特許第6189295号(P6189295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6189295羽根の前縁の保護用の補強材を作製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189295
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】羽根の前縁の保護用の補強材を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/12 20160101AFI20170821BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20170821BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20170821BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20170821BHJP
   C23C 4/06 20160101ALI20170821BHJP
   C23C 24/04 20060101ALI20170821BHJP
   B05D 1/08 20060101ALI20170821BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20170821BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20170821BHJP
   B64C 11/26 20060101ALI20170821BHJP
   B64C 27/473 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   C23C4/12
   F02C7/00 D
   F01D5/28
   F02C7/00 C
   F01D25/00 L
   C23C4/06
   C23C24/04
   B05D1/08
   B05D7/24 302A
   B05D7/00 K
   B64C11/26
   B64C27/473
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-524434(P2014-524434)
(86)(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公表番号】特表2014-532112(P2014-532112A)
(43)【公表日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】FR2012051878
(87)【国際公開番号】WO2013021141
(87)【国際公開日】20130214
【審査請求日】2015年7月16日
(31)【優先権主張番号】1157278
(32)【優先日】2011年8月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デュドン,ロラン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】アラント,アントニオ・クレミルド
【審査官】 祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/021141(WO,A1)
【文献】 特開2005−273015(JP,A)
【文献】 特開2011−117446(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0197152(US,A1)
【文献】 特開昭62−165506(JP,A)
【文献】 特開昭62−113802(JP,A)
【文献】 特開平04−032546(JP,A)
【文献】 特開平02−230902(JP,A)
【文献】 特開2006−124830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 4/00−6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁(16)、後縁(18)、および2つの側面(11、13)を有する羽根(12)の前縁(16)の保護用の補強材(30)を作製する方法であって、補強材(30)は、圧縮状態の補強材(30)を形成する圧縮溶射によって金属コーティング(32)を前縁(16)に堆積させることによって作製されることを特徴とし、
圧縮溶射ステップの前に、羽根(12)の前縁(16)の両側に少なくとも1つの長手方向溝(41、43)が形成され、金属コーティングはこれらの溝(41、43)内に堆積され
補強材(30)が、U字形であり、2つの側面(11、13)それぞれに位置する2つの側方フランジ(35、37)がそれぞれ伸びる基部(39)を有し、
側方フランジ(35、37)がそれぞれ、最初は、後縁(18)に向かって徐々に薄くなって、側方フランジ(35、37)の端部に向かって次第に厚くなる形状を有し、
