特許第6189435号(P6189435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ、 アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー オブ アグリカルチャーの特許一覧 ▶ ゼット トリム ホールディングス,インコーポレイテッドの特許一覧

特許6189435バイオベース繊維ガム(BFG)およびBFGを生成するためのプロセス
<>
  • 特許6189435-バイオベース繊維ガム(BFG)およびBFGを生成するためのプロセス 図000032
  • 特許6189435-バイオベース繊維ガム(BFG)およびBFGを生成するためのプロセス 図000033
  • 特許6189435-バイオベース繊維ガム(BFG)およびBFGを生成するためのプロセス 図000034
  • 特許6189435-バイオベース繊維ガム(BFG)およびBFGを生成するためのプロセス 図000035
  • 特許6189435-バイオベース繊維ガム(BFG)およびBFGを生成するためのプロセス 図000036
  • 特許6189435-バイオベース繊維ガム(BFG)およびBFGを生成するためのプロセス 図000037
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189435
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】バイオベース繊維ガム(BFG)およびBFGを生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08L 5/00 20060101AFI20170821BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20170821BHJP
   B01D 61/24 20060101ALI20170821BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20170821BHJP
   B01J 13/04 20060101ALI20170821BHJP
   B01F 17/00 20060101ALI20170821BHJP
   B01F 17/56 20060101ALI20170821BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20170821BHJP
   C09J 161/06 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   C08L5/00
   B01D61/02 500
   B01D61/24
   B01D61/14 500
   B01J13/04
   B01F17/00
   B01F17/56
   C09J11/08
   C09J161/06
【請求項の数】10
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2015-521657(P2015-521657)
(86)(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公表番号】特表2015-531004(P2015-531004A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】US2013049116
(87)【国際公開番号】WO2014011449
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】61/670,188
(32)【優先日】2012年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/798,468
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009642
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ、 アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー オブ アグリカルチャー
【氏名又は名称原語表記】THE UNITED STATES OF AMERICA, AS REPRESENTED BY THE SECRETARY OF AGRICULTURE
(73)【特許権者】
【識別番号】508211890
【氏名又は名称】ゼット トリム ホールディングス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】ヤダヴ マドハヴ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ヒックス ケヴィン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ハナ カイル エー.
(72)【発明者】
【氏名】シュクラ トリヴェニ ピー.
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第98/040413(WO,A1)
【文献】 特開平02−276801(JP,A)
【文献】 米国特許第04028468(US,A)
【文献】 米国特許第04957599(US,A)
【文献】 米国特許第07198695(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 5/00−5/16
B01D 61/00−61/58
B01F 17/00−17/56
B01J 13/00−13/22
C09J 11/00−11/08
161/00−161/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオベース繊維ガムの調製のためのプロセスであって、
(a)農業材料を加熱したアルカリ溶液と75℃から150℃の範囲の温度で混合してスラリーを形成するステップと、
(b)前記スラリーから不溶性成分を分離して9ら14のpHを有する溶液を生じるステップであって、前記溶液が0.1から10wt%の固形物を含有し、前記固形物がアルカリ可溶性画分であるステップと、
を含み、
以下:
(c)前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(d)前記溶液のpHを2から12のpHに調整し、前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(e)前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを2ら12のpHに調整し、乾燥して粉末にするステップ、
(f)前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を2ら5体積の有機溶媒で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(g)前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを2ら12のpHに調整し、前記可溶性成分を1から5体積の有機溶媒で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
のうちの1つとを含み、
(h)前記溶液のpHを2ら12のpHに調整し、前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を1から5体積の有機溶媒で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、または
(i)前記溶液のpHを2ら5のpHに調整してヘミセルロースAを沈殿させ、残った溶液を2体積の溶媒で処理して沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ
いずれかを含み、
前記プロセスは酸化剤を利用せず、前記バイオベース繊維ガムはフェルロイル−アラビノキシランを含有し、
任意選択で、溶液が以下:
(1)前記溶液を脱塩して、脱塩溶液が溶液になるステップ、
(2)前記溶液を少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜を通過させる処理をして、透過液が溶液になるステップ、または
(3)前記溶液を少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜を通過させる処理をして、保持液が溶液になるステップ
のうちの少なくとも1つによって前処理される、バイオベース繊維ガムの調製のためのプロセス。
【請求項2】
前記乾燥するステップが、ドラム乾燥または噴霧乾燥による、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記酸化剤が、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載のプロセス。
【請求項4】
前記農業材料が、トウモロコシ糠、トウモロコシ繊維、エンバク糠、エンバク繊維、コムギ糠、コムギ繊維、オオムギ藁、オオムギ籾、スイッチグラス、サトウキビバガス、ススキ属、トウモロコシ茎葉、コムギ藁、モロコシ糠、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
(a)農業材料を加熱したアルカリ溶液と75℃から150℃の範囲の温度で混合してスラリーを形成するステップと、
(b)前記スラリーから不溶性成分を分離し9から14のpHを有する溶液を生じるステップであって、前記溶液が0.1から10wt%の固形物を含有し、前記固形物がアルカリ可溶性画分であるステップと、
を含み、
以下:
(c)前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(d)前記溶液のpHを2ら12のpHに調整し、前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(e)前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを2ら12のpHに調整し、乾燥して粉末にするステップ、
(f)前記溶液を16から3wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を2ら5体積の有機溶媒で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(g)前記溶液のpHを2ら12のpHに調整し、前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を2から5体積の有機溶媒で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(h)前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを2ら12のpHに調整し、前記可溶性成分を有機溶媒で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(i)前記溶液のpHを2ら5のpHに調整してヘミセルロースAを沈殿させ、残った溶液を2体積の有機溶媒で処理して沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ
のうちの少なくとも1つとを含み、
任意選択で、溶液が以下:
(1)前記溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、10,000ダルトン未満(<10,000ダルトン)の分子量を有するアルカリ可溶性画分を含有する溶液になる透過液を形成するステップ、
(2)前記溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、保持液および透過液を形成し、前記保持液を50,000ダルトン膜を通過させる処理をして、10,000から50,000ダルトンの間の分子量を有するアルカリ可溶性画分を含有する溶液になる透過液を形成するステップ、
(3)前記溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして第1の保持液を形成し、前記第1の保持液を50,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして第2の保持液を形成し、前記第2の保持液を100,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして、透過液が、50,000から100,000ダルトンの間の分子量を有するアルカリ可溶性画分を含有する溶液になるステップ、
(4)前記溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして第1の保持液を形成し、前記第1の保持液を50,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして第2の保持液を形成し、前記第2の保持液を100,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして、100,000ダルトン超の分子量を有するアルカリ可溶性画分を含有する溶液になる第3の保持液を形成するステップ、
