【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 説明による公開/開催日:平成26年5月24日 エキスポフラッシュフィールド 大阪府吹田市千里万博公園1−1 日本万国博覧会記念公園内
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は表示体11の斜視図であり、この表示体11は例えばサッカーやアメリカンフットボール、ラグビー、フットサルなどの各種スポーツの競技場で広告や得点など、適宜の表示を行うためのもので、地面に設置して使用するのに適した構造である。
【0014】
表示体11は、表示シート21と、この表示シート21を支持する支持体31と、支持体31を側面視三角形状に保持する連結部材51を備えている。支持体31による表示シート21の支持は着脱可能にするため面ファスナ61(相互に係脱する面ファスナの一方61aと面ファスナの他方61b)で行う。
【0015】
表示シート21は、全体が柔軟な材料で形成され、左右方向に長い長方形である。表示シート21の表面には、適宜の必要な表示22がプリント等で形成される。表示内容が得点など、変化を要するものである場合には、たとえば表示シート21として、樹脂に磁粉を混ぜ込んで形成したマグネットシートや樹脂に鉄粉を混ぜ込んで形成したシートを用い、この表示シート21に対して、変化を要する表示を備えたカード状の別の表示シート(図示せず)を吸着可能にするとよい。
【0016】
表示シート21の裏面には、支持体31に支持させるため、支持体31に備えた面ファスナの一方61aに係止する面ファスナの他方61bを備えている。面ファスナの他方61bは、表示シート21裏面の外周縁部全体に適宜幅で備えられている。
【0017】
支持体31は、表示シート21を支持する2枚の板状部32と、これら板状部32同士を連結し一体化する柔軟な屈曲部33を有している。
【0018】
板状部32は、支持体31の斜視図である
図2に示したように方形の板状である。具体的には板状部32は、表示シート21と同じ大きさの長方形で、たとえば5cm程度、あるいはそれ以上の適宜の厚みを有し、全体が弾力性を有する。
【0019】
屈曲部33は長方形をなす板状部32の長辺同士を連結する。板状部32の長辺のうち屈曲部33と反対側の長辺部分が使用時に接地する接地部34である。
【0020】
板状部32は、芯材となる板材32aを被覆材32bで被覆して構成する。板材32aは長方形板状で、軽量で弾力性のある素材で形成される。これには例えばウレタン系、オレフィン系、ゴム系などの発泡体や、固綿などの繊維系クッションを使用できる。これにより板材32aは、外力を受けて変形すると元の形状に戻ろうとする弾力性を有するものとなる。
【0021】
被覆材32bは板材32aに対応する大きさで6面を有する袋状である。2枚の板状部32は同じ大きさである。
【0022】
板状部32の表面32cにおける外周縁部全体には、表示シート21を着脱可能に取り付けるため、表示シート21裏面の面ファスナの他方61bに係止する面ファスナの一方61aを備えている。この面ファスナの一方61aの幅は、対となる面ファスナの他方61bと十分な係合ができるように適宜設定される。
【0023】
また支持体31の展開状態の表面側を示す
図3、支持体31の展開状態の裏面側を示す
図4に示したように、板状部32の屈曲部33を有する側の端面全体に、面ファスナの一方62aが固定されている。
【0024】
板状部32の裏面32dの略中央部には、
図4に示したように、板状部32の表面32cに備えた面ファスナの一方61aと同じ面ファスナの一方63aを有している。この面ファスナの一方63aは、適宜間隔をあけて左右方向に一対備えられる。
【0025】
屈曲部33は、2枚の板状部32をこれら板状部32の表面32cを面一にして並べたときに相対向する端面のうち表面32c側の角同士を連結するものである。屈曲部33は、板状部32の被覆材32bと同一材料で形成され、細幅帯状である。屈曲部33の幅は、2枚の板状部32の厚さに対応する寸法である。
【0026】
このため支持体31は、
図5に示したように、板状部32は裏面32d同士が近接する方向に曲げることも、表面32c同士が近接する方向に曲げることもできる。
