特許第6189310号(P6189310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エー・テー・ハー・チューリッヒの特許一覧

特許6189310回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法
<>
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000002
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000003
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000004
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000005
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000006
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000007
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000008
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000009
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000010
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000011
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000012
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000013
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000014
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000015
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000016
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000017
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000018
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000019
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000020
  • 特許6189310-回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189310
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20170821BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G01B7/00 102M
   G01B7/30 M
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-539199(P2014-539199)
(86)(22)【出願日】2012年11月1日
(65)【公表番号】特表2014-532868(P2014-532868A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】CH2012000246
(87)【国際公開番号】WO2013063709
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年10月29日
(31)【優先権主張番号】11405353.1
(32)【優先日】2011年11月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508374139
【氏名又は名称】エー・テー・ハー・チューリッヒ
【氏名又は名称原語表記】ETH ZUERICH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーサー,アンドレアス
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−510280(JP,A)
【文献】 特開2001−021305(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/140504(WO,A1)
【文献】 特開2004−132537(JP,A)
【文献】 特表平07−506655(JP,A)
【文献】 特開昭56−132137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00− 7/30
F16C 23/00−27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機であって、
固定子(2)と、
回転子(3)と、
前記回転子(3)を前記固定子(2)に対して支持する少なくとも1つの能動型磁気軸受(21,22,31,32,33)とを備え、各磁気軸受は軸受巻線(21;22)を含み、前記軸受巻線(21;22)は、エアギャップ巻線であり、少なくとも第1の相巻線(B)と第2の相巻線(A)とを含み、
前記回転子(3)の、前記固定子(2)に対する変位を測定するための測定機構(4,5,6,7)を備え、
前記測定機構は、前記回転子(3)の変位を、変位測定注入信号を前記磁気軸受のうちの1つの前記軸受巻線(21;22)のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に注入することによって測定するように、かつ少なくとも1つの変位測定信号を得るように構成され、前記変位測定信号は、前記回転子の、前記固定子に対する径方向の変位に依存し、この依存は、前記変位測定注入信号によって誘導された、前記回転子における渦電流に起因する、回転電機。
【請求項2】
前記軸受のうちの1つにおける前記回転子(3)の変位は、前記第1の相巻線(B)を流れる第1の軸受電流および前記第2の相巻線(A)を流れる第2の軸受電流によって制御可能であり、前記第1および第2の相巻線(A,B)のうちの少なくとも1つは、直列接続されたコイルの対であるコイル対(211,212;211x,212x;211y,212y)を含み、前記コイル対(211,212;211x,212x;211y,212y)は、変位測定注入信号を前記コイル対に注入するように、かつ、前記コイル対を構成する2つのコイルに対する前記変位測定注入信号の配分を示す信号を発生するように構成されたコイル‐測定機構(6)の一部である、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記コイル‐測定機構(6)は、
軸受電流入力端子(615)から前記コイル対を構成するコイル(211,212;211x,212x;211y,212y)を通って軸受電流出力端子(616)まで延び前記第1の軸受電流を搬送するための軸受電流経路と、
第1の注入信号端子(611)および第2の注入信号端子(612)とを含み、前記変位測定注入信号は前記第1および第2の注入信号端子を通して前記コイル‐測定機構(6)に注入され、
前記第1および第2の注入信号端子(611,612)のうちの少なくとも一方は、前記軸受電流入力端子(615)および前記軸受電流出力端子(616)のうちのいずれか一方と同一ではない、請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
軸受電流入力端子(615)から前記コイル対を構成するコイル(211,212;211x,212x;211y,212y)を通って軸受電流出力端子(616)まで延び前記第1の軸受電流を搬送するための軸受電流経路と、
第1および第2のHF電流をそれぞれ搬送するための第1および第2のHF電流測定経路とを備え、