フランジ(35、37)が、溝(41、43)内で最大厚さを有し、溝(41、43)から上流側で最小厚さを有する、方法。
【請求項2】
下流側では、各溝(41、43)が、段差(47)によって羽根(12)の各側面(11、13)に画定され、段差(47)が、衝突が生じた場合に補強材(30)と当接し、したがって羽根(12)上で補強材が滑るのを防ぐ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属コーティングが、Ni、Al、もしくはTi製であるか、Ni基、Co基、Al基、もしくはTi基の合金製であるか、またはサーメット製である、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
補強材(30)の厚さが、0.5mm〜20mmである、請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
接着下層(50)が、金属コーティング(32)を堆積させる前に、前縁(16)上に堆積される、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
金属箔(60)が、金属コーティング(32)を堆積させる前に、前縁(16)上に固定される、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前縁(16)、後縁(18)、および2つの側面を有する羽根(12)であって、
前縁(16)は、圧縮状態の補強材(30)を形成する圧縮溶射によって金属コーティングで形成された補強材(30)によって保護され、
補強材(30)は、圧縮状態であり、
前縁(16)の両側に少なくとも1つの長手方向溝(41、43)を有し、これらの溝は金属コーティングで満たされており、
補強材(30)が、U字形であり、2つの側面(11、13)それぞれに位置する2つの側方フランジ(35、37)が伸びる基部(39)を有し、
側方フランジ(35、37)がそれぞれ、最初は、後縁(18)に向かって徐々に薄くなって、側方フランジ(35、37)の端部に向かって次第に厚くなる形状を有し、
フランジ(35、37)が、溝(41、43)内で最大厚さを有し、溝(41、43)から上流側で最小厚さを有する、羽根
【請求項8】
有機マトリックス複合材料製の羽根(12)である、請求項7に記載の羽根
【請求項9】
タービンエンジン、ヘリコプタ、またはプロペラの羽根(12)である、請求項8に記載の羽根
【請求項10】
前記金属コーティング(32)が、Ni、Al、もしくはTi製であるか、Ni基、Co基、Al基、もしくはTi基の合金製であるか、またはサーメット製である、請求項7〜請求項8のうちのいずれか1項に記載の羽根
【請求項11】
補強材(30)の厚さが、0.5mm〜20mmである、請求項7〜請求項10のうちのいずれか1項に記載の羽根
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根の前縁用保護補強材を作製する方法に関し、さらにこの補強材により保護された羽根に関する。例えば、羽根は、タービンエンジン、ヘリコプタまたはプロペラの羽根としてよい。
【背景技術】
【0002】
航空分野においては、特に、航空機ターボジェットの分野においては、ターボジェットの構成要素の重量を低減することが常に重要な課題である。このことから、有機マトリックス複合材料製の羽根であるファンブレードまたは案内羽根が開発されてきた。このような複合材羽根は金属羽根より軽い。
【0003】
しかし、このような複合材羽根の前縁は、腐食や起こりうる衝突(鳥、砂利、氷、砂など)の影響を非常に受けやすいので、保護なしに使用するのには適さない。そのため、以下のいずれかを用いて前縁を保護することが知られている:
前縁に貼り付けられる金属補強片
前縁に塗布される耐腐食性塗料
前縁に貼り付けられる、金属材料またはプラスチック材料から成る耐腐食性フィルム
上述の保護材の組み合わせ
【0004】
使用される保護材に関係なく、前縁への接着は重要な局面であり、保護材は剥がれることなく、そして前縁に対して動くことなく衝突に耐えうるように、また通常動作での耐用期間の要件を満たすように保護材を前縁に十分に接着する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の既知の保護材は、十分に条件を満たすものであるが、実際に使用するには複雑すぎる、および/またはコストがかかりすぎる。また、これらの保護材を使用した場合、ブレードの修理が不可能である(すなわち、就航中に摩耗または損傷を受け、その後修理された羽根は確実に要件を満たす羽根にすることは不可能である)、または羽根の修復が不可能である(すなわち、製造時に不良が見つかった羽根を取り出して、そのブレードを要件に達するようにすることは不可能である)。
【0006】
したがって、少なくとも一部は上述の欠点のない保護補強材が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、羽根の前縁を保護するための補強材であって、溶射によって前縁に堆積される金属コーティングである補強材を作製する方法を提供する。したがって、補強材は、堆積された金属コーティングで形成される。
