することが分かった。
【0192】
調製物7:XG−1996−XANの存在下で、PVPベースの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーNRPTHPの合成
調製物3は、調製物2からのSBXを調製物5において調製されたXG−1996−XANで置き換えるプロセスを繰り返した。
【0193】
(実施例31〜32)
3つのセノフィルコンレンズをそれらのパッケージレンズから取り出し、調製物3又は6において生成された500ppmの非反性ポリシロキサン末端親水性ポリマー(「NRPTHP」)を含む包装用溶液を含む、ガラス製のバイアル瓶に移した。レンズを、NRPTHP包装用溶液中に再包装し、121℃で28分間オートクレーブし、滅菌後、少なくとも24時間、周囲温度で、NRPTHP包装用溶液中に浸した。レンズの液滴法の接触角を測定し、表8に報告する。
【表10】
【0194】
実施例31は、接触角の改善がないことを示した一方、実施例32は、未処理対照と比較して実質的な改善を示した。調製物3のNRPTHPは、長さの異なるセグメントをもたらすシロキサンセグメントを置き換えたが、調製物6のNRPTHPは、調製中置き換えを行わないシロキサンセグメントを示し、ポリシロキサンセグメントのポリシロキサン単位の一貫した数(5)を保持した。実施例31〜32と比較して、ポリシロキサンセグメントの5個以下のポリシロキサン単位を有するNRPTHPは、NRPTHPを含む溶液中に浸したコンタクトレンズの湿潤性のいかなる測定可能な改善を提供しない。
【0195】
(実施例33)
実施例32は、調製物7のNRPTHP(約10〜12の平均ポリシロキサン鎖)を使用して、繰り返した。実施例32、34のレンズの接触角を測定し、(NRPTHP中に浸さなかった対照のACUVUE OASYSコンタクトレンズに加えて)表9に報告する。
【表11】
【0196】
実施例32〜33と比較して、約6個を超えるシロキサン単位を有するポリシロキサンセグメントの取り入れは、レンズの湿潤性を更に改善し、湿潤性の改善の持続性も増大する。
【0197】
調製8
S−ヘキシル−S’−4−(2−(n−ブチルポリジメチルシロキシジメチルシリル)エチル)ベンジルカルボノトリチオ酸S−ヘキシル−S’−4−(2−(n−ブチルポリジメチルシロキシジメチルシリル)エチル)ベンジルカルボノトリチオ酸(XG1996TTC)の合成
XG−1996(式XXIに、平均反復の10〜12のmに対応する約1000g/モルを中心とするMW分布に示される)、(10g、10モル)を、1Lの丸底フラスコ中の約250mLのアセトン中に溶解した。ナトリウムヘキシルトリチオカルボネート(NaHTTC)を、100mLのアセトン中に溶解し、反応混合物に添加した。反応混合物を一晩攪拌した。白色固体が鮮黄色溶液から沈殿した。アセトンを回転蒸発によって除去し、粗生成物を250mLの脱イオン水と250mLのヘキサンに分配した。ヘキサン相を分離し、水相をヘキサン(3×200mL)で抽出した。全ての有機層を合わせて、ブライン(250mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。ヘキサン中の粗生成物にシリカゲルプラグ上を通過させ、混濁を除去した。ヘキサンを回転蒸発によって除去し、透明な黄色油状の生成物S−ヘキシル−S’−4−(2−(n−ブチルポリジメチルシロキシシリル)エチル)ベンジルカルボノトリチオ酸(XG1996HTTC)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)0.00〜0.05(m,60H),0.52(t,2H),0.83〜0.91(m,8H),1.22〜1.44(m,10H),1.63〜1.73(m,2H),2.61(t,2H),3.34(t,2H),4.56(s,2H),7.14(d,2H),7.21(d,2H)。
【0198】
調製物9〜15 RAFT重合によってPVPベースの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーNRPTHPが変化したMWシリーズの合成
異なる分子量で一連のNVPを含有するNRPTHPが調製された。全ての組成物については、シリコーンセグメントの長さは、10〜12個の反復単位で定数を保った、即ち、全てのポリマーが、調製物5から同一の多くのXG1996XANから作製された。25、50、100、300、500、1000、及び2000を含む、親水性ポリマーセグメントの異なる重合度を標的とするために、幾つかのNVP:XG1996XANの比率が使用された。
【0199】
重合溶液の調製:重合溶液は、以下の表10に列挙される量で、以下の手順及び成分を使用して調製された。蒸留されたNVPを琥珀色の120mLのガラス製の瓶に添加した。次に、D3O、XG1996XAN、及びIrgacure−819をモノマーに添加し、温め、攪拌して、均一性を確保した。最終重合溶液を含む琥珀色のバイアル瓶を、N
