(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
媒体中の少なくとも1種の標的化合物を検出するための生物電気化学システムであって、陽極または陰極を含む少なくとも1個の作用電極と、該作用電極に近接する少なくとも1種の第一の起電性微生物と、消耗される基質とを含み、前記第一の起電性微生物が、前記作用電極と相互作用して電流を生成し、前記標的化合物の濃度増大下に前記電流が減少し、前記第一の起電性微生物が前記標的化合物の存在下で代謝活動を維持する、生物電気化学システム。
少なくとも第一のセンサー領域と第二のセンサー領域とを更に含み、前記第一のセンサー領域と第二のセンサー領域が、選択的に透過性な膜によって分離されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
前記標的化合物を検出するための、少なくとも1個の第一のセンサー領域を更に含み、前記第一のセンサー領域が、固有の第一の陽極室及び固有の第一の陰極室を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
農業処理水中の標的化合物の存在又は非存在を測定する方法であって、前記方法は、前記水を生物電気化学システムでモニタリングすることを含み、前記生物電気化学システムは、
陽極または陰極を含む少なくとも1個の作用電極と、該作用電極に近接する少なくとも1種の第一の起電性微生物とを含み、前記第一の起電性微生物が、前記作用電極と相互作用して電流を生成し、前記標的化合物の濃度増大下に前記電流が減少し、前記第一の起電性微生物が前記標的化合物の存在下で代謝活動を維持する、前記方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面、以下の詳細な説明、及び組み込まれた資料を参照し、本発明に関する詳細な情報を、特定の実施態様の説明を含めて提供する。本発明の原理を説明するために詳細な記載を提供する。本発明は、修正及び代わりの形態を許容する。本発明は、開示された特定の形態に限定されるものではない。本発明は、請求項により定義される、本発明の精神及び範囲内の全ての修正、均等物及び代替手段を包含する。
【0019】
(センサーとしての微生物燃料電池)
微生物燃料電池(MFC)は、還元型基質の嫌気的消費の際に電子シンクとして不溶性の析出金属を通常に用いる微生物を利用する。金属析出物を電極に置換することにより、電流は、外部回路を通って流れるように誘導されて集めることができ、電子は、酸素の場合がある最終電子受容体を還元する陰極室内に最終的に到達する前に、電気的作業を行う。膜は、陽極及び陰極半反応に分離し、回路を通って陰極に到達する電子によって輸送される電荷の平衡を保つために陽イオンの選択的通過のみを許容するので、一般的にプロトン交換膜燃料電池(PEMFC)のカテゴリーに分類される。電子流又は電流のための駆動力は、陽極の半電池における酸化反応と、陰極における最終電子受容体の還元反応との間の電気化学的な酸化還元電位差に由来する。
【0020】
意外にも、多くの場所における沈殿物が電流を生成する微生物を提供するので、これらの起電性微生物(当該外技術分野において、起電性微生物と言われる場合がある)は天然においてどこにでも存在するように思われる(Holmesら、2004)。微生物は、陽極に電子を放出するいくつかのメカニズム:(i)溶解した外因性メディエータ又は電子シャトル化合物を介し、(ii)膜複合体に関与する種間電子移動により、(iii)導電性繊毛又はナノワイヤーに関与する電子移動を利用する(Gorbyら、2006)。いったん陽極に移動すると、電子は、最終電子受容体の還元に関与する陰極に流れる。最終電子受容体として酸素分子が用いられる場合、陰極における還元は、プロトン交換膜(PEM)を超えて陽極室から移動したプロトンを用いて水を生成する。
【0021】
MFC構造における多くの変形が開発され、2006年に報告された最も最近の構成(約1000mW/m
2)に対し、1999年の最初の型(約0.01mW/m
2〔陽極表面積に対して標準化〕)との間に生産力において劇的な10
5倍の増大をもたらした(Logan及びReagan、2006)。
【0022】
微生物燃料電池の性能は、基質濃度、温度及び酸化還元状態を含む、装置の多くの物理的及び化学的パラメータによって変化する。電圧又はアンペア出力に対する摂動は、ある用途においては有害であるが、この品質は、MFCが、それらの性能に影響を与えるパラメータについての生物学的センサーとして機能することをも可能にする。陽極又は陰極の基質濃度は、おそらく最も便利なセンサー入力である。
【0023】
実際、MFCは、生物学的酸素要求量(BOD)又は乳酸塩の濃度について報告する多くの研究において利用されてきた。最初の例の1つにおいて、陰極中にフェロシアン化カリウム電子受容体を含む、2室のMFCは、シュワネラ種細菌を含む陽極に乳酸塩が添加され;電流生成の増加率は乳酸塩投与量に対して関連づけられた(Kimら、1999)。シュワネラ種細菌によりコロニーが形成された空気陰極MFCを利用した、より一般的なセンサーは、廃水の最初のBODに対するバッチモード性能において生成した全電荷量と関連づけることにより、デンプン加工プラント廃水中のBOD濃度用センサーとして用いられた。特に、このセンサーは4年以上にわたって確立されていたMFC装置を用い、ほとんど1年間にわたってBOD濃度の検知において+/−13%の再現性を示し、MFCをベースとするセンサーが、長期間の使用可能な耐用年限を有することが立証された(Kimら、2003)。
【0024】
このBODセンサーのより最新の型は、プロキシとして電流の出力を用いることにより、BODのリアルタイムモニタリングのための連続フローMFCを用いて構成された(Changら、2004)。2つの更なる研究は、BOD当量あたりに、より多くの電流を生成することにより、陰極の反応及びMFCの構成を最適化してBODセンサーの感度を向上させ、また、大幅に、+/−3%まで再現性を向上させるように焦点を合わせている(Kangら、2003;Kimら、2009)。類似の構成においては、陽極中において微生物共同体を、またリン酸緩衝液/塩陰極溶液を用いるセンサーは、25mg/L〜25g/Lグルコースで要求される直線範囲で電圧の上昇を示した(Kumlanghanら、2007)。
【0025】
(本発明の微生物をベースとするセンサー)
溶液中の電子供与体の利用可能性を検知する、以前に研究されたMFCをベースとするBODセンサーと対比し、本発明のセンサーは、液体又は気溶体中の電子受容体の利用能を標的とし得る。センサーの背後にある基本概念は、センサーの構成により、陽極又は陰極のいずれかの領域で、微生物によって溶液(水性又は気体状)中の最終電子受容体又は電子供与体の優先的又は階層的使用である。
【0026】
センサーを、作用電極が陽極であるように構成した場合、本発明のセンサーは、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物はセンサー中で選択的に還元される。このような構成において検出し得る標的化合物の例には、酸素、亜硝酸塩(NO
2−)、硝酸塩(NO
3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO
4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO
4−)、元素硫黄(S
0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩及び/又は鉄(III)などの電子受容体が含まれる。
【0027】
作用電極が陰極である場合、センサーは、制御された化学陽極を更に含み、前記標的化合物は、センサー中で選択的に酸化される。このような構成において検出し得る標的化合物の例には、水素(H
2)、メタン(CH
4)、アンモニウム(NH
4+)、アンモニア(NH
3)、硫化物(例えば、H
2S、HS
−及びS
2−)、鉄(II)、亜ヒ酸塩、元素硫黄(S
