特許第6189326号(P6189326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189326
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】粘着ラベルを備えた容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/10 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   B65D85/10
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-549415(P2014-549415)
(86)(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公表番号】特表2015-503492(P2015-503492A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2012075749
(87)【国際公開番号】WO2013098109
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】11196266.8
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】セイファース デ オリヴェイラ ダニエル
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0252462(US,A1)
【文献】 特開2011−251766(JP,A)
【文献】 特開2009−292517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D85/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱と、
外側ハウジングの後壁を横切って延びるヒンジ線に沿って前記箱にヒンジ結合された蓋と、
を含む外側ハウジング、
消費者商品を包んでおり、取出し開口を有する内側包装体、及び
粘着ラベル、
を含み、
再シール可能な粘着剤が該粘着ラベル内面の第一部分に設けられ、該粘着ラベルの反対側の外面が、該外側ハウジングの蓋の前壁内面に対して永久的に取付けられ、前記外側ハウジングの前記蓋の移動により、同時に該粘着ラベルを開位置と閉位置との間で移動させるように構成された消費者商品用容器において、
前記粘着ラベルの外面の下端部が、前記前壁の下端から該前壁高さの少なくとも50%の位置において、前記外側ハウジングの前記蓋の前壁内面の下端部に永久的に取付けられ、前記粘着ラベルは、その移動の全体にわたり内側に凹状にされる、
ことを特徴とする消費者商品用容器。
【請求項2】
前記外側ハウジングの前記蓋に対する前記粘着ラベルの湾曲が、閉位置と開位置の間の移動の全体にわたり、実質的に一定である請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記内側包装体の高さに対する前記外側ハウジングの前記ヒンジ線の高さの割合が、少なくとも0.95である請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記内側包装体の高さに対する前記外側ハウジングの前記ヒンジ線の高さの割合が、1未満である請求項3項に記載の容器。
【請求項5】
前記内側包装体の高さに対する前記外側ハウジングの前記ヒンジ線の高さの割合が、0.95と1.00の間である請求項1又は2に記載の容器。
【請求項6】
前記外側ハウジングの前記ヒンジ線の高さが、前記内側包装体の高さと実質的に等しいか、それより大きい請求項1又は2に記載の容器
【請求項7】
前記内側包装体が、取出し部分を定める1又はそれ以上の破断線を有し、前記粘着ラベルの内面の部分が、前記内側包装体の前記取出し部分に取り付けられており、前記外側ハウジングの前記蓋を最初に開いたとき、前記1又はそれ以上の破断線に沿って、前記内側包装体の前記取出し部分を前記内側包装体の残りの部分から少なくとも部分的に切離し、前記内側包装体の取出し開口を形成するようになった、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
閉位置にある時に、前記粘着ラベル内面の第1部分に設けられた再シール可能な粘着剤が、前記内側包装体の前記取出し開口の周縁全体の周りに実質的に延びる請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
