(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189320
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】重量物運搬車両用タイヤの構造体とトレッドパターンの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/00 20060101AFI20170821BHJP
B60C 11/13 20060101ALI20170821BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20170821BHJP
B60C 9/18 20060101ALI20170821BHJP
B60C 11/01 20060101ALI20170821BHJP
B60C 5/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
B60C11/00 G
B60C11/13 D
B60C11/03 100A
B60C9/18 N
B60C11/01 B
B60C5/00 H
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-545231(P2014-545231)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-504801(P2015-504801A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】EP2012074455
(87)【国際公開番号】WO2013083610
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年10月8日
(31)【優先権主張番号】1161391
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(73)【特許権者】
【識別番号】508032479
【氏名又は名称】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】マルリエ ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】カンティネット バンジャマン
(72)【発明者】
【氏名】スラシュマイルダーズ エリック
【審査官】
増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/135000(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/002454(WO,A1)
【文献】
米国特許第2960138(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/00
B60C 9/18
B60C 11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物運搬車両用のタイヤであって、前記タイヤは、クラウン補強材(3)を載せたカーカス補強材(1)を有し、前記クラウン補強材は、前記タイヤを2つの互いに等しい又は実質的に等しい部分に分割する赤道面XX′の各側で延び、前記タイヤは、前記クラウン補強材(3)の半径方向外側に位置した幅W及び全厚Eのトレッド(2)を有し、前記トレッドは、転動面(20)を有し、前記全厚Eは、前記転動面(20)と前記クラウン補強材(3)の半径方向最も外側の部分との間で前記赤道面XX′上で測定した材料の全厚に一致し、前記トレッド(2)は、走行中、摩耗状態になる材料の最大厚さPMUを有し、該最大厚さPMUは、多くとも前記全厚Eに等しく、前記クラウン補強材(3)は、少なくとも2枚の実働プライ(31,32)及び前記実働プライの半径方向外側に且つ前記トレッドの半径方向内側に位置した保護プライ(33)によって形成され、幅の最も狭い実働プライ(32)は、前記トレッドの前記幅Wの70%から90%までの範囲にある幅を有し、前記トレッドは、前記保護プライ(33)の半径方向外側の部分にのみ設けられた溝を有し、周方向に差し向けられた各溝は、摩耗状態になる前記最大厚さPMUの少なくとも75%の深さを有し、前記トレッドは、前記タイヤ全体に沿ってぐるりと延び且つ摩耗状態になる材料の前記最大厚さPMUの少なくとも50%に等しい部分摩耗後、少なくとも1つの新たな溝を形成するようになった全体として周方向に差し向けられているチャネル(5)を有し、前記チャネル(5)は、前記チャネルと前記実働プライ(31,32)との間の最小距離及び前記チャネルと前記保護プライ(33)との間の最小距離がゼロではないように形成されている、重量物運搬車両用タイヤにおいて、前記保護プライ(33)は、前記幅の最も狭い実働プライ(32)の前記幅の少なくとも70%に等しい幅を有し、前記チャネル(5)は、軸方向に見て、前記幅の最も狭い実働プライの軸方向端と前記赤道面の同一の側に位置した前記保護プライ(33)の軸方向端(330)との間に形成されている、重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項2】
