(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、外部接続される電子機器を優先的に充電可能としつつも、内蔵した二次電池の充電時間も短縮可能とした電源装置とこの電源装置に接続される電子機器への給電方法を提供することにある。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の電源装置は、給電対象の電子機器30を接続して、この電子機器30に給電する。電源装置100は、交流電源10を入力源として、所定の直流電力を出力するAC回路部1と、AC回路部1から出力される電力で充電される二次電池2と、給電対象の電子機器30を接続するための出力コネクタ3と、二次電池2の充放電を制御すると共に、AC回路部1又は二次電池2の出力を出力コネクタ3に出力して、出力コネクタ3に接続される電子機器30に給電する給電制御部4とを備えている。給電制御部4は、AC回路部1に交流電源10が接続され、出力コネクタ3に電子機器30が接続される第1の接続状態において、AC回路部1からの出力を二次電池2の充電よりも優先して電子機器30へ給電すると共に、電子機器30への給電が閾値以下に低下したことを検出して、二次電池2の充電を開始して、電子機器30への給電と前記二次電池2の充電とを同時に行う時間帯を設け
、閾値が、AC回路部の最大出力電流値と二次電池への最大充電電流との差であるように構成している。
【0008】
本発明の電源装置は、さらに前記給電制御部4が、前記AC回路部1の出力を電源として前記二次電池2を充電する充電制御回路5と、前記二次電池2の出力を所定の直流電力に変換して前記出力コネクタ3に出力するDC/DC変換回路6と、前記充電制御回路5と前記DC/DC変換回路6の動作状態を制御する制御回路7とを備え、前記制御回路7が、該充電制御回路5と該DC/DC変換回路6を制御して前記二次電池2の充放電を制御することができる。
【0009】
上記構成により、AC回路部から出力される電力で二次電池を安定して充電しながら、二次電池の出力をDC/DC変換回路で所定の直流電力に変換して出力コネクタ3に安定して供給できる。
【0010】
本発明の電源装置は、さらに前記給電制御部4が、電子機器30に給電される電流値を検出する電流検出回路8を備えて、前記第1の接続状態において、前記電流検出回路8が検出する電流値が
前記閾値以下になると、前記制御回路7が前記充電制御回路5を制御して前記二次電池2の充電を開始することができる。
【0011】
上記構成により、電子機器に給電される電流値の低下を電流検出回路で検出して二次電池の充電を開始するので、電子機器への給電の低下を簡単かつ正確に検出して、二次電池の充電を速やかに開始できる。
【0012】
本発明の電源装置は、前記閾値を、前記AC回路部1の最大出力電流値と前記二次電池2への最大充電電流との差とす
る。
【0013】
上記構成により、電子機器に給電される電流値が、AC回路部の最大出力電流値の20%〜60%まで低下する状態で二次電池の充電を開始するので、AC回路部の最大出力電流値の80%〜40%を充電電流値として、二次電池を効率よく充電できる。
【0014】
本発明の電源装置は、さらに前記給電制御部4が、前記充電制御回路5と前記DC/DC変換回路6とを迂回するスルーライン9を介して、前記AC回路部1の出力側を前記出力コネクタ3に接続することができる。
【0015】
上記構成により、交流電源の接続時には、充電制御回路とDC/DC変換回路とを介することなく、スルーラインを介して直接にAC回路部から出力コネクタに電力を供給できるので、給電対象の電子機器に対してロスをなくした効率のよい電力供給が可能となる。
【0016】
本発明の電源装置は、さらに前記スルーライン9に回路スイッチ13を備えて、前記制御回路7が前記回路スイッチ13を制御して、前記AC回路部1から前記電子機器30への電力供給をコントロールすることができる。
【0017】
上記構成により、AC回路部から出力コネクタへのスルーラインによる電力供給を制御することで、安全かつ安定した電力供給が実現できる。
【0018】
本発明の電源装置は、さらに前記制御回路7が異常検出回路14を備えて、前記異常検出回路14が異常を検出すると、該制御回路7が前記回路スイッチ13を遮断して、前記AC回路部1から前記電子機器30への電力供給を停止することができる。
【0019】
