特許第6189241号(P6189241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189241
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/18 20060101AFI20170821BHJP
   B62D 25/10 20060101ALI20170821BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20170821BHJP
   E02F 9/10 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B62D21/18 D
   B62D25/10 K
   B62D25/12 C
   E02F9/10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-64440(P2014-64440)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-186939(P2015-186939A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2016年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】岩本 輝彦
【審査官】 北中 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−077496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
25/14−29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側板を有する機体フレームを備え、前記左右側板の前後方向中途部の上部側を連結する連結構造体を備えた作業機であって、
前記連結構造体は、
左右方向に配置されていて左右の側板の上部側同士を連結する下側部材と、
この下側部材の上方に間隔をおいて配置されると共に左右方向に配置された上側部材と、
前記下側部材と上側部材の前側同士を連結する複数の前側連結部材と、
前記下側部材と上側部材の後側同士を連結する複数の後側連結部材とから構成されていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記下側部材と上側部材との間が、前記機体フレームの左右一側から他側へとワイヤーハーネスを配線するためのハーネス配線経路とされていることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記下側部材は、左右の側板の上部間に架け渡されて該左右側板に溶接固定された架設部材と、この架設部材の上面に重ね合わされて取り付けられたプレート部材とから構成され、
前側連結部材及び後側連結部材はプレート部材と上側部材とを連結するものであり、後側連結部材の下部が前記架設部材の後面に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記機体フレームの左右側板間の後部にエンジンを搭載し、該エンジンが配置されるエンジンルームの上部前側に前記連結構造体を配置し、該連結構造体を覆うと共にエンジンルームの前上部を覆う前上部カバーを前側連結部材に取り付けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項5】
前記エンジンを上方側から開閉自在に覆うボンネットを備え、このボンネットを開閉自在に枢支するボンネット支持ブラケットを前記上側部材の上面に固定したことを特徴とする請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記ボンネットを開状態に支持するガススプリングを枢支連結する枢支部を、前記上側部材の左右両側に設けたことを特徴とする請求項5に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールローダ等の作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業機として、特許文献1に開示されたホイールローダがある。
このホイールローダは、走行機体が前輪を有する前部機体と後輪を有する後部機体とからなり、後部機体に前部機体が上下方向の軸心回りに回動自在に連結されたアーティキュレート式の作業機である。
