(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体が、カニューレを画定する内表面を含み、前記カニューレが前記中心軸と同軸方向に前記インプラントの少なくとも一部に沿って延在し、更に前記ストランドが、少なくとも部分的に前記本体の前記カニューレ内に配設される、請求項1に記載のインプラント。
孔を画定する内表面を含むリング部材を更に含み、前記孔が、前記本体及び前記リング部材が相互に前記中心軸と実質的に平行な方向に平行移動することができるように前記本体の前記外表面を摺動自在に受容する寸法及び形状を有する、請求項3に記載のインプラント。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明において、特定の専門用語は便宜上のためにのみ使用され、限定的ではない。「遠位」及び「近位」という語は、それぞれ患者の身体に向かう方向及び同身体から遠ざかる方向を指す。「前」、「後」、「右」、「左」、「下」、及び「上」という語は、参照する図面における方向を指定する。「前部」、「後部」、「上側」、「下側」、並びに関連する語及び/又は句は、参照する人体における説明上の位置及び方向を指定するものであり、限定的であることを意図しない。専門用語には、前述で列挙した語、その派生語、及び同様の意味を有する語が含まれる。また、インプラントの部品の位置及び方向の説明には三次元座標系を用いている。この座標系は、長手方向L、側面方向A、及び横断方向Tを含み、各方向は他の2方向と垂直である。
【0013】
用語「複数」は、本明細書において使用するとき、2つ以上を意味する。値の範囲が明示されるとき、別の実施形態は、ある特定の値から、及び/又は他の特定の値までを包含する。同様に、値が先行詞「約」を用いることにより近似値として表現されるとき、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。更に、範囲で記述される値への言及は、その範囲内のあらゆる値を含む。全ての範囲は包括的であり、組み合わせ可能である。また、本明細書に別々の実施形態との関連で開示された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態中に組み合わせて提供されてもよい。逆に、単一の実施形態との関連で説明された本発明のさまざまな特徴はまた、個別に、又は任意のサブコンビネーションとして提供されてもよい。
【0014】
図1A及び1Bを参照すると、骨折骨1は、この骨1の主軸内に位置する髄腔2、及び骨折部3を含む。骨折骨1は、この骨1内にインプラント10を挿入することによって治療し得る。インプラント10は、骨1の髄腔2内に挿入され位置付けられるように形成され得る。インプラント10は、本体20、ストランド60、及びストランド60を本体20に対して固定するストランド保持機構70を含み得る。本体20は、長手方向Lに細長いものであってよく、遠位端22から近位端24まで中心軸26に沿って延在する。
【0015】
ストランド60は、本体20に対して固定されるように構成され、このストランド60に活性薬剤を充填し得る。一実施形態では、ストランド60は縫合糸、ワイヤ、又はその他の任意の適当な糸状材料であってよい。別の実施形態では、ストランド60は、例えば押し出しフィルムから切り出されたストリップのような細いリボン材料、又は扁平な形状を備えた織布もしくは編布であり得る。一実施形態では、活性薬剤は抗生物質(例えばゲンタマイシンなど)であってよく、この活性薬剤はインプラント20の植え込み部位における感染の恐れを低減し又は防止するのに適するように選択される。ストランド保持機構70は、本体20に取り付け可能で、活性薬剤がインプラント10の周囲に所望通りに分配されるよう、ストランド60を本体20に対して固定するように構成される。
【0016】
使用の際は、本体20の遠位端22を骨折骨1の髄腔2に挿入してよく、次いでこの本体20を髄腔2内において、遠位端22が骨折部3の一方の側に位置付けられかつ近位端24が骨折部3の他方の側に位置付けられるまで進めることによって、骨折骨1が治癒する間、この骨折骨1を固定することができる。骨折骨1の治療におけるインプラント10の使用については、以下により詳細に説明する。
【0017】
図2A及び2Bを参照すると、本体20は、遠位端22から近位端24まで中心軸26に沿って測定される長さを有する。本体は更に、遠位端22から近位端24に延在する外表面28を含む。外表面28は、本体20の外径D1を画定し得る。本体20の外径D1が特定の骨折骨の治療に適した寸法を有するようにインプラント10を選択できるよう、本体20の外径D1はさまざまであり得る。例えば、骨折大腿骨の治療に用いる本体20の外径D1は、骨折肋骨の治療に用いる本体20の外形D1より大きくてよい。一実施形態では、本体20の外表面28は図示のように丸型であり得る。あるいは、この外表面28は管状、又は骨の髄腔内に摺動自在に挿入されるように構成されたその他の任意の形状であってもよい。
【0018】
本体20はまた、本体20の長さの少なくとも一部にわたって延在するカニューレ(又は凹部)32を画定する内表面30を含むことができ、これにより例えば、本体20の内側を遠位端22から近位端24まで通る通路が開かれる。内表面30はまた、内径D2を画定し得る。一実施形態では、カニューレの断面が円形となるように、内表面30は図示のように丸型であってよい。あるいは、内表面28は、本体20の内側を通して開いた通路を提供する限り、その他の任意の形状であってもよい。
【0019】
一実施形態では、本体20は更に、第1の部分34及びこの第1の部分に直接接続する第2の部分36を含んでよい。第1の部分34は遠位端22を含み、第2の部分36は近位端24を含む。図示のように、第1の部分34は長手方向Lと平行に配置されてよく、第2の部分36は、本体20が屈曲するように第1の部分34から長手方向Lに対して(角αだけ)角度的にずれてよい。角αは約0°(本体20は屈曲しない)〜約45°で異なり得る。具体的には、角αは一実施例では約10°であってよい。本体20は、本体20が屈曲部全体にわたって滑らかとなるように、屈曲部に半径を含んでもよい。本体20は、本体20の挿入を補助し、またこの本体20が骨折骨1の髄腔2内に配置された時に骨折骨の位置合わせを補助するよう、適当な角αを備えるように選択され得る。いくつかの髄内くぎ用の入口部が関節面又は靭帯を避けるために角度をもって穿設され、その入口部位の角度に応じて、この角αを選択し得る。
【0020】
本体20はまた、例えば固定開口部38のような1つ以上の開口部を画定し得る。1つ以上の固定開口部38のそれぞれは、本体20を貫通して中心軸26と実質的に垂直な方向に延在する。固定開口部38が固定部材又はファスナー(例えばくぎ又はねじなど)を受容するように構成されるよう、固定開口部38の形状及び寸法はさまざまであり得る。本体20が骨折骨1内に位置付けられると、固定開口部38がそれぞれ固定部材を受容し、本体20を骨折骨に対して固定することができる。図示のように、固定開口部38は、本体20の長さに沿ってさまざまな位置に配設され得る。1つ以上の固定開口部38が遠位端22内に位置し得るし、1つ以上の固定開口部38が近位端24内に位置し得る。