上記構成により、異常時において、AC回路部から出力コネクタへのスルーラインによる電力供給を制御することで、安全かつ安定した電力供給が実現できる。
【0020】
本発明の電源装置は、さらに前記給電制御部4が、前記出力コネクタ3に電子機器30が接続されたことを検出する機器検出回路12を備えて、前記第1の接続状態から、前記AC回路部1に交流電源10が接続され、前記出力コネクタ3に電子機器30が接続されない第2の接続状態に移行したことを、前記機器検出回路12が前記出力コネクタ3から電気信号が入力されなくなったことで検出すると、前記制御回路7が充電制御回路5を動作状態として前記二次電池2を充電することができる。
【0021】
上記構成により、第1の接続状態で、AC回路部の出力を出力コネクタに出力して電子機器に給電する状態で、出力コネクタから電子機器が切り離されたとき、AC回路部からの出力を自動的に二次電池への充電に切り換えて二次電池の充電時間を短縮できる。
【0022】
本発明の電源装置は、さらに前記給電制御部4が、前記AC回路部1に交流電源10が接続されたことを検出するAC入力検出回路11を備えて、前記第1の接続状態から、前記AC回路部1に交流電源10が接続されず、前記出力コネクタ3に電子機器30が接続される第3の接続状態に移行したことを、前記AC入力検出回路11が前記AC回路部1に交流電力が入力されなくなったことで検出すると、前記制御回路7が前記DC/DC変換回路6を動作状態として前記二次電池2から前記出力コネクタ3に出力することができる。
【0023】
上記構成により、第1の接続状態で、AC回路部の出力を出力コネクタに出力して電子機器に給電する状態で、AC回路部から交流電源が切り離されても、自動的に二次電池からの放電に切り換えて電子機器への給電を継続できる。
【0024】
本発明の電源装置は、さらに前記給電制御部4が、電子機器30への給電が0Aに低下したことを検出すると、前記二次電池2の充電電流を前記AC回路部1の最大出力電流値以下の所定の電流値に上昇させることができる。
【0025】
上記構成により、電子機器30の内蔵電池33の充電が完了した後、二次電池への充電電流をAC回路部の最大出力電流値まで上昇させることができるので、二次電池の充電時間を短縮できる。
【0026】
本発明の電源装置は、さらに前記AC回路部1の最大出力電流値を電子機器30に給電する電流より大きくし、電子機器30への給電中に前記二次電池2への予備充電を行うことができる。
【0027】
上記構成により、電子機器への定電流充電の間も二次電池に予備充電ができるので、同じ充電時間のままで二次電池の充電容量を増大させることができる。
【0028】
本発明の電源装置は、さらに前記AC回路部1が、出力電圧を補正する出力電圧補正回路16を備えて、前記出力電圧補正回路16が、前記出力コネクタ3の入力側の電圧を検出して、前記AC回路部1の出力電圧を補正することができる。
【0029】
上記構成により、出力コネクタに対して高出力の電流が通電される状態においても、出力コネクタの出力電圧を調整でき、規格に沿った出力電圧の精度が確保できる。
【0030】
本発明の電源装置は、さらに前記AC回路部1と前記二次電池2と前記給電制御部4を内蔵する本体ケース20を備え、前記本体ケース20が、該AC回路部1を交流電源10に接続するための折り畳み自在な電源プラグ22を備えることができる。
【0031】
上記構成により、AC回路部を本体ケースに内蔵することで、AC回路部と給電制御部との配線を簡略化できる。また、AC回路部を本体ケースに内蔵することで、電源装置本体と別部材からなるACアダプタを必要とせず、本体ケースのみを持ち運びして便利に使用できる。また、AC回路部から高出力電流が出力される状態においても、ACアダプタの使用時のように出力ケーブルの線抵抗による電圧降下を生じさせることなく安定して電力供給できる。また、電源プラグを本体ケースに対して折り畳み自在に配置することにより、電源プラグを使用しない状態では、電源プラグをコンパクトに本体ケースに収納して便利に持ち運びできる。
【0032】
本発明の電源装置は、前記出力コネクタ3を、USBコネクタとすることができる。
【0033】