後部機体は左右一対の側板を有する機体フレームを備え、前記左右側板の前後方向中途部の上端側を連結する連結構造体を備えている。
【0003】
前記連結構造体は、左右各側板の外面側にそれぞれ溶接固定された取付座と、左右各取付座の上面に取り付けられた取付板と、板材を門形状に折曲形成してなると共に左右の下端が左右方向で同じ側にある前記取付板に固着された門形部材と、この門形部材の前面側を塞ぐように設けられた前面プレートと、この前面プレートの背面に設けられていて門形部材の上壁下面と取付板の上面とを連結する補強プレートとから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5009933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の作業機にあっては、連結構造体は板材を門形に折曲してなる門形部材を有し、且つ機体フレームに固定の取付座とこの取付座に門形部材を取り付けるための取付板を左右一対有し、且つ前面プレートと左右一対の補強プレートとを有しており、該連結構造体の形状が複雑となっている。また、連結構造体は強度を確保することも必要である。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、簡単な形状で強度を確保することができる連結構造体を備えた作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
請求項1に係る発明では、左右一対の側板を有する機体フレームを備え、前記左右側板の前後方向中途部の上部側を連結する連結構造体を備えた作業機であって、
前記連結構造体は、
左右方向に配置されていて左右の側板の上部側同士を連結する下側部材と、
この下側部材の上方に間隔をおいて配置されると共に左右方向に配置された上側部材と、
前記下側部材と上側部材の前側同士を連結する複数の前側連結部材と、
前記下側部材と上側部材の後側同士を連結する複数の後側連結部材とから構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記下側部材と上側部材との間が、前記機体フレームの左右一側から他側へとワイヤーハーネスを配線するためのハーネス配線経路とされていることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、前記下側部材は、左右の側板の上部間に架け渡されて該左右側板に溶接固定された架設部材と、この架設部材の上面に重ね合わされて取り付けられたプレート部材とから構成され、
前側連結部材及び後側連結部材はプレート部材と上側部材とを連結するものであり、後側連結部材の下部が前記架設部材の後面に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る発明では、前記機体フレームの左右側板間の後部にエンジンを搭載し、該エンジンが配置されるエンジンルームの上部前側に前記連結構造体を配置し、該連結構造体を覆うと共にエンジンルームの前上部を覆う前上部カバーを前側連結部材に取り付け
たことを特徴とする。
請求項5に係る発明では、前記エンジンを上方側から開閉自在に覆うボンネットを備え、このボンネットを開閉自在に枢支するボンネット支持ブラケットを前記上側部材の上面に固定したことを特徴とする。
【0009】
請求項6に係る発明では、前記ボンネットを開状態に支持するガススプリングを枢支連結する枢支部を、前記上側部材の左右両側に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、機体フレームの左右側板を連結する連結構造体を、左右方向に配置されていて左右の側板の上部側同士を連結する下側部材と、この下側部材の上方に間隔をおいて配置されると共に左右方向に配置された上側部材と、前記下側部材と上側部材の前側同士を連結する複数の前側連結部材と、前記下側部材と上側部材の後側同士を連結する複数の後側連結部材とから構成したので、連結構造体を、シンプルな部材で構成できると共に側面視箱形の構造体とすることができ、簡単な形状で強度を確保することができる構造体とすることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、ワイヤーハーネスを機体フレームの左右一側から他側へと短距離で配線することができ、それによって、コストダウンやワイヤーハーネス末端での電圧低下防止を図ることができる。