【0021】
図3A〜3Dを参照すると、ストランド保持機構70は、インプラント10の骨折骨1内への挿入時にストランド60を本体20に対して固定するように構成される。ストランド保持機構70は、本体20の遠位端22に取り付けられるように構成されたキャップ又は挿入部材72(以下、キャップと称する)と、本体20の外表面28によって受容されるように構成されたリング部材82と、を含み得る。一実施形態では、リング部材82は完結したリングであってよいが、あるいはこのリング部材82は、部分的リング(例えばC字形又はU字形)であってもよい。キャップ72は、キャップ72の構造に基づいてさまざまな方法で本体20の遠位端22に取り付けることができる。例えば、一実施形態では、キャップ72は少なくとも部分的に本体20のカニューレ32内に配設し得る。別の実施形態では、キャップ72は本体20の遠位端22の外表面28上に、例えばスリーブのように嵌合させてよい。更に別の実施形態では、キャップ72は接着剤を用いて本体20の遠位端22に取り付け得る。本開示を通して用いられる場合、参照番号72はキャップ、又は広くは挿入部材を指す。キャップ72の具体的な実施形態を以下に説明するが、各実施形態を100ずつの増分によって識別する(172、272、372など)。包括的キャップ72についての説明はすべて、具体的実施形態であるキャップ172、272、372などのいずれとも組み合わせ得る。
【0022】
図3Bを参照すると、キャップ172は、図示のように軸174及びこの軸174に直接結合した先端部176を含む。軸174は外径D3を画定するが、外径D3は、軸174が本体20のカニューレ32内に受容され得るように設定される。上述したようにキャップ172が本体20内に受容されると、インプラント10が骨折骨1の髄腔2内に挿入される時に、先端部176がインプラント10の前縁となり得る。したがって、一実施形態では、先端部176はインプラント10の骨1内への挿入を容易にするようなドーム形状であってよい。一実施形態では、先端部176は、キャップの先端部176の全体がカニューレ32内に嵌入してしまわないよう、カニューレ32の内径D2より大きい外径D4を画定する。加えて、先端部176が骨折骨1内への挿入時(ハンマで繰り返し打ち付ける必要があることが多い)にインプラント10にかかる力に耐える十分な機械的強度を有することが好ましい。以上、キャップ172を、軸174及び先端部176を含むものとして説明したが、別の実施形態では、キャップ172は、このキャップ172が本体20のカニューレ32内に部分的に受容されかつ本体20に対して固定されるように構成されるような、いずれの形状を備えてもよい。例えば、キャップ172は円筒形、くさび形、コルク形、又は栓形であり得る。
【0023】
キャップ172は更に、遠位端22と取り付けられたキャップ172とが骨折骨1の髄腔2内へと進むにつれてストランド60もまた骨1内へと進むように、ストランド60をキャップ172に対して固定するよう構成された、少なくとも1つのストランド固定要素178を含み得る。一実施形態では、ストランド固定要素178は、ストランド60が貫通する孔であってよい。別の実施形態では、ストランド固定要素178は、ストランドがその凹部内に位置付けられたら圧着閉鎖するような凹部を含んでもよい。更に別の実施形態では、ストランド固定要素178は、ストランド60を受容し固定するノッチ又はフックであってよい。ストランド固定要素178は、軸174中に位置付けられても(本体20のカニューレ32中に配設されるべきストランド60の場合)、先端部176内に位置付けられても(本体20の外側に、本体の外表面28に近接して配設されるべきストランド60の場合)、又はこれら両方に位置付けられてもよい。更にまた別の実施形態では、ストランド60は射出成形キャップ172内にインサート成形されるか、又は接着剤を用いて取り付けられる。
【0024】
図3Cを参照すると、別の実施形態では、ストランド保持機構70はキャップ272を含み得る。キャップ272は、先導面274、後続面276、及び先導面274から後続面276に延在する本体278を画定する。図示の実施形態に示すように、本体278は栓状又はコルク状の形状を有してよい。キャップ272は更に、後続面276の付近に位置する外径D3を画定するが、この外径D3は、キャップ272が少なくとも部分的に本体20のカニューレ32内に受容されるように、カニューレ32の内径D2より小さくしてある。一実施形態では、キャップ272はまた、先導面274の付近に位置する外径D4を画定するが、この外径D4は、キャップ272の全体がカニューレ32に嵌入してしまわないように、カニューレ32の内径D2より大きくしてある。先導面274は、1つ以上のストランド60をキャップ272に対して固定するように構成された、1つ以上のストランド固定要素78(例えば
図3B参照)を含んでよい。別の実施形態では、ストランド60は、キャップ272上にストランド固定要素が不要となるような方法、例えば接着剤によって先導面274に固定され得る。
【0025】
図3B及び3Cに例示したキャップ172及び272は、それぞれ少なくとも部分的に本体20のカニューレ32内に配設されるように構成される。しかしながら、キャップ72のその他の実施形態も想到される。別の実施形態では、キャップ72は、キャップ72の全体が本体20のカニューレ32内に嵌入するように構成され得る。キャップ72をこのように位置付けることにより、インプラント10の挿入中にキャップ72を損傷する恐れが低減できる。更に別の実施形態では、キャップ72は、キャップ72の全体が本体20のカニューレ32の外側に配設されるように構成され得る。以下に
図4Cを参照してより詳細に説明するように、キャップ372は、本体20の遠位端22の外表面28上に嵌合するように構成されたスリーブ状の形状であってよい。キャップ72のさまざまな実施形態が、キャップ72の意図された用途に基づいて選択される適当な材料から形成され得る。例えば、キャップ72は、生分解性又は生体吸収性の材料、例えばポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメチレンカーボネート(PMC)、ポリエチレングリコール(PEG)、又はこれらのコポリマーから製作され得る。生分解性又は生体吸収性の材料は、挿入後にキャップ72を取り除かないことが望まれる場合に有益であり得る。別の実施形態では、キャップ72は、非生分解性又は非生体吸収性の材料、例えばポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、アクリル、又はポリウレタンから製作され得る。このキャップ72にもまた、本開示全体にわたって説明する任意の方法によって活性薬剤を充填してよい。
【0026】
