(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
著作者が、著作物の販売に際し、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者から本来受け取るべき対価を放棄し、該著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者は、該対価の一部を、販売者から著作物を購入した著作物の購入者に支払うことにより、著作物の購買意欲を向上させる著作物販売促進方法であって、
著作物の購入者は、著作物の紹介者となり、複数の被紹介者に該著作物を紹介し購入するよう働きかけることで、紹介者を上側、被紹介者を下側とするピラミッド型の階層的な購入者構造を形成し、任意の1名の著作物購入者から見て一定値(N)下の階層に属する者が著作物を購入した事実を、該著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者が把握した場合に、その1名の著作物購入者のみに対して著作物紹介報酬を支払うことにより購入者を増加させる著作物販売促進方法であって、
該著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者は、著作物の紹介者となった任意の著作物購入者から提供を受けた、
(1)その著作物購入者から直接的に著作物の紹介を受けた複数の被紹介者がそれぞれ著作物を購入した事実を示す、該著作物購入者が該複数の被紹介者から提供を受けたものである被紹介者購入事実情報、
(2)その著作物購入者から直接的に著作物の紹介を受けた複数の被紹介者をそれぞれ特定する被紹介者特定情報、
(3)その著作物購入者自身を特定する紹介者特定情報、及び、
(4)その著作物購入者が紹介報酬を受け取るための紹介者報酬受領情報、
を少なくとも含む紹介者識別情報を記憶手段に入力して記憶させる記憶ステップ、
照合手段が、記憶手段に記憶された紹介者識別情報の中から、任意の著作物購入者から提供を受けた被紹介者特定情報と、それとは別の著作物購入者から提供を受けた紹介者特定情報を照合して同一性を確認することで、ある著作物購入者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者が現れたことを検出する照合ステップ、
判定表示手段が、任意の著作物購入者の属する階層から見て一定値(N)下の階層に、その著作物購入者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者が現れたと判断した場合に、その事実をその著作物購入者の紹介者特定情報とともに表示する判定表示ステップ、
該著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者は、判定表示手段が紹介者特定情報を表示した著作物購入者に、該対価の一部を、著作物紹介報酬として支払う報酬付与ステップ、
を少なくとも含み、
該被紹介者購入事実情報が、被紹介者が著作物を購入した際に、該著作物の購入先である販売者から受け取った領収書、又は、該著作物から切り離したタグであることを特徴とする著作物販売促進方法。
著作者が本来受け取るべき対価のうち、著作物紹介報酬としてその著作物購入者に支払った分の残りは、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者が受け取るものである、請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の著作物販売促進方法。
【背景技術】
【0002】
書籍、音楽CD等の、複製物が大量に流通する性質を持つ著作物(以下、本明細書において、単に「著作物」といった場合、著作物の複製物をも意味する。)を創作した著作者は、著作物が多く販売されることにより、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(出版社・制作会社等)から、対価(印税)を受けるだけでなく、著作物が広く流通することにより、自らが著作物に込めた思想・感情が世人に伝わり広まることを望む。また、著作物に触れ、著作者の思想・感情に共感した者は、著作者同様に、著作者が著作物に込めた思想・感情が世人に伝わり広まることを望むことがある。
【0003】
著作物を世に広める方法として、出版社・制作会社等が宣伝する方法の他に、既に著作物を購入し、著作物の内容を知った者が、他の者に著作物を紹介するといった方法がある。
【0004】
商品の購入者が、他の者に購入した商品を紹介することにより、商品の購入者を次々に増やす販売促進方法として、購入者が別の購入者に商品を紹介し、商品を紹介された別の購入者が商品を購入した際に、紹介者に紹介報酬が支払われるという手法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、報酬を支払われるのは、商品の発見者の直接の上位者及び下位者であり、商品の紹介者は、いったん別の者に商品を紹介した後は、別の者が更に別の者に商品を紹介しても(すなわち、間接的に商品の紹介をしても)、報酬を受け取ることはできない。
【0006】
また、特許文献2の方法では、商品が購入者によって次々に紹介されていき、ある者が商品を購入した場合、全ての紹介者に、紹介報酬金が配分されるが、紹介報酬金額は、後順位の紹介者(紹介順位が当該購入者に近い紹介者)の方が多い。すなわち、多くの者を介して次々と商品が紹介されていった場合、先順位の購入者(紹介順位が当該購入者から遠い紹介者)が受け取ることのできる報酬の額はごく限られたものとなる。
【0007】
特許文献1や特許文献2に記載のような、商品の購入者が紹介報奨金を受け取ることのできる方法は、化粧品・装飾品のような分野において、使用されることの多い方法である。このような商品は、購入者が専ら自らのために使用する実用品である。
