特許第6189413号(P6189413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6189413ハシゴ状シルセスキオキサン高分子を含む光学フィルム用樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189413
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ハシゴ状シルセスキオキサン高分子を含む光学フィルム用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20170821BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20170821BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20170821BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20170821BHJP
   C08G 77/20 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
   C08L83/04
   G02B5/30
   C08L1/00
   C08J5/18CEP
   !C08G77/20
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-503110(P2015-503110)
(86)(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公表番号】特表2015-518502(P2015-518502A)
(43)【公表日】2015年7月2日
(86)【国際出願番号】KR2013002043
(87)【国際公開番号】WO2013147443
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0031146
(32)【優先日】2012年3月27日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0023227
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502081871
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100136858
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100178685
【弁理士】
【氏名又は名称】田浦 弘達
(72)【発明者】
【氏名】チェ スンソク
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジェウォン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ドンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ドゥシク
(72)【発明者】
【氏名】パク キョンミン
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−137821(JP,A)
【文献】 特表2003−523422(JP,A)
【文献】 特開2007−204611(JP,A)
【文献】 特開2006−096806(JP,A)
【文献】 特開2009−035515(JP,A)
【文献】 特開2012−012557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00−83/16
1/00−1/32
C08J 5/18
G02B 5/00−5/32
C08G 77/00−77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)重量平均分子量が1,000〜1,000,000であるハシゴ状シルセスキオキサン高分子;および
2)セルロース系樹脂
を含み、
前記ハシゴ状シルセスキオキサン高分子は下記の化学式1の構造を有し:
[化学式1]
【化1】
上記化学式1で、
乃至Rはそれぞれ独立的に水素、C乃至C20で連結された環状または非環状脂肪族有機官能基、アルキル基、アルキルハロゲン、アリール基、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはチオール基であり、このとき、R乃至Rは全て同一であるか全て異なる有機官能基に置換され;
乃至Rはそれぞれ独立的にC1−5のアルキル基、C3−10のシクロアルキル基、C6−12のアリール基、水素、アルコキシ基およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;
nは1〜100,000であり、
前記化学式1で、R乃至Rの合計100%の中の芳香族有機官能基の含量が80%未満であることを特徴とする光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項2】
前記ハシゴ状シルセスキオキサン高分子が、セルロース系樹脂1重量部に対して0.1〜20重量部未満の量で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項3】
前記化学式1のシルセスキオキサン高分子が、下記の化学式2の化合物を加水分解させた後、連続的に縮合反応させることによって製造されることを特徴とする、請求項に記載の光学フィルム用樹脂組成物:
[化学式2]
4−m−Q−Si−(OR10
上記式で、
は水素、C乃至C20で連結された環状または非環状脂肪族有機官能基、アルキル基、アルキルハロゲン、アリール基、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはチオール基であり;
10はC1−5のアルキル基、C3−10のシクロアルキル基、C6−12のアリール基、アルコール、アルコキシ基およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、
QはC1−6のアルキレン基またはC1−6のアルキレンオキシ基であり、
mは0乃至4の整数であり、
pは0または1の整数である。
【請求項4】
前記アルコールまたはアルコキシ基が−OCR’または−CR’=N−OHであり、このとき、R’はC1−6のアルキル基であることを特徴とする、請求項またはに記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項5】
前記化学式1で、末端の−OHの含量が末端基の中の0.01〜50%であることを特徴とする、請求項に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項6】
前記R乃至Rのうちの少なくとも一つは紫外線吸収体成分をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の光学フィルム用樹脂組成物。
【請求項7】
前記セルロース系樹脂が、セルロースアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレートおよびセルロースアセテートプロピオネートからなる群より1種以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム用セルロース系樹脂組成物。
【請求項8】
前記セルロース系樹脂がセルローストリアセテートであることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム用セルロース系樹脂組成物。
【請求項9】
前記樹脂組成物が、可塑剤、機能性添加剤または紫外線遮断剤を追加的に含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム用セルロース系樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1による光学フィルム用樹脂組成物を基板に塗布した後に乾燥させて製造された光学フィルム。
【請求項11】
前記光学フィルムの透過率は少なくとも80%であることを特徴とする、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記光学フィルムの透湿度変化が25℃で50g/m.日以下であることを特徴とする、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記光学フィルムは、ディスプレイの補償フィルムまたは偏光板の保護フィルムであることを特徴とする、請求項10に記載の光学フィルム。
【請求項14】
請求項10による光学フィルムを含むことを特徴とする光学またはディスプレイ機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハシゴ(ladder)状シルセスキオキサン(silsesquioxane)高分子を含む光学フィルム用樹脂組成物に関し、より詳しくは、セルロース系樹脂と高い相溶性を示すハシゴ状構造を有するシルセスキオキサン高分子を含むことによって、耐熱特性、紫外線遮断効果、耐水性、可塑効果などに優れて偏光板用保護フィルム、補償フィルムなどの光学フィルムの製造に有用に用いることができる樹脂組成物、これを用いた光学フィルムおよび光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、セルロース系フィルムは透明性に優れ、屈折率の異方性が小さい膜を容易に製作することができるので、偏光板用保護フィルムなどの光学的用途に広く使用されている。特に、ディスプレイのコントラスト比(C/R)を大きく改善しながらも、位相差調節などの技術的開発によって高価の補償フィルム(Compensation film)としても活用度が高いほうである。
【0003】
しかし、多様な機能性の付与のためには複雑な技術的要素が必要であり、フィルム製造工程の多角化が必要であるが、このような点はすぐ価格の上昇に結び付き、実際に多様な適用分野の障害物として指摘されている。代表的な例として高級−セルロース系補償フィルムである‘ワイドビュー(Wide view:WV、日本富士フィルム)’は優れた性能にもかかわらず、その工程が複雑で、価格が非常に高くてノートパソコンなどの一般的なディスプレイには適用しにくく、これを代替するために偏光板のポリビニルアルコール(PVA)層を単純に保護する一般的なセルロース系保護フィルムを用いる場合にはディスプレイの画質改善を期待することができないという問題が発生する。
【0004】
前記のようなセルロース系フィルムの性能改善は大きく2種類分野に分けられて行われ、一次的に可塑剤、光学添加剤などの分子単位操作が先行された後、延伸、合着などの二次工程条件調節を通して所望の物理的特性を実現している。特に、分子単位操作を通した光学物理特性の調節がこれを研究する全ての企業の核心的技術要素と言え、このような段階に適用できる添加剤の必要条件は次の通りである:
1.セルロース系樹脂との相溶性が優れて曇り(hazy)現象がないこと。
2.高い温度およびアルカリ条件で脱離と反応性がないこと。
3.透明度、硬度、光学等方性などの基本セルロース系樹脂の特性低下を最少化すること。
【0005】
しかし、現在多くの分野で用いられている有機−単量体添加成分は上記のような条件を完ぺきに充足しないので、性能改善の限界が明確に予想される。
【0006】
したがって、このような性能の限界を克服するために、大韓民国特許出願第10−2009−0043088号では金属系ナノ分散体を用いて物性の向上を図り、大韓民国特許出願第10−2009−0132560号では新たな形態のアミノベンゾチアゾールを添加成分として用いて、フィルムの位相差を改善しようとした。しかし、このような一連の努力にもかかわらず、相溶性の限界と分子単位添加成分の剥離現象は局所改善されただけで、依然として完ぺきに克服されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国特許出願第10−2009−0043088号
【特許文献2】大韓民国特許出願第10−2009−0132560号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のような問題点を解決するために、本発明は、セルロース系樹脂との相溶性に優れたハシゴ状構造を有するシルセスキオキサン高分子を含んで、耐熱特性、紫外線遮断効果、耐水性および可塑効果などに優れた光学フィルム用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
本発明はまた、前記樹脂組成物から製造されて、セルロース系フィルムの優れた光透過性を維持しながらも物理的特性が向上した光学フィルムおよびこれを含む光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
1)重量平均分子量が1,000〜1,000,000であるハシゴ(ladder)状シルセスキオキサン(silsesquioxane)高分子;および
2)セルロース系樹脂
を含むことを特徴とする光学フィルム用樹脂組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は光学フィルム用樹脂組成物から製造された光学フィルムおよびこれを含む光学機器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるハシゴ状シルセスキオキサン高分子およびセルロース系樹脂を含む光学フィルム用樹脂組成物はセルロース系樹脂と別途の化学反応なくても高い相溶性を示すハシゴ状シルセスキオキサン高分子を含んで、耐熱特性、紫外線遮断効果、耐水性および可塑効果などに優れ、セルロース系フィルムの優れた光透過性を維持しながらも、物理的特性が向上した偏光板用保護フィルム、補償フィルムなどのセルロース系光学フィルムの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】合成例1のセルロース溶液と本発明による実施例1乃至5の混合樹脂組成物の相溶性を透過率で比較した結果である(セルロース溶液中のセルロース樹脂の含量は10重量%である)。
図2】シルセスキオキサン高分子のフェニル基増加によるセルロース樹脂との相溶性を透過率で比較した結果である。
図3】本発明によるセルロース−シルセスキオキサン混合フィルムに対してFT−IR分光器を用いてIRを測定した結果である。
図4】本発明によるセルロース−シルセスキオキサン混合フィルムの熱分解安定性をTGA(thermal gravimetric analyzer)を用いて測定した結果である。
図5】本発明によるセルロース−シルセスキオキサン混合フィルムの熱安定性をDSCを用いて測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は、1)重量平均分子量が1,000〜1,000,000であるハシゴ状シルセスキオキサン高分子;および2)セルロース系樹脂を含むことを特徴とする。
【0015】
以下、各成分について説明する。
1)シルセスキオキサン高分子
本発明で使用されるシルセスキオキサン高分子はハシゴ(ladder)状シルセスキオキサン(silsesquioxane)高分子であって、重量平均分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜100,000である。
【0016】
好ましくは、前記ハシゴ状シルセスキオキサン高分子は下記の化学式1の構造を有する:
[化学式1]
【化1】

上記化学式1で、
乃至Rはそれぞれ独立的に水素、C乃至C20で連結された環状または非環状脂肪族有機官能基、アルキル基、アルキルハロゲン、アリール基、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはチオール基であり、このとき、R乃至Rは全て同一であるか全て異なる有機官能基に置換され;
乃至Rはそれぞれ独立的にC1−5のアルキル基、C3−10のシクロアルキル基、C6−12のアリール基、アルコール、アルコキシ基およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;
nは1〜100,000である。
【0017】
前記で、前記アルコールまたはアルコキシ基は好ましくは−OCR’または−CR’=N−OHであり、このとき、R’はC1−6のアルキル基である。
【0018】