請求項3に係る発明によれば、プレート部材と上側部材とを前側連結部材及び後側連結部材とで連結した組付体を、左右側板に架け渡されて溶接固定された架設部材に取付固定することで連結構造体を機体フレームに組み付けることができ、連結構造体の機体フレームへの組付けの容易化を図ることができる。
【0012】
請求項4に係る発明によれば、機体フレームの左右側板を連結する連結構造体と、エンジンルームの前上部を覆う前上部カバーとを別の部材で構成しているので、連結構造体をシンプルな形状にすることができる。
請求項5に係る発明によれば、ボンネットを開閉自在に枢支するボンネット支持ブラケットを連結構造体の上側部材の上面に固定することにより、ボンネットをしっかりと支持することができる。
【0013】
請求項6に係る発明によれば、ボンネットを開状態に支持するガススプリングの枢支部を、連結構造体の上側部材の左右両側に設けることにより、ボンネットを開状態でしっかりと支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ホイールローダの側面図である。
図2】ホイールローダの平面図である。
図3】後部機体の側面断面図である。
図4】機体フレームの斜視図である。
図5】機体フレームの正面図である。
図6】機体フレームの背面図である。
図7】機体フレームの上部の側面断面図である。
図8】機体フレームの正面上部の拡大図である。
図9】機体フレームの背面上部の拡大図である。
図10】フロアフレームの斜視図である。
図11】後部機体の正面断面図である。
図12】左側の部品収容ボックス内部の側面図である。
図13】右側の部品収容ボックス内部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2に作業機としてホイールローダ1を例示している。
このホイールローダ1はアーティキュレート式の作業機であり、走行機体2は前部機体2Aと後部機体2Bとから構成されている。前部機体2Aには左右一対の前輪3が設けら
れ、後部機体2Bには左右一対の後輪4が設けられている。
【0016】
後部機体2Bの前端側には機体連結部材5が前後方向の軸心回りに所定範囲回転自在に設けられ、この機体連結部材5に前部機体2Aの後端側が上下方向の軸心回りに左右揺動自在に連結されている。
前記機体連結部材5と前部機体2Aとにわたって油圧シリンダからなるステアリングシリンダ6が設けられ、このステアリングシリンダ6を伸縮させることにより、後部機体2Bに対して前部機体2Aが左右に揺動してホイールローダ1が左右に旋回可能とされている。
【0017】
また、前部機体2Aには作業装置7(フロント作業装置)が設けられている。この作業装置7は、左右一対のリフトアーム8とバケット9とを有する。左右のリフトアーム8は、その基端側が前部機体2Aに設けた支持フレーム10に左右方向の軸心回りに回転自在に支持されていて、上下揺動可能とされている。バケット9は、左右リフトアーム8の先端側に左右方向の軸心回りに揺動自在に枢支連結されている。左右リフトアーム8はリフトシリンダ11によって駆動され、バケット9はバケットシリンダ12によって駆動される。これらリフトシリンダ11及びバケットシリンダ12は油圧シリンダによって構成されている。
【0018】
また、バケット9は着脱自在に設けられていて、バケット9の代わりに、スイーパー、モアー、ブレーカ等のアタッチメントをリフトアーム8の先端側に取り付け可能とされている。
後部機体2Bには、左右の後輪4間に配置された運転席13と、運転席保護装置としてのキャビン14と、前記ステアリングシリンダ6を操作するステアリングホイール15と、前記作業装置7を操作する作業装置用操作レバー16と、エンジン17(ディーゼルエンジン)と、各後輪4を上方から覆う後輪フェンダ18が設けられている。
【0019】
なお、運転席保護装置としては、4柱式のキャノピであってもよい。
図3図4図5及び図6に示すように、後部機体2Bは後部に前記エンジン17を搭載した機体フレーム19を有する。
この機体フレーム19は、厚板材で形成された左右一対の側板20を有する。この左右各側板20は、前後方向中途部20Aに対して前部20B及び後部20Cが低くなるように形成されている。
【0020】
左右側板20の下端側は底板21によって連結されている。
左右の側板20の前端側はフレーム前部連結部材22によって連結されている。このフレーム前部連結部材22の左右方向中央部には、前記機体連結部材5を前後方向の軸心回りに回転自在に支持する支持部23が設けられている。
左右各側板20の前部20Bの左右方向外面側と、左右各側板20の中途部20Aの上部の左右方向外面側には、マウントブラケット24が固定されており、各マウントブラケット24には防振ゴムを有する防振マウントが取り付けられる。