このような実用品の場合、購入者が別の者に商品を紹介する目的・動機は、自分が使用してみて良い商品だという印象を抱いたため、近しい者にも同じ商品の使用を勧め、その際に副次的に紹介報酬を得たい、というものである場合が多い。すなわち、実用品の場合、紹介者は専ら自分や近しい者のために商品の紹介を行うものであり(購入者は自分自身や自分に近しい者にのみ関心を持っており)、紹介者は、商品の製造者・販売者や、自分と近しい者でない間接的な被紹介者の動向に関心を持たない。このため、近しい者に商品を紹介し、その者が商品を購入することにより紹介報酬を受け取った段階で、紹介者の果たす役割は終わり、紹介者は商品の広がりに関して興味を失う。このため、特許文献1や特許文献2に記載のような、直接的な紹介者が多く紹介報酬を受け取り、間接的な被紹介者が紹介報酬をほとんど受け取れない方法は、商品を紹介することにより現実的にある程度の額の紹介報酬を受け取ることのできる可能性が期待できる点もあり、実用品の販売方法としては合理的である。
【0008】
一方、著作物の場合、著作物を創作した著作者や、著作者に共感した者は、著作物が次々に広まることを強く望む場合が多く、紹介者は、自分が直接著作物を紹介した友人・知人のみならず、自分とは関係の薄い間接的な被紹介者の動向にも強く関心を持つ場合が少なくないため、著作物の紹介を行う目的・動機は、実用品の場合とは大きく異なる。
また、実用品の場合と異なり、著作物の場合、著作物を創作する著作者は、自らの思想・感情を広めることが目的であり、著作物の販売により利益を挙げることが目的でない場合が多い。
このため、紹介者が副次的に著作物の紹介報酬を受け取ることのできる販売促進方法としては、現実的にある程度の額の紹介報酬を受け取ることが期待できる(直接紹介者が紹介報酬を受け取ることのできる)方法よりも、紹介者が直接的に著作物の紹介をした後も、著作物の広がりに関与できる方法、具体的には、自分と近しい者でない間接的な被紹介者が著作物を購入したこと(著作物が世に広まっていること)を知ることのできる販売促進方法が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、紹介者が副次的に紹介報酬を受け取ることのできる販売促進方法として、著作物に適した方法、具体的には、紹介者が直接的に著作物の紹介をした後も、著作物の広がりに関与できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、購入者が、著作物の紹介者となり複数の者に著作物を紹介し著作物を購入するよう働きかけることで、紹介者を上側、被紹介者を下側とするピラミッド型の階層的な購入者構造を形成することで著作物の購入者を増加させる販売促進方法において、紹介者から直接著作物の紹介を受けた被紹介者が著作物を購入した段階ではなく、紹介者から見て一定値下の階層に属する間接的な被紹介者が著作物を購入した際に、紹介者に紹介報酬が支払われるような販売促進方法を構築することにより、紹介者が直接的に著作物の紹介をした後も、著作物の広がりに関与できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0012】
また、紹介者が次々に複数の被紹介者に著作物を紹介する場合、一定値下の階層に属する被紹介者の数は、膨大な数になり、それゆえ、紹介者に支払う紹介報酬の額は、時に膨大な額になる場合がある。本発明者は、著作者が販売による利益を必ずしも望まない、という著作物の性質に着目し、著作者に本来受け取るべき対価(印税)を放棄させ、その中から紹介報酬を充当することにより、被紹介者の数が膨大な数になっても、紹介報酬の支払いに対応できることを見出して、本発明者は、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、
著作者が、著作物の販売に際し、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者から本来受け取るべき対価を放棄し、該著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者は、該対価の一部を、著作物の購入者に分配することにより、著作物の購買意欲を向上させる著作物販売促進方法であって、
著作物の購入者は、著作物の紹介者となり、複数の被紹介者に該著作物を紹介し購入するよう働きかけることで、紹介者を上側、被紹介者を下側とするピラミッド型の階層的な購入者構造を形成することにより購入者を増加させる著作物販売促進方法であって、
該著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者は、著作物の紹介者となった任意の著作物購入者から提供を受けた、
(1)その著作物購入者から直接的に著作物の紹介を受けた複数の被紹介者がそれぞれ著作物を購入した事実を示す、被紹介者購入事実情報、
(2)その著作物購入者から直接的に著作物の紹介を受けた複数の被紹介者をそれぞれ特定する被紹介者特定情報、
(3)その著作物購入者自身を特定する紹介者特定情報、及び、
(4)その著作物購入者が紹介報酬を受け取るための紹介者報酬受領情報、
を少なくとも含む紹介者識別情報を記憶手段に入力して記憶させる記憶ステップ、
照合手段が、記憶手段に記憶された紹介者識別情報の中から、任意の著作物購入者から提供を受けた被紹介者特定情報と、それとは別の著作物購入者から提供を受けた紹介者特定情報を照合して同一性を確認することで、ある著作物購入者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者が現れたことを検出する照合ステップ、