更に、前記内側包装体内に内側フレームを含む請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
消費者商品が喫煙用品である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着ラベルを有する消費者商品用容器に関する。本発明の容器は、特に、喫煙用品のような細長い消費者商品の容器としての用途を有するものである。
【背景技術】
【0002】
紙巻煙草及び葉巻などの喫煙用品は、一般的に、剛性のヒンジ蓋付き容器内に収められており、この容器は、箱と、容器の後壁を横切る方向に延びるヒンジ線のまわりで該箱に連結された蓋とを有する。この種のヒンジ蓋付き容器は、一般的に、一枚の薄層状の厚紙素材片から構成される。使用時には、該蓋がヒンジ線回りにピボット回転されて容器が開かれ、箱に収納されている喫煙用品の束に触れることができるようになる。
【0003】
箱に収納されている喫煙用品の束は、通常は、金属被覆された紙材、金属箔、その他の柔軟なシート材料からなる内側ライナー又は内側包装材により包装される。該内側ライナー内の喫煙用品束に触れるためには、消費者は、先ずヒンジ蓋付の容器を開けて、予め連続穴を設けた内側ライナーの上側部分を取り除かなければならない。
【0004】
消費者用商品、例えば喫煙用品の束を、再シールが可能で、実質的に気密性の包装材により包むことも知られている。消費者商品を収めたこの包装材が、ヒンジ蓋付容器に挿入される。
【0005】
例えば特許文献1は、取出し開口が形成されたバリアー材料の層からなるシールされた包装体内に喫煙用品が収められたヒンジ蓋付の喫煙用品包装パックを開示する。取出し開口は永久的な接着性をもつカバー層により覆われており、該カバー層は、最初に開いた後にバリアー材料層に係合させて、包装体を再シールすることができる。シールされた包装体には、喫煙用商品とバリアー材料の層との間にフレームが設けられ、このフレームにカバー層が押しつけられる。
【0006】
特許文献2は、カバーフラップにより閉じられる取出し開口をもつ内側包装体内に喫煙用品が収められた喫煙用品のヒンジ蓋付きパックを開示しており、該カバーフラップは、該カバーフラップの下側に塗布された不乾燥性粘着剤を用いて内側包装体に固定される。一実施形態では、該カバー層の底タブの外面が、蓋の前壁内面に取外し不能に永久的に接着され、蓋の開閉によりカバーフラップも同時に開閉される。この実施形態では、ヒンジ蓋付きパックの蓋を開けた時に、カバーフラップがS形状の折畳み部を形成する。
【0007】
特許文献2は又、ヒンジ蓋付きパックのカバーフラップの狭幅下端部の外面が、蓋の前壁の狭幅下端部内面に、永久的に、かつ、取外し不能に接着されることを開示する。この構成は、蓋の開閉に際してカバーフラップが移動することを可能にする。特に、ヒンジ蓋付きパックの蓋が閉位置にある時、カバーフラップは内側包装体に対して内側に凹形状の状態にある。しかし、蓋が開位置と閉位置の間を移動するにつれてカバーフラップの湾曲が変化し、ヒンジ蓋付きパックの蓋を開位置にした時に、カバーフラップが内側包装体に対して外側に凸状になる。カバーフラップが外側に凸状になると、取出し開口に対する操作が簡単にできなくなり、喫煙用品の取出しが妨げられるようになる。
【0008】
特許文献3は、さらに別のヒンジ蓋付きパケットを開示する。特許文献3に開示されたヒンジ蓋付きパケットは、カップ形状で剛性の厚紙製の外側容器と、この容器内に収められた、シールされた内側包装体とを有する。シールされた内側包装体は、紙巻煙草の束を包んでおり、その前側上部に紙巻煙草取出し用開口を備え、この取出し開口が、再び閉じることが可能なシーリングパネルによって閉じられる。この再び閉じることが可能なシーリングパネルは、使用者が蓋と同時にシーリングパネルを開き、続いて、蓋を閉じることなく該シーリングパネルを閉じることを可能にするグリップタブの形をしたフラップを備える。続いて、蓋は別の操作により閉じられる。外側容器は、開放された上端と、ヒンジに沿ってこの容器の後壁に結合されたカップ形状の蓋とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願第944,539号明細書
【特許文献2】国際特許出願第2008/142,540号明細書