0)、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースなどの電子供与体が含まれる。
【0028】
多くの微生物は、酸素、亜硝酸塩(NO
2−)、硝酸塩(NO
3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO
4−3)及びウランを含むが、これらに限定されない、多くの電子受容体で呼吸する能力を有している。複数の電子受容体の存在下、微生物は、通常は、最初にエネルギー的に最も有益な電子受容体を利用するために呼吸経路を制御する。電子受容体の階層的使用は、いくつかのレベルを有している場合がある。例えば、よく研究されたモデル生物である大腸菌(E.coli)は、他の全ての適切な電子受容体の存在下であっても、酸素で呼吸する。酸素を消費し、硝酸塩が存在する場合、硝酸塩は、他の電子受容体よりも前に用いられるであろう。最終的に、酸素及び硝酸塩がいずれも存在しない場合、大腸菌は適切な電子受容体の非存在下に、他の電子受容体で呼吸し、又は発酵する。
【0029】
しかし、大腸菌は、呼吸のための電極を利用する能力に限界があり、発酵への傾向のため、生物電気化学電池をベースとするセンサーにおいて用いるのに最適な生物ではない。一方、シュワネラ・オネイデンシス(Shewanella oneidensis,S.oneidensis)は、導電性陽極バイオフィルム形成に効果的であり(Biffingerら、2007)、500W/m
3において細胞外移動する(Ringseisenら、2006)ことがわかっている。細胞の電気出力の減衰に依存するであろう、検出性能として、高出力密度は重要な特徴である。シュワネラ・オネイデンシスは、広範囲の最終電子受容体を利用することができ(Bretschgerら、2007;Kimら、1999;DiChristina、1992;Arnoldら、1990)、発酵する能力を有しない(Kostka及びNealson、1995)。シュワネラ・オネイデンシスは、また、電子受容体の利用において異なった反応を示すことがわかっている(Belleavら、2005)。これらの因子は、シュワネラ・オネイデンシスを、生物電気化学電池をベースとする、電子受容体の検出のためのモデル生物とする。
【0030】
特定の実施態様においては、本発明のセンサーは、変化した呼吸表現型を有する、1種以上の起電性微生物を利用する。変化した表現型は、既に開示されているように、センサーの構成により、変化した電子受容体の利用能力、又は変化した電子供与体の利用能力であってもよい。例えば、起電性微生物は、公知の野生型又は変異型微生物、或いは、酸素、亜硝酸塩(NO
2−)、硝酸塩(NO
3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO
4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO
4−)、元素硫黄(S
0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩、及び/又は鉄(III)などの電子受容体を利用できない、遺伝子操作された微生物であってもよい。更なる例として、起電性微生物は、公知の野生型又は変異型微生物、或いは、水素(H
2)、メタン(CH
4)、アンモニウム(NH
4+)、アンモニア(NH
3)、硫化物(例えば、H
2S、HS
−及びS
2−)、鉄(II)、亜ヒ酸塩、原子硫黄(S
0)、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及び/又はグルコースなどの電子供与体を利用することのできない遺伝子操作された微生物であってもよい。
【0031】
本発明のセンサーにおいて用いることのできる、適切な起電性微生物には、シュワネラ、シュードモナス、ジオバクター、及びシアノバクテリア、又はそれらの公知若しくは遺伝子操作された変異体が含まれる。
【0032】
本発明の微生物系センサーの1実施形態を
図1に示す。
図1に示すセンサーは、サンプル内に存在する酸素量と硝酸塩量を、酸素および硝酸塩が呼吸作用において消費される前に制御されたチェンバー内で拡散できる距離を決定することによって、検出するように設計されている。本発明のセンサーは、硝酸塩、及び/又は、酸素を検出することに制限されないことに注意すべきである。
図1に示され、及び、以下の実施例1で説明されるセンサーは、本発明に従って設計されたセンサーの単なる一例である。
【0033】
図1に示すように、センサーは、その内部で2つの区域に分割される。第1は酸素センサーであり、及び、第2は硝酸塩センサーである。各区域は、共通の拡散室を共有するが、それぞれ固有の陽極室及び陰極室を含む。センサーを通過する酸素及び硝酸塩の拡散は、左から右へ見られる。センサーの第1のチェンバーにおいて、酸素は、酸素生物電極での電流の発生が結果として異なったレベルで完了するまで、消費される。硝酸塩は、第1のチェンバーでは変化しないが、これは変異株が終端電子受容体として硝酸塩を使用できないためである。硝酸塩が、第2のチェンバーに到達すると、硝酸塩生物電極での電流の発生が結果として異なったレベルで完了するまで、消費される。
【0034】
拡散室は、0.2ミクロンより小さい細孔サイズを有する障壁を使用して、外部のサンプルと生物陽極室から微生物を遮断することによって、無菌が維持され、同時に、センサーとサンプルの相互汚染を防ぐ。重要なことに、このセンサー設計は、付加的電子受容体に対して拡張されることが可能である基盤設計の例示である。付加的な変異株、種、及びチェンバーの取り込みを通じて、広範囲の電子受容体が測定可能である。第1の標的は酸素と硝酸塩であるが、将来は、異なる応用分野に対して、砒素及びウランのような水質汚染を扱うように修正されるであろう。
【0035】
改変された呼吸表現型を有する遺伝子操作された微生物が、説明されてきた。例えば、突然変異体napA
−を保持するシェワネラ・オネイデンシスは、硝酸塩、及び/又は、亜硝酸塩を呼吸し、又は、消化する能力を欠いていると見られてきた(Cruz−Garcia2007)。他の微生物は、酸素、砒素、クロム、硫酸塩、フマル酸塩、リン酸塩、及び/又は、鉄を利用する能力を欠くようにする突然変異体を保持するように遺伝子操作されることが可能であり、本発明のセンサー内で使用されることが可能である。同様に、改変された電子供与体利用能力を有する微生物は、本発明のセンサー内で使用するために遺伝子操作されることが可能である。
【0036】
1つ以上の起電子性/起電性微生物は、本発明のセンサー内で使用可能である。本発明のセンサー内で利用される微生物は、監視されるべき所望する標的化学製品/化合物によって変更することが可能である。好ましい実施形態において、異なる呼吸表現型を有する、少なくとも2つの微生物が、本発明のセンサー内で使用される。例として、ここで監視されるべき所望する標的化学製品が硝酸塩である場合、突然変異体napA
−を保持するシェワネラ・オネイデンシスは酸素アノードで使用可能であり、突然変異体napA
−はシェワネラ・オネイデンシスに対し、硝酸塩、及び/又は、亜硝酸塩を呼吸し、又は、消化する能力を欠如させ(Cruz−Garcia2007)、また、シェワネラ・オネイデンシスの野生型株が硝酸塩アノードで使用可能であり、野生型株はシェワネラ・オネイデンシスに対し、酸素、及び、硝酸塩及び/又は亜硝酸塩の両方の使用を可能とする。サンプルがセンサーの外側を通り過ぎると(
図1の左側に示すように)、酸素と硝酸塩はセンサー内へ拡散する。酸素アノードの初期の微生物は、センサーの外側に近いレベルの酸素と硝酸塩の濃度に遭遇する。これらの微生物は、容易に酸素を好ましい電子受容体として利用できるであろう。酸素が存在しているとき、シェワネラ・オネイデンシスは外部電極への電子移動数を減少させ、酸素が存在するという測定可能な信号を発生させる。
【0037】
酸素が、酸素アノードの初期において微生物によって消費されると、チェンバーの下方へ拡散する酸素量が減少し、後の微生物が酸素の濃度の低下に遭遇する。センサーを更に進行すると、酸素は著しく減少し、微生物は、代謝活動を維持するために電極の呼吸作用に依存する。硝酸塩レベルは、酸素アノードによって変化しない。なぜなら、napA