判定表示手段が、任意の著作物購入者の属する階層から見て一定値(N)下の階層に、その著作物購入者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者が現れたと判断した場合に、その事実をその著作物購入者の紹介者特定情報とともに表示する判定表示ステップ、
該著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者は、判定表示手段が紹介者特定情報を表示した著作物購入者に、該対価の一部を、著作物紹介報酬として支払う報酬付与ステップ、
を少なくとも含むことを特徴とする著作物販売促進方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の販売促進方法では、著作物の紹介者は、自らが直接著作物を紹介した被紹介者によって著作物が購入された時に紹介報酬を受け取るのではなく、紹介者/被紹介者の階層的な購入者構造が一定の階層値に達した場合に、紹介者から見て最下層に属する被紹介者によって著作物が購入された段階で、紹介報酬を受け取る。
本発明の方法は、特許文献1や特許文献2に記載のような、実用品の販売促進方法と異なり、紹介者は、直ちにある程度の額の紹介報酬を受け取ることは期待できないが、紹介者は、直接的に著作物の紹介をした後も、著作物の広がりに関心を持つことができる。また、最下層に属する被紹介者によって著作物が購入された際、紹介者は、自らが共感した著作物が世に広まったという喜びを得られるとともに、副次的に紹介報酬を受け取ることができる。このため、紹介者は、著作物を紹介すればそれで終わりというわけではなく、長期間にわたって、著作物の広まりとそれにより得られる報酬を期待することができる。
【0015】
また、本発明の販売促進方法では、紹介者に支払われる紹介報酬は、著作者が放棄した、本来著作者が受け取るべき対価(印税)から賄われ、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(出版社・制作会社等)が紹介者に支払う。すなわち、元々著作者に対価(印税)として支払われるべき金銭を、紹介報酬として紹介者に支払っているのであって、出版社・制作会社等が別途紹介報酬のための資金を用意する必要は無い。このため、実用品の場合に行われているように、一定期間商品を新たに購入した被紹介者が現れなかった場合に、紹介者への報酬を打ち切る、といった対策をする必要は無く、それゆえ、紹介者は、いつまでも著作物の広まりとそれにより副次的に得られる報酬を期待することができる。
【0016】
更に、本発明の販売促進方法では、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(出版社・制作会社等)は、著作物の売上が上がることによる収益を得ることができ、著作者が本来受け取るべき対価のうち、著作物紹介報酬としてその著作物購入者に支払った分の残りも、場合によっては収入とすることができる。
【0017】
本発明の販売促進方法では、著作者は、本来受け取るべき対価(印税)を放棄するので、利益を得ることができないが、著作者は、著作物に込めた思想・感情を世に広めることができる。このため、本発明の方法は、著作物の販売による利益を追求しない著作者に適した方法であり、このような著作者の一例として、読者の正義感に訴えるような内容の書籍の著作者が挙げられる。
【0018】
また、紹介者が次々に別の者に著作物を紹介していった場合、紹介者/被紹介者の階層的な購入者構造には、膨大な数の購入者が存在することになり、階層構造を把握する手間がかかる。
本発明では、紹介者に、その紹介者自身を特定する紹介者特定情報と、その紹介者による直接の紹介で著作物を購入した被紹介者を特定する被紹介者特定情報を提出させ、特定の購入者に関しての、「紹介者としての紹介者特定情報」と「被紹介者としての被紹介者特定情報」の照合を、人の手でなく照合手段に行わせるため、階層構造を把握することが容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
【0021】
本発明の方法は、著作物の販売を促進する(著作物の購入者を増加させる)方法であり、本発明の方法を実施することにより、著作者の思想・感情が込められた著作物を世に広めることができる。
本発明の方法に適用可能な「著作物」の種類に特に限定はないが、典型的には、書籍、音楽CD、映像DVDのような、複製物が市場において大量に流通する性質を持つ著作物のことであり、絵画のような著作物は本発明の方法には適さない。
書籍は、著作者の思想・感情が直接的に表現されやすいことから、本発明の著作物販売促進方法における著作物として特に適している。
【0022】
本発明の著作物販売促進方法では、著作者が、著作物の販売に際し、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者から本来受け取るべき対価を放棄し、該著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者は、該対価の一部を、著作物の購入者に分配することにより、著作物の購買意欲を向上させる。
【0023】
通常の場合、著作物を創作した著作者は、著作物の発行に際し、出版社・制作会社等と契約を結ぶことで、出版社・制作会社等に著作物の利用(複製・頒布)を許諾し、出版社・制作会社等は、著作物を複製し、複製した著作物を販売する。そして、著作者は、著作物利用の対価として、出版社・制作会社等から印税の支払いを受けるのが一般的である(
図1(a))。
本発明では、著作者は、この対価(印税)を放棄することになるため、本発明における「著作者」とは、典型的には、著作物の販売による利益よりも、自らの思想・感情を世に広めることを望む者である。
【0024】
