【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は粒子の集団であって、各粒子がカロテノイド化合物および1つまたは複数のカーゴ分子を含む集団を提供する。
【0007】
カロテノイドは胃腸管中の酵素による分解に耐性がある。本明細書に記載のカロテノイド粒子にカーゴ分子を取り込むことにより、胃腸管中における損傷および/または改変からの保護が実現する。
【0008】
一部の実施形態では、集団中の1つまたは複数のカロテノイド粒子において、カロテノイド化合物は、層、例えば1つまたは複数のカーゴ分子を含む内核を被包する外部層または中間層を形成することができる(すなわち、ミセルまたは逆ミセル)。例えば、集団中の粒子の1%以上、10%以上、20%以上、30%以上または40%以上が、このミセル構造を有することができる。集団中の粒子の最大100%、最大95%、最大90%、最大80%、最大70%、または最大60%が、このミセル構造を有することができる。カロテノイドミセルは可溶性となることがあり、例えば水溶液中に存在することができる。
【0009】
一部の実施形態では、集団中の1つまたは複数のカロテノイド粒子において、カロテノイド化合物は、カーゴ分子またはその疎水性部位がその中に固定されている(anchored)か、または埋め込まれている(embedded)マトリックスを形成することができる(すなわち、非ミセルまたは複合粒子)。例えば、集団中の粒子の1%以上、10%以上、20%以上、30%以上、または40%以上が、この複合構造を有することができる。集団中の粒子の最大100%、最大95%、最大90%、最大80%、最大70%または最大60%が、この複合構造を有することができる。非ミセル粒子は乾燥形態で存在してもよいし、または懸濁体もしくはコロイドとして存在してもよい。
【0010】
ミセルまたは非ミセル構造を有する集団中の粒子の割合は、決まった技法を用いて決定することができる。
【0011】
集団中のカロテノイド粒子は均質(uniform)または実質的に均質な構造をとることができるか(すなわち、均一(homogeneous)集団)、あるいは不均質(non-uniform)または実質的に不均質な構造をとることができる(すなわち、不均一(heterogeneous)集団)。
【0012】
カロテノイド粒子は、集団内において、凝集体またはクラスターで存在することができる。
【0013】
集団中のカロテノイド粒子によって採られる構造は、製造方法、カーゴ分子(複数可)のサイズ、形状および疎水性、カーゴ分子に対するカロテノイドの比率、界面活性剤の存在、カーゴ分子(複数可)中の疎水性部分と親水性部分との間の比率、ならびに、特に前記粒子が1種超のタイプのカーゴ分子を含有している場合、カーゴ分子(複数可)の均一性および純度を含めた、多くの要因に依存する。
【0014】
カロテノイド化合物は、長いポリエン鎖を含有しているテトラテルペノイド類である。カロテノイドには、キサントフィル、例えばルテインおよびゼアキサンチン、ならびにカロテン、例えばβ−カロテン、α−カロテン、ゼト(zeto)−カロテンならびにリコペン、ならびに1−HO−3',4'−ジデヒドロリコペン、3,1'−(HO)2−γ−カロテン、1,1'−(HO)2−3,4,3',4'−テトラデヒドロリコペン、1、1'−(HO)2−3,4−ジデヒドロリコペンを含めた関連分子が含まれる。
【0015】
本明細書に記載される通りに使用することができる他の適切なカロテノイド化合物には、炭化水素、例えばリコペルセン(7,8,11,12,15,7’,8’,11’,12’,15’−デカヒドロ−γ,γ−カロテン)、フィトフルエン、ヘキサヒドロリコペン(15−シス−7,8,11,12,7’,8’−ヘキサヒドロ−γ,γ−カロテン)、トルレン(3’,4’−ジデヒドロ−β,γ−カロテン)およびα−ゼアカロテン(7’,8’−ジヒドロ−ε,γ−カロテン);アルコール、例えばアロキサンチン、シンチアキサンチン、ペクテノキサンチン、クリプトモナキサンチン、((3r,3’r)−7,8,7’,8’−テトラデヒドロ−β,β−カロテン−3,3’−ジオール)、クルスタキサンチン(β,−カロテン−3,4,3’,4’−テトラオール)、ガザニアキサンチン((3r)−5’−シス−β,γ−カロテン−3−オール)、oh−クロロバクテン(1’,2’−ジヒドロ−f,γ−カロテン−1’−オール)、ロロキサンチン(β,ε−カロテン−3,19,3’−トリオール)、リコキサンチン(γ,γ−カロテン−16−オール)、ロドピン(1,2−ジヒドロ−γ,γ−カロテン−l−オール)、ロドピノール(別名ワルミンゴール;13−シス−1,2−ジヒドロ−γ,γ−カロテン−1,20−ジオール)、サプロキサンチン(3’,4’−ジデヒドロ−1’,2’−ジヒドロ−β,γ−カロテン−3,1’−ジオール)およびゼアキサンチン;グリコシド、例えばオシラキサンチン(2,2’−ビス(β−l−ラムノピラノシルオキシ)−3,4,3’,4’−テトラデヒドロ−1,2,1’,2’−テトラヒドロ−γ,γ−カロテン−1,1’−ジオール)、およびフレイキサントフィル(1’−(β−d−グルコピラノシルオキシ)−3’,4’−ジデヒドロ−1’,2’−ジヒドロ−β,γ−カロテン−2’−オール);エーテル、例えばロドビブリン(1’−メトキシ−3’,4’−ジデヒドロ−1,2,1’,2’−テトラヒドロ−γ,γ−カロテン−1−オール)およびスフェロイデン(1−メトキシ−3,4−ジデヒドロ−1,2,7’,8’−テトラヒドロ−γ,γ−カロテン)、エポキシド、例えばジアジノキサンチン(5,6−エポキシ−7’,8’−ジデヒドロ−5,6−ジヒドロ−カロテン−3,3−ジオール)、ルテオキサンチン(5,6:5’,8’−ジエポキシ−5,6,5’,8’−テトラヒドロ−β,β−カロテン−3,3’−ジオール)、ムタトキサンチン、シトロキサンチン、ゼアキサンチン(フラノキシド5,8−エポキシ−5,8−ジヒドロ−β,β−カロテン−3,3’−ジオール)、ネオクロム(5’,8’−エポキシ−6,7−ジデヒドロ−5,6,5’,8’−テトラヒドロ−β,β−カロテン−3,5,3’−トリオール)、ホリアクロム、トロリクロム、およびバウケリアキサンチン(5’,6’−エポキシ−6,7−ジデヒドロ−5,6,5’,6’−テトラヒドロ−β,β−カロテン−3,5,19,3’−テトラオール);アルデヒド、例えばロドピナール、ワミンゴン(13−シス−1−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ−γ,γ−カロテン−20−アール)、トルラロジンアルデヒド(3’,4’−ジデヒドロ−β,γ−カロテン−16’−アール);酸および酸エステル、例えばトルラロジン(3’,4’−ジデヒドロ−β,γ−カロテン−16’−oic酸(oic