前記第1のHF測定経路は、第1の注入信号端子(611)から、前記コイル対を構成する第1のコイル(211,211x,211y)、第1の周波数選択素子(631)、および差動電流測定部(62)の第1の分岐を通って、第2の注入信号端子(612)まで延び、
前記第2のHF測定経路は、前記第1の注入信号端子(611)から、前記コイル対を構成する第2のコイル(212,212x,212y)、第2の周波数選択素子(632)、および前記差動電流測定部(62)の第2の分岐を通って、前記第2の注入信号端子(612)まで延び、
前記差動電流測定部(62)は、前記第1の分岐を流れる電流と前記第2の分岐を流れる電流の差に従って電圧または電流信号を発生するように構成される、請求項2または3に記載の回転電機。
【請求項5】
前記軸受電流経路は、前記周波数選択素子(631,632)も前記差動電流測定部(62)も通らない、請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記差動電流測定部(62)は差動トランスを含み、前記差動トランスは、前記第1のHF測定経路における第1の巻線(621)と、前記第2のHF測定経路における第2の巻線(622)と、差動電流を搬送するかまたは前記測定信号に対応する前記差動電流に比例する電圧信号を与える第3の巻線(623)とを有する、請求項4または5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記差動電流測定部(62)は、前記第1のHF測定経路における第1のチョーク巻線(624)および前記第2のHF測定経路における第2のチョーク巻線(625)を有するコモンモードチョークと、前記軸受電流入力および出力端子(615,616)側の前記コモンモードチョークの端子間の電圧差を増幅するための差動増幅器(626)とを含み、前記電圧差が前記測定信号に対応する、請求項4または5に記載の回転電機。
【請求項8】
前記差動電流測定部(62)は、前記第1のHF測定経路における測定インピーダンス(627)と、前記第2のHF測定経路における第2の測定インピーダンス(628)と、前記軸受電流入力および出力端子(615,616)側の前記測定インピーダンス(627,628)の端子間の電圧差を増幅するための差動増幅器(626)とを含み、前記電圧差が前記測定信号に対応する、請求項4または5に記載の回転電機。
【請求項9】
少なくとも第1および第2のコイル‐測定機構(6x,6y)を備え、直列接続され追加のインピーダンス(92)によって分離された、前記第1のコイル‐測定機構(6x)の前記コイル対(211x,212x)と前記第2のコイル‐測定機構(6y)の前記コイル対(211y,212y)とが、前記第1の軸受電流を搬送するための電流経路を構成する、請求項2〜8のうちの1項に記載の回転電機。
【請求項10】
高周波信号注入回路(5)を備え、前記高周波信号注入回路は、前記変位測定注入信号を前記コイル‐測定機構(6)に注入するように、かつ、軸受電流が前記高周波信号注入回路(5)に流入することを阻止するようにおよび/または逆起電力電圧が前記信号注入回路(5)の端子から流出することを阻止するように設計される、請求項2〜9のうちの1項に記載の回転電機。
【請求項11】
コイル‐測定機構(6)で測定された電圧に基づいて前記回転子(3)の角位置を求めるための回転子角測定部(8)を備え、前記電圧は、前記軸受電流入力端子(615)で測定された第1の電圧、前記軸受電流出力端子(616)で測定された第2の電圧、および、コイル対(211,212)の中間点電圧端子(618)で測定された第3の電圧であり、前記角位置は、前記第1および第2の電圧の平均値を前記第3の電圧から減算することによって得られた信号の積分を計算することによって求められ、前記積分は回転子角の正弦または余弦に比例する、請求項2〜10のうちの1項に記載の回転電機。
【請求項12】
求項1〜11のうちの1項に記載の回転電機であって、
固定子(2)と、
回転子(3)と、
前記回転子(3)を前記固定子(2)に対して回転可能に支持する少なくとも1つの能動型磁気軸受(21,22,31,32,33)と、
前記回転子(3)を前記固定子(2)に対して回転可能に支持する少なくとも1つの流体膜軸受(25)とを備え、
前記回転電機は、
前記能動型磁気軸受(21,22,31,32,33)が能動状態でなく前記流体軸受(25)が安定状態である場合には公称回転速度で、
前記能動型磁気軸受(21,22,31,32,33)が能動状態である場合には前記公称速度よりも遅い速度で、
動作するように設計される、回転電機。
【請求項13】
始動コントローラを備え、前記始動コントローラは、少なくとも、
前記能動型磁気軸受(21,22,31,32,33)が能動状態である状態で前記回転電機(1)の回転速度を増し、
前記流体膜軸受(25)の安定回転速度に達した後に、前記能動型磁気軸受(21,22,31,32,33)を非能動状態にする
という順序で、前記回転電機を始動するように構成される、請求項12に記載の回転電機。
【請求項14】
回転電機(1)の回転子(2)の、前記回転電機の固定子(2)に対する変位を測定する方法であって、前記回転子(3)は、前記固定子(2)に対し、少なくとも1つの能動型磁気軸受(21,22,31,32,33)によって回転可能に支持され、前記方法は、
変位コントローラ(9)が、前記回転子の、軸受巻線(21;22)に対する変位を制御するステップを含み、前記軸受巻線(21;22)は、エアギャップ巻線であり、少なくとも第1の相巻線(B)と第2の相巻線(A)とを含み、前記変位コントローラは、前記変位を、前記第1の相巻線(B)を流れる第1の軸受電流(I)および前記第2の相巻線(A)を流れる第2の軸受電流(I)を制御することによって制御し、
測定機構(4,5,6,7)が、前記回転子(3)の、前記固定子(2)に対する変位を測定するステップを含み、前記測定機構は、前記変位を、変位測定注入信号を前記磁気軸受のうちの1つの前記軸受巻線(21;22)のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に注入することによって測定し、少なくとも1つの変位測定信号を得、前記変位測定信号は、前記回転子の、前記固定子に対する径方向の変位に依存し、この依存は、前記変位測定注入信号によって誘導された前記回転子における渦電流に起因する、方法。
【請求項15】
前記軸受のうちの1つにおける前記回転子(3)の変位を、前記第1の相巻線(B)を流れる第1の軸受電流および前記第2の相巻線(A)を流れる第2の軸受電流によって制御するステップと、
前記軸受における前記回転子(3)の変位を、変位測定注入信号を前記第1の相巻線(B)のコイル対に注入し、前記コイル対を構成する2つのコイルに対する前記変位測定注入信号の配分を示す信号を測定することによって、測定するステップとを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記変位測定注入信号の周波数は2MHzよりも高い、請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速電機のための能動型磁気軸受の分野に関し、特に、対応する独立請求項に記載の回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速で回転する回転子を支持するためには、能動型磁気軸受(active magnetic bearing)(AMB)、流体膜軸受、またはこれらを組合わせたもの(ハイブリッド軸受)等の非接触軸受が、玉軸受または滑り軸受等の機械的に接触する軸受と比較すると、寿命および損失の点で有利である。しかしながら、高回転速度はこのような非接触軸受の設計の課題である。低速用のAMBは、磁気抵抗(リラクタンス)力に基づいておりエアギャップが小さい。結果として、インダクタンスが大きくなるので、回転速度が高いときに必要な高制御帯域幅に対して大きな無効電力が必要となることが短所である。その結果、軸受および駆動パワーエレクトロニクスの損失が大きくなり大きさが増す。一般的に、AMBは、玉軸受と比較すると、剛性が低く、軸受体積当たりの負荷支持能力が小さい。逆に、流体膜軸受は、玉軸受と同様の、剛性、負荷支持能力、および大きさを有するように作ることができる。しかしながら、流体膜軸受は、速度が非常に高いときの安定性が不十分であるか、または、実現不可能な製造許容差を必要とする。安定性は、特に重い回転子の場合、悪化する。
【0003】