前記トレッドは、2つのショルダ側リブを含む複数個のリブを有し、幅Mを有する各ショルダ側リブは、前記トレッドの外側に開口した溝及び前記赤道面から軸方向に見て最も遠くに位置する前記トレッドの箇所によって画定され、各ショルダ側リブの前記幅Mは、他のリブの幅の少なくとも1.5倍に等しい、請求項1記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項3】
新品状態における前記トレッドの厚みの中に前記転動面(20)に向かう各チャネル(5)の延長部としてスリット(6)が設けられ、前記スリット(6)は、前記スリット(6)がフットプリントの通過中、少なくとも部分的に閉じることができるのに適した幾何学的形状を有する、請求項1又は2記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項4】
新品状態において、各チャネル(5)中の空所の容積は、前記チャネル、前記溝又は前記スリットの向きとは無関係に、前記チャネル、前記溝及び前記スリットの組によって形成される空所の全容積の2%以上且つ15%以下である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項5】
各チャネル(5)は、前記トレッドの前記厚み中で摩耗状態になる材料の前記最大厚さPMUよりも大きな深さまで且つ多くとも全厚Eにわたって延びている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項6】
少なくとも1つの周方向チャネル(5)は、少なくとも前記トレッドの前記厚さの方向に波状に起伏した幾何学的形状を有し、したがって、該チャネルは、適当な摩耗後に前記転動面(20)上に連続的に開口することがないようになっている、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項7】
波状に起伏した幾何学的形状を有する前記少なくとも1つの周方向チャネル(5)は、全体が新品状態の前記トレッドの前記転動面の下に形成されている、請求項6記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項8】
少なくとも1つの周方向チャネル(5)は、少なくとも前記タイヤの回転軸線に平行な方向に波状に起伏した幾何学的形状を有し、したがって、該チャネルは、前記回転軸線から同一距離のところに位置したままであるようになっている、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項9】
少なくとも1つの追加のチャネル(8)が前記保護プライ(33)の端と前記軸方向に幅の最も狭い実働プライ(32)の端との間に形成された周方向チャネル(5)につながった状態で設けられており、前記追加のチャネル(8)は又、溝内に又は前記トレッドの外側に向かって開口している、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【請求項10】
前記タイヤは、前記タイヤが重量物運搬車両の駆動アクスルに取り付けられるのに適していることを指示する手段を有する、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の重量物運搬車両用タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物運搬車両用のタイヤ、特に重量物運搬車両に取り付けられるようになったタイヤに関する。
【0002】
本発明は、重車両、例えばローリ、バス、トラクタ、トレーラ等に取り付けられるようになった半径方向カーカス補強材を有するタイヤに関し、特に、タイヤのトレッドと組み合わせたこのタイヤのクラウン補強材に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、非伸長性金属又は芳香族ポリアミド補強要素によって形成された問題のタイヤの半径方向カーカス補強材の半径方向外側上には、複数枚のクラウンプライを含むクラウン補強材が載り又は位置している。周知の形態では、クラウン補強材は、周方向に対して45°から90°までの範囲の角度をなして差し向けられた金属要素により形成されている三角形構造形成プライを含み、この三角形構造形成プライ自体には2枚の実働プライが載っており、これら実働プライは、各プライ中で互いに平行であり且つ1枚のプライと次のプライとの間でクロス掛け関係をなし、しかも周方向と10°〜45°まで範囲の角度をなす非伸長性金属補強要素によって形成されている。実働補強材を形成するこれら実働プライは、保護プライと呼ばれる少なくとも1枚のプライで覆われ、この保護プライは、本質的に、トレッドの溝中に入り込む異物によって引き起こされる場合のある損傷に対して実働プライを保護するのに役立つ。