acid))およびトルラロジンメチルエステル(メチル3’,4’−ジデヒドロ−β,γ−カロテン−16’−オエート);ケトン、例えばアスタキサンチン、カンタキサンチン(別名アファニシン)、クロレラキサンチン(β,β−カロテン−4,4’−ジオン)、カプサンチン((3r,3’s,5’r)−3,3’−ジヒドロキシ−β,κ−カロテン−6’−オン)、カプソルビン((3s,5r,3’s,5’r)−3,3’−ジヒドロキシ−κ,κ−カロテン−6,6’−ジオン)、クリプトカプシン((3’r,5’r)−3’−ヒドロキシ−β,κ−カロテン−6’−オン)、2,2’−ジケトスピリロキサンチン(1,1’−ジメトキシ−3,4,3’,4’−テトラデヒドロ−1,2,1’,2’−テトラヒドロ−γ,γ−カロテン−2,2’−ジオン)、フレキシキサンチン(3,1’−ジヒドロキシ−3’,4’−ジデヒドロ−1’,2’−ジヒドロ−β,γ−カロテン−4−オン)、3−oh−カンタキサンチン(別名アドニルビン;別名フェニコキサンチン;3−ヒドロキシ−β,β−カロテン−4,4’−ジオン)、ヒドロキシスフェリオデノン(1’−ヒドロキシ−1−メトキシ−3,4−ジデヒドロ−1,2,1’,2’,7’,8’−ヘキサヒドロ−γ,γ−カロテン−2−オン)、オケノン(1’−メトキシ−1’,2’−ジヒドロ−c,γ−カロテン−4’−オン)、ペクテノロン(3,3’−ジヒドロキシ−7’,8’−ジデヒドロ−β,β−カロテン−4−オン)、フェニコノン(別名デヒドロアドニルビン;3−ヒドロキシ−2,3−ジデヒドロ−β,β−カロテン−4,4’−ジオン)、フェニコプテロン(β,ε−カロテン−4−オン)、ルビキサントン(3−ヒドロキシ−β,γ−カロテン−4’−オン)、シホナキサンチン(3,19,3’−トリヒドロキシ−7,8−ジヒドロ−β,ε−カロテン−8−オン);アルコールのエステル、例えばアスタセイン(3,3’−ビスパルミトイルオキシ−2,3,2’,3’−テトラデヒドロ−β,β−カロテン−4,4’−ジオンまたは3,3’−ジヒドロキシ−2,3,2’,3’−テトラデヒドロ−β,β−カロテン−4,4’−ジオンジパルミテート)、フコキサンチン(3’−アセトキシ−5,6−エポキシ−3,5’−ジヒドロキシ−6’,7’−ジデヒドロ−5,6,7,8,5’,6’−ヘキサヒドロ−β,β−カロテン−8−オン)、イソフコキサンチン(3’−アセトキシ−3,5,5’−トリヒドロキシ−6’,7’−ジデヒドロ−5,8,5’,6’−テトラヒドロ−β,β−カロテン−8−オン)、フィサリエン、ゼアキサンチンジパルミテート((3r,3’r)−3,3’−ビスパルミトイルオキシ−β,β−カロテンまたは(3r,3’r)−β,β−カロテン−3,3’−ジオールジパルミテート)およびシホネイン(3,3’−ジヒドロキシ−19−ラウロイルオキシ−7,8−ジヒドロ−β,ε−カロテン−8−オンまたは3,19,3’−トリヒドロキシ−7,8−ジヒドロ−β,ε−カロテン−8−オン19−ラウレート);アポカロテノイド、例えばβ−アポ−2’−カロテナール(3’,4’−ジデヒドロ−2’−アポ−b−カロテン−2’−アール)、アポ−2−リコペナール、アポ−6’−リコペナール(6’−アポ−y−カロテン−6’−アール)、アザフリンアルデヒド(5,6−ジヒドロキシ−5,6−ジヒドロ−10’−アポ−β−カロテン−10’−アール)、ビキシン(6’−メチル水素9’−シス−6,6’−ジアポカロテン−6,6’−ジオエート)、シトラナキサンチン(5’,6’−ジヒドロ−5’−アポ−β−カロテン−6’−オンまたは5’,6’−ジヒドロ−5’−アポ−18’−ノル−β−カロテン−6’−オンまたは6’−メチル−6’−アポ−β−カロテン−6’−オン)、クロセチン(8,8’−ジアポ−8,8’−カロテン二酸)、クロセチンセミアルデヒド(8’−オキソ−8,8’−ジアポ−8−カロテン酸)、クロシン(ジゲンチオビオシル8,8’−ジアポ−8,8’−カロテンジオエート)、ホプキンシアキサンチン(3−ヒドロキシ−7,8−ジデヒドロ−7’,8’−ジヒドロ−7’−アポ−b−カロテン−4,8’−ジオンまたは3−ヒドロキシ−8’−メチル−7,8−ジデヒドロ−8’−アポ−b−カロテン−4,8’−ジオン)、メチルアポ−6’−リコペノエート(メチル6’−アポ−y−カロテン−6’−オエート)、パラセントロン(3,5−ジヒドロキシ−6,7−ジデヒドロ−5,6,7’,8’−テトラヒドロ−7’−アポ−b−カロテン−8’−オンまたは3,5−ジヒドロキシ−8’−メチル−6,7−ジデヒドロ−5,6−ジヒドロ−8’−アポ−b−カロテン−8’−オン)およびシンタキサンチン(7’,8’−ジヒドロ−7’−アポ−b−カロテン−8’−オンまたは8’−メチル−8’−アポ−b−カロテン−8’−オン);ノルおよびセコカロテノイド、例えばアクチニオエリトリン(3,3’−ビサシルオキシ−2,2’−ジノル−b,b−カロテン−4,4’−ジオン)、β−カロテノン(5,6:5’,6’−ジセコ−b,b−カロテン−5,6,5’,6’−テトラオン)、ペリジニン(3’−アセトキシ−5,6−エポキシ−3,5’−ジヒドロキシ−6’,7’−ジデヒドロ−5,6,5’,6’−テトラヒドロ−12’,13’,20’−トリノル−b,b−カロテン−19,11−オリド)、ピロキサンチニノール(5,6−エポキシ−3,3’−ジヒドロキシ−7’,8’−ジデヒドロ−5,6−ジヒドロ−12’,13’,20’−トリノル−b,b−カロテン−19,11−オリド)、セミ−α−カロテノン(5,6−セコ−b,e−カロテン−5,6−ジオン)、セミ−β−カロテノン(5,6−セコ−b,b−カロテン−5,6−ジオンまたは5’,6’−セコ−b,b−カロテン−5’,6’−ジオン)およびトリファシアキサンチン(3−ヒドロキシセミ−b−カロテノン3’−ヒドロキシ−5,6−セコ−b,b−カロテン−5,6−ジオンまたは3−ヒドロキシ−5’,6’−セコ−b,b−カロテン−5’,6’−ジオン);レトロカロテノイドおよびレトロアポカロテノイド、例えばエッショルツキサンチン(4’,5’−ジデヒドロ−4,5’−レトロ−b,b−カロテン−3,3’−ジオール)、エッショルツキサントン(3’−ヒドロキシ−4’,5’−ジデヒドロ−4,5’−レトロ−b,b−カロテン−3−オン)、ロドキサンチン(4’,5’−ジデヒドロ−4,5’−レトロ−b,b−カロテン−3,3’−ジオン)およびタンゲラキサンチン(3−ヒドロキシ−5’−メチル−4,5’−レトロ−5’−アポ−b−カロテン−5’−オンまたは3−ヒドロキシ−4,5’−レトロ−5’−アポ−b−カロテン−5’−オン);ならびに高級カロテノイド、例えばノナプレノキサンチン(2−(4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニル)−7’,8’,11’,12’−テトラヒドロ−e,y−カロテン)、デカプレノキサンチン(2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニル)−e,e−カロテン)、c.p.450(2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−2−ブテニル]−2’−(3−メチル−2−ブテニル)−b,b−カロテン)、c.p.473(2’−(4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニル)−2−(3−メチル−2−ブテニル)−3’,4’−ジデヒドロ−l’,2’−ジヒドロ−b,y−カロテン−1’−オール)およびバクテリオルベリン(2,2’−ビス(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−3,4,3’,4’−テトラデヒドロ−1,2,1’,2’−テトラヒドロ−y,y−カロテン−1,1’−ジオール)が含まれる。
【0016】
本明細書に記載のカロテノイド粒子は、単一のカロテノイド化合物(例えば、リコペン)、または1つ超のカロテノイド化合物(例えば、リコペンとβ−カロテン)を含有することができる。通常、各カロテノイド化合物は、様々な範囲の異性体形態で存在することになる。
【0017】
一部の好ましい実施形態では、カロテノイド化合物はリコペンである。リコペンは、構造Iの開鎖不飽和C
40カロテノイドである(化学情報検索サービス機関登録番号(Chemical Abstracts Service Registry Number)502−65−8)。
【0018】
【化1】
【0019】
リコペンは、トマト、グアバ、ローズヒップ、スイカおよびピンクグレープフルーツなどの植物中に天然に存在する。
【0020】
本明細書に記載される通りに使用するリコペンは、1つまたは複数の異なる異性体を含むことができる。例えば、リコペンは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の(Z)−異性体、(すべてE)−異性体、または5−シス−もしくは9−シスもしくは13−シス−異性体などのシス−異性体を含むことができ、これらの異性体は、トランス異性体と比べてバイオアベイラビリティが改善している。トランス異性体は、インビボ、または保管および加工中に、シス形に異性化することがある。リコペンを含むカロテノイド粒子は、本明細書では、lycosome(商標)と称することがある。