2雰囲気下で置き、N
2を用いて20分間パージして、溶液からO
2を除去した。瓶を密閉し、使用するまで、N
2のグローブボックスに入れた。
【表12】
【0200】
窒素下の期間、それぞれの重合溶液を直径190mmの結晶皿に注ぎ入れ、次いで、反射ガラス表面上に置いた。重合溶液を、N
2雰囲気下で、4つの標準的なPhillips TL 20W/03 RSバルブを用いて、2.0mW/cm2の強度で1時間硬化した。
【0201】
1時間硬化した後、得られた粘稠な重合材料を、大きな開口があるストップコックを用いて分液漏斗に注ぎ入れた。少量のエタノールを使用して、結晶皿を洗浄した。ポリマー溶液を、活発に攪拌するジエチルエーテルに滴加し、生成物を沈殿させた。1800mLのエーテルで充填した1つの2Lのフラスコを使用した。沈殿したポリマーを、減圧下で数時間乾燥させ、次いで、ジエチルエーテルで2日間ソックスレー抽出によって更なる精製に供した(25DPポリマーは、ソックスレー抽出には微粒すぎるため、更に1800mLのエーテルで洗浄した)。ポリマーは、以下に記載される、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析された。
【0202】
調製物9及び10のSEC−MALLSの特徴付け:SEC−MALLSの設定は、オンラインAgilent 1200 UV/visダイオードアレイ検出器、Wyatt Optilab rEX干渉屈折計、及びWyatt miniDAWN Treosマルチアングルレーザ光散乱法(MALLS)検出器(λ=658nm)を用いて、0.75mL/分の流速で、40℃、70%のn−プロパノール及び30%のN−メチルピロリドンからなる有機共溶出、Jordi Gel DVB 10000Å(300×7.8mm)で使用した。調製物9〜15のPVP NRPTHP及び調製物19〜21のポリDMA NRPTHPについては、30℃で、0.106及び0.094mL/gのdη/dc値(λ=658nm)が、それぞれ、絶対分子量測定のために使用された。絶対分子量及び多分散性データは、Wyatt ASTRA V SEC/LSソフトウェアパッケージを使用して計算した。
【0203】
結果を下記の表11に示す。
【表13】
【0204】
調製物16〜18従来のフリーラジカル重合によってPVPベースの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーNRPTHPが変化したMWシリーズの合成
異なる分子量を有する一連のPVPを含有するNRPTHPが、以下の手順を用いて調製された。
【0205】
1.68g(6mmol)の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及び1.83g(15mmol)の4−ジメチルアミノピリジン、3.0g(15mmol)のN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、及び40mLのアセトンを、窒素ガス流れ下で、塩化カルシウムチューブを装備した200mLの三口フラスコに入れた。一方の末端でヒドロキシル基を有し、式(a1)によって表される8.58g(9mmol)のポリジメチルシロキサン
【化29】
(Chisso Corporationによって製造された、FM−0411,Mw 1000)を、溶液に滴加し、室温で6時間攪拌した。沈殿した固体を濾過し、ヘキサンを得られた濾液に添加し、次いで、濾液を0.5N HClで2回、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で2回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濾過し、次いで、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物、式(a2)によって表されるマクロ開始剤
【化30】
を、シリカゲルカラム(シリカゲル180g、ヘキサン/酢酸エチル=100/0→10/1(v/v)、それぞれ400mL)を使用して精製し、5.18gの標的シリコーンマクロ開始剤を得た。
【0206】
表12に示される量で、NVP、(a5)によって表されるシリコーンマクロ開始剤(シリコーン部分のMwは、1000、0.15g、0.07mmolである)、及びt−アミルアルコール(TAA)を、200mLの三口フラスコに添加し、次いで、三方コック、温度計、及び機械的撹拌機を装着した。
【0207】
三口フラスコの内部は、真空ポンプを使用して排出され、次いで、アルゴンで3回置換され、次いで、温度を、70℃まで上昇させた。温度が安定し、発熱が生じないことを確認した後、温度を75℃まで上昇させ、試料を6時間攪拌した。