(5)前記溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして第1の保持液を形成し、前記第1の保持液を50,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして第2の保持液を形成し、前記第2の保持液を100,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして第3の保持液を形成し、前記第3の保持液のpHを2ら5のpHに調整して、次いで乾燥してヘミセルロースAを生じる沈殿剤を沈殿させ、残った溶液が、100,000ダルトン超の分子量を有するBFG生成物を含有し、すべてのpH値で可溶性であるステップ、
(6)前記溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、(a)蒸発させて乾燥して10,000ダルトン未満(<10,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる透過液および(b)蒸発させて乾燥して10,000ダルトン超(>10,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる保持液を形成するステップ、
(7)溶液を50,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして(a)蒸発させて乾燥して50,000ダルトン未満(<50,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる透過液および(b)蒸発させて乾燥して50,000ダルトン超(>50,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる保持液を形成するステップ、
(8)溶液を100,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、(a)蒸発させて乾燥して100,000ダルトン未満(<100,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる透過液および(b)蒸発させて乾燥して100,000ダルトン超(>100,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる保持液を形成するステップ、
(9)溶液を100,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、100,000ダルトン超(>100,000ダルトン)の分子量を有する生成物を含有する保持液を形成し、前記保持液のpHを2ら5のpHに調整して、(a)次いで乾燥してヘミセルロースAを形成する沈殿物および(b)100,000ダルトン超の分子量を有するすべてのpH値で可溶性である生成物を含有する溶液を形成するステップ、
(10)前記溶液から塩および灰分を除去するステップ、
(11)前記溶液から塩および灰分を除去し、前記溶液を16から23wt%の固形物となるまで蒸発させ、次いで乾燥するステップ、
(12)前記溶液から塩および灰分を除去し、溶液のpHを2ら5のpHに調整して、(a)次いで乾燥してヘミセルロースAを形成する沈殿剤および(b)ヘミセルロースBを含有する溶液を形成するステップ、または
(13)前記溶液を、その前もしくは後にpH調整を行いもしくは行わずに、限外濾過もしくは透析濾過もしくはナノ濾過によって前処理して(a)溶液になる1つもしくは複数の保持液を形成し、(b)得られた1つもしくは複数の透過液が溶液になるステップ
のうちの少なくとも1つによって前処理される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
請求項1に記載のプロセスによって生成される生成物を被酸化性である組成物に添加するステップを含む、被酸化性である組成物の酸化を低減する方法。
【請求項7】
請求項1に記載のプロセスによって生成される生成物を炭素質材料に添加するステップと、ペレット化するステップとを含む、炭素質材料を結合する方法。
【請求項8】
請求項1に記載のプロセスによって生成される生成物を油および水に添加するステップを含む、水中油型または油中水型エマルションを安定化するための方法。
【請求項9】
請求項1に記載のプロセスによって生成される生成物を合板用単板複合体に添加するステップと、プレスするステップと、加熱するステップとを含む、より少ないフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を有する合板を作製するための方法。
【請求項10】
請求項1に記載のプロセスによって生成される生成物を被酸化性材料に添加してエマルションを形成するステップと、噴霧乾燥してカプセル化生成物を形成するステップとを含む、被酸化性材料[油、香味剤および芳香剤]を安定化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の援用
本出願は、2012年7月11日に出願された米国仮出願第61/670,188号の利益を主張するものであり、この仮出願は、その全体が援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書において、
(a)農業材料を加熱したアルカリ溶液と約75℃から約150℃の範囲(好ましくは約85℃から約90℃の範囲)の温度で混合してスラリーを形成するステップと、
(b)前記スラリーから不溶性成分を分離して約9から約14(好ましくは約10から約12の範囲)のpHを有する溶液を生じるステップであって、前記溶液が約0.1から約10wt%の固形物を含有し、前記固形物がアルカリ可溶性画分であるステップと、
を含み、
以下:
(c)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(d)前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(e)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、乾燥して粉末にするステップ、
(f)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を約2から約5体積の有機溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(g)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記可溶性成分を1から5体積(好ましくは2体積)の有機溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(h)前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を約1から5体積(好ましくは約2体積)の有機溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、または
(i)前記溶液のpHを約2から約5のpHに(好ましくは約3.5から約4.5に)調整してヘミセルロースAを沈殿させ、残った溶液を約2体積の有機溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール)で処理して沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ
のうちの1つとを含み、
任意選択で、溶液が以下:
(1)前記溶液を脱塩し、脱塩溶液が溶液になるステップ、
(2)溶液を少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜を通過させる処理をして、透過液が溶液になるステップ、または
(3)溶液を少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜を通過させる処理をして、保持液が溶液になるステップ
のうちの少なくとも1つによって前処理される、バイオベース繊維ガムの調製のためのプロセスが記載される。
【0003】
また、これらのプロセスによって生成される生成物およびそれらの使用の一部も記載される。
【背景技術】
【0004】
リグノセルロース農業残渣(例えば、トウモロコシ茎葉、コムギ藁、イネ藁等)、農業加工副産物(例えば、トウモロコシ糠、トウモロコシ繊維、エンバク糠、イネ籾、サトウキビバガス等)、およびエネルギー作物(例えば、ススキ属、スイッチグラス等)をアルカリ溶液で抽出して、食品およびバイオ燃料用途のためのセルロース濃縮画分を生成するとき、そのプロセスから廃液流が生じ、これは、処分可能となる前に高額な廃液処理に供しなければならない。同時に、現在、石油由来ならびに/または輸入による水中油型および油中水型乳化剤、接着剤、結合剤、油井掘削流体および水圧破砕流体の有用な成分、増粘剤、抗酸化剤、可溶性食物繊維、ならびに血清コレステロール低下剤の代替となり得る、低コストのバイオベース生成物に対する需要が存在する。驚くべきことに、本発明者らは、上記で言及されたリグノセルロース産物のプロセッシングによる廃液流を、蒸発、乾燥、膜濾過、溶媒沈殿および/または本明細書に記載される他の方法によってプロセッシングすることによって、上記で言及された石油由来および/または輸入による製品の代替として機能することができる、新規の組成物を得ることができることを見出した。よって、この発見により、負の価値を有する廃棄材料を、本明細書に記載される多くの用途を有する付加価値のある生成物へと変換することが可能となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(a)農業材料を加熱したアルカリ溶液と約75℃から約150℃の範囲(好ましくは約85℃から約90℃の範囲)の温度で混合してスラリーを形成するステップと、
(b)前記スラリーから不溶性成分を分離して約9から約14(好ましくは約10から約12の範囲)のpHを有する溶液を生じるステップであって、前記溶液が約0.1から約10wt%の固形物を含有し、前記固形物がアルカリ可溶性画分であるステップと、
を含み、
以下:
(c)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(d)前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(e)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、乾燥して粉末にするステップ、
(f)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を約2から約5体積の有機溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(g)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記可溶性成分を1から5体積(好ましくは2体積)の有機溶媒(例えば、エタノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(h)前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ前記可溶性成分を約1から5体積(好ましくは約2体積)の有機溶媒(例えば、エタノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、または
(i)前記溶液のpHを約2から約5のpHに(好ましくは約3.5から約4.5に)調整してヘミセルロースAを沈殿させ、残った溶液を約2体積の溶媒(例えば、エタノール)で処理して沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ
のうちの1つとを含み、
任意選択で、溶液が以下:
(1)前記溶液を脱塩し、脱塩溶液が溶液になるステップ、
(2)溶液を少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜を通過させる処理をして、透過液が溶液になるステップ、または
(3)溶液を少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜を通過させる処理をして、保持液が溶液になるステップ
のうちの少なくとも1つによって前処理される、バイオベース繊維ガムの調製のためのプロセス。
【0006】
また、これらのプロセスによって生成される生成物およびそれらの使用の一部。
【0007】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに記述される簡略化された形式の概念のうちの一選択を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助となることを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】農業残渣(例えば、トウモロコシ茎葉、コムギ藁、イネ藁等)、農業加工副産物(例えば、トウモロコシ糠、トウモロコシ繊維、エンバク糠、イネ籾、サトウキビバガス等)またはエネルギー作物(例えば、ススキ属、スイッチグラス等)のアルカリ抽出物から粗製、準精製または精製バイオベース繊維ガム(BFG)を生成するための、本発明者らによる新規のプロセスのいくつかについての概略図であり、この概略図には、抽出物(pH調整を行うまたは行わない)の直接蒸発(部分乾燥)、続いてエタノール沈殿、噴霧乾燥、もしくはドラム乾燥によって、粗製および準精製BFGを作製するための簡単なプロセス(図の左側);または、他の有用な生成物(道路凍結防止剤、肥料、抗酸化剤、およびプレバイオティクスに適するオリゴ糖など)を含有する透過液と共に、分子量によって分離され、以下で記載する通りの逐次膜プロセッシングの保持液に主に見出される成分を有する純粋な特有のBFG画分を作製するための、漸増する公称分子量カットオフ(MWCO)の膜による逐次処理を含む、より精巧なプロセス(図の右側)が含まれる。
【0009】
