(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4に示すように、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンとしては、例えば4つのパターンが考えられる。
第1パターンは、第1スイッチング素子Q1及び第4スイッチング素子Q4がON状態であり、かつ、第2スイッチング素子Q2及び第3スイッチング素子Q3がOFF状態となっているスイッチングパターンである。第1パターンにおいて、出力電圧VoutはE(V)であり、コモンモード電圧VcはE/2(V)である。なお、
図3に示すように、基準電位に対する第1接続線LN1の電位を第1電圧Vaとし、基準電位に対する第2接続線LN2の電位を第2電圧Vbとすると、コモンモード電圧Vcは、第1電圧Vaと第2電圧Vbとの平均値である(Vc=(Va+Vb)/2)。
【0005】
第2パターンは、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3がON状態であり、かつ、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4がOFF状態となっているスイッチングパターンである。第2パターンにおいて、出力電圧Voutは0(V)であり、コモンモード電圧VcはE(V)である。
【0006】
第3パターンは、第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3がOFF状態であり、かつ、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4がON状態となっているスイッチングパターンである。第3パターンにおいて、出力電圧Voutは0(V)であり、コモンモード電圧Vcは0(V)である。
【0007】
第4パターンは、第1スイッチング素子Q1及び第4スイッチング素子Q4がOFF状態であり、かつ、第2スイッチング素子Q2及び第3スイッチング素子Q3がON状態となっているスイッチングパターンである。第4パターンでは、出力電圧Voutは−E(V)であり、コモンモード電圧VcはE/2(V)である。
【0008】
ここで、例えばスイッチングパターンが、第1パターン→第3パターン→第4パターン→第3パターン→第1パターン→…といったように順次切り替わる場合、コモンモード電圧Vcが変動する。この場合、コモンモードノイズが発生するため、当該コモンモードノイズを除去するために大型のフィルタ回路を設ける必要が生じ得る。
【0009】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的はコモンモードノイズを好適に抑制できる単相インバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する単相インバータは、直流電力を交流電力に変換するものであって、第1接続線によって互いに直列に接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と、第2接続線によって互いに直列に接続された第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子と、を備え、前記第1スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子は正電源に接続されており、前記第2スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子は負電源に接続されており、前記単相インバータの出力電圧は、前記第1接続線の電位と前記第2接続線の電位との電位差であり、前記第1接続線と前記第2接続線とを接続する第3接続線上に設けられた短絡用スイッチング素子
と、前記第3接続線とグランドとを接続する第4接続線上に設けられた接地用スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子のスイッチングパターンを設定し、かつ、前記短絡用スイッチング素子及び前記接地用スイッチング素子を制御する制御部と、を備え、前記スイッチングパターンは、前記第1スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子がON状態であり、かつ、前記第2スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子がOFF状態である第1パターンと、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、前記第3スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子がOFF状態である第2パターンと、前記第1スイッチング素子及び前記第4スイッチング素子がOFF状態であり、かつ、前記第2スイッチング素子及び前記第3スイッチング素子がON状態である第3パターンと、を含み、前記第3接続線と前記第1接続線との接続点を第1接続点とし、前記第3接続線と前記第2接続線との接続点を第2接続点とし、前記第3接続線と前記第4接続線との接続点を第3接続点とすると、前記単相インバータは、前記短絡用スイッチング素子として、前記第3接続線における前記第1接続点から前記第3接続点までの部分に設けられ、ON状態である場合には前記第1接続点から前記第3接続点に向けて電流が流れ得る第1短絡用スイッチング素子と、前記第3接続線における前記第2接続点から前記第3接続点までの部分に設けられ、ON状態である場合には前記第2接続点から前記第3接続点に向けて電流が流れ得る第2短絡用スイッチング素子と、を備え、前記制御部は、前記スイッチングパターンが前記第1パターン又は前記第3パターンである場合には前記第1短絡用スイッチング素子、前記第2短絡用スイッチング素子及び前記接地用スイッチング素子をOFF状態にする一方、前記スイッチングパターンが前記第2パターンである場合には前記第1短絡用スイッチング素子、前記第2短絡用スイッチング素子及び前記接地用スイッチング素子をON状態にすることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、短絡用スイッチング素子がON状態である場合には、第1接続線と第2接続線とが短絡する一方、短絡用スイッチング素子がOFF状態である場合には、第1接続線と第2接続線とが短絡しない。これにより、各スイッチング素子のスイッチングパターンに応じて、短絡用スイッチング素子のON/OFFを制御することにより、コモンモード電圧の変動を抑制しつつ、直流電力を交流電力に変換することができる。よって、コモンモードノイズを好適に抑制することができる。なお、正電源とは、正の電圧を出力する電源であり、負電源とは、負の電圧を出力する電源である。
【0012】
また、上記構成によれば、例えばスイッチングパターンを、第2パターンを介して第1パターンと第3パターンとに交互に切り替えることにより、出力電圧が0(V)の期間を経由しつつ、直流電力を交流電力に変換することができる。これにより、電力損失の抑制を図ることができる。また、コモンモード電圧はスイッチングパターンに関わらず一定値となるため、コモンモードノイズを抑制できる。よって、電力変換に伴う電力損失の軽減と、コモンモードノイズの抑制との両立を図ることができる。
【0013】
更に、本構成によれば、スイッチングパターンが第2パターンである場合には、接地用スイッチング素子がON状態となるため、各接続線がグランドに接続されることとなる。これにより、スイッチングパターンが第2パターンである場合に、
コモンモード電圧が不安定になることを抑制できる。
【0014】
また、本構成によれば、第1接続線及び第2接続線の短絡
と、第1接続線及び第2接続線のグランドへの接続
とを、比較的簡素な構成で行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、コモンモードノイズを好適に抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、単相インバータの一実施形態について説明する。なお、本実施形態の単相インバータは、例えばコージェネレーションシステムに用いられるものであって、蓄電装置等によって蓄電された直流電力を交流電力に変換するものである。
【0018】
図1に示すように、単相インバータ10は、第1接続線LN1によって互いに直列に接続された第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2と、第2接続線LN2によって互いに直列に接続された第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4とを備えている。各スイッチング素子Q1〜Q4は、例えばIGBTで構成されている。第1スイッチング素子Q1のエミッタ端子と第2スイッチング素子Q2のコレクタ端子とが、第1接続線LN1によって接続されている。同様に第3スイッチング素子Q3のエミッタ端子と第4スイッチング素子Q4のコレクタ端子とが、第2接続線LN2によって接続されている。
【0019】
第1スイッチング素子Q1のコレクタ端子、及び、第3スイッチング素子Q3のコレクタ端子は、正の電圧(グランドよりも高い電圧)としてE(V)を出力する正電源11に接続されている。第2スイッチング素子Q2のエミッタ端子、及び、第4スイッチング素子Q4のエミッタ端子は、負の電圧(グランドよりも低い電圧)として−E(V)を出力する負電源12に接続されている。正電源11の正の電圧の絶対値と負電源12の負の電圧の絶対値とは同一に設定されている。第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2の直列接続体、並びに、第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4の直列接続体にはそれぞれ2E(V)の電圧が印加されている。
【0020】
なお、各電源11,12は、それぞれ専用の電源として独立して設けられていてもよいし、コンデンサ等を用いて1つの電源から仮想的に生成されていてもよい。
図1に示すように、単相インバータ10は、第1接続線LN1の電位と第2接続線LN2の電位との電位差を出力電圧Voutとして出力する。単相インバータ10の出力端は、フィルタ回路20を介して系統電源(商用電源)に接続されており、当該単相インバータ10によって変換された交流電力は、系統電力(商用電力)として用いられる。