【0208】
重合が完了した後、温度を室温まで冷却し、次いで、試料をn−ヘキサン/エタノール=600mL/20mLに注ぎ入れ、静置した。上澄みをデカントすることにより除去し、次いで、n−ヘキサン/エタノール=500mL/20mLを用いて、洗浄を2回行った。得られた固体留分を、真空乾燥機中で40℃で16時間乾燥させ、次いで、液体窒素を添加し、試料をへらを用いて破砕し、次いで、ジッパー付きの袋に移した。真空乾燥機を用いて、40℃で3時間乾燥を行い、ブロックコポリマーを得た。得られたブロックコポリマーの分子量は、表12に示される通りである。
【表14】
【0209】
調製物19〜21 XG1996TTCの存在下で、RAFT重合によってPDMAベースの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーNRPTHPを変化させたMWシリーズの合成
異なる分子量を有する一連のDMAを含有するNRPTHPは、調製物9〜15のために用いた手順(硬化及び精製手順を含む)及び以下の表13に列挙される量で成分を用いて調製した。全ての組成物については、シリコーンセグメントの長さは、10〜12個の反復単位で定数を保ち、即ち、全てのポリマーが、調製物5からの同一の多くのXG1996HTTCから作製された。DMA:XG1996HTTC比の3つの比率は、300、600、及び1000を含む、親水性ポリマーの分子量を変化させるために、標的化された。ポリマーは、以下に記載される、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析された。結果を下記の表14に示す。
【表15】
【表16】
【0210】
(実施例34〜43)
実施例32を繰り返したが、2000ppmの調製物9〜18のNRPTHPを添加した。レンズの接触角を、液滴法を用いて測定し、脂質の取り込みを測定した。それぞれのレンズの重合度、NRPTHPのDP、及び脂質の取り込み、及び接触角を、(NRPTHP中に浸さなかった対照、ACUVUE OASYSコンタクトレンズに加えて)以下の表15に示した。接触角及び脂質の取り込みの結果を、それぞれ、
図2及び3でグラフを使って示す。
【表17】
【0211】
調製物22:3−アクリルアミドプロパン酸(ACA1)の合成
未使用のナトリウムメトキシド溶液を、250mLの攪拌したメタノール中の4.6gの金属ナトリウムを溶解することによって調製し、これに、β−アラニン(3−アミノペンタン酸、8.9g、0.1モル)を添加した。
【0212】
塩化アクリロイル(10.0g、1.1当量)を既定の混合物の攪拌した懸濁液に滴加する一方、常に35℃を下回る温度を維持した。混合物を更に30分間攪拌し、約50mLまで濃縮し、濾過し、形成した塩化ナトリウムを除去した。
【0213】
吸湿性材料の水溶液を、水性HClでpH 3まで酸性化した。揮発物の蒸発、続いて、酢酸エチル中の3〜5%(v/v)メタノールを使用してシリカゲルを通して濾過することにより、所望の3−アクリルアミドプロパン酸を得た。
【0214】
調製物23:5−アクリルアミドペンタン酸(ACA2)の合成
未使用のナトリウムメトキシド溶液を、250mLの攪拌したメタノール中の5.76gの金属ナトリウムを溶解することによって調製した。吉草酸(5−アミノペンタン酸、14.68g、0.125モル)を既定の溶液中に溶解し、2.1gの炭酸ナトリウムを混合物に添加した。塩化アクリロイル(12.31g、1.1当量)を既定の混合物の攪拌した懸濁液に滴加する一方、常に35℃を下回る温度を維持した。混合物を更に30分間攪拌し、濾過し、存在する塩化ナトリウム及び残留するカーボネートを除去した。
【0215】
減圧下でメタノール及び他の揮発物の蒸発、続いて、2×75mLのアセトニトリルで残留物を洗浄することにより、20.4gのナトリウム塩の5−アクリルアミドペンタン酸を得た。HClによるpH 3までの食塩水溶液の酸性化、残留水の蒸発、続いて、酢酸エチル中の2〜3%(v/v)メタノールを使用してシリカゲルを通して濾過することにより、純粋な遊離カルボン酸を得た。
【0216】
調製物24:XG1996TTCの存在下で、ポリ(DMA−co−ACA2)ベースの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーNRPTHPの合成(30%イオン)。
DMAを、Jarchemより得、真空蒸留によって更に精製した。XG1996TTCは、上の調製物8に従って調製した。Irgacure 819を、D3O(10mg/mL)中に溶解した。
【0217】