図2】農業生産物または農業副産物(例えば、トウモロコシ糠)のアルカリ抽出物から準純粋および精製バイオベース繊維ガムを生成するための、本発明者らによる新規のプロセスのいくつかについての概略図であり、この概略図には、低、中、または高分子量カットオフ膜による処理、続く保持液および透過液の蒸発(部分乾燥)によるプロセッシング、続く以下に記載される通りのエタノール沈殿または噴霧もしくはドラム乾燥が含まれる。精製BFGは、乾燥させた保持液中に主に見出され、透過液は他の有用な生成物(道路凍結防止剤、肥料、抗酸化剤、およびプレバイオティクスに適するオリゴ糖など)を含有する。乾燥の前にエタノール沈殿に供される保持液もまた、精製BFGである。
【0010】
図3】農業生産物または農業副産物(例えば、トウモロコシ糠)のアルカリ抽出物から準精製および精製バイオベース繊維ガムを生成するための、本発明者らによる新規のプロセスのいくつかについての概略図であり、この概略図には、限外濾過または当技術分野において公知の他の同様に有効な濾過もしくは脱灰系による、抽出物の簡単な脱灰、続く蒸発(部分乾燥)、続く以下に記載される通りのエタノール沈殿、ドラムまたは噴霧乾燥が含まれ;代替的には、保持液の酸性化によって、ヘミセルロースAおよびヘミセルロースBバイオベース繊維ガムの別個の流れが生成され得る。エタノール沈殿を行わずに生成されるものは準精製BFGであり、エタノール沈殿を行って生成されるものは精製BFGである。
【0011】
図4】農業生産物または農業副産物(例えば、トウモロコシ糠)のアルカリ抽出物から粗製および準精製バイオベース繊維ガムを生成するための、本発明者らによる最も簡単な新規のプロセスについての概略図を示す、図1の一部分であり、これには、抽出物(pH調整を行うまたは行わない)の直接蒸発(部分乾燥)、続くエタノール沈殿、噴霧乾燥、またはドラム乾燥についての簡単なプロセスが含まれる。エタノール沈殿を行わずに作製されるものは粗製BFGであり、一方、エタノール沈殿を行って作製されるものは準精製BFGである。
【0012】
図5】農業生産物または農業副産物(例えば、トウモロコシ糠)のアルカリ抽出物から準純粋および精製バイオベース繊維ガムを生成するための本発明者らによる新規のプロセスのうちの1つについての概略図である、図1の一部の簡略化版であり、この図には、分子量によって分離された成分を有する準純粋または精製された特有の画分を生成するための、少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜による処理、続く以下に記載される通りのエタノール沈殿、噴霧乾燥、またはドラム乾燥を含むプロセスが含まれる。エタノール沈殿を行わずに作製されたものはBFGの少なくとも準純粋混合物であり、一方、エタノール沈殿を行って作製されたものは精製BFGである。
【0013】
図6】以下に記載される通りに様々なバインダーを使用して生成された、石油コークスペレットの圧縮試験測定値を示す図である。バインダーは、リグノスルホネート、デンプン、デンプンバインダーおよびゼラチンを示されたレベルで使用した以外、0.8%で添加した。5psiにおける破線は、ペレットについての最小許容レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
農業生産物および/またはリグノセルロース農業副産物(例えば、トウモロコシ糠/繊維またはエンバク糠、コムギ糠、オオムギ藁およびオオムギ籾、サトウキビバガス、トウモロコシ茎葉、コムギ藁、モロコシ糠などの他の糠/繊維試料)および/またはリグノセルロースエネルギー作物(例えば、スイッチグラスおよびススキ属)のアルカリ抽出によって、新規のバイオベース繊維ガム(BFG)および混合物を生成するためのプロセスが開示される。「農業材料」という用語は、本明細書において、農業生産物、リグノセルロース農業副産物、およびリグノセルロースエネルギー作物を、個別にまたは混合物として含むものと定義される。これらのプロセスは、以下のステップ:(a)農業材料を加熱したアルカリ溶液と約75℃から約150℃の温度範囲(例えば、75〜150℃;好ましくは約85℃から約90℃(例えば、85〜90℃))で混合してスラリーを形成するステップと、(b)スラリーから不溶性成分を分離して約9から約14(例えば、9〜14;好ましくは約10から約12(例えば、10〜12))のpHを有する溶液を生じるステップであって、溶液が約0.1から約10wt%(例えば、0.1〜10wt%)の固形物を含有し、固形物がアルカリ可溶性画分であるステップとによって生成される溶液を利用する。新規生成物のいくつかのクラス(例えば、粗製、準純粋、および純粋、さらには以下に記載される非BFG成分を含有する透過液試料)を、米国特許第5,766,662号の実施によるZTrimなどのセルロース性ゲルの作製から得られる廃液流(上記の「溶液」)から作製することができるが、同じ生成物は、トウモロコシ糠または他の糠/繊維試料を含めた農業材料、農業副産物およびリグノセルロースエネルギー作物をアルカリ水溶液によって抽出し、生成物がアルカリ抽出物(上記の「溶液」)である他の類似のプロセスによっても作製することができる。米国特許第5,766,662号によるZ−Trimプロセスでは、トウモロコシ糠および他のリグノセルロース材料を高温の水酸化ナトリウム溶液(過酸化水素を用いない)で抽出してアルカリ可溶成分を抽出し、残渣が残され、これにはセルロースが濃縮されていることが見出されたが;本発明者らによる組成物は、これらの材料を含まない。本発明者らによるプロセスは、可溶性アラビノキシランおよび他の特有かつ有用な成分を含有するアルカリ抽出物「廃液流」を利用することができ、本発明者らによるバイオベース繊維ガム(BFG)および混合物を作製するためにこれを使用することができる。
【0015】
いくつかの特有のプロセスを使用して、本発明者らによる粗製ガム混合物および精製ガムを生成することができる。これらのプロセスの一部は図1〜5に示され、これらは、限外濾過膜もしくは透析濾過膜または他の濾過系、沈殿系、および脱イオン化系を使用する、これらのBFGおよび混合物を作製するためのプロセスの例である。
【0016】
図1におけるプロセスを使用する、粗製および準精製BFGおよび混合物:図1(および図4)において、約0.1から約10wt%の固形物(例えば、0.1〜10wt%;好ましくは約0.6から約0.9wt%の固形物(例えば、0.6〜0.9wt%))を有する、米国特許第5,766,662号による廃液流または農業材料(例えば、トウモロコシ糠または他の糠/繊維/植物バイオマス試料)の他の任意の好適なアルカリ抽出物を、いくつかの新規のプロセスを使用して新規の組成物に変換することができる。1つのプロセスには、エバポレータ中での蒸発(部分乾燥)により、廃液流を、その約11.8(例えば、11.8)の初期pHにおいて、その低い初期固形分から約16から約23wt%(例えば、16〜23wt%)の固形物となるまで濃縮することにより、さらに乾燥して貯蔵安定性の生成物を作製することができる濃縮溶液を生成することが含まれる。蒸発させるステップは、例えば、蒸気、電気加熱、真空、多重効用、単一効用等を使用する、水を蒸発させる当技術分野で公知の任意の種類の系を利用することができる。代替的には、食品および非食品生産物用途を中性または酸性のpH値が要求される用途に拡大するために、エバポレータ中におけるより高い固形分への濃縮の前または後に、鉱酸または有機酸(例えば、塩酸および硫酸(鉱酸)またはクエン酸もしくは酢酸(有機酸)の添加によって、廃液流を約4から約7(例えば、pH4〜7)というより低いpHに低下させることができる。蒸発(部分乾燥)は、溶液をより高濃度の固形物に濃縮する効率的な手法であるが、生成物を完全に乾燥するためのよい手法ではない。次いで、これらの濃縮粗製BFG混合物を、包装の前に、例えば、噴霧乾燥またはドラム乾燥のいずれかによって乾燥することができる。ドラム乾燥の場合、元のまたは調整されたpH値において約0.6から0.9wt%(例えば、0.6〜0.9wt%)の固形物を有する元のアルカリ抽出物を、より高い固形分(例えば、約20から約30wt%(例えば、20〜30wt%)、好ましくは約23wt%(例えば、23wt%)の固形物)まで濃縮し、ドラム乾燥プロセスによって乾燥して粉末にすることができる。ドラム式乾燥機による乾燥の前に溶液を乾燥してかなり高いwt%の固形物とすることができ、濃厚溶液を回転式熱ドラムの頂部に容易に注ぐことができ、水を速やかに蒸発させ、次いで、生成物をローラから削ぎ落とす。噴霧乾燥の場合、元のアルカリ性またはpH調整した抽出物を約16から約20wt%(例えば、16〜20wt%)の固形物となるまで蒸発させ、次いで、噴霧乾燥機を使用することによって乾燥して粉末にすることができる。噴霧乾燥機を用いる場合、溶液が非常に粘稠になる可能性があるので、溶液を濃縮しすぎないように注意を払わなければならない。噴霧乾燥では、乾燥する液体を細い配管を通してポンプ送出し、次いで細い「アトマイザ」を通して高度に分散した飛沫を加熱空気に送達し、飛沫を即座に乾燥しなければならない。溶液があまりに粘稠である場合、この系を通してポンプ送出することができず、この点が、噴霧乾燥においてより低いwt%の固形物を使用することを選択しなければならない理由である。ドラム乾燥した粉末および噴霧乾燥した粉末は、粗製トウモロコシ糠BFGまたはトウモロコシ繊維BFGの2つの異なる貯蔵安定性形態であるが、これらは一般に概ね同じwt%(例えば、>約90wt%)の固形物を含有する。それぞれの組成は類似しているものの、噴霧乾燥生成物は液体中により迅速に溶解することのできるより穏やかに乾燥され凝集した構造を有し、一方、ドラム乾燥生成物はより粗く乾燥されており、還元糖とアミンとの間の反応(アマドリ反応)により、より茶色く変色している可能性がある。ドラム乾燥生成物はまた、生成がより低コストである。したがって、生成物の用途および経済性に基づいて、いずれの乾燥プロセスを使用するかを選択することができる。蒸発および直接乾燥による濃縮の代替として、濃縮粗製混合物(乾燥前)を、有機溶媒(例えば、エタノール、プロパノール、アセトン、または他の任意の好適な有機溶媒)で処理して準精製トウモロコシ糠BFGを沈殿させ、これを濾過によって回収して、乾燥することができる。これは、純粋BFGを溶液から沈殿させるのに必要な量の、エタノールなどの有機溶媒を添加することによって成し遂げられる。添加される有機溶媒の体積は、濃縮溶液の体積に対して約1から約5倍(例えば、1〜5×;好ましくは約2×(例えば、2×))の範囲とするべきである。必要とされる量の有機溶媒を濃縮混合物に添加して、次いで、得られた白色の綿毛状のBFG沈殿物を、このプロセスのために使用する容器の底に静置させる。沈殿物上の透明な溶媒(例えば、エタノール)/水混合物をデカンテーションによって除去する。次いで、綿毛状の沈殿物を少量の純粋な有機溶媒(例えば、100%エタノール)で洗浄して水分を除去し、真空下で濾過し、採集し、生成物を迅速に乾燥するがBFGの熱劣化を引き起こさない温度である約40℃から約60℃(例えば、40〜60℃;好ましくは約50℃(例えば、50℃))で真空下で乾燥する。このエタノール沈殿生成物を、「準純粋」または「準精製」トウモロコシ糠BFGと称する。これら3種類の生成物(噴霧乾燥、ドラム乾燥、およびエタノール沈殿)を、11.8の初期pH値または7.0および4.0の調整pH値を有する濃縮Z−Trim「廃液流」から生成し、これらから9つの別個の生成物、すなわち、上記の通りの3つの異なるプロセス(ドラム乾燥、噴霧乾燥、またはエタノール沈殿)によって処理された、3つ(pH11.8、pH7.0、およびpH4.0)の混合物を生成した。これらの生成物を、表1において試料A〜Iとして示す。pH4に調整された試料の別の一群も、1点の違い、すなわち、上記で記載した通りのエタノール沈殿、ドラムまたは噴霧乾燥の前に、試料を濾過して不溶性のヘミセルロースA(これはpH4で不溶性である)および他のpH4で不溶性の成分を除去したという点以外は、上記で言及された試料と同一にプロセッシングした。それらの試料を、表1において試料J〜Lとして記載する。
【0017】
図1におけるプロセスから準純粋および精製BFGを作製するための代替的プロセス:代替的には、図1(および図5)に示すように、米国特許第5,766,662号またはトウモロコシ糠/繊維もしくは他の糠/繊維/植物バイオマスの他の任意の好適なアルカリ抽出物による元の廃液流を、限外濾過もしくは透析濾過膜またはナノ濾過または精密濾過などの他の好適な分子濾過プロセスによって処理して、生成物をさらに精製することができる。当技術分野で公知の任意の膜を利用することができる。例えば、図1に示すように、pH調節を行ったまたは行っていない廃液流を、小分子量の分子(10,000ダルトン未満)が膜を透過する10,000ダルトンMWCO限外濾過膜でプロセッシングすることができ、次いで、蒸発、噴霧乾燥、ドラム乾燥、またはエタノール沈殿によってプロセッシングする。この透過液は、分解したデンプン由来およびヘミセルロース由来のオリゴ糖、糖類、アミノ酸、ペプチド、可溶性フェノール酸、可溶性脂肪酸塩、有機および無機酸ならびにこれらの塩を含む分子からなる特有の組成物を含有し、これらすべては分子量が約10,000ダルトン未満(例えば、<10,000ダルトン)であり、凍結防止剤、肥料、抗酸化剤、および動物飼料用のプレバイオティクスとしての用途を有する。次いで、一般に10,000ダルトン超の分子からなる特有の組成物を含有するその膜の保持液を、50,000ダルトンMWCO膜によってプロセッシングする。50,000ダルトンMWCO膜の透過液は、約10,000から50,000ダルトンの間の分子量を有する分子からなる特有の混合物を含有し、これには、分解したデンプン由来およびヘミセルロース由来のオリゴ糖および多糖、ペプチド、ならびにタンパク質が含まれ、これらすべては分子量が約50,000ダルトン未満(例えば、<50,000ダルトン)である。この混合物は、ヒト食料または動物飼料用のプレバイオティクスとして有用であると思われる。次いで、この透過液をエバポレータに送り、同様にドラムもしくは噴霧乾燥またはエタノール沈殿によってプロセッシングする。次いで、50,000ダルトンMWCO膜の保持液を、100,000ダルトンMWCO膜でプロセッシングする。100,000ダルトン膜の透過液は、50,000から100,000ダルトンの間の分子からなる特有の混合物を含有し、これには、分解したデンプン由来、ヘミセルロース由来のオリゴ糖および多糖、ならびにタンパク質が含まれ、ヒトまたは動物用食物のためのプレバイオティクスとしての用途を有すると思われる。次いで、この透過液を蒸発、ドラムもしくは噴霧乾燥またはエタノール沈殿によってプロセッシングする。最後に、100,000ダルトン超の分子からなる特有の混合物を含有する100,000ダルトンMWCO膜の保持液を、次いで蒸発、ドラムもしくは噴霧乾燥またはエタノール沈殿により処理して、主にアラビノキシラン(ヘミセルロースとしても知られる)を含有する高度に精製されたBFG生成物を生成する。図1に示されるこのプロセスの代替法は、最終保持液のpHを約pH3から約5の間(例えば、pH3〜5;好ましくは約pH4(例えば、pH4))に調整することによって、100,000ダルトンMWCO膜保持液をさらに1回精製することであり、このとき、ヘミセルロースAと称されるアラビノキシラン(ガム)の一画分が溶液から沈殿する。この沈殿物を混合物から濾過除去すると、精製された可溶性ヘミセルロースBが最終溶液中に残り、次いで、これを蒸発、続いて噴霧もしくはドラム乾燥またはエタノール沈殿により処理して、純粋BFG生成物を得る。また、沈殿したヘミセルロースA画分を通常のもしくは真空オーブン中で乾燥またはドラム乾燥して、さらなる生成物を得てもよい。