【0021】
左右側板20の中途部20A上部は、連結構造体25によって連結されている。この連結構造体25は、下側部材26、上側部材27、複数の前側連結部材28及び複数の後側連結部材29とから主構成されている。
前記下側部材26は、左右方向に配置されていて左右側板20の中途部20A上端間にわたって設けられ、該左右側板20の中途部20A上端同士を連結している。この下側部材26は、架設部材30とプレート部材31とから構成されている。
【0022】
前記架設部材30は、左右の側板20の中途部20A上端間に架け渡されて該左右側板20に溶接固定されている。該架設部材30は、左右側板20の中途部20A上端間にわたって設けられた上壁30Aと、この上壁30Aの後端から下方に向けて延出されていて左右側板20の中途部20A上部後端間にわたって設けられた後壁30Bとから側面視L字形で左右方向に横長の板材によって形成されている。
【0023】
前記プレート部材31は、左右方向に長い横長の板材によって形成され、板面が上下を向くように配置されて架設部材30の上壁30Aの上面に重ね合わされ、該上面30Aにボルト等によって取付固定されている。該プレート部材31の左右両側は架設部材30か
ら左右方向外方に突出状とされている。
前記上側部材27は、左右方向に長い横長の板材によって形成され、板面が上下を向くように配置されていると共に前記プレート部材31の上方に間隔をおいて平行に配置されている。
【0024】
前側連結部材28は、上下方向に長い板材によって形成され、上側部材27及びプレート部材31の前端側に配置されている。この前側連結部材28は、本実施形態では、左右方向に3つ設けられ、上側部材27及びプレート部材31の左右両側及び左右方向中央部に配置されている。この前側連結部材28の下端はプレート部材31の上面に溶接固定され、上部後面は上側部材27の前端に溶接固定されている。該前側連結部材28で上側部材27とプレート部材31(下側部材26)との前端側同士が連結されている。
【0025】
後側連結部材29は、上下方向に長く且つ左右方向幅広の板材によって形成され、プレート部材31の後端側に配置されている。この後側連結部材29は、本実施形態では、左右方向に2つ設けられ、上側部材27及びプレート部材31の左右両側に配置されている。この後側連結部材29は、上側部材27の後部下面に重ね合わされて溶接固定された上壁29Aと、この上壁29Aの前端から下方に延出されていて下部前面がプレート部材31の後端に溶接固定された前壁29BとからL字形に形成されている。該後側連結部材29で上側部材27とプレート部材31(下側部材26)との後端側同士が連結されている。また、各後側連結部材29の前壁29Bの下部はプレート部材31から下方に延出されており、この延出部分が架設部材30の後壁後面に重ね合わされてボルト固定されている。
【0026】
図7図8及び図9に示すように、前記下側部材26と上側部材27(プレート部材31)との間は、機体フレーム19の左右一側から他側へとワイヤーハーネス32を配線するためのハーネス配線経路33とされている。
このハーネス配線経路33に配線されるワイヤーハーネス32の一端側(左端側)は、エンジン17の配置空間であるエンジンルームの前部左側(機体フレーム19の左側方に配置されたスローブローフューズボックス34に接続されている。このスローブローフューズボックス34の前方で且つ機体フレーム19の側板20の中途部20Aの左側方にはバッテリ35が配置され、このバッテリ35から配設された電力供給用の電源ハーネス36がスローブローフューズボックス34に接続されている。
【0027】
前記ハーネス配線経路33に配設されたワイヤーハーネス32の他端側(右側)は、連結構造体25の上側部材27と下側部材26の間に設けられた仕切り部材37を貫通して機体フレーム19の右側へと配設されたのち、前方側へと配設されている。機体フレーム19の側板20の中途部20Aの右側方には、メータ等の計器類や、前記作業機操作レバー用の電子部品や、ランプなどの電装品用のフューズボックス38が配置され、このフューズボックス38に前記ワイヤーハーネス32の他端側が接続されている。
【0028】
前記架設部材30の後壁30Bの右側には、エンジンルーム側から架設部材30の前方側(後述する前側仕切りカバーの前方側)へと配設されるエアコン用配管部材39,40(エアコン用ホース)やワイヤーハーネス41,42等の配設部材39〜42を通すための配設部材挿通部43が形成されている。