【0021】
本明細書に記載される通りに使用するカロテノイド化合物は天然のもの、すなわち自然源から得ることができ、例えば植物、例えばトマトまたはメロンから抽出することができる。植物からカロテノイドを抽出、濃縮、および/または精製する様々な方法が、当技術分野で公知である。例えば、エタノール、DMSO、酢酸エチル、ヘキサン、アセトン、大豆油、または他の植物性油、あるいは非植物性油を使用する溶媒抽出を利用することができる。カロテノイド化合物は単離することができ、すなわちその自然源または環境において見出される他の分子がないまたは実質的にない状態でもよい。
【0022】
本明細書で記載される通りに使用するためのカロテノイド化合物は、合成的、すなわち人工的な手段、例えば化学合成または発酵によって製造することができる。リコペンおよび他のカロテノイドの様々な化学合成法は、当技術分野で公知である。例えば、カロテノイド合成向けの標準的ウィッティヒ(Wittig)オレフィン化反応スキームに基づく3段階化学合成を使用することができ、この場合、ジクロロメタン(DCM)中のメタンスルホン酸C
15ホスホニウムの有機溶液とトルエン中のC
10ジアルデヒドの有機溶液を生成し、この2つの有機溶液を、ナトリウムメトキシド溶液と一緒に徐々に混合すると、縮合反応を受けて粗製リコペンが形成する。次に、この粗製リコペンを、決まった技法、例えば氷酢酸と脱イオン水を該混合物に加えて激しく撹拌し、水相と有機相を分離して、DCMおよび粗製リコペンを含有する有機相を水で抽出することにより精製することができる。メタノールを前記の有機相に添加し、減圧下、蒸留によってDCMを除去する。次に、粗製メタノール性リコペン溶液を加熱して冷却し結晶スラリーとし、これをろ過してメタノールで洗浄する。次に、リコペン結晶を再結晶し、加熱窒素下で乾燥させてもよい。合成カロテノイド、例えばリコペンは、商業供給業者(例えば、BASF Corp、NJ、米国、DSM Nutritional Products、Basel、CH)からも入手可能である。
【0023】
合成カロテノイドは、天然カロテノイドに比べるとシス異性体の割合を多く含んでいることがある。例えば、リコペンなどのカロテノイドの合成体は、最大25%の5−シス、1%の9−シス、1%の13−シス、および3%が他のシス異性体となることがあり、一方、天然体のカロテノイド、例えばトマトにより産生するリコペンは、3〜5%の5−シス、0〜1%の9−シス、1%の13−シス、および<1%が他のシス異性体となることがある。シス−リコペンなどのシス−カロテノイドは、トランス−リコペンなどのトランス−カロテノイドに比べてバイオアベイラビリティが向上しているので、一部の実施形態では、合成カロテノイドが好ましいことがある。
【0024】
上述したカロテノイドの誘導体は、上述した合成と類似の化学合成によって生成することができるし、植物性原料から抽出した天然カロテノイドの化学改変によるよって、または微生物、酵母、藻、もしくは真菌発酵によっても生成することができる。例えば、リコペンは、真菌ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)の発酵によって産生することができる(例えば、lyconat(商標)、Vitatene SA)。
【0025】
カロテノイド粒子の集団は、0.05〜90重量%、好ましくは0.1〜10重量%のカロテノイド化合物を含むことができる。例えば、集団は、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、10重量%以上、または20重量%以上のカロテノイド化合物であり得る。集団は、最大90重量%、最大80重量%、最大70重量%、最大60重量%、最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、最大20重量%、または最大10重量%のカロテノイド化合物であり得る。
【0026】
集団中のカロテノイド粒子は、同量または類似の量のカロテノイド化合物を含有することができ、あるいはカロテノイド化合物の量は、集団中の粒子間で変動してもよい。集団中の各カロテノイド粒子は、0.05〜90重量%のカロテノイド化合物を含むことができる。例えば、集団中の各カロテノイド粒子は、0.05重量%以上、0.1重量%以上、1重量%以上、10重量%以上、または20重量%以上のカロテノイド分子とすることができる。各カロテノイド粒子は、最大90重量%、最大80重量%、最大70重量%、最大60重量%、最大50重量%、最大40重量%、または最大30重量%、最大90重量%またはそれ以上のカロテノイド化合物とすることができる。
【0027】
集団内における粒子変動(variability)の程度は、製造方法に依存して変動し得る。好ましくは、集団中のカロテノイド粒子の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%、例えば85%〜95%は、同量または類似の量のカロテノイド化合物を含有している。
【0028】
通常、カロテノイド粒子の集団は、リコペンなどのカロテノイド化合物を1〜10mg、例えばリコペンを約3.5mg含有している単位投与量(unit dosage)の製剤中に含むことができる。
【0029】
カロテノイド粒子に取り込まれるカーゴ分子は、血流に送達する必要がある任意の化合物、作用物質、薬物、またはその他の製品(生成物(product))、あるいはそれらの組合せとすることができる。通常、カーゴ分子は、治療化合物あるいは栄養化合物、例えば医薬品、栄養医薬品(nutraceutical)、または栄養補助食品、または栄養補給品(dietary or nutritional supplement)になろう。
【0030】
胃腸管において不安定な、または胃腸管によってあまり吸収されないカーゴ分子は、カロテノイド粒子中に取り込むのに特に適している。
【0031】
適切なカーゴ分子には、食物、例えば肉、魚、乳製品、穀物、豆、ハチミツ、茶もしくは他の食料品)または飲料の発酵、酸化、加工または分解の生成物が含まれる。生成物は、乳清タンパク質またはペプチド、炭水化物、例えば多糖またはオリゴ糖、脂質、フラボン、および他の食物由来の生物活性分子を含むことができる。生物活性分子は、例えば、抗菌ペプチド、デフェンシン、カテリシジン、乳清酸性タンパク質、食物タンパク質の生物活性断片;ならびにプロテアーゼ阻害性、殺菌性(bactericidic)、代謝性、抗炎症性、免疫刺激性、凝固性、血管新生性および増殖抑制活性のうち1つもしくは複数を示すペプチド、または神経伝達物質、アンジオテンシン、ホルモンおよび/もしくは他のシグナル伝達経路に有益な効果を及ぼすペプチドを含むことができる。
【0032】
