特許第6189352号(P6189352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6189352血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189352
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/38 20060101AFI20170821BHJP
   A61M 1/02 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A61M1/38
   A61M1/02 123
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-63985(P2015-63985)
(22)【出願日】2015年3月26日
(62)【分割の表示】特願2013-547444(P2013-547444)の分割
【原出願日】2010年12月30日
(65)【公開番号】特開2015-134219(P2015-134219A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】594202615
【氏名又は名称】ヘモネティクス・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Haemonetics Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ,エティエンヌ
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0259163(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0259162(US,A1)
【文献】 特開2007−054297(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0234788(US,A1)
【文献】 特表2012−520125(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0217202(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00−1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のラインに接続されたアクセス装置と、
抗凝固剤源を前記第一のラインに接続する抗凝固剤ラインと、
前記第一のラインに配置された第一のポンプと、
前記第一のラインへと結合された分離装置であって、全血を血漿と第二の血液成分に分離し、血漿を第一のコンテナに、第二の血液成分を第二のコンテナに送るよう構成された分離装置と、
前記第一のコンテナと前記分離装置とを接続する再循環ラインと、
前記再循環ラインに配置された第二のポンプと、
前記第一のコンテナと前記第一のラインとを接続する第二のラインとを含む、血漿低減された血小板を収集するためのシステムにおいて、前記システムの作動を制御するための方法は、
a)コントローラが、前記第一のポンプの作動を第一の方向へと制御し、
b)前記コントローラが、前記抗凝固剤ラインを通して抗凝固剤を前記第一のラインに導入し、
c)前記コントローラが、前記分離装置に、抗凝固化された全血を血漿と第二の血液成分とに分離するようにさせ、
d)前記コントローラが、抗凝固化された全血から分離された血漿を第一のコンテナに移送するように前記システムを制御し、
e)前記コントローラが、前記第一のポンプの作動を第二の方向に制御して、血漿の第一の容量を前記第一のコンテナから前記第二のラインを通して前記第一のラインへと移送するように前記システムを制御し、
f)ステップa)〜e)が繰り返され、
g)前記コントローラが、前記分離装置から前記第二のコンテナへと第二の血液成分を抽出し、
h)前記コントローラが、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して前記分離装置中に残された血液成分を前記第一のラインへと移送するように前記システムを制御する、方法。
【請求項2】
i)前記コントローラが、ステップh)の後、ステップa)からc)を繰り返して抗凝固化された全血で前記分離装置を部分的に満たすように前記システムを制御し、
j)前記コントローラが、前記第二のコンテナから第二の血液成分を前記分離装置へと再導入し、
k)前記コントローラが、前記分離装置からの血漿を前記第一のコンテナへと移送するように前記システムを制御し、
l)前記コントローラが、再導入された第二の血液成分を前記分離装置に再処理させて、前記分離装置中に第二の血液成分の拡大した層を作り出すように前記システムを制御することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
m)前記コントローラが、第二の血液成分を再処理する間に、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して前記第一のコンテナから前記第二のラインを通して前記第一のラインへと血漿を移送するように前記システムを制御することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
m)前記コントローラが、第二の血液成分を前記分離装置へと再導入する間に、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して前記第一のコンテナから前記第二のラインを通して前記第一のラインへと血漿を移送するように前記システムを制御することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
m)前記コントローラが、サージ・エルトリエーション法を用いて前記分離装置中にある第二の血液成分の拡大した層を除去し、第二の血液成分が前記第二のコンテナへと移送されるようにし、
n)前記コントローラが、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して前記分離装置中に残された血液成分を前記第一のラインに移送するように前記システムを制御することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記コントローラが、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御してデッドタイムの間に前記第一のコンテナから血漿を前記第二のラインを通して前記第一のラインへと移送するように前記システムを制御することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コントローラが、体外容量と血管内損失のいずれか一つを計算することをさらに含み、
ステップ(e)中に移送される血漿の容量が、少なくとも部分的には前記計算された体外容量もしくは血管内損失に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分離装置から第二の血液成分を抽出することが、サージ・エルトリエーションによって第二の血液成分を抽出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
サージ・エルトリエーションによって前記分離装置から第二の血液成分を抽出することが、血漿によってサージすることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分離装置が遠心ボウルである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第二の血液成分が血小板である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記分離装置が全血を、血漿および第二の血液成分に加えて第三の血液成分に分離するように制御される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記分離装置に残された血液成分が第三の血液成分を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第三の血液成分が赤血球である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