回転子が径方向に変位したときの復元力をAMBにおいて発生するためには、回転子の位置または変位を測定する必要がある。これは、ほとんどのAMBでは位置センサによって行なわれ、渦電流センサ、誘導性センサ、容量性センサ、および光センサ等の多様な種類のセンサを使用できる。しかしながら、複雑さおよび大きさを減じるためには、専用の位置センサを不要にしAMBのアクチュエータで位置を測定するのが有利であろう。この技術は通常セルフセンシングAMBと呼ばれている。
【0004】
セルフセンシングAMBは、Kuwajima, T.; Nobe, T.; Ebara, K.; Chiba, A.; Fukao, T.;, "An estimation of the rotor displacements of bearingless motors based on a high frequency equivalent circuits," Power Electronics and Drive Systems, 2001. Proceedings., 2001 4th IEEE International Conference, vol. 2, no., pp. 725-731 vol. 2, 22-25 Oct. 2001に示されている。能動型磁気軸受は磁気抵抗力に基づいており、回転子の位置を高周波信号注入法を用いて測定することによりインダクタンスの変化を検出する。高周波信号は、対向するように配置された2つのコイル(電磁石)に印加され、ホイートストンブリッジおよび差動増幅器を用いてインダクタンスの変化を測定する。軸受を適所で保持するために軸受のコイルに電力を供給するように設計された軸受増幅器も用いて高周波信号を生成し、注入される高周波信号の周波数に関する妥協が必要である。変位測定用の高帯域幅を得るためには、注入周波数ができるだけ高くなければならない。しかしながら、周波数は、磁気抵抗に基づくAMBにおいては軟磁性材料の使用により制限される。軟磁性材料は、より高い周波数では損失が大きいので、インダクタンスの測定を困難にする。したがって、注入周波数は数百キロヘルツに制限される。この周波数範囲は、能動型磁気軸受の位置制御の制御帯域幅に近く、それゆえに軸受電流の周波数範囲にも近いので、位置測定信号を軸受電流から分離することは困難である。結果として、急峻なカットオフおよび/または高品質のバンドパスフィルタを用いた高度で複雑なフィルタ処理となる。これに加えて、Kuwajima, T.; Nobe, T.; Ebara, K.; Chiba, A.; Fukao, T.;, "An estimation of the rotor displacements of bearingless motors based on a high frequency equivalent circuits," Power Electronics and Drive Systems, 2001. Proceedings., 2001 4th IEEE International Conference, vol. 2, no., pp. 725-731 vol. 2. 22-25 Oct. 2001において使用されている差動増幅器は、高い同相除去比(common mode rejection ratio)(CMRR)を有していなければならない。さらに、この軸受は、磁気抵抗の原理からすると高回転速度には応用できない。
【0005】
A. Schammass, A Self-Sensing Active Magnetic Bearing: Modulation Approach, PhD Thesis, University of Sao Paulo, Brasil, 2003 または Morita, K.; Yoshida, T.; Ohniwa, K.; Miyashita, O.; "Improvement of position-sensing characteristics in self-sensing active magnetic bearings," Power Electronics and Applications, 2005 European Conference on, vol., no., pp.8 pp.-P.8, 0-0 0には、差動増幅器を差動電流トランスに置換え、さらに、信号分離のために共振回路を用いる、同様の概念が示されている。これは、差動増幅器の高いCMRRの問題を解決し、フィルタ処理の手間を減じる。しかしながら、他の問題、すなわち磁気抵抗の原理のために制限される回転速度の問題および信号注入の周波数範囲と軸受電流の周波数範囲が近いという問題は、同じである。
【0006】
US5844339は、別のセルフセンシングAMBを示している。これは、位置制御に使用される同じ電磁石に正弦波電流を注入することにより、回転子の位置に依存するインダクタンスの変化を測定する。このセルフセンシングAMBにも、上記の、磁気抵抗の原理のために制限される回転速度という短所、および、信号注入の周波数範囲と軸受電流の周波数範囲が近いという短所がある。
【0007】
Baumgartner, T.I.; Looser, A.; Zwyssig. C.; Kolar, J.W.;, "Novel high-speed, Lorentz-type, slotless self-bearing motor," Energy Conversion Congress and Exposition (ECCE), 2010 IEEE, vol., no., pp.3971-3977, 12-16 Sept. 2010には、能動型磁気軸受と電気モータを一体化したローレンツ型セルフベアリングモータが示されている。これは、磁気抵抗力に基づく標準的な能動型磁気軸受と比較すると、無効電力の消費が少ないので高速回転子に適している。しかしながら、変位に依存するインダクタンス変化に基づく周知のセルフセンシング信号注入技術を適用することはできない。なぜなら、ローレンツ型磁気軸受には実際、変位に依存するインダクタンス変化がないからである。同様に、WO2007/140504Alも、AMBにおいてエアギャップ巻線を使用する可能性を開示しているが、セルフセンシングには言及していない。
【0008】
すべてのAMBには、回転子を持上げ変位を抑制するのに十分大きな力を得るために大型のアクチュエータを要するという短所がある。また、その結果大型の駆動パワーエレクトロニクスになる。これを克服するために、AMBを流体膜軸受と組合わせることができる。Controlling Journal Bearing Instability Using Active Magnetic Bearings A. El-Shafei and A. S. Dimitri, ASME Conf. Proc. 2007, 983 (2007)には、流体膜−磁気ハイブリッド軸受が示されている。負荷を支持する要素は流体膜ジャーナル軸受(JB)であり、AMBを用いてJBの不安定さを制御している。その結果、全負荷を支持するAMBよりも小型のAMBとなる。しかしながら、この軸受は、位置センサを必要とし、磁気抵抗型であるので回転速度が制限される。
【0009】
US6353273Bは、フォイル流体膜軸受とAMBを組合わせ、特殊な制御戦略を用いてフォイル軸受とAMBの間で負荷を共有している。AMBは磁気抵抗型であるので速度が制限される。セルフセンシングは実装されていないのでセンサが必要である。同様に、US2001/0045257A1は、流体膜と磁気軸受を組合わせている。しかしながら、流体膜軸受は外部圧力源を必要とし、この場合もAMBは磁気抵抗型であるので速度が制限される。さらに、セルフセンシングは実装されておらずセンサが必要である。
【0010】
流体膜軸受だけの場合、軸受部品およびパターンの特殊な形状、最適化法、および外部減衰等、高い回転速度での安定性を改善するための構想が数多くある。US4961122では、特殊形状の溝をジャーナル軸受に設け、これが、安定性および負荷支持能力を改善している。しかしながら、これらの方策はすべて、許容差が小さい複雑な製造になるという短所を伴なう。さらに、安定性の問題は通常、解決されるのではなく、より高い回転速度に置換えられる。外部減衰を、可撓性軸受支持体(たとえばOリング)またはオイルダンパによって導入した場合、剛性および負荷支持能力は低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、上記短所を克服する、回転電機および最初に述べた種類の回転電機の回転子の変位を測定する方法を創出することである。