この配設部材挿通部43は、架設部材30の後壁に下方開放状に形成された切欠きによって構成されている。この切欠きは、右側の第1切欠き部44と、左側の第2切欠き部45とから構成されている。第1切欠き部44は正面視半長円形状に形成され、第2切欠き部45は第1切欠き部44の下部から左右に延出されていて左右方向に長い横長形状に形成されている。本実施形態では、第1切欠き部44にワイヤーハーネス41,42が挿通され、第2切欠き部45にエアコン用配管部材39,40が挿通される。
【0029】
第1切欠き部44に挿通されるワイヤーハーネス41,42は、前記ハーネス配線経路33に配設されたワイヤーハーネス32から分岐されたワイヤーハーネス41,42であり、本実施形態では、この分岐されたワイヤーハーネス41,42は、架設部材30の後壁30B前面の左側に取り付けられた(後述の前側仕切りカバーの前面側の上部左側に配置された)ECU46(エンジンコントロールユニット)に接続されるワイヤーハーネス
41と、後述の燃料タンク60の液面センサに接続されるワイヤーハーネス42である。
【0030】
第2切欠き部45に挿通されるエアコン用配管部材39,40は、エバポレータやブロアファンを有する後述のエアコン本体83からコンプレッサ47に冷媒を戻す冷媒戻しホース39と、エアコンのレシーバ48からエアコン本体83に冷媒を送る冷媒供給ホース40である。
エアコンのコンプレッサ47はエンジン17の右側前側に配置され、レシーバ48やコンデンサ49はエンジン17の右側方に配置されている。
【0031】
前記連結構造体25は、シンプルな部材で構成されていると共に側面視箱形の構造体とされており、簡単な形状で強度を確保することができる構造体とされている。
また、連結構造体25は、架設部材30を左右側板20に溶接固定すると共に、プレート部材31、上側部材27、前側連結部材28及び後側連結部材29からなる組立体を架設部材30にボルト固定することにより、左右側板20に組み付けることができる。これにより、連結構造体25の機体フレーム19への組付けの容易化を図ることができる。
【0032】
また、前記上側部材27と下側部材26との間が、機体フレーム19の左右一側から他側へとワイヤーハーネス32を配線するためのハーネス配線経路33とされているので、ワイヤーハーネス32を機体フレーム19の左右一側から他側へと短距離で左右方向に配線することができる。それによって、コストダウンやワイヤーハーネス32末端での電圧低下防止を図ることができる。
【0033】
前記エンジン17は機体フレーム19の左右側板20間の後部に搭載されている。また、機体フレーム19の後部にはウエイト50が取付固定されている。このウエイト50はエンジンルーム下部の左右両側及び後側を覆っている。
エンジンルーム上部の左右両側及び上側はボンネット51で覆われている。
前記連結構造体25の上側部材27の上面には左右一対のボンネット支持ブラケット52が取付固定され、各ボンネット支持ブラケット52にボンネット支持アーム53の前部が左右軸回りに上下揺動自在に枢支され、各ボンネット支持アーム53の後部はボンネット51の下面に取り付けられている。これにより、ボンネット51はボンネット支持アーム53を介してボンネット支持ブラケット52に上下揺動自在に支持されている。
【0034】
このボンネット支持ブラケット52は前記連結構造体25の上側部材27の上面に固定されているので、ボンネット51をしっかりと支持することができる。
また、ボンネット51の下面側の左右両側には、ボンネット51を開状態に保持するガススプリング54が配置されている。
連結構造体25の上側部材27の左右両側には、ガススプリング54の前端側を枢支連結する前枢支部55Fが設けられている。ガススプリング54の後端側は、ボンネット51の下面に設けられた後枢支部55Rに枢支連結されている。
【0035】
このボンネット51を開状態に支持するガススプリング54の前枢支部55Fを、連結構造体25の上側部材27の左右両側に設けることにより、ボンネット51を開状態でしっかりと支持することができる。
ボンネット51上部の前方は、連結構造体25を覆う前上部カバー56によって覆われている。この前上部カバー56は、正面視門形状に形成された門形部材56Aと、この門形部材56Aの前面を覆う前面プレート56Bとから構成されている。
【0036】
前面プレート56Bは連結構造体25の各前側連結部材28に形成された取付孔57を介して各前側連結部材28にボルト等によって取付固定される。門形部材56Aの左右両側の下端側は上側部材27にボルト等によって取付固定される。