図3A及び3D〜3Fを参照すると、リング部材82は、前面83、対向する後面84、及び前面83から後面84までの距離として画定される長さを含み得る。リング部材はまた、リング部材82を貫通して延在する孔86を画定する内表面85を有してよく、図示のようにこの孔は中心軸87上に中心をおいてよい。孔86は、孔の中心軸87が本体20の中心軸26と一直線状となった時にリング部材82が本体20の外表面28に沿って摺動自在となるように、本体20の外表面28に対して相補的な寸法及び形状を有する。一実施形態では、孔86は図示のように内径D5を有する円形であってよい。内径D5は、本体20の外形D1よりわずかに大きい。リング部材82は更に、リング部材82の外径D6を画定する外表面88を含み得る。外径D6は内径D5より大きく、内径85から外径88の方向に沿って中心軸87と垂直に測定される内表面85と外表面88との間で、厚さが画定される。
【0027】
リング部材82は、インプラント10を髄腔2内に挿入する時に1つ以上のストランド60を本体20の外表面28に対して所望の向きで固定するように構成された、1つ以上のストランド固定要素90を追加的に含み得る。
図3Dに示すように、ストランド固定要素90は、外表面88から内表面85に向かう凹部又はノッチ92を含む。凹部92は、リング部材82の長さだけ延在してリング部材82の一部を通る通路を形成することができ、この通路は、ストランド60を摺動自在に受容するように構成される。
【0028】
別の実施形態では、
図3Eに示すように、ストランド固定要素90は、前面83から対向する後面84に向かって延在する貫通孔93を含み得る。孔93は、リング部材82の長さだけ延在してリング部材82の一部を通る通路を形成することができ、この通路は、ストランド60を摺動自在に受容するように構成される。貫通孔93の数及び位置は、ストランド60の具体的な数に合わせ、またそれらのストランド60を相互に所望の相対位置に保持するために、所望に応じて異なり得る。例えば、リング部材82は、リング部材82の周囲の周りに均等な間隔で配置された1つ以上、例えば4つの貫通孔93を含む。別の実施形態では、貫通孔93はリング部材82内に、これらの貫通孔93が相互に均等な間隔とはならないように位置付けられ得る。
【0029】
図3Fに示すように、別の実施形態では、ストランド固定要素90は穴96を備えたフランジ94を含む。穴96は、この穴96を通してストランド60が平行移動できるよう、ストランド60を摺動自在に受容するように構成される。更に別の実施形態では、ストランド固定要素90は、ストランド60を摺動自在に受容し、かつインプラント10の骨1内への挿入時にこのストランド60を本体20に対して固定するように構成された、任意の構造を含み得る。
【0030】
図4Aを参照すると、一実施形態では、インプラント10は本体20及びストランド60を含む。図示のインプラント10は、組み立てられて植え込み準備が整った構成にある。ストランド60は本体20に対し、ストランド60が部分的に本体20のカニューレ32内に配設され、かつ部分的に本体20の外側に、外表面28に近接(例えば当接)して配設されるように、位置付けられている。図示のように、ストランド60は、このストランド60が部分的にカニューレ32内に配設され、かつ部分的に本体20の外側に、外表面28に近接して配設されるように、遠位端22(この遠位端22は固定開口部38を含めて示されている)でカニューレ32を貫通する。この実施形態では、インプラント10は、ストランド保持機構70を含まない。ストランド60が本体20のカニューレ32を貫通するものとして示されているが、別の実施形態では、ストランド60は、カニューレ32を通って本体20の外表面28の周りで輪を作り、戻ってカニューレ32を通ることを複数回繰り返すことで、インプラント10の活性薬剤をその上に有する面積を増加させることができる。
【0031】
図4Bを参照すると、ストランド60は、上述した
図4Aと同様に部分的に本体20のカニューレ32内に配設され、かつ部分的に本体20の外側に、外表面28に近接して配設されている。しかしながら、図示の実施形態に示すように、ストランド60が、固定開口部38を貫通することによってカニューレ32の内側から本体20の外側へと移行する。別の実施形態では、ストランド60は、本体20内の任意の開口部又は穴を貫通させることによって本体20に対して所望に応じて位置付けてもよい。典型的には、ストランドは本体の外表面に沿って、中心軸と実質的に平行な方向に延在するが、ストランドはまた、本体の外表面に沿ってその他の方向に延在してもよい。
【0032】
図4C〜4Eを参照すると、挿入工具196を用いることによって、ストランド60を本体20のカニューレ32に貫通させ得る。
図4Cに示すように、挿入工具196は針状本体197を含む。針状本体197は、先導端198及びアイレット199を含んでよく、このアイレット199は、先導端198の付近に配設され、かつストランド60を本体20のカニューレ32内に挿入する時にストランド60を受容し保持するように構成される。使用に際しては、ストランド60を針状本体197のアイレット199内に固定する。次いで、針状本体197をカニューレ32内に挿入し、近位端24から遠位端22に向かう方向に貫通させる。ストランド60が遠位端22を通過してしまえば、ストランド60をアイレット199から取り外してよく、次いで針状本体197を、カニューレ32を通して遠位端22から近位端24に向かう方向に抜き戻すことができる。
【0033】
図4Dに示すように、挿入工具196は棹体状の本体297を含み得る。桿体状本体297は先導端298及び内孔299を画定する。ストランド60は挿入工具297の先導端298に固定され、カニューレ32への挿入時には、内孔299がストランド60の少なくとも一部を包囲する。棹体状本体297をカニューレ32内に挿入し、近位端24から遠位端22に向かう方向に貫通させる。ストランド60が遠位端22を通過してしまえばストランド60を先導端298から取り外してよく、次いで棹体状本体297を、カニューレ32を通して遠位端22から近位端24に向かう方向に抜き戻すことで、カニューレ32の長さにわたって通されたストランド60を残すことができる。
【0034】
図4Eに示すように、挿入工具196は、ストランド60に取り付けるおもり297を含み得る。おもり297は、カニューレ32内に適合する任意の形状であってよい。使用に際しては、例えばストランド60をおもり297に結び付けることによってストランド60をおもり297に結び付けることができる。本体20を垂直方向に、近位端24が上向きに地面から遠ざかり遠位端22が下向きに地面に向かうように配置してよい。次いで、近位端24においておもりをカニューレ32内に挿入し、遠位端22に向けて自重送りする。おもり297及びストランド60が本体20の遠位端22を通過してしまえば、おもり297をストランド60から取り外してよい。別の実施形態では、本体20を垂直方向に、遠位端22が上向きに地面から遠ざかり近位端24が下向きに地面に向かうように配置してよい。次いで、遠位端24においておもりをカニューレ32内に挿入し、近位端22に向けて自重送りする。
【0035】