【特許文献3】欧州特許第2,366,637号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術のパックがもつ上記した欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、箱と、外側ハウジングの後壁を横切って延びるヒンジ線に沿って該箱にヒンジ結合された蓋とを含む外側ハウジング、消費者商品を包んでおり、取出し用開口を有する内側包装体、及び、粘着ラベルを含む消費者商品用容器が提供される。再シール可能な粘着剤が、該粘着ラベルの内面の第一部分に設けられ、該粘着ラベルの反対側の外面が、該外側ハウジングの蓋の前壁内面に、該前壁の下端から前壁高さの少なくとも30%の位置において、永久的に取付けられる。該再シール可能な該粘着剤は、開位置と閉位置の間の外側ハウジングの蓋の移動が、該粘着ラベルを同時に開位置と閉位置の間で移動させるように設けられる。
【0012】
閉位置では、該粘着ラベルは、内側包装体の取出し開口を覆い、再シール可能な粘着剤によって内側包装体に引き剥がし可能に取付けられる。開位置においては、該粘着ラベルは、内側包装体から少なくとも部分的に剥がされて、内側包装体の取出し開口が少なくとも部分的に開かれる。粘着ラベルの外面は、外側ハウジング蓋の前壁内面に永久的に取付けられており、粘着ラベルは、開位置と閉位置の間の移動期間中、内側に凹状になる。
【0013】
粘着フラップに関連して“凸状”という用語は、本明細書全体において、粘着ラベルが蓋の外側方向に膨らむことを意味するものとして使用される。粘着ラベルに関連して“凹状”という用語は、本明細書全体において粘着ラベルが蓋の内側方向に膨らむことを意味するものとして使用される。
【0014】
本発明によれば、蓋の前壁内面に永久的に取付けられた再シール可能な粘着ラベルを備えることにより、蓋の開閉中に粘着ラベルが蓋内に留まるように付勢されるようになり、開口に対するあらゆる障害物を有利に排除できるので、好都合である。更に、粘着ラベルは、より複雑なS形状ではなく、単純なC形状になるように付勢されるので、特に蓋の開閉を繰り返した後においても、粘着ラベルが不適切に折り曲げられたり、皺になったりする危険性が著しく減少されるか、又は除去される。更に、使用中に、ラベルは、弛んだ状態ではなく、実質的に容器蓋内に収められた状態にあり、該容器蓋によって保護されるので、該ラベルが損傷を受ける危険性が減少する。
【0015】
ここで“C形状”という用語は、屈折点のない湾曲した形を有する形状を意味するものとして使用される。ここで“S形状”という用語は、1つの屈曲点を持つ湾曲した形を有する形状を意味するものとして使用される。ここで“U形状”という用語は、3部分からなり、第1部分と第3部分が互いに平行で、第2部分に直交する同じ方向に延びる形状を意味するものとして使用される。
【0016】
取出し開口の上でカバー層をシールするために設けられた粘着ラベルは、再シール可能な粘着剤を含んでおり、該粘着ラベルを何回も内側包装体の表面から剥がして、同じ面に再取付けすることができる。この構成は、内側包装体を繰り返し開閉して、消費者商品に個別に触れることを可能にする。再シール可能な粘着剤は、内側包装体内にある消費者商品の数と少なくとも同じ回数だけ再取付けされ、容器が空になるまで内側包装体を再シールするために使用できるように、ラベルに十分な粘着性を与えるものであることが好ましい。これは、消費者商品を容器内でより有効に保護することが可能になるという利点をもたらす。
【0017】
再シールに相応しい粘着剤は、当業者ではよく知られており、種々異なる粘着剤を、多くの供給者から商業的に入手することができる。好ましい粘着剤の選択は、使用時に粘着ラベルによりシールされるか又は再シールされる包装材又は包装体を形成する材料に依存する。
【0018】
外側ハウジングの蓋に対する粘着ラベルの湾曲は、閉位置と開位置の間の移動期間中、実質的に一定であることが好ましい。このような実質的に一定の湾曲を備えることは、疲労その他によりラベルが損傷する危険性を減少させる点で、利点をもたらす。
【0019】
特許文献2に開示されたヒンジ蓋付の包装パックにおけるカバーフラップとは異なり、本発明による容器の粘着ラベルの外面は、閉位置と開位置との間の移動期間の全体にわたり、粘着ラベルが内側に凹状になるように、外側ハウジングの蓋の前壁の内面に永久的に取付けられる。これは、粘着ラベル内面の第1部分に形成された再シール可能な粘着剤が蓋と接触することによりカバーフラップが貼り付く危険性を減少させるという利点をもたらす。
【0020】