適切なカーゴ分子には、プロバイオティック細菌、酵母もしくは他の微生物代謝、または真菌もしくはかび、特に食物および飲料の製造で使用されるか、またはそれらに関係する生物の代謝の生成物も含まれる。例には、細菌、例えばラクトバキルリ属種(Lactobacilli spp)、例えばL.アキドフィルス(L.acidophilus)、L.カセイ(L.casei)、L.ラクティス(L.lactis)、L.プランタルム(L.plantarum)、L.レウテリ(L.reuteri)、L.ラムノスス(L.rhamnosus)、L.アクトコックス(L.actococcus)、L.ガルビエアエ(L.garvieae)、およびL.ブルガリクス(L.bulgaricus);ラクトコッキ(Lactococci)、例えばL.ラフィノラクティス(L.raffinolactis);ビフィドバクテリア(Bifidobacteria)、例えばB.アニマリス(B.animalis)、B.ブレウェ(B.breve)およびB.ロング(B.longu);大腸菌(E.coli)、例えば大腸菌(E.coli)M−17、大腸菌ニッスル(E.coli Nissle)1917;腸球菌(Enterococci)、例えばエンテロコックス・ファエキウム(Enterococcus faecium)MG004および連鎖球菌(Streptococci)、例えばストレプトコックス・テルモフィルス(Streptococcus thermophilus);酵母、例えばデッケラ・インテルメディア(Dekkera intermedia)、カンジダ(Candida)、例えばC.ブランキイ(C.blankii)およびC.ステルラタム(C.stellatam);サッカロミセス(Saccharomyces)、例えばS.セレビシエ(S.cerevisiae)、S.パストリアヌス(S.pastorianus)、S.エクシグウス(S.exiguus)、S.ボウラルディイ(S.boulardii)およびS.バルム(S.varum);ブレッタノミセス(Brettanomyces)、例えばB.ブリュクセルレンシス(B.bruxellensis)およびB.ラムビクス(B.lambicus);分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)、トルラスポラ・デルブルエッキイ(Torulaspora delbrueckii)およびジュゴサッカロミュケス・バイリイ(Zygosaccharomyces bailii);カビ、例えばアスペルギルス属種(Aspergillus spp)、例えばA.オリュザエオル(A.oryzaeor)、A.ソュアエ(A.soyae)、A.ソユアエ(A.sojae)、A.ニガー(A.niger)、A.テルレウス(A.terreus)、A.タマリ(A.tamari)およびA.フラウス(A.flavus);マナスクス属種(Monascus spp)、例えばM.ププレウス(M.pupureus)、M.ルベル(M.ruber)およびM.ピロスス(M.pilosus);ペニキルリウム属種(Penicillium spp)、例えばP.キリュソゲヌム(P.chrysogenum)、P.ロクウェフォリティ(P.roqueforti)、P.グラウクム(P.glaucum)、P.カンディドゥム(P.candidum)、P.カメムベルティ(P.camemberti)、P.パネウム(P.paneum)、P.ゲオトリクム(P.geotrichum)、P.ソリテゥム(P.solitum)、P.ナルギオウェンセ(P.nalgiovense)、P.コムムネ(P.commune)、P.オルソニイ(P.olsonii)、P.ウェルルコスム(P.verrucosum)、P.オクサリクム(P.oxalicum)およびP.ウィリディカトゥム(P.viridicatum);トリュポクラディウム・インフラトゥム(Tolypocladium inflatum);リゾプス属種(Rhizopus spp)、例えばR.アルトカルピ(R.artocarpi)、R.ニグリカンス(R.nigricans)、R.オリゴスポルス(R.oligosporus)、R.オリュザエ(R.oryzae)およびR.ストロニフェル(R.stolonifer);ネウロスポラ属種(Neurospora spp)、例えばN.シトフィリア(N.sitophilia)およびN.インテルメディア(N.intermedia);ならびにフサリウム・ウエネナトゥム(Fusarium venenatum)が含まれる。
【0033】
他の適切なカーゴ分子には、レシチン、炭水化物;アミノ酸;フラボン、例えばルテオリン、アピゲニンおよびタンゲリチン;フラボノール、例えばクエルセチン、ルチン、ケンフェロール、ミリセチン、フィゼチン、イソラムネチン、パキポドールおよびラムナジン;フラバノン、例えばヘスペレチン、ナリンゲニン、エリオジクチオールおよびホモエリオジクチオール;フラバノノール、例えばタキシフォリン(または、ジヒドロクエルセチン)、およびジヒドロケンフェロール;イソフラボン、例えばゲニステイン、ダイゼインおよびグリシテイン;カテキン、ガロカテキン、カテキン3−ガレート、ガロカテキン3−ガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキン3−ガレート、フラボン−3−オール(例えばエピガロカテキン3−ガレート);プロアントシアニジン、例えばフラバノールを有する二量体、三量体、オリゴマーまたはポリマー;アントシアニジン、例えばシアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴジニン、ペオニジンおよびペツニジン、アントシアニンのアグリコン(例えばベタライン、アマランチン、およびイソアマランチン);シリビニンまたはシリマリン、クルクミノイド、ギンゲロール、セラミド;イソプレン、プレノール、イソ吉草酸、ゲラニルピロホスフェート、オイカリプトール、リモネン、ピネン、ファルネシルピロホスフェート、アルテミシニン、ビサボロール、ゲラニルゲラニルピロホスフェート、レチノール、レチナール、フィトール、タキソール、フォルスコリン、アフィジコリン、スクアレン、ラノステロール、ならびに他のテルペンおよびテルペノイド;ステロールおよびステロールエステル、例えばスタノールエステル;植物ステロール;α−、β−、γ−およびδ−トコトリエノール;サメもしくは他の軟骨魚油、植物性油、またはアマランス種子、米、コムギ麦芽もしくはオリーブ由来の油;スクアレン;レチノイド;没食子酸(garlic acid)もしくはサリチル酸、または他の加水分解可能なタンニン;ケイ皮酸;リグニン;ポリフェノール、例えばカテコール、ヒドロキノン、2,6−ジメトキシベンゾキノン、3−アセチル−6−メトキシベンズアルデヒド、チロソール、p−ヒドロキシフェニル酢酸、コーヒー酸、フェルラ酸、ミリスチシン、オイゲノール、ウンベリフェロン、アエスクレチン、ベルゲノン(bergenon)、オイゲニン、ユグロン、プルンバギン、マグニフェリン、レスベラトロール(3,5,4'−トリヒドロキシ−トランス−スチルベン)、エモジン、シアニジン、ピノレジノール、オイシデリン、アメントフラボン、エラグ酸、テアフラビン、テアルビジン、カテコールメラニン、濃縮タンニン、フロロタンニン、および他のポリフェノール;ビタミン、例えばナイアシン(ビタミンB3)、葉酸(ビタミンB9)、アスコルビン酸(ビタミンC)、リボフラビン(ビタミンB2)、チアミン(ビタミンB1)、カルシフェロール(ビタミンD)、コバラミン(ビタミン12)、フィロキノン(ビタミンK1)、パントテン酸(ビタミンB5)、ビオチン(ビタミンB7)およびピリドキシン(ビタミンB6)、無機物、例えばカルシウム、セレン、クロム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅および他の金属イオン;ペニシリン、セファロスポリン、カルダペネム(cardapenem)、スルホンアミド、キノロン、オキサゾジノン、マクロライドおよび他の抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、および抗寄生虫薬、とりわけカロテノイド受容体を発現する肝臓および他の器官、例えば肝臓、副腎、リンパ球、リンパ節、前立腺組織および精巣を標的とする薬物;スタチン、例えばアトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンの単独、複合物または組合せのいずれかが含まれる。
【0034】
粒子は、単一のタイプのカーゴ分子、あるいは1種超のタイプのカーゴ分子、例えば2、3、4種以上の異なるタイプのカーゴ分子を含有することができる。