図4F及び4Gを参照すると、別の実施形態では、インプラント10が本体20、ストランド60、及びストランド保持機構70(キャップ172を含む)を含む。インプラント10は、組み立てられて植え込み準備が整った構成で示されている。キャップ172の軸174が本体20の遠位端22においてカニューレ32内に位置付けられることで、キャップ172及び本体20が相互に対して固定される。一実施形態では、ストランド60は、ストランド60の全体が本体20のカニューレ32内に位置付けられるように、キャップ172の軸174に固定され得る。別の実施形態では、ストランド60は、ストランド60の全体がカニューレ20の外側に、本体20の外表面28に近接して位置付けられるように、キャップ172の先端部176に固定されてよい(図示せず)。別の実施形態では、インプラント10は複数のストランド60(本明細書では第1のストランド60’及び第2のストランド60”と称する)を含んでよい。1つ以上の第1のストランド60’を、この第1のストランド60’の全体が本体20のカニューレ32内に位置付けられるように、キャップ172の軸174に固定してよい。加えて、1つ以上の第2のストランド60”を、この第2のストランド60”の全体がカニューレ20の外側に、本体20の外表面28に近接して位置付けられるように、キャップ172の先端部176に固定してよい。この実施形態では、ストランド保持機構70を、リング部材82を含むものとしては示していないが、リング部材82を含めることも可能である。
【0036】
図4Hを参照すると、図示のインプラントは本体20、ストランド60、及びストランド保持機構70(キャップ372を含む)を含む。インプラント10は、組み立てられて植え込み準備が整った構成で示してある。キャップ372は本体20の遠位端22において外表面28上に嵌合するように構成されている。キャップ372は、本体20の遠位端22において外表面28上にスリーブのように嵌合し、その全体が本体20の外側に位置付けられるキャップ372は、このキャップ372が本体20の遠位端22において外表面28上に嵌合する時に伸張するように弾性又は弾力的材料から形成されてよく、キャップ372の弾力性によってキャップ372が本体20の所定の位置に保持される。図示のように、ストランド60は、各ストランド60の全体がカニューレ20の外側に、本体20の外表面28に近接して位置付けられるように、キャップ372に固定される。この実施形態では、ストランド保持機構70を、リング部材82を含むものとしては示していないが、リング部材82を含めることも可能である。
【0037】
図4Iを参照すると、別の実施形態では、インプラント10が本体20、ストランド60、及びストランド保持機構70(キャップ172及びリング部材82を含む)を含む。インプラント10は、組み立てられて植え込み準備が整った構成で示してある。キャップ172の軸174が本体20の遠位端22においてカニューレ32内に位置付けられることで、キャップ172及び本体20が相互に対して固定されている。本体20はリング部材82内に、このリング部材82の内表面85が本体20の外表面と摺動自在に接触するように位置付けられている。一実施形態では、ストランド60は、ストランド60の全体が本体20のカニューレ32内に位置付けられるように、キャップ172の軸174に固定され得る。別の実施形態では、ストランド60は、ストランド60の全体がカニューレ20の外側に、本体20の外表面28に近接して位置付けられるように、キャップ172の先端部176に固定され得る。別の実施形態では、インプラント10は複数のストランド60(本明細書では第1のストランド60’及び第2のストランド60”と称する)を含んでよい。1つ以上の第1のストランド60’が、この第1のストランド60’の全体が本体20のカニューレ32内に位置付けられるように、キャップ172の軸174に固定され得る。加えて、1つ以上の第2のストランド60”が、この第2のストランド60”の全体がカニューレ20の外側に、本体20の外表面28に近接して位置付けられるように、キャップ172の先端部176に固定され得る。図示の実施形態に示すように、インプラント10は、第1のストランド60’及び第2のストランド60”の両方を含む。別の実施形態では、インプラント10が1つ以上の第2のストランド60”(カニューレ32の外側に配設)を含み、第1のストランド60’(カニューレ32の内側に配設)を全く含まないこともある。更に別の実施形態では、インプラント10が1つ以上の第1のストランド60’(カニューレ32の内側に配設)を含み、第2のストランド60”(カニューレ32の外側に配設)を全く含まないこともある。
【0038】
第2のストランド60”は、リング部材82のストランド固定要素90(図示せず)によって、第2のストランド60”が相互に所望の間隔で離間された関係に保持されるように、摺動自在に収容され得る。一実施形態では、このような離間配置関係は、相互に平行に配置され本体20の外表面28の周りに放射状に離間された第2のストランド60”を含み得る。例えば、インプラント10は、外表面28の周りにそれぞれ90°間隔で配置された4つの第2のストランド60”を含み得る。あるいは、第2のストランド60”は不均一な間隔で配置されてもよい。別の実施形態では、離間配置関係は、本体20の外表面28の周りに、これらの第2のストランド60”が相互に実質的に平行となるように、あるいは、これらの第2のストランド60”が相互に交差するように巻かれた第2のストランド60”を含み得る。
【0039】
図4Jを参照すると、別の実施形態では、インプラント10が本体20、ストランド60、及びストランド保持機構70(キャップ272及びリング部材82を含む)を含む。図示の実施形態に示すように、キャップ272は、キャップ272を通して通路が形成されるようにキャップ272を通して延在する長手方向孔273を含み得る。インプラント10の植え込み時には、この長手方向孔273にK−ワイヤ175又はその他の誘導機構を貫通させることでインプラント10の植え込みを補助することができる。
図4B〜4Dに示したキャップ272はまた、K−ワイヤ又はその他の誘導機構を受容してインプラント10の植え込みを補助するように構成された、長手方向孔273と同様の長手方向孔を含み得る。
【0040】
図4K〜4Mを参照すると、インプラント10の更に別の実施形態は、本体20、ストランド60、及びストランド保持機構70(キャップ272及び任意追加的にリング部材82を含む)を含む。図示の実施形態に示すように、ストランド60を取り付けたコネクタ180を本体20のカニューレ32を通して挿入し、キャップ272に固定することが可能である。キャップ272は、図示のように、コネクタ受容凹部290を含む。コネクタ受容凹部290は、コネクタ180をキャップ272に対して固定するように構成される。コネクタ180が、特定の形状を備える先導端182を画定し、コネクタ受容凹部290が、コネクタ180の形状に対応する形状を画定する。例えば、図示のように、先導端182の形状は丸形又はボール形状であって、コネクタ受容凹部290の形状に合致する。使用に際しては、キャップ272を本体20の遠位端22に固定する。次いで、挿入工具196に取り付けたコネクタ180を、本体20のカニューレ32に沿って挿入する。挿入工具196を遠位端22に向かって、コネクタ180の先導端182がコネクタ受容凹部290の対応する形状内に受容されるまで進める。図示のように、先導端182及びコネクタ受容凹部290は、先導端182がコネクタ受容凹部290にスナップフィットするように、対応する形状を有し得る。その後、挿入工具196を抜き取ってよく、その結果、キャップ272に固定されたコネクタ180が、本体20のカニューレ32内に配設されたストランド60とともに残される。