全血源を第一のラインに接続するアクセス装置と、
抗凝固剤源を前記第一のラインに接続する抗凝固剤ラインと、
前記第一のラインに配置された第一のポンプと、
前記第一のライン、第一のコンテナおよび第二のコンテナへと接続されて、全血を複数の血液成分に分離する分離装置と、
前記第一のコンテナと前記分離装置とを接続する再循環ラインと、
前記再循環ラインに配置された第二のポンプと、
前記第一のコンテナと前記第一のラインとを接続する第二のラインとを含む、血漿低減された血小板を収集するためのシステムにおいて、前記システムの作動を制御するための方法は、
a)コントローラが、前記第一のポンプの作動を第一の方向に制御して、液体を前記第一のラインを通して前記分離装置へ向けて移送するように前記システムを制御し、
b)前記コントローラが、前記抗凝固剤ラインを通して抗凝固剤を前記第一のラインへと導入し、
c)前記コントローラが、前記分離装置に、抗凝固化された全血を血液成分に分離するようにさせ、
d)前記コントローラが、抗凝固化された全血から分離された血漿を前記第一のコンテナに移送するように前記システムを制御し、
e)前記コントローラが、前記第一のポンプの作動を前記第一の方向と反対の第二の方向に制御して、血漿の第一の容量を前記第一のコンテナから前記第二のラインを通して前記第一のラインへと移送するように前記システムを制御し、
f)ステップa)〜e)が繰り返され、
g)前記コントローラが、前記分離装置から前記第二のコンテナへと多血小板血漿を抽出し、
h)前記コントローラが、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して前記分離装置中に残された血液成分を前記第一のラインへと移送するように前記システムを制御する、方法。
【請求項16】
i)前記コントローラが、ステップh)の後、ステップaからcを繰り返して抗凝固化された全血で前記分離装置を部分的に満たすように前記システムを制御し、
j)前記コントローラが、前記第二のコンテナからの多血小板血漿を前記分離装置へと再導入し、
k)前記コントローラが、前記分離装置からの血漿を前記第一のコンテナへと移送するように前記システムを制御し、
l)前記コントローラが、再導入された多血小板血漿を前記分離装置に再処理させて、前記分離装置中に血小板の拡大した層を作り出すように前記システムを制御することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
m)前記コントローラが、多血小板血漿を再処理する間に、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して前記第一のコンテナから血漿を前記第二のラインを通して前記第一のラインに移送するように前記システムを制御することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
m)前記コントローラが、多血小板血漿を前記分離装置へと再導入する間に、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して前記第一のコンテナから血漿を前記第二のラインを通して前記第一のラインに移送するように前記システムを制御することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
m)前記コントローラが、サージ・エルトリエーション法を用いて前記分離装置中にある血小板の拡大した層を除去し、血小板が前記第二のコンテナへと移送されるようにし、
n)前記コントローラが、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して、前記分離装置中に残された血液成分を前記第一のラインへと移送するように前記システムを制御することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラが、デッドタイムの間に、前記第一のポンプの作動を前記第二の方向に制御して、前記第一のコンテナから血漿を前記第二のラインを通して前記第一のラインに移送するように前記システムを制御することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コントローラが、体外容量と血管内損失のいずれか一つを計算することをさらに含み、
ステップ(e)中に移送される血漿の容量が、少なくとも部分的には前記計算された体外容量もしくは血管内損失に基づいている、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記分離装置から多血小板血漿を抽出することがサージ・エルトリエーションによって多血小板血漿を抽出することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
サージ・エルトリエーションによって前記分離装置から多血小板血漿を抽出することが血漿によってサージすることを含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液の処理および血液成分の収集のためのシステムおよび方法に関し、より詳細には血小板の収集および血漿の返血を予測するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アフェレーシスは、一時的に被験者より取り出した全血から個々の血液成分を分離して収集することのできる手順である。典型的には、全血は被験者の腕の静脈に挿入されたニードルを通じて取り出され、そして、遠心ボウルのような細胞分離機へと導入される。一旦全血がそのさまざまな成分へと分離されると、一つもしくはそれ以上の成分は遠心ボウルより取り除かれる。残余の成分は、取り除かれた成分の容量を補うための補償液体と共に被験者へと戻すことができる。この血液の取り出しと返血の過程は、所望の成分の量が収集されるまで続き、その時点においてプロセスは停止する。アフェレーシスの重要な特徴は、処理されるが望まれない成分がドナーへと返血されることである。分離される血液成分は、たとえば赤血球のような高密度の成分や、血小板もしくは白血球のような中間の密度の成分、そして血漿のようなより低密度の成分を含み得る。
【0003】
アフェレーシスによって得られるさまざまな血液成分製剤の中で、血漿低減された血小板への要求が急速に増加している。これは特に、患者へと造血機能を減じた血小板をより多く投与する必要があるが、その患者が血小板を懸濁するのに使用される血漿を輸血することを必要としないようながん治療が発展したためである。血小板は巨核球と呼ばれる骨髄に位置する大きな細胞の断片であり、基本的には凝固作用を実施することによる止血に寄与する。血小板はまた、組織修復においても役割を担う。成人における通常の血小板の数は150,000〜400,000/mmである。20,000/mm未満の血小板の数は、自然出血のようなさまざまなトラブルを引き起こす。
【0004】
血小板は4〜6日という短い半減期を持ち、そしてドナーの数は限られる。それゆえ、血漿低減された血小板製剤の作製において、ドナーによって供給される全血から最大収量で、かつ必要な量の血小板を採集することは重要である。さらに、血漿低減された血小板製剤への白血球の混入はGNH反応などの深刻な医学的合併症を引き起こし得る。それゆえ、白血球の混入レベルを可能な限り低く維持し、一方で血小板を効率的に収集することが非常に重要である。この目的のために、さまざまな技術が開発されてきた。例えば、全血が収集され、遠心機の中でより高密度、中間の密度およびより低い密度の成分へと遠心分離され、そして血漿が採集され(いわゆる取り出しステップ)た後で、「サージ」技術を用いて血漿が遠心機でサージ流速(例えば流速は時間が経つにつれて増加する)において供給される。サージを実施することにより、血小板を中間の密度の成分(血小板と白血球の混合物を含有するバフィーコート(buffy coat)として主に存在する)から好ましくも分離でき、そして血漿低減された血小板製剤はより増大した収量において作製される。
【0005】