【0012】
特に、本発明の1つの目的は、高速モータにおける回転子の変位を測定できる機械および方法を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、能動型磁気軸受と流体膜軸受双方を備えたハイブリッド軸受を有する電機のための改善された動作形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は、対応する独立請求項のうちの少なくともいくつかに記載の、本発明のさまざまな側面に従う、回転電機および回転電機の回転子の変位を測定する方法によって、達成される。
【0015】
第1の側面に従うと、回転電機は、固定子と、回転子と、回転子を固定子に対して支持する少なくとも1つの能動型磁気軸受とを備え、各磁気軸受は軸受巻線を含み、この軸受巻線は、エアギャップ巻線であり、少なくとも第1の相巻線と第2の相巻線とを含む。さらに、回転子の、固定子に対する変位を測定するための測定機構が設けられ、測定機構は、回転子の変位を、変位測定注入信号を磁気軸受のうちの1つの軸受巻線のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に注入することによって測定するように、かつ少なくとも1つの変位測定信号を得るように構成され、この変位測定信号は、回転子の、固定子に対する径方向の変位に依存し、この依存は、変位測定注入信号によって誘導された回転子における渦電流に起因する。
【0016】
一般的には、よく知られているように、渦電流に基づいた位置または変位測定においては、交流が測定コイルに注入され、交流磁場が発生する。この磁場の中に導電性の物体が存在する場合、電流が誘導されることによって、対抗する磁場が発生し、この磁場が測定コイルに誘導電圧を誘導する。この誘導電圧に基づいて、上記物体の、コイルに対する位置または変位を求める。この原理を応用して、2つの測定コイルを設け、物体は2つの測定コイルの間に配置する。これら測定コイルを電気的に並列の回路に配置して、注入された交流がこれら2つの測定コイルに分割されるようにしてもよい。この場合、2つの測定コイルに対する交流の配分が、物体の位置によって決まる。
【0017】
ここでおよび本明細書のここ以外の部分において、回転子の位置または変位に言及するとき、これは、電機の回転軸に対して垂直の面で見たときの、固定子に対する回転子軸の位置であることが理解される。この変位は、2次元デカルト座標または極座標で表わすことができる。回転子の角位置を「回転子角」とも呼ぶ。原則的に、電機内には、軸方向において互いに離隔するように設けられ別々にまたは一緒に制御される2つ以上の磁気軸受がある。本明細書において、1つの軸受における位置の測定を示しているが、これを同一の電機における2つ以上の軸受に応用できることは言うまでもない。
【0018】
したがって、上記電機および方法において、回転子を支持し安定させるための力を発生する軸受巻線は、タップを含み、それにより、サブセクションまたはサブ巻線もしくはコイルに分割され、これらコイルのうちの一部を回転子の変位の測定に用いる。すなわち、典型的には電流である注入信号をこれらコイルに注入し、結果として得られた測定信号を測定することによって、変位を測定する。
【0019】
周知の解決策とは異なり、本件における軸受巻線はエアギャップ巻線(またはスロットレス巻線)である。すなわち、軸受は、回転子の周りのエアギャップに配置され、回転子内の永久磁石の磁場が巻線に対して回転する。通常、巻線と回転子との間に強磁性体はない。回転子内の永久磁石の向きに応じて、巻線における磁場は、回転子角に依存するかまたは依存しない可能性がある(異極または同極配置)。これは、変位コントローラの動作を決定するが、実質的には、本明細書に示される変位測定の動作には影響しない。
【0020】
ある実施の形態において、上記軸受のうちの1つにおける回転子の変位は、第1の相巻線を流れる第1の軸受電流および第2の相巻線を流れる第2の軸受電流によって制御可能である。ここで、第1および第2の相巻線のうちの少なくとも1つは、直列接続されたコイルの対であるコイル対を含み、コイル対は、このコイル対を構成する2つのコイルに対する変位測定注入信号の配分を示す信号を発生するように構成されたコイル‐測定機構の一部である。
【0021】
軸受電流および測定信号は分離することができる。すなわち、軸受電流および測定信号が、コイルおよび軸受巻線における異なる経路を通るようにすることができる。これは、軸受および測定信号に対して別々の周波数範囲を選択し、コイルを適切に選択および相互接続するとともに、軸受および測定信号を分離するための素子を組込むことによって行なわれる。結果として、軸受巻線のコイルは、対応する軸受電流に対しては直列接続を形成し、各HF測定電流に対しては1組の並列素子を形成する。この1組の並列素子は、他のHF測定電流からなる同様の組から分離されている。加えて、ある実施の形態において、HF測定信号は、たとえば直交信号(たとえば正弦および余弦信号)を用い結果として得られた測定信号をそれに応じて復調することによって、分離される。このようにして、1つの測定回路から別の測定回路に漏れるHF測定信号を減じるかまたはなくす。
【0022】
ある実施の形態において、コイル‐測定機構は、軸受電流入力端子からコイル対を構成するコイルを通って軸受電流出力端子まで延び第1の軸受電流を搬送するための軸受電流経路と、第1の注入信号端子および第2の注入信号端子とを含み、変位測定注入信号は第1および第2の注入信号端子を通してコイル‐測定機構に注入され、第1および第2の注入信号端子のうちの少なくとも一方は、軸受電流入力端子および軸受電流出力端子のうちのいずれか一方と同一ではない。
【0023】
端子が同一でないということは、これら端子が短絡によって接続されていないことを意味する。
【0024】
言い換えると、軸受電流入力端子および軸受電流出力端子のうちの少なくとも一方が、変位測定注入信号の1つまたは複数の周波数において低インピーダンスを有する信号経路(または回線経路)によって、第1および第2の注入信号端子のうちの少なくとも一方に接続される。これにより、変位測定注入信号によって生じた電流が、軸受電流端子のうちの一方を通るのではなくこの信号経路を通って対応する注入信号端子まで流れる。
【0025】
軸受電流用の端子から分離された注入信号用の端子のうちの少なくとも1つを有する、すなわち、軸受電流用の端子のうちの少なくとも1つと注入信号用の端子との間に低インピーダンス信号経路を設けることにより、電機内において、別々のコイル‐測定機構をいくつか備え、これらをたとえば軸受電流に関して直列接続で組合わせることができる。このとき、測定注入信号および測定注入信号を注入するための回路のトポロジーに対する影響はない。
【0026】
ある実施の形態において、回転電機は、軸受電流入力端子から上記コイル対を構成するコイルを通って軸受電流出力端子まで延び第1の軸受電流を搬送するための軸受電流経路と、第1および第2のHF電流をそれぞれ搬送するための第1および第2のHF電流測定経路とを備え、第1のHF測定経路は、第1の注入信号端子から、コイル対を構成する第1のコイル、第1の周波数選択素子、たとえば分離インピーダンス、および差動電流測定部の第1の分岐を通って、第2の注入信号端子まで延び、第2のHF測定経路は、第1の注入信号端子から、コイル対を構成する第2のコイル、第2の周波数選択素子、たとえば分離インピーダンス、および差動電流測定部の第2の分岐を通って、第2の注入信号端子まで延び、差動電流測定部は、第1の分岐を流れる電流と第2の分岐を流れる電流の差に従って電圧または電流信号を発生するように構成される。
【0027】
ある実施の形態において、上記軸受電流経路は、周波数選択素子(または分離インピーダンス)も差動電流測定部も通らない。これにより、軸受電流によって生じる周波数成分を測定信号から分離するためのさらなるフィルタは不要になる。
【0028】
各HF測定経路において、コイル対のコイルに続く、HF測定経路に沿う素子の順序は、どちらでもよい、すなわち、最初に周波数選択素子があり次に差動電流測定部の分岐があっても、その逆であってもよい。
【0029】