図4F〜4Iに示すキャップ172及び372もまた、上述したようにコネクタの先導端を受容するように構成されたコネクタ受容凹部290と同様のコネクタ受容凹部を含み得る。
【0041】
図5Aを参照すると、インプラント10は、組立前の構成を含み得る。1つ以上のストランド60は、第1の端部64及び第2の端部66を含む。第1のストランド60’の第1の端部64が、キャップ72の軸74に取り付けられている。第1のストランド60’の第2の端部66が、リング部材82の孔86を貫通し、遠位端22において本体20のカニューレ32内に進入し、近位端24を通して出ている。第2のストランド60”の第1の端部64が、キャップ72の先端部76に取り付けられている。第2のストランド60”の第2の端部66が、リング部材82のストランド固定要素90を貫通し、本体20の外表面28に近接して通っている。
【0042】
図5Bを参照すると、インプラント10は、組立後の構成を含み得る。本体20の遠位端22がキャップ72を受容し、外表面28がリング部材82を受容する。植え込み直前にリング部材82を遠位端22に近接して位置付けてよく、ストランド60がピンと張られて、リング部材82のストランド固定要素90内に摺動自在に受容される。
【0043】
図6A〜6Dを参照すると、骨折骨1を治療するための方法は、以下に詳細に説明するように、インプラント10を髄腔2内に挿入することを含む。
図6Aに示すように、インプラント10を、挿入時にキャップ72がインプラント10を先導するように、挿入部位4において髄腔2内に挿入する。遠位端22で本体20の外表面28の周りに位置付けられるリング部材82が、挿入部位4において骨1の外側に接触する。リング部材82は、挿入部位4において骨1の外側に当接するが、髄腔2には進入しないように、構成される。
図6Bに示すように、インプラント10の本体20及びキャップ72を髄腔2内で骨折部3に向かって進める。リング部材82は、以前の、挿入部位4において骨1の外側に当接した位置に留まる。キャップ72及び本体20を髄腔2内で進めるにつれて、キャップ72に固定されたストランド60もまた、髄腔2内へと進む。ストランド60がキャップ72とともに髄腔2内へと進むにつれて、ストランド60はリング部材82のストランド保持要素90(図示せず)を通して摺動するが、インプラント10の挿入全体にわたって、所望の離間配置関係に維持される。
図6Cに示すように、本体20が部分的に骨折部3の両側に位置するように、インプラント10を髄腔2内で進ませる。ストランド60はキャップ72とともに進み続けるが、リング部材82によってストランド60相互の所望の離間配置関係が維持される。
図6Dに示すように、本体20の全体が髄腔2内に位置付けられるように、インプラント10を完全に挿入する。本体20は、部分的に骨折部3の両側に位置している。リング部材82は、本体20の外表面28との接触から解除されている。ストランド60は、ともにくくりつけるか又は結びつけてよく、余分な長さは切り落としてよい。
【0044】
挿入プロセスの間、キャップ72及びストランド60は大きなせん断力を受けることから、このような高せん断力に耐えるように構成することが好ましい。一実施形態では、本体20はストランド60が髄腔2を画定する壁5に接触するように構成され、ストランド60が髄腔2の壁5と本体20の外表面28との間に押し込まれる。換言すれば、ストランド60は、植え込みの間に髄腔2の壁5に典型的には接触するか又は接触し得る、本体20の外表面28上に、位置付けられてよい。本実施形態では、本体20の外側にストランド60を位置付けることから、インプラント10の挿入時にストランド60がより大きなせん断力を受けることとなるため、ストランド60は典型的にはこれに耐えるように製造され構成される。この治療方法により、ストランド60のより精密な位置決め、したがってストランド60に充填される活性薬剤のより精密な送達が可能となる。
【0045】
例えば、ストランドは、植え込み時に髄腔2の壁5に当たりながらも損傷又は劣化を被ることなしに動き又は摺動するように、製造され構成され得る。結果的に、一実施形態では、活性薬剤を充填したストランドを組み込むために髄内くぎの表面を変更すること、又はその他の方法でストランドをせん断力から保護することを必要とすることなしに、カニューレを備えた標準髄内くぎをインプラントの本体20として用いることが可能である。一実施形態では、例えば生体吸収性縫合糸などのストランドを、引張強度を高めるために、軸方向に配置(牽引)してよい。例えば硫酸ゲンタマイシンなどの活性薬剤の粒子を含有する生体吸収性ポリマーを、ディップコーティングプロセスによって牽引フィラメントにコーティングしてよい。活性薬剤の粒子をポリマー中に懸濁又はコーティング溶液中に溶解させることで、塗膜をフィラメントの表面に強固に結合させることができる。フィラメント及び/又は塗膜は、典型的には、縫合糸の損傷又は塗膜の剥離を生ずることなしに髄内くぎの外表面上に位置付けられかつ骨の髄管内に挿入されるに十分な強度を有する。
【0046】
図7A〜7Lを参照すると、さまざまなストランド60に活性薬剤62が、ストランド60の植え込み時にストランド60が活性薬剤62を保持するようなさまざまな方法で充填され得る。例えば、ストランド60は、薬物−ポリマー−溶媒混合物を含む溶液でスプレーコーティングし得る。加えて、二次的なコーティングプロセスが不要となるようにフィラメントを薬物とともに押出成形することも可能である。更に、フィラメントは電解紡糸であってもよい。
【0047】
活性薬剤62を用いることで、感染リスクを低減し又は感染を防止し、治癒を促進するなどにより、骨折骨の治療の有効性を高めることができる。活性薬剤は、(例えば、増殖因子、鎮痛剤、及び抗炎症化合物に加えてゲンタマイシン又はその他の抗生物質の)粒子63と、塗膜65と、を含み得る。ストランド及び/又はコーティング材料は、ストランド及び/又は塗膜からの薬物放出速度を高める目的で、ストランド及び/又はコーティング材料の透水性又は膨潤性を高めるための添加剤を含み得る。
【0048】
塗膜は、例えばポリウレタンなどの、生体吸収性又は生体安定性(非吸収性)のポリマーを含み得る。生体吸収性ポリマーの追加的な例としては、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリメチレンカーボネート(PMC)、ポリエチレングリコール(PEG)、又はこれらのコポリマーを挙げることができる。あるいは、塗膜はポリマー以外のなんらかの材料、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、デキストラン、コラーゲン、ゼラチン、ポリペプチド、タンパク質、又は炭水化物からなってもよい。一実施形態では、活性薬剤層62は、約0.01mm〜約0.07mmの厚さを有し得る。