例えば、機体フレーム19の左右側板20を連結する連結構造体25に、エンジンルームの前上部を覆う前上部カバー56の機能をもたせたものであれば、形状の複雑化を招くが、本実施形態では、機体フレーム19の左右側板20を連結する連結構造体25と、エンジンルームの前上部を覆う前上部カバー56とを別の部材で構成しているので、連結構造体25をシンプルな形状にすることができる。
【0037】
前記連結構造体25には、その他、エンジン17周辺機器(例えば、エアクリーナ等)が取り付けられる取付ブラケットが固定される。
エンジン17の右側方には、図示省略のラジエータが配置され、このラジエータとエンジン17との間にはラジエータファンを覆うファンシュラウドが取り付けられる支持脚58が設けられている。この支持脚58は、連結構造体25の右側から後下方に向けて延出されると共に後端側で下方に向けて延出されていて、上前端側が連結構造体25の右側に連結され、後下端が機体フレーム19の右側に連結されている。
【0038】
図3図4に示すように、機体フレーム19の左右側板20の中途部20A間には、エンジンルームの前側を仕切る前側仕切りカバー59が設けられている。この前側仕切りカバー59と、前記前上部カバー56、ボンネット51、ウエイト50及び底板21等によってエンジンルームが構成されている。
図5に示すように、前側仕切りカバー59の前方側には、燃料タンク60と作動油タンク61とが左右に並べて配置されている。
【0039】
前側仕切りカバー59は、機体フレーム19の左右側板20の中途部20A間の後端側に配置され、上カバー62と下カバー63とから構成されている(前側仕切りカバー59は上カバー62と下カバー63とに分割されている)。
図5図9に示すように、上カバー62は、一枚の板材によって形成され、板面が前後方向を向くように左右の側板20間にわたって設けられている。上カバー62の左右方向中途部には、上方突出状に設けられた取付部64が形成されている。この取付部64は、前記配設部材挿通部43の左側方において、架設部材30の後壁30Bの下部後面に重ね合わされて、該架設部材30にボルト及びナットによって着脱自在に取付固定されている。また、上カバー62の左端側の下端側が左側の側板20に固着された取付ステー65にボルト等によって着脱自在に取付固定されている。
【0040】
また、この上カバー62の取付部64の右側方の上縁側によって、前記配設部材挿通部43の下端側が塞がれている。
下カバー63は、下カバー本体66と、この下カバー本体66の左端部に設けられたサイドカバー板67と、前記下カバー本体66の後面側上部に設けられた溝形成部材68とから構成されている。
【0041】
下カバー本体66は、本実施形態では一枚の板材からなり、機体フレーム19の右側の側板20からサイドカバー板67の後端にわたって設けられていて機体フレーム19に設けられた取付ステー91にボルト等によって取付固定されている。前記サイドカバー板67は、板面が左右方向を向くように、且つ機体フレーム19の左側の側板20と左右方向に間隔をおいて配置されている。したがって、下カバー本体66と左側の側板20との間は開口状とされ、この開口の前側には作動油タンク61が配置されている。
【0042】
なお、下カバー本体66は複数の板材で構成されていてもよい。
溝形成部材68は、左右方向に長い板材によって形成され、下カバー本体66の後面上部に配置されている。この溝形成部材68は、図7に示すように、下カバー本体66の後面に重ね合わされて該下カバー本体66に溶接等で固定された下部の取付壁69と、この取付壁69の上縁から後斜め上方に向けて延出された傾斜壁70とを有する。この溝形成部材68の傾斜壁70と下カバー本体66の上部とで支持溝71が形成され、この支持溝71に上カバー62の下端側が左右方向移動自在に挿入されて支持されている。
【0043】
したがって、下カバー63の上端側の固定(架設部材30に対する取付部64の固定)及び左側下端部の固定を外し、該上カバー62を左側方に移動させて取り外すことにより、エンジンルームの前側上部を開放することができ、エンジンルーム前側のメンテナンス性が向上する。
なお、メンテナンス時において、上カバー62は取り外さなくてもよく、該上カバー62を左側方に移動させるだけでもよい。また、ラジエータがエンジンルームの左側に配置される場合は、上カバー62を右側方に移動させてエンジン17の前側を開放させる。
【0044】