ある実施の形態において、差動電流測定部は差動トランスを含み、差動トランスは、第1のHF測定経路における第1の巻線と、第2のHF測定経路における第2の巻線と、差動電流を搬送するかまたは測定信号に対応する電流または電圧である差動電流に比例する電圧信号を与える第3の巻線とを有する。
【0030】
ある実施の形態において、差動電流測定部は、第1のHF測定経路における第1のチョーク巻線および第2のHF測定経路における第2のチョーク巻線を有するコモンモードチョークと、軸受電流入力および出力端子側のコモンモードチョークの端子間の電圧差を増幅するための差動増幅器とを含み、この電圧差が測定信号に対応する。
【0031】
ある実施の形態において、差動電流測定部は、第1のHF測定経路における測定インピーダンスと、第2のHF測定経路における第2の測定インピーダンスと、軸受電流入力および出力端子側の測定インピーダンスの端子間の電圧差を増幅するための差動増幅器とを含み、この電圧差が測定信号に対応する。
【0032】
ある実施の形態において、回転電機は少なくとも第1および第2のコイル‐測定機構を備え、直列接続され追加のインピーダンスによって分離された、第1のコイル‐測定機構のコイル対と第2のコイル‐測定機構のコイル対とが、第1の軸受電流を搬送するための電流経路を構成する。
【0033】
コイル対同士の幾何学的関係は次の通りである。すなわち、第1のコイル‐測定機構のコイル対と、第2のコイル‐測定機構のコイル対は、互いに90°をなすように配置される。これにより、回転子の変位を2次元で計算することが特に簡単になる。その他の実施の形態では、冗長な位置測定のために、角度を90°とは異なる角度にし、および/または3つ以上のコイル対を設ける。
【0034】
ある実施の形態において、回転電機は高周波信号注入回路を備え、高周波信号注入回路は、変位測定注入信号をコイル‐測定機構に注入するように、かつ、軸受電流が高周波信号注入回路に流入することを阻止するようにおよび/または逆起電力電圧が信号注入回路の端子から流出することを阻止するように(すなわち、逆起電力電圧によって生じた電流が高周波信号注入回路に流入することを阻止するように)設計される。
【0035】
ある実施の形態において、回転電機は、コイル‐測定機構で測定された電圧に基づいて回転子の角位置を求めるための回転子角測定部を備え、この電圧は、軸受電流入力端子で測定された第1の電圧、軸受電流出力端子で測定された第2の電圧、および、コイル対の中間点電圧端子で測定された第3の電圧であり、角位置は、第1および第2の電圧の平均値(すなわち第1の電圧の2分の1プラス第2の電圧の2分の1)を第3の電圧から減算することによって得られた信号の積分を計算することによって求められ、この積分は回転子角の正弦または余弦に比例する。
【0036】
これにより、回転子角を、さらに他の巻線またはセンサなしで求めることができる。その他の実施の形態では、このような回転子角測定部を、変位測定に必要なさらに他の素子なしで独立して、または磁気軸受からも独立して、角位置のセンシングにのみ使用される関連の測定巻線を用いて、実現する。
【0037】
第2の側面に従い、回転電機を、上記実施の形態に従ってまたは上記実施の形態から独立して構成することができる。この回転電機は、固定子と、回転子と、回転子を固定子に対して回転可能に支持する少なくとも1つの能動型磁気軸受と、回転子を固定子に対して回転可能に支持する少なくとも1つの流体膜軸受とを備え、回転電機は、能動型磁気軸受が能動状態でなく流体膜軸受が安定状態である場合には公称回転速度で、能動型磁気軸受が能動状態である場合には公称速度よりも遅い速度で、動作するように設計される。
【0038】
結果として、能動型磁気軸受を、回転電機の始動段階の間だけ能動状態にし、その後、公称速度に達したときにオフにすることによって、電力を節約することができる。逆に、回転電機を停止する場合は、速度が低下したときに磁気軸受を能動状態にしてもよい。流体膜軸受は、(空気)静圧型であっても(空気)動圧型であってもよい。
【0039】
ある実施の形態において、回転電機は始動コントローラを備え、始動コントローラは、少なくとも、能動型磁気軸受が能動状態である状態で回転電機の回転速度を増し、流体膜軸受の安定回転速度に達した後に、能動型磁気軸受を非能動状態にするという、方法ステップの順序で、回転電機を始動するように構成される。
【0040】
回転電機の回転子の、回転電機の固定子に対する変位を測定する方法において、回転子は、固定子に対し、少なくとも1つの能動型磁気軸受によって回転可能に支持され、この方法は、変位コントローラが軸受巻線の変位を制御するステップを含み、この軸受巻線は、エアギャップ巻線であり、少なくとも第1の相巻線と第2の相巻線とを含み、変位コントローラは、上記変位を、第1の相巻線を流れる第1の軸受電流および第2の相巻線を流れる第2の軸受電流を制御することによって制御し、この方法はまた、測定機構が、回転子の、固定子に対する変位を測定するステップを含み、測定機構は、変位を、変位測定注入信号を磁気軸受のうちの1つの軸受巻線のうちの少なくとも1つの少なくとも一部分に注入することによって測定し、少なくとも1つの変位測定信号を得、変位測定信号は、回転子の、固定子に対する径方向の変位に依存し、この依存は、変位測定注入信号によって誘導された回転子における渦電流に起因する。
【0041】
ある実施の形態において、この方法は、軸受のうちの1つにおける回転子の変位を、第1の相巻線を流れる第1の軸受電流および第2の相巻線を流れる第2の軸受電流によって制御するステップと、この軸受における回転子の変位を、変位測定注入信号を第1の相巻線のコイル対に注入し、コイル対を構成する2つのコイルに対する変位測定注入信号の配分を示す信号を測定することによって、測定するステップとを含む。
【0042】
上記方法のある実施の形態において、変位測定注入信号の周波数は、1MHz、2MHz、5MHzまたは10MHzよりも高い周波数である。実際上の理由から、この周波数は好ましくは50MHzよりも低い。ある実施の形態において、この周波数は5MHzと30MHzの間である。
【0043】
さらに他の実施の形態は従属特許請求項から明らかである。方法の請求項の特徴を装置の請求項の特徴と組合わせてもよく、逆に装置の請求項の特徴を方法の請求項の特徴と組合わせてもよい。
【0044】
以下において、本発明の主題を添付の図面に示されている代表的な実施の形態に言及しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】信号が分離された高周波信号注入セルフセンシングのためのシステムのブロック図である。
図2】コイル‐測定機構のための回路である。
図3】コイル‐測定機構のための別の回路である。
図4】電流トランスを用いるコイル‐測定機構の回路である。
図5】ホイートストンブリッジを用いるコイル‐測定機構の回路である。
図6】ホイートストンブリッジを用いる差動電流測定のサブブロックである。
図7】コモンモードチョークを組込んだホイートストンブリッジを用いる差動電流測定のサブブロックである。
図8】分離のために注入インピーダンスを用いるHF信号注入である。
図9】トランスを用いるHF信号注入である。
図10】コモンモードチョーク(CMC)および注入インピーダンスを用いるHF信号注入である。
図11】回転子磁束に対する検出回路である。
図12】対向するように配置されたコイル対を示す。
図13】2相巻線の断面図である。
図14】2相巻線を用いる2軸セルフセンシングのブロック図である。
図15】軸方向に積層されたセルフベアリングモータである。
図16】径方向に積層されたセルフベアリングモータである。
図17】多相巻線設計のセルフベアリングモータである。
図18】同極軸受を有する永久磁石(PM)モータである。
図19】異極軸受設計のハイブリッド軸受である。
図20】同極軸受設計のハイブリッド軸受である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
原則的に、図面において同一の部分には同一の参照符号を付す。