【0049】
図7Aに示すように、ストランド60は、単繊維であるコア68を含み得る。粒子63が、塗膜65内に配設される。塗膜65は、コア68の周りに層をなし、塗膜65の厚さは粒子63の直径より大きい。
図7Bに示すように、ストランド60は、単繊維であるコア68を含んでもよい。粒子63が、コア68の全体に分布する。粒子63は、均一又は不均一に分布し得る。この実施形態では、活性薬剤62は塗膜65を有する必要がない。
図7Cに示すように、ストランド60は、単繊維であるコア68を含み得る。粒子63が、塗膜65内に配設される。塗膜65はコア68の周りに層をなすが、この塗膜65の厚さは粒子63の直径より小さいことから、より多くの粒子63が露出している。
【0050】
図7Dに示すように、ストランド60は、マルチ繊維であるコア68を含み得る。粒子63が、塗膜65内に配設される。塗膜65は、コア68の周りに層をなし、塗膜の厚さは粒子63の直径より大きい。
図7Eに示すように、ストランド60は扁平なストリップ(又はリボン)であるコア68を含み得る。一実施形態では、コア68はポリマー材料からなる。粒子63が、コア68の全体に分布する。粒子63は、均一又は不均一に分布し得る。
図7Fに示すように、ストランド60は扁平なストリップ(又はリボン)であるコア68を含み得る。一実施形態では、コア68はポリマー材料からなる。コア68は、図示のように、このコア68の両面上に配設された、粒子63を含有する塗膜65を備えた固体ポリマーであってよい。
【0051】
図7Gに示すように、ストランド60は、単繊維であるコア68を含み得る。塗膜65がコア68の周りに層をなし、この塗膜65が溶解抗生物質を含む。本実施形態では、活性薬剤62は粒子63を有する必要がない。
図7Hに示すように、ストランド60は、単繊維であるコア68を含み得る。活性薬剤62(図示せず)は、コア68の全体に分布した溶解抗生物質を含む。溶解抗生物質は、均一又は不均一に分布し得る。本実施形態では、活性薬剤62は、粒子63及び塗膜65を有する必要がない。
図7Iに示すように、ストランド60は、マルチ繊維であるコア68を含み得る。塗膜65がコア68の周りに層をなし、この塗膜65が溶解抗生物質を含む。本実施形態では、活性薬剤62は粒子63を有する必要がない。
【0052】
図7Jに示すように、ストランド60は扁平なストリップ(又はリボン)であるコア68を含み得る。一実施形態では、コア68はポリマー材料からなる。活性薬剤62(図示せず)は、コア68の全体に分布した溶解抗生物質を含む。溶解抗生物質は、均一又は不均一に分布し得る。本実施形態では、活性薬剤62は、粒子63及び塗膜65を有する必要がない。
図7Kに示すように、ストランド60は扁平なストリップ(又はリボン)であるコア68を含み得る。一実施形態では、コア68はポリマー材料からなる。コア68は、図示のように、このコア68の両面上に配設された、溶解抗生物質を含有する塗膜65を備えた固体ポリマーであってよい。本実施形態では、活性薬剤62は粒子63を有する必要がない。
図7Lに示すように、ストランド60は、単繊維であるコア68を含み得る。粒子63は、塗膜65内に配設される。塗膜65は、コア68の周りに層をなし、塗膜の厚さは粒子63の直径より小さい。図示のように、活性薬剤は、例えば第2のポリマー層によって形成されたバリア塗膜67を含んでよく、このバリアによって粒子63が露出から保護される。
【0053】
図8A〜8Dを参照すると、植え込み可能な本体はまた、その他のタイプのインプラント、例えば骨プレート500に固定されたストランド60を含み得る。骨プレート500は、外表面を含むが、この外表面は、底部骨接触面501、対向する上面、及び外側周辺部513を含み得る。骨プレート500はまた、対向する端部、例えば遠位端505及び近位端507を含む。骨プレート500は更に、遠位端505から近位端507に中心軸511と平行な方向に沿って延在する本体509を含むことにより、本体509が長さを画定する。本体509はまた、底面501から上面503に中心軸211と垂直な方向に沿って延在することにより、本体509が厚さを画定する。本体509は更に、少なくとも1つの開口部、例えば底面501から上面503に延在する少なくとも1つのファスナー穴502、504、506、508、510を画定する。各ファスナー穴502は、典型的には骨ファスナー、例えば、骨プレート500を下層の骨に固定する非固定骨ねじを受容するように構成される。骨プレート500は、1つ以上の単一非固定ねじ穴502、多重固定及び非固定ねじ穴504、多重固定ねじ穴506、多重非固定ねじ穴508、単一固定ねじ穴510、又はこれらの任意の組合せを含み得る。一般に、ファスナー穴502、504、506、508、510のいずれも、これらのファスナー穴502、504、506、508、510が利用に際して最終的にねじ又はファスナーを受容するか否かにかかわらず、用い得る。別の実施形態では、ストランドは、ファスナー穴502、504、506、508、510のいずれをも利用することなしに、例えば接着剤を用いてストランド60を底面501又は上面503のいずれかに固定することによって、骨プレートに取り付けられ得る。その他の実施形態(図示せず)では、本明細書で説明したものと同様のインサート又はキャップを、ストランド保持機構として用い、ファスナー穴の1以上の内部又はその上に嵌合してストランドを骨プレートに固定するように構成してもよい。
【0054】
図8Aに示すように、ストランド60は、図示のようにストランド60をファスナー穴502、504、506、508、510の1つに貫通させ、ストランド60に結び目を作ることで、骨プレート500に固定してもよい。ストランド60をファスナー穴502、504、506、508、510の1つに通して輪にした後に、ストランド60の残部を骨プレート500の底面501に沿って位置付け得る。挿入に当たってストランド60を骨プレート500と下層の骨との間に位置付けることで、ストランド60上に充填された活性薬剤を送達し、医学的合併症を防止する。別の実施形態では、ストランド60をファスナー穴502、504、506、508、510の1つに通して輪にした後で、ストランド60の残部を骨プレート500の上面503に沿って位置付けてもよい。挿入に当たってストランド60を骨プレート500と軟組織層との間に位置付けることで、ストランド60上に充填された活性薬剤を送達し、医学的合併症を防止する。更に別の実施形態では、1つ以上のストランド60が、底面501及び上面503の両方の上に位置付けられてよい。典型的には、ストランドは外表面に沿って中心軸と実質的に平行な方向2に延在するが、ストランドはまた、本体の外表面に沿ってその他の方向に延在してもよい。
【0055】
図8B及び8Cに示すように、別の実施形態では、ストランド60は、2つ以上のファスナー穴502、504、506、508、510の複数、例えば2つの穴に通して輪にし得る。ストランドは、ファスナー穴を1回、又は骨プレート500に対する活性薬剤充填ストランド60の所望比率が達成されるまで複数回通して、輪にしてよい。
【0056】