本発明の電源装置に接続される電子機器への給電方法は、交流電源10を入力源として、所定の直流電力を出力するAC回路部1と、前記AC回路部1から出力される電力で充電される二次電池2と、給電対象の電子機器30を接続するための出力コネクタ3と、前記AC回路部1の出力を電源とし、前記二次電池2の充放電を制御すると共に、前記AC回路部1又は前記二次電池2の出力を前記出力コネクタ3に出力して、該出力コネクタ3に接続される電子機器30に給電する給電制御部4とを備える電源装置に給電対象の電子機器30を接続して、この電子機器30に給電する方法であって、前記AC回路部1に交流電源10が接続され、前記出力コネクタ3に電子機器30が接続される第1の接続状態において、電子機器30に対して給電を開始する工程と、電子機器30への給電が
前記AC回路部1の最大出力電流値と前記二次電池2への最大充電電流との差である閾値以下に低下したことを検出すると、該二次電池2の充電を開始して、電子機器30への給電と前記二次電池2の充電とを同時に行う時間帯を設ける工程とを含むことを特徴としている。
【0034】
本発明の電源装置及びこの電源装置に接続される電子機器への給電方法によれば、AC回路部に交流電源が接続され、出力コネクタに電子機器が接続される状態において、先に電子機器への給電を行うことで、電子機器の内蔵電池を優先的に充電して、電子機器の利用が直ちに可能となる一方、電子機器への給電が閾値以下になると、電子機器への給電中であっても、二次電池への充電を開始することで、電子機器への給電の完了を待たずに二次電池の充電を始めることができ、結果として二次電池の充電を早期に終了させることが可能となり、電源装置の充電に要する時間を理想的に短縮することができる。
【0035】
また、電源装置に内蔵される二次電池の充電よりも電子機器への給電を優先するので、電子機器に給電する毎に電源装置の二次電池を充放電する必要がなく、二次電池の充放電のサイクル数を低減し、二次電池の劣化を防止して電池寿命を長くできる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0038】
図1〜
図4に本発明の一実施の形態に係る電源装置100を示す。これ等の図に示す電源装置100は、給電対象となる電子機器30が接続されて、この電子機器30に電力を供給する。ここで、電源装置100に接続される電子機器30として、携帯電話機、スマートフォン、携帯音楽プレーヤ、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、タブレット(スレート)型PC等の充電可能な内蔵電池33を内蔵してなる電子機器が使用できる。あるいは、電子機器30は、パック電池とすることもできる。これ等の電子機器30は、例えば、
図3に示すように接続ケーブル31を介して電源装置100に接続され、あるいは、図示しないが、電子機器30に設けられた接続端子を介して電源装置に接続される。
【0039】
図1〜
図4に示す電源装置100は、交流電源10を入力源として、所定の直流電力を出力するAC回路部1と、AC回路部1から出力される電力で充電される二次電池2と、給電対象の電子機器30を接続するための出力コネクタ3と、AC回路部1の出力を電源とし、二次電池2の充放電を制御すると共に、AC回路部1又は二次電池2の出力を出力コネクタ3に出力して、出力コネクタ3に接続される電子機器30に給電する給電制御部4とを備えている。さらに、
図2〜
図4に示す電源装置100は、AC回路部1と二次電池2と給電制御部4を内蔵する本体ケース20を備えている。本体ケース20は、プラスチック等の絶縁材で中空の箱形に形成されており、内部に二次電池2を収納すると共に、AC回路部1と給電制御部4を構成する電子部品(図示せず)を収納している。
【0040】
(AC回路部1)
AC回路部1は、
図1に示すように、交流電源10に接続されて、入力される交流電力を所定の直流電力に変換して出力する。
図1の電源装置100は、交流電源10を商用電源とするので、AC回路部1を、商用電源である交流100Vを直流電圧に変換する回路としている。
図2〜
図4の電源装置100は、AC回路部1に接続される電源プラグ22を備えており、この電源プラグ22を商用電源のコンセント35に挿入して交流電力が供給される。
【0041】
(二次電池2)
二次電池2は、AC回路部1から出力される直流電力で充電される二次電池で、リチウムイオン二次電池である。ただ、本発明の電源装置100は、二次電池2をリチウムイオン二次電池に特定しない。二次電池2には、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の充電できる他の全ての電池を使用することができる。