重合溶液は、20mLの琥珀色のガラス製のバイアル瓶中で、3mLのエタノール及び1.5gのDMA中に1.1gのACA2を溶解することによって調製した。次に、166mgのXG1996TTC及び1.51mg(151ulの原液)のIrgacure−819を、モノマーに添加し、温め/攪拌して、均一性を確保した(反応開始剤に対するCTAの比率=20)。最終重合溶液を含む琥珀色のバイアル瓶を、ゴム製の隔膜で密閉し、N
2で20分間パージし、溶液からO
2を除去した。最後に、密閉した瓶を、保存するために、N
2のグローブボックスに入れた。
【0218】
重合溶液を、N
2雰囲気下で、4つの標準的なPhillips TL 20W/03 RSバルブを用いて、2.0mW/cm
2の強度で45分間硬化した。硬化前、重合溶液を直径80mmの結晶皿に注ぎ入れ、次いで、反射ガラス表面上に置いた。
【0219】
硬化した後、得られた高粘度の重合材料を5mLのエタノール中に溶解した。次いで、溶液を、活発に攪拌するジエチルエーテルに滴加し、生成物を沈殿させた。200mLのエーテルで充填した500mLのフラスコを使用した。沈殿したポリマーを、減圧下で数時間乾燥させた。ポリマーは、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析された。親水性セグメントの重合度は、約300であった。
【0220】
反応物を以下に示す。
【化31】
【0221】
調製物25 XG1996TTCの存在下で、ポリ(DMA−co−ACA2)ベースの非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマーNRPTHPの合成(80%イオン)。
DMAを真空蒸留によって精製した。XG1996TTCは、調製物8に従って調製した。Irgacure 819を、Ciba Specialty Chemicalsから得、D3O(10mg/mL)中に溶解した。
【0222】
重合溶液は、20mLの琥珀色のガラス製のバイアル瓶中で、6mLのエタノール及び300mgのDMA中に2.07gのACA2を溶解することによって調製した。次に、58mgのXG1996TTC及び1.06mg(106ulの原液)のIrgacure−819を、モノマーに添加し、温め/攪拌して、均一性を確保した(反応開始剤に対するCTAの比率=20)。最終重合溶液を含む琥珀色のバイアル瓶を、ゴム製の隔膜で密閉し、N
2で20分間パージし、溶液からO
2を除去した。最後に、密閉した瓶を、保存するために、N
2のグローブボックスに入れた。調製物24に記載されるように、重合溶液を硬化し、精製した。ポリマーは、SEC−MALLSによってMW及びMWDについて分析された。親水性セグメントの重合度は、約300であった。
【0223】
(実施例46〜50)
各実施例において、3つのセノフィルコンレンズをそれらのパッケージから取り出し、表15に示される濃度で、調製物24又は25において生成される非反応性ポリシロキサン末端親水性ポリマー(「NRPTHP」)を含む包装用溶液を含むガラス製のバイアル瓶に移した。レンズを、NRPTHP包装用溶液中に再包装し、121℃で28分間オートクレーブし、滅菌後、少なくとも24時間、周囲温度で、NRPTHP包装用溶液中に浸した。レンズの接触角、リゾチームの取り込み、及びPQ−1の取り込みを測定し、表16に報告する。処理されていないセノフィルコンレンズもまた、対照として試験された。
【表18】
【0224】
表16中のデータは、6を超える重合度を有するシロキサンセグメント及び約300の重合度を有する親水性セグメントを有する非反応性親水性コポリマーが、接触角を減少するとき、有効であることを示す。調製物22及び23の親水性コポリマーは、実施例46〜48の濃度において、リゾチームの取り込みを増加させ、PQ1の取り込みを減少するのに有効であったアニオン性成分ACA2を含んだ。リゾチームは、天然型においてコンタクトレンズに取り込まれる場合、コンタクトレンズの生体適合性を改善すると考えられる、眼に自生するタンパク質である。PQ1は、一般に、コンタクトレンズの多目的用剤中に使用される。約10%を超える量でコンタクトレンズへのPQ1の取り込みは、染色を生じる場合があり、したがって、望ましくない。実施例46〜48のレンズは、接触角、リゾチーム、及びPQ1の取り込みの所望のバランスを示す。
【0225】
調製物26
1.68g(6mmol)の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)及び1.83g(15mmol)の4−ジメチルアミノピリジン、3.0g(15mmol)のN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、及び40mLのアセトンを、窒素ガス流れ下で、塩化カルシウムチューブを装備した200mLの三口フラスコに入れた。一方の末端でヒドロキシル基を有し、以下の式(a2)によって表される8.58g(9mmol)のポリジメチルシロキサン
