【課題を解決するための手段】
【0005】
開示する実施形態は、ストラットの構造的な強度対重量比率を最適化する管状複合ストラットおよび関連する製造方法を提供するもので、これは、管本体と共に養生される内側補剛材を採用した適合された断面の管構成を使用すること、ならびに被膜厚さを適合させる能力によってもたらされる。このストラットは、理想的慣性モーメント値をもたらしかつストラットの性能を最大にするように設計された内側補剛材のレイアップを可能にする内側マンドレルを使用して製造される。この内側マンドレルによって、管本体の層および補剛材をレイアップするために自動繊維配置機を使用することが可能になり、それによって、所望の圧縮を達成するためのオートクレーブ養生サイクルへ必要性を低減することができる。管本体は、単一側面結合によるかたぎ入れによって、端部取付け具に結合されている。内側補剛材は、設置平面による取付け部からの曲げ圧力に抵抗するように、配置、設計することができ、それによって、管本体の壁の厚さを低減することができる。
なお、本明細書中の「レイアップ」との語は、「レイアップする」等の動詞としては「積層する」を意味し、また名詞としては、積層されたもの、すなわち「積層体」を意味する。
【0006】
開示する一実施形態によると、実質的に中空の内部を有する積層された複合管状本体を備えるストラットが提供される。少なくとも1対の補剛材が管状本体の内部を通って長手方向に延在し、管状本体の対向する両側に取り付けられている。管状本体は、該ストラットを構造体に取り付けるように適合された端部取付け具を備える。取付け具は、中心軸線を有しかつ取付け具を構造体に結合する細長いピンを受けるように適合された開口を含む。各補剛材の端部は、ピンの軸線に垂直に延在する平面に対して略対称である。各取付け具は、一対の複数の外側段部を含み、管状本体は、それぞれ重なり合い、これら段部に結合された複数群の層を含む。ストラットは、各取付け具と対応する管状本体の端部との間に単一のせん断接合部を更に備える。各補剛材は、管状本体と共に養生される積層複合体である。
【0007】
他の実施形態によると、圧縮時または引張り時に負荷を伝達するためにストラットが設けられる。ストラットは、複数の積層された複合層で形成された壁を有する細長い管状本体と、ピンを使用して該管状本体を構造体に取り付けるように適合された端部取付け具とを備える。該ストラットは、更に、各取付け具と管状本体との間に単一のせん断結合された接合部と、前記本体を補剛するために壁に取り付けられた、管状本体内の複合補剛材とを備える。各端部取付け具は、対応するピンの長手軸線に対して、管状本体に負荷を伝達する。この複合補剛材は、ピンの軸線に略垂直な軸線に沿って位置合わせされた、対向補剛材の第1の対を少なくとも含んでいる。
【0008】
さらに他の実施形態によると、ストラットを作製するための方法が提供され、本方法は、マンドレルの長さに沿ってマンドレル内に空隙部を形成するステップを含む、細長いマンドレルを作製するステップを含む。本方法は、更に、取付け具をマンドレルの各端部に配置するステップと、複合補剛材レイアップをマンドレル空隙部内に配置するステップと、補剛材レイアップおよび取付け具を覆う複合層をマンドレル上にレイアップすることによって管状複合本体を形成するステップとを含む。本方法は、更に、管本体および補剛材を共に養生するステップと、マンドレルを取り除くステップとを含む。マンドレルを形成するステップが、マンドレルの各端部上に回転軸を形成するステップを含み、マンドレル上に取付け具を配置するステップが、回転軸上に取付け具を配置するステップによって実施される。補剛材は、オフラインで形成可能であり、完成部品レイアップとしてマンドレル内に配置され得る。補剛材レイアップをマンドレル空隙部内に配置するステップは、補剛材をレイアップして形成するステップと、形成された補剛材レイアップを空隙部内に配置するステップとを含む。管状本体を形成するステップは、自動繊維配置機を使用して、複合テープからなる複数のストリップをマンドレルの表面上に横たえ、かつ圧縮することにより実施され得る。