「著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者」とは、典型的には、著作者から著作物の利用(複製・頒布等)の許諾を受けた者(出版社・制作会社等)であるが、著作者から著作権の譲渡を受けた著作権者であってもよい。
著作者が「本来受け取るべき対価」とは、通常の場合に、著作物の利用許諾や著作権の譲渡の際に、著作者と著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者との間で交わされた契約により、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者から著作者に支払われる、著作物1部あたりの対価(印税)をいう。
なお、以下、単に「対価」という場合、この、著作物1部あたりの対価(印税)をいう。
【0025】
本発明の方法では、後述する要件を満たした著作物の購入者(紹介者)に対して、対価の少なくとも一部を、著作物紹介報酬として、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者が支払う(
図1(b))。
このため、本発明の方法では、著作物の購入者(紹介者)が、紹介報酬を受け取れる可能性があり、著作物の購買意欲が向上する。
【0026】
著作物の購入者(紹介者)に支払われる対価は、著作者が本来受け取るべき対価の全部であってもよいし、一部であってもよい(なお、
図1(b)は一部の場合を想定したケースであり、対価の矢印を
図1(a)よりも細く描いている)。
また、著作者が本来受け取るべき対価の一部のみを著作物の購入者(紹介者)に支払う場合、残部の全てを著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者の元に残してもよいし、残部のうちの一部を、著作者に返還してもよい(図示せず)。
【0027】
本発明を実施するためには、出版社・制作会社等には、記憶手段、照合手段、判定表示手段等を備えたコンピュータの費用や、本発明の実施に伴う事務費用が発生する。一方、本発明における著作者となる者は、著作物の販売による利益を望まない場合が多い。
このため、本発明の方法では、著作者が本来受け取るべき対価のうち、著作物紹介報酬としてその著作物購入者に支払った分の残りは、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者が受け取ること(
図1(b)のようなケース)が特に好ましい。
【0028】
著作物購入者に支払われる著作物紹介報酬の額は、著作物1部につき、著作者が本来受け取るべき対価の額の30%以上70%以下であることが好ましく、40%以上60%以下がより好ましく、45%以上55%以下が特に好ましい。
著作物紹介報酬の額の下限が上記以上であると、著作物の購買意欲が向上し、階層的な購入者構造が形成しやすくなり、著作物紹介報酬の額の上限が上記以下であると、本発明の実施に伴う費用負担に対応しやすくなる。
【0029】
本発明の著作物販売促進方法では、著作物の購入者は、著作物の紹介者となり、複数の被紹介者に該著作物を紹介し購入するよう働きかけることで、紹介者を上側、被紹介者を下側とするピラミッド型の階層的な購入者構造を形成することにより購入者を増加させる。
【0030】
図2に、本発明における紹介者を上側、被紹介者を下側とするピラミッド型の階層的な購入者構造の模式図を示す。
【0031】
Xは、任意の著作物購入者を示し、
図2は、Xを階層の一番上(頂点)とした場合の模式図である。Xは、どのような経緯で著作物を購入した者であってもよい。例えば、著作者から直接紹介を受けて購入した者、偶然書店やCDショップ等の販売店で著作物を知った者、後述のように他の著作物紹介者から著作物の紹介を受けた者である。
【0032】
Xは、購入した著作物を、複数の者(1Aと1B)に紹介し、1Aと1Bに、同じ著作物を購入するよう働きかける。
1Aと1Bはそれぞれ、著作物を購入したら、Xがしたのと同様に、複数の者に(1Aは2Aと2Bに、1Bは2Cと2Dに)、同じ著作物を購入するよう働きかける。
2A、2B、2C、2Dもそれぞれ同様に、複数の者に同じ著作物を購入するよう働きかける。
このようにして、著作物を紹介された被紹介者が同じ著作物を複数の者に紹介していくことで、著作物の購入者が増加し、紹介者を上側、被紹介者を下側とするピラミッド型の階層的な購入者構造が形成されていく。
【0033】
著作物を購入した者(X、1A、1B、2A、2B、2C、2D、・・・)は、それぞれ、紹介者として、複数の(最低2名の)被紹介者に同じ著作物を紹介する。紹介者1名が著作物を紹介する被紹介者の数は、複数であればよく、2名であっても(
図2)、3名以上であってもよい。
【0034】
Xから見た場合、1Aと1Bは「1階層下に属する者」であり、2A〜2Dは、「2階層下に属する者」である。
本発明では、予め一定値(N)を設定しておき、Xから見て「N階層下に属する者」が著作物を購入した事実を著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者が把握した場合に、Xに対して著作物紹介報酬が支払われる。
【0035】
著作物の紹介を受けた被紹介者(例えば1A)が、別の者に対して著作物を更に紹介した場合、1Aを階層の一番上(頂点)とした階層的な購入者構造が形成される。
著作物が次々に紹介されていき、1Aから見て「N階層下に属する者」が著作物を購入した事実を著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者が把握した場合に、1Aに対して著作物紹介報酬が支払われる。
なお、1Aから見て、2Aと2Bは「1階層下に属する者」であるが、2Cと2Dは「1階層下に属する者」ではない(階層を上に辿っていっても、1Aに行き着かない)。すなわち、ある著作物紹介者から見て、一定値下の階層に属する者とは、階層を上に辿っていくと、その著作物紹介者に行き着く者をいう。