【0035】
カロテノイド粒子は0.05〜90重量%のカーゴ分子を含むことができる。例えば、カロテノイド粒子は、0.1重量%以上、1重量%以上、10重量%以上、または20重量%以上のカーゴ分子とすることができる。カロテノイド粒子は、最大90重量%、最大80重量%、最大70重量%、最大60重量%、最大50重量%、最大40重量%、または最大30重量%、最大90重量%、またはそれ以上のカーゴ分子とすることができる。
【0036】
カロテノイド粒子中におけるカーゴ分子に対するカロテノイド化合物の重量比は、0.001以上、0.01以上、0.1以上、0.2以上、または0.5以上とすることができる。カロテノイド粒子中におけるカーゴ分子に対するカロテノイド化合物の重量比は、最大1000、最大100、最大10、最大5、または最大2とすることができる。
【0037】
一部の実施形態では、カロテノイド粒子は、リコペンと乳清タンパク質(whey protein)を、0.05〜1、好ましくは0.1の比(w/w)で含むことができる。例えば、単位投与量様式(format)におけるカロテノイド粒子の集団は、リコペンを2〜5mg、例えば3.5mg、および乳清タンパク質を20〜50mg、例えば35mg含有することができる。
【0038】
他の実施形態では、カロテノイド粒子は、リコペンとレスベラトロールを、0.02〜0.2、好ましくは0.06〜0.08の比(w/w)で含むことができる。例えば、単位投与量様式におけるカロテノイド粒子の集団は、リコペンを2〜5mg、例えば3.5mg、およびレスベラトロールを30〜70mg、例えば50mg含有することができる。
【0039】
他の実施形態では、カロテノイド粒子は、リコペンとスタチン、例えばシンバスタチンを、0.1〜0.5、好ましくは0.3〜0.4、例えば0.35の比(w/w)で含むことができる。例えば、単位投与量様式におけるカロテノイド粒子の集団は、リコペンを2〜10mg、例えば7mg、およびスタチンを20mg含有することができる。
【0040】
カーゴ分子を取り込んだカロテノイド粒子の経口投与後に循環しているカーゴ分子のバイオアベイラビリティは、カーゴ分子を単独で経口投与した後のバイオアベイラビリティに比べて向上し得る。
【0041】
本明細書に記載した通り、カーゴ分子をカロテノイド粒子に取り込むと、該粒子なしで投与した場合と比較して、バイオアベイラビリティが向上することにより、カーゴ分子の投与量を低減することができるが、同じ有効性が実現する。これは、カーゴ分子に関連する副作用を軽減するのに有用となり得る。例えば、カロテノイド粒子に取り込んだカーゴ分子の投与量は、同じ有効性を得るために必要とするカーゴ分子そのものの投与量の、1%以下、5%以下、10%以下、20%以下、30%以下、40%以下、または50%以下とすることができる。
【0042】
カーゴ分子のバイオアベイラビリティは、本明細書に記載のカロテノイド粒子に取り込まれることにより、2倍以上、3倍以上、または4倍以上向上し得る。例えば、本明細書中のデータは、カロテノイド粒子に取り込むことにより、レスベラトロールのバイオアベイラビリティが2倍向上し、またシンバスタチンのバイオアベイラビリティは4倍向上することを示している。一部の実施形態では、カーゴ分子は、カロテノイド粒子に取り込ませずに投与した場合、バイオアベイラビリティを示さない、またはバイオアベイラビリティを実質的に示さないことがある。例えば、乳清タンパク質は、カロテノイド粒子に取り込まずに経口投与した場合、バイオアベイラビリティをほとんど示さないか、または全く示さないことが示されている。
【0043】
同じ投与量では、カーゴ分子を本明細書に記載のカロテノイド粒子に取り込んだ場合、こうした取込みを行わない場合の有効性と比較すると、その有効性が向上することがある。例えば、カロテノイド粒子に取り込まれたカーゴ分子の有効性は、同じ投与量のカーゴ分子そのものの有効性と比較すると、2倍以上、3倍以上、5倍以上、10倍以上、または100倍以上向上することがある。
【0044】
本明細書に記載のカロテノイド粒子は、カーゴ分子に、カロテノイド受容体を発現する組織を標的とさせるのに有用となり得る。
【0045】
カロテノイド受容体を発現する標的組織へのカーゴ分子の送達を改善する方法は、
本明細書に記載のカロテノイド粒子にカーゴ分子を取り込むステップ、および
カロテノイド粒子を個体に投与するステップ
を含むことができる。
【0046】
カロテノイド受容体を発現する組織には、肝細胞、肝臓、副腎、リンパ球、リンパ節、前立腺組織および精巣が含まれる。一部の好ましい実施形態では、カロテノイド受容体を発現する標的組織は肝臓である。
【0047】
適切なカーゴ分子は、肝臓などのカロテノイド受容体を発現する組織を有益にも標的とする化合物を含むことができる。
【0048】
肝臓への送達に適したカーゴ分子には、肝臓中、例えば肝酵素の作用によって活性化されるプロドラッグが含まれる。肝酵素によって活性化されるプロドラッグには、アルデヒドオキシダーゼ活性化プロドラッグ、例えば5−エチナリル−2(1H)−ピリミジノン、5−ヨード−2−ピリミジノン−2'−デオキシリボース(IPdR)および5−フルオロ−2−ピリミジノン(5−FP);シトクロムP450レダクターゼ活性化プロドラッグ、例えばメナジオン、マイトマイシンC、チラパザミンおよびEO9(3−ヒドロキシメチル−5−アジリジニル−1−メチル−2[1H−インドール4,7−ジオン]プロパ−2−エン−1−オール);シトクロムp450活性化プロドラッグ、例えば4−イポメアノール、フトラフィル、ダカルバジン、トロホサミド(trofosamide)、イホサミド、シクロホスファミド、および1,4−ビス−{[2−(ジメチルアミノ−N−オキシド)エチル]アミノ}−5,8−ジヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(AQ4N);チミジンホスホリラーゼ活性化プロドラッグ、例えば5'−デオキシ−5−フルオロウリジン、およびグルタチオントランスフェラーゼ活性化プロドラッグ、例えばγ−グルタミル−α−アミノ−β(2−エチル−N,N,N',N'−テトラキス(2−クロロエチル)ホスホロ−ジアミデート)スルホニル−プロピオニル)−(R)−(−)フェニルグリシン(Ter286)、S−CPHC−エチルスルホキシド(S−(N−p−クロロフェニル−N−ヒドロキシカルバモイル)エチルスルホキシド)および、シス−3−(9H−プリン−6−イルチオ)アクリル酸(PTA)が含まれる。
【0049】
他の適切なプロドラッグは当技術分野において周知であり、リスデキサンフェタミン、コデインおよびトラマドールを含んでいる。
【0050】
カーゴ分子を取り込むカロテノイド粒子の投与により、カーゴ分子そのものを同じ用量で投与した後の濃度と比較すると、標的組織中のカーゴ分子の濃度を増加することができる。
【0051】
カーゴ分子を取り込むカロテノイド粒子の投与により、カーゴ分子そのものを同じ用量で投与した後の濃度と比較すると、非標的組織中のカーゴ分子の濃度を減少することができる。
【0052】
本明細書に記載の方法は、カーゴ分子の利用可能性(アベイラビリティ)を向上するのに一般に有用である。カーゴ分子のバイオアベイラビリティを向上する方法は、
本明細書に記載のカロテノイド粒子にカーゴ分子を取り込むステップ
を含むことができる。
【0053】
カロテノイド粒子にカーゴ分子を取り込んだ後、および任意選択で、医薬組成物、食品添加物、または栄養補助食品などの組成物中に製剤化した後、カロテノイド粒子を個体に投与することができる。
【0054】