【化32】
(Chisso Corporationによって製造された、FM−0411,Mw 1000)を、溶液に滴加し、室温で6時間攪拌した。沈殿した固体を濾過し、ヘキサンを得られた濾液に添加し、次いで、濾液を0.5N HClで2回、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で2回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濾過し、次いで、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルカラム(シリカゲル180g、ヘキサン/酢酸エチル=100/0→10/1(v/v)、それぞれ400mL)を使用して精製し、5.18gの標的シリコーンマクロ開始剤を得た。
【0226】
調製物27
1.40g(5mmol)の4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、9.1g(9.1mmol)のポリジメチルシロキサン(Chisso Corporationによって製造、FM0311、Mw 1000)、0.67g(5.5mmol)の4−ジメチルアミノピリジン、及び50mLのアセトンを、窒素ガス流れ下で、塩化カルシウムチューブを装備した200mLの三口フラスコに入れた。
【化33】
【0227】
1.70mL(11mmol)のN,N−ジイソプロピルカルボジイミドをこのブレンドした溶液に滴加した。周囲温度で6時間攪拌した後、沈殿した固体を濾過し、ヘキサンを得られた濾液に添加し、次いで、濾液を0.5N HClで2回洗浄し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で2回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムを使用して精製し、濾過し、濃縮し、次いで、粗生成物を、シリカゲルカラム(シリカゲル180g、ヘキサン/酢酸エチル=10/1→3/1→2/1、それぞれ300mL)を使用して精製し、1.89gの標的シリコーンマクロ開始剤を得た。
【0228】
調製物28
シリコーン部分の分子量が5000であるシリコーンマクロ開始剤は、一方の末端上にヒドロキシル基を含むポリジメチルシロキサン(a2)が、同一の構造であるが、高分子量を有するポリジメチルシロキサン(Chisso Corporationにより製造、FM−0421、Mw 5000)に置き換えることを除いて、実施例1と同一の方法によって得た。得られたシリコーンマクロ開始剤を、実施例1に記載される通りに、精製した。
【0229】
調製物29
シリコーン部分の分子量が10,000であるシリコーンマクロ開始剤は、一方の末端上にヒドロキシル基を含むポリジメチルシロキサン(a2)が、同一の構造であるが、高分子量を有し、次いで、精製する、ポリジメチルシロキサン(Chisso Corporationにより製造、FM−0425、Mw 10,000)に置き換えることを除いて、実施例1と同一の方法によって得た。
【0230】
(実施例50)
N−ビニルピロリドン(NVP、29.56g、0.266モル)、実施例1によって得られた以下の式(a4)によって表されるシリコーンマクロ開始剤(シリコーン部分のMwが、1000であり、0.19g、0.0866mmol)、及びt−アミルアルコール(TAA、69.42g)を200mLの三口フラスコに添加し、次いで、三方コック、温度計、及び機械的撹拌機を装着した。
【化34】
【0231】
三口フラスコの内部は、真空ポンプを使用して排出され、次いで、アルゴンで3回置換され、次いで、温度を70℃まで上昇させた。温度が安定し、発熱が生じないことを確認した後、温度を75℃まで上昇させ、試料を6時間攪拌した。
【0232】
重合が完了した後、温度を室温まで冷却し、次いで、試料をn−ヘキサン/エタノール=500mL/40mLに注ぎ入れ、静置した。上澄みをデカントすることにより除去し、次いで、n−ヘキサン/エタノール=500mL/20mLを用いて、洗浄を2回行った。得られた固体留分を、真空乾燥機中で40℃で16時間乾燥させ、次いで、液体窒素を添加し、試料をへらを用いて破砕し、次いで、ジッパー付きの袋に移した。真空乾燥機を用いて、40℃で3時間乾燥を行い、ブロックコポリマーを得た。得られたブロックコポリマーの分子量は、表18に示される通りであった。
【0233】
(実施例51〜57)
実施例50の手順に従うが、表17に示される量で成分を有する、更なるブロックコポリマーを形成した。得られたブロックコポリマーのそれぞれの分子量は、表18に示される通りであった。
【0234】
(実施例58)