【0036】
本発明では、階層の一番上(頂点)に位置する任意の著作物の紹介者に支払われる著作物紹介報酬は、必ず、その著作物の紹介者から見て「N階層下に属する者」が著作物を購入した事実が判明した場合に支払われる。すなわち、ある1名の被紹介者が著作物を購入した場合、著作物紹介報酬が支払われる先となる者は、必ず1名である。
更に、著作物紹介報酬は、著作者が放棄した、本来著作者が受け取るべきであった対価(印税)から賄われる。
このため、本発明の実施の主体となる著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(出版社・制作会社等)は、著作物紹介報酬のための資金を別途用意する必要が無い。
【0037】
Xから見た場合、1Aと1Bは、直接的に著作物を紹介した被紹介者である。後述のように、Xは、自身が著作物を複数の者に紹介した事実等を出版社・制作会社等に報告するが、Xが報告するのは、X自身に関する情報と、直接被紹介者たる1A及び1Bに関する情報である。
一方、Xから見た場合、2階層以上の下に属する者(2A、2B、2C、2D、・・・)は、Xから直接的に著作物を紹介した被紹介者ではなく、別の者を介して間接的に著作物を紹介された間接被紹介者であり、Xは、これらの者に関する情報には関知しない。
【0038】
本発明の著作物販売促進方法は、記憶ステップ、照合ステップ、判定表示ステップ、報酬付与ステップを少なくとも含む。本発明は、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者によって実施されるものである。
【0039】
<記憶ステップ>
記憶ステップは、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者が、著作物の紹介者となった任意の著作物購入者から提供を受けた紹介者識別情報を記憶手段に入力して記憶させるステップである。
【0040】
「紹介者識別情報」は、少なくとも、(1)被紹介者購入事実情報、(2)被紹介者特定情報、(3)紹介者特定情報、及び、(4)紹介者報酬受領情報を少なくとも含む情報であり、その他に付加的な情報を含んでいてよい。(3)と(4)は情報を提供する紹介者自身に関する情報、(1)と(2)は紹介者が直接的に著作物の紹介をした被紹介者に関する情報である。
【0041】
紹介者識別情報は、著作物の紹介者となった任意の著作物購入者が、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者に提供する情報である。
以下、主に、
図2におけるXを紹介者、1Aと1Bを(複数の)被紹介者とした場合の、(1)〜(4)を含む紹介者識別情報について
図3に示しながら説明する。
【0042】
<<(1)被紹介者購入事実情報>>
「被紹介者購入事実情報」とは、著作物購入者(X)から直接的に著作物の紹介を受けた複数の被紹介者(1Aと1B)がそれぞれ著作物を購入した事実を示す情報であり、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(P)が、著作物が購入された事実を確認できる証拠となるような情報であれば、どのような形態で得られる情報であってもよい。
【0043】
被紹介者購入事実情報の典型的な例として、被紹介者が著作物を購入した際に、該著作物の購入先(書店、CDショップ等)である販売者(S)から受け取ったもの、すなわち領収書(レシート)が挙げられる。
また、著作物に付属物(タグ等)をつけ、購入後に著作物から切り離した該付属物を被紹介者購入事実情報の媒体として利用する方法や、著作物1部1部に、Pのみが知ることのできる不規則な番号を付し、その番号を被紹介者購入事実情報とする方法が考えられる。
【0044】
X(紹介者)は1A(被紹介者)と1B(被紹介者)からそれぞれ、被紹介者購入事実情報の提供を受け、それらを、Pに提供する。
【0045】
<<(2)被紹介者特定情報>>
「被紹介者特定情報」とは、著作物購入者(X)から直接的に著作物の紹介を受けた複数の被紹介者(1Aと1B)をそれぞれ特定する情報である。
【0046】
被紹介者特定情報は、本発明を実施するP(出版社・制作会社等)が被紹介者を特定することが可能な情報であれば、どのような情報であってもよく、典型的には、被紹介者の住所・氏名が挙げられる。
【0047】
X(紹介者)は、1A(被紹介者)と1B(被紹介者)の被紹介者特定情報を、Pに提供する。
X(紹介者)と1A・1B(被紹介者)は、親しい友人・知人であることが多く、そのようなケースでは、Xは1A・1Bの被紹介者特定情報を既に知っている場合が多いと考えられる。一方、例えば、偶然意気投合した者に著作物を紹介した場合は、X(紹介者)は、1A・1B(被紹介者)から提供を受ける等の手段で、1A・1Bの被紹介者特定情報を入手する必要がある。
【0048】
<<(3)紹介者特定情報>>
「(3)紹介者特定情報」とは、著作物購入者(X)自身を特定する情報である。紹介者となった著作物購入者(X)は、自分自身の情報として、紹介者特定情報をPに提供する。
【0049】
紹介者特定情報は、本発明を実施する著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(出版社・制作会社等)が紹介者を特定することが可能な情報であれば、どのような情報であってもよく、典型的には、紹介者の住所・氏名が挙げられる。
【0050】
Xから著作物の紹介を受け、著作物を購入した1Aは、紹介者として、別の被紹介者である2A・2Bに著作物を紹介し、Xがしたのと同様に、1A自身の紹介者特定情報を著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者に提供する。
1Aは、Xから著作物の紹介を受けた被紹介者でもあり、2A・2Bに著作物の紹介をした紹介者でもある。