また、エンジンルーム側から上カバー62の前方側へと配設される配設部材39〜42を通すための配設部材挿通部43を、上カバー62の上端側を取付固定する架設部材30に設けたので、上カバー62を側方に移動させてエンジンルームの前上部を開放するにあたって、配設部材39〜42が邪魔物となるのを防止することができる。
また、上カバー62を側方に移動させることにより、配設部材挿通部43の下端側を下方に開放状とすることができ、配設部材39〜42の配設やメンテナンスを容易に行える。
【0045】
後部機体2Bは、図3及び図10に示すフロアフレーム72を有する。このフロアフレーム72は、左右一対の側壁73と、左右側壁73の下端を連結する底壁74と、この底壁74の後端から上方に延出されて左右側壁73の後端を連結する背壁75と、底壁74の前方側に位置していて該底壁74より左右に張り出したフロア部76(ステップ)と、左右各側壁73の上端から左右方向外方に張り出す張出し部77と、フロア部76の左右各側部の後縁から後上方に向けて延出されていて張出し部77の前縁に接続された左右の傾斜壁78と、左右の張出し部77の後端側を連結する連結板79とを有する。
【0046】
前記フロア部76の左右両側は、前側のマウントブラケット24に防振マウントを介して防振支持される。また、左右の各張出し部77は、後側のマウントブラケット24に防振マウントを介して防振支持される。これによって、フロアフレーム72が機体フレーム19に防振支持される。
また、前記キャビン14は底面側が開口状とされていると共に、該キャビン14の後部の左右両側は、フロアフレーム72の張出し部77上に載置されて該張出し部77に取付固定され、該キャビン14の前部は、フロアフレーム72のフロア部76上に載置されて該フロア部76に取付固定されている。したがって、キャビン14は前後のマウントブラケット24に防振マウントを介して防振支持される。
【0047】
図11に示すように、フロアフレーム72の左右の側壁73は左右方向同じ側にある機体フレーム19の側板20の左右方向内方側に間隔をおいて配置されている。
フロアフレーム72の背壁75の上部右側には、前述した冷媒戻しホース39と冷媒供給ホース40を通すための通し穴80が形成されている。
図3図11に示すように、フロアフレーム72の底壁74上にはシート台81が固定され、このシート台81上にシートサスペンション等の運転席取付台82が設けられ、この運転席取付台82上に運転席13が設けられる。
【0048】
前記シート台81の上壁81aとフロアフレーム72の底壁74との間にはスペースが設けられ、このスペースにエアコン本体83が配置されている。
図10に示すように、フロア部76の前部には、ハンドルポスト等を支持する支持フレーム84が設けられている。
図11に示すように、フロアフレーム72の左右の張出し部77は、機体フレーム19の側板20の中途部20Aの上端を越えて左右方向外方に張り出しており、該張出し部77は左右方向で同じ側にある後輪フェンダ18の上方に位置している。また、フロアフレーム72の左右の傾斜壁78は大きく立ち上がっており、左右各張出し部77と左右後輪フェンダ18との上下間に大きな空間を形成している。この左右各張出し部77と左右後輪フェンダ18との間の空間に、バッテリ35、ヒューズボックス38、リレーボックス85、ウォッシャータンク86などのメンテナンス部品を収容する部品収容ボックス87が設けられている。
【0049】
この部品収容ボックス87は、機体フレーム19に取り付けられたボックス本体88と、このボックス本体88の左右方向外方側の開口を開閉自在に閉鎖する開閉カバー89とを有する。
図12に示すように、左側の部品収容ボックス87には、ウォッシャータンク86と、バッテリ35と、左後側のマウントブラケット24とが配置されている。図13に示すように、右側の部品収容ボックス87には、フューズボックス38と、リレーボックス85と、右後側のマウントブラケット24と、燃料給油口90とが配置されている。
【符号の説明】
【0050】
2 機体フレーム
17 エンジン
20 側板
25 連結構造体
26 下側部材
27 上側部材
28 前側連結部材
29 後側連結部材
30 架設部材
31 プレート部材
33 ハーネス配線経路
51 ボンネット
52 ボンネット支持ブラケット
54 ガススプリング
55F 枢支部
56 前上部カバー
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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図10
図11
図12
図13