【0021】
単相インバータ10は、第1接続線LN1と第2接続線LN2とを接続する第3接続線LN3と、当該第3接続線LN3とグランドとを接続する第4接続線LN4とを備えている。なお、説明の便宜上、以降の説明において、第3接続線LN3と第1接続線LN1との接続点を第1接続点P1とし、第3接続線LN3と第2接続線LN2との接続点を第2接続点P2とし、第3接続線LN3と第4接続線LN4との接続点を第3接続点P3とする。
【0022】
単相インバータ10は、第3接続線LN3上に設けられた2つの短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2を備えている。各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2は、例えばIGBTで構成されている。第1短絡用スイッチング素子Qc1は、第3接続線LN3における第1接続点P1から第3接続点P3までの部分に設けられており、第2短絡用スイッチング素子Qc2は、第3接続線LN3における第2接続点P2から第3接続点P3までの部分に設けられている。
【0023】
各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2は、第3接続点P3を介して互いに逆向きに接続されている。詳細には、第1短絡用スイッチング素子Qc1のコレクタ端子は第1接続点P1に接続されており、第1短絡用スイッチング素子Qc1のエミッタ端子は第3接続点P3に接続されている。この場合、第1短絡用スイッチング素子Qc1がON状態となった場合には、第1接続点P1から第3接続点P3に向けてコレクタ電流が流れ得る。
【0024】
第2短絡用スイッチング素子Qc2のコレクタ端子は第2接続点P2に接続されており、第2短絡用スイッチング素子Qc2のエミッタ端子は第3接続点P3に接続されている。この場合、第2短絡用スイッチング素子Qc2がON状態となった場合には、第2接続点P2から第3接続点P3に向けてコレクタ電流が流れ得る。
【0025】
また、スイッチング素子Q1〜Q4,Qc1,Qc2は、当該スイッチング素子Q1〜Q4,Qc1,Qc2のエミッタ−コレクタ間に接続されたボディダイオードD1〜D4,Dc1,Dc2を有している。
【0026】
かかる構成によれば、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2がON状態である場合には、第1接続線LN1と第2接続線LN2とが短絡する一方、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2がOFF状態である場合には、第1接続線LN1と第2接続線LN2とは短絡しない。
【0027】
図1に示すように、単相インバータ10は、第4接続線LN4上に設けられた接地用スイッチング素子Qc3を備えている。接地用スイッチング素子Qc3は、例えばn型のMOSFETで構成されており、そのドレイン端子はグランドに接続されており、ソース端子は第3接続点P3に接続されている。接地用スイッチング素子Qc3は、ソース−ドレイン間に接続されたボディダイオードDc3を有している。
【0028】
なお、本実施形態において、各スイッチング素子Q1〜Q4,Qc1〜Qc3はノーマリオフのスイッチング素子である。また、各スイッチング素子Q1〜Q4,Qc1〜Qc3において、ON状態とは導通状態であり、OFF状態とは非導通状態とも言える。
【0029】
単相インバータ10は、各スイッチング素子Q1〜Q4,Qc1〜Qc3のON/OFF制御を行う制御部13を備えている。制御部13は、各スイッチング素子Q1〜Q4,Qc1〜Qc3のゲート端子に接続されている。
【0030】
制御部13は、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンを設定するものである。そして、制御部13は、当該スイッチングパターンを周期的に変更するとともに、各スイッチングパターンに応じて、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2及び接地用スイッチング素子Qc3のON/OFF制御を行うことにより、出力電圧Voutを周期的に変更させつつ、コモンモード電圧Vcの変動を抑制する。なお、既に説明した通り、コモンモード電圧Vcとは、グランドに対する第1接続線LN1の電位である第1電圧Vaと、グランドに対する第2接続線LN2の電位である第2電圧Vbとの平均値である(Vc=(Va+Vb)/2)。
【0031】
図2に示すように、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンには、第1パターン、第2パターン及び第3パターンという3つのパターンが存在する。制御部13は、例えば第1パターン→第2パターン→第3パターン→第2パターン→第1パターン→…といった順序で順次スイッチングパターンを変更することにより、振幅が2Eの交流電圧を出力させる。
【0032】