「Xが提供した1Aの被紹介者特定情報」と「1Aが提供した1A自身の紹介者特定情報」は、同一の情報であり、後述する照合ステップにおいて、照合され、同一性を確認される。
【0051】
<<(4)紹介者報酬受領情報>>
「(4)紹介者報酬受領情報」とは、著作物購入者(X)が紹介報酬を受け取るための情報である。紹介者となった著作物購入者(X)は、自分自身の情報として、紹介者報酬受領情報を著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(P)に提供する。
【0052】
紹介者報酬受領情報は、本発明を実施するP(出版社・制作会社等)が、紹介者となった著作物購入者(X)に著作物紹介報酬を送付するために使用可能な情報であれば、どのような情報であってもよい。また、紹介者報酬受領情報は、紹介者特定情報と重複していても(全部又は一部が同一であっても)よい。
【0053】
紹介者報酬受領情報として、典型的には、著作物購入者(X)の預金口座の口座番号や口座名義等が挙げられる。この場合、Xから見て「N階層下に属する者」が著作物を購入した事実を把握したら、Pは、Xの預金口座に著作物紹介報酬を入金する。
【0054】
また、現金書留や、著作物紹介報酬の額に相当する景品という形式でXに著作物紹介報酬を送付することも可能である。この場合、Xの住所・氏名が紹介者報酬受領情報として機能することになり、紹介者特定情報もXの住所・氏名だった場合、紹介者報酬受領情報と紹介者特定情報は同一の情報ということになる。
【0055】
P(出版社・制作会社等)は、Xから提供を受けた、(1)〜(4)の情報を少なくとも含む紹介者識別情報を、「Xの紹介者識別情報」として、コンピュータの記憶手段に入力する。
Xから著作物の紹介を受けた被紹介者は、最低2名いるので、(1)と(2)の情報は、少なくとも2種類ずつ存在し、「Xの紹介者識別情報」を構成する情報は、少なくとも6種類が存在することになる(ただし、(3)と(4)は同一であっても、2種類と数える)。
【0056】
この6種類の情報(以下、単に「6種類の必須情報」という。)が記憶手段に入力された段階で、本発明を構成する「Xの紹介者識別情報」が機能することになる。よって、入力の手間を考慮すると、Pは、6種類の必須情報が全て揃った段階で、これらを一度に入力することが好ましく、PがXから情報の提供を受ける際にも、6種類の必須情報全てを一度に受け取ることが好ましい(ただし、五月雨式に入力したり、情報の提供を受けたりする場合が本発明の範囲外となるわけではない)。
【0057】
また、
図4に示すように、Xが1A・1B以外の追加の被紹介者(1cとする)にも著作物を紹介し、1cが著作物を購入した場合、Xは「1cの被紹介者購入事実情報」と「1cの被紹介者特定情報」を、追加の情報としてPに提供し、Pはそれを記憶手段に入力する。これら追加の情報は、6種類の必須情報と一緒に入力してもよいし、6種類の必須情報と別々に入力してもよい。
追加の被紹介者(1c)は、6種類の必須情報の入力が済んだ後に、著作物を購入する場合もあり、このような場合は必然的に「1cの被紹介者購入事実情報」と「1cの被紹介者特定情報」は、6種類の必須の情報とは別に後から追加的に入力し、既に記憶手段に入力されている「Xの紹介者識別情報」を更新することになる。
【0058】
PはXから、情報の提供をどのような形式で受けてもよい。例えば、郵送等で受けてもよいし、電子メール等で受けてもよい。
また、Pが情報を入力する記憶手段は、コンピュータ(電子計算機)に備えられた記憶手段であれば、どのようなものであってもよい。
【0059】
Pは、任意の著作物購入者から、情報が変更された旨の連絡を受けた場合、紹介者識別情報のうち、該当する情報を変更し、紹介者識別情報を更新する。
例えば、Xの住所変更をした旨の連絡を受けた場合、「Xの紹介者特定情報」を変更し、「Xの紹介者識別情報」を更新する。
【0060】
<照合ステップ>
照合ステップは、照合手段が、記憶手段に記憶された紹介者識別情報の中から、任意の著作物購入者から提供を受けた被紹介者特定情報と、それとは別の著作物購入者から提供を受けた紹介者特定情報を照合して同一性を確認することで、ある著作物購入者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者が現れたことを検出するステップである。
【0061】
以下、主に、
図2におけるX、1A、2Aの関係を例にして照合ステップを説明する。この例では、上記「任意の著作物購入者」はXのことであり、上記「それとは別の著作物購入者」は1Aのことであり、上記「ある著作物購入者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者」は2Aのことである。
【0062】
記憶ステップを経た後は、多数の著作物購入者から提出された紹介者識別情報が、記憶手段に記録されている。このうち、照合ステップにおいて照合手段による照合に使用される情報は、「(2)被紹介者特定情報」と、「(3)紹介者特定情報」である。
XがPに提供するのは、1A・1Bの被紹介者特定情報と、X自身の紹介者特定情報であり(必要に応じて、追加の被紹介者の情報も提供している場合がある)、これらは他の情報とともに、「Xの紹介者識別情報」として、記憶手段に記憶されている(
図5)。
同様に、1AがPに提供した、2A・2Bの被紹介者特定情報と、1A自身の紹介者特定情報は、他の情報とともに、「1Aの紹介者識別情報」として、記憶手段に記憶されている(
図5)。
【0063】
以下、「Xが提供した1Aの(2)被紹介者特定情報」を(X−2−1A)、「1Aが提供した2Bの(2)被紹介者特定情報」を(1A−2−2B)、「Xが提供したX自身の(3)紹介者特定情報」を(X−3−X)、「1Aが提供した1A自身の(3)紹介者特定情報」を(1A−3−1A)、のような記号で略記する。
