特許第6189285号(P6189285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189285
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】自動車の複合材料および構造部材
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20170821BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B32B15/08 105Z
   B62D25/20 G
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-500359(P2014-500359)
(86)(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公表番号】特表2014-509971(P2014-509971A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2012054940
(87)【国際公開番号】WO2012126923
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】102011015071.4
(32)【優先日】2011年3月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510041496
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel Europe AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】オリバー クレインシュミット
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クラウケ
(72)【発明者】
【氏名】トルステン ベガー
(72)【発明者】
【氏名】インゴ ログナー
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ヘニング
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ フィルタウト
(72)【発明者】
【氏名】ロタール パットバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン マイヤー
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−227935(JP,A)
【文献】 特開平09−011400(JP,A)
【文献】 特開昭57−070648(JP,A)
【文献】 特開2001−200167(JP,A)
【文献】 特開平08−309926(JP,A)
【文献】 特開2010−069766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/08
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの金属層(2、3)および少なくとも1つの繊維強化プラスチック層(4、4’、7、11、13、15)を含む構造部材(20)を製造するための、重ね合わせた平坦層の積層材の形態の複合材料(1、6、8、10、12、14、16、18)であって、前記繊維強化プラスチック層(4、4’、7、11、13、15)はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドおよび/またはこれらの混合物に基づくマトリックスを有し、前記金属層(2、3)は最大で前記繊維強化プラスチック層の引張強さに相当する引張強さを有し、少なくとも1つのポリアミドベース、ポリプロピレンベース、ポリエチレンベース、またはこれらの混合物ベースの繊維を含まないプラスチック層(5、5’)が設けられ、前記少なくとも1つの繊維を含まないプラスチック層(5、5’)は前記繊維強化プラスチック層(4、4’、7、11、13、15)以上の厚さを有することを特徴とする、複合材料。
【請求項2】
前記少なくとも1つの繊維強化プラスチック層(4、4’、7、11、13、15)の前記マトリックスおよび/または前記少なくとも1つの繊維を含まないプラスチック層(5、5’)はポリエチレンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記少なくとも1つの繊維強化プラスチック層(4、4’、7、11、13、15)の前記マトリックスおよび/または前記少なくとも1つの繊維を含まないプラスチック層(5、5’)はスチレン無水マレイン酸(SMA)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記複合材料の前記少なくとも1つの繊維強化プラスチック層(4、4’、7、11、13、15)における繊維の比率は、5体積%〜40体積%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料。
【請求項5】