第1パターンは、第1スイッチング素子Q1及び第4スイッチング素子Q4がON状態であり、かつ、第2スイッチング素子Q2及び第3スイッチング素子Q3がOFF状態となっているスイッチングパターンである。制御部13は、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンが第1パターンである場合には、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2及び接地用スイッチング素子Qc3をOFF状態に設定する。この場合、出力電圧Voutは2E(V)であり、コモンモード電圧Vcは0(V)である。
【0033】
第2パターンは、各スイッチング素子Q1〜Q4が全てOFF状態となっているスイッチングパターンである。制御部13は、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンが第2パターンである場合には、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2及び接地用スイッチング素子Qc3をON状態に設定する。この場合、出力電圧Voutは0(V)であり、コモンモード電圧Vcは0(V)である。
【0034】
第3パターンは、第1スイッチング素子Q1及び第4スイッチング素子Q4がOFF状態であり、かつ、第2スイッチング素子Q2及び第3スイッチング素子Q3がON状態となっているスイッチングパターンである。制御部13は、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンが第3パターンである場合には、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2及び接地用スイッチング素子Qc3をOFF状態に設定する。この場合、出力電圧Voutは−2E(V)であり、コモンモード電圧Vcは0(V)である。
【0035】
次に本実施形態の作用について説明する。
図2に示すように、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンが変更された場合であっても、コモンモード電圧Vcは一定値(詳細には0(V))となっている。
【0036】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)単相インバータ10は、第1接続線LN1によって互いに直列に接続された第1スイッチング素子Q1及び第2スイッチング素子Q2と、第2接続線LN2によって互いに直列に接続された第3スイッチング素子Q3及び第4スイッチング素子Q4とを備えている。第1スイッチング素子Q1及び第3スイッチング素子Q3は、正の電圧としてE(V)を出力する正電源11に接続されており、第2スイッチング素子Q2及び第4スイッチング素子Q4は、負の電圧として−E(V)を出力する負電源12に接続されている。そして、単相インバータ10の出力電圧Voutは、各接続線LN1,LN2の電位差である。
【0037】
かかる構成において、単相インバータ10は、各接続線LN1,LN2を接続する第3接続線LN3上に設けられた短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2を備えている。これにより、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2がON状態である場合には、各接続線LN1,LN2が短絡する一方、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2がOFF状態である場合には、各接続線LN1,LN2は短絡しない。したがって、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンに応じて、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2のON/OFF制御を行うことにより、コモンモード電圧Vcの変動を抑制しつつ、直流電力を交流電力に変換できる。よって、コモンモードノイズを好適に抑制でき、これを通じてフィルタ回路20の小型化等を図ることができる。
【0038】
(2)単相インバータ10は、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンとして第1パターン、第2パターン又は第3パターンを設定する制御部13を備えている。制御部13は、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンが第1パターン又は第3パターンである場合には、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2をOFF状態にする一方、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンが第2パターンである場合には、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2をON状態にする。かかる構成によれば、第2パターンを介して、第1パターンから第3パターンへの切替及び第3パターンから第1パターンへの切替を交互に行うことにより、出力電圧Voutが0(V)の期間を経由しつつ、振幅が2Eの交流電圧を出力することができ、これを通じて電力損失の抑制を図ることができる。また、コモンモード電圧Vcは、スイッチングパターンに関わらず一定値となっているため、コモンモードノイズを抑制できる。