本発明に使用される前記ハシゴ状シルセスキオキサン高分子は、公知の方法で製造されるか、または市販されるものを使用することもでき、好ましくは前記化学式1のシルセスキオキサン高分子は有機官能基が導入された三官能系シランであって、下記化学式2の化合物を加水分解させた後、連続的に縮合反応させて製造されることができる:
[化学式2]
4−m−Q−Si−(OR10
前記化学式2で、
は水素、C乃至C20で連結された環状または非環状脂肪族有機官能基、アルキル基、アルキルハロゲン、アリール基、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはチオール基のような有機官能基であり;
10はC1−5のアルキル基、C3−10のシクロアルキル基、C6−12のアリール基、アルコール、アルコキシ基およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、
QはC1−6のアルキレン基またはC1−6のアルキレンオキシ基であり、
mは0乃至4の整数であり、
pは0または1の整数である。
【0019】
前記で、前記アルコールまたはアルコキシ基は好ましくは−OCR’または−CR’=N−OHであり、このとき、R’はC1−6のアルキル基である。
【0020】
また、前記化学式2でRまたはR10がフェニル基のような芳香族有機官能基であり得るが、本発明のハシゴ状シルセスキオキサン高分子内に側鎖基であるR乃至Rの中の芳香族有機官能基の含量が過度に多い場合、透過率が低くなる傾向があるので、好ましくは側鎖基R乃至Rの合計100%中のフェニルの含量は80モル%未満に調節することがよい。これは芳香族有機官能基の過度な増加によってセルロース系フィルムと極性差が発生することがあるためである。
【0021】
本発明の前記ハシゴ状シルセスキオキサン高分子の製造時の反応条件は、当分野で通常使用する方法、例えば大韓民国特許公開第10−2010−0131904号に記載された方法によって遂行することができる。
【0022】
また、前記シルセスキオキサン高分子の縮合度は1〜99.9%に調節することができ、シルセスキオキサン高分子末端の−OHの含量は混合使用されるセルロース系樹脂の極性変化によって多様に任意に調節して適用することができ、好ましくはシルセスキオキサン高分子末端の−OHの含量が末端基の中の0.01〜50%である場合に保管安定性の優れた樹脂組成物を製造することができる。
【0023】
また、前記化学式1の化合物製造時に通常知られた紫外線吸収体をR乃至Rに導入する場合、光学フィルム製造時に紫外線遮断特性を付与するための添加剤としても用いることができる。具体的な一例として、紫外線吸収体として用いることができる化合物は、(2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチル−フェノール(2−(5−chloro−2H−benzotriazole−2−yl)−6(1,1−dimethylethyl)−4−methyl−phenol)、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート(Octyl−3−[3−tert−butyl−4−hydroxy−5−(5−chloro−2H−benzotriazol−2−yl)phenyl]propionate)などのハロゲン元素を含む紫外線吸収体と、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジターチルフェノール(2−(2H−benzotriazol−2−yl)−4,6−ditertylphenol)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(2−(2H−benzotriazol−2−yl)−4,6−bis(1−methyl−1−phenylethyl)phenol)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(2−(2H−benzotriazol−2−yl)−4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(2−(2H−benzotriazol−2−yl)−6−(1−methyl−1−phenylethyl)−4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(2−[4−[(2−Hydroxy−3−(2’−ethyl)hexyl)oxy]−2−hydroxyphenyl]−4,6−bis(2,4−dimethylphenyl)−1,3,5−triazine)、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(2−[4−[(2−Hydroxy−3−dodecyloxypropyl)oxy]−2−hydroxyphenyl]−4,6−bis(2,4−dimethylphenyl)−1,3,5−triazine)などのハロゲン元素を含まない紫外線吸収体を用いることができる。
【0024】
2)セルロース系樹脂
本発明の光学フィルム用樹脂組成物はセルロース系樹脂を含む。好ましくは前記セルロース系樹脂としては、セルロースアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアシレート系樹脂を単独または2種以上混合して使用することができ、最も好ましくはセルローストリアセテートを使用することができる。この場合、ハシゴ状シルセスキオキサン高分子との相溶性が特に良くて、透過率、耐熱性および耐水性など光学的、物理的特性を同時に満足させることができる。