エアギャップ(または「スロットレス」)巻線を有するAMBは、スロットスペースの高調波に起因する損失および高帯域幅に対して高い無効電力を要する大きなインダクタンスといった、高速に関連するほとんどの問題を解決する。このような、高速用途用のローレンツ型軸受の構想は、冒頭で引用したBaumgartner, T.I.; Looser, A.; Zwyssig, C; Kolar, J.W.; , "Novel high-speed, Lorentz-type, slotless self-bearing motor," Energy Conversion Congress and Exposition (ECCE), 2010 IEEE , vol., no., pp.3971-3977, 12-16 Sept. 2010において提案されている。しかしながら、エアギャップ巻線を有するローレンツ型軸受の場合、回転子に鉄が存在しないのでインダクタンスに基づいたセルフセンシング法は適用できず、そのため、巻線コイルインダクタンスと回転子の変位との間に明確な関連性はない。よって、高周波信号注入法を用いる、すなわち高周波変位(または位置)測定注入信号を注入する、渦電流測定に基づいた、新たなセルフセンシング法が提示される。位置測定における高い感度を得るためには、できるだけ高い信号注入周波数を選択することが有利であり、これはまた、位置測定のための高帯域幅を得るためにも好ましい。信号注入周波数の上限は、軸受コイルの自己共振によってのみ与えられ、これは、設計により、広い範囲で選択できる。したがって、最大数十メガヘルツの信号注入周波数を得ることができ、干渉なしでまたは帯域幅を妥協せずに、およそ数十キロヘルツである軸受制御電流を、変位(または位置)測定注入信号電流から容易に分離できる。
【0047】
提案されているセルフセンシング法は、図12に示されるように、対向するように配置された巻線コイル211、212からなるコイル対を利用する。このようなコイル対を用いた変位測定は常に、コイル対の向きと関係がある。信号分離により、方向が異なる変位測定チャネル間のクロスカップリングを生じさせることなく、相またはコイル対を任意に相互接続(たとえばデルタもしくはスター接続または任意の他の接続)することができる。電機1で使用される磁気軸受21、22の場合、少なくとも2つの方向における変位のセンシングが必要であろう。
【0048】
単相の、信号分離の概念を視覚化したセルフセンシング法についてのブロック図が、図1に示される。コイル‐測定機構ブロック6は、同一の相に属する、対向するように配置された2つの巻線コイルからなるコイル対と、その他の素子とを含む。このブロックは、(変位測定注入信号である)信号注入電流IhfのためのHF信号または電流入力611および戻り経路または端子612と、軸受電流のIのための入力615および戻り経路616と、高周波変位測定信号のための出力613および基準端子614と、回転子の角位置の測定のための電圧測定端子617、618、619とを含む。高周波電流注入は、ドライバ、信号分離のための周波数選択素子、および/または電位分離のための素子を含み得る信号注入回路5を通して行なわれる。この回路は、高周波電流出力512と、戻り経路513と、波形制御基準入力511とを含む。波形基準は、たとえば多相発振器から得られるもののような、高周波対称多相信号を出力41上に生成する、信号発生器ブロック4によって生成される。たとえば正弦波または方形波等の任意の波形を高周波信号注入に用いることができる。信号発生器ブロック4は、位置測定に使用されるコイル対211、212各々に対して信号を生成する。2つのコイル対を使用する場合、2つの測定チャネルに対して生成される信号は、たとえば、位相差90°の余弦および正弦または場合によっては矩形の信号である。したがって、信号発生器ブロック4は、軸受1つ当たり1つであってもよく、異なる位相または測定チャネルで共有されてもよい。
【0049】
測定入力711と基準入力712と搬送波入力713とを有する復調ブロック7は、高周波変位測定信号および信号発生器ブロック4からの高周波信号を処理することにより、軸受のフィードバック制御に使用し得る上記巻線コイルの方向の変位を、変位出力714において得る。復調ブロック7は、復調回路に一般的に使用される、周波数選択フィルタ、周波数ミキサ(乗算器)、またはローパスフィルタが後に続く同期整流器を含み得る。また、復調ブロック7は、信号注入回路5、コイル‐測定機構6、または復調器7自体に発生した位相遅延を補償する移相器を含んでもよい。
【0050】
異極型軸受の場合、回転子の角位置の測定が必要である。この測定は、入力811、812、813と、軸受のフィートバック制御に使用できる出力814とを有する回転子測定回路8によって行なうことができる。これに代えて、ホールセンサ等のさらに他のセンサを用いて角位置をセンシングしてもよい。
【0051】
フィードバック制御および軸受電流注入は、制御法則(すなわち制御関数)を実行する軸受電流制御ブロック9とも呼ばれる変位コントローラと、ドライバによって、実現することができる。このブロックは、軸受変位入力912、任意で角位置入力911(同極型軸受には不要)、ならびに軸受電流Iのための出力913および戻り経路914を特徴とする。適用可能な制御法則は、当業者には周知である(たとえばSchweitzer, G., Maslen, H. (2009). Magnetic Bearings. Theory, Design, and Application to Rotating Machinery. Springer)。
【0052】
コイル‐測定機構ブロック6のインスタンスにおける、変位測定に使用される各コイル対に対して、ブロック信号注入回路5、復調器7、回転子角測定回路8、および軸受電流制御9の、専用のインスタンスを設けてもよい。信号発生器4のインスタンスは、軸受1つ当たり1つだけ必要である。軸受電流制御9のインスタンスが、相互接続されることによって、回転子の変位および角位置に関する情報を共有してもよい。回転子角測定8のインスタンスは、電機1において使用される磁気軸受21、22について、ブロック6の2つのインスタンスに対して少なくとも必要であろう。
【0053】
信号発生器4、復調器7、および軸受電流制御ブロック9の内部での働きまたは実行は、当業者には周知であるため、これ以上説明しない。
【0054】
コイル‐測定機構6の実現として可能なものが図2に示される。これは、同じ相に属する、対向するように配置された2つの巻線コイル211、212を含む。これらコイルは、軸受相電流Iを伝導するために直列接続されている。この直列接続の終端の端子は、軸受電流Iの入力615および戻り経路616として機能する。中間点のタップが、2つの巻線コイル211、212の間に配置され、高周波(HF)信号注入電流Ihfの入力端子611として機能する。より一般的な用語で表現すると、この入力端子は、本実施の形態およびその他の実施の形態において、第1の注入信号端子とみなすことができる。上記直列接続の終端の端子615、616は、電圧測定端子617、619としても機能し、上記中間点のタップは、角位置測定のための中間点電圧端子618とも呼ばれる第3の電圧測定ポートとしても機能する。この直列接続の終端の端子615、616はまた、軸受制御帯域幅までの低周波での高インピーダンスおよび信号注入周波数での低インピーダンスを表わす周波数選択素子631、632の第1の端子に接続される。最も単純な場合、周波数選択素子631、632はキャパシタである。周波数選択素子631、632の第2の端子は、差動電流測定回路62に接続される。差動電流測定回路62にその2つの入力62aおよび62cから流れ込む電流はそれぞれ、再びその出力62b、62dに現われる。これらの出力は、短絡、すなわち直接接続されて、高周波信号注入電流Ihfの出力またはHF電流戻り端子612を形成する。より一般的な用語で表現すると、この電流戻り端子は、本実施の形態およびその他の実施の形態において、第2の注入信号端子とみなすことができる。差動電流測定回路62はまた、その振幅がコイル対の向きの方向における回転子変位に比例する高周波信号を与える出力62eおよび基準端子62fを特徴とする。差動電流測定回路62は、たとえばフェライトコアに巻かれた3つの巻線621、622、623を有する差動電流トランスを含み得る。差動電流測定回路62の入力62a、62cと出力62b、62dとを接続する2つの巻線621、622の巻数は同一である。
【0055】
差動電流測定回路またはブロック62を、たとえば図6または図7に示される機能的に事実上等価のブロックに置換えてもよい。
【0056】