−株は硝酸塩、及び/又は、亜硝酸塩を使用する能力が欠如しているからである。
【0038】
センサーの硝酸塩区域の入り口で、全ての酸素は消費され、硝酸塩は変更されなかった(単なる拡散勾配が確立された)。硝酸塩アノードでは、酸素アノードに存在するものと同一の現象が発生するであろう。硝酸塩は、センサー入り口に近い微生物によって消費され、この微生物は電極の呼吸作用及び硝酸塩の消費を縮小させる。硝酸塩が消費されると、電流は、微生物が代謝活動を維持するため電池外電子移動を再度要求するにつれて、増加する。アノードワイヤーは、拡散濃度勾配に対して垂直に配列されているので、各ワイヤーと、関連する微生物は、電子受容体の均一な特性に遭遇する。アノードワイヤーの各々において発生する異なる電流を解釈することによって、我々はセンサーの様々な位置で電子受容体の存在を決定することができ、そして、確立された濃度特性に基づいて、サンプルにおける種の濃度を推測するだろう。
【0039】
(センサーの動作)
拡散室内の電子受容体の濃度は、移動現象と反応速度論の原理を使用してモデル化されることが可能である。質量移動方程式の一般形は、
(1)
【数1】
【0040】
ここで、Cは化学種(酸素又は硝酸塩)の濃度であり、Dは水中の化学種の拡散率であり、Rは化学種の反応(消費)速度であり、tは時間、及び、x、y、zは、デカルト座標である。この方程式は、特に、システム境界内の動的変化、3つの全ての座標系内の拡散勾配、及び、化学反応を説明している。我々のシステムのために、この方程式は簡素化が可能である。最初に、z方向の勾配項は、濃度がセンサーの全幅の方向に単一であり、高さと長さ方向で単に変化するため省略できる。次に、センサーは準定常状態で機能すると仮定することが可能である。これは方程式を以下の形式に変える。
(2)
【数2】
【0041】
この点から、解析は、作成された仮定ににより、いくつかの経路をとることが可能である。センサーが設計されたとき、拡散室内では反応は起こらず、そして、問題は、半透過の無菌障壁において固定境界条件を伴う2次元拡散問題になる。この説明がシステムに対して最も正確であるが、解析的解法を引き出すことは、些細なことではなく、また、境界条件に適用することは、かなり複雑になる。センサーがどのように振舞うであろうかという第1の近似のために、センサーの高さが長さよりかなり短く、それゆえ、y方向の拡散はx方向に比べて速く、このため問題は1次元になり、解析的に解くためにかなり簡素化されると仮定することが可能である。簡素化された方程式を整理すると、以下の形式になる。
(3)
【数3】
【0042】
この点において、反応項がどのような形式をとるかを決定しなければならない。反応はバルク部分でなく、むしろ表面(あるいは、より正確には表面の反対側)で発生する。しかしながら、この問題は1次元に簡素化されたので、バルク反応項を示す近似は理にかなっている。理論による跳ね返りを意図しなければ、電子受容体の消費は電子受容体の濃度に依存するものと考えられるであろう。これは、微生物生理学からだけでなく、陽極室に到達するためには横断しなければならない拡散障壁にもよる。濃度依存のための単純な近似は、線形である(これに対する1つの解釈は、アノードにおける完全な枯渇と反応の拡散制限であろう)。この形式を使用すると、以下の方程式が得られる。
(4)
【数4】
【0043】
この方程式は、以下の形式の一般解を持つ2次の線形同次微分方程式である。
(5)
【数5】
【0044】
境界条件として、xを無限大に近づけるとCは0に近づき、x=0のときC=C
0を適用して、微分方程式に以下の解を与える。
(6)
【数6】
【0045】
この解は、濃度がセンサーの長さに沿って指数的に下降し、理論的には決して0にならない(実際にはなるが)ということを示す。この方程式は、濃度特性がどのように振舞うかについて適正解釈を与えているが、反応速度のパラメータを一定にしていないため、ゼロ次(一定)の反応速度を有する、より簡単なモデルを考慮することは価値がある。この場合、方程式(3)のRは定数であり、また、方程式は一般形への変数の分離によって解くことが可能である。
(7)
【数7】
【0046】
x=LのときC=0であり、また、x=0のときの全ての流速はセンサーにおける反応速度の総量に等しいという境界条件が適用されたとき、以下の方程式が導かれる。
(8)
【数8】
【0047】
ここで、Lは酸素が枯渇するときの、チェンバーの中の距離である。この方程式は、電子受容体が、拡散室の入り口(x=0)における濃度、C
0に関して枯渇するであろう、センサー内の距離を解くために整理されることが可能である。
(8)
【数9】
【0048】
室温における水中の酸素飽和値(C
0=9.1g/m
3)、室温における水中の酸素の拡散率(D=1.8×10
−9m
2/s)、及び、シェワネラ・オネイデンシスにより吸収されたバルク部分の酸素の観測速度(R=0.015g/m
3−s、Tang et al,2007)を使用して、酸素センサー内で酸素が枯渇するであろうときの近似距離が概算されることが可能である。この計算結果は、1.5mmである。この数値は比較的小さい長さを示しているが、これは理にかなった目盛りであり(マイクロメータ又はメーターに対してミリメータ)、指数的に増加する細胞の停止を使用する、反応速度の仮定はかなり控えめであることに注意すべきである。実際は、電子受容体が枯渇するときに及ぶ長さは、センサーの幾何学的パラメータのいくつか、拡散室の高さが最も顕著であるが、を変更することによって、微調整が可能である。拡散室の高さが増加するにしたがって、液体の体積(それゆえ、電子受容体の総量)は増加し、その間、消費反応のための表面積(それゆえ、反応速度)は一定を維持する。一方、陽極室の体積と電極の表面積を変更することによって、拡散勾配が確立するときに及ぶ長さに影響するであろう電子受容体消費速度を変更することが可能である。簡素化のため、これらの因子はここでは解析されなかったが、将来のモデル化作業によって、扱われるであろう。
【0049】
(センサー設計の電子的考察)
本発明は、収集したデータを遠隔的に送信するために必要とされる電力要求も満たす、微生物燃料電池系環境センサーを提供する。センサー設計のいくつかの側面は、そのようなシステムに適合する。最初に、長寿命の防食用アノード基盤としてキチンを使用することによって、MFCは機能し、また、月又は年単位で測定される可能性のある一定期間にわたって電力を生産する。以前に示したように非常に微量のChitin−80を使用したとき、基盤を高度化されたMFCは、電力出力の損失もなく10日間、問題なく機能し、寿命は、使用されるキチン量に対して少なくとも線形に改良されるであろう(Rezaei et al.,2007)。本発明のセンサーは、酸素又は硝酸塩の刺激の増加がない状態で、比較的一定の電力が発生するように機能し、また、これらの干渉化学物質の濃度が、センサーから遠隔的に情報の送信を生み出すために依然として十分である電力出力において、単なる不完全な減少をもたらすように設計される。電力生産を完全に切断するのに十分である、極端な及び持続的な酸素又は硝酸塩汚染物質の場合、そのような状況では、問題となる汚染物質を改善するために操作者の介在を必要とする可能性が非常に高い。
【0050】
他のMFC電力センサーと同様に、バースト状の信号方式の動作のための、安定した細流電荷を蓄えるために、コンデンサを使用されなければならないが、この技術は良く発達し、実践的考察は以前に扱われていた(Shantaram et al.,2005)。センサー反応の大きさは、1つ又はいくつかのアノード電子回路内の電流量の増加と関連がある。電流が永久磁石を通過するとき、電荷を発生するホール効果センサーを含むワイヤー内の電流変化を検出するために利用できるいくつかの可能性を持つ方法があり、すなわち、単純機能の増幅系回路を使用して、0から200nAの電流は、組み立てに10ドルより安い価格の装置によって確実に検出されることが可能である(Linear Technology、2010)。電子機器と電流計の構成は、機器の価格、性能、丈夫さにより、様々である。
【0051】