【0008】
「金属コーティング」という用語は、純金属、金属合金、またはサーメット製のコーティングを指すのに使用される。有利には、金属または合金は、優れた衝突減衰特性を有するコーティングとしては十分に延性があるので、前縁を保護するのに効果がある。
【0009】
有利には、金属コーティングは、圧縮溶射によって堆積される。圧縮溶射の技術は、高速溶射法(例えば、「コールドスプレー」法、高速酸素燃料(HVOF)法、高速空気燃料(HVAF)法、ハイブリッド法など)を使用するステップと、堆積されたコーティングが確実に「圧縮」状態になるよう適切な方法で、溶射パラメータ、特に、金属粒子の溶射速度を設定するステップとから成る既知の技術である。圧縮状態のコーティングであり、平面の変形可能な試験片に堆積されたコーティングは、試験片のコーティング以外の部分が凸状になるように試験片に力を付与する。
【0010】
圧縮溶射を使用することで、第一に、羽根にかなりの厚さ、一般には、数ミリメートルの厚さ、特に、0.5ミリメートル(mm)〜20mmの厚さの金属コーティング(すなわち、補強材)を堆積させることができる。さらに、堆積されるコーティングは圧縮状態であるので、羽根の前縁に締めつけられ、補強材の前縁への接着性をさらに向上させることができる。
【0011】
特定の実施形態では、溶射ステップの前に、羽根の前縁の両側に少なくとも1つの長手方向溝(すなわち、合計で少なくとも2つの溝になる)が形成され、金属コーティングはこれらの溝内に堆積される。前記溝は、前縁と同様に羽根の長さ方向に伸びるので「長手方向溝」と呼ばれる。羽根が直線状でなく、ねじれている場合には、前記溝は羽根の曲線状の前縁に沿った形になり、溝自体も曲線状になる。
【0012】
これらの溝により、補強材を羽根に埋め込むことができる。このように埋め込むことで、特に、機械的なせん断保持力を有することにより、補強材を前縁で保持する保持力をさらに向上させることができる。すなわち、溝は、補強材と羽根との相対摺動を防ぐ。
【0013】
他の実施形態では、溝は、ブレードが作製された後に、機械加工によって形成される。この機械加工動作は、容易に行うことができるという利点があるが、羽根の機械的強度が低下する恐れがある。
【0014】
特定の実施形態では、溝は、ブレードの作製時に、モールディングによって形成される。この解決策は、機械加工の場合に比べて、羽根の機械的強度の低下が小さいという利点がある。
【0015】
特定の実施形態では、溝は、溝の底部に金属コーティングを容易に堆積させることができるように、裾広がりの形状を有する。
【0016】
特定の実施形態では、前記金属コーティングは、Ni、AlもしくはTi製であるか、Ni基、Co基、Al基、もしくはTi基の合金製であるか、またはサーメット製である。例えば、金属コーティングは以下のうちのいずれかを含んでもよい:
NiAl、NiCrAl、NiCrALYタイプのNi基合金、特に、5〜20重量%のAlを含むNi基合金、例えば、Ni5Al、NiCr−6Al
最大で12重量%のSiを含むアルミニウム合金
多量の追加の金属元素を含むNi基またはCo基の合金、いわゆる「強い」金属合金、例えば、CoMoCrSi、CoNiCrAlY
多量(好ましくは、12重量%)のCo、Ni、Cu、Alタイプの金属元素、またはこれらの元素の合金を含むサーメット、例えば、WC12Co、WC17Co
Tiの軽合金、例えば、TA6V
【0017】
上述の金属または合金は、所望の用途に有利な機械的特性、特に延性を有する。
【0018】
本発明はさらに、圧縮溶射によって前縁に堆積された金属コーティングで形成された補強材により保護された前縁を有する羽根を提供する。補強材はさらに、後述するように、前縁と金属コーティングとの間に挿置される接着下層または箔を含んでよい。
【0019】
特定の実施形態では、羽根は、有機マトリックス複合材料製である。例えば、織布を覆うことにより形成された複合材羽根としてよい。さらに、例えば、使用される複合材料は、炭素繊維織布および/またはプラスチック繊維と樹脂マトリックス(例えば、エポキシ樹脂マトリックス、ビスマレイミド樹脂マトリックス、またはシアネートエステル樹脂マトリックス)との複合体で構成されてよい。この複合体は、樹脂トランスファーモールディング(RTM)式の真空樹脂注入法を使用したモールディングによって成形される。
【0020】
特定の実施形態では、羽根は、前縁の両側に1つずつの2つの長手方向溝を有し、溝は金属コーティングで埋められる。したがって、金属コーティング(つまり、補強材)は、これらの溝を覆うことになる。
【0021】
特定の実施形態では、前記金属コーティングは、Ni、Al、もしくはTi製である、またはNi基、Co基、Al基、もしくはTi基の合金製である。
【0022】
特定の実施形態では、補強材の厚さは、0.5mm〜20mmである。
【0023】
本発明の上述の特徴および利点、さらに他の特徴および利点は、以下の本発明の例の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。詳細な説明は、添付図面を参照しながら進める。