【0018】
図2におけるプロセスによる、粗製および精製BFGおよび混合物の調製:代替的な膜精製プロセスを図2に示す。このプロセスは、元の廃液流を3種類の異なるMWCO膜(すなわち、10,000ダルトン、50,000ダルトン、および100,000ダルトン)すべてを通過させてプロセッシングするのではなく、ただ1種類の膜、例えば、10,000ダルトンMWCO膜、50,000ダルトンMWCO膜、または100,000ダルトンMWCO膜のいずれかによってプロセッシングし、次いで、それぞれの保持液および透過液を上記で言及された通りに蒸発、エタノール沈殿、噴霧またはドラム乾燥手順により処理して乾燥生成物を生成すること以外は、図1に類似している。さらなる詳細を以下に記載する:
【0019】
図2における、10,000ダルトンMWCO膜によるプロセッシング:10,000ダルトンMWCO膜の透過液は、分解したデンプン由来およびヘミセルロース由来のオリゴ糖、糖類、アミノ酸、ペプチド、可溶性フェノール酸、可溶性脂肪酸塩、有機および無機酸ならびにこれらの塩を含む分子からなる特有の組成物を含有し、これらすべては分子量が約10,000ダルトン未満(例えば、<10,000ダルトン)であり、凍結防止剤、肥料、抗酸化剤、および動物飼料用のプレバイオティクスとしての用途を有する。10,000ダルトンMWCO膜の保持液は準純粋BFG混合物であり、これは主に可溶性アラビノキシラン多糖を含有するが、デンプン由来およびヘミセルロース由来のオリゴ糖、ペプチド、ならびにタンパク質も含有し、これらすべては分子量が10,000ダルトン超である。生成物をエバポレータで濃縮して、次いで噴霧またはドラム乾燥して準純粋BFGを得ることができる。任意選択で、乾燥の前に、保持溶液を、上記の通りに溶液から純粋BFGを沈殿させるのに必要な量の有機溶媒(例えば、エタノール)を添加することによって処理することができる。純粋BFGを沈殿させるが不純物を沈殿させないために、添加される溶媒の体積は、濃縮溶液の約1から約5×(例えば、1〜5×;好ましくは約2×(例えば、2×))の体積の範囲とするべきである。沈殿した精製BFGを回収して、上記の通りに乾燥することができる。
【0020】
図2における、50,000ダルトンMWCO膜によるプロセッシング:50,000ダルトンMWCO膜の透過液は、分解したデンプン由来およびヘミセルロース由来のオリゴ糖、糖類、アミノ酸、ペプチド、可溶性フェノール酸、可溶性脂肪酸塩、有機および無機酸ならびにこれらの塩を含む分子からなる特有の組成物を含有し、これらすべては分子量が約50,000ダルトン未満(例えば、<50,000ダルトン)であり、凍結防止剤、肥料、抗酸化剤、および動物飼料用のプレバイオティクスとしての用途を有し、脱塩後はヒトのプレバイオティクスとして使用することができる。50,000ダルトンMWCO膜の保持液は準純粋BFG混合物であり、これは主に可溶性アラビノキシラン多糖を含有するが、分解したデンプン由来およびヘミセルロース由来のオリゴ糖、ペプチド、ならびにタンパク質も含有し、これらすべては分子量が50,000ダルトン超である。生成物をエバポレータで濃縮して、次いで噴霧乾燥またはドラム乾燥して精製BFGを得ることができる。任意選択で、乾燥の前に、保持液を、上記の通りに有機溶媒(例えば、エタノール)によって処理してさらにいっそう精製されたBFGを沈殿させることができ、これを回収して上記の通りに乾燥することができる。
【0021】
図2における、100,000ダルトンMWCO膜によるプロセッシング:100,000ダルトンMWCO膜の透過液は、低分子量のデンプン、分解したデンプン由来およびヘミセルロース由来のオリゴ糖および多糖、糖類、アミノ酸、ペプチド、可溶性フェノール酸、可溶性脂肪酸塩、有機および無機酸ならびにこれらの塩を含む分子からなる特有の組成物を含有し、これらすべては分子量が約100,000ダルトン未満(例えば、<100,000ダルトン)であり、凍結防止剤、肥料、抗酸化剤、および動物飼料用のプレバイオティクスとしての用途を有し、脱塩によりヒトのプレバイオティクスとして使用することができる。100,000ダルトンMWCO膜の保持液は精製BFGであり、これは主に、分子量が100,000ダルトン超の可溶性アラビノキシラン多糖を含有する。生成物をエバポレータで濃縮して、次いで噴霧乾燥またはドラム乾燥して純粋BFGを得ることができる。任意選択で、乾燥の前に、保持液を、濃縮溶液の約1×から約5×(例えば、1〜5×)体積の範囲の好適な量の有機溶媒(例えば、エタノール)を添加することによって処理して、なおいっそう精製されたBFGを沈殿させることができ、これを回収して、上記の通りに乾燥することができる。または任意選択で、乾燥の前に、最終保持液のpHを約3から約5のpH(例えば、pH3〜5;好ましくは約pH4(例えば、pH4))に調整することによって保持液をプロセッシングすることができ、このとき、ヘミセルロースAと称されるアラビノキシラン(ガム)の一画分が溶液から沈殿する。この沈殿物を混合物から濾過除去すると、精製された可溶性ヘミセルロースBが最終溶液中に残り、次いで、これを蒸発、続いて噴霧乾燥もしくはドラム乾燥またはエタノール沈殿により処理して、純粋BFG生成物を得る。また、沈殿したヘミセルロースA画分を通常のもしくは真空オーブン中で乾燥またはドラム乾燥して、さらなる生成物を得てもよい。
【0022】
これらのプロセスをパイロットプラントにおいて実施し、合計6つの生成物、すなわち、10K、50K、および100Kダルトン膜による乾燥した透過液画分および保持液画分を生成した。これら6つの試料を、表1において試料M、N、O、P、Q、およびRとして記載する。これらのスキームからの粗製または精製BFG試料からヘミセルロースAを分離することは、約3から約5(例えば、pH3〜5;好ましくは約4(例えば、pH4))のpHに調整後、固体生成物に変換する前に、水性混合物の濾過によって実現することもできる。
【0023】
エタノール沈殿により精製BFGを生成する代替的方法:米国特許第5,766,662号による元の廃液流に対して別のプロセスを使用して、精製BFG試料を生成した。これは、元の廃液流を採取し、最初の蒸発/濃縮を行わずに直接プロセッシングして精製画分を得ることによって調製したものであり、試料Sとして表1に記載する。このプロセスの詳細は、以下の通りであった:最初に、pHを約3から約5(例えば、pH3〜5;好ましくは約4(例えば、pH4))のpHに調整してヘミセルロースAを沈殿させ、これを10,000gでの遠心分離によって採集した。次いで、上清を、約1×から約5×(例えば、1〜5×;好ましくは約2×(例えば、2×))体積の有機溶媒(例えば、100%エタノール)を添加することによって沈殿させた。綿毛状の沈殿物を濾過によって採集し、溶媒(例えば、100%エタノール)で洗浄し、真空オーブン中で、迅速な乾燥をもたらすがBFGの熱劣化をもたらさない温度である約50℃(例えば、50℃)で乾燥した。
【0024】
図3に従って生成された準精製BFG生成物:第3の新規のプロセスを図3に示し、ここでは、アルカリ廃液流をpH4〜7に調整するかまたは約11.8である初期のアルカリ性pHのままとした後、単純な脱灰系によるプロセッシングによって、廃液流から塩および灰分を除去する。脱灰系には、300から10,000ダルトン膜、混床(カチオンおよびアニオン)イオン交換樹脂、または当技術分野で公知の他の好適な脱灰系が含まれ得る。次いで、脱灰生成物を、蒸発、続いて噴霧乾燥もしくはドラム乾燥またはエタノール沈殿によるプロセッシングに直接送ることで、安定な乾燥準純粋BFG生成物が得られる。濃縮および乾燥の前に不溶性ヘミセルロースAを除去することも、図3に示す通りに可能である。次いで、透過液画分または塩画分を好適な方法によって蒸発させて乾燥することで塩混合物が得られ、これはナトリウムもしくはカルシウムのいずれかが主要な金属イオンである場合は凍結防止に有用であり、またはカリウムが塩画分中に存在する主要な金属イオンである場合は農業用肥料として有用である。
【0025】
本プロセスは、酸化剤(例えば、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、オゾン等)を利用しない。
【0026】
「ガム」という用語は、本明細書において使用される場合、植物源から抽出される水溶性ヘミセルロースとして定義され、典型的にはアラビノキシランまたはその誘導体であるが、他の非デンプン多糖も含まれ得る。本明細書に記載されるガムは、粘性、エマルション安定性、凍結−解凍安定性、接着および結合特性、ならびに食品および非食品生産物に有益な他の利点を付与することができる機能的特性を有し、ヒトおよび動物において、消費時に血清コレステロール低下活性、抗酸化活性、および他の健康促進活性をももたらし得る。
【0027】
生成物の特有性:粗製の乾燥形態であるBFGは、フェルロイル−アラビノキシラン(ガムとしても知られる)およびオリゴ糖、デンプンまたは分解したデンプン、他のオリゴ糖、二糖、単糖、リグニン、タンパク質、脂質、フェノール酸、鉱物等を含有する、分子分散されたヘミセルロースからなる特有の混合物を含有する。これらの混合物は特有のものであり、本発明者らは、これらの混合物が、水中油型および油中水型乳化剤として、接着剤として、結合剤として、油井掘削流体および水圧破砕流体の有用な成分として、増粘剤として、抗酸化剤、可溶性食物繊維、ならびに血清コレステロール低下剤として、ならびに多くの他の用途にとって有用なものとする、いくつかの予期せぬ有用な機能的特性を有することを見出した。アラビノキシランは、米国特許第6,147,206号において教示されるプロセスなどの、アルカリ性過酸化水素による抽出によって、トウモロコシ繊維または糠から単離することができる。米国特許第6,147,206号の生成物は、精製アラビノキシランである。本明細書に記載される本発明者らによる新規の生成物は、フェルロイル−アラビノキシランおよび他の機能性分子からなる特有の粗製混合物、または米国特許第6,147,206号における生成物と顕著な構造的および機能的相違を有するより精製されたフェルロイル−アラビノキシランであるが、1つの理由としては、本発明者らは米国特許第6,147,206号においてなされたようにアルカリ抽出において過酸化水素を使用しておらず、したがって、アラビノキシランが漂白されておらず、その天然状態のアラビノキシランと会合するタンパク質性成分、フェノール性成分(例えば、フェルラ酸)、および脂質型成分が除去されていない。これらの成分は、米国特許第6,147,206号における生成物などの、これまでに生成されたアラビノキシラン生成物と比較して、優れた特性および用途をフェルロイル−アラビノキシランに持たせる。したがって、トウモロコシ繊維ガム(CFG)とも称される精製トウモロコシ繊維アラビノキシランの乳化剤としての使用はこれまでに本発明者らによって報告されているが、他の天然成分を有する粗製形態(過酸化水素で漂白されていない)における乳化剤としてのその使用は、新規である。他の特有の組成物は、本明細書に記載されている。さらに、純粋または粗製形態におけるこのガムおよび他の植物源由来の他のバイオベース繊維ガムについてのさらなる新規の使用の例が、本明細書において提供される。また、本生成物と米国特許第6,147,206号における生成物との間のもう1つの相違が存在し、ガムを作製するための出発原料は、トウモロコシ糠ではなく、トウモロコシ繊維であった(しかし、本発明者らによるプロセスでは、出発原料としてトウモロコシ糠を使用することができる)。トウモロコシ繊維はトウモロコシ殻粒の繊維質部分であり、これは元は殻粒の籾および胚乳に存在していたが、トウモロコシの工業的な湿式製粉工程によって除去および回収されたものである。本発明者らによる好ましい原料は、胚乳をわずかしかまたはまったく含まない籾に主に由来する繊維質材料である、トウモロコシ糠である。トウモロコシ糠は、トウモロコシの工業的な乾式製粉工程によって除去および回収された、繊維質生成物である。驚くべきことに、本プロセスを使用して、トウモロコシ繊維、エンバク糠、コムギ糠、オオムギ藁およびオオムギ籾、サトウキビバガス、トウモロコシ茎葉、コムギ藁、ならびにモロコシ糠などの農業副産物、ならびにリグノセルロースバイオマスならびにスイッチグラスおよびススキ属などのエネルギー作物から特有のガムを得ることができる。