コイル‐測定機構ブロック6の作動原理は次の通りである。軸受電流Iが、軸受電流入力端子615を通して注入され、軸受電流戻り経路または端子616で戻る。周波数選択素子631、632は、軸受電流Iが他の場所、特に差動電流測定回路62に流れることを防止する。高周波電流は、ここではコイル対の直列接続の中間点のタップでもあるHF電流入力611で注入され、2つの巻線コイル211、212に、これらの高周波等価インピーダンスに従って分割される。コイルの高周波等価インピーダンスは、回転子の表面において誘導された渦電流の結果としてのコイルの向きにおける回転子の相対的な変位に依存する。コイルインピーダンスは、コイルから回転子の表面までの距離に伴なって増加する。したがって、回転子の変位次第で、振幅が異なる高周波電流が2つのコイルに流れる。これら2つの高周波電流の振幅の差が、回転子の変位の測定値であり、差動電流測定ブロック62によって検出される。差動電流測定ブロック62は、2つの巻線コイル211、212の電流差に比例ししたがって2つのコイル211、212の方向における回転子の変位に比例する振幅を有する出力電流または電圧を与える。差動電流測定ブロック62における差動トランス621、622、623を使用するとき、回転子の変位に比例する振幅を有する電圧信号Uが、端子62e、62fにおいて、これらが高インピーダンスで終端されたときに、得られる。これに代えて、(たとえばトランスインピーダンス増幅器によって)端子62e、62fをゼロインピーダンスで終端すると、回転子の変位に比例する振幅を有する電流Iが生じ、したがって、トランスインピーダンス増幅器の出力において、電流Iに比例する電圧信号が生じる。トランスインピーダンス増幅器を使用することにより、浮遊容量等の寄生素子が存在するときには、より堅牢な設計にすることができる。
【0057】
軸受電流入力端子615から軸受電流戻り経路616に、高周波数のための外部低インピーダンスを追加すると、変位の測定に支障をきたすので、軸受電流制御ブロック9における軸受増幅器を、高周波数における高インピーダンスを特徴とするように設計することができる。
【0058】
図3のコイル‐測定機構6では、分割された高周波電流が、巻線コイル211、212から、先ず差動電流測定回路62を流れ、次に周波数選択素子631および632を流れるのがわかるが、この点以外、図3のコイル‐測定機構6は図2の回路と基本的に等価である。これら2つの異なるコイル‐測定機構ブロック6の機能は全く同じであり、相違点はブロック端子からはわからない。
【0059】
別の可能なコイル‐測定機構6が図4に示される。この機構は図3に示される機構と同様であるが、軸受電流Iは、巻線コイル211、212の端子で直接注入されるのではなく、差動電流測定ブロック62を流れた後、軸受電流入力615および軸受電流戻り経路616をそれぞれ通って流れる。結果として、軸受電流の変動も、差動電流測定ブロック62の出力および出力基準端子62e、62fでわかり、軸受電流Iから結合された低周波数信号成分を除去するために、追加のフィルタブロック64が必要となる可能性がある。しかしながら、図2および図3に示される差動電流測定機構6と比較すると、軸受電流制御ブロック9における軸受増幅器の出力インピーダンスに対する制限はない。
【0060】
図3に示されるように、回転子の角度を測定するために電圧測定端子617、618、および619を用いることができる。その代わりに、これらの電圧のうちの第1の電圧617および第3の電圧619を、軸受電流入力端子615および軸受電流戻り端子616で測定することもできる。
【0061】
図5におけるコイル‐測定機構6の実現は、磁気抵抗に基づくAMBにおいてインダクタンスに基づく変位のセルフセンシングに使用される現状技術の回路と同様である。これは、対向するように配置された2つの巻線コイル211、212のインピーダンス差を検出するためにホイートストンブリッジを用いる。このブリッジの測定インピーダンス651、652を分圧器として使用する。このとき、巻線コイル211、212を流れると想定される軸受電流Iが測定インピーダンス651、652を介してバイパスされないよう、低周波数では高インピーダンスであることが好ましい。直列接続された巻線コイル211、212の中間点と直列接続された測定インピーダンス651、652の中間点との間の電圧を、測定するか、または、差動増幅器626によって増幅する。よって、基準端子614に対する、差動増幅器626の出力613上の測定電圧は、高周波信号に加えて、軸受電流Iに起因する望ましくない低周波数成分も含む。このため、追加のフィルタ処理を、たとえばAC結合キャパシタによって差動増幅器の前に既に行なっておくか、および/または場合によっては差動増幅器626の後のフィルタ処理によって行なうことが、必要となることがある。
【0062】
図6は、差動電流測定回路62の入力62a、62cと出力62b、62dとを接続する測定インピーダンス627、628を有する、差動電流測定ブロック62の代替の実現例を示す。このブロックを用いて、差動増幅器626により、測定インピーダンス627、628を流れる電流の差を測定することができる。図2図3、または図4の回路のうちの1つにおける、この差動電流測定ブロック62は、使用時、巻線コイル211、212とともにホイートストン測定ブリッジを形成する。振幅が比較的大きい高周波電流のわずかに小さな差を測定する必要があるので、差動増幅器626は、高いコモンモード除去比および任意で測定周波数における高い利得を示さねばならない。
【0063】
十分なコモンモード除去は、図7に示されるように、測定インピーダンス627、628を、チョーク巻線624、625を有するコモンモードチョークに置換えることによって実現することができ、この場合、チョークの寄生直列抵抗によって生じるコモンモード電圧のみを差動増幅器626によって抑制する必要がある。
【0064】
図8は、高周波信号注入ブロックまたは回路5を極めて単純に実現したものを示す。これは、波形制御基準入力511によって制御される、制御可能な電流または電圧源52を含む。制御可能な電流または電圧源52は、注入周波数での低インピーダンスおよび低周波数での高インピーダンスを特徴とする注入インピーダンス53と直列になるように配置される。最も単純な場合、注入インピーダンス53はキャパシタである。注入インピーダンス53を使用する理由は、軸受電流Iが注入回路5を通って流れないと想定されるため、および、1つのコイル上での回転子の回転から誘導された電圧をブロックする必要があるためという、2つの理由である。一般的に、制御可能な電流または電圧源52は増幅器によって実現される。
【0065】
高周波電流のための戻り経路は、明確に定められておらず、注入源のために絶縁源が使用されないときは、たとえば接地接続であってもよい。
【0066】
図9は、電位フリーの信号注入のために信号トランス54を使用する高周波信号注入ブロック5のより安全な実現例を示す。この信号トランス54を用いることにより、電位フリーの高周波電圧または電流源を実現し、高周波電流のための戻り経路が適切に定められる。
【0067】
図10は、高周波信号注入ブロック5の代替の実現例を示しており、このブロックは、コモンモードチョーク55を含み、さらに、図8の回路と同様、出力端子512および戻り経路513のうちの一方と直列の注入インピーダンス53も含む。分離された注入源を使用しない場合、コモンモードチョークを通る電流以外の戻り電流、たとえば、接地を通る電流は、抑制されるが、必ずしもすべて除去される訳ではない。
【0068】
図11は、巻線逆起電力電圧から永久磁束を得るための回転子角測定ブロック8の可能な実現例を示す。逆起電力電圧は、コイル対211、212の直列接続の中間点の電圧端子618で測定される。コイル対211、212を流れる軸受電流Iの誘導性電圧降下を補償するために、2つの追加の電圧測定が、中間点の電圧端子618に対して対称となるように位置している。また、追加のインピーダンス662、661を含めることができ、これらは各々、コイル対211、212のコイルのうちの1つと直列接続され、したがって軸受電流Iは追加のインピーダンス662、661を流れる。たとえば図4のように、インピーダンス662、661は、電圧617、619が軸受電流入力端子615および軸受電流戻り端子616で測定されるのであれば、差動電流測定回路62の等価インピーダンスを表し得る。中間点の電圧端子618と対向する直列接続の両端の電圧測定端子617、619で得られる2つの基準電圧が、平均電圧を定める。この平均電圧は、中間点電圧端子618で測定された測定誤差を含み、回転子角測定ブロック8の中間点電圧測定値から減算される。結果として得られる、測定値の高周波成分は、誘導された逆起電力電圧から永久磁束の値を発生する、次の積分器83によって抑制される。理想的な積分器の代わりに、場合によっては、これも漏れが生じやすい積分器、AC結合積分器、または、(最小回転速度と最大回転速度の間の)目的とする速度での十分な品質の積分特性を有する同様の動的素子を用いてもよい。図11の回路は、コイル対のコイル211、212が測定コイルとして存在するのであれば、位置測定から独立し磁気軸受からも独立したものとすることができる。