図2〜
図4の電源装置100は、二次電池2として、1本の円筒形電池を本体ケース20の内部に収納している。ただ、電源装置100は、複数の二次電池を備えることができ、また、円筒形電池以外の形状の電池を備えることもできる。
【0042】
(出力コネクタ3)
出力コネクタ3は、
図3に示すように、給電対象の電子機器30が接続される。出力コネクタ3には、規格化あるいは標準化された各種のコネクタが利用できる。このようなコネクタとして、USB端子のAタイプやBタイプが接続されるコネクタが使用できる。図に示す出力コネクタ3は、AタイプのUSB端子32を挿入可能なUSBコネクタ3Aとしている。ただ、出力コネクタは、BタイプのUSB端子を挿入可能なUSBコネクタとすることもできる。
図2〜
図4の電源装置100は、本体ケース20の端面壁21のほぼ中央に、出力コネクタ3としてUSBコネクタ3Aを備えている。出力コネクタ3は、図示しないが、本体ケース20に収納される回路基板に固定されて本体ケース20の定位置に配置される。
図2〜
図4に示す本体ケース20は、端面壁21に開口されたコネクタ窓の内側に位置して出力コネクタ3を固定している。
【0043】
(給電制御部4)
給電制御部4は、AC回路部1の出力側に接続されており、二次電池2の充放電を制御すると共に、AC回路部1又は二次電池2の出力を出力コネクタ3に出力して、出力コネクタ3に接続される電子機器30に直流電力を供給する。
図1に示す給電制御部4は、AC回路部1の出力を電源として二次電池2を充電する充電制御回路5と、二次電池2の出力を所定の直流電力に変換して出力コネクタ3に出力するDC/DC変換回路6と、充電制御回路5とDC/DC変換回路6の動作状態を制御する制御回路7とを備えている。
【0044】
(充電制御回路5)
充電制御回路5は、制御回路7で動作状態が制御されて二次電池2を充電する。AC回路部1の出力電力で充電される二次電池2は、充電制御回路5で満充電される。リチウムイオン二次電池である二次電池2は、所定の電圧になるまで定電流充電され、その後、定電圧充電されて満充電となる。
【0045】
(DC/DC変換回路6)
DC/DC変換回路6は、充電された二次電池2の電圧を一定の電圧に変換して出力する。DC/DC変換回路6は、制御回路7で動作状態が制御されて二次電池2の出力を所定の直流電圧に変換して出力コネクタ3に出力する。このDC/DC変換回路6は、二次電池2から放電して、二次電池2から出力される電力で電子機器30に給電するタイミングにおいて動作状態に制御される。
【0046】
以上の給電制御部4は、AC回路部1に交流電源10が接続され、出力コネクタ3に電子機器30が接続される第1の接続状態において、AC回路部1からの出力を二次電池2の充電よりも優先して電子機器30へ給電する。このことを実現するために、
図1に示す給電制御部4は、充電制御回路5とDC/DC変換回路6とを迂回するスルーライン9を備えており、このスルーライン9を介して、AC回路部1の出力側を出力コネクタ3に接続している。給電制御部4は、
図5に示すように、AC回路部1に交流電源10が接続され、出力コネクタ3に電子機器30が接続される第1の接続状態では、制御回路7が充電制御回路5を非動作状態として、二次電池2の充電を行うことなく、このスルーライン9を介してAC回路部1からの出力を優先的に電子機器30へ給電する。このため、二次電池2の充電よりも先に電子機器30の内蔵電池33を充電することができ、電子機器30を直ちに使用可能とできる。
【0047】
さらに、給電制御部4は、スルーライン9を介してAC回路部1から出力コネクタ3に通電する状態で、電子機器30への給電が閾値以下に低下したことを検出すると、
図6に示すように、充電制御回路5を動作状態として、二次電池2の充電を開始する。
図1に示す電源装置100は、電子機器30に給電される電流値を検出する電流検出回路8を備えており、第1の接続状態において、電流検出回路8が検出する電流値が所定の閾値以下になると、制御回路7が充電制御回路5を動作状態に制御して二次電池2の充電を開始する。このように、電子機器30に給電される電流値の低下を電流検出回路8で検出して二次電池2の充電を開始する構造は、電子機器30への給電の低下を簡単かつ正確に検出して、二次電池2の充電を速やかに開始できる。
【0048】