【0028】
図1〜5に記載される本発明者らによるプロセスは、トウモロコシ繊維/糠、エンバク糠、または上記で列挙した他の繊維含有生成物のいずれかのアルカリ抽出を利用して、2種類の新規の組成物を生成する:第1の組成物は精製化合物であり、第2の組成物は化合物からなる新規の混合物である:
【0029】
1.精製化合物を含有する新規の組成物:ここで丁寧に詳述するように、図1〜3および5によるプロセスを使用して、例えば、トウモロコシ糠から、精製BFGを調製することができる。酸化剤を用いずに調製された精製BFGは、アラビノキシランから構成される新規の組成物であり、これは、石油コークス、炭塵、木炭粉末等などの炭素質材料の粉末からペレットおよびブリケットを作製するための結合剤として、紙および木材などの多孔質材料のための接着剤として、水中油型および油中水型エマルションを安定化させるための乳化剤として、水溶性抗酸化剤、粘度調整剤、フィルム形成剤、カプセル化剤として、ならびに抗酸化特性を有する可溶性食物繊維として有用である。図1、2、3および5ならびに表1に記載された通りの本発明者らによるプロセスによって単離され、試料Sとして表されている精製トウモロコシ糠BFGフェルロイル−アラビノキシランは、例えば、約190から約390kDAまで(例えば、190〜390kDA)の範囲であり得る約335kDa(表11)の重量平均分子量、約24から約27%(例えば、24〜27%)のアラビノース、約48から約51%(例えば、48〜51%)のキシロース、約7から約9%(例えば、7〜9%)のガラクトース、約6から約14%(例えば、6〜14%)のグルコース、および約3から約7%(3〜7%)のグルクロン酸からなる糖類組成(表13)、ならびに約0.5(例えば、0.5)のアラビノース/キシロース比を有していた。表1において特定される試料OおよびQなどの、図1〜3および5に記載される手順によって調製されたさらなる精製トウモロコシ糠BFGの分子特性は、試料Sに類似する。本発明者らは、図1〜3および5の本発明者らによるプロセスによって単離された純粋トウモロコシ糠BFGアラビノキシランが、タンパク質ならびに一般にトリアシルグリセロール、植物ステロール、遊離脂肪酸、およびフェルラ酸などのヒドロキシケイ皮酸として存在する抽出可能な脂質を含有すると推測する。表13における約0.5(例えば、0.5)というアラビノース対キシロース比は、アルカリ性過酸化水素抽出を使用してトウモロコシ繊維ガム(アラビノキシラン)を作製するDonerら(Doner,L.W.、ら、Cereal Chem.、75(4):408〜411(1998))によって報告された約0.82という値よりはるかに小さく、このことは、水酸化ナトリウム抽出のみによって単離された本BFGにおいて、キシラン骨格におけるアラビノース基の分枝がはるかに少ないことを示していた。また、本発明者らによる新規のプロセスによって生成されたBFGについての表11における固有粘度(0.9〜1.5dL/g)およびMark Houwink指数(0.43〜0.52)値は、アルカリ性過酸化水素技術によって単離されたトウモロコシ殻粒アラビノキシランについてFishmanら(Fishman,M.L.、ら、Int.J.Polym.Anal.Charact.、5:359〜379(2000))によって報告された、1.92dL/gおよび0.84という値とはかなり異なっていた。これらの事実は、本明細書に記載されたプロセスを使用して単離された精製BFGは特有かつ既知の組成物とは異なっていることを示していた。
【0030】
2.化合物の新規な混合物を含有する新規の組成物:図1〜5のプロセスによって生成される本発明者らによる新規の組成物は、2つの異なるクラス、すなわち、「a」BFGアラビノキシランと他の多くの機能的成分との混合物を含有する組成物および「b」非BFGアラビノキシラン機能性成分を主に含有する組成物に分けることができる。表1および表5の最終欄から、これらの混合物における%アラビノキシランを見積もることができる。図1および4の手順によって生成され、例えば、試料A〜Fによって表される粗製混合物は、上記第1の「a」クラスを代表し、約40から約60%まで(例えば、40〜60%)のアラビノキシラン多糖を含有し(表1)、約190,000から約380,000ダルトン(例えば、190,000〜380,000ダルトン)の重量平均分子量を有していた(表11)。これらの粗製混合物中のアラビノキシラン(BFG)はまた、上記で記載された精製BFGアラビノキシランと同じ分子会合したタンパク質、トリアシルグリセロール、植物ステロール、脂肪酸、ヒドロキシケイ皮酸、および同じアラビノース対キシロース比を含有していた。これらのBFGアラビノキシランおよび直前において記載された分子会合した成分に加えて、これらの混合物は、さらなる量の以下の会合していない(遊離の)機能的成分、すなわち、約1から約10%まで(例えば、1〜10%)のフェルラ酸および他のヒドロキシケイ皮酸などの遊離フェノール性化合物、約0.5から10%(例えば、0.5〜10%)の遊離タンパク質、約5から約60%まで(例えば、5〜60%)の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムなどの無機塩、約0.5から約5%まで(例えば、0.5〜5%)のリグニン、約5から約50%まで(例えば、5〜50%)のアラビノキシラン由来のオリゴ糖、ならびに約5から約20%まで(例えば、5〜20%)のデンプン起源のオリゴ糖も含有していた。組成物は約3から約14の間(例えば、3〜14)のpHを有していたので、この組成物は、石油コークス、炭塵、木炭粉末等などの材料の粉末からペレットおよびブリケットを作製するための結合剤としての、紙および木材などの多孔質材料のための接着剤としての、水中油型および油中水型エマルションを安定化させるための乳化剤としての、水溶性抗酸化剤、粘度調整剤、フィルム形成剤、カプセル化剤、ならびに抗酸化特性を有する可溶性のプレバイオティクスおよび食物繊維としての有用性を有する。
【0031】
図1、2、および5で描写されるプロセスの使用によって調製された準精製混合物は、上記「a」クラスの代表でもあり、上記で言及された粗製混合物よりも高いパーセンテージのアラビノキシランを有していた。濾過膜で精製された準精製混合物は、特定の分子量範囲によって特徴付けられる成分を有していた。例えば、10,000ダルトンMWCOを使用する図2に描写されるプロセスによって調製された保持液画分中の準精製BFG組成物(試料M)は、約10,000ダルトン未満(例えば、<10,000ダルトン)の分子量を有する塩、フェノール酸、オリゴ糖、およびタンパク質を含むすべての可溶性成分を除いて、上記で言及された成分を含有していた。
【0032】
上記で記載した通りの「b」クラスを代表する(主に非BFG成分を含有する)新規の組成物および混合物は、図1、2、および5に描写される限外濾過膜の透過液画分、例えば、試料N、P、およびRに代表される。試料Nは10,000ダルトンMWCO膜の透過液であり、元の溶液に由来する、塩、フェノール酸、オリゴ糖、およびタンパク質を含む約10,000ダルトン未満(例えば、<10,000ダルトン)の分子量を有するすべての可溶性成分を主に含有していた。試料Pは50,000ダルトンMWCO膜の透過液であり、元の溶液に由来する、塩、フェノール酸、オリゴ糖、およびタンパク質を含む約50,000ダルトン未満(例えば、<50,000ダルトン)の分子量を有するすべての可溶性成分を含有していたこと以外は、試料Nと類似の混合物を含有していた。試料Rは100,000ダルトンMWCO膜の透過液であり、元の溶液に由来する、塩、フェノール酸、オリゴ糖、多糖、およびタンパク質を含む約100,000ダルトン未満(例えば、<100,000ダルトン)の分子量を有するすべての可溶性成分を含有していたこと以外は、試料NおよびPと類似の混合物を含有していた。上記で言及されたように、試料N、PおよびRは、凍結防止剤、肥料、抗酸化剤、および動物飼料用のプレバイオティクスとして有用であり、脱塩によりヒトのプレバイオティクスとして使用される。
【0033】
3.類似のプロセッシングを使用した、上記1および2に記載されたが、農業生産物ならびに/またはリグノセルロース農業副産物(例えば、トウモロコシ糠/繊維またはエンバク糠、コムギ糠、オオムギ藁およびオオムギ籾、サトウキビバガス、トウモロコシ茎葉、コムギ藁、モロコシ糠などの他の糠/繊維試料)ならびにスイッチグラスおよびススキ属などのリグノセルロースエネルギー作物のアルカリ抽出によって作製された、同じクラスの生成物、純粋BFG、クラス「a」と「b」の両方の準純粋BFG、ならびに粗製BFG。
【0034】
本明細書に記載される組成物の新規の使用には以下が含まれるが、これらに限定されない:石油コークスペレット結合剤(図6を参照);石炭ペレット結合剤;動物またはペット飼料ペレットのための結合剤;水性塗料乳化剤;水中油型乳化剤(食品および非食品)、表7、8、および9を参照;ペースト、グリースおよび他の非食品生産物のための油中水型乳化剤(食品および非食品);摩擦低減剤;鉱石バインダー(ペレット化);針葉樹合板製造における使用を含む、様々な用途のための接着剤であって、この場合、公知の発がん物質および呼吸器刺激物質であるフェノールホルムアルデヒド樹脂の良好な代替物であり得る;他の接着剤用途には、紙、ボール紙、段ボール、陶器などの多孔質材料、プラスチック、および関連する品目のための接着剤の使用が含まれる;抗菌剤;セラミックバインダー;掘削泥水;マイクロカプセル化;抗酸化特性および他の健康特性を有する抗酸化(ORAC)(表10を参照)プレバイオティクス;抗酸化活性および2つの方法(可溶性繊維と植物ステロール)による潜在的なコレステロール低下活性を有する可溶性食物繊維;香味剤、ビタミン、オメガ3および他の不飽和脂肪酸、ならびに他の任意の分解しやすいおよび/または酸化されやすい化合物または材料を保護する、天然の抗酸化活性を有するカプセル化剤;凍結防止剤(脱塩プロセスから生じるナトリウム塩およびカルシウム塩);肥料(脱塩プロセスから生じるカリウム塩);タコナイト鉱石ペレット用のバインダー;ならびにセラミックの製造における二酸化ジルコニウムまたは他の鉱物用のバインダー。
【0035】
本明細書に記載される組成物の新規の使用には、石油および天然ガスの水圧破砕(フラッキング)用途における使用のための化学物質も含まれる。石油および天然ガス田の掘削用途において、この混合物は、孔破砕物の洗浄および懸濁を促進するその特有のレオロジー特性に起因する掘削流体増粘剤としての使用、流体損失を低減する際の助剤としての使用、ならびに噴出および噴油井を回避するための静水圧制御剤としての使用を含む、いくつかの有用な特性を有すると考えられる。この混合物は、適度な濃度に水を効率的に濃縮するその能力に起因して、水圧破砕およびグラベルパッキング中にプロパントを懸濁および輸送するのに有用であると考えられる。この混合物はまた、潤滑剤、摩擦低減剤、および粘度制御剤として同時に機能すると考えられる。
【0036】
本明細書に記載される組成物の新規の使用には、木炭およびバイオ炭のバインダーも含まれる。驚くべきことに、本組成物は、木炭およびバイオ炭からブリケットおよびペレットを作製する際に使用することもできる。混合物は、より高価な樹脂またはデンプンバインダーを使用することなく、炭化物を一緒に保持するバインダーの役割を果たす。石油コークスペレットの結合において本発明者らが行った研究により、これらの新規の生成物が炭素質材料を結合して強固なペレットにするのに有用であることが示された。
【0037】
本明細書に記載される組成物の新規の使用には、コークス−水スラリーまたは石炭−水スラリーの安定化剤または懸濁剤も含まれる。増粘剤および乳化剤としての混合物の使用により、石炭の輸送および大気への有害な排出の低減において補助し、これにより石炭を防爆することでコークス−または石炭−水スラリーを安定化することができ、これらのスラリーの、蒸気を発生させてタービンを動作させるまたは製油所において石油をクラッキングするための液体燃料(例えば、暖房用油およびディーゼル燃料)またはガスの等価物としての使用を容易にし得る。
【0038】
別段の定義がされない限り、本明細書において使用されるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。「約」という用語は、プラスまたはマイナス10パーセントと定義され、例えば、約100°Fは、90°Fから110°Fを意味する。本明細書に記載されるものと類似または等価な任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。
【0039】
以下の実施例は本発明をさらに説明することだけを意図するものであり、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0040】
特有の粗製混合物、準精製、および精製トウモロコシ糠またはエンバク糠由来のバイオベース繊維ガムの組成:上記の通りに生成したいくつかの新規の生成物の組成を表1に示す。表1はZ−Trim「廃液流」、上記の通りに最初にpH調整を行いまたは行わずに、蒸発およびエタノール沈殿、噴霧乾燥またはドラム乾燥によって処理されたトウモロコシ糠またはエンバク糠のアルカリ抽出物から作製された、バイオベース繊維ガムについてのデータを示す。pH調整されたかどうか、または蒸発後にエタノール沈殿、もしくはドラム乾燥、もしくは噴霧乾燥のいずれがなされたかどうかにかかわらず、すべての粗製および準純粋画分は、灰分(アルカリおよび鉱酸由来)、タンパク質、デンプン、中性デタージェント繊維(NDF)、および一部の場合には粗脂肪を含む、かなりの非BFG成分を明らかに含有していたが、一方、純粋アラビノキシラン(例えば、米国特許第6,147,206号によって調製されたトウモロコシ繊維ガムなど)は、非常に少量の灰分、タンパク質、粗脂肪、デンプン、およびNDFを含有していた。本発明者らは、蒸発および噴霧乾燥またはドラム乾燥の前に限外濾過、透析濾過、および非BFG成分を除去するための他の精製方法によって調製されたBFGも低レベルの灰分、タンパク質、粗脂肪、デンプン、およびNDFを有していたことも見出している(表1)。