一部の実施形態では、カーゴ分子は乳清タンパク質とすることができる。乳清タンパク質は、抗クラミジア活性およびコレステロール低下活性を有することが本明細書に示されている。乳清タンパク質は、ミルク中で天然に見出される球状タンパク質の集合体(collection)である。これは乳清から単離され、チーズ製造の副生成物である。乳清タンパク質は、β−ラクトグロブリン(約65%)、α−ラクトアルブミン(約25%)および血清アルブミン(約8%)の混合物であり、pHと無関係に天然の形態で可溶性である。乳清タンパク質は多くの供給業者(例えば、Euroserum、フランス)から市販されている。
【0055】
一部の実施形態では、カーゴ分子は、乳タンパク質、例えばカゼイン、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン、および血清アルブミンではない。こうした実施形態では、本明細書に記載のカロテノイド粒子は、乳タンパク質を有していなくてもよい。
【0056】
一部の実施形態では、カーゴ分子は乳清タンパク質および/または乳清ペプチドではない。こうした実施形態では、本明細書に記載のカロテノイド粒子は、乳清タンパク質および/または乳清ペプチドを有していなくてもよい。
【0057】
一部の好ましい実施形態では、カロテノイド粒子はレシチンをさらに含んでもよい。レシチン(E222)は、食物中に乳化剤として一般に使用されており、また卵黄もしくは動物または大豆あるいは他の植物性組織から単離することができる。レシチンは多くの脂肪酸、リン脂質、トリグリセリドおよび糖脂質、ならびにグリセロール、コリンおよびリン酸を含んでいる。レシチンは、広く市販されている。レシチンは大豆レシチンを含んでもよい。
【0058】
本明細書に記載のカロテノイド粒子は、1.5%〜98.5%(w/w)のレシチンを含むことができる。例えば、粒子は、少なくとも1.5%、少なくとも5%、または少なくとも10%(w/w)のレシチンを含むことができる。粒子は、最大98.5%、最大90%、または最大80%(w/w)のレシチンを含むことができる。
【0059】
カロテノイド粒子中におけるカロテノイド分子に対するレシチンの重量比は、0.1以上、1以上、10以上または20以上とすることができる。カロテノイド粒子中におけるカロテノイド分子に対するレシチンの重量比は、最大1000、最大500、最大200、または最大100とすることができる。
【0060】
カロテノイド粒子中におけるカーゴ分子に対するレシチンの重量比は、0.01以上、0.1以上、1以上、または2以上とすることができる。カロテノイド粒子中におけるカーゴ分子に対するレシチンの重量比は、最大100、最大50、最大20、または最大10とすることができる。
【0061】
一部の実施形態では、カロテノイド粒子は、リコペン、乳清タンパク質およびレシチンを、約1対10対50の比(w/w)で含むことができる。例えば、単位投与量様式におけるカロテノイド粒子の集団は、リコペンを3.5mg、乳清タンパク質を35mg、およびレシチンを175mg含有することができる。
【0062】
本明細書に記載のカロテノイド粒子は、血流によって運搬するために、胃腸管から吸収されると、カイロミクロンにパッケージングされ得る。粒子のサイズは、カイロミクロンにパッケージングに適しているのが好ましい。カロテノイド粒子は、微細粒子(fine)(100nm〜2.5μm)または超微粒子(ultrafine)(1〜100nm)とすることができる。例えば、カロテノイド粒子は、サイズが0.1nmから1μm、好ましくは1〜900nm、より好ましくは10〜800nmとすることができる。
【0063】
適切な粒子は、その最長寸法(例えば、長さ、幅、高さ、および/または直径)が0.1nmから1μmとすることができる。好ましくは、粒子の寸法はすべて、0.1nmから1μmである。
【0064】
粒子サイズは、任意の便利な技術によって決定することができる。例えば、ふるい分析、レーザー回折、または光分析である。
【0065】
カロテノイド粒子の集団は、均質なサイズ(すなわち、サイズ分布が狭い)または非均質(すなわち、サイズ分布が広い)とすることができる。
【0066】
好ましくは、集団中の粒子の少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%は、均質なサイズまたは実質的に均質なサイズ(例えば、平均粒子径の5%以内または10%以内)を示す。
【0067】
カロテノイド粒子の集団は、広い範囲の異なる形状およびサイズを有する粒子を含有することができる。
【0068】
一部の実施形態では、カロテノイド粒子の集団は逆ミセルを含むことができ、この場合、カロテノイド分子は、カーゴ分子の外部層によって被包されており、カーゴ分子の疎水性構造は内部に向いている。
【0069】
一部の実施形態では、カロテノイド粒子の集団は、カーゴ分子の疎水性部分が埋め込まれているカロテノイドマトリックスを含む凝集体を含むことができる。カーゴ分子が埋め込まれ露出している領域の性質および量に応じて、様々な異なる両親媒性粒子が生じ得る。
【0070】
カーゴ分子の一部が、カロテノイド粒子の外部に残っているままの場合、集団中の粒子はクラスターまたは凝集体を形成することがある。これらのクラスターのサイズおよび形状は、カーゴ分子の構造に依存しており、カーゴ分子と相互作用し得るか、または錯体を形成し得る他の分子の存在によっても影響を受けることがある。
【0071】
本明細書に記載のカロテノイド粒子は、任意の便利な方法によって生成することができる。
【0072】
一部の実施形態では、カロテノイド粒子の集団は、
第1の溶媒にカロテノイド化合物を溶解して第1の溶液を生成し、第2の溶媒にカーゴ分子を溶解して第2の溶液を生成するステップ、および
カーゴ分子をカロテノイド化合物のマトリックス中に取り込むことができる条件下で、第1の溶液と第2の溶液を混合するステップ
を含む方法によって生成することができる。
【0073】
カロテノイド化合物は、任意の適切な薬学的に共存できる溶媒(pharmaceutically compatible solvent)、例えば、油、アセトン、エタノールまたはイソプロパノール、最も好ましくはエタノールまたは植物性油に溶解することができる。
【0074】
カーゴ分子は、任意の適切な薬学的に共存できる溶媒に溶解することができる。適切な溶媒には水、油、アセトン、エタノールまたはイソプロパノールが含まれる。溶媒の選択は、カーゴ分子に依存することになる。例えば、乳清タンパク質は水に溶解することができ、レスベラトロール、およびシンバスタチンなどのスタチンはエタノールに溶解することができる。当業者は、容易に利用可能な情報または標準的な分析技法を使用して、所与のどのようなカーゴ分子にでも適した溶媒を容易に特定することができる。
【0075】
第1の溶媒および第2の溶媒は、使用するカロテノイドおよびカーゴ分子に応じて、同じでもよく、または異なっていてもよい。
【0076】
カロテノイドおよびカーゴ分子は、第1の溶媒および第2の溶媒に完全に可溶性であってもよく、またはカーゴ分子もしくはその疎水性部位が、カロテノイドマトリックスに取り込まれるのを促進するのに十分な可溶性があってもよい。
【0077】
第1および第2の溶液は、カーゴ分子を取り込むカロテノイド化合物のマトリックス形成を可能にする条件下で、混合してもよい。例えば、カーゴ分子の水溶液をカロテノイド化合物のエタノール溶液と混合する場合、60/40程度の溶媒/水体積比を選択することができる。
【0078】
いかなる理論にも拘泥されないが、熱力学、およびエントロピーとエンタルピー間のバランスによって、カロテノイド粒子は溶液中で自発的な形成が推進される。
【0079】
水溶液中では、分子が一緒に集まって粒子になることにより、エントロピーが低下する場合でさえ、カロテノイド化合物の疎水性により、粒子の形成は推進される。非常に低濃度のカロテノイドでは、モノマーしか真の溶液中には存在していない。カロテノイド濃度が増加するにつれて、カロテノイドの疎水性炭化水素鎖由来の好ましくないエントロピーの考慮が優勢となる点に到達する。