前記少なくとも1つの繊維強化プラスチック層(4、4’、7、11、13、15)はガラス繊維およびホウ素繊維などの無機繊維、炭素繊維およびタンパク質繊維などの有機繊維、ならびに/またはアラミド繊維およびポリエチレン繊維などのプラスチック繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の複合材料。
【請求項6】
前記少なくとも1つの繊維強化プラスチック層(4、4’、7、15)の繊維がレイドファブリック、編物もしくは織物、または一方向層として存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の複合材料。
【請求項7】
前記少なくとも1つの金属層(2、3)は鋼またはアルミニウム材料で作られていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の複合材料。
【請求項8】
前記少なくとも1つの金属層(2、3)は450MPa未満の引張強さを有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の複合材料。
【請求項9】
前記少なくとも1つの金属層(2、3)は0.1mm〜1mmの厚さを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の複合材料。
【請求項10】
前記少なくとも1つの金属層(2、3)は陥凹部、凹部および/または開口部を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の複合材料。
【請求項11】
前記少なくとも1つの金属層(2、3)は前記複合材料に対して最大50体積%の比率を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の複合材料。
【請求項12】
前記複合材料(1、6、8、10、12、14、16、18)は0.5mm〜4.0mmの層厚みを有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の複合材料。
【請求項13】
一方の側で前記繊維強化または繊維を含まないプラスチック層(4、4’、5、5’、7、11、13、15)に隣接し、もう一方の側で前記少なくとも1つの金属層(2、3)に隣接し、特に0.01mm〜0.05mmの厚さを持つ接着促進層(17)が設けられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の複合材料。
【請求項14】
複合材料から作られる構造部材(20)であって、前記複合材料は請求項1〜13のいずれかに記載の複合材料(1、6、8、10、12、14、16、18)であることを特徴とする、構造部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形によって特に自動車用の構造部材を製造するための、少なくとも1つの金属層および少なくとも1つの繊維強化プラスチック層を含む、重ね合わせた平坦層で作られた積層材の形態の複合材料に関する。本発明は、そうした複合材料から作られた構造部材をさらに含む。
【背景技術】
【0002】
様々な用途において、部材強度を失うことなく低重量を有する部材が必要とされている。特許文献1には、複合材料と、それから作られた、2つの金属カバー層を有してその間に繊維強化プラスチック層が設けられた構造部材とが開示されている。さらに特許文献2には、金属の層および繊維強化プラスチック層を含む車体部材が開示されている。
【0003】
自動車の製造では、軽量化および部材強度の両方が大きな重要性を有する。したがって、安全性の理由から、適切な運転中には部材の破損が回避され、衝突の際には、高荷重を吸収するかまたは散逸させることができることを確かなものにしなければならない。一方、特に自動車産業では、高い原価意識があるため構造部材を安価で製造する必要がある。こうした要求を実現するには、既知の複合材料に関する最適化がさらに必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第600 11 917(T2)号
【特許文献2】独国特許出願公開第102 21 582(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって本発明は、コストを抑えながら、第1に重量の軽量化と第2に構造部材の強度および/または剛性の増加とを達成できるように、最初に引用し上述した複合材料および構造部材を構築して精製するという目的に基づく。
【0006】
上掲の目的は、繊維強化プラスチック層がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドおよび/またはこれらの混合物に基づくマトリックスを有するという、請求項1の前提部に記載の複合材料により達成される。
【0007】
さらに、上掲の目的は、複合材料が請求項1〜14のいずれかによる複合材料であるという、請求項15に記載の構造部材によっても達成される。
【0008】
本発明は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドおよび/またはこれらの混合物に基づく繊維強化プラスチック層のマトリックスの使用により、第1に重量の軽量化と第2に強度および/または剛性の増加とに関して、複合材料または構造部材の材料特性が驚くほど経済的に影響を受け得ることを見出した。この繊維強化プラスチック層は、第1に低コストで製造することができ、第2に高い強度および/または剛性を可能にするため、金属の層の強度および/または剛性の要件が緩和される。したがって金属の層は、層厚みが薄い安価な金属から形成することができる。全体的に見ると、より好ましい繊維強化プラスチック層を有する複合材料と比較しても、結果として、複合材料のコスト削減、したがって構造部材のコスト削減になる。