二次電池2の充電を開始する電流値の閾値は、たとえば、AC回路部1の最大出力電流値の20%〜60%、好ましくは25〜50%とすることができる。この構成によると、電子機器30に給電される電流値が、AC回路部1の最大出力電流値に対して所定の割合まで低下する状態で二次電池2の充電を開始するので、AC回路部1の最大出力電流値の80%〜40%、好ましくは75〜50%を充電電流として、言い換えると、AC回路部1の最大出力電流値の閾値との差に相当する電流値を充電電流として、二次電池2を効率よく充電できる。
【0049】
図7は、最大出力電流値を1.5AとするAC回路部1の出力を電子機器30に給電して、電子機器30に内蔵される内蔵電池33を充電し、電子機器30に通電される電流値が閾値である0.5A以下に低下すると、二次電池2の充電を開始してこの二次電池2を満充電する状態を示している。この
図7において、曲線AはAC回路部1からスルーライン9を介して電子機器30に通電される電流特性の変化を、曲線BはAC回路部1から充電制御回路5に通電される電流特性の変化をそれぞれ示している。また、曲線Cは電源装置100から供給される電力で充電される電子機器30の内蔵電池33の電圧特性の変化を、曲線Dは充電制御回路5で充電される二次電池2の電圧特性の変化をそれぞれ示している。
【0050】
図5と
図7に示すように、電源装置100は、まず電子機器30にのみ給電を開始して、電子機器30に内蔵される内蔵電池33を充電する。
図7の曲線Aと曲線Cは、電子機器30の内蔵電池33が所定の電圧(4.2V)になるまで1.5Aで定電流充電され、その後、定電圧充電される状態を示している。定電圧充電される内蔵電池33は、曲線Aで示すように、やがて充電電流が低下して満充電されるが、この電源装置100は、電子機器30の内蔵電池33が満充電される前に、二次電池2の充電を開始する。すなわち、電源装置100は、電流検出回路8で検出される電流値が閾値である0.5A以下になると、
図6に示すように、制御回路7が充電制御回路5を動作状態として二次電池2の充電を開始する。このとき、スルーライン9を介して電子機器30に通電される電流値は0.5A以下となっているので、充電制御回路5は、1.0Aの充電電流で二次電池2を充電することができる。この状態で、二次電池2は、
図7の曲線Bと曲線Dで示すように、所定の電圧(4.2V)になるまで1.0Aで定電流充電され、その後、定電圧充電されて満充電される。
【0051】
このように、本発明の電源装置100では、電子機器30への給電が完了する前に、二次電池2の充電を開始するので、AC回路部1から出力される電力を有効に利用して電子機器30への給電と、二次電池2の充電とを効率よく行うことができる。とくに、電子機器30の内蔵電池33が満充電に近づくにつれて充電電流が低下するタイミングにおいて二次電池2の充電を開始するので、電子機器30への給電に影響を与えることなく、またAC回路部1の出力を大きくすることなく、二次電池2を充電できる。この給電方法によると、
図7に示すように、電子機器30への給電と二次電池2の充電とを同時に行う時間帯を設けることができるので、電子機器30への給電に続いて行われる二次電池2の充電にかかる時間を短縮できる。
【0052】
ここで、
図7に示すように、最大充電電流が1.5Aの定電流−定電圧充電で、電子機器30の内蔵電池33を2500mAhまで充電するのに2時間を要し、最大充電電流が1.0Aの定電流−定電圧充電で、電源装置100の二次電池2を2500mAhまで充電するのに3時間を要する場合を考える。この場合、従来の電源装置や給電方法では、電子機器の内蔵電池の充電が完了後に電源装置の二次電池の充電を開始するので、トータルの充電時間が少なくとも5時間は必要となる。これに対して、本発明の電源装置と給電方法では、
図7に示すように、電子機器30の内蔵電池33の充電が完了する前に二次電池2の充電を開始して、電子機器30への給電と二次電池2の充電とを同時に行う時間帯を設けるので、トータルの充電時間を4.5時間に短縮して、二次電池2の充電が完了するまでにかかる時間を約0.5時間も短縮できる。
【0053】
(AC入力検出回路11)