この点において、カロテノイドの疎水性端部が水から離れて隔離され、カロテノイド粒子の形成が始まる。カロテノイドの臨界濃度より高いと、カロテノイドモノマーが集合して粒子を形成するエントロピーペナルティは、カロテノイドモノマーを水分子で取り囲むエントロピーペナルティよりも小さい。
【0080】
混合後、第1および第2の溶媒の混合物を、周囲温度よりもわずかに高い温度で、30〜60分間静置してもよい。次に、溶媒を蒸発させるか、または混合物を噴霧乾燥させると、乳化形態または分散形態の組成物を生成することができる。蒸発は、減圧(例えば、200〜300mbar)を使用して、都合よく実現することができる。次に、組成物をさらに処理して、例えば乾燥によって粉末を生成する、または熱処理によってゲルを生成することができる。
【0081】
他の実施形態では、本明細書に記載のカロテノイド粒子は、
第1の溶媒にカロテノイド化合物を溶解して第1の溶液を生成するステップ、
乾燥粒子を液状カロテノイド液滴に取り込むことができる条件下で、第1の溶液とカーゴ分子の乾燥粒子とを混合するステップ
を含む方法によって生成することができる。
【0082】
例えば、エタノールまたはアセトン溶液に溶解しているリコペンは、カーゴ分子の乾燥粒子粉末に噴霧してもよい。リコペンの液状液滴が粉末の表面上で結晶化する場合、乾燥粒子の一部は、リコペン結晶によって機械的に捕捉される。
【0083】
次に、第1の溶媒を乾燥させるか、または蒸発させて、濃縮形態および/または乾燥形態で、カーゴ分子を取り込むカロテノイド粒子を生成することができる。あるいは、予め溶解しているリコペンと最初に乾燥させた生成物との混合物が、第1の溶媒中の懸濁液または乳化液の形態のままであってもよい。
【0084】
一部の実施形態では、カロテノイド粒子は第1の溶液と第2溶液との混合物を音波照射(sonication)することによって生成することができる。音波照射は、非混和性の溶媒に溶解しているカロテノイド化合物とカーゴ分子との混合に特に有用となり得る。超音波エネルギーにより、分子は、溶媒環境によって課される熱力学的障壁を一時的に乗り越えることができ、これにより混ざり合って、lycosomeミセルなどカロテノイド粒子の形成が可能になる。
【0085】
一部の実施形態では、カロテノイド粒子は第1の溶液と第2溶液との混合物を噴霧乾燥させることによって生成することができる。
【0086】
一部の実施形態では、レシチンをカロテノイド粒子に取り込むことができる。一部の実施形態では、レシチンは第1の溶液および第2の溶液と混合してもよい。あるいは、油中に溶解しているレシチンは、蒸発および/または噴霧乾燥後、カロテノイド粒子を含んでいる濃縮混合物または乾燥混合物と混合してもよい。
【0087】
カロテノイド粒子を、単独で投与することが可能であるが、食品、食品添加物、強化食品、栄養補助食品、栄養医薬組成物または医薬組成物などの組成物(例えば製剤)であって、上記で定義したカロテノイド粒子と、1つまたは複数の医薬的または栄養学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定剤、香味剤、保存剤、甘味剤、着色剤、滑沢剤、または当業者に周知の他の材料、および任意選択で、他の食品、栄養補助食品または栄養医薬剤、治療剤、または予防剤とを一緒に含む組成物として、前記カロテノイド粒子を存在させることが好ましい。
【0088】
上記で定義したカロテノイド粒子、例えば、本明細書に記載した1つまたは複数の医薬的または栄養薬学的に許容可能な担体、賦形剤、緩衝剤、アジュバント、安定剤、もしくは他の材料と一緒に混合されたカロテノイド粒子を含む組成物または製剤は、本明細書に記載の方法で使用することができる。
【0089】
本明細書で使用する用語「医薬的に許容される」とは、正しい医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題、あるいは合併症がなく、被験体(例えば、ヒト)の組織に接触使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比に見合っている、化合物、材料、組成物、および/または剤形(dosage form)に関する。担体、賦形剤などの各々はまた、製剤の他の成分と共存可能であるという意味において、「許容可能である」でなければならない。
【0090】
適切な担体、賦形剤などは、標準的な薬学の教本(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990)で見出すことができる。
【0091】
本明細書で使用する用語「栄養薬学的に許容可能な(nutraceutically acceptable)」とは、食品および栄養製品で一般または広範囲に使用されており、一般に非毒性と見なされる化合物、材料、組成物および/または剤形に関し、例えば、化合物は、米国FDA名称「GRAS」(一般に、安全なものとして認識される(Generally Recognized as Safe))、または他の管轄機関において食品添加物と等価な位置づけを有することができるものである。
【0092】
製剤は、単位剤形中で都合よく存在することができ、また調剤学、食品科学、または栄養学の技術分野において周知の、どのような方法によっても調製することができる。こうした方法には、カロテノイド粒子を、1つまたは複数の補助成分を構成することができる担体と一緒にするステップが含まれる。一般に、製剤はカロテノイド粒子と、液状担体もしくは微粉砕状固体担体、またはそれらの両方とを均質および緊密に一緒にして、次に、必要な場合、製品形状にすることにより調製される。
【0093】
製剤は、食品、飲料、液剤、溶液剤、懸濁剤、乳液剤、エリキシル剤、シロップ剤、錠剤、ロゼンジ剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤、クリーム剤、スプレー剤、ミスト剤、発泡剤、ローション剤、油剤、ボーラス剤、舐剤、またはエアゾール剤の形態とすることができる。
【0094】
カロテノイド粒子、またはカロテノイド粒子を含む組成物は、胃腸管を経由して送達するために経口投与に適した形態であることが好ましい。経口投与(例えば摂取による)に適した製剤は、カプセル剤、カシェ剤または錠剤などの不連続単位として提供されてもよく、これらの各々は、;散剤または顆粒剤として;水性液体または非水性液体中の溶液剤または懸濁剤として;または水中油型液状乳化剤、もしくは油中水型液状乳化剤として;ボーラス剤として;舐剤として;またはペースト剤として、所定量の活性化合物を含有している。
【0095】
錠剤は、場合により1つまたは複数の補助成分と共に、従来の手段、例えば圧縮または成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、適切な機械で、場合により1つまたは複数の結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アカシア、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤または希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えば、でんぷんグリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム);表面活性剤もしくは分散剤または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);および保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−オキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)と混合した易流動性形態、例えば粉末または顆粒の活性化合物を圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械で、不活性な液状希釈剤により湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより作製することができる。錠剤は場合により被覆されまたは切れ目をつけていてもよく、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、所望の放出プロファイルがもたらされるように比率を変えて使用し、錠剤中の活性化合物をゆっくり、または制御放出するように製剤化することができる。