【0004】
「伸長性」と呼ばれる金属補強要素又は「弾性」と呼ばれる要素、即ち、力‐伸び曲線が小さな引張り力下で比較的大きな伸びを示す要素で形成されることがある。この場合、保護プライの補強要素は、全体として、同一方向に且つ絶対値で表して半径方向最も外側の実働プライの補強要素と同一の角度をなして差し向けられると共に半径方向最も外側の実働プライよりも全体として軸方向に幅が狭い。この保護プライは、任意の材料で且つ実働補強材を保護する目的に役立つ任意の構造体を備えた状態で作られる場合があり、周方向に巻かれたバンド又はプライの形態をした均質材料の使用を検討することができる。
【0005】
この内部補強構造体と組み合わせて、トレッド、即ち、タイヤが転動しているときに路面に接触して次第に摩耗状態になるタイヤの部分に溝及びスリットで形成されたトレッドパターンを提供するのが公知のやり方である。
【0006】
本願では、スリットは、溝とは区別され、その区別は、スリットが細幅であり、一般に、走行中、特にフットプリントの通過中、スリットを画定する向かい合った壁相互の接触を可能にし、これは、タイヤの通常の使用条件では溝についてはそうではない。
【0007】
米国特許出願公開第2010/0269967号明細書は、中心が赤道面上に位置したクラウン補強材を載せた半径方向カーカス補強材を有する重量物用タイヤを記載しており、クラウン補強材それ自体の上にはトレッドが載っている。このクラウン補強材は、幅が幅の最も狭い実働プライの幅よりも実質的に小さい保護プライを載せた複数枚の実働プライを含む。この保護プライは、赤道面に関して対称に配置された2本の溝内に半径方向に配置される。これら2本の溝の軸方向外側では、トレッドは、他の2本の溝と同一の深さを有する溝を各側に備えている。耐久性の面で高い性能を得るために、この構造体は、保護プライを軸方向に越えて位置する領域で溝の底部と実働プライのうちの最後の実働プライとの厚さが最小であることを必要とする。
【0008】
国際公開第2011/002454号パンフレットは、更生(リトレッド)によって作られたタイヤを記載しており、このタイヤは、半径方向外側上にクラウン補強材を載せたカーカスを有し、クラウン補強材それ自体の上にはあらかじめ加硫されたトレッドが載っている。このトレッドは、外部に開口した複数の溝及びトレッドの内側フェース上に開口した溝を有する。後者の溝は、トレッドの部分摩耗後に新たな溝を形成するために設けられている。内側の溝と外側の溝の組は、クラウン補強材を形成するプライの組上に半径方向に配置されている。このように形成されたエッジ側リブは、比較的剛性である。と言うのは、クラウン補強材のプライの組がこのエッジ側リブ内に存在しているからである。
【0009】
トレッドパターンと組み合わされていて転がり抵抗、耐久性及び路面と接触状態にある際のレベリングの面での性能の良好な最適化を可能にする一方で、タイヤの摩耗状態とは無関係に最適な安全性をもたらす重量物運搬車両用のタイヤ構造体が要望されている。
【0010】
定義
【0011】
トレッドパターンの単位体積当たりの空所の比率は、凸状要素(ブロック及びリブ)より画定された空所(特に溝及びキャビティにより形成される)の容積(又は嵩)と材料の体積並びに溝及びキャビティの容積を含む全嵩の比に等しい。単位体積当たりの空所の比率が低いということは、トレッドの体積に対する空所の容積が小さいことを意味している。
【0012】
ブロックは、トレッド上に形成された凸状要素であり、この凸状要素は、空所又は溝によって画定され、この凸状要素は、側壁及び接触フェースを有し、接触フェースは、走行中、路面に接触するようになっている。
【0013】
リブは、トレッド上に形成された凸状要素であり、この凸状要素は、2本の溝によって画定される。リブは、2つの側壁及び接触フェースを有し、接触フェースは、路面に接触するようになっている。
【0014】
「半径方向」という用語は、タイヤの回転軸線に垂直な方向を意味している(この方向は、トレッドの厚さの方向に一致している)。
【0015】
「軸方向」という用語は、タイヤの回転軸線に平行な方向を意味している。
【0016】
「周方向」という用語は、中心が回転軸線上に位置した任意の円の接線の方向を意味している。この方向は、軸方向と半径方向の両方向に垂直である。
【0017】