また、( )内において、ハイフンとハイフンの間に記された数字を「中部」、中部の前に記された記号を「前部」、中部の後に記された記号を「後部」という。
【0064】
この記法では、中部が2の情報は被紹介者特定情報を表し、中部が3の情報は紹介者特定情報を表す。
また、前部はPにその情報を提供した者を表し、後部はその情報によって特定される者を表す。
中部が2の場合、後部が表す者は、前部が表す者の1階層下に属する者である。中部が3の場合、前部と後部は必ず同一の記号となる。
【0065】
後部はその情報によって特定される者を表すため、後部が同一である2つの情報は、同一の情報である。例えば、「Xから提出された1Aを特定する情報(1Aの住所・氏名等)」である(X−2−1A)と、「1Aから提出された1Aを特定する情報(1Aの住所・氏名等)」である(1A−3−1A)は、同一の情報である。
【0066】
照合ステップでは、コンピュータの照合手段が、多数の者から提供され記憶手段に記憶された被紹介者特定情報(中部が2の情報)及び紹介者特定情報(中部が3の情報)を照合して同一性を確認する。すなわち、照合手段が、記憶手段に記憶された被紹介者特定情報(中部が2の情報)と紹介者特定情報(中部が3の情報)の中から、同一である情報を抽出する(
図6(a))。
【0067】
照合ステップにより抽出された被紹介者特定情報と紹介者特定情報(すなわち、互いに同一のものが存在する被紹介者特定情報と紹介者特定情報)のみを集めたデータ(
図6(b))を「一致データ」という。
後述の判定表示ステップでは、この一致データを参照することにより、判断を行う。
【0068】
紹介者が次々に別の者に著作物を紹介し、多数の著作物購入者から紹介者識別情報が提供された場合、被紹介者特定情報と紹介者特定情報の照合を人の手で行うには膨大な時間を要する。このため、本発明では、照合をコンピュータの照合手段に行わせる。
照合ステップには、多数の情報の中から同一である情報を抽出することができる公知のプログラムが使用される。
【0069】
照合ステップはどのような頻度で実行してもよい。
例えば、記憶ステップが実行される毎に(記憶手段に紹介者識別情報が新しく記憶されるか又は更新される毎に)照合ステップを実行してもよいし、一定件数の紹介者識別情報が記憶手段に新しく記憶される毎に照合ステップを実行してもよいし、一定期間毎に照合ステップを実行してもよい。
【0070】
<判定表示ステップ>
判定表示ステップは、判定表示手段が、任意の著作物購入者の属する階層から見て一定値(N)下の階層に、その著作物購入者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者が現れたと判断した場合に、その事実をその著作物購入者の紹介者特定情報とともに表示するステップである。
【0071】
本発明では、予め一定値(N)を設定しておき、ある著作物購入者(紹介者)から見て「N階層下に属する者」が著作物を購入した事実を、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者が把握したら、Xに対して著作物紹介報酬が支払われる。
【0072】
Nは2以上の整数であれば、どのような値に設定することも可能ではあるが、ある程度大きな値に設定することにより、本発明の効果を奏しやすくなる。
【0073】
Nを大きな値に設定するほど、任意の紹介者から見てN階層下まで紹介者・被紹介者の関係がつながる可能性は少なくなり、紹介者が著作物紹介報酬を得られる可能性は少なくなる。
しかしながら、前記したように、本発明では、実用品のケースとは異なり、著作物を購入し紹介する者は、自らが共感した著作物を世に広めることも目的としている場合が多い。
このため、Nをある程度大きな値に設定することで、なかなか著作物紹介報酬を得ることができないため、紹介者は、長期間にわたって著作物の広まりに関心を持つことができ、かつ、可能性は極めて低いもののいつか突然得られるかもしれない著作物紹介報酬への期待も持ち続けることができる。
【0074】
一方、Nが小さい値だと、紹介者は、現実的に収入を得ることを期待してしまい、著作者の思想・感情に共感した者に著作物を次々に広めていく、という本発明の目的を奏さなくなる場合がある。
【0075】
具体的なNの範囲としては、16≦N≦20であることが好ましく、N=18であることが特に好ましい。
本発明では、紹介者は、必ず複数の被紹介者に著作物を紹介する。紹介者1名につき、必ず2名の被紹介者に紹介する場合、ある紹介者(著作物購入者)から見て、「N階層下に属する者」の数は、N=16の場合は2
16(約6.6万)名、N=18の場合は2
18(約26万)名、N=20の場合は2
20(約104万)名となる。
紹介者が、長期間にわたって著作物の広まりに関心を持ち、かつ、著作物紹介報酬として得られる金額の多さにも関心を持つためには、本発明に適したNの値の範囲は上記した範囲となる。
【0076】
図7に、N=18の場合を例として、判定表示ステップにおける処理の流れの一例を示す。
図7はあくまで一例であり、「任意の著作物購入者の属する階層から見て一定値(N)下の階層に、その著作物購入者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者が現れたと判断した場合に、その事実をその著作物購入者の紹介者特定情報とともに表示する」ことができれば、判定表示ステップは、
図7とは異なる処理であってもよい。
【0077】
まず、一致データの中の被紹介者特定情報(
図6(b)の左欄)の中から、任意の被紹介者特定情報を1つ選択し、選択した被紹介者特定情報の前部が表す者(すなわち、選択した被紹介者特定情報を提供した者)を「判定対象者」、後部が表す者(すなわち、選択した被紹介者特定情報によって特定される者であり、「前部が表す者」の1階層下に属する者)を「下層探索対象者」と設定する(S101)。