N−ビニルピロリドン(NVP、31.12g、0.28mol)、実施例1によって得られた以下の式(a5)によって表されるシリコーンマクロ開始剤(シリコーン部分のMwが、1000であり、0.15g、0.07mmol)、及びt−アミルアルコール(TAA、72.96g)を200mLの三口フラスコに添加し、次いで、三方コック、温度計、及び機械的撹拌機を装着した。
【化35】
【0235】
三口フラスコの内部は、真空ポンプを使用して排出され、次いで、アルゴンで3回置換され、次いで、温度を、70℃まで上昇させた。温度が安定し、発熱が生じないことを確認した後、温度を75℃まで上昇させ、試料を6時間攪拌した。
【0236】
重合が完了した後、温度を室温まで冷却し、次いで、試料をn−ヘキサン/エタノール=600mL/20mLに注ぎ入れ、静置した。上澄みをデカントすることにより除去し、次いで、n−ヘキサン/エタノール=500mL/20mLを用いて、洗浄を2回行った。得られた固体留分を、真空乾燥機中で40℃で16時間乾燥させ、次いで、液体窒素を添加し、試料をへらを用いて破砕し、次いで、ジッパー付きの袋に移した。真空乾燥機を用いて、40℃で3時間乾燥を行い、ブロックコポリマーを得た。得られたブロックコポリマーの分子量は、表18に示される通りであった。
【0237】
(実施例59〜60)
実施例58の手順に従うが、表17に示される量で成分を有する、更なるブロックコポリマーを形成した。得られたブロックコポリマーの分子量は、表18に示される通りであった。
【0238】
参考例6
重合開始剤が、調製物28のシリコーンマクロ開始剤(シリコーン部分の分子量(Mw)が、5000)で置換され、使用される成分の量が、表17に示される通りであったことを除いては、実施例50と同一の方法によって、重合を行った。得られたブロックコポリマーの分子量は、表18に示される通りであった。
【0239】
参考例7及び8
重合開始剤が、調製物29のシリコーンマクロ開始剤(シリコーン部分の分子量(Mw)が、10,000)で置換され、使用される成分の量が、表17に示される通りであったことを除いては、実施例50と同一の方法によって、重合を行った。以下の条件を使用して得られたブロックコポリマーの分子量:
(1)GPC測定
以下の条件で、GPC測定を行った。
機器:Tosoh Corporation
カラム:TSKgel SUPER HM_H、2カラム(粒径;5μm、6.0mm ID×15cm)
移動相:N−メチルピロリドン(10mM LiBr)
カラム温度:40℃
測定時間:40分間
注入量:10μL
検出器:RI検出器
流速:0.2mL/分
試料濃度:0.4重量%
標準試料:ポリスチレン(分子量500〜109万)
【0240】
結果を表18に示す。
【表19】
【0241】
(実施例14)
実施例50〜55及び58〜60、並びに
参考例6〜8によって得られたブラックコポリマーは、包装用溶液中で、2000ppmの濃度で溶解した。得られた溶液の透過率が測定され、表18に示される。
【表20】
【0242】
表18に示されるように、2000ppmでさえ、実施例50〜55及び58〜60のコポリマーは全て、透明溶液を形成した。シロキサンセグメントの分子量が、約5000を上回ったとき(
参考例6〜8)、2000ppm溶液の透過率は減少し、透明な溶液を得ることができた。
【0243】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも1つの安定した、ほぼ単分散の非反応性親水性ポリマーを含む組成物であって、前記ポリマーが、前記ポリマーの主鎖中に、約300〜約10,000の重合度を有する親水性セグメントと、前記非反応性親水性ポリマーの少なくとも1つの末端上に線状シリコーンセグメントと、を含み、前記シリコーンセグメントが、約6〜約200個のシロキシ単位を含み、前記非反応性親水性ポリマーが、線状シリコーンブロックを介して、シリコーンヒドロゲルと会合される、組成物。
(2) 前記非反応性親水性ポリマーの前記親水性セグメントが、約500〜約10,000の重合度を有する、実施態様1に記載の組成物。
(3) 前記非反応性親水性ポリマーの前記親水性セグメントが、約500〜約5000の重合度を有する、実施態様1に記載の組成物。
(4) 前記非反応性親水性ポリマーの前記親水性セグメントが、約500〜約2000の重合度を有する、実施態様1に記載の組成物。
(5) 親水性セグメント及び線状シリコーンセグメントが、前記重合度に基づいて、13:1〜500:1の比率で前記非反応性親水性ポリマー中に存在する、実施態様1に記載の組成物。
(6) 重合度に基づく親水性セグメントの線状シリコーンセグメントに対する前記比率が、30:1〜200:1である、実施態様5に記載の組成物。
(7) 重合度に基づく親水性セグメントの線状シリコーンセグメントに対する前記比率が、70:1〜200:1である、実施態様5に記載の組成物。