(他のセンサー設計の考察)
センサー寿命にわたって過剰な容量と安定性を有する化学的半電池、カソードの結果として、信号の変動と制限を避けるカソード半電池設計が実行される。
【0052】
温度反応。生物学、及び、全ての電子化学的応用は、温度変化に高感度である。このパラメータは、任意の最終センサー設計において、評価され、また、制御される可能性がある。
【0053】
養分利用の保証。センサーの信頼性のため、養分は微生物の活動を制限してはならない。必須の養分は、長期間維持(ゆっくりと放出)する形式で微生物に提供される。
【0054】
信号解析のための回路設計。各センサーの個々のアノードワイヤーから引き出された信号は、酸素と硝酸塩の濃度を決定するために、演算、及び、処理される。
【0055】
微生物の遺伝的浮動。微生物の遺伝的浮動は、センサー動作に必須であるので、微生物群の安定は、不透過障壁を使用して相互汚染を防ぐことによって、および、アノードに一般的に安定した株を播種することよって保護されている。
【0056】
センサー内の生物量の蓄積。細胞の残骸はセンサー内で蓄積する可能性があり、生物膜はチェンバー間の障壁に形成可能である。微生物燃料電池は、長期間の安定した動作を維持可能であるが(Kim et al.,2003)、腐敗を防ぐために慎重な設計が必要である。
【0057】
水の構成要素との干渉。様々な水の構成要素の効果は、潜在的毒性及び信号干渉の可能性のために開発の後段階で評価される。
【0058】
(産業への適用可能性)
農業、調査、下水、及び規制分野に出現した流行は、低コストなリアルタイムセンサーの著しい必要性を示している。例えば、EPAドキュメント、例として、その2006から2011の戦略的計画(2006−2011 Strategic Plan)は、既に、硝酸塩低減のための「戦略目標」に言及している(Johnson,2006)。米国環境保護庁(EPA)のミシシッピ川・メキシコ湾流域栄養作業部会(Mississippi River Gulf of Mexico Watershed Nutrient Taskforce)のなどのイニシアチブは、特に農作業と関連して、水表面の硝酸塩を監視することへの関心が増加していることを示している。現在、NRCS(8000万ドルの年次プログラム基金)により指導されるミシシッピ川流域イニシアチブに関係した約41の流水域がある。土壌と水の保全区域などは、改善された農場の実践(NRCS、2010)を通して、水路に「隣接した農場」内の「農場の端部」で硝酸塩と他の養分を監視する個人生産者によって、それらのレベルを縮小させることを目指して、機能している。加えて、中西部のような国の領域は、タイル排水システムの集中的使用で知られている。
【0059】
それゆえ、監視への関心の増加と水表面の硝酸塩の規制により、米国では、水表面の監視のための、高価でなく、耐久性のある、正確な道具へのマーケット主導の要求が存在する。ヨーロッパでは、硝酸塩は1991年以来、規制されているが、ここでも、ヨーロッパにまたがる監督機関(Europa Commission、2010)によって設立された、2700の水表面ステーションのネットワークが存在するために、高品質で、連続監視可能な機器のマーケット要求がある。加えて、全てのタイプの農作業、規則化された最高の実践的農業、汚染源における固定された出力レベルは、利益になり、また、源泉地主義においての予防、「硝酸塩脆弱領域」の存在のための強制的測定は、この問題の責任を個人ユーザレベルに負わせる。これはまた、硝酸塩検出機器を、個人生産者レベルでヨーロッパ市場に導入させてきた(Gieling et al.,2005)。同様な規制は、米国ではまだ適用されなかったが、ヨーロッパ市場は、米国がその方向に進むべきという参考点を提供する。
【0060】
本発明の微生物系センサーは、地表下のタイル排水システムを多く使用している地域に重点を置いた農業排出を監視するために特に有効である。センサー設計の低コスト、高耐久性、高感度を前提として、本発明のセンサーは、EPA及びUSDA(The U.S. Department of Agriculture),などの監督機関を含む政府機関、農業コンサルタント、及び、個人の農業従事者などにとって有効な機器である。
【0061】
同様に、本発明の微生物系センサーは、流水域の監視と管理に対して特に有効である。流水域監視とデータ収集は、米国中の流水域管理団体の中核の使命の一部として成長しているように見える。区域、市、及び/又は、州が後援する流水域管理団体は、今、地域の小川、川、池、貯水池、及び湖の監視活動を指揮している。このような団体は、一般に、月ごとに監視し、ボランティア及び外部研究室の分析に頼っている。センサー設計の低コスト、高耐久性、高感度性は、本発明のセンサーを、このような流水域管理団体による使用に対して、理想的な機器にしている。
【0062】
加えて、増加している多くの水質検査者及び検査センターは、水質、排水システム、高度農業経営、養分及び汚染物質の移動に、中でも関心を向けている。本発明の微生物系センサーの低コスト、高耐久性、高感度性は、タイル配水管、灌漑用排水溝、小川、及び川などの硝酸塩を監視する検査者による使用に対して、これらを理想的な機器にしている。
【0063】
本発明の微生物系センサーは、下水処理の分野でも適用可能である。
【0064】
(実施例)
本発明を概略的に説明した。本発明のある側面及び実施形態の単なる例示目的として含まれる以下の実施例を参照して、より容易に理解されるであろうが、これは本発明を多少なりとも制限することを意図しない。
【0065】
(実施例1:微生物系硝酸塩センサーの開発)
本例は、微生物センサーの基本として、シェワネラ・オネイデンシスを好ましい電子受容体用途として使用する実現性を証明する。特に本例は以下を目的とする。
1)拡散と呼吸消費によって確立した酸素の濃度勾配を下げる差分電流の証明;
2)拡散と呼吸消費によって確立した硝酸塩の濃度勾配を下げる差分電流の証明;
3)センサーのサイズ、電子受容体の消費速度、及び電子受容体種の拡散率のパラメータに基づいた前段センサー設計の確立;
センサーは、以下に概説する方法に従って、4つの並列したステップで開発される。
【0066】
(ステップ1:テスト電池の構築)
段階1のテスト電池は、2つの構成要素、センサー領域と媒体再循環システムで構成されている(
図2)。これらの構成要素の概略設計は、酸素及び硝酸塩センサーのテストにおいて、同一である。3つのテスト電池が組み立てられる:酸素センサーテスト電池、硝酸塩センサーテスト電池、及び受容体なしのコントロール電池。
【0067】
(センサー領域)
センサー領域(
図2)は、イオン交換膜又は無菌フィルタで分離された、サンプル室、拡散室、陽極室、及び陰極室で構成されている。これらの室の各々の構造は、制限された酸素拡散率を有する生体適合ポリマー材料から作られている。拡散室をサンプル室及び陽極室から分離している無菌フィルタは、細孔サイズ0.2umのフィルタ(Pall Suporフィルタ)で作られており、陽極室から拡散室、サンプル室、及び媒体貯蔵槽への微生物汚染がないことを保証する。全ての膜とプラスチィック部品は、漏出と空気流入を防止するために、ゴムパッキンを使用してセンサーアセンブリ内で密封されている。センサー領域の全ての部品は、各実験の前に殺菌される。
【0068】
サンプル室は、新鮮な媒体の安定的交換のため、入口と出口を有し、供給養分と調査される電子受容体(酸素と硝酸塩)レベルの両方を再度補充することを可能とする。サンプル室を通過する流動は、フィルタの接線方向であり、これは、拡散勾配の確立のためサンプルの濃度を一定に維持する一方で、陽極室内における任意の対流的な流動を最小化する。
【0069】
陽極室の設計は、電子受容体の枯渇を保障するために、および、センサー感度を増加させるために大きな、長さ対高さのアスペクト比を有する。アノードワイヤーは、各ワイヤーにおいて固有ではあるが均一の環境を保障するために、幅の次元に対して平行に並べられ、及び、室全体を横断して伸張する。感度及び統計的確実性及び精度は、直接、ワイヤーの数と関連しているが、これはコストにおいてセンサーの複雑さを増加させる。この問題は構築中に扱われる。アノードワイヤーは、拡散室を陽極室から分離しているフィルタに隣接する。これは、バルク部分に住んでいる微生物からの消費と干渉のない拡散室内で、ワイヤーに住む微生物が直接フィルタを横切ってその酸素濃度に遭遇することを可能とする。