「切欠き」は、一般的に言って、溝かスリットかのいずれかを意味し、切欠きは、互いに向かい合い且つゼロではない距離だけ互いに隔てられた材料の壁によって画定される空間に該当している。スリットを溝から区別するのはこの距離であり、スリットの場合、この距離は、スリットを画定している向かい合った壁の少なくとも一部を路面上のフットプリントの通過中に接触させることができるよう設定されている。溝の場合、この溝の壁は、通常の走行条件では互いに接触することはない。
【0018】
特にETRTO規格によって定められたタイヤの使用条件は、そのロードインデックス(負荷能力指数)及びその速度コードによって示されたタイヤの負荷能力に対応した公称インフレーション圧力を指定している。
【0019】
路面上のフットプリントは、タイヤが静的条件にある状態で定められ、これら静的条件に基づいて平均フットプリント長さが算出される。
【0020】
赤道面は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つこのタイヤがその取り付けリムに取り付けられてその公称インフレーション圧力までインフレートされたときに半径方向最も外側の箇所を通る平面に一致している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0269967号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/002454号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、転がり抵抗及び耐久性の面における重量物運搬車両タイヤの性能の良好な最適化をもたらす一方で、タイヤが新品であるかどうか又は部分的に摩耗しているかどうかとは無関係に、最適ユーザ安全性をもたらすことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
かくして、本発明の重量物運搬車両用タイヤは、クラウン補強材を載せたカーカス補強材を有し、クラウン補強材は、タイヤを2つの互いに等しい又は実質的に等しい部分に分割する赤道面XX′の各側で延び、タイヤは、クラウン補強材の半径方向外側に位置した幅W及び全厚Eのトレッドを有し、トレッドは、転動面を有し、全厚Eは、転動面とクラウン補強材の半径方向最も外側の部分との間で赤道面XX′上で測定した材料の全厚に一致し、このトレッドは、走行中、摩耗状態になる材料の最大厚さPMUを有し、この最大厚さPMUは、全厚E以下である。
【0024】
クラウン補強材は、少なくとも2枚の実働プライ及び実働プライの半径方向外側に且つトレッドの半径方向内側に位置した保護プライによって形成され、幅の最も狭い実働プライは、トレッドの幅Wの70%から90%までの範囲にある幅を有する。
【0025】
実働プライは、特にタイヤの加圧と関連した力のバランス取りに寄与するためにタイヤの周方向に対して15°から25°までの範囲の角度をなして差し向けられたレインフォーサ又は補強要素から成る。保護プライは、実働プライを保護するのに役立ち、この保護プライは、一般に、2つの互いに異なる勾配を持つ力‐伸び曲線を呈するレインフォーサによって強化され、これらレインフォーサは、小さな力を受けて実質的に変形するようになっている(実働プライのレインフォーサとは異なる)。
【0026】
本発明のトレッドは、保護プライの半径方向外側に位置し且つこのプライの軸方向端相互間に位置した部分にのみ溝を備え、周方向に差し向けられた各溝は、最大摩耗厚さPMUの少なくとも75%に等しい深さを有する。
【0027】
このタイヤは、次の内容を特徴としている。
‐保護プライは、軸方向に幅の最も狭い実働プライの幅の多くとも70%に等しい幅を有する。
‐トレッドは、幅の最も狭い実働プライの軸方向端と保護プライの軸方向端との間(これら2つの端は、赤道面の同一の側に位置する)に軸方向に、全体として周方向に差し向けられた(即ち、タイヤの全体に沿ってぐるりと延びる)チャネルを有し、このチャネルは、摩耗状態になる材料の最大厚さPMUの少なくとも50%に等しい部分摩耗後に少なくとも1つの新たな溝を形成するようになっており、このチャネルは、このチャネルと実働プライとの間の最小距離及びこのチャネルと保護プライとの間の最小距離がゼロとは異なるように形成されている。
【0028】
本発明の変形例では、トレッドは、2つのショルダ側リブを含む複数個のリブを有し、幅Mを有する各ショルダ側リブは、トレッドの外側に開口した溝及び赤道面から軸方向に見て最も遠くに位置するトレッドの箇所によって画定され、各ショルダ側リブの幅Mは、他のリブの幅の少なくとも1.5倍に等しい。
【0029】
