特許第6189265号(P6189265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189265
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】開閉装置、成形装置および固定盤
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/20 20060101AFI20170821BHJP
   B29C 45/64 20060101ALI20170821BHJP
   B22D 17/20 20060101ALI20170821BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B29C33/20
   B29C45/64
   B22D17/20 Z
   B22D17/26 K
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-164831(P2014-164831)
(22)【出願日】2014年8月13日
(65)【公開番号】特開2016-40112(P2016-40112A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年1月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】橘 田 英 晃
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宜 之
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−112445(JP,A)
【文献】 実開昭59−054152(JP,U)
【文献】 特公昭47−028693(JP,B1)
【文献】 実開平05−053767(JP,U)
【文献】 特開平11−226967(JP,A)
【文献】 実開平07−023520(JP,U)
【文献】 特開2003−184880(JP,A)
【文献】 特開2005−206006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/26
B29C 33/20,45/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の金型が取り付けられる固定盤と、
他方の金型が取り付けられる可動盤と、
一端部がフレーム上に前記可動盤の移動方向に沿って前記固定盤の手前まで延びているガイドレールと、
前記可動盤を支持し、前記ガイドレールに沿って移動可能な案内機構と、を備え、
前記固定盤は、金型取付面側の下部に、勾配をもった面によって障害物を排除する延長部を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記延長部の勾配をもった面は、前記ガイドレールの外側側面または内側側面を延長した面が交差する位置関係にあることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記延長部は、片側または両側にその先端部に向かう前記勾配をもった面を有することを特徴とする請求項1または2に記載の開閉装置。
【請求項4】
フレームと、
前記フレームに固定される固定盤と、
前記固定盤に対向するように配置される可動盤と、
一端部が前記フレーム上に前記可動盤の移動方向に沿って前記固定盤の手前まで延びているガイドレールと、
前記可動盤を支持し、前記ガイドレールに沿って移動可能な案内機構と、を備え、
前記フレームは、前記ガイドレールの一端に対向する位置に、勾配をもった面によって障害物を排除する保護部を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
前記保護部の勾配をもった面は、前記ガイドレールの外側側面または内側側面を延長した面が交差する位置関係にあることを特徴とする請求項4に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記保護部は、片側または両側にその先端部に向かう前記勾配をもった面を有することを特徴とする請求項4または5に記載の開閉装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載した開閉装置を有する成形装置。
【請求項8】
金型取付面側の下部に、勾配をもった面によって障害物を排除する延長部を有することを特徴とする固定盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、射出成形機やダイカストマシン等で用いられる開閉装置、成形装置および固定盤に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機やダイカストマシンなどの成形装置で用いられている型締装置は、固定金型が取り付けられる固定プラテンと、移動金型が取り付けられる移動プラテンと、を備えており、例えば、電動駆動されるトグルリンク機構の屈伸によって、移動プラテンをタイバーに沿って進退動させ、金型の型閉じ、型締めおよび型開を行っている。この種の型締装置では、移動プラテンの直進性の向上を図るため、リニアガイド装置が移動プラテンの案内装置として利用されている。
【0003】
この種のリニアガイド装置では、ガイドレールとリニアガイド装置の間に異物を巻き込み、ガイドレールおよびリニアガイドを破損する虞がある。従来から、リニアガイド装置には、異物の巻き込みを防止するためにガイドレールを覆う蛇腹状のカバーを設けることや、保護部材を設けることが行われている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−112445号公報
【特許文献2】特開2003−184880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