【0070】
カソードは、直接、アノードと対抗させて設置し、また、各アノードワイヤーから等しく分離されている。各アノードワイヤーは、直接に反対側のカソードのリード線に対応している。この均質な形状は、過剰なカソード容量と共に、媒体の組成のみがアノードワイヤーの性能において相違をもたらすことを保障する。陽極室をカソードから分離しているイオン交換膜は、Nafionで作成されており、陽極室への酸素浸透を最小にし、および、MFC内部抵抗を最小にする。この膜は、白金触媒を有する膜電極アッセンブリ内のカソードと直接結合している。このカソードは、標準空気カソードとして機能する。もし、酸素のセンサー内への漏出が問題として疑われるなら、白金触媒された空気カソードは、嫌気性のカソード半電池と置き換えられる。
【0071】
(媒体再循環システム)
電子受容体と養分の濃度を一定に維持することは、センサー設計を検査するために必要不可欠である。これは、媒体の大きな貯蔵槽と、サンプル室を通しての媒体の高速再循環と、を用いて達成される。貯蔵槽のサイズは、実験の継続時間にわたってほぼ均一の組成物を維持するのに十分であり、これは、電子受容体と養分の存在を検査することによって確認することが可能である。もし必要なら、貯蔵槽内の媒体は、センサー構成要素に抜本的な影響を与えることなく変更することが可能である。貯蔵槽そのものは、チューブ取り付け具を含むように改良されたふたを有する大きな媒体ボトルであってもよい。
【0072】
貯蔵槽は、フレキシブルなチューブでセンサーと接続されている(
図3)。ぜん動性ポンプは、貯蔵槽からの流動をサンプル室の中へ押し流す。別のチューブは、液体をサンプル室から貯蔵槽へ戻す。貯蔵槽は、水圧による電気的短絡を避け、均一な構成を維持するために、よく混合される。
【0073】
(ステップ2:酸素センサー原理の検証)
ステップ2は3つのサブタスクに分割される。第1のサブタスクは、酸素有りと酸素なしの電極利用における培養の差分反応を確認することである。これが確認されると、次の第2のサブタスクは、センサーテスト電池内で培養を利用して、酸素勾配の確立のため及びその勾配の下方への差分反応を検査することである。最後に、媒体内で、溶解酸素の異なるレベルは、第3サブタスクで検査され、センサー動作を検証する。これらのサブタスクを、以下でより詳細に説明する。
【0074】
(酸素に対する差分反応の確認)
シェワネラ・オネイデンシスMR−1の培養は、従来のMFC内で接種される。このMFCは、電池外の電子移動に従事している活性嫌気性微生物群を確立する条件とする。新しい養分は、安定した活性を維持するためリアクターに(嫌気的に)一括で付加される。安定した動作に到達したら、電池内の媒体は、連続的に空気を散布し、酸素で飽和させる。過剰な酸素の存在は、以前に報告されているように(Arnold1990)、劇的に電極の呼吸作用を縮小させる。嫌気性の場合、一定の活性を保証するため、新しい養分を媒体へ付加する。
【0075】
(酸素勾配確立のための検査)
シェワネラ・オネイデンシスMR−1は、酸素センサー原理を検証するために使用される。この株は、以前に説明された媒体の硝酸塩を含まない配合で所定の密度まで嫌気的に培養される(Kim1999)。この培養は、陽極室に接種するために使用される。同一の無菌媒体は、酸素で飽和し、媒体貯蔵槽に付加され、サンプル室内を循環する。この媒体は、代謝活性を制限しないように過剰な養分を含むように構築される。貯蔵槽内の媒体は、酸素の飽和を維持するために無菌の空気を散布される。媒体貯蔵槽と電池は、この実験において30℃の一定温度に維持される。陽極室の微生物は、陽極室に導入された後、安定状態に達することが可能である。各個々のワイヤーの電流は、抵抗での電圧降下を測定することによって決定される。
【0076】
(サンプル酸素の濃度の変更)
酸素飽和状態での初期テスト後、センサーの反応を検査するために媒体内の酸素量は変えられる。これらのテストために、媒体は標本抽出され、酸素量は酸素電極を使用して測定される。
【0077】
(ステップ3:硝酸塩センサー原理の検証(嫌気的))
酸素センサー概念の検証と類似しているので、硝酸塩センサー原理を実証するために、ステップ3は、以下を確認するために3つのサブタスクに分割される。
1)電子受容体として硝酸塩有りとなしの差分MFC出力
2)硝酸塩勾配形成とセンサー内での検出、及び
3)サンプル硝酸塩濃度に依存したセンサー反応
【0078】
(硝酸塩に対する差分反応の確認)
従来のMFCにおいて、野生型シェワネラ・オネイデンシスMR−1は、嫌気性の、硝酸塩を含まない媒体を利用して、陽極室内に適応させられる。培養が安定状態動作に到達した後、代替電子受容体として硝酸塩をアノードに付加し、電流出力が監視される。以前の研究では、MFCの電圧、電流発生出力、及びクーロン効率が、適当な炭素源及び電極電位と共に、硝酸塩の付加によって影響されることを示していた(Sukkasem et al,2008)。一般的に、硝酸塩の存在は電極で利用できる電位より低い還元電位を提供するため、MFCの性能は、硝酸塩のアノードの濃度が増加するのに応じて減少する。空気カソードを使用して、アノード媒体(嫌気性)へのミリモル濃度の硝酸塩の付加は、特により低いMFC内部抵抗のとき、電池の出力電圧と電流の発生を急速に減少させた(Sukkasem et al,2008)。シェワネラ・オネイデンシスMR−1は、これ以前の研究で使用される種より、呼吸作用における終端電子受容体として、更に効率的に硝酸塩を利用するので、我々は、より低い硝酸塩濃度のとき電子発生において同様な損失、及び、使用されるミリモル硝酸塩濃度のときより著しい反応を観測することを期待するであろう(Cruz−Garcia et al,2007)。この結果は、定電位電解装置で電極を+200mV(Ag/AgCl参照)の平衡とし、記述のとおり(Kim1999)媒体内で炭素源として乳酸を利用することによって、確認できる。
【0079】
(硝酸塩勾配の確立のためのテスト)
硝酸塩への反応が確立した後、シェワネラ・オネイデンシスMR−1の培養は、記述のとおり(Kim1999)、50mMの硝酸塩濃度で、媒体内において、指数的段階へ成長し、硝酸塩センサーの陽極室内に接種される。MFC動作の実質的な変化は、8mMより低いアノード硝酸塩濃度において確認されたので、勾配反応は明確に視認できる(Sukkasem et al,2008)。同一組成の嫌気性媒体が、媒体貯蔵槽に付加され、サンプル室内を循環する。酸素センサーテスト電池と同様に、均質の結果を保障するために、過剰の養分が媒体内に供給され、温度が一定に維持される。動作は、電極に生産された電流に基づいて判断される。
【0080】
(サンプル硝酸塩の濃度の変更)
硝酸塩の高い濃度に対する基準値反応が確立した場合、硝酸塩センサー電池は、広範囲の硝酸塩濃度を含む媒体で検査される。この調査により、ここで説明するように微生物燃料電池を使用して、硝酸塩の検知閾値を決定すること、ならびに、硝酸塩反応の相互作用の線形性を決定することが可能である。特性評価方法は、実験の基準値決定段階と同じであり、サンプル硝酸塩濃度は、標準分光光度法を使用して確認される(Clesceri,1999)。
【0081】
(ステップ4:センサー設計の統合及び設計パラメータの識別及び課題)
シェワネラ・オネイデンシス系センサーの初期開発の最終ステップでは、上記で説明した構成要素の各々を第1世代センサーに完全統合することに基づいた詳細設計に焦点が当てられ、ステップ1から4で扱われなかった付加的設計課題を扱う。これらの付加的問題は、酸素拡散率、硝酸塩拡散率、代謝速度及び呼吸速度、溶解酸素範囲、硝酸塩濃度範囲、及びアノード電力密度を含む。基本的設計パラメータを適用することに加えて、最終設計はまた、操作信頼性及び製品寿命を伴う課題を扱うという特徴を含む。
【0082】
(センサー動作のモデル化とパラメータ整合)