別の変形例では、本発明のトレッドは、新品状態におけるトレッドの厚みの中に転動面に向かう各チャネルの延長部としてスリットが設けられ、スリットは、スリットがフットプリントの通過中、少なくとも部分的に閉じることができるのに適した幾何学的形状を有するようなものである。この構成は、ショルダ側リブの幅が所与である場合、この構成により曲げ及びかくしてフットプリントの通過中におけるレベリングの際の融通性を取り戻すことができるので特に有利である。
【0030】
本発明の変形例では、トレッドは、新品状態において、各チャネル中の空所の容積がチャネル、溝又はスリットの向きとは無関係に、チャネル、溝及びスリットの組によって形成される空所の全容積の2%以上且つ15%以下であるようなものである。
【0031】
変形例では、本発明のトレッドは、新品状態におけるトレッド中の空所の全容積が走行中に摩耗状態になる材料の全体積、即ち、厚さPMUに相当する体積の18%以下であるようなものである。
【0032】
別の変形例では、本発明のトレッドは、各スリットが互いに向かい合ったフェースによって画定され、これらフェースが互いに対するこれらフェースの相対運動を機械的に制止する手段を有するようなものである。
【0033】
別の変形例では、本発明のトレッドは、各チャネルがトレッドの厚み中で摩耗状態になる材料の最大厚さPMUよりも大きな深さまで且つ多くとも全厚Eにわたって延びているようなものである。
【0034】
別の変形例では、本発明のトレッドは、少なくとも1つの周方向チャネルが少なくともトレッドの厚さの方向に「波状に起伏した」幾何学的形状を有し、したがって、このチャネルが適当な摩耗後に転動面上に連続的に開口することがないようになっているようなものである。
【0035】
別の変形例では、本発明のトレッドは、波状に起伏した幾何学的形状を有する少なくとも1つの周方向チャネル全体が新品状態のトレッドの転動面の下に形成されているようなものである。
【0036】
別の変形例では、本発明のトレッドは、少なくとも1つの周方向チャネルが少なくともタイヤの回転軸線に平行な方向に「波状に起伏した」幾何学的形状を有し、したがって、このチャネルが回転軸線から同一距離のところに位置したままであるようになっているようなものである。この変形例は、側方チャネルの位置が保護プライの端に対して可変であり、かくして応力が減少するので特に有用である。
【0037】
別の有利な変形例では、少なくとも1つの追加のチャネルが保護プライの端と軸方向に幅の最も狭い実働プライの端との間に形成された周方向チャネルにつながった状態で設けられており、この追加のチャネルは又、溝内に又はトレッドの外側に向かって開口している。この構成は、空気が内側から外側に向かって、そして又この逆の関係、即ち、外側から内側に向かって循環することができるようにする一種のネットワークをもたらし、かくしてトレッドのエッジの良好な温度調節が促進される。
【0038】
有利には、上述の本発明のトレッドは、推奨される使用が重量物運搬車両の駆動アクスルに取り付けられることであるタイヤに取り付けられるよう設けられる。有利には、このタイヤは、この好ましい使用を指示する手段を有する。
【0039】
本発明の他の特徴及び他の利点は、添付の図面を参照して提供される以下の説明によって明らかになり、添付の図面は、非限定的な例により、本発明により提案される種々の実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の第1の形態としてのタイヤの断面図である。
【
図2】本発明の別の形態としてのタイヤの断面図である。
【
図4】チャネルがトレッドの深さ中で波状に起伏している本発明のタイヤの別の形態を示す図である。
【
図6】転動面に向かうチャネルの延長部として、トレッドの厚み中に波状起伏部を有するスリットが設けられている本発明の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書に添付された図面中、同一の参照符号は、本発明の形態を説明するために使用可能であり、これら参照符号は、構造又は機能の面で同じ種類のものである要素を示している。
【0042】
図1は、315/70R22.5のサイズのタイヤの半分の部分図であり、このタイヤは、2つのビードを有し、これら2つのビードの延長部として、クラウンのところで接合されたサイドウォールが設けられ、このタイヤは、金属コードの単一のプライ1で構成された半径方向カーカス補強材によって補強されている。タイヤのクラウンは、半径方向外側の位置でトレッド2を載せたクラウン補強材を有し、トレッド2は、転動面20を有している。カーカス補強材は、折り返し部を形成するよう各ビード内でビードコアに固定されている。このカーカス補強材上には半径方向外側の位置でクラウン補強材3が載っており、クラウン補強材3は、内側から外側に向かって半径方向に、
‐金属コードで構成された「三角形構造形成プライ」と呼ばれる第1のクラウンプライ30を有し、これらコードは、円周方向に対して65°に等しく又はこれに近い角度をなして差し向けられている(円周方向は、