【0027】
この屈曲部33の裏面全体には、
図4に示したように面ファスナの他方62bが固定されている。この面ファスナの他方62bは、板状部32の屈曲部33を有する側の端面全体に固定した面ファスナの一方62bに対して係止するものである。
【0028】
屈曲部33は板状部32の長辺の端から端までの長さであり、長手方向に沿って複数の取手35を有している。この例では、一対の長穴からなる取手35を3個形成している。取手35は別の部材を取り付けて形成してもよい。
【0029】
また屈曲部33の長手方向端部には、別体の支持体31を連結する連結手段としての連結穴36が形成されている。
【0030】
連結部材51は、適宜幅で柔軟な帯状のシートで形成され、2本備えられている。
図6に示したように連結部材51の片面の長手方向の両端部には、板状部32の表面32cに備えた面ファスナの一方61aに係止するとともに、板状部32の裏面32dに備えた面ファスナの一方63aに係止する面ファスナの他方64bを有している。連結部材51の他面における長手方向の両端部、つまり面ファスナの他方64bと背中合わせになる部分には、板状部32の表面32cに備えた面ファスナの一方61aと同じ面ファスナの一方64aを有している。
【0031】
このような連結部材51の長さは、つぎの条件を満たす長さである。すなわち、連結部材51の両端部の面ファスナの他方63bを、
図2に示したように板状部32の表面32cの面ファスナの一方61に係止して、2枚の板状部32の設置部34側に回して板状部32同士のなす角度を60度程度とすることが可能であること。2枚の板状部32の表面32c同士が当接するように重ねて板状部32の裏面32dを外に出して、
図7に示したように、2枚の板状部32の裏面32dに備えた左右一対の面ファスナの一方63aのうちの左方同士、または右方同士を連結部材51の両端部の面ファスナの他方64bを係合して板状部32の左端または右端に掛け回したときに、板状部32の重ね合わせ状態を保持できること。これらの条件を満たすように、板状部32の裏面32dの一対の面ファスナの一方63aの間隔と共に、連結部材51の長さが設定される。
【0032】
また、連結部材51の長手方向の両側寄りの部位に、設置するグランド面に対する固定のためのペグなどの固定具(図示せず)を挿入する複数の固定穴52を有している。
【0033】
以上のように構成された表示体11の支持体31を表示に使用するときには、まず、板状部32の裏面32d同士が近接する方向に曲げる。つまり
図2に示したように、屈曲部33の裏面の面ファスナ62bの他方を、これと対向する板状部32の端面における面ファスナの一方62aに係止して、屈曲部33を捲れ上がらないように止める。
【0034】
つぎに、支持体31を、屈曲部33を介して連結されている2枚の板状部32が傾斜して支え合う側面視三角形の姿勢にして、この状態を保持するため、連結部材51を用いて板状部32同士のなす角度が開かないように規制する。つまり、連結部材51の両端部に備えた面ファスナの他方64bを板状部32の表面32cの面ファスナの一方61aの上下方向の適宜位置に係止して、板状部32の接地部34に掛け回して、板状部32同士の角度の開きを防止する。2本の連結部材51は、板状部32の長手方向の両端部、つまり左右両端部に固定する。通常の使用状態では、
図8に示したように板状部32同士のなす角度が60度くらいになるようにするとよい。競技場の形状や競技の種類、使用目的などの状況によっては、
図9に示したように、60度よりも小さい角度とすることもできる。このようにすることで、状況に応じた適切な表示が行える。
【0035】
支持体31は、適宜の位置、たとえばグランドの端や、記者などの侵入を阻止する位置など目的に応じて設置する。設置に際しては、連結部材51の固定穴52に固定具を差し込む。このほか、重錘などを連結部材51の上にのせてもよい。
【0036】
そして、支持体31の板状部32に必要な表示シート21を取り付ける。連結部材51における板状部32の表面32cと同じ側の面に表れる部分には、板状部32の表面32cの面ファスナの一方61aと同じ面ファスナの一方64aを備えているので、連結部材51の固定により表示シート21の固定状態が劣化することを抑制できる。表示シート21は板状部32に対してあらかじめ固定しておいてもよい。