センサー動作の解析するため、および、将来の設計のための準備のため、電子受容体の移動と反応は、センサー内でモデル化される。このモデルは、システムの2次元数値解析を含むように、上記で説明された解析から構築される。電子受容体の様々な濃度の下での、酸素及び硝酸塩の消費割合及び電力生産についての実験データは、拡散性移動と拡散率パラメータのための理論方程式によって組み合わされる。結果は、センサーのサイズの設計及びセンサー動作の有効な仮定についての決定を通知することが可能な技術モデルである。
【0083】
硝酸塩還元酵素中での変異体の取得
酸素及び硝酸塩からの寄与を分離するために、硝酸塩のレベルに影響を与えることなく、最初に酸素を感知する(また、枯渇する)ために、硝酸塩を還元することのできない菌株を利用する必要がある。硝酸塩で呼吸することのできない変異体株(napA
−)は既に記載されている(Cruz−Garcia)。センサー開発の準備において、napA
−株を得、表現型、及び電極に電子を輸送する能力を検証する。既に開示された条件及び方法を用い、従来の微生物燃料電池内で検証を実施する(Kim、1999)。
【0084】
第1世代のセンサーの構築及び試験において、上述した方法により、最初の設計に対する修正が実施され、構造安定性/ライフサイクル試験を含む性能を向上させるための追加の試験が実施される。
【0085】
均等物
本発明は、本発明の精神又は本質的特徴を逸脱しないで、他の特定の形態に具現化することができる。従って、前記実施態様は、本明細書に開示された発明を限定するというよりも、全て説明するためであることを考慮すべきである。
【0086】
参照による組み込み
特許、特許出願、特許出願公開、定期刊行物、書籍、論文、ウェブコンテンツなどの他の文献に対する参照及び引用は、本明細書の開示を介して行われている。そのような全ての文献は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
以下、本発明の例示的態様を列挙する。
<1>少なくとも1種の標的化合物を検出するための生物電気化学システムであって、少なくとも1個の作用電極と、該作用電極に近接する少なくとも1種の第一の起電性微生物とを含み、前記第一の起電性微生物が、前記標的化合物の非存在下に前記作用電極と選択的に相互作用して電流を生成し、前記第一の起電性微生物が、前記標的化合物の存在下に前記電極の代わりに前記標的化合物を電子供与体又は電子受容体として使用し、前記標的化合物の濃度増大下に前記電流が減少する、生物電気化学システム。
<2>前記システムが、複数の起電性微生物を含有するバイオフィルムを含む、<1>に記載の生物電気化学システム。
<3>前記作用電極が陽極であり、前記システムが、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物が前記システムにより選択的に還元される、<1>または<2>に記載の生物電気化学システム。
<4>前記標的化合物が:酸素、亜硝酸塩(NO2−)、硝酸塩(NO3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO4−)、元素硫黄(S0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩及び鉄(III)からなる群から選択される、<3>に記載の生物電気化学システム。
<5>前記標的化合物が硝酸塩である、<4>に記載の生物電気化学システム。
<6>前記作用電極が陰極であり、前記システムが、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物が前記システムにより選択的に酸化される、<1>または<2>に記載の生物電気化学システム。
<7>前記標的化合物が:水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニウム(NH4+)、アンモニア(NH3)、硫化物、鉄(II)、亜ヒ酸塩、元素硫黄(S0)、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースからなる群から選択される、<6>に記載の生物電気化学システム。
<8>前記第一の起電性微生物が、前記第一の起電性微生物の対応する野生型株と比較して変化した呼吸表現型を有する、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<9>前記変化した呼吸表現型が、酸素、亜硝酸塩(NO2−)、硝酸塩(NO3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO4−)、元素硫黄(S0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩、鉄(III)、水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニウム(NH4+)、アンモニア(NH3)、硫化物、鉄(II)、亜ヒ酸塩、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースからなる群から選択される化合物を利用できないことである、<8>に記載の生物電気化学システム。
<10>前記変化した呼吸表現型が、硝酸塩(NO3−)又は亜硝酸塩(NO2−)を利用できないことである、<9>に記載の生物電気化学システム。
<11>前記第一の起電性微生物が、シュワネラ、シュードモナス、ジオバクター、及びシアノバクテリア、又はそれらの変異体からなる群から選択される株である、<8>に記載の生物電気化学システム。
<12>前記第一の起電性微生物が、シュワネラ・オネイデンシスの変異株である、<11>に記載の生物電気化学システム。
<13>前記変異株がシュワネラ・オネイデンシスnapA−である、<12>に記載の生物電気化学システム。
<14>第二の起電性微生物を更に含む、<1>〜<13>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<15>前記第二の起電性微生物が、前記第一の起電性微生物とは、異なる呼吸表現型を有する、<14>に記載の生物電気化学システム。
<16>前記第二の起電性微生物が、シュワネラ・オネイデンシスの野生型株である、<15>に記載の生物電気化学システム。
<17>標的化合物が水相中にある、<1>〜<16>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<18>標的化合物が気相中にある、<1>〜<16>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<19>前記少なくとも1種の標的化合物を検出するための、少なくとも1個のセンサー領域を更に含み、前記領域が、固有の陽極室及び固有の陰極室を含む、<1>〜<18>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<20>第二の標的化合物を検出するための第二のセンサー領域を更に含み、前記第二の領域が、固有の陽極室及び固有の陰極室を含む、<19>に記載の生物電気化学システム。
<21>前記領域が、選択的に透過性なバリアによって分離されている、<20>に記載の生物電気化学システム。
<22>媒体再循環システムを更に含む、<1>〜<21>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<23>少なくとも1種の標的化合物を検出するための生物電気化学システムであって、少なくとも1個の作用電極と、該作用電極に近接する少なくとも1種の第一の起電性微生物とを含み、前記第一の起電性微生物が、前記標的化合物の非存在下に前記作用電極と選択的に相互作用して電流を生成し、前記第一の起電性微生物がシュワネラ・オネイデンシスの変異株である、生物電気化学システム。
<24>前記第一の起電性微生物が、前記標的化合物の存在下に前記電極の代わりに前記標的化合物を電子供与体又は電子受容体として使用し、前記標的化合物の濃度増大下に前記電流が減少する、<23>に記載の生物電気化学システム。