【0025】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物で、前記ハシゴ状シルセスキオキサン高分子はセルロース系樹脂1重量部に対して0.1〜20重量部未満、好ましくは15重量部未満で含まれることがよく、この場合、耐熱特性、紫外線遮断効果、耐水性および可塑効果などを同時に満足させることができる。シルセスキオキサン高分子の含量がセルロース系樹脂1重量部に対して20重量部以上である場合、二つの物質間極性差が過度に発生することがあって商用化度が落ち、曇り効果が発生することがある。
【0026】
本発明の光学フィルム用樹脂組成物は組成物自体のみでも多様に利用することができるが、商用化された溶媒キャスティングのような通常の方法で製造するために溶媒を用いることができ、溶媒の種類は二つの混合物が分離されない種類であればどのようなものを用いても同一な効果を期待することができる。
【0027】
このとき、溶媒の含量は前記ハシゴ状シルセスキオキサン高分子とセルロース系樹脂を除いた樹脂の残量で含まれ、好ましくは前記ハシゴ状シルセスキオキサン高分子およびセルロース系樹脂の合計固形分含量が1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%になるように溶媒を用いることがよい。固形分の含量が前記範囲内である場合、フィルムの平坦性、作業性などを良好に維持することができる。
【0028】
また、本発明の光学フィルム用樹脂組成物は必要によって可塑剤、紫外線遮断剤または光学フィルム用樹脂組成物に通常含まれ得る機能性添加剤を通常の範囲内で追加的に含むことができる。
【0029】
また、本発明は前記光学フィルム用樹脂組成物から製造される光学フィルムおよびこれを含む光学機器を提供する。
【0030】
本発明による光学フィルムは前記光学フィルム用樹脂組成物を使用することを除いては当分野で通常使用する方法によって製造することができ、例えばスプレー法、ロールコーター法、回転塗布法などで適切な基材の上に0.1〜5,000μmの厚さで塗布した後、30〜150℃の温度範囲で熱風乾燥させて製造することができ、耐熱特性、紫外線遮断効果、耐水性および可塑効果などに優れた樹脂組成物を使用するので、セルロース系フィルムの優れた光透過性を維持しながらも物理的特性が向上した偏光板用保護フィルム、補償フィルムなどのセルロース系光学フィルムの製造に有用である。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【0032】
合成例1:セルロース溶液の製造
トリアセチルセルロース(シグマアルドリッチ、Fluka)1重量部をメチレンクロライドとメタノールを9:1(重量比)に混合した混合溶媒9重量部に滴下して、1日以上混合した後、セルロース溶液を製造した。
【0033】
合成例2:シルセスキオキサン高分子の製造
冷却管と撹拌機を備えた乾燥されたフラスコに、蒸溜水15重量%、メタノール(純度99.86%)4重量%およびテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(25% in water)1重量%を混合して、触媒が含まれている混合反応溶媒を予め製造した後、80重量%のシラン単量体を準備された混合反応溶媒に入れた。このとき、シラン単量体の混合比率はトリメトキシフェニルシラン(ダウコーニング社、商品名DOW CORNING(R) Z−6124 SILANE)10モル%とガンマ−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(ダウコーニング社、商品名DOW CORNING(R) Z−6030 SILANE)90モル%に調節して入れた。
【0034】
以後、窒素雰囲気で徐々に8時間攪拌した後、反応溶液の攪拌を止めて常温で24時間定置させた後、沈殿物を含む前記反応溶液を真空ろ過して沈殿物を分離した。分離された沈殿物を蒸溜水とメタノールの混合液で数回洗浄およびろ過して不純物を除去し、メタノールで最終水洗した後、常温で20時間真空乾燥して得られた収得物1重量部にメチレンクロライドとメタノールを9:1(重量比)に混合した混合溶媒9重量部を滴下して、目的するポリ脂肪族芳香族シルセスキオキサン高分子樹脂を製造した。得られたポリ脂肪族芳香族シルセスキオキサン高分子の重量平均分子量は40,000であった。このとき、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定したポリスチレン換算平均分子量である。
【0035】
合成例3乃至9:シルセスキオキサン高分子の製造
蒸溜水15重量%、メタノール(純度99.86%)4重量%、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(25% in water)1重量%にシラン単量体80重量%を下記表1のようなモル比率に滴下したものを除いては前記合成例2と同様な方法で高分子シルセスキオキサン樹脂を製造した。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1乃至5:セルロース/シルセスキオキサン樹脂組成物の混合溶液製造および溶液キャスティング法を利用したフィルム製造
前記合成例2で製造されたシルセスキオキサン高分子を前記合成例1で製造されたセルロース溶液1重量部にそれぞれ0.2、0.4、0.6、0.8および1重量部で混合して、溶液キャスティング製造のための樹脂組成物を製造した。製造された前記組成物を20cm/秒の速度でガラス板の上にキャスティングして熱風乾燥後、フイルムに製造した。