粘着ラベルの外面が、外側ハウジング蓋の前壁に対し、該前壁高さの少なくとも50%の位置において永久的に取付けられることが好ましい。粘着ラベルの外面が、外側ハウジングの蓋の前壁に対し、該前壁高さの少なくとも80%の位置において永久的に取付けられることが更に好ましい。粘着ラベルの外面をこのような形態で永久的に取付けることにより、粘着ラベルが閉位置と開位置の間を移動する期間の全体にわたり、ラベルは、内側に凹状の状態に維持される。蓋前壁の高さは、該容器が垂直位置にある状態で、蓋の下端から垂直方向に測定されたものである。
【0021】
粘着ラベルの外面の下端部は、蓋の前壁の内面の下端部に永久取付けされることが好ましい。代替的には、粘着ラベルの自由端と、該自由端から前壁高さの少なくとも30%の線、より好ましくは前壁高さの50%の線、更に好ましくは前壁高さの80%の線とにより定められる粘着ラベルの外面の部分を、該蓋の前壁の内面に永久取付けすることができる。これにより、粘着ラベルを蓋の前壁内面に確実に取付けることが可能になる。
【0022】
内側包装体の高さに対する外側ハウジングのヒンジ線の高さの割合は、約0.95から約1.00の間であることが好ましい。外側ハウジングのヒンジ線の高さが、内側包装体の高さと実質的に等しいか、それより大きいことが更に好ましい。こうすることにより、蓋が閉位置から開位置に移動する際に、粘着ラベルが内側包装体から引き剥がされる。このような位置にヒンジ線を設けることは又、蓋が開位置から閉位置に移動する際に、ほぼ蓋の閉位置における粘着ラベルの位置において、粘着ラベルが内側包装体に最初に接触することを確実にする。このようにして、粘着ラベルと内側包装体の確実なシールが達成される。
【0023】
容器が従来の喫煙用品容器寸法と類似した寸法である場合には、該ヒンジ線は、容器上面から12mmより小さいか、それと等しい位置にあることが好ましく、該ヒンジ線が容器上面から8mmより小さいか、それと等しい位置にあることがより好ましく、該ヒンジ線が容器の上面から6mmより小さいか、それと等しい位置にあることが更に好ましい。
【0024】
粘着ラベルの下端に位置する該粘着ラベル内面の第2部分は、実質的に粘着剤のない状態であることが好ましい。この第2部分は、粘着ラベルの自由端と該自由端に平行な線とによって定められる。この線は、自由端から前壁高さの少なくとも4%の位置にあることが好ましく、自由端から前壁高さの少なくとも8%の位置にあることがより好ましく、自由端から前壁高さの少なくとも12%の位置にあることが更に好ましい。喫煙用品を収める通常の容器では、この線は、自由端から少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mm、より好ましくは少なくとも3mmの位置にある。この第2部分は、閉位置から開位置に蓋を移動させるのに必要な力を低減するために設けられる。第2部分は、該第2部分が内側包装体に対して接着されないのを確実にするように、中和されたものとすることができる。
【0025】
内側包装体は、取出し部分を定める1又はそれ以上の破断線を有し、粘着ラベル内面の第3部分が、内側包装体の取出し部分に永久取付けされ、外側ハウジングの蓋を最初に開くことにより、該1又はそれ以上の破断線に沿って、内側包装体の取出し部分が内側包装体の残りの部分から少なくとも部分的に切離されて、内側包装体に取出し開口が形成されるようにすることが好ましい。最初に外側ハウジングの蓋を開いた時、内側包装体の取出し部分が該1又はそれ以上の破断線に沿って内側包装体の残りの部分から部分的に切離されるが、その後の外側ハウジング蓋の開閉においては、内側包装体の取出し部分が内側包装体の残りの部分に取付けられたままの状態に留まるようにすることが、より好ましい。粘着ラベル内面の第1部分に設けられた再シール可能な粘着剤が、内側包装体の取出し部分の周縁のほぼ全体に延びるようにすることができる。
【0026】
閉位置において、粘着ラベル内面の第1部分に設けられた再シール可能な粘着剤は、内側包装体の取出し開口周縁のほぼ全体の周りに延びるようにすることが好ましい。
【0027】
内側包装体に取出し部分を定めることにより、最初に容器を開く前においては、内側包装体は、より確実にシールされた状態にある。これにより、容器内に収納された消費者商品の保存寿命を延ばすことができる。
【0028】
本発明の好ましい実施態様においては、容器は更に、内側包装体内に内側フレームを備える。該内側フレームは、前壁と一対の対向する側壁とを有するU形状の内側フレームであることが好ましい。代替的に、内側フレームは、容器と内側包装体との間に設けてもよい。大きな表面積を有する内側フレームは、容器の構造的強度を高めるので有利である。この内側フレームによりもたらされる構造的強度の増加が、粘着ラベルの確実な閉じを可能にする。これは、容器が満杯でない状態での、その後の閉じ操作にとって特に利点がある。