サージ技術を用いる代わりに、抗凝固化された全血が血小板層が押し出されるまでボウルへと導入される層「押出」方法によって、または、サージと押出方法の組み合わせを用いることによって血小板層が遠心機より抽出できる。所望の成分を採集した後、主に赤血球およびクエン酸血漿を含有する残余の血液成分はドナーへと返血される(いわゆる「返血」ステップ)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、多くの血液アフェレーシス手段および用途において、望まれない成分(例えば、収集されない成分)がドナーへと返血される。混入への関心(例えばドナーへと返血される微粒子などの混入)に加えて、被験者の快適さもまた考慮されるべきである。例えば、被験者へのクエン酸血漿の急速すぎる返血もしくは被験者へのクエン酸血漿の多量すぎる一度での返血は、患者へと顕著な不快感をもたらす。さらに、体外の液体の容量(例えば体外容量)および/もしくは体内の液体の減少(例えば血管内の損失)を制限することに注意すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様によると、血漿低減された血小板の収集および血漿返血の予測のための方法が提供される。全血は最初にドナーより取り出され、抗凝固化され、分離チャンバへと導入される。分離チャンバは抗凝固化された全血をいくつかの血液成分へと分離する。そして方法は抗凝固化された全血より分離された血漿を血漿コンテナへと移送し、そして血漿の第一の容量を血漿コンテナからドナーへと返血する。方法は、取り出し、抗凝固化、導入、および移送ステップを繰り返して分離装置を追加の抗凝固化された全血によって満たす。
【0008】
一旦、抗凝固化された全血が分離チャンバへと導入される(例えばチャンバを満たす)と、該方法は分離チャンバより多血小板血漿(「PRP」)を取り出し(例えばサージ・エルトリエーション方法および/もしくは血漿によるサージを用いて)、そしてPRPコンテナへと導入する。方法は分離チャンバ中に残った血液成分をドナーへと返血でき、そして取り出し、抗凝固化および導入のステップを再び繰り返して分離装置を抗凝固化された全血によって部分的に満たし得る。一旦分離装置が部分的に満たされると、方法はPRPをPRPコンテナから分離チャンバへと再導入し、分離チャンバから血漿を血漿コンテナへと移送し、そして再導入されたPRPを再処理し、分離装置中において血小板の拡大した層を作り出す。
【0009】
ある実施態様によると、方法は血漿の返血を予測し、そして血漿コンテナの血漿をドナーへと返血し、一方でPRPを分離チャンバへと導入し、および/もしくはPRPを再処理する。方法は、取り出し、抗凝固化および導入ステップを繰り返して分離チャンバを満たすことを繰り返し、サージ・エルトリエーション方法を用いて分離装置中において血小板の拡大した層を取り除き、血小板が血小板コンテナへと移送されるようにし得る。そして方法は分離チャンバ中に残された血液成分をドナーへと返血し得る。
【0010】
関連した実施態様によると、方法はまた、デッドタイム中(この時間中には実行中のアフェレーシス手順が血液もしくは血液成分をドナーから取り出したりドナーへと返血したりしていない)に血漿コンテナから血漿をドナーへと返血できる。さらに方法は体外容量および/もしくは血管内損失を計算でき、そしてドナーへと返血する血漿の第一の容量は、少なくとも部分的には計算された体外容量もしくは血管内損失に基づく。
【0011】
本発明の他の実施態様によると、血漿低減された血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測するためのシステムは、静脈アクセス装置、血液成分分離装置、第一の返血ライン、再循環ライン、および第二の返血ラインを含む。静脈アクセス装置は、被験者より全血を第一の容量で取り出し、そして、第一のポンプを用いて血液成分を被験者へと戻すように構成されている。血液成分分離デバイス(例えば遠心ボウル)は取り出された血液を第一の血液成分(例えば血漿)と第二の血液成分(例えば血小板)に分離し、そして第一の血液成分を第一の血液成分バッグへと移送し、第二の血液成分を第二の血液成分バッグへと移送するよう構成されている。
【0012】
第一の返血ラインは、静脈アクセス装置と血液成分分離装置とを流体接続し、そして分離装置中に残された血液成分を被験者へと返血するように構成されている。再循環ラインは第一の血液成分コンテナと分離装置とを接続する。第二の返血ラインは第一の血液成分コンテナと第一返血ラインとを流体接続し、第一の血液コンテナ中の第一の血液成分を被験者へと返血するよう構成されている。第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分はまた、再循環ラインと再循環ポンプによって分離チャンバへと再導入され得る。
【0013】
第一のポンプは、第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分ならびに分離装置中に残された血液成分を被験者に返血し得る。分離装置はまた、第一及び第二の血液成分に加えて第三の血液成分(例えば赤血球)へと全血を分離し得、分離装置中に残された血液成分は第三の血液成分を含み得る。
【0014】
ある実施態様において、第二の血液成分は分離装置からサージ・エルトリエーション法によって除去し得る。サージ・エルトリエーション法は、第二の血液成分が血液成分分離装置から除去されるまで、血液成分分離装置へと第一の血液成分を再導入ラインによって加速しつつ再導入することを含む。第二の血液成分は血小板であってよく、予め決められた量の血小板が第二の血液コンテナ中に収集され、そして分離装置から血漿低減された血小板製剤が抽出されるまで血液成分分離装置へと再導入され得る。
【0015】
システムはまた、抗凝固剤ラインと再導入ラインを含み得る。抗凝固剤ラインは抗凝固剤源へと接続され、そして抗凝固剤を取り出された血液へと導入し得る。再導入ラインは第二の血液成分バッグと血液成分分離装置とを流体接続し得る。第二の血液成分バッグ中の第二の血液成分は、第二の容量の全血が被験者より取り出されて血液成分分離装置中において第二の血液成分の拡大した層が作り出されるときに血液成分分離装置へと再導入され得る。第二の血液成分の拡大した層はサージ・エルトリエーション法を用いて血液成分分離装置より取り出され得る。
【0016】
第二の血液成分が血液成分分離装置へと再導入されるとき、および/もしくはデッドタイムにおいて、システムは第一の血液成分を被験者へと返血できる。システムはまた、体外容量および血管内損失の少なくとも一つを計算するコントローラを含み得る。システムは、計算された体外容量もしくは血管内損失に基づいて一定容量の第一の血液成分の第二の返血ラインを通じて返血し得る。
【0017】
本発明のさらなる実施態様によると、血漿低減された血小板の収集のためのシステムは、(1)被験者から第一の容量の全血を取り出し、かつ被験者へと血液成分を返血する手段、(2)取り出した血液を第一の血液成分と第二の血液成分とに分離するための血液成分分離手段、(3)第一の容量の全血を取り出す手段および血液成分分離手段と、分離手段中に残された血液成分を被験者へと返血するための手段と流体接続する第一の返血手段、(4)第二の血液成分コンテナと分離手段とを流体接続する再循環手段、ならびに(5)第一の血液成分手段と第一の返血手段とを流体接続する第二の返血手段とを含み得る。血液成分分離手段は、第一の血液成分を第一の血液成分バッグへと移送し、そして第二の血液成分を第二の血液成分バッグへと移送するよう構成され得る。再循環手段は第二の血液成分コンテナ中の第二の血液成分を分離手段へと再導入し得る。第二の返血手段は、第一の血液コンテナ中の第一の血液成分を被験者へと返血するよう構成され得る。
【0018】
全血を取り出す手段は、第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分を被験者へと返血するよう構成されている第一のポンプを含み得る。第一のポンプはまた、分離手段中に残された血液成分を被験者へと返血し得る。
【0019】
さらなる実施態様によると、システムはシステム中の液体の流れを制御するためのコントローラを含み得る。コントローラはドナーから分離手段へと全血を繰り返し取り出し、分離手段から第一のおよび第二の血液成分を繰り返し抽出し、第二の返血手段を用いて第一の血液成分を被験者へと繰り返し返血し、そして分離手段中に残された成分を第一の返血手段を用いて被験者へと繰り返し返血し得る。さらに、予め決められた量の第二の血液成分が第二の血液成分コンテナ中に隔離されたのち、第二の血液成分コンテナからの第二の血液成分は分離手段へと再導入され得る。コントローラはまた体外容量および/もしくは血管内損失を計算し得、第二の返血手段を用いて返血される血漿の量は、(少なくとも一部分は)体外容量および/もしくは血管内損失に基づく。