【0024】
添付図面は、略図であって、正確な縮尺で表示されておらず、特に、本発明の原理を説明したものである。
【0025】
図面では、1つの図面から別の図面に至るまで、類似した要素(または要素の一部)は、同じ参照符号を使用して区別されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】前縁が保護補強材によって覆われたブレードの側面図である。
図2図1羽根の断面A−Aの部分図である。
図3羽根の別の例を示した図2と同様の部分図である。
図4羽根の別の例を示した図2と同様の部分図である。
図5羽根の別の例を示した図2と同様の部分図である。
図6羽根の別の例を示した図2と同様の部分図である。
図7羽根の別の例を示した図2と同様の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および図2は、タービンエンジンブレード10の羽根12を示した図である。該羽根は、航空機ターボジェットのファンブレードである。
【0028】
羽根12は、ターボジェット内を通過する空気流の中に位置させられるものである。上流側および下流側は、この空気流の方向に正常な流れ方向に対して定義されている。
【0029】
羽根12は、空気力学的表面を有し、前縁16と後縁18との間の軸方向(ブレード10の回転軸に対する)の第1の方向14、および根元部22と先端部24との間の半径方向(羽根12の長手方向に相当する)の第2の方向20に伸びる。ブレード10の根元部22は、複数のブレードに共通の回転キャリアディスクに固定される。
【0030】
吸引側面13および圧力側面11は、前縁16を後縁18に接続する羽根12の側面である。
【0031】
前縁16は、保護補強材30で覆われる。補強材30は、前縁16の形状とぴったり適合し、補強材の前縁31を形成するように伸びる。
【0032】
保護補強材30は、実質的にU字形の断面を有し、前縁16の両側に位置決めされる。この補強材は、補強材の最も厚い(例えば、10mm〜20mm)領域で補強材の前縁31を画定する基部39を有する。基部39から、ブレード10の圧力側および吸引側にそれぞれ位置する2つの側方フランジ35、37が伸びる。(図2の)断面において、フランジ35、37は、最初は、後縁18に向かって徐々に薄くなって、フランジの端部に向かって次第に厚くなる形状を有する。
【0033】
保護補強材30は、圧縮溶射によって前縁16に金属コーティング32を堆積させることによって作製される。
【0034】
接着下層50(図6参照)は、金属コーティング32を堆積させる前に前縁16に堆積されてもよい。例えば、この接着下層50は、Ni、Al、Cu、およびCoの合金で構成され、他の元素の含有量を少なくしてもよい(15重量%未満)。例えば、この接着下層は、プラズマ溶射またはフレーム溶射によって溶射される。接着下層50が堆積された時点で、コーティング32がこの下層50の上に溶射される。
【0035】
接着下層50の溶射は、低速度のパラメータを使用して行われてもよい。フレーム溶射は、本質的に、低速度運転であるが、プラズマ溶射の場合は、Ar+H2ガスの容量は、40リットル/分以下になるように選択される。さらに、下層の溶射には、以下のパラメータの1つまたは複数を使用してもよい:
下層厚さ(0.05mm〜0.25mm)
できる限り低温で保たれた工作物(例えば、表面からの深さ0.5mmの前縁の温度は、プラスチック材料のガラス転移点より少なくとも10%低い)
低粉体質量流量(例えば、40g/分未満)
吹き付け(または極低温吹き付け)による強い冷却
溶射ガンの速い移動速度(例えば、60m/分〜120m/分)
【0036】
例えば、金属コーティング32は、ニッケル基合金、サーメット、およびニッケル基またはコバルト基の強い金属合金から選択された材料製である。金属コーティング32は、HVOF、HVAF、またはコールドスプレー溶射装置を使用して、圧縮状態のコーティングを作製するように設定されたパラメータで前記材料を溶射することによって得られる。
【0037】
金属コーティング32用の最適な材料を選択するために、「Almen」試験片にHVOF、HAVF、またはコールドスプレーの溶射の試験を行うことが可能である。使用される材料は、以下の3つの基準を満たす材料が好ましい:
堆積されたコーティングが「Almen」試験片を圧縮状態にすること
コーティングは、剥離せずに1mmを超える厚さまで堆積可能であること
試験片の裏面に配置された熱電対の温度が、堆積中に150℃を超えないこと
【0038】
さらに、コーティングの圧縮レベルは、所定のコーティング厚さに対して、一般には0.5mmに対して、「Almen」試験片(NFL06−832C規格で規定された試験)を使用して監視されてもよい。Almen archの値はF5Nより大きいことが好ましい。
【0039】
圧縮状態の金属コーティング32の溶射は、以下のようにして行うことができる。
【0040】
例えば、コールドスプレー溶射の場合は以下の通りである:
溶射速度:1マッハより速い
ガス温度:200℃〜1000℃
粉体質量流量:10g/分〜80g/分