【0029】
内側フレームが容器と内側包装体との間に設けられている場合には、この内側フレームはカバー層を備えるように構成し、該カバー層の表面構造は、粘着ラベルが内側フレームの該カバー層に取り付けられた時に粘着ラベルからカバー層に粘着剤が殆ど移されることがないように選定することができる。例えば、内側フレームは、ポリエチレンテレフタレート(PET)が積層されたカバー層を有するものとすることができる。カバー層は、透明であるか又は金属被覆されたものとすることができる。粘着ラベルから内側フレームに粘着剤が移されるのを防止すると、埃又は微小粒子、例えば所謂“煙草粉”が内側フレームに付着しなくなる、という利点をもたらす。
【0030】
内側包装体は、金属箔又は金属被覆紙から形成することが好ましい。内側包装体の材料は、金属被覆したポリエチレンフィルムとライナー材料の積層体として形成することができる。ライナー材料は、スーパー仕上げのグラシン紙とすることができる。更に、内側包装体の材料は、印刷可能な上面被覆を備えていても良い。
【0031】
消費者商品は喫煙用品であることが好ましい。しかし、容器は、菓子類、乾燥食品など種々の消費者商品にも適している。
【0032】
ここで使用される“前“、“後“、“上方“、下方“、“上部“、“底部“、及び“側部“という用語は、外側ハウジング蓋が閉位置にあり、容器後壁にヒンジ線がある状態で、容器を垂直に立てた場合における、本発明による容器の各部及び構成要素の相対的位置を表すものである。本発明による容器を説明する場合には、説明される容器の方位に関係なく、これらの用語が使われる。
【0033】
“縦方向”という用語は、底部から上部の方向、又はその逆を意味する。“横方向”という用語は、縦方向と直交する方向を意味する。
【0034】
容器は、2つの広幅の壁が2つの狭幅の壁によって間隔を離して位置させられた長方形平行六面体であることが好ましい。
【0035】
“ヒンジ線”という用語は、容器を開くために、蓋がその回りにピボット回転する線を意味する。ヒンジ線は、例えば、容器の後壁を形成するパネルにおける折曲げ線か、切込み線とすることができる。
【0036】
容器は、適していればどのような材料からも形成することができ、これらの材料には、厚紙、板紙、プラスチック、金属、又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。外側ハウジングは、1又はそれ以上の折曲げた薄板状厚紙素材からそれぞれ形成することが好ましく、厚紙素材の重量は、約100g/m2から350g/m2の間であることが好ましい。
【0037】
容器が外包装材を備える場合には、該外包装材は、例えば高密度又は低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、配向性ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、セルロースフィルム、又は、それらの組み合わせからなる透明重合体フィルムであることが好ましく、更に、外包装材は通常の手法により取り付けられることが好ましい。外包装材は、引裂き線を備えていても良い。更に外包装材には、画像、消費者向け情報その他のデータを印刷することができる。
【0038】
上述したように、本発明による容器は、直角な縦方向縁部と、直角な横方向縁部を有する長方形の六面体形状とすることができる。代替的に、容器は、1又はそれ以上の丸みをもった縦方向縁部、丸みをもった横方向縁部、斜形状の縦方向縁部、又は斜形状の横方向縁部、又はこれらの組合せを備えるものとしてもよい。本発明による容器は、限定する意味ではないが、例えば、
−前壁に一個又は二個の丸みを持った又は斜形状の縦方向縁部を備え、及び/又は、後壁に一個又は二個の丸みをもった又は斜形状の縦方向縁部を備え、
−前壁に一個又は二個の丸みをもった又は斜形状の横方向縁部を備え、及び/又は、後壁に一個又は二個の丸みをもった又は斜形状の横方向縁部を備え、
−前壁に一個の丸みをもった縦方向端と一個の斜形状の縦方向縁部を備え、及び/又は、後壁に一個の丸みをもった横方向縁部と一個の斜形状の横方向縁部を備え、
−前壁に一個又は二個の丸みをもった或いは斜形状の横方向縁部を備え、前壁に一個又は二つの丸みをもった或いは斜形状の縦方向縁部を備え、
−第1側壁に二個の丸みをもった或いは斜形状の縦方向縁部を備え、又は第2側壁に二個の丸みをもった或いは斜形状の横方向縁部を備える、
ものとすることができる。
【0039】