【0009】
本複合材料または構造部材のさらなる利点は、これにコーティング、特に陰極浸漬コーティングを施すことができるということである。
【0010】
本発明の意味における複合材料は、重ね合わせた平坦層により形成される積層材である。層は好ましくは、一定または少なくとも均一な層厚みを有する。好ましくは、構造部材は成形により複合材料から製造される。
【0011】
構造部材は主に、たとえばシャーシ部材、床下部品、床板、フロアアセンブリ、ドアインパクトキャリア、ルーフレインフォースメント、窓枠補強材、バンパー、Aピラー、Bピラーおよび/またはCピラーの補強材、Aピラー、Bピラーおよび/またはCピラー自体、ダッシュボードキャリア、バッテリーハウジング、タンクコンテナ、水リザーバ、スペアタイヤウェル等である。また構造部材は、主として自動車の適切な運転の際の支援機能を有さない場合でも、必要に応じて自動車の見える外郭の部品であってもよい。しかしながら、構造部材は、特にその材料特性のため、支援機能を有する、ならびに/または、衝突が起きた場合に車に作用する力を吸収および/または散逸させる部材である。サスペンション部品は特に、クロスメンバ、サブフレーム、コントロールアーム、ピボット軸受、アンチロールバー、エンジンクロスメンバ、トーションビームアクスル、タイヤガイドモジュールおよび/またはタイヤホルダである。シャーシ部品は一般に、自動車のシャーシまたは運転性と機能的に関連する、したがって自動車の安全要件と機能的に関連する部材である。また、この文脈における自動車は、商用車、たとえば貨物車、バスおよびトラクタであってもよい。さらに鉄道車両も含まれ、航空産業および航空宇宙産業における用途も同様である。
【0012】
複合材料または対応する構造部材の用途は、建築物、たとえばエレベータのみならず、再生可能エネルギー、たとえば風力およびソーラーヒーティングの開発のためのプラントにもあり得る。原則として、質量が移動し、高い強度および/または剛性と共に重量を減少させなければならないすべての用途が考えられる。
【0013】
好ましくは金属の層が外層として設けられる。これは、衝撃、温度上昇等の外部からの好ましくない作用から繊維強化プラスチックを保護し得るためである。構造部材中で可能な限り均等または対称的に力が発生し得るように、あるいは、両側からの外部作用から繊維強化プラスチックを保護できるように、2つの金属の層を設けてもよく、その場合これらを好ましくは複合材の外層として設ける。外層はまた、複合材料の構造部材への成形に好ましい影響を与え得る。複数の金属の層を使用する際は、前記の理由および製造上の理由から、複数の金属の層は、同じ厚さおよび/または同じ材料を含む場合に、好適である。
【0014】
また、繊維強化プラスチック層が低い伸び率でも機能しなくなった場合、1つの金属の層または複数の金属の層が、安全機能を発揮し、構造部材の全体の破損を防止することもできる。
【0015】
複合材料の第1の好ましい実施形態では、少なくとも1つの繊維を含まないプラスチック層がさらに設けられる。これは、より高い伸び率を許容し、適切な場合には全体の破損を阻止することができるように形成することができる。その代わりに、またはそれに加えて、繊維を含まないプラスチック層は、圧縮力を吸収するのに役立つことがある。原則として、少なくとも1つの繊維を含まないプラスチック層も、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミドまたはこれらの混合物に基づく場合に、好適である。これは、複合材料の特性の改善、および/または繊維強化プラスチック層と繊維を含まないプラスチック層とが好ましいように相互に隣接して設けられた場合に、これらの間の接着または連結の改善につながる。特に、繊維を含まないプラスチック層のプラスチックおよび繊維強化プラスチック層のマトリックスは、類似している、あるいはさらに同一である場合に、好ましい。
【0016】
好ましいポリアミドベースの繊維強化プラスチック層のマトリックスおよび/または繊維を含まないプラスチック層は、好ましくはポリエチレン(PE)を含んでもよい。ポリアミド(PA)およびポリエチレンは、その後別々の層を形成しない。むしろ前記プラスチックはブレンドを形成する。ポリエチレンは、特にその温度依存特性のため、作業性、特に複合材料の成形性を向上させる。プラスチックマトリックスまたはプラスチック層におけるポリエチレンの比率は、3重量%〜40重量%、好ましくは5重量%〜20重量%であってもよい。
【0017】
その代わりに、またはそれに加えて、プラスチック層のマトリックスおよび/または繊維を含まないプラスチック層は、対応する層の接着特性を向上させるためスチレン無水マレイン酸(SMA)を含んでもよい。これは、特にポリアミドに接着特性を抑制するポリエチレンなどの追加成分を加える場合に当てはまる。接着に関しては、特に金属の層の接着は、問題となることがある。スチレン無水マレイン酸の添加によりさらに、ポリアミド中の追加成分の脱混合、およびそれによるより均等な分布が改善され得る。これは、特にポリエチレンの添加において該当する。プラスチック層のプラスチックマトリックス中のスチレン無水マレイン酸の比率は、0.5重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%であってもよい。