図1の平面に垂直である)、
‐このクラウンプライ30の上に位置し又は載っていて、周方向と18°の角度をなす金属コードで構成された第1の実働プライ31を有し、三角形構造形成プライ30及び第1の実働プライ31のコードは、円周方向に対して同一の向きを有し、この場合、この実働プライの全軸方向幅L1の半分は、252mmに等しい(この半分の幅は、赤道面XX′と実働プライ31の端310との間で測定される)、
‐次に、第1の実働プライ31の金属コードと同一であり且つ金属コードで構成されていて、周方向と第1の実働プライ31の角度とは符号が逆の角度をなし、図示の場合、絶対値で表して18°に等しい角度をなす金属コードで構成された第2の実働プライ32を有し、第2の実働プライの全軸方向幅リブ2は、232mmに等しく、
‐最後に、赤道面の両側でこの第2の実働プライ32の上に位置していて、周方向に対して、第2の実働プライの金属コードの角度と同一の方向の且つ絶対値で表してこの角度に等しい角度をなして差し向けられた金属コードで構成されている保護プライ33を有し、この保護プライは、実働プライを走行中、外部からの損傷から保護するのに役立つ。この保護プライのコードは、破断荷重の10%に等しい引張り荷重を受けると0.2%以下の相対伸び率を有する。
【0043】
保護プライの幅Lpは、124mmに等しい。
【0044】
使用条件においてフットプリントの幅に相当するトレッドの全幅Wは、280mmに等しい。クラウン補強材3の組をなすプライは、赤道面XX′の両側に等しく分布して配置されるよう位置決めされている。
【0045】
保護プライ33の半径方向外側に位置し且つ保護プライ33と同一の幅を有するトレッドの部分Cには、赤道面XX′の各側に溝4が設けられており、この溝は、新品状態において20mmの深さを有する。この溝4の幅は、深さにつれて変化し、この幅は、新品状態において転動面20上で、10.5mmに等しく、この幅は、溝の底部40から1.6mmのところでは、4mmに等しい。このトレッド2は又、「溝再生(regrooving)」を可能にするよう設計されており、即ち、摩耗限界レベルに達する前に、機械的切断作業によって各溝4を処理し、それにより平均深さが3mmの溝を再生させることができる。この場合、厚さPMUに対応した摩耗状態にある材料の最大高さは、新品状態では23mm(溝4の20mmの深さに溝再生のために提供される3mm分が追加されている)に等しい。加うるに、保護プライ33は、溝40の底部から5mmの距離Dのところに位置し、それにより、2mmの材料の厚さを溝再生後、この保護プライ33と溝の底部40との間に保持することができる。トレッドの全厚Eは、新品状態では転動面と赤道面上の保護プライ33の外側との間で測定され、この場合、トレッド全厚Eは、25mmに等しい。
【0046】
直径が6mmの円形断面のチャネル5が保護プライ33の端330と最も外側の実働プライ32の端320との間で軸方向に形成されている。この周方向に差し向けられたチャネル5は、新品状態において全体がトレッド内に存在するよう位置決めされ、より正確に言えば、転動面20から14mmの距離のところに位置決めされている。この場合、このチャネル5の底部51(トレッドの内側の最も近くに位置するチャネルの箇所に対応している)は、転動面20から新品状態における溝の底部40と同一の距離のところに位置する。
【0047】
このチャネル5を画定する箇所と赤道面XX′の同一側に位置した保護プライ33の端330との間の最小距離Fは、20mmに等しく、他方、半径方向最も外側の実働プライ32からのこのチャネル5を画定する箇所の最小距離Kは、7mmに等しい。
【0048】
この周方向に差し向けられたチャネル5は、タイヤの全体に沿ってぐるりと延び、このチャネルの半径方向外方の延長部として、スリット6が設けられ、新品状態において転動面20上に開口したこのスリットの幅は、3.5mmに等しい。このスリット6は、幅2mmのチャネル5内に開口している。スリット6の寸法は、このスリットが路面上のフットプリントのその通過中に少なくとも部分的に閉じられ、したがってチャネル5を閉じることができるようなものであり、それにより、タイヤが走行している間に路面上に存在する場合のある異物の入り込みが阻止される。
【0049】
走行試験を実施したが、この走行試験では、本発明のタイヤを追加の溝がチャネルに代わって形成され、他方、保護プライがこれらの溝を越えて軸方向に延長されている同一サイズのタイヤと比較した。カーカスとクラウンの両方における他の補強材は、本発明のタイヤの補強材と同一であった。これら試験結果の実証するところによれば、本発明のタイヤでは転がり抵抗の面で利益があり(即ち、走行中、エネルギー消費量が少なくなった)且つタイヤが部分的に摩耗したときの制動性能の著しい向上が得られた。さらに、本発明のタイヤは、トレッド中への物体の入り込みの面で性能が著しく向上したことを示し、したがって、その結果として、クラウン補強材の耐久性が高くなった。