(8) 前記親水性セグメントが、線状又は分枝鎖である、実施態様1に記載の組成物。
(9) 前記シリコーンセグメントが、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、及びこれらの混合物を含む、実施態様1に記載の組成物。
(10) 前記アルキルが、C
1〜C
4アルキルから選択される、実施態様9に記載の組成物。
【0244】
(11) 前記ポリジアルキルシロキサンが、ポリジメチルシロキサン又はポリジエチルシロキサンを含む、実施態様9に記載の組成物。
(12) 前記親水性セグメントが、ビニルアミド、ビニルラクトン、ビニルイミド、ビニルラクタム、親水性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから形成される、実施態様1に記載の組成物。
(13) 前記非反応性親水性ポリマーが、
(a)少なくとも1つのヒンダード非求核性アミンの存在下で、ヒドロキシルアルキル末端ポリジアルキルシロキサンを4−(ブロモメチル)ベンゾイルブロミドと反応させ、続いて、チオカルボニルチオアニオンを反応させて、シリコーンセグメント及び前記シリコーンセグメントの一方の末端上にジチオ化合物を有するポリシロキサン官能性RAFT剤を形成することと、
(b)前記ポリシロキサン官能性RAFT剤を少なくとも1つの親水性モノマー、フリーラジカル反応開始剤、及び任意の溶媒と接触させることと、
(c)前記ジチオ化合物が、親水性セグメントの一方の末端上にあり、前記シリコーンセグメントが、反対の末端上にあるように、前記ポリシロキサン官能性RAFT剤の存在下で、前記少なくとも1つの親水性モノマーを重合させて、前記ポリシロキサン官能性RAFT剤上に前記親水性セグメントを形成することと、
によって形成される、実施態様1に記載の組成物。
(14) 前記非反応性親水性ポリマーが、
(a)触媒の存在下で、シラン末端ポリジアルキルシロキサンを1−(クロロメチル)−4−ビニルベンゼンと反応させ、続いて、チオカルボニルチオアニオンを反応させて、シリコーンセグメント及び前記シリコーンセグメントの一方の末端上にジチオ化合物を有するポリシロキサン官能性RAFT剤を形成することと、
(b)前記ポリシロキサン官能性RAFT剤を少なくとも1つの親水性モノマー、フリーラジカル反応開始剤、及び任意の溶媒と接触させることと、
(c)前記ジチオ化合物が、親水性セグメントの一方の末端上にあり、前記シリコーンセグメントが、反対の末端上にあるように、前記ポリシロキサン官能性RAFT剤の存在下で、少なくとも1つの親水性モノマーを重合させて、前記ポリシロキサン官能性RAFT剤上に前記親水性セグメントを形成することと、
によって形成される、実施態様1に記載の組成物。
(15) シリコーン含有コンタクトレンズを、接触角を低減する有効量の少なくとも1つの安定した、ほぼ単分散の非反応性親水性ポリマーを含む溶液と、前記非反応性親水性ポリマーを前記シリコーン含有コンタクトレンズと会合させるのに適した接触条件下で接触させることを含む方法であって、前記ポリマーが、前記ポリマーの主鎖中に、約300〜約10,000の重合度を有する親水性セグメントと、前記非反応性親水性ポリマーの少なくとも一方の末端上に線状シリコーンセグメントと、を含み、前記シリコーンセグメントが、約6〜約200個のシロキシ単位を含む、方法。
(16) 前記コンタクトレンズが、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記接触角を低減する有効量が、少なくとも約10ppmである、実施態様15に記載の方法。
(18) 前記接触角を低減する有効量が、約10ppm〜約5000ppmである、実施態様15に記載の方法。
(19) ほぼ周囲温度〜約200℃の接触温度を含む、実施態様15に記載の方法。
(20) 前記溶液が、水溶液である、実施態様15に記載の方法。
【0245】
(21) (a)少なくとも1つのシリコーン含有成分と、少なくとも及び少なくとも1つの安定した、ほぼ単分散の非反応性親水性ポリマーと、を含む反応混合物を形成することであって、前記ポリマーが、前記ポリマーの主鎖中に、約300〜約10,000の重合度を有する親水性セグメントと、前記非反応性親水性ポリマーの少なくとも一方の末端上に線状シリコーンセグメントと、を含み、前記シリコーンセグメントが、約6〜約200個のシロキシ単位を含む、ことと、
(b)前記反応混合物を硬化させて、コンタクトレンズを形成することと、
を含む、方法。
(22) 前記反応混合物が、少なくとも1つの親水性成分を更に含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記反応混合物が、約0.1〜約50重量%の非反応性親水性ポリマーを含む、実施態様21に記載の方法。
(24) 前記反応混合物が、約1〜約20重量%の非反応性親水性ポリマーを含む、実施態様21に記載の方法。