【0018】
少なくとも1つの繊維強化プラスチック層の繊維の比率は、複合材料の十分な強度、剛性および/または加工性を達成するため、繊維強化プラスチック層に対して最大65体積%、および複合材料に対しては5体積%〜40体積%、好ましくは5体積%〜20体積%、特に5体積%〜15体積%であってもよい。
【0019】
繊維強化プラスチック層の繊維は無機繊維、有機繊維および/またはプラスチック繊維であり、すなわち所望の特性によって異なる。無機繊維は、好ましくはガラス繊維、ホウ素繊維および玄武岩繊維であってもよく、一方、有機繊維は、特に炭素繊維およびタンパク質繊維であってもよい。プラスチック繊維はアラミド繊維でも、またポリエチレン繊維でもよい。
【0020】
加えて、複合材料または構造部材の特性は、繊維強化プラスチック層のマトリックス中の繊維の配列の様式により決定してもよい。原則として配列は、等方性でも、また異方性でもよく、引張強さが等方性であるか、または異方性であるかどうかによって異なる。繊維は、何ら根拠なく分布していても、または規則正しく分布していてもよく、好ましくは繊維強化プラスチック層中にレイドファブリック、編物もしくは織物またはフリースおよび/または一方向層として分布していてもよい。特に一方向層では、構造部材、特に引っ張り応力を加えられた部材の最大引張強さは、繊維の優先方向で決定され得る。また、特に複合構造部材は、繊維が一方向に配向され、かつ、ひだが繊維の配向に実質的に平行に走る場合、成形により難なく製造することができる。
【0021】
材料特性およびコストのため、少なくとも1つの金属層は、鋼、たとえば炭素鋼もしくはステンレス鋼、またはアルミニウム材料で作られた場合に、好適である。アルミニウムは、コストではなく重量のため、鋼より好ましい。
【0022】
繊維強化プラスチック層の高い引張強さのため、金属層は、最大で繊維強化プラスチック層の引張強さに相当する引張強さを有し、特に最大700MPa、好ましくは最大650MPa、特に好ましくは450MPa未満であれば、十分である。金属の層の引張強さの要求値が低いほど、より経済的な金属が好適になる。この文脈では、鋼質DX56、HX220BD、HC340LAおよびHCT600Xが好ましい場合がある。
【0023】
繊維強化プラスチック層の高い引張強さのため、その代わりに、またはそれに加えて、0.1mm〜1mmの厚さ、好ましくは最大0.75mmの厚さを有してもよい非常に薄い金属層を設けることができる。
【0024】
金属の節約、さらにそれによる重量および/またはコストの削減のため、少なくとも1つの金属層は、陥凹部、凹部および/または開口部を有してもよい。その場合これらは、金属層全体に配置され、好ましくは均等に分布される。
【0025】
あるいは、金属の節約、さらにそれによる重量および/またはコストの削減のため、少なくとも1つの金属層は、複合材料に対して最大50体積%の比率を有してもよい。その代わりに、またはそれに加えて、複合材料の断面積が、最大50%の金属比率を有するようにしてもよい。
【0026】
複合材料の重量およびコストを全体として低く維持するため、複合材料の全体の厚さは、0.5mm〜4.0mm、特に1.0mm〜3.0mmであってもよい。
【0027】
複合材料の金属とプラスチックとの間の接着の改善は、特に0.01mm〜0.05mmの厚さの付着促進剤が、第1に繊維強化プラスチック層または繊維を含まないプラスチック層に隣接し、第2に少なくとも1つの金属層に隣接して設けられる場合に、達成することができる。
【0028】
以下に記載する実施例において本発明の利点を例として示す。
【実施例1】
【0029】
厚さt=0.25mmの2つの金属の外層、金属の層に隣接する厚さt=0.25mmの2つの繊維強化プラスチック層、および厚さt=0.5mmの中間の繊維を含まないプラスチック層を含む複合材料の引張強さは、理論的には表1に記載した金属の層の断面積比(混合式)から得られ、表2に示す引張強さRが得られる。
【0030】
繊維強化プラスチック層は、ポリアミドマトリックス、および相互に直角に通る炭素繊維ファブリックを有し、45体積%の繊維比率を有する。繊維強化プラスチック層の引張強さおよび密度は、R=785MPaおよびρ=1.43g/cmである。繊維を含まないポリアミドのプラスチック層の引張強さは、計算の際に考慮していない。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【実施例2】
【0033】
2つの金属の外層、中間のポリアミドベースの繊維強化プラスチック層、および金属の層の間の2つのポリアミドベースの繊維フリーのプラスチック層を含む層厚みt=1.5mmの複合材料では、理論的には表3および4に示した引張強さが、第1に個々の金属の層の層厚みtMSおよび第2に繊維強化プラスチック層の層厚みtFKに応じて得られる。金属の層および繊維強化プラスチック層の材料は、実施例1のそれに対応する。繊維を含まないポリアミドのプラスチック層の引張強さは、計算の際に考慮していない。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