容器が、一又はそれ以上の斜形状の縁部を備える場合には、この斜形状の縁部の幅は約1mmと約10mmとの間であることが好ましく、約2mmと約6mmとの間であることがより好ましい。代替的に、容器は、容器端に二つの明瞭な斜形状部分が形成されるように、互いに間隔をもって位置する三つの平行な襞付きの線又は切込み線によって形成される二重斜形状部分を含むことができる。
【0040】
代替的に、容器は、非長方形、例えば、三角形又は六角形のような多角形、半楕円形又は半円形の横断面を備えるものであってもよい。
【0041】
本発明の容器は、例えば紙巻煙草、葉巻、細巻き煙草のような細長い喫煙用品の容器として格別の用途を有する。本発明による容器は、その寸法を適切に選択することにより、通常のサイズ、キングサイズ、スーパーキングサイズ、スリム又はスーパースリム煙草の違った本数に対して設計できることが理解されるであろう。他の消費者用商品が容器に収納されるように変更することもできる。
【0042】
本発明による容器は、その寸法の適切な選択により、異なる総数の喫煙用品、又は異なる配列の喫煙用品を保持できるように設計することができる。例えば、本発明による容器は、その寸法の適切な選択により、総数が10本から30本の間の喫煙用品を保持するように設計することができる。
【0043】
喫煙用品は、該喫煙用品の総数に応じて、異なる揃え方に配列することができる。例えば、喫煙用品は、6本、7本、8本、9本又は10本からなる単一の列に配列することができる。代替的に、喫煙用品は、二列又はそれより多い列に配列してもよい。これらの二列又はそれより多い列は、同じ数の喫煙用品を含むものとすることができる。例えば、喫煙用品は、5本、6本、7本、8本、9本又は10本からなる二列、5本又は7本からなる三列、或いは4本、5本又は6本からなる四列に配置することができる。代替的に、二列又はそれより多い列において、少なくとも二列が互いに違う数の喫煙用品を含むようにしてもよい。例えば、喫煙用品は、5本の列と6本の列(5−6)、6本の列と7本の列(6−7)、7本の列と8本の列(7−8)、中央が5本の列であり、その両側が6本の列(6−5−6)、中央が5本の列で、両側が7本の列(7−5−7)、中央が6本の列で両側が5本の列(5−6−5)、中央が6本の列で両側が7本の列(7−6−7、中央が7本の列で両側が6本の列(6−7−6)、中央が9本の列で両側が8本の列(8−9−8)、又は中央が6本の列で、その一方側が5本、反対側が7本の列(5−6−7)に配列することができる。
【0044】
本発明による容器は、同じ形式又は同じ銘柄の喫煙用品、又は異なる形式又は異なる銘柄の喫煙用品を保持することができる。更に、フィルターレスの喫煙用品と種々のフィルターチップ付き喫煙用品、並びに、異なる長さ(例えば約40mmと約180mmの間)、異なる直径の喫煙用品(例えば約4mmと9mmの間)を収納するようにしてもよい。更に、喫煙用品は、味の強さ、吸引抵抗、微粒子物質放出総量の異なるものでもよい。容器寸法は、喫煙用品の長さ及び喫煙用品の配列に適合するものとされることが好ましい。典型的には、容器の外形寸法は、容器に収納される喫煙用品の束の寸法より約0.5mmから約5mmの間に寸法だけ大きいものとする。
【0045】
本発明による容器の長さ、幅及び深さは、蓋の閉位置において、結果としてできる容器全体寸法が、典型的な紙巻煙草20本入りヒンジ蓋付廃棄型パックの寸法と類似するようにできる。
【0046】
本発明による容器は、高さを容器の底壁から上壁までとして測定した場合において、高さが、約60mmから約150mmまでの間であることが好ましく、約70mmから約125mmまでの間であることが更に好ましい。
【0047】
本発明による容器は、幅を容器の一方の側壁から他方の側壁までとして測定した場合において、幅が約12mmから約150mmまでの間であることが好ましく、約70mmから約125mmの間であることが更に好ましい。
【0048】
本発明による容器は、深さを容器(箱と蓋の間にヒンジを含む)の前壁から後壁までとして測定した場合において、深さが約6mmから約150mmまでの間であることが好ましく、約12mmから約25mmまでの間であることが更に好ましい。
【0049】
容器の深さに対する容器の高さの割合は、約0.3:1から約10:1までの間であることが好ましく、より好ましくは、約2:1から約8:1までの間、最も好ましくは約3:1から5:1までの間である。
【0050】
容器の深さに対する容器の幅の割合は、約0.3:1から約10:1までの間が好ましく、約2:1から約8:1までの間がより好ましく、約2:1から3:1までの間が最も好ましい。