(25) 前記反応混合物が、約2〜約15重量%の非反応性親水性ポリマーを含む、実施態様21に記載の方法。
(26) シリコーン含有ポリマーと、少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーと、を含む眼科用デバイスであって、前記非反応性親水性ポリマーが、前記非反応性親水性ポリマーの主鎖中に、約300〜約10,000の重合度を有する親水性セグメントと、前記非反応性親水性ポリマーの少なくとも一方の末端上に線状シリコーンセグメントと、を含み、前記シリコーンセグメントが、約6〜約200個のシロキシ単位を含み、前記非反応性親水性ポリマーが、前記線状シリコーンブロックを介して、前記シリコーン含有ポリマーと会合され、前記シリコーン含有ポリマーと比較して、前記眼科用デバイスの脂質取り込みを少なくとも約20%減少させる、眼科用デバイス。
(27) 前記脂質取り込みが、約20g/レンズ未満である、実施態様26に記載の眼科用デバイス。
(28) 前記脂質取り込みが、約15g/レンズ以下である、実施態様26に記載の眼科用デバイス。
(29) 前記少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーが、6〜60個のシロキシ反復単位を含む、実施態様26に記載の眼科用デバイス。
(30) 前記非反応性親水性ポリマーの前記親水性セグメントが、約500〜約10,000の重合度を有する、実施態様26に記載の眼科用デバイス。
【0246】
(31) 前記非反応性親水性ポリマーの前記親水性セグメントが、約500〜約5000の重合度を有する、実施態様26に記載の眼科用デバイス。
(32) 親水性セグメント及び線状シリコーンセグメントが、前記重合度に基づいて、13:1〜500:1の比率で前記非反応性親水性ポリマー中に存在する、実施態様26に記載の眼科用デバイス。
(33) 重合度に基づく親水性セグメントの線状シリコーンセグメントに対する前記比率が、70:1〜200:1である、実施態様32に記載の眼科用デバイス。
(34) 前記少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーが、6〜20個のシロキシ反復単位を更に含む、実施態様26に記載の眼科用デバイス。
(35) 少なくとも1つの安定した、非反応性親水性ポリマーを含む眼科用溶液であって、前記ポリマーが、前記ポリマーの主鎖中に、約300〜約10,000の重合度を有する親水性セグメントと、前記非反応性親水性ポリマーの少なくとも一方の末端に線状シリコーンセグメントと、を含み、前記シリコーンセグメントが、約6〜約200個のシロキシ単位を含み、前記非反応性親水性ポリマーが、接触角を低減する量で存在し、前記眼科用溶液が、透明である、眼科用溶液。
(36) 前記少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーが、6〜60個のシロキシ反復単位を含む、実施態様35に記載の眼科用溶液。
(37) 前記少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーが、6〜20個のシロキシ反復単位を更に含む、実施態様35に記載の眼科用溶液。
(38) 前記少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーが、約0.005〜約2%の量で存在する、実施態様35に記載の眼科用溶液。
(39) 前記少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーが、約0.01〜約0.5重量%の量で存在する、実施態様35に記載の眼科用溶液。
(40) 前記少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーが、6〜60個のシロキシ反復単位を含む、実施態様35に記載の眼科用溶液。
【0247】
(41) 前記非反応性親水性ポリマーの前記親水性セグメントが、約500〜約10,000の重合度を有する、実施態様35に記載の眼科用溶液。
(42) 前記非反応性親水性ポリマーの前記親水性セグメントが、約500〜約5000の重合度を有する、実施態様35に記載の眼科用溶液。
(43) 親水性セグメント及び線状シリコーンセグメントが、前記重合度に基づいて、13:1〜500:1の比率で前記非反応性親水性ポリマー中に存在する、実施態様35に記載の眼科用溶液。
(44) 重合度に基づく親水性セグメントの線状シリコーンセグメントに対する前記比率が、70:1〜200:1である、実施態様43に記載の眼科用溶液。
(45) 前記少なくとも1つの安定した非反応性親水性ポリマーが、6〜20個のシロキシ反復単位を更に含む、実施態様26に記載の眼科用デバイス。