【0041】
これらの新規の混合物および精製材料は、上記および以下に記載される通りの多くの新規の使用を有する。本発明者らは、トウモロコシ糠またはエンバク糠由来の粗製および準精製ガム混合物が、以下に記載されるように優れた水中油型乳化剤であることを見出した。
【0042】
実施例1。トウモロコシ糠もしくはエンバク糠または他のバイオマス由来の粗製、準精製および精製BFGおよび混合物の水中油型の乳化剤としての使用。エマルションの調製:0.1%の安息香酸ナトリウムおよび0.3%のクエン酸を含有し、1:4のバイオベース繊維ガム対中鎖トリグリセリド(MCT)比を有する乳化用の試料を調製した。試料の利用可能性に応じて、小規模(10g)および大規模(30g)で乳化を実施した。水中の安息香酸ナトリウムおよびクエン酸の溶液に、計算された量のガム試料を、室温で激しく撹拌しながらゆっくりと少しずつ添加し、次いで、終夜穏やかに撹拌して、水和して十分に溶解した均一な溶液を生成することにより、0.1%(w/w)の安息香酸ナトリウム(保存剤)および0.3%(w/w)のクエン酸を含有する、トウモロコシ糠から作製されたBFGの原液(27.78mg/g溶液)を乳化研究用に調製した。ガラス製バイアル中に9または27g(小規模または大規模)の上記ガム原液および1または3g(小規模または大規模)の中鎖トリグリセリド(MCT)を入れ、水中油型エマルション用の試料を各試料について3連で調製した。同じく1:4のガム対MCT比を有するが各原料成分の濃度が10分の1である低溶解度のガム試料(例えば、グアーガム、キサンタンガム、CMC等)の乳化性能も試験した。エマルションの調製中に、乳化プロセスに対する増量剤の影響を回避するため、増量剤は添加しなかった。溶液をボルテックス処理し、次いで、直径12mmのヘッドを備えたポリトロン卓上ホモジナイザー(Brinkmann、Switzerland、PT10/35)を使用して、20,000rpmで3分間均一化した。上記均一化されたエマルションを、EmulsiFlex−B5高圧ホモジナイザー(Avestin Inc.、Canada)に20,000psiの均一化圧力で3回通過させて、最終エマルションを調製した。エマルションの粒度分布を、レーザー回折粒度分析器(Horiba LA−950)を使用して測定した。乳化効率を、エマルションの時間0における初期粒度で評価した。エマルション安定性を、60℃(加速エージング試験)で3および7日間エマルションを貯蔵した後に決定した。良好なエマルションは、最小の粒度を有するエマルションであった。最も安定なエマルションは、試験期間中を通して粒度が小さいままであるエマルションであった。
【0043】
エマルション試験結果:表7は、上記で記載された方法を使用したところ、「ゴールドスタンダード」である工業用のアラビアガムが最良かつ最も安定な乳化剤であったことを示す。粒度は、試験期間中を通して2〜4μmの範囲であった。米国特許第6,147,206号によって作製された純粋トウモロコシ繊維ガムも優れた乳化剤であり、アラビアガムに類似していた。低レベルのCMC(カルボキシメチルセルロース)またはグアーガムなどの陰性対照は、大きなエマルション粒度を呈し、よって、不安定で劣ったエマルションを生成した。
【0044】
トウモロコシ糠由来の、粗製、pH無調整(pH11.8)、噴霧乾燥またはドラム乾燥バイオベース繊維ガムである試料BおよびCは、驚くべきことに、相対的に良好で安定なエマルションをもたらした(表8。pH11.8の試料(試料A)のエタノール沈殿生成物もまた驚くべきことに効果的な乳化剤であったが、噴霧およびドラム乾燥試料ほど良好ではなかった。トウモロコシ糠由来の、粗製、pH7調整、エタノール沈殿、噴霧乾燥またはドラム乾燥バイオベース繊維ガム(試料D、E、およびF)はpH11.8生成物ほど効果的でなかったが、それでもなお驚くべきことに、これらはグアーおよびCMCより良好であった。同様に、トウモロコシ糠由来の、粗製、pH4調整(ヘミセルロースA含有およびヘミセルロースA除去)、エタノール沈殿、噴霧乾燥またはドラム乾燥バイオベース繊維ガム(試料G、H、I、J、K、L)はpH11.8生成物ほど効果的でなかったが、それでもなお驚くべきことに、工業用のグアーおよびCMCより大幅に良好であった。それぞれ10K、50Kおよび100Kダルトンの分子量カットオフの限外濾過膜によってプロセッシングされた3つの噴霧乾燥保持液(試料M、OおよびQ)は、推測通り、それらのそれぞれの透過液(試料N、PおよびR)、さらには工業用のグアーおよびCMCより比較的良好な乳化剤であった。ヘミセルロースA除去後のエタノール沈殿による元の(非濃縮)トウモロコシZ Trim WSから調製された純粋BFG(試料S)は、極めて驚くべきことに、ゴールドスタンダードである工業用のアラビアガムおよび極めて純粋なCFGと同程度に良好であった(表7)。125Kダルトン膜を使用することによるトウモロコシZ Trim WSの透析濾過によって調製されたトウモロコシBFG(試料T)は、噴霧およびドラム乾燥によってエンバクZ Trim WSから調製された粗製BFG(試料WおよびX)より優れ、125Kダルトン膜を使用した透析濾過によってエンバクZ Trim WSから同様に調製されたBFGよりはるかに優れていた。
【0045】
トウモロコシ糠、トウモロコシ茎葉、イネ繊維、コムギ藁、スイッチグラス、ススキ属、サトウキビバガス、およびモロコシ糠(赤紫色を製粉)から調製された極めて純粋なBFGのエマルション安定性(表9)は、極めて驚くべきことに、ゴールドスタンダードであるアラビアガムおよび極めて純粋なCFG(表8)と同程度に良好であった。コムギ糠、モロコシ糠(黒色を製粉)、およびモロコシ糠(ウルシ色を製粉)から調製されたBFGのエマルション安定性(表9)は、他のバイオマスから調製されたBFGほど良好でなかった。理論に拘束されるものではないが、これらのBFGのわずかに劣ったエマルション安定性は、それらの中に存在する高い灰分含有量(表5)に起因する可能性がある。これらのBFGがプロセッシングされてそれらの灰分の大半が除去されれば、他のバイオマスから単離されたBFGと同程度に良好な乳化剤になる可能性がある。
【0046】
実施例2。石油コークスペレット用の結合剤としての、粗製、準精製、および純粋BFGおよび混合物の使用:石油コークスのペレット化用のバインダーとしてのバイオベース繊維ガム(BFG)の有効性を実証するために、この用途において典型的に使用されるバインダーを使用してペレットを生成し、これらを本発明者らによる新規のBFGバインダーを使用して作製されたペレットと比較した。生成したペレットを分析および比較した。
【0047】
ペレット化手順:2.5kgの石油コークス微粉および20gのバインダーを3kg容量のEirichペレタイザーに入れることによって、0.8%のバインダーを含有する石油コークスペレットを調製した。所望の濃度を生成するためにコークスの量を減少させてバインダーの量を増加させることによって、より高いバインダー濃度を含有するペレットを作製した。ボウルを時計回り(cw)に90Hzで回転させ、撹拌器をcwに30Hzで回転させながら、2分間混合を行った。次いで、ボウルの方向を反時計回り(ccw)に逆転させ、速度を50Hzに減少させた。さらに2分間混合しながら、水をゆっくりと添加した。各種類および濃度の被験バインダーは、バインダーの量および特性に応じて異なる量の水の添加を要した。水の添加の範囲は140mLから475mLまでであった。水の添加後、ボウル速度を40Hzに減少させ、1分間混合し、次いで、30Hzに再び減少させ、さらに1分間混合した。次いで、ペレタイザーを停止させ、中身をあけてペレットを回収した。次いで、ペレットをThelcoオーブン中で105℃で4から6時間乾燥し、その後取り出して完全に冷却させた。
【0048】
圧縮力測定:ペレットを破壊するのに要する圧縮力を、Chatillon LG−050メカニカルフォースゲージを使用して測定した。ペレットを破壊するのに要する圧縮力の量は、バインダーの有効性に比例していた。試験に合格するために必要な最小許容強度として、5psiの最小値を使用した。この試験において、最も有効な結合剤は、破壊するのに最も高い圧縮力を要するペレットをもたらした。
【0049】
結果:図6は、様々なバインダーを使用して生成したペレットについての圧縮力測定の結果を示す。BFG#1は、pH11.8調製物のドラム乾燥によって単離されたBFG、表1で規定される通りの試料Cであった。BFG#2は、pH7.0調製物のドラム乾燥によって単離されたBFG、試料Fであった。BFG#3は、pH11.8調製物の噴霧乾燥によって単離されたBFG、試料Bであり、BFG#4は、pH7.0調製物の噴霧乾燥によって単離されたBFG、試料Eであった。BFG#UFは、限外濾過およびドラム乾燥によって単離されたバイオベース繊維ガムであった。CMC51は、カルボキシメチルセルロースであった。CMC824は、カルボキシメチルセルロースであった。CMC700は、カルボキシメチルセルロースであった。リグノスルホネートは、木材パルプ製造からの工業的副産物であった。デンプンは、工業用の未加工デンプンであった。デンプンバインダーは、加工食品グレードのデンプンバインダーである、Uniscope Starch Binder(商標)であった。
【0050】
1%のゼラチン以外、すべての被験バインダーが最小圧縮力試験に合格した。驚くべきことに、粗製BFG試料(BFG#1〜4)および精製BFG試料(BFG#UF)は、この用途のために一般に使用される他の材料よりも良好な結果を示した。上記の通り、BFG#1は、pH11.8調製物のドラム乾燥によって単離されたものであった(試料C)。上記の通り、BFG#2は、pH7.0調整廃液流のドラム乾燥によって単離されたものであった(試料F)。上記の通り、BFG#3は、pH11.8廃液流から噴霧乾燥によって単離されたものであり(試料B)、BFG#4は、pH7.0廃液流から噴霧乾燥によって単離されたものであった(試料E)。BFG#UF試料は、図2に記載された限外濾過プロセスによって調製されたものであり、したがって、より高度に精製されていた。驚くべきことに、粗製混合物、試料B、C、E、およびFは、概してより精製された試料より効果的であった。しかし、すべてが驚くほど優れたバインダーであった。驚くべきことに、BFG試料は、リグノスルホネート、デンプン、デンプンバインダー、およびゼラチン処理試料より高い圧縮力測定値を示した。3種類のCMC(カルボキシメチルセルロース)、CMC51、824および700を試験すると、それぞれ10.4、11.9、および13.0psiという許容可能な測定値を示した。驚くべきことに、BFG#4を除くすべてのBFG試料が、CMC試料と比較してより優れた性能を示した。驚くべきことに、BFG#4は、CMC51と比較してより高いが他の2つのCMC試料よりもわずかに低い圧縮力測定値である、11.1という圧縮力を示した。
【0051】
最小圧縮力測定に適合するのに必要なバインダーの量を比較した場合、驚くべきことに、BFG試料はまた、他の種類の被験バインダーより優れていた。CMCバインダーのみが同等のレベルで使用することができ、さらに最小圧縮基準に適合することができた。CMCはこれらの用途のための「ゴールドスタンダード」であるバインダーであり、これらのBFGおよびBFG混合物がバインダーとして驚くほど同等または優れていたので、これらのBFGは、この用途ならびに木炭、石炭粉末、熱分解バイオ炭、黒鉛、および他の同様の材料などの炭素質材料の結合を要する他の任意の用途に対する驚くほど良好な結合剤であった。
【0052】
実施例3。抗酸化特性を有する新規のBFG組成物の生成:食品および非食品生産物をフリーラジカル、酸素、オゾン、および他の有害な環境要因に起因する酸化ダメージから保護するのに役立ち得る新規の組成物に対する必要性について、多くの例が存在する。ビタミン、オメガ−3多価不飽和脂肪酸、魚油、医薬、塗料用顔料等などの酸化に対して感受性である価値のある製品を乳化する、カプセル化する、またはこれらの上に保護フィルムを形成することを同時に行う能力を有するBFG組成物は、これらの感受性材料の保護に有用であるはずである。本発明者らは、本発明者らによるBFG組成物が、驚くべきことに、これらの感受性で酸化されやすい材料を乳化する、カプセル化する、およびこれらの上にフィルムを形成する能力を有するだけでなく、驚くべきことに、それらの抗酸化特性に起因して酸化を防止する能力をも有すること見出した。組成物、食品、および植物化学物質の抗酸化力を測定する1つの手法は、組成物のORAC(酸素ラジカル吸収能)値を決定することである。この試験により、材料の抗酸化活性の全体的な尺度が得られる。ORACスコアが高いほど、その材料の抗酸化能が高い。本明細書において引用される新規の組成物は、以下の公開された手順:Huang,D.、ら、J.Agric.Food Chem.、50:1815〜1821(2002);およびOu,B.、ら、J.Agric.Food Chem.、50:3122〜3128(2002)を使用して、民間試験所によって試験された。結果を表10に示す。
【0053】