チャンバ圧力:40バールより高い
【0041】
例えば、HVOF溶射の場合は以下の通りである:
ガス:ケロシン/酸素、または水素/酸素
粉体質量流量:10g/分〜80g/分
HVOF HP装置、チャンバ圧力:8バールより高い コーティングを直接冷却する極低温冷却(液体CO2または液体窒素または「ペレット」CO2)
一部を150℃未満で維持するためのさらなる吹き付け
【0042】
例えば、HVAF溶射の場合は以下の通りである:
ガス:ケロシン/酸素、または水素/酸素
粉体質量流量:10g/分〜80g/分
HVAF HP装置、チャンバ圧力:8バールより高い
コーティングを直接冷却する極低温冷却(液体CO2または液体窒素または「ペレット」CO2)
【0043】
コーティング32の溶射または下層50の溶射の前に、羽根12の前縁16の表面を前処理するのが好ましい場合がある。例えば、羽根12が炭素繊維織布で作られ、プラスチックの結合剤(通常は、エポキシ樹脂)が注入される場合に行われる。炭素繊維は、製織中に、鱗状に重なり、ごくわずかな空間が残る。表面では、この鱗状の重なりが形成されず、注入されたプラスチック結合剤が、残っている表面粗さを滑らかにする。そのことにより、前縁16の表面のプラスチック/繊維比が、中心部のプラスチック/繊維比より高くなる。コーティング32の接着または下層の接着は、一般に、プラスチック材料に接着するより繊維に接着する方が十分に接着できるので、前処理は、過剰なプラスチックを除去するために前縁16の表面を機械的デスケーリングによる場合がある。このデスケーリングは、一般に、(羽根12が正確に成形された場合に)0.1mm〜0.2mm以下で行われる。
【0044】
しかし、特定の状況下では、対象となる部分もしくは領域(機械的に高い負荷を受けている部分もしくは領域に相当する)の機械的強度を低下させる危険性があるために、および/または対象となる部分もしくは領域が小さすぎて材料を取り除くことができないために、デスケーリングが不可能である。このような状況下では、接着下層50は、薄い厚さ、例えば、0.02mm〜0.4mmの箔60に置き換えられてもよい(図7参照)。箔60は、例えば、接着剤によって、前縁16に固定される。箔は、対象部分の成形中に接着接合されてもよいし、または対象部分の成形後に接着接合されてもよい。箔60は、この場合、接着力を向上させるために、微細孔が開けられる。箔60が接着された時点で、箔60上にコーティング32が溶射される。
【0045】
下層50または箔60は、コーティング32の溶射が金属基板に溶射する形で行われるように、金属製にしてもよい。
【0046】
図2に示されるように、羽根12は、前縁16の両側に長手方向溝41、43(例えば、前縁の一方の側に第1の溝、他方の側に第2の溝)を有する場合がある。これら2つの長手方向溝41、43は、それぞれ圧力側11および吸引側13に位置する。金属コーティングは、これらの溝41、43内に堆積され、溝が補強材30で覆われるようになる。
【0047】
フランジ35、37は、溝41、43内で最も厚く、溝から上流側で最も薄くなる。これらの溝41、43により、補強材30を羽根12に埋め込むことができる。
【0048】
溝41、43は、種々の形状が考えられる。図2図5は、可能な形状の様々な例を示したものである。溝41、43の下流側(すなわち、後縁18の側)では、溝41、43は羽根12の側面のそれぞれの段差47によって画定され、衝突が生じた場合にこれらの段差47は補強材30と当接するので、補強材30が羽根12上で滑るのを防ぐ。溝41、43の上流側(すなわち、前縁16の側)では、図2および図3の例で示されるように、溝41、43は羽根12の側面の段差により画定され、また反対に、図4の例で示されるように、それぞれの緩斜面により画定される。図5の例は、溝41、43の上流側の緩斜面48に一連の長手方向の波形部分48が形成されるという点で、図4の例とは異なる。
【0049】
これらの例の全てにおいて、溝41、43は、溶射が90°の角度で行われる溶射(表面に対して直角な溶射)でない場合でも、金属コーティングを溝の底部に容易に堆積させることができるように裾広がりの形状を有する。一般には、図示されている溝の形状により、45°〜90°の角度で溶射を行うことができる。
【0050】
本明細書に示されている実施形態または例は、非限定的な例として示したものであり、本明細書を踏まえて、当業者は、本発明の範囲内で、上述の実施形態または例を容易に変更することが可能である、または他の実施形態または例を想定することが可能である。
【0051】
さらに、上述の実施形態または例の種々の特徴を単独で使用してもよいし、または互いに組み合わせて使用してもよい。これらの特徴が組み合わされる場合、上述したように組み合わされてもよいし、または他の方法で組み合わされてもよいが、本発明は本明細書で記載されている特定の組み合わせに限定されない。特に、任意の1つの実施形態または例に関して説明した特徴は、反対の規定がない限り、他の実施形態または例と類似した方法で適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7