【0020】
さらに、システムはまた、抗凝固剤を取り出された全血へと導入する手段を含み得、そして再導入手段は第二の血液成分バッグと血液成分分離手段とを流体接続する。第二の容量の全血が被験者から取り出されて、血液成分分離手段中の第二の血液成分の拡大した層を作り出すとき、第二の血液成分バッグ中の第二の血液成分は血液成分分離手段中へと再導入され得る。第二の血液成分の拡大した層は、サージ・エルトリエーション法を用いて血液成分分離手段から除去され得る。さらに、あるいは代替的に、第二の血液成分は血小板であってよく、そして予め決められた量の血小板が第二の血液成分コンテナ中に収集された後に第二の血液成分は血液成分分離手段へと再導入され、分離手段より血漿低減された血小板製剤を抽出し得る。
【0021】
さらなる実施態様において、血漿低減された血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測するための方法が提供される。全血は、最初に供給源より取り出され、抗凝固化され、そして分離チャンバへと導入される。分離チャンバは抗凝固化された全血をいくつかの血液成分へと分離する。方法は、抗凝固化された全血より分離された血漿を血漿コンテナへと移送し、そして第一の容量の血漿を血漿コンテナから供給源へと返血する。方法は、取り出し、抗凝固化、導入および移送のステップを繰り返し、分離装置を追加の抗凝固化された全血によって満たす。
【0022】
一旦、抗凝固化された全血が分離チャンバへと導入されると(例えばチャンバを満たすために)、方法は分離チャンバから多血小板血漿(「PRP」)を抽出し(例えばサージ・エルトリエーション法および/もしくは血漿のサージを用いて)、そしてPRPコンテナへと導入する。方法は分離チャンバ中に残された血液成分を供給源へと返血し得、そして取り出し、抗凝固化および導入のステップを再度繰り返して分離装置を抗凝固化された全血によって部分的に満たし得る。一旦分離装置が部分的に満たされると、方法はPRPコンテナからのPRPを分離チャンバへと再導入し、分離チャンバから血漿コンテナへと血漿を移送し、そして分離装置中の血小板の拡大された層を作り出すために再導入されたPRPを再処理し得る。
【0023】
ある実施態様によると、方法は血漿の返血を予測し得、そして血漿コンテナ中の血漿を供給源へと返血でき、その一方で、PRPを分離チャンバへと再導入し、そして/またはPRPを再処理する。そして方法は、取り出し、再凝固化および導入のステップをさらにもう一度繰り返して分離チャンバを満たし、分離チャンバ中の拡大した層をサージ・エルトリエーション法を用いて除去し、そして血小板が血小板コンテナへと移送される。方法は、分離チャンバ中に残された血液成分を供給源へと返血し得る。
【0024】
関連する実施態様によると、方法はまた、デッドタイム中に血漿コンテナから供給源へと血漿を返血し得る。さらに方法は、体外容量および/もしくは血管内損失を計算し得、そして供給源へと返血される血漿の第一の容量は、少なくとも部分的に計算された体外量量もしくは血管内損失に基づき得る。
【0025】
さらなる実施態様において、血漿低減された血小板を収集する方法は、供給源から全血を取り出すステップ、抗凝固剤を供給源から取り出された全血へと導入するステップ、および抗凝固化された全血を分離チャンバへと導入するステップを含み得る。分離チャンバは結果的に抗凝固化された全血をいくつかの血液成分へと分離し得る。方法は抗凝固化された全血から分離された血漿を血漿コンテナへと移送し得、血漿コンテナから第一の容量の血漿を供給源へと返血し、そして上述のステップを繰り返し得る。さらに方法はまた、分離チャンバから多血小板血漿を多血小板血漿コンテナへと抽出し得、そして残された血液成分を分離チャンバから除去し得る。
【0026】
上述の本発明の特徴は添付す図表を参照しつつ以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は本発明の一実施態様によるアフェレーシスマシンの回路図である。
図2図2は本発明の一実施態様による図1のマシンと共に用いる使い捨てシステムの回路図である。
図3図3は本発明の一実施態様による図1のマシンと共に用いる遠心ボウルの側面図である。
図4図4は本発明の一実施態様によるドナーから血漿低減された血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測するための方法を描写したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1および2を参照すると、参照によりここに組み入れる米国特許第3,145,713号に記載されるように、アフェレーシス装置10は、抗凝固化された全血をその構成する成分へと分離するために、標準的なLatham型の遠心機11のような血液成分分離装置を用いる。参照によってここに組み入れる米国特許第4,983,156号および第4,943,273号に記載されるような一体型ブロー成形の遠心ボウルの非限定的例のような他の型の分離チャンバおよび分離装置も使用できる。遠心機11は回転ボウル12、ならびに典型的にはボウル内部へとロータリーシール74によって密結合されている定常流入ポートおよび定常流出ポートPT1およびPT2を含む(図3を参照)。バルブV1が開口しているとき、遠心機11の流入ポートPT1は静脈アクセス装置24(例えば瀉血針)へと、血液の微小凝集塊フィルター、チューブ28およびYコネクタ30を介して流体接続される。全血が最初に集められ、そして供給されるような場合には、静脈アクセス装置24は全血バッグ(図示されない)と取り替えられる。チューブ28は血液と適合可能であり、これは装置10中の全部のチューブと同様である。遠心機11の流出ポートPT2は、チューブ36、バルブV2およびチューブ37によって重量計33から懸濁される血漿と標識される第一のコンテナ18と選択的に結合する。血小板と標識される第二のコンテナ20はチューブ36、バルブV3およびチューブ39を介して流出ポートPT2へと選択的に結合する。さらに、血小板貯蔵と標識される第三のコンテナ22はチューブ36、バルブV4およびチューブ35を介して流出ポートPT2へと選択的に結合する。第二のコンテナ20と第三のコンテナ22の両方はまた、それぞれ重量計67および77によって懸濁され得る。より詳細に後述するように、ある実施態様はまた、一端を血漿コンテナ18へ(コネクタ94を介す)、そしてもう一端をチューブ41へ(コネクタ95を介す)と流体接続されるチューブ93を含み得る。デッドタイムおよび/もしくは遠心機11中の全血を処理中に、血漿コンテナ18中のクエン酸血漿をドナーへと返血するのにチューブ93を使用し得る。
【0029】
抗凝固剤を貯蔵するバッグもしくはコンテナ16は、バクテリアフィルタF2、チューブ32およびYコネクタ30を介して静脈アクセス装置/瀉血針24と流体接続される。バクテリアフィルタF2は抗凝固剤(ACD)コンテナ16中のバクテリアがシステムへとまったく侵入しないようにする。コンテナ16、18、20および22は、好ましくは血液適合性物質より作製されたプラスチックバッグである。ペリスタポンプP1、P2およびP3はバルブV1、V2、V3およびV4と共に、ラインセンサ14、ドナー圧力モニタ(DPM)M1、システム圧力モニタ(SPM)M2ならびに空気検出器D1、D2およびD3によって発生する信号に反応して装置10内の流れの方向および流量を制御する。空気検出器D1、D2およびD3は液体の非存在および存在を検出する。圧力モニタM1およびM3は装置10内の圧力レベルを監視する。ラインセンサ14は光学センサであり、そして流出ポートPT2からラインセンサ14を通り抜ける血液成分の存在を検出する。
【0030】
開始操作において、コンテナ16からの抗凝固剤装置10のチューブ28に導入するためにポンプP1およびP3は通電される。抗凝固剤は、空気検出器D1へと到達する前にフィルタF2とYコネクタ30を通過する。空気検出器D1は、D1における抗凝固剤の存在を感知して抗凝固剤準備操作を終了させる。準備操作中においてバルブV2が開口し、そして無菌の空気は、抗凝固剤が血漿コンテナ18の頂部ポートPT3へ入る事によってボウル12から追い出される。静脈アクセス装置24はドナーへと挿入され、そして取り出しステップは開始する準備ができる。