【0078】
次いで、一致データの中の被紹介者特定情報(
図6(b)の左欄)の中に、「前部が下層探索対象者を表しているもの」を検索し、抽出する(S102)。
S102は、「下層探索対象者が、著作物の紹介者として、更に別の複数の者に著作物を紹介し、その事実が報告されているか否か」、言い換えれば「下層探索対象者の下に、更に階層が存在するか否か」を判断するステップである。
S102において、「前部が下層探索対象者を表しているもの」が見つかった場合(下層探索対象者の下に、更に階層が存在したことが判明した場合)は、S103を行う。
【0079】
S103では、S102で抽出した被紹介者特定情報のうちの1つを選択する。本発明では、紹介者となった著作物購入者は、必ず複数の者に著作物を紹介し、その事実を報告しているので、S102では必ず複数の被紹介者特定情報が抽出されているはずである。
【0080】
S103(又は後述するS108)に次ぎ、S104では、S103(又は後述するS108)において選択された被紹介者特定情報の後部が表す者を、新たに「下層探索対象者」として設定し直す。
そして、S102に戻り、「新たに設定された下層探索対象者の下に、更に階層が存在するか否か」が判断される。
【0081】
このようにして、「新たに設定された下層探索対象者の下に、更に階層が存在するか否か」が繰り返し判断される(S102→S103→S104→S102→・・・というループが続く)。
【0082】
そして、S102において、「前部が下層探索対象者を表しているもの」が見つからなかった場合(下層探索対象者の下に、更に階層が存在しないことが判明した場合)、S105に進み、最下層が18階層目に達しているか否かが判断される。
【0083】
S105において、最下層が18階層目に達していた場合、判定対象者に著作物紹介報酬を与える条件が整ったことになる。この場合、後述のS106に進む。
S105において、最下層が18階層目に達していなかった場合、別の紹介系統(S103において選択されなかった紹介系統)から最下層が18階層目に達しているか否かを判断するべく、S107に進む。
【0084】
S107では、「S102において抽出した被紹介者特定情報のうち、S103において選択された経験の無い被紹介者特定情報(以下、「未選択の被紹介者特定情報」という。)が存在するか否か」が判断され、存在する場合は、S108に進み、未選択の被紹介者特定情報のうちの1つを選択し、次いで、S104に進む。
【0085】
このように繰り返すことにより、判定対象者から見て何れかの紹介系統で最下層が18階層目に達しているか否かを判断する。
【0086】
全ての紹介系統において、最下層が18階層目に達していないことが確認された場合(S107において未選択の被紹介者特定情報が存在しないと判断された場合)、処理は終了する。
何れかの紹介系統において、最下層が18階層目に達していた場合、S105から、S106に進む。
【0087】
S106に進んだ場合、判定対象者に著作物紹介報酬を与える条件が整ったことになる。すなわち、判定対象者の属する階層から見て一定値(18)下の階層に、判定対象者から間接的に著作物の紹介を受け著作物を購入した間接被紹介者が現れたことになる。
S106では、この事実が、判定対象者の紹介者特定情報(判定対象者の住所・氏名等)とともに、判定表示手段に表示される。
【0088】
判定表示ステップはどのような頻度で実行してもよい。
例えば、照合ステップが実行される毎に判定表示ステップを実行してもよいし、一定期間毎に照合ステップを実行してもよい。
【0089】
特定の紹介系統において、最下層が18階層目に達した場合、その紹介系統には、再びS106が行われないような処理がされる(
図7に図示せず)。判定表示ステップは、繰り返し実行され、特定の判定対象者に対し、別の紹介系統から最下層が18階層目に達する度に、その事実が、判定対象者の紹介者特定情報(判定対象者の住所・氏名等)とともに、判定表示手段に表示される。
【0090】
<報酬付与ステップ>
報酬付与ステップは、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(出版社・制作会社等)が、判定表示手段が紹介者特定情報を表示した著作物購入者に、著作者が放棄した対価の一部を、著作物紹介報酬として支払うステップである。
【0091】
判定表示ステップで、判定表示手段に特定の判定対象者(著作物購入者)の紹介者特定情報が表示された際に、著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(出版社・制作会社等)は、記憶手段に記憶された該判定対象者(著作物購入者)の紹介者報酬受領情報を参照し、該判定対象者(著作物購入者)に、予め定められた額の著作物紹介報酬を支払う。
【0092】
支払いの方法は、紹介者報酬受領情報がどのようなものであるかによる。
例えば、紹介者報酬受領情報が、著作物購入者の預金口座の口座番号や口座名義であった場合は、支払いの方法は、預金口座への入金である。紹介者報酬受領情報が住所・氏名であった場合は、現金書留や景品を著作物購入者に送付する。
【0093】
報酬付与ステップは、(ア)判定表示ステップで、判定表示手段に著作物購入者の紹介者特定情報が表示された度に(一定値(N)下の階層に、間接被紹介者が現れた度に)実行してもよいし、(イ)一定値(N)下の階層の間接被紹介者の数が一定数に達した段階で実行してもよい。
著作物を複製及び/又は頒布する権利を有する者(出版社・制作会社等)による作業の手間を考慮すると、(イ)の方が好ましい。
また、著作物購入者にとっても、ある程度まとまった額の報酬が得られた方が、喜びが大きいことから、(イ)の方が好ましい。