【0037】
表示シート21が長大である場合には、
図10に示したように複数の支持体31を連結して使用する。連結は、
図11に示したように、支持体31の屈曲部33の連結穴36に紐等の結束材37を通して結束することで行い、必要数の支持体31を連結する。屈曲部33に連結穴36を有するので、支持体31の上端部で一体化ができ、この状態は連結部材51の固定穴52部分をグランド面に対して固定した時に保持されるので、簡素な構成ながらも良好な連結状態が得られる。
【0038】
このように支持体31は連結して使用できるので、言い換えれば、支持体31が長大になることを防止できる。つまり支持体31を持ち運びしやすい大きさとすることができる。
【0039】
表示シート21は支持体31に対して面ファスナ61を介して着脱可能に取り付ける構成であるので、表示シート21の変更が容易であるとともに、1個の支持体で多様な表示をすることもできる。
【0040】
設置時において、表示シート21はその表示22を見えるように示す。特に連結部材51によって、前述のように板状部32の角度を調整できるので、表示シート21をより見やすくすることが状況に応じてできるので、高い表示機能を発揮できる。
【0041】
一方、表示体11に選手などが衝突した場合には、支持体31と表示シート21が全体的に柔軟に変形するので、十分な緩衝機能を発揮し、選手等を保護することができる。
【0042】
表示体11を使用しないとき、つまり収納や運搬等に際しては、まず、板状部32の表面32c同士が近接する方向に曲げる。
図7に示したように、屈曲部33の裏面が露出して上に突出した形態になって、取手35に手をかけやすい状態となる。
【0043】
つぎに、板状部32の表面32c同士を重ね合わせて、2本の連結部材51で、板状部32の重ね合わせ状態を保持する。つまり、2枚の板状部32の裏面32dに形成された左右一対の面ファスナの一方63aのうち片方側同士に連結部材51の両端部の面ファスナの他方64bを固定して、重ね合わせた板状部32の左右方向の端を拘束する。同様に、左右一対の面ファスナの一方63aのうち他方側同士にも連結部材51の両端部の面ファスナの他方64bを固定する。これによって、2枚の板状部32を重ね合わせた状態が保持できる。
【0044】
持ち運びに際しては取手35に手を入れて持ち上げればよく、板状部32のほとんどの部分は発泡ウレタンで構成されているので軽量である。また連結部材51で板状部32をまとめているので移動中にばたついたりすることも防止できる。このため、持ち運びは容易に行える。
【0045】
取手35は長穴で形成したが、屈曲部33の裏面全体に面ファスナの他方62bを備えているので、取手35の強度を高める効果もあり、面ファスナの他方62bを備えない場合と比較して持ちやすいという効果も得られる。
【0046】
また取手35は屈曲部33に形成したので屈曲部33を有効利用でき、別途に取手を設ける必要がなく無駄がないうえに、屈曲部33の位置ゆえに安定した持ちやすい状態とすることができる。
【0047】
さらに、持ち運びを容易にする形態において、支持体31の板状部32の表面32cが内側に隠れた状態となるので、面ファスナの一方61aを異物の付着から保護できるとともに、表示シート21を取り付けている場合には表示シート21を損傷から保護できる。
【0048】
加えて、表示体の使用時と非使用時の相互間の変形作業は、支持体31が軽量である上に2枚の板状部32が柔軟な屈曲部33を介して一体であるので、容易である。そして使用時と非使用時の形状を保つ連結部材51は帯状で、この連結部材51を面ファスナで固定するだけで良いので、作業性はきわめて良好である。
【0049】
しかも、支持体31の使用時の形態を保持する連結部材51は非使用時の形態を保持することに利用できるとともに、連結部材51自体が柔軟シート材で形成されているので軽く、使用時、非使用時のいずれの場合においても嵩張らない。このため取扱い性が良好である。
【0050】
以下、その他の例について説明する。この説明において、前述の構成と同一または類似する部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0051】