【0096】
経口投与向け組成物は、甘味剤、食感改質剤、着色剤および香味剤をさらに含んでもよい。
【0097】
本発明の態様は、カーゴ分子のバイオアベイラビリティを向上する、栄養医薬組成物または医薬組成物などの製剤の製造方法であって、カロテノイド粒子にカーゴ分子を取り込むことを含む、方法を提供する。
【0098】
カーゴ分子は、カロテノイド粒子に取り込まれると、カーゴ分子単独の場合と比較して、経口投与後のバイオアベイラビリティが向上することを示すことがある。
【0099】
カロテノイド粒子にカーゴ分子を取り込む方法は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0100】
カロテノイド粒子に取り込んだカーゴ分子は、血流によってカロテノイド受容体を発現する組織に送達され得る。カロテノイド受容体を発現する組織は、肝細胞、肝臓、副腎、リンパ球、リンパ節、前立腺組織および精巣を含むことができる。これは、特定の組織へのカーゴ分子の標的送達を実現するのに有用となり得る。
【0101】
本発明の一態様は、胃腸管によって、例えば経口投与によって血流にカーゴ分子を送達するための、本明細書に記載のカロテノイド粒子の使用を提供する。
【0102】
本明細書に記載のカロテノイド粒子は、予防的治療(例えば、個体に起こる状態のリスクを低減するための個体の状態の発症前治療;その発症の遅延;または、発症後の重症度の軽減)を含む、ヒトまたは動物の身体の治療方法に使用することができる。治療方法は、それを必要としている個体へカロテノイド粒子を投与することを含むことができる。
【0103】
投与は、通常、「治療有効量」または「栄養上有効量」であり、これは、個体に利益を示すのに十分である。こうした利益とは、少なくとも1つの症状または生理的パラメーターが少なくとも回復すること(amelioration)とすることができる。
【0104】
個体への最適投与量の決定には、投与量に関係する任意のリスクまたは有害な副作用に対して、カーゴ分子の特定の投与量に関係する栄養上または治療上の有益性あるいは有効性のレベルのバランスをとることが、一般に必要になる。
【0105】
選択される投与量レベルは、カーゴ分子の性質および活性、治療目的、投与時間、カーゴ分子の排出速度、治療期間、他の薬物、化合物、および/または併用される材料、ならびに個体の年齢、性別、体重、状態、全身的な健康および既往歴が挙げられるが、これらに限定されない、様々な要因に依存することになる。カロテノイド粒子の量は、結局のところ、医師、栄養士、または他の医療もしくは健康専門家の判断になろう。
【0106】
インビボ投与は、治療の経過全体を通して、単回用量で連続的または断続的(例えば、適切な時間間隔での分割用量)に実施することができる。単回投与または多回投与は、担当の専門家によって選択される用量レベルおよびパターンで、実施することができる。
【0107】
一般に、カーゴ分子の適切な用量は、1日あたり被験体のキログラム体重当たり約0.01mg〜約1000mgの範囲にある。
【0108】
例えば、カーゴ分子が乳清タンパク質である場合、用量が0.1mg/Kg/日〜1000mg/Kg/日の乳清タンパク質を投与する組成物とすることができる。カーゴ分子がレスベラトロールである場合、用量が0.1mg/Kg/日〜100mg/Kg/日のレスベラトロールを投与する組成物とすることができる。カーゴ分子がスタチンである場合、用量が0.01mg/Kg/日〜2mg/Kg/日のスタチンを投与する組成物とすることができる。カーゴ分子がイソフラボンである場合、用量が0.1mg/Kg/日〜10mg/Kg/日のイソフラボンを投与する組成物とすることができる。
【0109】
カーゴ分子が、塩、エステル、プロドラッグなどである場合、投与される量は親化合物に基づいて計算され、したがって、使用される実際の重量は比例的に増加する。
【0110】
本明細書に記載の治療に適する個体には、カーゴ分子によって完全もしくは部分的に回復するかまたは軽減する状態(例えば、状態の少なくとも1つの症状)を有する個体、こうした状態に罹患するリスクが増大している個体、または一般集団と比較して、こうした状態に罹患しやすいかまたは罹患するリスクが増大している患者が含まれる。
【0111】
カーゴ分子によって回復または軽減する状態は、カーゴ分子の性質に依存することになる。
【0112】
例えば、本明細書に記載の乳清タンパク質を含むカロテノイド粒子は、クラミジア感染症、肝臓感染症の治療、および/または、例えば、高コレステロールレベルまたは高コレステロール血症を有する個体において、コレステロールを低下するのに有用となり得る。
【0113】
スタチンを含むカロテノイド粒子は、心血管疾患、認知症、高血圧症、肺がんを含むがん、白内障、および高コレステロールまたは高コレステロール血症の治療および/または予防に有用となり得る。スタチンを含むカロテノイド粒子はまた、スタチンの多面効果によって回復し得るが、考えられる副作用、例えば糖尿病、特にII型糖尿病およびアルツハイマー病のために、スタチン治療が以前には使用されていない他の疾患および状態の治療および/または予防にも有用となり得る。
【0114】
レスベラトロールを含むカロテノイド粒子は、代謝症候群またはその1つまたは複数の症状、例えば、高コレステロールおよび/または高トリグリセリド、糖尿病、心血管および脳血管疾患、がん、急性および慢性の細菌、真菌およびウイルス感染症、アルツハイマー病および他の神経変性疾患、胃腸管疾患、結合組織疾患、関節炎、ならびに炎症状態の治療および/または予防、ならびに老化防止製品および美容製品、ならびに健康増進および長寿に有用となり得る。
【0115】
イソフラボンを含むカロテノイド粒子は、代謝症候群またはその1つまたは複数の症状、例えば、高コレステロールおよび/または高トリグリセリド、糖尿病、心血管および脳血管疾患、がん、アルツハイマー病および他の神経変性疾患、結合組織疾患、ならびに炎症状態の治療および予防、ならびに老化防止製品および美容製品、ならびに健康増進および長寿に有用となり得る。
【0116】
本発明のさらなる様々な態様および実施形態は、本開示を鑑みれば、当業者に明白となろう。
【0117】
本明細書中で言及しているすべての文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0118】
本明細書で使用される「および/または」は、一方を含むもしくは含まない2つの指定した特徴または成分の各々の具体的な開示としてとらえるべきである。例えば「Aおよび/またはB」は、あたかも本明細書では各々が個々に述べられているかのごとく、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBのうちの各々の具体的な開示としてとらえるべきである。
【0119】
文脈が特に示さない限り、上記の特徴の説明および定義は本発明の特定のいずれの態様または実施形態も制限するものではなく、記載されているすべての態様および実施形態に等しく適用される。
【0120】
次に、本発明のある種の態様および実施形態を、一例として、以下に記載の図および表を参照しながら例示する。