型締装置では、金型交換等の作業を行った後、金型の取り付け/取り外しに用いた工具やボルト、ナットなどの部品を作業員が型締装置に置き忘れることがある。
【0006】
工具や部品等の障害物がガイドレールの周辺に放置されている場合に、作業員がその存在に気づかずに移動プラテンを前進させて型閉じを行うと、固定プラテンとリニアガイド装置の間に障害物を挟み、リニアガイド装置あるいはガイドレールを破損してしまうことがあった。
【0007】
この点、特許文献1、2に記載されている保護部材では、傾斜した面に異物を当てることで、障害物となる異物をガイドレール付近から取り除けるように構成されている。
【0008】
しかしながら、この保護部材は、強度の低いカバーであるため、長期に亘って使用しているうちに変形が生じることが多い。このため、変形によって、異物を取り除くことができなくなったり、レールを傷つけてしまう虞があった。
【0009】
また、保護部材は、レールの形状に合わせて製作されるカバーであるので、カバーの形状が複雑になってしまう欠点がある。
【0010】
本発明は、前記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであって、金型交換に使用した工具や部品等の障害物がガイドレールの周辺に放置されたまま、移動プラテンを前進させて型閉じを行った場合でも、障害物を確実に排除することができ、長期間に亘ってリニアガイド装置やガイドレールの損傷を防止できるようにした開閉装置、成形装置および固定盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明による開閉装置は、一方の金型が取り付けられる固定盤と、他方の金型が取り付けられる可動盤と、一端部がフレーム上に前記可動盤の移動方向に沿って前記固定盤の手前まで延びているガイドレールと、前記可動盤を支持し、前記ガイドレールに沿って移動可能な案内機構と、を備え、前記固定盤は、金型取付面側の下部に、勾配をもった面によって障害物を排除する延長部を有することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明による開閉装置は、フレームと、前記フレームに固定される固定盤と、
前記固定盤に対向するように配置される可動盤と、一端部が前記フレーム上に前記可動盤の移動方向に沿って前記固定盤の手前まで延びているガイドレールと、前記可動盤を支持し、前記ガイドレールに沿って移動可能な案内機構と、を備え、前記フレームは、前記ガイドレールの一端に対向する位置に、勾配をもった面によって障害物を排除する保護部を有することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明による成形装置は、上述した開閉装置を備えることを特徴とするものである。
【0014】
さらに、本発明による固定盤は、下部に金型取付面に張り出す延長部を有することを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による型締装置を示す側面図である。
図2】同型締装置において、第1実施形態による固定盤に設けられた案内機構破損防止のための延長部を示す斜視図である。
図3】ガイドレールの外側に障害物がある場合に、図2の延長部の作用を説明する図である。
図4】ガイドレールの内側に障害物がある場合に、図2の延長部の作用を説明する図である。
図5】第2実施形態によるフレームに設けられた破損防止部を示す側面図である。
図6図5の破損防止部の作用を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明による開閉装置、成形装置および固定盤の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明が適用される射出成形機(成形装置)の型締装置を示す。この図1において、参照番号10は、型締装置の全体を示している。
【0018】
型締装置(開閉装置、型開閉装置)10は、例えば、フレーム11の前方側に固定された固定プラテン(固定盤)12と、フレーム11の後方側に設置されているリンクハウジング(受圧盤)14と、固定プラテン12とリンクハウジング14の間に移動自在に設置されている移動プラテン(可動盤)16と、を備えている。参照番号17は金型を示している。このうち、固定プラテン12には固定金型(金型の一方、金型の他方)18が取り付けられ、移動プラテン16には固定金型18に対向するように移動金型(金型の他方、金型の一方)19が取り付けられている。
【0019】
固定プラテン12とリンクハウジング14とは、複数の(例えば、4本の)タイバー20によって連結されている。移動プラテン16は、タイバー20に沿って前進/後退をすることができる。
【0020】
この実施形態では、型締装置10は、トグルリンク機構22の屈伸によって移動プラテン16を移動させるとともに型締力を発生するトグル式の型締装置として構成されている。
【0021】
図1において、参照番号25はクロスヘッドを示している。クロスヘッド25の中心部には、トグルリンク機構22を駆動するボールネジ機構を構成しているナット部27が設けられている。ナット部27にはボールネジ28が螺合するようになっている。ボールネジ28は、図示されないサーボモータ(駆動装置、駆動部、電動機)によって駆動される。
【0022】
また、トグルリンク機構22では、リンク30の一端はクロスヘッド25に連結され、リンク31の一端はリンクハウジング14に連結され、リンク30、31とリンク32によって上下にトグルリンクが構成されている。リンク32の一端は、移動プラテン16の背面側にあるトグルリンク連結部34に連結されている。このようなトグルリンク機構22によって移動プラテン16の前進/後退が行われ、また型締力が移動プラテン16に伝えられるようになっている。よって、移動プラテン16は、図示されないサーボモータ(駆動装置、駆動部)の駆動によって、前進/後退(前後進)が行われる。