【0031】
図4は、本発明の一実施態様による被験者より血液成分を収集し、かつクエン酸血漿の被験者への返血を予測する方法を描写するフローチャートである。取り出しステップ401において、全血が被験者より、典型的には80ml/分の流速で取り出され、そしてポンプP1およびP3を用いて抗凝固剤と混合される(ステップ402)(図1〜2を参照できる)。ポンプP3は、コンテナ16からの抗凝固剤と、被験者からの全血もしくはバッグに蓄えられた全血とを混合する。バルブV1が開口すると、抗凝固化された全血は流入ポートPTを通って分離装置12へとポンプ流入される前にチューブ28と血液フィルタF1を通過する。
【0032】
全血は、供給チューブ(図示されない)を通って分離装置12の底部へと導入される(図4のステップ403)。抗凝固剤:全血の比率は典型的には約1:10である。アフェレーシス装置10中のポンプ及びバルブのそれぞれの操作は、例えばマイクロプロセッサであり得るコントローラ(図示されない)の制御下における所望のプロトコールに従って実施できる。
【0033】
図3を参照すると、遠心機11は固定流入ポートPT1および固定流出ポートPT2を持つ。分離された画分を収集するために、ロータリーシール74は、定常流入ポートPT1をボウル12のより低い内部へと流体接続し、そして流出ポートPT2をボウル内部のより高い部分へと流体接続する。コア72はボウル12の内部と同軸の容積を占め、そしてコア72の壁とボウルの外壁70の間に分離領域をもたらす。
【0034】
ボウルが回転するにつれて、遠心力は、ボウルの底部に収容された抗凝固化された全血を、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板および血漿へと分離する。ボウル12の回転数は、例えば4,000〜6,000rpmの範囲で選択でき、そして典型的には4,800rpmである。血液は成分密度によって異なる画分へと分離される。より高い密度の成分、すなわちRBC60は、ボウル12の外壁70へと押し進められ、一方でより低い密度の血漿66はコア72付近に位置する。バフィーコート61は血漿66とRBC60の間に形成される。バフィーコートは血小板64、血小板の転移層68およびWBCの内部層、ならびにWBC62の外部層で構成される。血漿66は分離領域から流出ポートにもっとも近い成分であり、追加の抗凝固化された全血が流入ポートPT1を通ってボウル12へと進入するとき、流出ポートPT2を通ってボウル12から離れる最初の液体成分である。血漿66はボウル12から離れるとき、ライン36および37を通って血漿コンテナ18へと移送される(図4のステップ404)。
【0035】
図1に戻ると、離れた血漿はラインセンサ14、チューブ36、3方向Tコネクタ26およびバルブV2(開口状態)を通過し、そして第一のコンテナ18へと入る。第一のコンテナ18へと入る血漿は、ポンプP2によってコンテナ18からチューブ42、バルブV5(開口状態)、Yコネクタ92およびチューブ40を通って取り出され、そしてYコネクタ91およびライン41を通過して流入ポートPT1を通ってボウル12へと再循環する。再循環する血漿は、ボウル12へと入る抗凝固化された全血を希釈し、血液成分がより容易に分離できるようにする。血液成分のそれぞれの層がボウル12の外部壁70からコア72へと向かって徐々に同軸上に前進するときに血液成分のそれぞれの層を監視するために、光センサ21がボウル12の肩部分に適用される。光センサ21は特定の径へと到達するバフィーコートを検出できる位置に設置され得、そしてドナー401からの全血の取り出しステップ、およびボウル402への全血の導入ステップは、その検出に反応して終了し得る。
【0036】
参照によりここに組み入れる、同時係属の「血液製剤を作成するためのアフェレーシス装置および方法」と題された1999年9月9日出願の米国特許出願09/392,880号に記載されるように、ボウル12によって処理される全血の量は、ヘマトクリット値、血小板数、血液または白血球などの総量のような全血と関連した性質の少なくとも一つに反応して変更し得る。上述のように、可変制御はマイクロコンピュータの制御化で実装し得る。代替的に、それらのそれぞれは手動で実行し得る。
【0037】
上述のように、本発明のある実施態様は、血漿の返血を予測し、アフェレーシスプロセスの最後に大容量を返血するのを防ぐため(例えば患者の快適さを向上するため)にアフェレーシスプロセスにおける種々の間隔で血漿コンテナ中の血漿(例えばクエン酸血漿)を返血する。その最後にシステム10は取り出しステップ(ステップ401)を停止でき、そして、血漿コンテナ18中に含有される血漿の一部分もしくはそのすべてをドナーへと返血できる。特に、一旦取り出しステップ(ステップ401)が停止すると、アフェレーシスシステム10は、ポンプP1の取り出し/返血の方向を逆転し、バルブV7を開口し、流出ポートPT4を通じて血漿コンテナ18から血漿を取り出し、そして血漿をライン93および28を介して患者/ドナーへと返血できる。
【0038】
このステップにおいて患者/ドナーへと返血される血漿の容量は、体外容量(「ECV」)および/もしくは血管内損失(「IVD」)を含むがそれらに限定されない要素による。例えば、コントローラは前回のサイクル(例えば、アフェレーシス手順における前回のサイクルもしくはその前の手順からのサイクル)のデータに基づいてECVもしくはIVDを計算し、そしてECV/IVDが理論上の血液の総量(「TBV」)(例えば、ドナーの性、サイズ、および体重のようなドナーの性質から推定するようなもの)の予め決められた割合を超えるかどうかを判断する。もし、システム10(例えばコントローラ/マイクロプロセッサ)がECV/IDがTBVの予め決められた割合を超えたと判断する場合、システム10は取り出し(例えばステップ401)を停止し、そして、上述のように血漿を返血する。さらに、または代替的に、進行中のサイクルより分離された血漿の容量が、ボウルを満たすことを完了するために未だ取り出される全血の容量と等しくなるときに、システム10は血漿の返血(ステップ405)を開始する。血漿返血ステップ(ステップ405)において、血液分離を維持するため、および/または向上するために、遠心機11は回転し続け、そして血漿はボウル12中を循環し得る(例えばポンプP2とライン42を用いて)。
【0039】
取り出しステップ(ステップ401)を停止し、そして抗凝固化された血漿の返血ステップ(ステップ405)を開始することによって、システム10はECVとIVDを大幅に減少できる。さらに、予測される血漿返血プロセスはまた、クエン酸血漿の患者/ドナーへの返血が、ステップ間の十分な時間間隔(例えば数分)で複数のステップにわたって実施されるのを確実にする。上述のように、このことは、患者の快適性を向上し、クエン酸血漿を患者/ドナーへと返血することに関連したリスクを低減することを助ける。
【0040】
一旦、血漿返血ステップが完了すると、システムは患者/ドナーから全血を取り出すことを続け(例えばボウルを満たすことを完了するため)(ステップ406)、そして分離チャンバ11/ボウル12から血小板を抽出する。図4のステップ407で血小板はボウル12よりコンテナへと抽出される。ボウル12より血小板を抽出するとき、ドウェル(dwel)、サージおよび/もしくは押出の方法などを非限定的に含むさまざまな方法が利用される。例示を目的として、ドウェルおよびサージ技術に基づいた血小板抽出がここで詳細に記載される。
【0041】
図4のステップ406で全血が遠心機11へと導入された後、バルブV1が閉口され、そしてポンプP1が停止し、血液はもはやドナーより取り出されなくなり、そしてドウェルが始まる。ドウェルの最中に、ポンプP2は血漿66を中庸の流速(例えば、図4において100ml/分)で約20〜30秒間、ボウル12を通して再循環させる。この流速において、バフィーコート61は血漿により希釈され、広がるが、血小板はボウル12を離れない。バフィーコートの希釈は、より重い白血球をバフィーコートのより外側へと堆積するようにし、結果としてより軽い血小板層64とより重い白血球層62との間のより良い分離をもたらす。結果として転移層68が減少する。ドウェル期間はまた、ボウル12中の流速パターンを安定化させ、そして微小泡がボウル12から離れ、かつ追い出されるための時間をより多く与える。