次に本発明について、単なる例示である実施形態を示す図面を参照しながら下記に説明する。図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による複合材料の実施形態例の層構造を図示する。
図2】本発明による複合材料の実施形態例の層構造を図示する。
図3】本発明による複合材料の実施形態例の層構造を図示する。
図4】本発明による複合材料の実施形態例の層構造を図示する。
図5】本発明による複合材料の実施形態例の層構造を図示する。
図6】本発明による複合材料の実施形態例の層構造を図示する。
図7】本発明による複合材料の実施形態例の層構造を図示する。
図8】本発明による複合材料の実施形態例の層構造を図示する。
図9】本発明による構造部材の実施形態例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、外側カバー層として2つの金属の外層2、3を有する複合材料1の層構造を示す。繊維ファブリックが中に入れられたポリアミドベースのマトリックスで作られた繊維強化プラスチック層4、4’が金属の層2、3に隣接する。繊維を含まないプラスチック層5の形態のコア層は、繊維強化プラスチック層4、4’で囲まれている。
【0039】
図2は、外側カバー層として2つの金属の外層2、3を有する複合材料6の層構造を示す。この実施形態の例では、2つの繊維を含まないプラスチック層5、5’が金属の層2、3に隣接し、さらに繊維強化プラスチック層7の両側に隣接する。繊維強化プラスチック層7は、ポリアミドマトリックスおよび炭素繊維が相互に直角に通っているファブリックを有し、45体積%の繊維比率を有する。繊維強化プラスチック層の引張強さおよび密度は、R=785MPaおよびρ=1.43g/cmである。
【0040】
図3は、外側カバー層として2つの金属の外層2、3を有する複合材料8の層構造を示す。この実施形態の例では、2つの繊維を含まないプラスチック層5、5’が金属の層2、3に隣接し、さらに繊維強化プラスチック層4の両側に隣接する。繊維強化プラスチック層4は、この場合、繊維ファブリックを含むポリアミドベースのマトリックスにより形成される。
【0041】
図4は、外側カバー層として2つの金属の外層2、3を含む複合材料10の層構造を示す。2つの外側カバー層の間に繊維強化プラスチック11のコア層がある。マトリックスは、短繊維を優先方向に配向して分布させたポリアミドベースのプラスチックからなる。
【0042】
図5は、外側カバー層として2つの金属の外層2、3を有する複合材料12の層構造を示す。2つの外側カバー層の間に繊維強化プラスチック13のコア層がある。マトリックスは、繊維を当てずっぽうに分布させて供給したポリアミドベースのプラスチックからなる。
【0043】
図6は、外側カバー層として2つの金属の外層2、3を有する複合材料14の層構造を示す。2つの外側カバー層の間に、繊維強化プラスチック15の3つの別々の相互に付着した層からなるコア層がある。繊維強化プラスチック15の各層は、ポリアミドベースのマトリックスと繊維材料の種類および配置とに関し、同一に構築しても、また別々に構築してもよい。
【0044】
図7は、実施例1による複合材料16の層構造を示す。外側カバー層は、同一の金属の層2、3により形成され、各々が0.25mmの層厚みを有する。外側カバー層の内側には、付着促進剤17を介して金属の層に結合された、やはり各々が0.25mmの層厚みを有する繊維強化プラスチック層7、7’が配置される。繊維強化プラスチック層7、7’は、この場合、ポリアミドマトリックス、および炭素繊維が相互に直角に通っているファブリックを有し、45体積%の繊維比率を有する。繊維強化プラスチック層7、7’の引張強さおよび密度は、R=785MPaおよびρ=1.43g/cmである。コア層は、0.5mm厚の繊維を含まないポリアミド層5により形成される。繊維強化プラスチック層7、7’および繊維を含まないプラスチック層5のプラスチックは、完全には同一でなくても、同じであるため、プラスチック層5、7、7’は、付着促進剤を使用せずに相互に付着する。
【0045】
図8は、実施例2による複合材料18の層構造を示す。外側カバー層は、同一の金属の層2、3により形成され、各々が0.5mmまたは0.75mmの層厚みを有する。外側カバー層の内側には、付着促進剤を使用せずに金属の層2、3に付着する、繊維を含まないポリアミド層5、5’がある。コア層は、繊維強化されたポリアミドベースのプラスチック層7により形成される。繊維強化プラスチック層7は、ポリアミドマトリックス、および炭素繊維が相互に直角に通っているファブリックを有し、45体積%の繊維比率を有する。繊維強化プラスチック層7の引張強さおよび密度は、R=785MPaおよびρ=1.43g/cmである。繊維強化プラスチック層7および繊維を含まないプラスチック層5、5’のプラスチックは、完全には同一でなくても、同じであるため、各プラスチック層は、付着促進剤を使用せずに相互に付着する。
【0046】
図9は、上述のタイプの複合材料から成形により製造された構造部材20を示す。この場合、これはトンネル補強である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9