【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明は、同じエンジンクラスに属し、その技術的条件に応じて時間とともに変化する要素によって形成されるヘリコプタエンジンの整備、エンジン間での部品の標準的交換、および異なる部品との部品の交換を指示するためのシステムにおいて、
・作業用データを保存する集中データベースであって、その作業用データは、
〇エンジンのそれぞれについて1つまたは複数の運転条件指標の履歴を記述する、運転条件と、
〇エンジンの可能な変更および承認済み変更と、
〇運転条件指標の所定値によるエンジンのための整備計画の定義と、
〇可能な変更および承認済み変更に関係するデータならびに運転条件データによる予定外の事象の推定原因の記述と、
〇エンジンのそれぞれに適用された整備作業の性質および履歴を記述する、適用済み整備と、
〇エンジンのそれぞれに適用された構成変更の性質および履歴を記述する、事例化構成とに関係する、集中データベースと、
・エンジンのそれぞれについて運転条件指標を取得し、各エンジンの指標の取得した値に応じて運転条件データを更新するための手段と、
・データベース中の作業用データに応じてエンジンのそれぞれに適用すべき整備作業を識別するための手段と、
・識別された行うべき各整備作業について連続アラームを生成するための手段と、
・エンジンのそれぞれに適用された各整備作業に従って適用済み整備データおよび事例化構成データをデジタル署名して更新するための手段と、
・少なくともアラームに関連する識別された適用済み整備作業から結果として生じるデータのデジタル署名された更新が実行される場合、始動されたアラームを停止するための手段とを含む、システムを目的とする。
【0010】
「作業用運転条件データ」は、エンジンが飛行中にまたは地上で動作中にそれを受け、エンジンを補修する決定がそれに基づいて行われる条件を記述する客観的データを意味する。実例として、運転条件データの1つは、ヘリコプタの飛行時間数であり、ヘリコプタエンジンの分解修理は、例えば3,000飛行時間ごとに行われる。
【0011】
「可能なエンジン変更に関係する作業用データ」は、同じクラスに属するエンジンについて可能であるすべての変更または構成を記述するデータを示す。
【0012】
「承認済みエンジン変更に関係する作業用データ」は、同じクラスに属するエンジンの可能な構成の中から承認されたまたは「航行可能な」すべての構成を記述するデータを示す。
【0013】
「作業用整備計画定義データ」は、エンジンの運転条件指標の値に基づいて、それらの特定構成から独立に、同じクラスのエンジンについて予想通りに引き起こされるすべての整備を記述するデータを示す。
【0014】
「予定外の事象の推定原因の記述の作業用データ」は、エンジンに生じる予定外の事象、特に故障の、好ましくは関連する確率とともに、推定原因を記述するデータを示す。
【0015】
「整備作業」はここでは、どんな性質のエンジンについても取られるアクションを示す。整備作業は、エンジン故障支援および修理、設定、分解修理、制御、ならびに点検のアクションを集める。
【0016】
「適用済み整備に関係する作業用データ」はここでは、エンジンについて実施されたすべての整備作業を記述するデータを示す。
【0017】
「事例化構成に関係する作業用データ」はここでは、例えば製作者による変更指示の後の構成変更に続くエンジンの特定構成を記述するデータを示す。
【0018】
最初に、本発明によるシステムは、同じクラスに属するすべてのエンジンのすべてのデータをプロットし、それは、各エンジンの特定の追跡を可能にする。
【0019】
さらに、特定のエンジンに関連するすべてのデータは、「電子的エンジン日誌(Electronic Engine Logbook)」を形成し、それは、エンジンに適用されたすべての整備作業の履歴、運転条件作業用データ、ならびにその特定構成を含み、手書きエンジン日誌を置き換える。飛行指標の分析、ならびに整備指示はそれ故に、エンジンに適用されたすべての整備作業の履歴、飛行中または地上での動作条件ならびにすべての構成の履歴を含むこれらのデータに基づいて行われ、そのことはそれ故に、ヘリコプタエンジンの整備の複雑性を考慮に入れることを可能にする。さらに、データの履歴はまた、傾向分析を実施することを可能にし、それ故に特に整備計画の定義および予定外の事象の原因の定義のデータを訂正しかつ/または改善することを可能にする。
【0020】
したがって、本システムは、アラーム始動/停止システムを実装する。アラームは、少なくともエンジンにすぐに行うべき各整備作業について始動される。アラームの使用は、整備作業をエンジンに行うべきであると整備作業者に警告することだけでなく、とりわけ作業者にデータベースを更新させることも目的とし、そのことは、データベース中のデータが常に完全で、関連のあることを確実にする。より具体的には、本発明によるシステムは、紙の整備日誌の役割を担い、それは、整備作業者にシステムを必ず使用させ、それ故にそれを更新させる。技術的アラーム管理およびシステムの使用の法的義務の組合せはそれ故に、完全なデータベースの技術的効果を提供する。
【0021】
本システムの変形形態によると、アラームはまた、データの更新による停止の対応する手順が実行されていない限り、アラームが始動されたエンジンに対するシステムへのどんなアクションも阻止する。
【0022】
本発明はまた、同じエンジンクラスに属し、その技術的条件に応じて時間とともに変化する要素によって形成されるヘリコプタエンジンの整備、エンジン間での部品の標準的交換、および異なる部品との部品の交換を指示する方法において、
・作業用データを保存するステップであって、その作業用データは、
〇エンジンのそれぞれについて1つまたは複数の運転条件指標の履歴を記述する、運転条件と、
〇エンジンの可能な変更および承認済み変更と、
〇運転条件指標の所定値によるエンジンのための整備計画の定義と、
〇可能な変更および承認済み変更に関係するデータならびに運転条件データによる予定外の事象の推定原因の記述と、
〇エンジンのそれぞれに適用された整備作業の性質および履歴を記述する、適用済み整備と、
〇エンジンのそれぞれに適用された構成変更の性質および履歴を記述する、事例化構成とに関係する、ステップと、
・エンジンのそれぞれについて運転条件指標を取得し、各エンジンの指標の取得した値に応じて運転条件データを更新するステップと、
・データベース中の作業用データに応じてエンジンのそれぞれに適用すべき整備作業を識別するステップと、
・識別された行うべき各整備作業について連続アラームを生成するステップと、
・エンジンのそれぞれに適用された各整備作業に従って適用済み整備データおよび事例化構成データをデジタル署名して更新するステップと、
・少なくともアラームに関連する識別された適用済み整備作業から結果として生じるデータのデジタル署名された更新が実行される場合、始動されたアラームを停止するステップとを含む、方法も目的とする。
【0023】
本発明は、付随する図面との関連で例としてだけ提供される次の説明を読むことでより良く理解されることになる。