図8Dに示すように、ストランド60は、1つ以上のストランドを非ファスナー穴512に通して輪にすることによって骨プレート500に取り付けてもよい。非ファスナー穴512は、典型的には骨プレート500を下層の骨に固定するための骨ファスナーを受容するためには用いられない、任意の穴であってよい。一実施形態では、非ファスナー穴512は、骨プレート500の厚さ全体にわたって通路が提供されるように、底面501から上面503に中心軸211と垂直な方向に沿って延在し得る。別の実施形態では、非ファスナー穴512は、底面501又は上面503のいずれか一方から外側周辺部513に延在してよく、これにより骨プレート500の厚さの一部のみを通して通路が提供される。
【0057】
当業者は、広い発明概念から逸脱することなく前述の実施形態に変更を行うことができることを理解されたい。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に制限されることなく、特許請求の範囲によって定義されるような本開示の趣旨及び範囲内の修正をも包含することを意図するものと理解される。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) インプラントであって、
近位端、遠位端、及び前記近位端から前記遠位端に延在する外表面を有する本体であって、前記近位端から前記遠位端に延在する中心軸を画定する、本体と、
高張力ストランドであって、前記ストランドの少なくとも一部が少なくとも部分的に前記本体の前記外表面に沿って前記中心軸と実質的に平行な方向に延在するように前記本体に近接して位置付けられ、活性薬剤が充填された、ストランドと、を含む、インプラント。
(2) 前記本体が、カニューレを画定する内表面を含み、前記カニューレが前記中心軸と同軸方向に前記インプラントの少なくとも一部に沿って延在し、更に前記ストランドが、少なくとも部分的に前記本体の前記カニューレ内に配設される、実施態様1に記載のインプラント。
(3) 前記本体が植え込まれた時に少なくとも部分的に前記カニューレ内に受容されるキャップを更に含み、前記キャップが、前記ストランドを前記本体の前記遠位端付近で受容する、実施態様2に記載のインプラント。
(4) 前記キャップが、前記インプラントの植え込みを補助する誘導部材を受容するように構成された長手方向孔を画定する、実施態様3に記載のインプラント。
(5) 孔を画定する内表面を含むリング部材を更に含み、前記孔が、前記本体及び前記リング部材が相互に前記中心軸と実質的に平行な方向に平行移動することができるように前記本体の前記外表面を摺動自在に受容する寸法及び形状を有する、実施態様3に記載のインプラント。
【0059】
(6) 前記リング部材が、前記ストランドが前記本体の前記外表面の少なくとも一部から離間されるように前記ストランドを前記本体の前記外表面に対して固定する、実施態様5に記載のインプラント。
(7) 前記本体が骨の髄腔内に植え込まれた時に前記ストランドの少なくとも一部が前記本体の前記外表面及び前記骨の両方に接触する、実施態様6に記載のインプラント。
(8) 前記本体が少なくとも1つの開口部を更に画定し、前記少なくとも1つの開口部が前記中心軸に対して角度的にずれるように、前記少なくとも1つの開口部が前記外表面から前記本体内へと延在する、実施態様1に記載のインプラント。
(9) 前記ストランドが少なくとも部分的に前記開口部内に配設される、実施態様8に記載のインプラント。
(10) 前記ストランドが生分解性である、実施態様1〜9のいずれかに記載のインプラント。
【0060】
(11) 前記ストランドが塗膜層を更に含む、実施態様1〜10のいずれかに記載のインプラント。
(12) 前記活性薬剤が粒子として前記塗膜層内に配設される、実施態様11に記載のインプラント。
(13) 前記活性薬剤が前記塗膜層内に溶解される、実施態様11に記載のインプラント。
(14) 前記活性薬剤が前記ストランド内に溶解される、実施態様1〜13のいずれかに記載のインプラント。
(15) 前記活性薬剤が粒子として前記ストランド内に配設される、実施態様1〜14のいずれかに記載のインプラント。
【0061】
(16) 前記ストランドが単繊維を含む、実施態様1〜15のいずれかに記載のインプラント。
(17) 前記ストランドがマルチ繊維を含む、実施態様1〜16のいずれかに記載のインプラント。
(18) 前記ストランドが少なくとも1つのリボンを含む、実施態様1〜17のいずれかに記載のインプラント。
(19) 前記活性薬剤が少なくとも1つの抗生物質を含む、実施態様1〜18のいずれかに記載のインプラント。
(20) 前記少なくとも1つの抗生物質がゲンタマイシンを含む、実施態様19に記載のインプラント。
【0062】
(21) 前記本体が骨プレートとして構成される、実施態様1に記載のインプラント。
(22) 前記本体が髄内くぎとして構成される、実施態様1に記載のインプラント。
(23) インプラントであって、
近位端及び遠位端を有する本体であって、前記近位端から前記遠位端に延在する中心軸を画定する、本体と、
前記本体が植え込まれる時に前記本体の前記遠位端に取り付けられるキャップと、
前記キャップによって受容される高張力ストランドであって、活性薬剤が充填された、ストランドと、を含む、インプラント。
(24) 前記本体がカニューレを画定する内表面を含み、前記カニューレが前記中心軸と同軸方向に前記本体の少なくとも一部に沿って前記近位端から前記遠位端に延在し、更に前記キャップは、前記ストランドが前記キャップから前記カニューレの少なくとも一部の中を近位に延在するように、少なくとも部分的に前記本体の前記カニューレ内に配設される、実施態様23に記載のインプラント。
(25) 前記本体が外表面を更に含み、前記ストランドの少なくとも一部が前記外表面の一部に沿って前記中心軸と実質的に平行な方向に延在する、実施態様23に記載のインプラント。
【0063】
(26) 前記ストランドが前記本体の前記外表面に当接する、実施態様25に記載のインプラント。
(27) リング部材を更に含み、前記リング部材が、前記本体の前記外表面を摺動自在に受容する寸法及び形状を有する孔を画定する内表面を含み、前記リング部材が、前記ストランドが前記本体の前記外表面から離間されるように前記ストランドを前記本体の前記外表面に対して固定する、実施態様26に記載のインプラント。
(28) 活性薬剤が充填された少なくとも2つの高張力ストランドが前記キャップに取り付けられる、実施態様23に記載のインプラント。
(29) 活性薬剤を有するインプラントを形成する方法であって、
活性薬剤を含有する高張力ストランドを植え込み可能な本体に取り付ける工程を含み、
前記植え込み可能な本体が近位端及び遠位端、並びに前記近位端から前記遠位端に延在する外表面を有し、かつ前記本体が前記近位端から前記遠位端に延在する中心軸を画定し、
前記取り付けられたストランドの少なくとも一部が前記本体の前記外表面の一部に沿って前記中心軸と実質的に平行な方向に延在する、方法。
(30) 前記植え込み可能な本体がカニューレを画定する内表面を更に含み、前記カニューレが、前記中心軸と同軸方向に前記植え込み可能な本体の少なくとも一部に沿って前記近位端から前記遠位端に延在し、更に前記取り付けられたストランドが、少なくとも部分的に前記本体の前記カニューレ内に配設される、実施態様29に記載の方法。