【0069】
図12は、明確にするために、対向するように配置された2つのコイル対211、212を含む1相のみのエアギャップ巻線を示している。一般的に、各相に対してこのようなコイル対が1つ存在し得る。これらのコイルは、磁場を2対の極で発生し、これが、永久磁石3からの磁場の1対の極とともに、軸受力を発生する。永久磁石が回転しているとき、回転子の角位置の測定に使用し得る異符号の電圧が各コイルにおいて誘導される。固定子の軸はx、yで示され、回転子の軸はq、dで示され、これらは固定子に対し角度θだけ回転させたものである。回転子の永久磁石の磁化は太い矢印で示されている。
【0070】
図13は2相の巻線を示す。その他の実施の形態はより多くの相を含んでもよい。「B」で示される第1の相巻線は、2つのコイル対211x、212x、211y、212yに分割され、これらを直列接続することによって、相Bの軸受電流を伝導する。第1のコイル対211x、212xは、位置のセルフセンシングのとき、x方向の回転子変位および永久磁束を発生し、第2のコイル対211y、212yは、y方向の変位および永久磁束を発生する。「A」で示される第2の相巻線は、さらにタップを設けることなく通常の巻線と同様に巻かれ、位置のセルフセンシングに必ずしも必要ではない。しかしながら、その他の実施の形態では、相Aを相Bと同様のやり方で分割し位置のセルフセンシングも実現することにより、補足的または冗長な変位および/または角位置情報を与える。これを、たとえば分解能がより高くおよび/またはたとえば信頼性が向上した、たとえば改善された回転子変位および/または角位置測定に、使用することができる。その他の実施の形態では、相Aおよび相Bのコイル対および関連するコイル‐測定機構6を組合わせることによって、冗長でない変位および/または角位置情報を提供する。
【0071】
図14は、図13に示される2相巻線のためのセルフセンシング回路の実施の形態を示す。これは、互いに垂直になるように配置された第1のコイル対211x、212xおよび第2のコイル対211y、212yを使用する。第1のコイル対211x、212xは、x方向の変位のセンシングに使用され、第2のコイル対211y、212yは、y方向の変位のセンシングに使用される。加えて、第1のコイル対211x、212xは、x方向の回転子磁束検出に使用され、第2のコイル対211y、212yは、y方向の回転子磁束検出に使用される。第1のコイル対211x、212xは、第1のコイル‐測定ブロック6xの一部として配置され、第2のコイル対211y、212yは、第2のコイル‐測定ブロック6yの一部として配置される。これらは、図2図5のコイル‐測定機構6のうちの1つの別々のインスタンスであると理解されるはずである。これらコイル対は双方ともに、ある実施の形態では相Bに属する。相Aの巻線は必ずしもコイル対に分割される必要はない。
【0072】
信号発生器ブロック4は、別々の出力端子41a、41bで直角(直交)信号を発生するように配置され、これらの信号は、たとえば正弦と余弦であってもよい。出力端子41a、41b上の直交信号を用いるので、巻線内のコイル対が磁気的に結合されても、xおよびy方向における変位測定のクロスカップリングは生じないであろう。第1および第2のコイル‐測定ブロック6x、6yを直列接続して相Bの軸受電流を搬送することができる。図2図5に示される変形例からの第1および第2のコイル‐測定ブロック6x、6yの選択に応じて、追加のインピーダンス92を、第1のコイル‐測定ブロック6xの軸受電流出力616と第2のコイル‐測定ブロック6yの入力615との接続部に加えてもよい。追加のインピーダンス92が低周波数において低インピーダンスを有し信号注入周波数において高インピーダンスを有することによって、隣接するコイル‐測定ブロックにおける変位測定注入信号を分離した状態に保つ。最も単純な場合、追加のインピーダンス92はインダクタである。別の実施の形態において、図面には示されていないが、3つ以上のコイル‐測定ブロックがこのように接続され、さらに追加されたインピーダンスによって、変位測定注入信号から分離される。
【0073】
軸受電流制御ブロック9は、入力912x、912yにおける、観察されたxおよびy方向の回転子変位を用い、さらに、たとえば入力911x、911yそれぞれにおける回転子角の正弦および余弦によって定まる回転子角位置を用いて、相Aおよび相B双方の軸受電流を制御することができる。さらに他の実施の形態に従うと、回転子角は、回転子角測定ブロック8の3つ以上のインスタンスによって冗長に決定することができ、各インスタンスは第1および第2のコイル対のうちの1つに関連する。
【0074】
図15図20は、巻線および軸受の構成が異なる電機1の概略的な断面図を示す。これら構成は各々、上記セルフセンシング回路および方法と組合わせて用いることができるが、必ずしもそうである必要はない。実施の形態各々において、回転子3は、固定子2に対して回転するように配置される。固定子2は、巻線を(実質的に径方向において)囲み、さまざまな巻線および永久磁石33によって生成された磁束の戻り経路を形成する、実質的に円筒形の固定子コア24を含む。これら巻線は、モータ巻線23および、第1の磁気軸受については第1の軸受巻線21、第2の磁気軸受については第2の軸受巻線22である。回転子3は、回転子3の径方向に沿う向きにされたモータ永久磁石33を含む。異極配置の場合、同じ永久磁石33、または、回転子の径方向に沿う向きにされた1つ以上の他の永久磁石が、軸受巻線21、22と相互作用する磁気軸受の一部として機能する。同極配置の場合、第1の軸受磁石31および第2の軸受磁石32が、配置され、回転子の軸方向に沿う向きにされて、それぞれ第1および第2の磁気軸受の一部を形成する。回転子内の磁石はすべて永久磁石である。
【0075】
図15の実施の形態では、第1の軸受巻線21および第2の軸受巻線22は、モータ巻線23の軸方向の2つの端部に隣接するように配置される。3つの巻線21、22、23は、すべて同軸で配置され、好ましくはほぼ同一の内径および外径を有することによって、空間を節約した構造にすることができる。
【0076】
図16の実施の形態では、第1の軸受巻線21および第2の軸受巻線22が、(径方向で見たときに)モータ巻線23の内側において、同軸でかつ同心で配置される。2つの軸受巻線21、22の組み合わされた軸方向の範囲によって、モータ巻線23の全長を実質的に覆うことができる。
【0077】
図17の実施の形態では、専用のモータ巻線23はない。むしろ、第1の軸受巻線21および第2の軸受巻線22を同軸で配置し電気的に接続することによって、モータ巻線23を形成している。変位測定電流を含む、駆動電流および軸受電流は、巻線22、21において重畳される。
【0078】
図18の実施の形態では、固定子2は図15と同様に構成されているが、回転子3は軸方向の向きの軸受磁石31、32を含む。これら磁石の磁束は、同極配置において軸受巻線21、22と相互作用する、すなわち、回転子の角位置から独立している。
【0079】
図19の実施の形態では、巻線および磁気軸受の構成は、図15図18のうちの1つのものと同様であり(一例として図16の構成が示される)、加えて、流体膜軸受25が固定子巻線の2つの端部に配置されている。流体膜軸受25は、特に高速モータの場合、空気または気体軸受であってもよく、静圧型であっても動圧型であってもよい。
【0080】
図20の実施の形態では、流体膜軸受25が、軸受巻線21、22の内側において同心で配置されている。流体膜軸受25の材料は、磁気軸受の機能に影響しないよう、非磁性で非導電性の材料からなるものであってもよい。この実施の形態は同極磁石配置を有する。しかしながら、このような同心で配置された流体膜軸受は、図15図18のうちいずれかの巻線構成のいずれかと組合わせてもよい。
【0081】
図19および図20の実施の形態は、ハイブリッド軸受、すなわち能動型磁気軸受を流体膜軸受と組合わせたものを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20