【0042】
ドウェルの後、サージステップが始まる。サージにおいて、血漿を再循環させるポンプP2の速度は5〜10ml/分刻みで、約200〜250ml/分という血小板サージ速度に到達するまで上昇する。血小板サージ速度は、血小板がボウル12を離れるが、赤血球もしくは白血球は離れないような速度である。ボウルに存在する血漿は血小板によって濁っていき、そしてこの濁りはラインセンサ14によって検出される。ラインセンサ14は、ボウル12を離れる血液成分を通って発光するLEDと、成分を通り抜けた後のライトを受容する光検出器とからなる。光検出器によって受容される光量はラインを通過する液体の濃度と相関性がある。
【0043】
血小板が最初にボウル12を離れるとき、ラインセンサは減少の開始を出力する。バルブV3は開口し、かつバブルV2は閉口し、そして血小板はコンテナ20に収集される。血小板の大部分がボウル12から除去されると、ボウルに存在する液体の濁りが少なくなる。この濁りの減少はラインセンサ14によって検出され、そのときバルブV3は閉口する。
【0044】
すべてのデッドタイム(例えば全血が患者/ドナーより取り出されることのない時間、遠心機11が停止している全ての時間など)において、システム10はプラズマバッグ18中に含まれる血漿を患者/ドナーへと返血することができることに注目することは重要である。例えば、システム10が遠心ボウル12から血小板を除去/抽出するとき、ならびに/または、上述のドウェルステップにおいて、システム10はまた、コンテナ18中に含まれる血漿を患者/ドナーへと上述の方法と同様に返血できる(例えばポンプP1を逆転させライン93を介して血漿を取り出して)。
【0045】
血漿の返血がサージプロセス(例えばボウル12を通る血漿の再循環)で起こるとき、取り出し/返血ポンプP1および再循環ポンプP2の両方は、血漿コンテナ18から血漿を取り出し、そしてバルブV5とV7の両方が開口され得る。取り出し/返血ポンプP1はチューブ93を通して血漿を取り出し、そして再循環ポンプP2はチューブ42を通して血漿を取り出す。異なる血漿が混合したりお互いに干渉したりすることを防ぐために、コネクタ91と95の間に位置するバルブV8(図2)を閉口できる。
【0046】
血小板が収集された後、返血ステップ409(図4を参照)が開始される。返血ステップ中において、ボウル12の回転は停止し、ボウル12中に残される血液成分は、バルブV1を開口してポンプP1の回転を逆転させ、静脈アクセス装置24を介してドナーへと返血される。バルブV2はまた、返血の際、空気が遠心ボウルへと進入できるように開口される。コンテナ18からの血漿はボウル12に残された血液成分を希釈する。すなわち、ポンプP2はバルブV2を開口してボウル12にのこされる成分と血漿を混合し、返血される赤血球成分を血漿で希釈することは、返血時間を高速化する。ボウル中の返血する血液成分がドナーへと返血されたとき、返血ステップ409は終了する。
【0047】
図4を参照すると、ドナーから全血を取り出すステップ(ステップ401)、抗凝固剤を全血へと導入するステップ(ステップ402)、全血を分離チャンバへと導入するステップ(ステップ403)、血漿を血漿コンテナ18へと移送するステップ(ステップ404)、血漿を患者/ドナーへと返血するステップ(ステップ405)、全血の取り出しを続けるするステップ(ステップ406)、分離チャンバより血小板を抽出するステップ(ステップ407)、血漿を返血するステップ(ステップ408)、ならびに残った成分をドナーへと返血するステップが、所望の容量の血小板がコンテナ20へと隔離されるまで繰り返される(ステップ410)。典型的には、ステップ401〜409は2〜4階繰り返され、サイクル当たり約450〜500mlの全血が処理される。隔離された血小板の濃度は典型的には約1.5×10個/μlである。
【0048】
システムは、コンテナ20中の血小板(多血小板血漿)をボウル12へと再導入(図4のステップ412)することによってコンテナ20中の血小板を再処理する。血小板の再導入は、単一のサイクルの抗凝固化された全血の処理によって得られるものよりも数倍大きい血小板の層を形成する。例えば、ある実施態様において、血小板層の容量は、単一のサイクルの平均容量を血小板隔離サイクルの数に1を加えた数によって乗じたものとおおよそ等しい。血小板はコンテナ20のポートPT5からポンプP2によってチューブ43、バルブV6(開口状態)、Yコネクタ92、およびチューブ40を介して取り出され、Yコネクタ91およびライン41を介して流入ポートPT1からボウル12へと流入する。血小板とボウル12との接触を最小限にするため、血小板の再導入の前に、図4のステップ411でドナー401から取り出された抗凝固化された全血によってボウル12が部分的に満たされ得る。全血は、ボウル12の辺縁部に、ボウルの辺円部と血小板の間の緩衝として作用して血小板の凝集を減少させるような細胞ベッドを形成する。さらに、または代替的に、分離チャンバへの抗凝固化された全血の添加は、血小板再導入の際にエルトリエーション半径に向かって血小板を進ませるようにされるか、または血小板の分離と血小板抽出開始の条件を標準化するために血小板再導入の後にされる。
【0049】
ボウル12へと再導入されそして再処理される血小板は多血小板血漿(PRP)(血漿に懸濁された血小板)の状態であり、ボウル12の遠心力は、PRPが懸濁された血小板を除外するようにし、それによって血漿を遊離させる。この遊離した血漿はボウル12より離れ、そして追加の液体(例えば追加のPRP、血漿、抗凝固化された全血など)がボウル12へと入る時に血漿コンテナ18へと移送される。
【0050】
血小板が、血漿低減された血小板製剤(以下により詳細に説明される)を形成するよう再処理されると、システムは、再びコンテナ18中の血漿を患者/ドナーへと返血(ステップ413)できる。例えば、コンテナ20からの血小板がボウル12へと再導入されるとき、システム10はバルブV7を開口し、そして取り出し/返血ポンプP1を用いてコンテナ18のポートPT4からライン93を通って血漿を取り出し、そしてライン28と静脈アクセス装置24を通って患者/ドナーへと血漿を返血できる。システム10はステップ414で患者/ドナーから全血を取り出し、そしてボウル12を抗凝固化された全血によって満たし得る。
【0051】
例えば、サージもしくは押出方法を用いて、血漿低減された血小板濃縮物はボウル12に存在する血小板層から抽出される(図4のステップ415)。血漿低減された血小板製剤は、ラインセンサ14、チューブ36、3方向Tコネクタ26およびバルブV4(開口状態)を介してコンテナ22に隔離される。血小板製剤濃度は典型的には2.6×10μlから5.2×10μlの範囲であり、これは抗凝固化された全血が単一のサイクル処理されるときに隔離される血小板の濃度の2〜3倍である。一旦血漿低減された血小板濃縮物がボウル12から抽出され、コンテナ22中に収集されると、システム10はボウル12中に残された全血液成分と血漿コンテナ18中に残される全血漿とを返血する(図4のステップ416)。
【0052】
サージ・エルトリエーション技術が、分離チャンバから血小板および/もしくは血漿低減された血小板を抽出するために血漿以外のさまざまな液体を使用し得ることは特筆すべきである(例えば生理食塩水を使用し得る)。さらに、分離チャンバへと再導入される血小板は、血小板が凝固/凝集することを防ぐために、再び抗凝固化され得る。例えば、血小板回収バッグ20もしくは血漿低減された血小板製剤バッグ22には、血小板および/もしくは血漿低減された血小板製剤が分離チャンバより取り出される時に抗凝固剤と混合するように一定量の抗凝固剤を再充填され得る。さらに、または代替的に、血小板が再処理される前にもまだ十分な抗凝固剤が血小板に存在しているように、全血が被験者より取り出される時に十分な抗凝固剤が添加され得る。別のシナリオにおいては、全血および/もしくは抽出された血小板へと添加される抗凝固剤の量は、被験者の安全性を考慮して検討されるべきである。特に、大量の抗凝固剤が被験者に返されることを防ぐように、抗凝固剤の量が限定されるべきである。
【0053】