<25>前記システムが、複数の起電性微生物を含有するバイオフィルムを含む、<23>または<24>に記載の生物電気化学システム。
<26>前記作用電極が陽極であり、前記システムが、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物が前記システムにより選択的に還元される、<23>〜<25>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<27>前記標的化合物が:酸素、亜硝酸塩(NO2−)、硝酸塩(NO3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO4−)、元素硫黄(S0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩及び鉄(III)からなる群から選択される、<26>に記載の生物電気化学システム。
<28>前記標的化合物が硝酸塩である、<27>に記載の生物電気化学システム。
<29>前記作用電極が陰極であり、前記システムが、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物が前記システムにより選択的に酸化される、<23>〜<25>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<30>前記標的化合物が:水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニウム(NH4+)、アンモニア(NH3)、硫化物、鉄(II)、亜ヒ酸塩、元素硫黄(S0)、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースからなる群から選択される、<29>に記載の生物電気化学システム。
<31>前記第一の起電性微生物が、前記第一の起電性微生物の対応する野生型株と比較して変化した呼吸表現型を有する、<23>〜<30>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<32>前記変化した呼吸表現型が、酸素、亜硝酸塩(NO2−)、硝酸塩(NO3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO4−)、元素硫黄(S0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩、鉄(III)、水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニウム(NH4+)、アンモニア(NH3)、硫化物、鉄(II)、亜ヒ酸塩、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースからなる群から選択される化合物を利用できないことである、<31>に記載の生物電気化学システム。
<33>前記変化した呼吸表現型が、硝酸塩(NO3−)又は亜硝酸塩(NO2−)を利用できないことである、<32>に記載の生物電気化学システム。
<34>前記変異株がシュワネラ・オネイデンシスnapA−である、<22>〜<33>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<35>第二の起電性微生物を更に含む、<23>〜<34>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<36>前記第二の起電性微生物が、前記第一の起電性微生物とは、異なる呼吸表現型を有する、<35>に記載の生物電気化学システム。
<37>前記第二の起電性微生物が、シュワネラ・オネイデンシスの野生型株である、<36>に記載の生物電気化学システム。
<38>標的化合物が水相中にある、<23>〜<37>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<39>標的化合物が気相中にある、<23>〜<37>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<40>前記少なくとも1種の標的化合物を検出するための、少なくとも1個のセンサー領域を更に含み、前記領域が、固有の陽極室及び固有の陰極室を含む、<23>〜<39>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<41>第二の標的化合物を検出するための第二のセンサー領域を更に含み、前記第二の領域が、固有の陽極室及び固有の陰極室を含む、<40>に記載の生物電気化学システム。
<42>前記領域が、選択的に透過性なバリアによって分離されている、<41>に記載の生物電気化学システム。
<43>媒体再循環システムを更に含む、<23>〜<42>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<44>少なくとも1種の標的化合物を検出するための生物電気化学システムであって、少なくとも1個の作用電極と、該作用電極に近接する少なくとも1種の第一の起電性微生物とを含み、前記第一の起電性微生物が、前記標的化合物の非存在下に前記作用電極と選択的に相互作用して電流を生成し、前記第一の起電性微生物とは異なる呼吸表現型を有する第二の起電性微生物をさらに有する、生物電気化学システム。
<45>前記第一の起電性微生物が、前記標的化合物の存在下に前記電極の代わりに前記標的化合物を電子供与体又は電子受容体として使用し、前記標的化合物の濃度増大下に前記電流が減少する、<44>に記載の生物電気化学システム。
<46>前記システムが、複数の起電性微生物を含有するバイオフィルムを含む、<44>または<45>に記載の生物電気化学システム。
<47>前記作用電極が陽極であり、前記システムが、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物が前記システムにより選択的に還元される、<44>〜<46>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<48>前記標的化合物が:酸素、亜硝酸塩(NO2−)、硝酸塩(NO3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO4−)、元素硫黄(S0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩及び鉄(III)からなる群から選択される、<47>に記載の生物電気化学システム。
<49>前記標的化合物が硝酸塩である、<47>に記載の生物電気化学システム。
<50>前記作用電極が陰極であり、前記システムが、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物が前記システムにより選択的に酸化される、<44>〜<49>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<51>前記標的化合物が:水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニウム(NH4+)、アンモニア(NH3)、硫化物、鉄(II)、亜ヒ酸塩、元素硫黄(S0)、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースからなる群から選択される、<50>に記載の生物電気化学システム。
<52>前記第一の起電性微生物が、前記第一の起電性微生物の対応する野生型株と比較して変化した呼吸表現型を有する、<44>〜<51>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<53>前記変化した呼吸表現型が、酸素、亜硝酸塩(NO2−)、硝酸塩(NO3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO4−)、元素硫黄(S0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩、鉄(III)、水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニウム(NH4+)、アンモニア(NH3)、硫化物、鉄(II)、亜ヒ酸塩、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースからなる群から選択される化合物を利用できないことである、<52>に記載の生物電気化学システム。