【0051】
外側スリーブの箱の後壁高さに対する蓋の後壁高さの割合は、約0:1(蓋が容器の上端に配置される)から約1:1までの間が好ましく、約1:5から約1:10までの間がより好ましく、約1:6から約1:8までの間が最も好ましい。
【0052】
外側スリーブの箱の前壁高さに対する蓋の前壁高さの割合は、約1:0(蓋が前壁全体を覆う)から約1:10までの間が好ましく、約1:1から約1:5までの間がより好ましく、約1:2から1:3までの間が最も好ましい。
【0053】
容器が喫煙用品を収納するものである場合には、容器は、更に廃棄物区画(例えば灰、吸殻のためのもの)又は、例えばマッチ、ライター、消火手段、口臭清新剤又は、電子器具といった他の消費者商品を含むことができる。他の消費者商品は、容器の外側に取り付けてもよく、喫煙用品と共に、容器の別の区画の中に収納してもよく、またこれらを組み合わせてもよい。
【0054】
本発明による容器の外面には、製造業者又は銘柄ロゴ、商標、スローガンその他消費者情報又は記号を、印刷、エンボス、デボスその他の方法で装飾表示することができる。
【0055】
本発明による容器は、喫煙用品が装填された状態で、例えば高密度または低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、配向性ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、セルロースフィルム、又は、それらの組み合わせからなる透明重合体フィルムにより、通常の手法で、収縮包装その他により外包装することができる。本発明による容器が外包装される場合には、外包装材は、1又はそれ以上の引裂きテープを含むことができる。更に外包装材には、画像、消費者向け情報その他のデータを印刷することができる。
【0056】
本発明のいずれの態様についても、記載され又は定義された種々の特徴の特別な組み合わせが、個別に実施され及び/又は構成され、及び/又は、用いられることも理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明は、例示のみとして、以下の図面を参照してさらに説明される。
図1】本発明による容器の斜視図を示す。
図2】本発明による容器を蓋の開位置で示す側面図である。
図3】本発明による容器を蓋の閉位置で示す側面図である。
図4】本発明による粘着ラベルの内面を示す。
図5】本発明による粘着ラベルの外面を示す。
図6】本発明による粘着ラベルの他の態様の内面を示す。
図7】本発明による粘着ラベルの他の態様の外面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、箱102(箱の底部分は図示されない)と蓋104とを有する容器100を示す。内側包装体106が該箱内に収められる。喫煙用品のような消費者商品は、該内側包装体106内に収納される。該容器の使用中に箱の中に内側包装体が保持されるように、内側包装体106は箱内面に永久取付けされてもよい。
【0059】
粘着ラベル108は、その外面の下部が永久的に蓋104の内面に取り付けられるように配置される。粘着ラベルの残りの外面は、容器のどの部分にも取付けられない。粘着ラベルの内面の上部は、内側包装体の後壁上部及び内側包装体の上壁後部において、該内側包装体に取り付けられる。再シール可能な粘着剤が粘着ラベル内面の周縁周りに配置されており、粘着ラベルは、内側包装体をシールし或いはシール解除することができる。
【0060】
内側包装体の取出し開口には、取出し部分が設けられており、該取出し部分は、容器を最初に開く前の状態では、該取出し開口の周縁に破断線により取付けられている。粘着ラベルの内面の一部には、該粘着ラベルを内側包装体の取出し部分に対して永久取付けするために、永久接着剤が設けられる。従って、最初に開いたとき、ラベルが、破断線において取出し部分を内側包装体から分離し、取出し開口を通して内側包装体内部に到達できるようにする。上述したように、蓋を閉位置にすると、その後は、内側包装体はこのラベルによりシールされる。
【0061】
使用者がより簡単に蓋を開けることができるようにするために、粘着ラベルの内側下部に、粘着性中和部分112が設けられる。ここで使用される粘着性中和という用語は、粘着剤の粘着性を除去するために中和処理された粘着剤を意味する。その他に、粘着性中和という用語は、粘着剤が塗布されていない粘着ラベルの部分を意味する。粘着性中和部分を設けることにより、粘着ラベルの再シール可能な粘着剤の面積が減少するため、最初に蓋を開くのに必要な力を減少させることができる。