図1に示す給電制御部4は、AC回路部1に交流電源10が接続されたことを検出するAC入力検出回路11を備えている。AC入力検出回路11は、AC回路部1から入力される電気信号で、AC回路部1に交流電源10が接続されたかどうかを検出する。AC入力検出回路11は、例えば、AC回路部1からhigh信号が出力されると、AC回路部1に交流電源10が接続されたと判定し、AC回路部1からlow信号が出力されると、AC回路部1に交流電源10が接続されていないと判定することができる。AC入力検出回路11は、AC回路部1に交流電源10が接続されたことを検出すると、検出信号を制御回路7に入力する。制御回路7は、AC入力検出回路11から検出信号が入力される状態で、AC回路部1に交流電源10が接続されていると判定し、AC入力検出回路11から検出信号が入力されない状態では、AC回路部1に交流電源10が接続されていないと判定する。
【0054】
なお、本明細書において、AC回路部1に交流電源10が接続されるとは、AC回路部1に接続された交流電源10からAC回路部1に交流電力が入力される状態を意味するものとする。したがって、AC入力検出回路11は、AC回路部1に交流電力が入力される状態であって、AC回路部1から所定の直流電力が出力可能な状態にあることを検出する。ここで、AC入力検出回路11は、交流電源10から交流電力が入力される状態にあるかどうかだけでなく、AC回路部1から直流電力が出力される状態にあるかどうかを検出することもできる。例えば、AC回路部1の故障等により、交流電源10からAC回路部1に交流電力が入力されるが、AC回路部1から所定の直流電力が出力されない状態においても、実質的にはAC回路部1に交流電源10が接続されていないと判定して、制御回路7に検出信号を出力しないように制御することもできる。
【0055】
以上のように、AC入力検出回路11を備える給電制御部4は、AC回路部1に交流電源10が接続され、出力コネクタ3に電子機器30が接続される第1の接続状態で、AC回路部1から電子機器30への給電中において、
図8に示すように、交流電源10が電源装置100から切り離されたことをAC入力検出回路11で検出すると、二次電池2から電子機器30への放電を開始することができる。給電制御部4の制御回路7は、AC入力検出回路11から検出信号が入力され、かつ、電流検出回路8が充電電流を検出する状態で、AC回路部1から電子機器30へ給電中であると判定する。この状態で、AC入力検出回路11から検出信号が入力されなくなると、制御回路7は、交流電源10からAC回路部1への入力が遮断されたと判定して、DC/DC変換回路6を動作状態として二次電池2から出力コネクタ3への出力を開始する。このため、AC回路部1の出力で電子機器30に給電する状態で、AC回路部1から交流電源10が切り離されても、自動的に二次電池2からの放電に切り換えて電子機器30への給電を継続できる。これにより、例えば、電子機器30の内蔵電池33を充電中において、電源装置100が交流電源10から切り離されても、内蔵する二次電池2から電子機器30へ給電して、電子機器30の内蔵電池33の充電を継続できる。
【0056】
(機器検出回路12)
さらに、
図1に示す給電制御部4は、出力コネクタ3に電子機器30が接続されたことを検出する機器検出回路12も備えている。機器検出回路12は、出力コネクタ3から入力される電気信号で、電子機器30が出力コネクタ3に接続されたかどうかを検出することができる。機器検出回路12は、電子機器30が出力コネクタ3に接続されたことを検出すると、検出信号を制御回路7に入力する。制御回路7は、機器検出回路12から検出信号が入力される状態では、出力コネクタ3に電子機器30が接続されていると判定し、機器検出回路12から検出信号が入力されない状態では、出力コネクタ3に電子機器30が接続されていないと判定する。
【0057】
以上の給電制御部4は、機器検出回路12を備えているので、この機器検出回路12から出力される検出信号の有無により、電子機器30の接続状態を確実に検出できる。ただ、給電制御部4は必ずしも機器検出回路を備える必要はない。それは、電子機器に給電される電流値を電流検出回路で検出することにより、電子機器30が接続されたかどうかを検出できるからである。例えば、制御回路7は、出力コネクタ3に接続している電子機器30が外されると、出力コネクタ3から電子機器30が外されたことを、出力電流で検出できる。電子機器30が外されると出力電流が0Aとなるからである。
【0058】
さらに、電源装置100は、AC回路部1に交流電源10が接続され、出力コネクタ3に電子機器30が接続されない第2の接続状態において、