【0064】
(31) 前記取り付ける工程に先立って、
前記ストランドを挿入工具に取り付ける工程と、
前記挿入工具を、前記カニューレを通して前記近位端から前記遠位端に前記中心軸と同軸方向に進める工程と、
前記ストランドを前記挿入工具から取り外す工程と、を更に含む、実施態様30に記載の方法。
(32) 前記ストランドの少なくとも一部が前記植え込み可能な本体に、前記ストランドが前記外表面から離間されるように取り付けられる、実施態様29に記載の方法。
(33) 活性薬剤を有するインプラントを形成する方法であって、
高張力ストランドを植え込み可能な本体に取り付ける工程であって、前記高張力ストランドが活性薬剤を含有し、前記植え込み可能な本体が近位端、遠位端、及び前記近位端から前記遠位端に延在する中心軸を有する、工程を含み、
前記本体が、前記本体が植え込まれた時に前記本体の前記遠位端に取り付けられるキャップを含み、前記ストランドが前記キャップに取り付けられる、方法。
(34) 前記植え込み可能な本体がカニューレを画定する内表面を更に含み、前記カニューレが、前記中心軸と同軸方向に前記植え込み可能な本体の少なくとも一部に沿って前記近位端から前記遠位端に延在し、更に前記取り付けられたストランドが、少なくとも部分的に前記本体の前記カニューレ内に配設される、実施態様33に記載の方法。
(35) 前記取り付ける工程に先立って、
前記ストランドを挿入工具に取り付ける工程と、
前記挿入工具を、前記カニューレを通して前記近位端から前記遠位端に前記中心軸と同軸方向に進める工程と、
前記ストランドを前記挿入工具から取り外す工程と、を更に含む、実施態様34に記載の方法。
【0065】
(36) 前記キャップが少なくとも部分的に前記カニューレ内に配設される、実施態様34に記載の方法。
(37) 前記キャップが孔を画定し、前記キャップが少なくとも部分的に前記カニューレ内に配設された時に、前記孔が、前記インプラントの植え込みを補助する誘導部材を受容するように構成される、実施態様36に記載の方法。
(38) 前記ストランドの少なくとも一部が前記植え込み可能な本体に、前記ストランドが前記外表面から離間されるように取り付けられる、実施態様36に記載の方法。
(39) 薬物送達システムであって、
キャップ及びリング部材を含むストランド保持機構であって、前記キャップが植え込み可能な本体の第1の端部に取り付けられるように構成され、前記リング部材は、前記リングが前記本体の外表面に沿って摺動自在となるように前記植え込み可能な本体の前記外表面に着脱自在に固定可能なように構成される、ストランド保持機構と、
前記キャップに取り付けられ前記リング部材に着脱自在に固定可能なように構成される複数の高張力ストランドであって、前記リング部材の周りに放射状に相互に離間されるように前記リング部材に固定され、かつ活性薬物が充填された、ストランドと、を含む、薬物送達システム。
(40) 第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部から前記第2の端部に延在する外表面を有する植え込み可能な本体を更に含み、前記本体が、前記第1の端部から前記第2の端部に延在する中心軸を画定する、実施態様39に記載のシステム。
【0066】
(41) 前記植え込み可能な本体がカニューレを画定する内表面を更に含み、前記カニューレが前記中心軸と同軸方向に前記植え込み可能な本体の少なくとも一部に沿って前記近位端から前記遠位端に延在し、更に少なくとも1つの高張力ストランドが少なくとも部分的に前記本体の前記カニューレ内に配設される、実施態様40に記載のシステム。
(42) 前記少なくとも1つの高張力ストランドを受容するように構成される挿入工具を更に含み、前記挿入工具が、前記少なくとも1つの高張力ストランドの植え込み可能な本体に対する位置付け及び取付けを補助するために、前記植え込み可能な本体のカニューレ内を進むように構成される、実施態様39のシステム。
(43) 前記複数のストランドが、前記複数のストランドの前記少なくとも一部が前記植え込み可能な本体の前記外表面から離間されるように、前記リング部材に着脱自在に固定可能である、実施態様40に記載のシステム。
(44) 前記複数のストランドが前記本体の前記外表面に沿って放射状に相互に一定間隔で離間される、実施態様40に記載のシステム。
(45) インプラントであって、
近位端、遠位端、前記近位端から前記遠位端に延在する外表面、及びカニューレを画定する内表面を有する髄内くぎであって、前記カニューレが前記中心軸と同軸方向に前記インプラントの少なくとも一部に沿って延在する、髄内くぎと、
高張力ストランドであって、前記ストランドが少なくとも部分的に前記カニューレ内に配設されかつ少なくとも部分的に前記くぎの前記外表面に沿って延在するように、前記くぎに近接して位置付けられる、ストランドと、を含み、
前記ストランドが活性薬剤で充填される、インプラント。
【0067】
(46) 前記くぎが植え込まれた時に少なくとも部分的に前記カニューレ内に受容されるキャップを更に含み、前記キャップが、前記本体の前記遠位端付近で前記ストランドを受容する、実施態様45に記載のインプラント。
(47) 前記キャップが、前記インプラントの植え込みを補助する誘導部材を受容するように構成された孔を画定する、実施態様46に記載のインプラント。
(48) 孔を画定する内表面を含むリング部材を更に含み、前記孔が、前記本体及び前記リング部材が相互に平行移動できるように前記本体の前記外表面を摺動自在に受容するように構成される、実施態様47に記載のインプラント。
(49) 前記ストランドが前記本体の前記外表面から離間されるように、前記リング部材が前記ストランドを前記本体の前記外表面に対して固定する、実施態様48に記載のインプラント。
(50) 前記リング部材が前記本体の前記外表面に沿って近位に摺動すると、前記ストランドが前記リング部材に対して遠位に平行移動する、実施態様49に記載のインプラント。
【0068】
(51) インプラントであって、
骨プレートであって、
底面及び対向する上面を含む外表面、
遠位端、対向する近位端、及び前記遠位端から前記近位端に延在する中心軸、並びに
前記遠位端から前記近位端に前記中心軸と平行な方向に沿って延在する本体であって、更に前記底面から前記上面に前記中心軸と垂直な方向に沿って延在する、本体、を有する、骨プレートと、
活性薬剤が充填された高張力ストランドであって、前記外表面に沿って前記中心軸と実質的に平行な方向に沿って延在するよう、少なくとも部分的に前記外表面に近接して配設されるように、前記骨プレートに近接して位置付けられる、ストランドと、を含む、インプラント。
(52) 前記底面が骨接触面である、実施態様51に記載のインプラント。
(53) 前記本体が、前記底面から前記上面に延在する少なくとも1つの開口部を画定し、前記ストランドが、前記少なくとも1つの開口部を貫通する、実施態様51に記載のインプラント。
(54) 前記少なくとも1つの開口部が骨ファスナー穴である、実施態様53に記載のインプラント。