【0062】
図2は、図1に示した容器100の側面図を示す。図から分かるように、粘着ラベル108は永久的な接着剤200によって蓋104の前壁内面に永久的に取り付けられる。永久的な接着剤部分200の寸法は、蓋が閉位置から開位置に移動する期間の全体にわたり、粘着ラベル108が内側に凹状の状態に留まるようなものとされる。図から分かるように、接着剤部分200は、蓋の下端から前壁高さの少なくとも50%まで延びる。図3に示されるように、蓋が閉位置の時、粘着ラベルは内側包装体106に接触した状態に置かれ、再シール可能な粘着剤が内側包装体に粘着ラベルを取り付ける。このラベルは、内側包装体の上壁と内側包装体の前壁の部分との両方において内側包装体に接触する。内側包装体の取出し開口は、粘着ラベルによって覆われるので、シールされた内側包装体が形成される。このシールが、内側包装体内に収納された喫煙用品のような消費者商品を保護する作用をする。
【0063】
使用者により蓋が容易に開かれるのを確実にするために、中和部分112に加えて、ヒンジ線300が、内側包装体の上面位置と同じ高さに配置される。この高さ又はこれより上方にヒンジ線を配置することにより、蓋と内側包装体との間の滑り移動を確実になくすことができる。従って、内側包装体から該ラベルが滑る場合に比べて小さな力で、粘着ラベルが内側包装体から剥がされる。
【0064】
図4は、粘着ラベル108の内面を示す。この内面は永久的な接着剤部分400を有する。上述したように、永久的な接着剤部分400は、ラベルを内側包装体の取出し部分に永久的に付着させるのに適している。部分402に再シール可能な粘着剤が設けられ、この粘着剤は、永久的な接着剤部分400の周縁周りに位置する。上述したように、再シール可能な粘着剤の部分402は、内側包装体106に剥離可能に接合される。粘着ラベル108の下端は、使用者がより簡単に容器を開けられるように、粘着性中和部分112を備える。
【0065】
図5は、粘着ラベル108の外面を示す。外面は永久的な接着剤部分200を備える。上述したように、永久的な接着剤部分200は、蓋の前壁内面に対して永久的に取り付けられる。該部分200の寸法は、蓋が閉位置から開位置に移動する期間の全体にわたり、粘着ラベルが蓋に取付けられた状態に維持されて、ラベルが内側に凹状の状態に留まるようにするものとされる。粘着ラベルの外面部分500には粘着剤が設けられない。
【0066】
図6は、粘着ラベル内面の他の実施形態600を示す。粘着ラベル600は、図4及び図5に示したものと類似しており、内側包装体の取出し部分に該ラベルを永久的に取付けるのに適した永久的な接着剤部分602を有する。更に、該ラベル600は、該ラベルを内側包装体にシールし、かつ再シールするのに適合した再シール可能な粘着剤部分604と、消費者がより簡単に容器を開くことを可能にする中和部分606とを有する。これらの特徴に加えて、ラベル600は、再シール可能な粘着剤部分604を囲む部分608を有する。この部分608には永久的な接着剤が設けられ、使用時に内側包装体に永久的に取り付けられる。この付加部分608は、内側包装体に付加的な剛性を与え、該ラベルと内側包装体との間により確実なシールを形成するのを可能にする。ラベル600の幅は、内側包装体の前壁幅と実質的に等しく、これにより、製造中に簡単で正確なラベルの位置決めが可能となる。蓋に取付けられたラベル600の部分が、蓋を開く際に、内側包装体に取付けられたラベル600の部分から切り離されない状態を生じる恐れを減少させるために、半円形の切込み610が設けられる。
【0067】
図7は、粘着ラベル600の外面を示す。ラベル部分600を容器の蓋に永久的に取り付けるための永久的な接着剤を備える部分700が設けられる。上述したように、該部分700は、蓋を閉位置から開位置に移動させる期間の全体にわたり、該ラベルが内側に凹状の状態に留まるような寸法とされる。この外面の残り部分は、粘着剤がなく容器に取り付けられない。
【0068】
すべての図において、破線は“折り曲げ”線を表わし、実線が“切断”線を表わす。
【符号の説明】
【0069】
100 容器
102 箱
104 蓋
106 内側包装体
108 粘着ラベル
112 粘着性中和部分
200 粘着部分
300 ヒンジ線
400 粘着剤部分
600 粘着ラベル
602 永久的な接着剤部分
604 再シール可能な粘着剤部分
606 粘着性中和部分
608 再シール可能な粘着剤部分を囲む部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7