図9に示すように、AC回路部1から供給される電力で二次電池2を充電する。給電制御部4は、AC回路部1に交流電源10が接続されて、出力コネクタ3に電子機器30が接続されない状態にあることを制御回路7で検出すると、充電制御回路5を動作状態として二次電池2を充電する。この状態で二次電池2は、充電制御回路5により満充電される。
【0059】
さらに、電源装置100は、AC回路部1に交流電源10が接続されない状態であって、出力コネクタ3に電子機器30が接続される第3の接続状態において、
図8に示すように、二次電池2から放電される電力をDC/DC変換回路6で所定の直流電圧に変換して出力コネクタ3に出力する。DC/DC変換回路6は、制御回路7で動作状態に切り換えられて、二次電池2の出力を所定の電圧に変換し、出力側に接続している出力コネクタ3に安定化された電力を出力する。この状態で、出力コネクタ3に接続された電子機器30に所定の直流電力が供給される。
【0060】
このとき、制御回路7は、前述のように、第1の接続状態におけるAC回路部1から電子機器30への給電中において、交流電源10が電源装置100から切り離された場合には、このことをAC入力検出回路11で検出して、DC/DC変換回路6を動作状態として自動的に二次電池2から電子機器30への放電を開始することができる。また、制御回路7は、AC回路部1に交流電源10が接続されない状態で、出力コネクタ3に電子機器30が接続される場合においても、このことを検出して二次電池2から電子機器30への放電を開始することができる。例えば、制御回路7は、AC回路部1に交流電源10が接続されないことをAC入力検出回路11で検出し、出力コネクタ3に電子機器30が接続されたことを機器検出回路12で検出することで、自動的にDC/DC変換回路6を動作状態に切り換えて、二次電池2から電子機器30への放電を開始することができる。
【0061】
ただ、電源装置100は、第3の接続状態において、必ずしもDC/DC変換回路6を自動的に動作状態に切り換える構造とする必要はない。
図1と
図4に示す電源装置100は、本体ケース20に設けた操作部24を介して操作される押しボタンスイッチ25を備えている。この電源装置100は、押しボタンスイッチ25から入力される信号で、制御回路7がDC/DC変換回路6を動作状態に切り換えることができる。制御回路7は、例えば、押しボタンスイッチ25から一定の時間オン信号が入力されるとDC/DC変換回路6を動作状態に切り換えて二次電池2からの放電を開始する。この構造は、AC入力検出回路11や機器検出回路12を設けることなく、押しボタンスイッチ25を操作することで、二次電池2の放電を開始することができる。この電源装置100は、第1の接続状態における電子機器30への給電中において、交流電源10が切り離されて第3の接続状態に移行する場合においては、制御回路7が自動的に二次電池2からの放電に切り換え、また、AC回路部1に交流電源10が接続されない状態で、出力コネクタ3に電子機器30が接続される第3の接続状態においては、押しボタンスイッチ25を操作することで二次電池2からの放電に切り換えることができる。
【0062】
以上のように、給電制御部4は、第1の接続状態と第2の接続状態と第3の接続状態とを制御回路7で検出して、出力コネクタ3に接続された電子機器30への給電と二次電池2の充電とをコントロールする。
【0063】
(電源プラグ22)
さらに、
図2〜
図4に示す電源装置100は、AC回路部1に交流電源10を接続するために、商用電源のコンセント35に接続する電源プラグ22を備えている。
図2〜
図4に示す電源装置100は、本体ケース20にAC回路部1を内蔵しており、本体ケース20に配置された電源プラグ22を介して交流電源10に接続可能としている。
図2〜
図4に示す電源プラグ22は、本体ケース20に対して折り畳み自在に連結されており、電源装置100を交流電源10に接続するときには、電源プラグ22のプラグ刃22Aを本体ケース20から引き出して商用電源のコンセント35に挿入できるようにしている。また、電源プラグ22は、交流電源10に接続しない状態においては、プラグ刃22Aを折り畳んでコンパクトに収納できるようにしている。
図2〜
図4に示す本体ケース20は、電源プラグ22のプラグ刃22Aを収納する収納凹部23を底面に設けている。以上の構造は、商用電源等の交流電源10に接続する場合にのみ電源プラグ22を回動させてプラグ刃22Aを突出させ、交流電源10に接続しない状態では、電源プラグ22を収納凹部23に収納してコンパクトに持ち運びできる特徴がある。