マンドレル空隙部内に補剛材レイアップを配置するステップは、空隙部内に複合テープからなる複数のストリップを横たえ、かつ圧縮するために自動繊維配置機を使用するステップを含むことができる。管状複合本体を形成するステップは、管状本体と各取付け具との間に単一のせん断接合部を形成するステップを含むことができる。マンドレルを除去するステップは、マンドレルを液体で分解するステップを含むことができる。本方法は、補剛材レイアップ内に補剛材マンドレルを挿入するステップと、管状本体および補剛材が共に養生された後に、補剛材マンドレルを除去するステップとを更に含むことができる。
【0009】
要約すると、本発明の一態様によりストラットが提供され、該ストラットは、実質的に中空の内部を有する積層された複合管と、管の対向する側に取り付けられた少なくとも1対の長手方向補剛材と、構造体に取り付けるように適合された、管の各端部上の取付け具と、を備える。
【0010】
有利なことに、ストラットでは、補剛材が管の中空である内部に配置されている。
【0011】
有利なことに、ストラットでは、取付け具が、中心軸線を有しかつ取付け具を構造体に結合する細長いピンを受けるように適合された開口を含み、かつ、各補剛材は開口の軸線に垂直な平面に対して略対称である。
【0012】
有利なことに、ストラットでは、各補剛材が、開口の軸線に垂直な平面に対して略対称である。
【0013】
有利なことに、ストラットでは、各取付け具は複数の外側段部を含み、管はそれぞれ段部が重なり合った層の組を含み、外側段部と、重なり合う層の組とが単一のせん断接合部を形成する。
【0014】
有利なことに、ストラットは、管の中空内部に、管に取り付けられている第2の補剛材の対を更に含む。
【0015】
有利なことに、ストラットでは、第2の補剛材の対が、開口の軸線に略平行な平面に対して略対称であり、各補剛材は、横断面の形状が台形である。
【0016】
有利なことに、ストラットでは、各補剛材は、積層された複合体であり、管と共に養生される。
【0017】
有利なことに、ストラットでは、各取付け具が金属製であり、単一のせん断接合部によって管に取り付けられている。
【0018】
本発明の他の態様により、圧縮または引張りの負荷を伝達するためにストラットが提供され、該ストラットは、積層された複数の複合層で形成された壁を有する細長い管と、管を構造体にピンによって取り付けるように適合された、管状本体の各端部上の取付け具と、各取付け具と管との間に単一のせん断結合接合部と、本体を補剛するために管の壁に取り付けられた複合補剛材とを備える。
【0019】
有利なことに、ストラットでは、各取付け具が、対応するピンの長手軸線に対して、管に負荷を伝達する。複合補剛材は、管の内部に配置され、ピンの軸線に略垂直な軸線に沿って位置合わせされた、対向する第1の補剛材の対を少なくとも含む。
【0020】
有利なことに、ストラットでは、複合補剛材が、ピンの軸線に略平行に延在する軸線に沿って位置合わせされた対向する第2の補剛材の対を備える。
【0021】
有利なことに、ストラットでは、各取付け具が、複数の外側段部を有する外側壁を備える。管本体は、複数組の層を備え、各層は前記段部を重なり合わせ、単一のせん断接合部を形成する。
【0022】
有利なことに、ストラットでは、各補剛材が、積層された複合体であり、管と共に養生される。
【0023】
有利なことに、ストラットでは、各補剛材が、取付け具間の概ね全体の長さに延在する。
【0024】
本発明のさらに他の態様によると、ストラットを作製するための方法が提供され、本方法は、細長いマンドレルを製造するステップと、取付け具をマンドレルの各端部に配置するステップと、複合補剛材レイアップをマンドレル上に配置するステップと、複合層をマンドレル上にレイアップすることによって、複合管を形成するステップと、管および補剛材を共に養生するステップと、マンドレルを取り除くステップとを含む。
【0025】