図12は、別体の支持体を長手方向に連結する連結手段の他の例を示す斜視図である。この例の連結手段は、板状部32の左右両側面に備えた面ファスナ65で構成している。つまり、左右方向の両側面に、互いに係止する性質の面ファスナの一方65aと面ファスナの他方65bを備えている。面ファスナの一方65aと面ファスナの他方65bは側面の全面ではなく部分的に備えてもよい。面ファスナの組み合わせは、
図12に示したように支持体31の左右方向の一方側をすべて面ファスナの一方65aとし、他方側をすべて面ファスナの他方65bとするほか、2枚の板状部32においてそれぞれ変えてもよい。
【0052】
この面ファスナ65で構成した連結手段を備えた場合には、支持体31同士を連結する状態に突き合わせるだけで連結できる。
【0053】
図13も連結手段の他の例を示す斜視図である。この例の連結手段は、シート状の連結帯55で構成している。連結帯55は板状部32左右方向の端面同士を当接した状態の板状部32間を覆う大きさの生地で形成され、片面の全体には板状部32表面32cの面ファスナの一方61aに係止する面ファスナの他方66bを、他面の全体には板状部32表面32cの面ファスナの一方61aと同じ面ファスナの一方66aを備えている。
【0054】
この連結帯55で構成した連結手段を備えた場合には、支持体31同士を連結する状態に突き合わせてから連結帯55で隣接する支持体31同士を結合すれば連結できる。
【0055】
図14は、3枚の板状部32を有する支持体31を備えた表示体11の例を示している。3枚の板状部32を有する支持体31は、いずれかの板状部を下にすれば前述のように地面に接地状態にして使用することもできるが、柱状体71等に巻き付けた状態にして使用するのに好適である。
【0056】
支持体31は
図15に示したように3枚の板状部32を共に表面を上にして並べ、これらの表面側の角同士の間を屈曲部33で連結した構成で、基本的な構成は、前述した2枚の板状部32を有した支持体31と同じである。ただし、板状部32が重なり合うように畳んだときに、
図16に示したように、すべての板状部32の表面32cが内側に隠れるように、2個の屈曲部33のうち一個の屈曲部33(33a)の幅を他の屈曲部33(33b)の幅よりも広く形成している。
【0057】
また、連結部材を不要とするため、一方の端に位置して幅広の屈曲部33(33a)を備える板状部32の反屈曲部33側の端面における板状部32の裏面32d側の角に閉鎖帯38を備えている。閉鎖帯38の裏面には面ファスナの他方67bを備え、この面ファスナの他方67bが係止する面ファスナの一方67aを、他方の端に位置して幅狭の屈曲部33(33b)を備える板状部32の反屈曲部33側の端面と幅狭の屈曲部33(33b)の表面に備えている。
【0058】
このように構成した支持体は、使用するときには板状部32を広げて、柱状体71等に巻き付けるようにして、閉鎖帯71を用いて両端の板状部32同士を結合して閉じる。一方、使用しないときには、幅広の屈曲部33(33a)を備える板状部32を、それらの表面32cが内側に向くように折り重ねるとともに、これらの間に他の板状部32を挟み込む。幅広の屈曲部33(33a)を上にすると持ち運び時に持つ部分として使用できる。また幅狭の屈曲部33(33b)の面ファスナの一方67aに閉鎖帯38の面ファスナの他方67bを係合して、3枚の板状部32の重ね合わせ状態を保持する。
【0059】
この発明の構成と、前述の構成との対応において、
この発明の連結手段は、前述の連結穴36、面ファスナ65、連結帯55に対応するも、
この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
【0060】
たとえば、支持体の板状部の枚数は4枚以上としてもよく、屈曲部の形成位置や幅寸法は、板状部の枚数や組み方に応じて適宜設定される。
【0061】
また板状部は、方形以外の形状であってもよい。
【0062】
使用する面ファスナにあっては、雌雄別々のものを一組ものと使用するほか、雌雄同体のものを使用してもよい。
【0063】
板状部と屈曲部は一体成形で形成することもできる。