一旦血小板および血漿低減された血小板製剤が収集されると、後の使用のために血小板を保管し、かつ維持するのを助けるために血小板保存溶液を添加し得る。保存溶液は血小板および収集後の血小板製剤(例えば分離バッグもしくは貯蔵コンテナ96からのもの)、または血小板収集バッグ20へと添加でき、そして血漿低減された血小板製剤バッグ22は添加剤溶液を予め添加しておける。
【0054】
ドナーへと返血される血漿の総量を予測し、そして血漿を複数のステップで返血することによって、本発明のさまざまな実施態様は従来技術を超えるさまざまな利点を提供する。例えば、手順の最後においてすべての血漿を返血しないことによって、本発明のさまざまな実施態様は、患者の不快感と、大量のクエン酸血漿を返血することに関連するリスクとを減少できる。さらに、デッドタイム中に血漿を返血することによって、本発明のある実施態様は手順の総時間と手順の最中の全時間におけるECV/IVD比とを減少できる。さらに、処理中に血漿を返血でき、そしてECV/IVD比が大きく減ずるため、本発明のさまざまな実施態様は生理食塩水(もしくは他の補償用液体)を患者へと戻してECVを減ずる必要がない。
【0055】
上述の実施態様は患者/ドナーへと血漿を返血することについて記載するが、全ての血漿を返血する必要はない。例えば、本発明のある実施態様は、収集した血漿の一部を蓄え得る。そのような実施態様において、血漿はF3を用いてろ過され、ろ過された血漿コンテナ97中で貯蔵される。
【0056】
さらに血漿低減された血小板が必要なとき、所望の量の血漿低減された血小板製剤が収集されるまで上述のステップのそれぞれが繰り返され得る。さまざまな実施態様において、血漿低減された血小板を予め決められた量もしくは濃度にするために、血漿低減された血小板製剤へと血漿を添加できる。
【0057】
上述の実施態様は患者/ドナーから全血を取り出し、必要のない成分をドナーへと返血するが、本発明の他の実施態様ではドナーなしの処理として使用でる。例えば、全血が最初に蓄えられ、そして分離装置11へと供給されるような場合、上述のように、静脈アクセス装置24を全血バッグ(図示されない)と取替えられる。そのような実施態様において、血漿コンテナ18からの血漿および分離装置11に残された血液成分は、一つもしくはそれ以上の貯蔵バッグ/コンテナ(例えばすべてを一つのコンテナへ、または別々のコンテナへ)へと返されるか、または全血バッグへと返される。そのような実施態様もまた、大幅に減少された処理時間のために従来技術に対して利点を持つであろう(例えば血漿がデッドタイム中にコンテナへと移送されるため)。
【0058】
記載される本発明の実施態様は、単に例示のためだけを意図し、さまざまな変更および修正は当業者にとって明らかであろう。そのような変更および修正は、本発明の範囲に入ることが意図されている。
【0059】
本願発明は以下の発明をも含む。
発明1
血漿低減された血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測する方法であって、
a)ドナーから全血を取り出すステップ;
b)ドナーから取り出した全血に抗凝固剤を導入するステップ;
c)抗凝固化された全血を分離チャンバへと導入するステップであって、前記分離チャンバが抗凝固化された全血をいくつかの血液成分へと分離するステップ;
d)抗凝固化された全血から分離された血漿を血漿コンテナへと移送するステップ;
e)血漿コンテナからの第一の容量の血漿をドナーへと返血するステップ;
f)ステップaからdを繰り返すステップ;
g)分離チャンバより多血小板血漿を多血小板血漿コンテナへと抽出するステップ;ならびに
h)分離チャンバ中に残された血液成分をドナーへと返血するステップ
を含有する、方法。
発明2
i)ステップaからcを繰り返して抗凝固化された全血で分離装置を部分的に満たすステップ;
j)多血小板血漿コンテナからの多血小板血漿を分離チャンバへと再導入するステップ;
k)分離チャンバからの血漿を血漿コンテナへと移送するステップ;ならびに
l)再導入された多血小板血漿を再処理して、分離装置中に血小板の拡大した層を作り出すステップ
をさらに含有する、発明1に記載の方法。
発明3
m)多血小板血漿を再処理する間に血漿コンテナから血漿をドナーに返血するステップ
をさらに含有する、発明2に記載の方法。
発明4
m)多血小板血漿を分離チャンバへと再導入する間に血漿コンテナから血漿をドナーに返血するステップ
をさらに含有する、発明2に記載の方法。
発明5
m)サージ・エルトリエーション法を用いて分離装置中にある血小板の拡大した層を除去し、血小板が血小板コンテナへと移送されるようにするステップ;ならびに
n)分離チャンバ中に残される血液成分をドナーへと返血するステップ
をさらに含有する、発明2に記載の方法。
発明6
デッドタイムの間に血漿コンテナから血漿をドナーに返血するステップをさらに含有する、発明5に記載の方法。
発明7
体外容量と血管内損失のいずれか一つを計算するステップであって、ステップ(e)中に返血される血漿の容量が少なくとも部分的には計算された体外容量もしくは血管内損失に基づくようなステップをさらに含有する、発明1に記載の方法。
発明8
分離チャンバから多血小板血漿を抽出するステップがサージ・エルトリエーションによって多血小板血漿を抽出することを含む、発明1に記載の方法。
発明9
サージ・エルトリエーションで分離チャンバから多血小板血漿を抽出するステップが血漿でサージすることを含む、発明8に記載の方法。
発明10
血漿低減された血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測するためのシステムであって、
第一のポンプを用いて被験者から第一の容量の全血を取り出し、そして第一のポンプを用いて血液成分を被験者へと返血するための静脈アクセス装置;
取り出した血液を第一の血液成分と第二の血液成分に分離するための血液成分分離装置(ここで血液成分分離装置は、第一の血液成分を第一の血液成分バッグへ、そして第二の血液成分を第二の血液成分バッグへと移送するよう構成される);
分離装置中に残された血液成分を被験者へと返血するための静脈アクセス装置と血液成分分離装置とを流体接続する第一の返血ライン;
第一の血液成分コンテナと分離装置を接続する再循環ライン(ここで第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分が再循環ラインと再循環ポンプを通って分離チャンバへと再導入される);ならびに
第一の血液成分コンテナと第一の返血ラインを流体接続し、第一の血液コンテナ中の第一の血液成分を被験者へと返血するように構成された第二の返血ライン
を含有するシステム。
発明11
第一のポンプが第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分を被験者に返血する、発明10に記載のシステム。
発明12
第一のポンプが分離デバイス中に残された血液成分を被験者へと返血する、発明10に記載のシステム。
発明13
分離デバイスが遠心ボウルである、発明10に記載のシステム。
発明14
第一の血液成分が血漿であり、第二の血液成分が血小板である、発明10に記載のシステム。
発明15
分離デバイスが全血を、第一の血液成分、第二の血液成分に加えて第三の血液成分へと分離する発明10に記載のシステム。
発明16
分離デバイス中に残された血液成分が第三の血液成分を含む、発明15に記載のシステム。
発明17
第三の血液成分が赤血球である、発明15に記載のシステム。
発明18
第二の血液成分がサージ・エルトリエーション法によって分離装置より除去される、発明10に記載のシステム。
発明19
サージ・エルトリエーション法が、第二の血液成分が血液成分分離装置から除去されるまで、第一の血液成分が再循環ラインを通して血液成分分離装置へと流速を増加させながら再導入される、発明18に記載のシステム。
発明20
抗凝固剤源へと結合された抗凝固剤ラインをさらに含有し、前記抗凝固剤ラインが抗凝固剤を取り出した血液へと導入する、発明10に記載のシステム。
発明21
第二の血液成分が血小板であり、予め決められた量の血小板が第二の血液成分コンテナに収集されたのちに第二の血液成分が血液成分分離装置へと再導入され、それにより分離装置から血漿低減された血小板を抽出できる、発明10に記載のシステム。
発明22