【0023】
本実施形態の型締装置10では、移動プラテン16の重量を支えるとともに、移動プラテン16の直進性を高めて、円滑な型開、型閉を実現するために、次のようなリニアガイド装置(案内装置)40が設けられている。
【0024】
ベース11上の左右両側には、タイバー20と平行にガイドレール41が敷設されており、ガイドレール41の一端部は、固定プラテン12の手前まで延びるようになっている。このガイドレール41に沿って移動可能なリニアガイドとして、リニアガイド42が、移動プラテン16の左右両側下部に取付ブロック43を介して取り付けられている。よって、移動プラテン16は、リニアガイド42に支持されている。
【0025】
ガイドレール41は、略I字形の横断面形状を有する公知のガイドレールである。リニアガイド42は、例えば、複数のリニアガイドブロックを有し、各々のリニアガイドブロックにはそれぞれガイドレール41の転動面にローラあるいは鋼球が転動するリニアベアリングが用いられている。なおリニアベアリングとしては、摺動面に潤滑油を介して摺動するリニアベアリングを用いることも可能である。
【0026】
以上のような型締装置10では、金型交換作業に使用したスパナ、ハンマーなどの工具や、金型の取り付けに使ったボルト、ナット、マツバなどの部品(以下、これらの工具、部品を障害物と総称する。)がガイドレール41の周辺に置きっぱなしに放置されることが稀にある。
【0027】
その場合に、障害物の存在に気づかずに移動プラテン16を前進させて型閉じを行うと、固定プラテン12とリニアガイド42の間に障害物を挟み込み、リニアガイド装置40、より具体的にはリニアガイド42あるいはガイドレール41を破損してしまう虞がある。
【0028】
そこで、本実施形態では、次のような破損防止手段が固定プラテン12に設けられている。
【0029】
図1図2に示されるように、固定プラテン12の金型取付面12a側の左右両側下部には、ガイドレール41の末端に対向するように、ガイドレール41向かって張り出している延長部44が固定プラテン12と一体に設けられている。よって、この実施形態では、固定プラテン12は、金型取付面12a側の下部に、金型取付面12aに(に対して)張り出す延長部44を有している。
【0030】
この延長部44の先端部44aは、ガイドレール41の末端にできるだけ接近した位置まで延びていることが好ましい。また、延長部44の両側には、障害物を排除するために、先端部44aに向かって勾配を有するテーパ面46a、46bを有している。このテーパ面46a、46bは、フレーム11の上面との関係では、この上面から垂直に立ち上がっていることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。なお、この実施形態では、障害物を排除する延長部44の面は勾配が一定のテーパ面として構成されているが、これに限定されるものではなく、先端部44aに向かう勾配をもった曲面として構成することも可能である。
【0031】
図3(a)に示されるように、このような延長部44のテーパ面46a、46bのうち、外側のテーパ面46aに対しては、ガイドレール41の外側側面41aを延長した面が交差する位置関係にあり、テーパ面46aは、先端部44aに向かってガイドレール41の中心線側まで延びるようになっている。
【0032】
同様に、内側のテーパ面46bに対しては、ガイドレール41の内側側面41bを延長した面が交差する位置関係にあり、このテーパ面46bも先端部44aに向かってガイドレール41の中心線側まで延びるようになっている。
【0033】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0034】
型締装置10での金型の交換作業が終わり、射出成形工程を再開したとする。このとき、図3(a)において、固定プラテン12の付近に障害物50を置き忘れ、この障害物50の存在に気づかずに移動プラテン16を固定プラテン12に向かって前進させて型閉じを行なってしまったとする。
【0035】
移動プラテン16とともにリニアガイド42が、ガイドレール41に沿って移動すると、リニアガイド42の先端は障害物50に当たることになる。さらに、リニアガイド42が障害物50を押しながら前進すると、障害物50は、延長部44のテーパ面46aに突き当たる。
【0036】
この実施形態では、延長部44のテーパ面46aは、先端部44aに向かってガイドレール41の中心線側まで延びるようになっているので、障害物50は、リニアガイド42の前進とともにテーパ面46aに必ず押し付けられる。したがって、リニアガイド42によって、さらに障害物50が押されると、図3(b)に示されるように、障害物50は、延長部44の勾配のあるテーパ面46aに沿ってガイドレール41の外側に確実に押し出される。そのため、リニアガイド42の先端と固定プラテン12の間で障害物50を挟み込んでしまい、リニアガイド装置40、より具体的にはリニアガイド42やガイドレール41を破損してしまうような事故を未然に防止することができる。また、延長部44は、固定プラテン12と一体をなす堅牢な構造であるので、変形などはなく長期間に亘ってリニアガイド42やガイドレール41の損傷に役立つ。
【0037】
以上説明した例は、金型交換作業で使った工具などの障害物50をガイドレール41の外側に置き忘れた場合であるが、障害物50をガイドレール41よりも内側に置き忘れるという状況も十分に想定され得る。
【0038】
図4(a)、図4(b)に示されるように、障害物50をガイドレール41の内側に置き忘れ、それに気づかずに型閉じ動作を開始してしまった場合も、障害物50は、リニアガイド42の前進とともに延長部44の内側のテーパ面46bに突き当たり、この勾配の付いたテーパ面46bに沿ってガイドレール41の内側に確実に押し出される。このようにして、障害物50をリニアガイド42と固定プラテン12の間に挟み込んで、リニアガイド装置40、より具体的にはリニアガイド42やガイドレール41を破損させてしまうという事故を未然に防止することができる。