結果:驚くべきことに、pH調整を行いまたは行わずに試料を単純に蒸発させ、続いて噴霧乾燥することによって単離された粗製BFG(試料B、EおよびI)は、生成物100グラムあたり約134,000から約170,000マイクロモルTrolox当量(TE)までの親水性ORAC値を示した。ORAC値は、茹でたサツマイモなどの、少量の抗酸化物質を含有する組成物が800(μmol TE/100グラム)未満のORAC値を有し、一方、粉砕されたクローブなどの、これまでに試験された最も高いORAC値を有する組成物が約300,000という高さのORAC値を有することを理解することにより、正しく評価することができる。これらのデータは、試料B、EおよびIにおけるものなどのBFG組成物が、驚くべきことに、50,000の範囲の値を有する乾燥カカオ粉末よりもはるかに高い、極めて高いレベルの抗酸化物質を有することを示していた。興味深いことに、トウモロコシ糠(BFGはすべてこれから調製された)は、驚くべきことに、約2,000というはるかに低い親水性ORAC値を有していたが、この値はかなり大きいものの、粗製BFG混合物の値(134,000から約170,000μmol TE/100g)およびそれから単離された純粋BFG(ヘミセルロースB、7,093μmol TE/100g)よりはるかに低い。また、トウモロコシ廃液流出発材料から回収された精製BFG(ヘミセルロースB)(試料S)は、驚くべきことに、トウモロコシ糠より高い親水性ORAC値をも有していた。興味深いことに、米国特許第6,147,206号によって調製された純粋トウモロコシ繊維ガムは、本明細書に記載されたプロセスによって調製された純粋BFGヘミセルロースB(試料S)より高い親水性ORAC値を有していた(これらの組成物が既知の化合物とは異なっていたことをかさねて示している)。トウモロコシ茎葉、イネ繊維、コムギ糠、コムギ藁、スイッチグラス、ススキ属、およびサトウキビバガスから単離された純粋BFG(ヘミセルロースB)の親水性ORAC値は、驚くべきことに、それらそれぞれの元のバイオマスより高く(表10)、このことは、本アルカリプロセスによってより多くの抗酸化物質を含有するBFG生成物を可溶化し、利用可能とすることができることを示している。本発明者らによる結果はまた、すべてのモロコシ糠が抗酸化物質に極めて富んでいたこと(ORAC値:24,000〜78,000μmol TE/100g)、およびその非常に高い量(18,000〜30,000μmol TE/100g)が、それらの単離のために使用されるアルカリ抽出によってそれらのBFGに保存され得ることを示していた。
【0054】
まとめると、これらのBFG混合物および精製BFGは、驚くべきことに、それらが調製された材料よりもはるかに高く、カカオなどの高レベルの抗酸化物質を有することが知られている品目よりもはるかに高い、極めて高いORACレベルを有していた。このように、本発明者らによる粗製組成物中に存在する、オリゴ糖、多糖、塩、フェノール酸、および他の脂質からなる特有の混合物は、組み合わされることでORAC値によって測定された場合に驚くほど高いレベルの抗酸化物質をもたらし、したがって、新規かつ有用な材料であった。また、精製BFG、とりわけコムギ糠、トウモロコシ茎葉、スイッチグラス、およびススキ属由来の精製BFGの高いORAC値は、驚くべきものであった。これらのBFGはすべて、可溶性食物繊維に富む(80%超)と共に(表6)、強力な抗酸化物質であった。このような材料のヒトによる消費は、心疾患の予防にとって有益であり得る。非常に高度に抗酸化物質に富んだモロコシ糠のORAC含有量の非常に高い比は、現行のアルカリ単離技術を使用することによって、それらのBFGに保存され得る。
【0055】
実施例4。BFGを使用した油のカプセル化。方法:最初に水中のBFGまたはアカシアガム5%溶液を生成することにより、試料を調製した。次いで、BFGまたはアカシアガム溶液を天然オレンジ油と混合し、ローター/ステーター高剪断ミキサーを使用して均一化した。次いで、超音波振動ノズルを使用して溶液を1分あたり1〜2mLで噴霧乾燥機にポンプ送出して、カプセル化油を生成した。結果および使用した具体的な乾燥条件を表14に示す。
【0056】
結果:熱重量分析を使用して、200℃未満においてカプセル化材料の揮発(重量損失)量を測定することにより、すべての試料についての処理量を決定した。200℃を超えると、アカシアガムおよびBFGが分解し始めた。カプセル化試料の比較により、試験されたより低い油処理量では、2つのBFG試料が、それらのカプセル化剤としての有用性においてアカシアガムに非常に類似して機能したことが示された。アカシアガムは、カプセル化のために使用される良好な代表的標準物質であった。試験されたより高い処理量レベルでは、試料はなお良好に機能したが、処理量はアカシアガムより幾分低かった。BFG試料について回収された材料は、アカシアガム試料のものと比較してより多かった。このことは、温度および油処理量の最適化により、BFGを効果的なカプセル化剤として使用することができることを示していた。
【0057】
実施例5。針葉樹合板製造における、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)樹脂の部分的置き換えとしてのBFGの使用:合板の製造では、フェノール−ホルムアルデヒド(PF)樹脂が使用される。これらの樹脂は相対的に高価であり、それに曝露された人間に対して相対的に毒性となることがあり、かなりの量の化石由来の原料成分を含有する可能性がある。本明細書における手順に従って調製された粗製、準精製、および精製BFGならびにそれらの特有の混合物を試験して、これらが針葉樹合板製造において使用されるPF樹脂の一部の代替となることができるかどうかを調べた。これはまさに、パネル製造工場における効果的な捕捉によるホルムアルデヒド排出制御の問題ならびに粘度制御および硬化時間の管理ルーチン問題を考慮した、材料開発である。BFGが許容可能な特性を有していれば、これらの天然、再生可能、および非毒性の生成物は、合板製造においてより望ましくないPF樹脂の一部を置き換えるのに役立ち得る。
【0058】
樹脂物理特性の試験:以下のすべての試験および報告は民間試験所(Forintek Canada Corp)によって行われたものであり、同試験所は、BFG生成物を除くすべての材料を提供および調製した。これらの材料には、ダグラスファー合板ベニヤ、工業用PF樹脂、ソーダ灰、小麦粉、および充填剤が含まれる。pH、粘度、ゲル化時間、および固形物%を含めたトウモロコシ糠BFGの物理特性についての試験が、民間試験所によって実施された。対照として、工業用合板PF樹脂もこれらの特性について試験した。結果を表15に示す。
【0059】
合板パネルの製造および試験:合板パネルのための典型的な成分を含有する対照接着剤混合物を構成した(表16)。BFGを10または20%のPF樹脂の代替とするために使用して、4つの実験用接着剤配合物を構成した(表16)。15×15インチの試験パネルにおける最初の実験により、10%BFG代替による接着剤混合物4aは、対照接着剤混合物と類似して機能することが示された。次いで、この混合物4aをその後の研究のために使用した。次に、ダグラスファーベニヤおよびBFGを10%PF樹脂固形物の置き換えレベルで含有する接着剤混合物4aを使用して、2つの異なるプレス温度で、6枚の実験用3層合板パネル(パネルE1〜E6)を作製した。また、表16に示す工業用フェノール系接着剤混合物を使用して、3枚の対照3層合板パネル(パネルC1〜C3)を作製した。こうして、以下のパラメータに従い、合計9枚の合板パネルを製造した:
板寸法 34インチ×24インチ
工業用PF樹脂 Cascophen BCW2021
接着剤混合物充填率 35lb/1000ft(SGL)
合板ベニヤ ダグラスファー
プレス盤温度 300°Fおよび400°F
プレス時間 C1〜C3について270、300および330秒(300°Fで)
E1〜E3について270、300および330秒(300°Fで)
E4〜E6について270、300および330秒(400°Fで)
【0060】
得られた合板パネルを、American Voluntary Product Standard for Construction and Industrial Plywood PS 1〜95によって規定された手順を使用して、木部破断および剪断強度について試験した。試験には、水中での減圧/加圧処理および煮沸−乾燥−煮沸処理が含まれた。木部破断は、接着された試験片上での剪断強度試験における木材繊維の断裂であり、通常、このような破断を示す当該面積のパーセンテージとして表現される。高い木部破断%は、通常、強力な接着剤結合を示す。試験データの概要を表17に示す。
【0061】
試験により、300°Fで作製されたすべてのパネル(すなわち、C1〜C3およびE1〜E3)がほどよく良好な剪断強度を有することが示された。短いプレス時間(270秒)で作製されたパネルE1のものを除いて、木部破断%値も高かった。これらの試験により、PF樹脂の10%BFG代替による送気管混合物は申し分のない結合強度をもたらすことが可能であるが、硬化速度が幾分遅いことが示された。このことはまた、木部破断%(E1およびE4のデータを参照)が短いプレス時間でより高いプレス温度(400°F)において大幅に改善されたという観察に一致していた。パネルE4〜E6を検査することにより、E4およびE5の場合のように、プレス時間が長すぎないならば、より高いプレス温度で申し分のない結合強度が得られることが示された。しかし、プレス時間を延長すると(330秒)、木部破断%が劇的に低減したE6の場合で示されるように、高いプレス温度はBFGの性能に有害であるように思われた。
【0062】
結論:ダグラスファーベニヤからの3層外装グレード合板の製造において、BFGは、工業用フェノール−ホルムアルデヒド樹脂BCW2021の10%を代替することが容易に可能である。申し分のない結合強度が得られた。より最適化された配合およびプロセッシング条件により、BFGのより高い代替レベルが実現できる可能性は非常に高い。
【0063】
実施例6。ブリケット用バインダーとしてのBFGの使用。方法:粉砕された広葉樹炭化物(90%)とおがくず(10%)との混合物を結合剤としてのゼラチン化デンプンまたはBFGと共に使用して、木炭ブリケットを作製した。水中で加熱することによってデンプンバインダーをゼラチン化させて30%デンプンペーストを調製し、次いで、木材炭化物/おがくず混合物中に6〜7%の乾燥材料重量で混合した。BFGバインダーを木材炭化物/おがくず混合物中に混合して水を添加してバインダーを活性化させるか、または溶液として調製した後に添加した。BFGを、2〜2.5%の乾燥材料重量で使用した。混合物をミキサー中で調製した後、25グラムの混合物を秤量して鋳型に入れ、1000psiでの30秒間の液圧プレスを使用して圧縮することにより、ブリケットを作製した。使用した鋳型は、およそ1インチ×2インチで、最終ブリケットの高さは約2.5インチであった。湿潤ブリケットをオーブン中で105℃で15時間乾燥した。ブリケットの品質を、破壊試験を使用してブリケットの強度を測定して決定した。これを、5mmプローブおよびInstronテクスチャ分析器を使用して、新しい(未乾燥)ブリケットおよび乾燥ブリケットについて行った。各混合物について5つの複製を作製し、結果を平均した。結果を表18に示す。
【0064】
結果:すべての被験混合物について、ブリケットの強度は乾燥時に著しく増加した。デンプンがバインダーとして使用された場合(対照とみなす)、これは、被験BFG試料と比較して最も高い未乾燥および乾燥強度を示した。BFG#1試料(湿潤状態で添加されたおよび乾燥状態で添加されて水で活性化された)は、デンプン対照で使用されたバインダーの3分の1未満の量を使用して作製された。BFGブリケットはデンプンブリケットほど強度はなかったが、これらは有望な製品を製造するのに十分な強度であった。使用されたBFG#2材料は、2.5%の乾燥材料重量で添加され、BFG#1試料と共に使用されたより低レベルと比較してはるかに強度のあるブリケットをもたらした。BFG添加剤をより高いレベルまで増加することによって、いっそう強度のある最終生成物が得られることは明らかである。
【0065】
本明細書において引用された米国特許を含むすべての参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。以下の参考文献:米国特許第5,766,662号;米国特許第6,147,206号もまた、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0066】
よって、上記を考慮すると、本発明は(一部分において)以下に関する:
【0067】
(a)農業材料を加熱したアルカリ溶液と約75℃から約150℃の範囲の温度で混合してスラリーを形成するステップと、
(b)前記スラリーから不溶性成分を分離して約9から約14のpHを有する溶液を生じるステップであって、前記溶液が約0.1から約10wt%の固形物を含有し、前記固形物がアルカリ可溶性画分であるステップと、
を含み、
以下:
(c)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(d)前記溶液のpHを約2から約12のpHに調整し、前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(e)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを約2から約12のpHに調整し、乾燥して粉末にするステップ、
(f)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を約2から約5体積の溶媒で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(g)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを約2から約12のpHに調整し、前記可溶性成分を1から5体積の有機溶媒で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(h)前記溶液のpHを約2から約12のpHに調整し、前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を約1から5体積(好ましくは約2体積のエタノール)の有機溶媒(エタノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、または