第二の血液成分バッグと血液成分分離装置とを流体接続するための再循環ラインをさらに含有し、ここで全血の第二の容量が被験者から取り出されるときに第二の血液成分バッグ中の第二の血液成分が血液成分分離装置へと再導入され、それによって血液成分分離装置中に第二の血液成分の拡大した層が作り出され、第二の血液成分の拡大した層がサージ・エルトリエーション法を用いて血液成分分離装置より除去される、発明10に記載のシステム。
発明23
第二の血液成分が血液成分分離装置へと再導入されるときに第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分が被験者へと返血される、発明22に記載のシステム。
発明24
デッドタイム中に第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分が被験者へと返血される、発明10に記載のシステム。
発明25
コントローラをさらに含有し、コントローラが体外容量および血管内損失の少なくとも一つを計算し、システムが、少なくとも部分的に計算された体外容量もしくは血管内損失に基づいて一定量の第一の血管成分を第二の返血ラインを介して返血する、発明10に記載のシステム。
発明26
血漿低減された血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測するためのシステムであって、
被験者より第一の容量の全血を取り出し、そして被験者へと血液成分を返血するための手段;
第一の血液成分と第二の血液成分に取り出された血液を分離するための血液成分分離手段(ここで血液成分分離手段は第一の血液成分を第一の血液成分バッグへ、第二の血液成分を第二の血液成分バッグへと移送するよう構成されている);
第一の容量の全血を取り出すための手段と血液成分分離手段とを流体接続し、分離手段中に残された血液成分を被験者へと返血するよう構成された、第一の返血手段;
第二の血液成分コンテナと分離手段とを結合する再循環手段(ここで再循環手段は第二の血液成分コンテナ中の第二の血液成分を分離手段へと再導入する);ならびに
第一の血液成分コンテナと第一の返血手段を流体接続し、第一の血液コンテナ中の第一の血液成分を被験者へと返血するよう構成された第二の返血手段
を含有する、システム。
発明27
全血を取り出す手段が第一のポンプを含み、第一のポンプが第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分を被験者へと返血するよう構成される、発明26に記載のシステム。
発明28
第一のポンプが分離手段中に残された血液成分を被験者へと返血するよう構成された、発明27に記載のシステム。
発明29
システムを通る液体の流れを制御するためのコントローラをさらに含有し、コントローラがドナーから全血を繰り返し取り出して分離手段へと導入し、分離手段から第一のおよび第二の血液成分を抽出し、第二の返血手段を用いて第一の血液成分コンテナ中の第一の血液成分を患者へと返血し、第一の返血手段を用いて分離手段中に残された成分を患者へと返血し、ここで予め決められた容量の第二の血液成分が第二の血液成分コンテナへと隔離された後に、第二の血液成分コンテナからの第二の血液成分が分離手段へと再導入される、発明26に記載のシステム。
発明30
コントローラが体外容量と血管内損失の少なくとも一つを計算し、第二の返血手段を用いて返血される血液成分の量が体外容量と血管内損失の少なくとも一つに少なくとも部分的に基づく、発明29に記載のシステム。
発明31
第一の血液成分が血漿であり、第二の血液成分が血小板である、発明26に記載のシステム。
発明32
分離手段が全血を、第一のおよび第二の血液成分に加えて第三の血液成分へと分離する、発明26に記載のシステム。
発明33
分離手段中に残された血液成分が第三の血液成分を含む、発明32に記載のシステム。
発明34
第三の血液成分が赤血球である、発明32に記載のシステム。
発明35
第二の血液成分がサージ・エルトリエーション法を用いて分離装置から除去される、発明26に記載のシステム。
発明36
サージ・エルトリエーション法が、第二の血液成分が血液成分分離手段から除去されるまで、第一の血液成分が再循環手段を通って血液成分分離手段へと流速を増大させながら再導入されることを含む、発明35に記載のシステム。
発明37
抗凝固剤を取り出された全血へと導入するための手段をさらに含有する、発明26に記載のシステム。
発明38
第二の血液成分が血小板であり、予め決められた量の血小板が第二の血液成分コンテナへと収集された後に血液成分分離手段へと再導入され、それによって分離装置から血漿低減された血小板製剤が抽出される、発明26に記載のシステム。
発明39
第二の血液成分バッグと血液成分分離手段とを流体接続する再導入手段をさらに含有し、第二の量の全血が被験者より取り出されるときに第二の血液成分バッグ中の第二の血液成分が血液成分分離手段中に再導入され、これによって血液成分分離手段中に第二の血液成分の拡大した層が作り出され、サージ・エルトリエーション法を用いて第二の血液成分の拡大した層が血液成分分離手段から除去される、発明26に記載のシステム。
発明40
血漿低減された血小板を収集し、かつ血漿の返血を予測するための方法であって、
a)供給源から全血を取り出すステップ;
b)供給源から取り出した全血に抗凝固剤を導入するステップ;
c)抗凝固化された全血を分離チャンバへと導入するステップであって、前記分離チャンバが抗凝固化された全血をいくつかの血液成分へと分離するステップ;
d)抗凝固化された全血から分離された血漿を血漿コンテナへと移送するステップ;
e)血漿コンテナからの第一の容量の血漿を供給源へと返血するステップ;
f)ステップaからdを繰り返すステップ;
g)分離チャンバより多血小板血漿を多血小板血漿コンテナへと抽出するステップ;ならびに
h)分離チャンバ中に残された血液成分を供給源へと返血するステップ
を含有する、方法。
発明41
i)ステップaからcを繰り返して抗凝固化された全血で分離装置を部分的に満たすステップ;
j)多血小板血漿コンテナからの多血小板血漿を分離チャンバへと再導入するステップ;
k)分離チャンバからの血漿を血漿コンテナへと移送するステップ;ならびに
l)再導入された多血小板血漿を再処理して、分離装置中に血小板の拡大した層を作り出すステップ
をさらに含有する、発明40に記載の方法。
発明42
m)多血小板血漿を再処理する間に血漿コンテナから血漿を供給源に返血するステップ
をさらに含有する、発明41に記載の方法。
発明43
m)多血小板血漿を分離チャンバへと再導入する間に血漿コンテナから血漿を供給源に返血するステップ
をさらに含有する、発明41に記載の方法。
発明44
m)サージ・エルトリエーション法を用いて分離装置中にある血小板の拡大した層を除去し、血小板が血小板コンテナへと移送されるようにするステップ;ならびに
n)分離チャンバ中に残される血液成分を供給源へと返血するステップ
をさらに含有する、発明41に記載の方法。
発明45
デッドタイムの間に血漿コンテナから血漿を供給源に返血するステップをさらに含有する、発明44に記載の方法。
発明46
体外容量と血管内損失のいずれか一つを計算するステップであって、ステップ(e)中に返血される血漿の容量が少なくとも部分的には計算された体外容量もしくは血管内損失に基づくようなステップをさらに含有する、発明40に記載の方法。
発明47
分離チャンバから多血小板血漿を抽出するステップがサージ・エルトリエーションによって多血小板血漿を抽出することを含む、発明40に記載の方法。
発明48
サージ・エルトリエーションで分離チャンバから多血小板血漿を抽出するステップが血漿でサージすることを含む、発明47に記載の方法。
発明49
血漿低減された血小板を収集するための方法であって、
a)供給源から全血を取り出すステップ;
b)供給源から取り出した全血に抗凝固剤を導入するステップ;
c)抗凝固化された全血を分離チャンバへと導入するステップであって、前記分離チャンバが抗凝固化された全血をいくつかの血液成分へと分離するステップ;
d)抗凝固化された全血から分離された血漿を血漿コンテナへと移送するステップ;
e)血漿コンテナからの第一の容量の血漿を供給源へと返血するステップ;
f)ステップaからdを繰り返すステップ;
g)分離チャンバより多血小板血漿を多血小板血漿コンテナへと抽出するステップ;ならびに
h)分離チャンバから残された血液成分を除去するステップ
を含有する、方法。
図1
図2
図3
図4