【0039】
なお、以上説明した実施形態では、延長部44の両側にテーパ面46a、46bを設けているが、これに限定されるものではない。延長部44の片側側面だけをテーパ面にすることでも、障害物50を排除することは可能であり、ガイドレール41の近くに障害物50を置き忘れるリスクの程度によっては片側だけでもよい。
【0040】
また、延長部44は、固定プラテン12と一体の構造に限定されるものではなく、固定プラテン12と別の部品として延長部44を製作して、この延長部44を固定プラテン12に取り付けるようにしてもよい。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図5図6を参照して説明する。
【0042】
上述した第1実施形態は、ガイドレール41に向かって固定プラテン12から張り出す延長部44として機能する立体形状を固定プラテン12に設けた実施の形態である。これに対して、第2実施形態は、固定プラテン12ではなくフレーム11上に、延長部44と同様の機能をもつ、ガイドレール41に向かって張り出す立体形状を有する破損防止部(保護部)51が加工された実施の形態である。
【0043】
破損防止部51は、先端部51aに向かって両側に勾配を有するテーパ面52a、52bが形成された形状を有している(している)。先端部51aは、ガイドレール41の末端にできるだけ接近した位置まで延びていることが好ましい。このテーパ面52a、52bは、フレーム11の表面から垂直に立ち上がっていることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。なお、この実施形態では、障害物を排除する破損防止部51の面は勾配が一定のテーパ面として構成されているが、これに限定されるものではなく、先端部に向かう勾配をもった曲面として構成することも可能である。
【0044】
このような破損防止部51のテーパ面52a、52bのうち、外側のテーパ面52aは、ガイドレール41の外側側面41aを延長した面が交差する位置関係にあり、テーパ面52aは、先端部50aに向かってガイドレール41の中心線側まで延びるようになっている。
【0045】
同様に、内側のテーパ面52bは、ガイドレール41の内側側面41bを延長した面が交差する位置関係にあり、このテーパ面52bも先端部44aに向かってガイドレール41の中心線側まで延びるようになっている。
【0046】
以上のように構成される第2実施形態によっても、固定プラテン12の付近に障害物50が残留していることに気づかずに移動プラテン16を固定プラテン12に向かって前進させて型閉じを行なったとしても、第1実施形態と同様に障害物50を排除することができる。
【0047】
図6において、移動プラテン16とともにリニアガイド42が、ガイドレール41に沿って移動すると、リニアガイド42は障害物50を押しながら前進し、障害物50を破損防止部51のテーパ面52aに突き当てる。
【0048】
この第2実施形態においても、破損防止部51のテーパ面52aは、先端部51aに向かってガイドレール41の中心線側まで延びるようになっているので、障害物50は、リニアガイド42の前進とともにテーパ面52aに必ず押し付けられる。したがって、障害物50は、勾配のあるテーパ面52aに沿ってガイドレール41の外側に確実に押し出される。そのため、リニアガイド42の先端と固定プラテン12の間で障害物50を挟み込んでしまい、リニアガイド装置40、より具体的にはリニアガイド42やガイドレール41を破損させてしまうような事故を未然に防止することができる。また、破損防止部51は、フレーム11と一体をなす堅牢な構造であるので、変形などはなく長期間に亘ってリニアガイド42やガイドレール41の損傷に役立つ。
【0049】
なお、障害物50を外側ではなくガイドレール41の内側に置き忘れ、それに気づかずに型閉じ動作を開始してしまった場合でも、障害物50は、リニアガイド42の前進とともに破損防止部51の内側のテーパ面52bに突き当たり、この勾配の付いたテーパ面52bに沿ってガイドレール41の内側に確実に押し出されることは第1実施形態と同様である。
【0050】
なお、以上説明した第2実施形態では、破損防止部51の両側にテーパ面52a、52bを設けているが、これに限定されるものではない。破損防止部51の片側側面だけをテーパ面にすることでも、障害物50を排除することは可能であり、ガイドレール41の近くに障害物50を置き忘れるリスクの程度によっては片側だけでもよい。
【0051】
また、破損防止部51は、フレーム11を加工した一体の構造に限定されるものではなく、フレーム11とは別の部品として破損防止部51を製作して、この破損防止部51をフレーム11に取り付けるようにしてもよい。
【0052】
以上、本発明に係る開閉装置について、射出成形機に適用した実施形態を挙げて説明したが、本発明は、射出成形機だけでなく、ダイカストマシン、トランスファー成形機、プレス成形機などの成形装置に用いられる開閉装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…型締装置(開閉装置)、12…固定プラテン(固定盤)、14…リンクハウジング、16…移動プラテン(可動盤)、17…金型、18…固定金型、19…移動金型、20…タイバー、22…トグルリンク機構、25…クロスヘッド、27…ナット部、28…ボールネジ、34…トグルリンク連結部、40…リニアガイド装置(案内装置)、41…ガイドレール、42…リニアガイド、43…取付ブロック、44…延長部、46a、46b…テーパ面、50…障害物、51…破損防止部、52a、52b…テーパ面
図1
図2
図3
図4
図5
図6