【0050】
図2に示されている変形例は、
図1に示されたタイヤと同一の特性のうちの幾つかを有している。しかしながら、チャネルは、軸線がタイヤの回転軸線と一致した事実上円筒形の表面S上の波状に起伏した経路を辿るよう形成されている。かくして、チャネル5は、新品状態におけるタイヤの転動面から一定の又は事実上一定の距離のところに位置する。このチャネルから半径方向内方に最も遠くに位置する箇所は、トレッドの全厚Eに近い又は場合によってこれに等しい深さのところに位置する。この形態には、外側に向かう、即ち、新品状態における転動面に向かうチャネルの延長部としてのスリットがない。このチャネルは、トレッドをタイヤブランクに張り付ける前に、必要ならばトレッドのこの半径方向内側の表面に向かって開口したスリットが存在した状態でトレッドの半径方向内方側部上に成形により形成されるのが良い。この形態を提供した場合の利点は、保護プライ33の端330の損傷の受けやすさがチャネルをこれら端から少なくとも部分的に遠ざけることによって更に一段と軽減されることにある。
【0051】
図3は、
図2の断面で示された形態の平面図を部分的に示しており、
図3では、トレッドの側方部分B中のチャネル5の辿る波状に起伏した幾何学的形状が見える。
【0052】
最後に述べた形態は、チャネルが幅の最も狭い実働プライの端と少なくとも部分的にオーバーラップするよう改造可能である。
【0053】
図4に示されている形態では、各チャネル5は、新品状態における転動面20に交互に近づいたりこれらから遠ざかったりするよう波状に起伏しているのが良い。この形態では、チャネル5は、スリット6によって転動面20まで延長されている。明らかなこととして、この構成を
図2及び
図3に示されている構成と組み合わせることができ、それによりトレッドの厚さと幅の両方においてチャネルの波状起伏が得られる。
図5は、切断線が
図4の文字V‐Vによって示された平面で取った断面図である。この断面図では、チャネル5は、転動面20に近づき、次にこれから遠ざかるよう波打っていることが理解できる。この形態では、各々の一端が転動面20から見て最も遠くに且つ溝4の他端のところに位置した波打ちチャネル5の部分に連結された追加のチャネルを提供することが望ましい。
【0054】
図6に示された別の形態では、新品状態におけるトレッドの転動面20に向かう各周方向チャネル5の半径方向延長部として、実質的に一定幅のスリット6が設けられ、このスリットは、これを画定している壁上に、これら壁の相対運動を機械的に制止する手段を有している。この形態では、このスリット6は、トレッドの厚み中でジグザグの幾何学的形状を取る。この形態により、スリットの存在により引き起こされる剛性の低下を制限するだけでなく、下に位置するチャネル中への異物の入り込みの恐れを制限することができる。
【0055】
上述の形態の全てに関し、特に
図1及び
図6の文字B,Cにより示された領域中のトレッドの構成材料の性状及び特性を適宜変更することも又望ましいと言える。
【0056】
この形態は又、周方向チャネル5内に源を発し、そして他端が周方向溝内に開口した複数の横方向溝8を示している。この有利な構成により、トレッド内で且つクラウン補強材の端の近くの領域の可能な限り近いところで、溝からこの溝を周方向チャネルに連結する横方向チャネルを通るチャネルに向かう循環によって一通気又は換気形式が得られるという利点が提供される。溝と周方向及び横方向チャネルのこの組み合わせに鑑みて、表面上に且つ新品状態の転動面の下に位置する位置に一種のネットワークが形成される。
【0057】
図示していない別の形態では、全体として周方向に差し向けられた各チャネルを複数の横方向に差し向けられたチャネルと結合し、後者のこれら横方向に差し向けられたチャネルは、特に雨天における走行中、流体の側方排出を容易にすると共に更にクラウン補強材の軸方向端の付近に位置したトレッドの部分の良好な通気又は換気を促進するようトレッドの外側の側壁上に開口する。
【0058】
本発明を一般的に説明し、多くの形態によって裏付けしているが、本発明は、これら形態にのみ限定されることはないことは理解されるべきである。明らかなこととして、本発明の全体的範囲から逸脱しないでかかる形態に対して種々の改造を行うことができる。特に、チャネルの数は、タイヤのサイズ及び/又は使用に応じて、赤道面の各側で2つ以上であっても良い。同様に、これら周方向に差し向けられたチャネルは、これ又新品状態における転動面の下に設けられると共に例えばトレッドの側に側方に開口した他のチャネルに連結されても良い。
【0059】
説明した形態の全ては、有利には、本発明を利用する当業者のねらいに応じて、互いに組み合わせ可能である。