有利なことに、本方法では、マンドレルを製造することが、マンドレルの各端部上に回転軸を形成するステップと、その長さに沿ってマンドレル内に空隙部を形成するステップとを含み、マンドレル上に取付け具を配置するステップが、回転軸線上に取付け具を配置するステップによって実施される。
【0026】
有利なことに、本方法では、補剛材レイアップをマンドレル上に配置するステップが、補剛材をレイアップして形成するステップと、形成された補剛材レイアップをマンドレル空隙部内に配置するステップとを含む。
【0027】
有利なことに、本方法では、複合管を形成するステップが、自動繊維配置機(automated fiber placement machine)を使用して、複合テープからなる複数のストリップをマンドレルの表面上に横たえ、かつ圧縮することで実施される。
【0028】
有利なことに、本方法では、マンドレル空隙部内に補剛材レイアップを配置するステップが、空隙部内に複合テープからなる複数のストリップを横たえ、かつ圧縮するための自動繊維配置機を使用するステップを含む。
【0029】
有利なことに、本方法では、複合管を形成するステップが、管と各取付け具との間に単一のせん断接合部を形成するステップを含む。
【0030】
有利なことに、本方法では、マンドレルを除去するステップが、マンドレルを液体で分解するステップを含む。
【0031】
有利なことに、本方法は、補剛材レイアップ内に補剛材マンドレルを挿入するステップと、管および補剛材が共に養生(硬化)された後、補剛材マンドレルを除去するステップとを更に含む。
【0032】
本発明の他の態様により、航空機用途のためのストラットを作製する方法が提供され、本方法は、マンドレルの長さに沿ってマンドレル内に空隙部を形成すること、およびマンドレルの各端部上に回転軸を形成することを含む、細長いマンドレルを作製するステップと、金属製端部取付け具を製造するステップと、マンドレルの回転軸の上に金属製端部取付け具をそれぞれスリーブ結合するステップと、マンドレル空隙部の横断面形状に対応する横断面形状をそれぞれが有する複数の補剛材をレイアップし、形成するステップと、複合補剛材レイアップをマンドレル空隙部内に配置するステップと、補剛材マンドレルを補剛材レイアップの中に配置するステップと、補剛材レイアップ、取付け具、および補剛材マンドレルを覆う複合層をマンドレル上にレイアップすることによって複合管を形成するステップと、管および補剛材レイアップを共に養生するステップと、マンドレルを分解することによってマンドレルを除去するステップと、を含む。
【0033】
本発明のさらに他の態様により、圧縮または引張りの負荷を伝達させるための航空機ストラットが提供され、該ストラットは、複数の積層された複合層で形成された壁を有する細長い管と、管状本体を構造体にピンによって取り付けるように適合されている、管の各端部上の端部取付け具と、各取付け具と管状本体との間の単一のせん断結合接合部と、本体を補剛するために壁に取り付けられた、管状本体内の複合補剛材とを備え、各端部取付け具は、対応するピンの長手軸線の周りに、管状本体に負荷を伝達し、複合補剛材は、ピンの軸線に略垂直な軸線に沿って位置合わせされた対向する第1の補剛材の対を少なくとも含み、各補剛材は、略台形の横断面形状を有し、複合補剛材は、ピンの軸線に略平行に延在する軸線に沿って位置合わせされた対向する第2の補剛材の対を更に含み、各取付け具は、複数の外側段部、および概ね滑らかな内壁を有する外側壁を含み、管状本体は、それぞれ外側段部に重なり合う複数群の層を含む。
【0034】
特徴、機能および利点が、本開示の様々な実施形態において独立して達成可能であり、またはさらに他の実施形態に組み合わせ可能であり、その場合、以下の説明および図面に関連して追加の詳細を理解することができる。
【0035】
有利な実施形態の特徴と考えられる新規な特徴を添付の特許請求の範囲の中で説明する。しかし、有利な実施形態、ならびに好適な使用方法、追加の目的および利点は、添付の図面と併せて読まれる場合、本開示の有利な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。