<54>前記変化した呼吸表現型が、硝酸塩(NO3−)又は亜硝酸塩(NO2−)を利用できないことである、<53>に記載の生物電気化学システム。
<55>前記第一の起電性微生物が、シュワネラ、シュードモナス、ジオバクター、及びシアノバクテリア、又はそれらの変異体からなる群から選択される株である、<44>〜<54>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<56>前記第一の起電性微生物が、シュワネラ・オネイデンシスの変異株である、<55>に記載の生物電気化学システム。
<57>前記変異株がシュワネラ・オネイデンシスnapA−である、<56>に記載の生物電気化学システム。
<58>前記第二の起電性微生物が、シュワネラ・オネイデンシスの野生型株である、<44>〜<57>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<59>標的化合物が水相中にある、<44>〜<58>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<60>標的化合物が気相中にある、<44>〜<58>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<61>前記少なくとも1種の標的化合物を検出するための、少なくとも1個のセンサー領域を更に含み、前記領域が、固有の陽極室及び固有の陰極室を含む、<44>〜<60>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<62>第二の標的化合物を検出するための第二のセンサー領域を更に含み、前記第二の領域が、固有の陽極室及び固有の陰極室を含む、<61>に記載の生物電気化学システム。
<63>前記領域が、選択的に透過性なバリアによって分離されている、<62>に記載の生物電気化学システム。
<64>媒体再循環システムを更に含む、<44>〜<63>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<65>少なくとも1種の標的化合物を検出するための生物電気化学システムであって、少なくとも1個の作用電極と、該作用電極に近接する少なくとも1種の第一の起電性微生物とを含み、前記第一の起電性微生物が、前記標的化合物の非存在下に前記作用電極と選択的に相互作用して電流を生成し、前記システムが、前記少なくとも1種の第1の標的化合物を検出するための、少なくとも1個の第一のセンサー領域を更に含み、ここで前記第一のセンサー領域は、固有の陽極室及び固有の陰極室を含み、また、第二の標的化合物を検出するための第二のセンサー領域を更に含み、前記第二のセンサー領域が、固有の陽極室及び固有の陰極室を含む、生物電気化学システム。
<66>前記第一の起電性微生物が、前記標的化合物の存在下に前記電極の代わりに前記標的化合物を電子供与体又は電子受容体として使用し、前記標的化合物の濃度増大下に前記電流が減少する、<65>に記載の生物電気化学システム。
<67>前記システムが、複数の起電性微生物を含有するバイオフィルムを含む、<65>または<66>に記載の生物電気化学システム。
<68>前記作用電極が陽極であり、前記システムが、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物が前記システムにより選択的に還元される、<65>〜<67>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<69>前記標的化合物が:酸素、亜硝酸塩(NO2−)、硝酸塩(NO3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO4−)、元素硫黄(S0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩及び鉄(III)からなる群から選択される、<68>に記載の生物電気化学システム。
<70>前記標的化合物が硝酸塩である、<69>に記載の生物電気化学システム。
<71>前記作用電極が陰極であり、前記システムが、制御された化学陰極を更に含み、前記標的化合物が前記システムにより選択的に酸化される、<65>〜<70>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<72>前記標的化合物が:水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニウム(NH4+)、アンモニア(NH3)、硫化物、鉄(II)、亜ヒ酸塩、元素硫黄(S0)、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースからなる群から選択される、<71>に記載の生物電気化学システム。
<73>前記第一の起電性微生物が、前記第一の起電性微生物の対応する野生型株と比較して変化した呼吸表現型を有する、<65>〜<72>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<74>前記変化した呼吸表現型が、酸素、亜硝酸塩(NO2−)、硝酸塩(NO3−)、フマル酸塩、ジメチルスルホキシド、ヒ酸塩(AsO4−3)、ウラン(VI)、モリブデン(VI)、バナジウム(V又はIV)、バナジウム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、硫酸塩(SO4−)、元素硫黄(S0)、クロム(VI)、リン酸塩、亜リン酸塩、鉄(III)、水素(H2)、メタン(CH4)、アンモニウム(NH4+)、アンモニア(NH3)、硫化物、鉄(II)、亜ヒ酸塩、クロム(III)、ウラン(III)、モリブデン(V)、バナジウム(IV又はIII)、バナジウム酸塩、還元型リン酸塩、炭水化物及びグルコースからなる群から選択される化合物を利用できないことである、<73>に記載の生物電気化学システム。
<75>前記変化した呼吸表現型が、硝酸塩(NO3−)又は亜硝酸塩(NO2−)を利用できないことである、<74>に記載の生物電気化学システム。
<76>前記第一の起電性微生物が、シュワネラ、シュードモナス、ジオバクター、及びシアノバクテリア、又はそれらの変異体からなる群から選択される株である、<73>に記載の生物電気化学システム。
<77>前記第一の起電性微生物が、シュワネラ・オネイデンシスの変異株である、<76>に記載の生物電気化学システム。
<78>前記変異株がシュワネラ・オネイデンシスnapA−である、<77>に記載の生物電気化学システム。
<79>第二の起電性微生物を更に含む、<65>〜<78>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<80>前記第二の起電性微生物が、前記第一の起電性微生物とは、異なる呼吸表現型を有する、<79>に記載の生物電気化学システム。
<81>前記第二の起電性微生物が、シュワネラ・オネイデンシスの野生型株である、<80>に記載の生物電気化学システム。
<82>標的化合物が水相中にある、<65>〜<81>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<83>標的化合物が気相中にある、<65>〜<81>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<84>前記第一及び第二のセンサー領域が、選択的に透過性なバリアによって分離されている、<65>〜<83>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。
<85>媒体再循環システムを更に含む、<65>〜<84>のいずれか1項に記載の生物電気化学システム。