(i)前記溶液のpHを約2から約5のpHに(好ましくは約3.5から4.5に)調整してヘミセルロースAを沈殿させ、残った溶液を約2体積の溶媒(エタノール)で処理して沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ
のうちの1つとを含み(または本質的にそれらからなりまたはそれらからなり)、
任意選択で、溶液が以下:
(1)前記溶液を脱塩して、脱塩溶液が溶液になるステップ、
(2)溶液を少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜を通過させる処理をして、透過液が溶液になるステップ、または
(3)溶液を少なくとも1つのナノ濾過膜または限外濾過膜または透析濾過膜を通過させる処理をして、保持液が溶液になるステップ
のうちの少なくとも1つによって前処理される、バイオベース繊維ガムの調製のためのプロセス。
【0068】
前記乾燥するステップが、ドラム乾燥または噴霧乾燥による、上記プロセス。
【0069】
酸化剤を利用しない、上記プロセス。前記酸化剤が、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、上記プロセス。
【0070】
前記農業材料が、トウモロコシ糠、トウモロコシ繊維、エンバク糠、エンバク繊維、コムギ糠、コムギ繊維、オオムギ藁およびオオムギ籾、スイッチグラス、サトウキビバガス、ススキ属、トウモロコシ茎葉、コムギ藁、モロコシ糠、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、上記プロセス。
【0071】
(a)農業材料を加熱したアルカリ溶液と約75℃から約150℃の範囲(好ましくは約85℃から約90℃の範囲)の温度で混合してスラリーを形成するステップと、
(b)前記スラリーから不溶性成分を分離して約9から約14(好ましくは約10から約12の範囲)のpHを有する溶液を生じるステップであって、前記溶液が約0.1から約10wt%の固形物を含有し、前記固形物がアルカリ可溶性画分であるステップと、
を含み(または本質的にそれらからなりまたはそれらからなり)、
以下:
(c)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(d)前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から約10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、乾燥して粉末にするステップ、
(e)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から約10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、乾燥して粉末にするステップ、
(f)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を約2から約5体積(好ましくは約2体積)の有機溶媒(エタノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(g)前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から約10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記可溶性成分を2から約5体積(好ましくは約2体積)の有機溶媒(エタノール)で沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(h)前記溶液を約16から約23wt%の固形物となるまで蒸発させ、前記溶液のpHを約2から約12のpHに(好ましくは約4から約10のpHに、より好ましくは約4から約7のpHに)調整し、前記可溶性成分をエタノールで沈殿させて沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ、
(i)前記溶液のpHを約2から約5のpHに(好ましくは約3.5から4.5に)調整してヘミセルロースAを沈殿させ、残った溶液を2体積の有機溶媒(エタノール)で処理して沈殿物および上清を形成し、前記沈殿物および前記上清を別個に乾燥するステップ
のうちの少なくとも1つとを含み、
任意選択で、溶液が以下:
(1)溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、透過液が、蒸発させて乾燥した後に凍結防止剤、プレバイオティクス等を含めた様々な使用に有用である、10,000ダルトン未満(<10,000ダルトン)の分子量を有するアルカリ可溶性画分を含有する溶液になるステップ、
(2)溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させてプロセッシングし、この保持液を50,000ダルトン膜を通過させる処理をして、透過液が、蒸発させて乾燥した後に凍結防止剤、プレバイオティクス等を含めた様々な使用に有用である、10,000から50,000ダルトンの間の分子量を有するアルカリ可溶性画分を含有する溶液になるステップ、
(3)溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させてプロセッシングし、この保持液を50,000ダルトンMWCO膜を通過させてプロセッシングし、この保持液を100,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして、透過液が、蒸発させて乾燥した後に凍結防止剤、プレバイオティクス等を含めた様々な使用に有用である、50,000から100,000ダルトンの間の分子量を有するアルカリ可溶性画分を含有する溶液になるステップ、
(4)溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させてプロセッシングし、この保持液を50,000ダルトンMWCO膜を通過させてプロセッシングし、この保持液を100,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして、この保持液が、乾燥時に精製BFGとなる100,000ダルトン超の分子量を有するアルカリ可溶性画分を含有する溶液になるステップ、
(5)溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させてプロセッシングし、この保持液を50,000ダルトンMWCO膜を通過させてプロセッシングし、この保持液を100,000ダルトンMWCO膜を通過させる処理をして、この保持液のpHを約2から約5のpHに(好ましくは約3.5から4.5に)調整して、次いで乾燥してヘミセルロースAを生じる沈殿剤を沈殿させて、残った溶液が、100,000ダルトン超の分子量を有するBFG生成物(ヘミセルロースB)を含有し、すべてのpH値で可溶性であるステップ、
(6)溶液を10,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、(a)蒸発させて乾燥して凍結防止剤として有用な10,000ダルトン未満(<10,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる透過液および(b)蒸発させて乾燥して準精製BFGである10,000ダルトン超(>10,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる保持液を形成するステップ、または
(7)溶液を50,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、(a)蒸発させて乾燥して凍結防止剤として有用な50,000ダルトン未満(<50,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる透過液および(b)蒸発させて乾燥して準精製BFGである50,000ダルトン超(>50,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる保持液を形成するステップ、または
(8)溶液を100,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、(a)蒸発させて乾燥して凍結防止剤として有用な100,000ダルトン未満(<100,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる透過液および(b)蒸発させて乾燥して精製BFGである100,000ダルトン超(>100,000ダルトン)の分子量を有する生成物を生じる保持液を形成するステップ、または
(9)溶液を100,000ダルトンMWCO限外濾過膜を通過させる処理をして、100,000ダルトン超(>100,000ダルトン)の分子量を有する生成物を含有する保持液を形成し、前記保持液のpHを約2から約5のpHに調整して、(a)次いで乾燥してヘミセルロースAを形成する沈殿物および(b)100,000ダルトン超の分子量を有するすべてのpH値で可溶性であり高度に精製されたBFGである生成物(ヘミセルロースB)を含有する溶液を形成するステップ、
(10)前記溶液から塩および灰分を除去して、凍結防止剤、プレバイオティクス等を含めた様々な使用のための塩含有および灰分含有画分(透過液)を使用するステップ、
(11)前記溶液から塩および灰分を除去し、前記溶液を16〜23wt%の固形物となるまで蒸発させ、次いで乾燥して、蒸発させて乾燥した後にプレバイオティクス、抗酸化剤、結合剤、増粘剤、接着剤等を含めた様々な使用に有用である準精製BFGヘミセルロースを生じるステップ、
(12)前記溶液から塩および灰分を除去し、溶液のpHを約2から約5のpHに調整して、(a)次いで乾燥してヘミセルロースAを形成する沈殿剤および(b)準精製BFGヘミセルロースB(すべてのpH範囲において可溶性であり、さらに、元の溶液中に存在する他の非イオン性材料の混合物)を含有する溶液を形成するステップ、
(13)任意選択で、溶液が、その前もしくは後にpH調整を行いもしくは行わずに、限外濾過もしくは透析濾過膜もしくはナノ濾過によって前処理されて(a)準精製BFGクラス「a」生成物を主に含有する溶液になる1つまたは複数の保持液を形成し、(b)得られた1つまたは複数の透過液が、乾燥して粉末形態にすることができる、さらなる準精製BFGクラス「b」生成物を含有する溶液になるステップ
のうちの少なくとも1つによって前処理される、上記プロセス。
【0072】
上記プロセスによって生成される生成物。
【0073】
(a)バインダーとしての上記プロセスによって生成される生成物および(b)炭素質材料を含む組成物。
【0074】
(a)乳化剤としての上記プロセスによって生成される生成物、(b)油および(c)水を含む水中油型または油中水型組成物。
【0075】
(a)抗酸化剤としての上記プロセスによって生成される生成物および(b)被酸化性である材料を含む組成物。
【0076】
上記プロセスによって生成される生成物を被酸化性である組成物に添加するステップを含む、被酸化性である組成物の酸化を低減する方法。上記プロセスによって生成される生成物を被酸化性である組成物と混合するステップを含む、被酸化性である組成物の酸化を低減する方法。
【0077】
上記プロセスによって生成される生成物を炭素質材料に添加するステップと、ペレット化するステップとを含む、炭素質材料を結合する方法。上記プロセスによって生成される生成物を炭素質材料と混合するステップと、ペレット化するステップとを含む、炭素質材料を結合する方法。
【0078】
上記プロセスによって生成される生成物を油および水に添加するステップを含む、水中油型または油中水型エマルションを安定化するための方法。上記プロセスによって生成される生成物を油および水と混合するステップを含む、水中油型または油中水型エマルションを安定化するための方法。
【0079】
上記プロセスによって生成される生成物を合板用単板複合体に添加するステップと、プレスするステップと、加熱するステップとを含む、より少ないフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を有する合板を作製するための方法。
【0080】
上記プロセスによって生成される生成物を被酸化性材料に添加してエマルションを形成するステップと、噴霧乾燥してカプセル化生成物を形成するステップとを含む、被酸化性材料(例えば、油、香味剤および芳香剤)を安定化する方法。
【0081】
本発明の他の実施形態は、本明細書の検討または本明細書に開示された発明の実施から、当業者には明白であると思われる。本明細書および実施例は単に例示としてみなされることが意図されており、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0082】
【表1】


【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
【表8】
【0090】
【表9】
【0091】
【表10】
【0092】
【表11】
【0093】
【表12】
【0094】
【表13】
【0095】
【表14】
【0096】
【表15】
【0097】
【表16】
【0098】
【表17】
【0099】
【表18】
【0100】
【表19】
【0101】
【表20】
図1
図2
図3
図4
図5
図6