【0038】
実施例6乃至12
前記合成例3乃至9で製造されたシルセスキオキサン高分子各1重量部を前記合成例1で製造されたセルロース溶液1重量部に混合してそれぞれの樹脂組成物を製造したことを除いては、前記実施例1と同様な方法でフィルムを製造した。
【0039】
比較例1
前記合成例1で製造されたセルロース溶液を実施例1のように20cm/秒の速度でガラス板の上にキャスティングして熱風乾燥後、フイルムに製造した。
【0040】
比較例2
合成例1で製造されたセルロース溶液1重量部に合成例2で製造されたシルセスキオキサン高分子を2重量部で混合したことを除いては前記実施例1と同様な方法で樹脂組成物とフィルムを製造した。
【0041】
比較例3
トリメトキシフェニルシランを単独シラン単量体として80重量%で用いたことを除いては前記合成例2と同様な方法で樹脂を製造した後、実施例6乃至12と同様な方法で樹脂組成物およびフイルムに製造した。
【0042】
試験例1
前記実施例1乃至5のシルセスキオキサン/セルロース樹脂組成物、および比較例1および2の樹脂組成物の相溶性、曇り度および透過率を通して確認した。具体的には、相溶性テストのために基板接着力テスト時に用いられる10X10セルをクロスカット方法でセルを製造し(セル面積=5mm)、100個セルの曇り度の差が中心セルに対して5%以上であるセルの個数が10個未満であれば相溶性が非常に優秀と判断し、20個未満であれば優秀、30個未満であれば普通、50個以上であれば商用化が難しいと判断して整理した。また、曇り度の精密な測定のために、製造されたすべてのフィルムサンプルの角部分と中心部分の曇り度をそれぞれ3回以上測定し、その平均値を記述した。さらに、製造フィルムの透過率は可視光線の光吸収スペクトル(spectrum)を曇り度と同様な方法で角および中心部測定法で平均し、400nmにおいて光線透過率を測定して記載した。その結果を下記表2および図1に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
前記表2および図1に示されているように、比較例1で製造された母材フィルムの透過率が92%であることを考慮したら、本発明による実施例1乃至5の組成物は相溶性が非常に優れていることが示された。また、相溶性の増大によって曇り効果も1%未満で非常に優れていることが示された。
【0045】
反面、前記比較例2で製造した組成物の場合、二つの樹脂間の相溶性が急激に減少することを下記表のように観察することができた。このような結果は製造フィルムの透過特性にも比例的影響を与えることが分かった。
【0046】
試験例2
前記実施例6乃至12で製造された樹脂組成物および比較例3の樹脂組成物の相溶性と透過率を確認し、その結果を下記表3および図2に示した。
【0047】
【表3】
【0048】
前記表3および図2に示されているように、シルセスキオキサン高分子内に有機側鎖官能基の中の芳香族有機官能基の含量が一定水準以上増加すれば、曇り度(haze)が急激に増加することを観察することができた。したがって、このような結果からおせば、物理的特性の向上のために用いられる芳香族官能基の含量を一定水準に調節しなければならないのを確認した。
【0049】
試験例3
前記実施例1で製造されたセルロース−シルセスキオキサン混合フィルムに対してFT−IR分光器(Perkin−Elmer system Spectrum−GXのATRモード)を用いてIRを測定し、その結果を図3に示した。
【0050】
図3に示されているように、本発明による光学フィルムで広いバイモーダル(連続的な二重形状)吸収ピークが960〜1,200cm−1で示され、これはシルセスキオキサン鎖の中の垂直(−Si−O−Si−R)と水平(−Si−O−Si−)方向でシロキサン結合の伸縮振動(Stretching Vibration)から由来したものである。また、セルロース系溶液と混合時にも構造的にシルセスキオキサンの明確な存在を確認することができ、曇り度特性は示されなかった。
【0051】
試験例4
前記実施例1で製造されたセルロース−シルセスキオキサン混合フィルムの熱的安定性をTGA(thermal gravimetric analyzer)およびDSCを用いて確認し、その結果をそれぞれ図4および5に示した。このとき、TGAは窒素下50〜600℃の温度範囲で10℃/分のスキャン速度で測定した。
【0052】
図4および5に示されているように、本発明によるセルロース−シルセスキオキサン混合フィルムではセルロースが有する熱的特性の減少なしに、シルセスキオキサン高分子の添加によって熱的特性が増加するのを確認することができた。
【0053】
試験例5
前記実施例1で製造されたセルロース−シルセスキオキサン高分子混合フィルムおよび比較例1のセルロースフィルムの透湿度変化(単位:g/m.日)を観察するために、Mocon3/33モデルを用いて25℃、100%環境で行い、その結果を下記表4に示した。
【0054】
【表4】
【0055】
前記表4に示されているように、本発明によるハシゴ状シルセスキオキサン高分子を含むフィルムはセルロース樹脂フィルム自体に比べて、1/14程度に大きく減少した透湿度を示した。
【0056】
したがって、本発明によって製造されたフィルムは偏光フィルムの保護剤として用いられるセルロース系フィルムのヨード昇華防止機能をさらに効果的に増大させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5