【0039】
ここで、仮に
図3に示した単相インバータ100において、コモンモード電圧Vcの変動を回避するべく、第1パターン→第4パターン→第1パターン→…といったように、スイッチングパターンを、第2パターン又は第3パターンを介することなく第1パターンと第4パターンとに交互に切り替えることも考えられる。しかしながら、この場合、単相インバータ100における電力損失が大きくなり易い。また、単相インバータ100の出力側にフィルタ回路が設けられている場合には、当該フィルタ回路での電力損失が大きくなり易い。
【0040】
これに対して、本実施形態によれば、スイッチングパターンが、第2パターンを介して第1パターンと第3パターンとに交互に切り替わった場合であっても、コモンモード電圧Vcは変動しにくい。これにより、電力損失の軽減と、コモンモードノイズの抑制との両立を図ることができる。
【0041】
(3)単相インバータ10は、第3接続線LN3とグランドとを接続する第4接続線LN4を備え、当該第4接続線LN4上には接地用スイッチング素子Qc3が設けられている。制御部13は、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンが第2パターンである場合には、接地用スイッチング素子Qc3をON状態にする。これにより、各スイッチング素子Q1〜Q4が全てOFF状態となっている場合には、各接続線LN1,LN2はグランドに接続されるため、出力電圧Vout及びコモンモード電圧Vcが安定して0(V)となる。よって、各スイッチング素子Q1〜Q4のスイッチングパターンが第2パターンである場合に出力電圧Vout及びコモンモード電圧Vcが不安定になることを抑制できる。
【0042】
(4)第1短絡用スイッチング素子Qc1は、第3接続線LN3における第1接続点P1から第3接続点P3までの部分に設けられ、ON状態である場合には第1接続点P1から第3接続点P3に向けて電流が流れ得るように構成されている。第2短絡用スイッチング素子Qc2は、第2接続点P2から第3接続点P3までの部分に設けられ、ON状態である場合には第2接続点P2から第3接続点P3に向けて電流が流れ得るように構成されている。これにより、ON状態となることによって双方向に電流が流れ得る双方向性のスイッチング素子を用いることなく、各接続線LN1,LN2の短絡、及び、各接続線LN1,LN2のグランドへの接続を行うことができる。
【0043】
特に、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2は、各スイッチング素子Q1〜Q4と同様にIGBTで構成されている。これにより、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2と各スイッチング素子Q1〜Q4との間で、立ち上がり時間等のばらつきが生じにくい。よって、各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2と各スイッチング素子Q1〜Q4とを好適に同期させることができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 接地用スイッチング素子Qc3に代えて、抵抗等を設けてもよい。
○ 接地用スイッチング素子Qc3及び第4接続線LN4を省略してもよい。
【0045】
○ 各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2に代えて、双方向に電流が流れ得る双方向性のスイッチング素子を1つ設けてもよい。
○ 単相インバータ10の適用対象は、コージェネレーションシステムに限られず任意である。
【0046】
○ 単相インバータ10の出力側に設けられたフィルタ回路20を省略してもよい。
○ 制御部13は、スイッチングパターンを、第1パターンと第2パターンとに交互に切り替えてもよいし、第3パターンと第2パターンとに交互に切り替えてもよい。
【0047】
○ 第3接続線LN3が2本存在してもよい。この場合、一方の第3接続線LN3上には、ON状態となった場合に第1接続点P1から第2接続点P2に向かう方向のみに電流が流れ得るスイッチング素子が設けられており、他方の第3接続線LN3上には、ON状態となった場合に第2接続点P2から第1接続点P1に向かう方向のみに電流が流れ得るスイッチング素子が設けられているとよい。
【0048】
○ 各スイッチング素子Q1〜Q4,Qc1〜Qc3の具体的な構成は任意である。例えば、各スイッチング素子Q1〜Q4及び各短絡用スイッチング素子Qc1,Qc2がパワー型のMOSFETで構成されていてもよいし、接地用スイッチング素子Qc3がIGBTで構成されていてもよい。また、各スイッチング素子Q1〜Q4,Qc1〜Qc3として、ノーマリーオンのスイッチング素子を採用してもよい。
【0049】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)制御部は、スイッチングパターンを、第2パターンを介して第1パターンと第3パターンとに交互に切り替えるものであるとよい。