【0064】
以上の電源装置100は、本体ケース20にAC回路部1を内蔵しており、このAC回路部1に接続される電源プラグ22を本体ケース20に設けている。ただ、電源装置は、図示しないが、AC回路部に接続される電源プラグを必ずしも本体ケースに設ける必要はなく、先端に電源プラグを有する延長コードを本体ケースに接続して、AC回路部を電源プラグに接続することもできる。
【0065】
さらに、
図10と
図11は、本発明の他の実施の形態に係る電源装置200、300をそれぞれ示している。なお、これ等の図において、
図1に示す実施の形態に係る電源装置100と同じ構成要素については、同符号を付してその詳細な説明を省略している。
【0066】
(回路スイッチ13)
図10に示す電源装置200は、AC回路部1と出力コネクタ3とを接続するスルーライン9に回路スイッチ13を備えている。この給電制御部4は、制御回路7が回路スイッチ13をオンオフに制御して、AC回路部1から電子機器30への電力供給をコントロールする。
【0067】
(異常検出回路14)
さらに、
図10に示す電源装置200は、制御回路7が異常検出回路14を備えている。この給電制御部4は、異常検出回路14が異常を検出すると、制御回路7が回路スイッチ13を遮断して、AC回路部1から電子機器30への電力供給を停止することができる。このため、異常時において、AC回路部1から出力コネクタ3へのスルーライン9による電力供給を遮断して安全性を向上できる。
【0068】
異常検出回路14は、電子機器30への給電中に発生する異常を検出する。異常検出回路14は、例えば、出力コネクタ3やその周辺の温度を温度センサー15で検出し、検出された温度が所定値以上であると、異常な状態と判定して電子機器30への給電を停止する。あるいは、異常検出回路14は、電流検出回路8で検出される電流値が所定値よりも大きくなると異常な状態と判定して電子機器30への給電を停止する。
【0069】
(出力電圧補正回路)
さらに、
図11に示す電源装置300は、AC回路部1が、出力電圧を補正する出力電圧補正回路16を備えている。この出力電圧補正回路16は、出力コネクタ3の入力側の電圧を検出して、AC回路部1の出力電圧を補正する。このように、出力側の電圧を検出してAC回路部1の出力電圧を補正する電源装置300は、出力コネクタ3に対して高出力の電流が通電される状態においても、出力コネクタ3の出力電圧を調整でき、規格に沿った出力電圧の精度が確保できる。
【0070】
なお、本実施の形態において、
図7のように二次電池2が所定の電圧(4.2V)になるまでの定電流充電を1.0Aで行うとしたが、
図12のように電子機器30の内蔵電池33の充電が完了した後、二次電池2への充電電流を1.0Aより大きく、かつ、AC回路部1の最大出力電流値の1.5A以下の所定の電流値に上昇させるとしてもよい。例えば、制御回路7は、電流検出回路8が検出する電流値が0Aになると、AC回路部1の最大出力の1.5Aを二次電池2へ供給するように充電制御回路5を制御する。これにより、二次電池2が所定の電圧(4.2V)になるまでの充電時間を短縮することができる。つまり、トータルの充電時間を4.0時間に短縮して、二次電池2の充電が完了するまでにかかる時間を
図7よりも更に約0.5時間も短縮できる。
【0071】
なお、本実施の形態において、AC回路部1の最大出力電流値を1.5Aとしたが、AC回路部1の最大出力電流値を電子機器に供給する電流1.5Aより大きくするとしてもよい。例えば、AC回路部1の最大出力電流値を2.0Aにすることで、
図13のようにAC回路部1は、電子機器30の内蔵電池33に1.5Aの充電電流、二次電池2の予備充電のために0.5Aの充電電流を供給することが可能となる。そして、電流検出回路8で検出される電流値が閾値である0.5A以下になると、制御回路7が充電制御回路5を制御して、
図13に示すように二次電池2の充電電流を1.5Aに上昇させて本充電を開始する。さらに、電子機器30の内蔵電池33の充電が完了した後、二次電池2への充電電流をAC回路部1の最大出力電流値の2.0Aに上昇させて充電することで、二次電池2へより多くの充電容量を充電することができる。つまり、トータルの充電時間が
図7の4.5時間と同じ場合、約2倍の5000mAhの充電を行うことができ、二次電池2を2並列で使用しても同じ充電時間で満充電にすることが可能となる。