特許第6189436号(P6189436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189436
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】歯内処置用の改善された組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/00 20060101AFI20170821BHJP
   A61K 6/083 20060101ALI20170821BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20170821BHJP
   C08G 83/00 20060101ALI20170821BHJP
   C08G 59/30 20060101ALI20170821BHJP
   C08G 77/14 20060101ALN20170821BHJP
   C08L 9/00 20060101ALN20170821BHJP
   C08K 3/00 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
   A61K6/00 C
   A61K6/083
   C08F2/44 A
   C08F2/44 C
   C08G83/00
   C08G59/30
   !C08G77/14
   !C08L9/00
   !C08K3/00
【請求項の数】11
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-521886(P2015-521886)
(86)(22)【出願日】2013年7月15日
(65)【公表番号】特表2015-524396(P2015-524396A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】US2013050550
(87)【国際公開番号】WO2014012112
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2015年8月31日
(31)【優先権主張番号】61/671,251
(32)【優先日】2012年7月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590004464
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】トッド・バーガー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ウィルキンソン
(72)【発明者】
【氏名】アダム・バランズ
(72)【発明者】
【氏名】ダン・アモン
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/115823(WO,A1)
【文献】 特開2002−220314(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0287566(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 6/00−6/10
C08F 2/44
C08G 59/30
C08G 83/00
C08G 77/14
C08K 3/00
C08L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
根管の充填および封鎖用の歯内複合シーラント組成物であって、
架橋ポリイソプレン微粒子と、
複数の重合性化合物とを含み、
前記複数の重合性化合物が、エポキシ修飾ポリシロキサン化合物を含む第1の重合性成分と、アミン修飾ポリシロキサン化合物を含む第2の重合性成分とを有する、
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記架橋ポリイソプレン微粒子がシスポリイソプレンから合成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
化剤およびフィラーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記架橋ポリイソプレン微粒子が約200μm未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記架橋シス−ポリイソプレン微粒子が、約50から約180μmまでの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
最大約50質量%が架橋シスポリイソプレン粉末であり、前記組成物が、さらに、
タングステン、亜鉛、酸化亜鉛、タングステン酸化物、バリウム、硫酸バリウム、ビスマス、酸化ビスマスおよびタングステン酸カルシウムからなる群から選択される放射性乳白剤約20〜約80質量%;
硬化剤最大約10%
ポリマー、シリカ、架橋シス−ポリイソプレン微粒子もしくはヒュームドシリカ、またはそれらのいずれかの組合せであるフィラー約0.1〜約40質量%、および
接着促進剤約5〜約50質量
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記硬化剤が、アミン基を有する触媒を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記架橋シス−ポリイソプレン微粒子が、繊維、架橋剤、開始剤、放射性乳白剤、シスポリイソプレンおよび/または抗菌剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記開始剤が、フリーラジカル開始剤またはカチオン性開始剤および白金開始剤からなる群から選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項10】
エポキシ修飾ポリシロキサン化合物が、式(I):
【化1】
(式中、xは1〜1000であり、かつyは1〜1000である)
で表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
アミン修飾ポリシロキサン化合物が、式(II):
【化2】
(式中、nは1〜1000であり、かつmは1〜1000である)
で表される、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2012年7月13日に出願された米国仮特許出願第61/671,251号の利益およびそれに対する優先権を主張し、それはすべての目的のため参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、歯科用組成物、詳しくは根管充填に有用な歯内処置用の改善された組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
以前の根管処置は、シーラント材で根管を封鎖するステップと、次いで、封鎖した根管を充填材で充填するステップとを含んだ。ほとんどの典型的な「シーラー」は、一般に炭化水素ベースのアミン/エポキシ系であり、これは、すりつぶしたガッタパーチャポイントのような充填材の粉末と混合したときに、不安定な系となることがある。
【0004】
ガッタパーチャは、最も広範に用いられる充填材である。しかし、ガッタパーチャが封鎖を形成するわけではない。封鎖を形成するシーラーと呼ばれる第2の組成物があり、そこで2つの物質が一緒になって機能して細菌が管系に入るのを防ぐ。ガッタパーチャは、それをその融解温度より上に加熱して流動させることによって改善することができる。溶けたガッタパーチャを、加熱されたプラガーまたは固形担体と共に圧縮する。液状のガッタパーチャを、シーラーを担持する細管(tubules)中へそれと共に流し込み、こうして根管系のより完全な封鎖を形成する。しかし、加熱されたガッタパーチャは非常に高い粘度を有し、粘着性となる傾向がある。そのため、加熱されたガッタパーチャは流動するけれども、すべての細管または隙間に入り込むことができず、従ってシーラーは系全体を完全に封鎖することができない。
【0005】
ガッタパーチャは、それをその融解温度より上に加熱して流動させることによって改善することができる。溶けたガッタパーチャを、加熱されたプラガーまたは固形担体と共に圧縮する。液状のガッタパーチャを、シーラーを担持する細管中へそれと共に流し込み、こうして根管系のより完全な封鎖を形成する。しかし、加熱されたガッタパーチャは非常に高い粘度を有し、粘着性となる傾向がある。そのため、加熱されたガッタパーチャは流動するけれども、すべての細管または隙間に入り込むことができず、従ってシーラーは系全体を完全に封鎖することができない。
【0006】
シーラーは非常に薄い層で管系中に存在することになるので、X線で見えるように十分に放射線不透過性でなければならない。そのため、シーラーは、典型的に、主に放射性乳白剤でできた反応性コンポジットである。シーラーが流れて非常に小さな隙間を充填して封鎖を形成する場合、コンポジットのポリマー部分は、非常に低い粘度(低分子量)でなければならない。
【0007】
酸化亜鉛オイゲノール、エポキシアミンおよびアクリレートといった多くのシーラー製剤が長年にわたって用いられてきた。すべてのこれらの二成分系(two part systems)は、一旦混合してペーストを形成してから、その後に硬化させて固体となる、濃密に充填された液体である。このタイプのシーラーは、再処置がほとんど不可能となるため、ガッタパーチャなしで用いることができず、それを細管中に圧縮する方法がなく、厚い層で用いるように調製されていない。
【0008】
これらの従来のガッタパーチャシーラー組成物は、根管処置に一般に有効であるが、加熱を必要とすることなく管系に充填することができるガッタパーチャ/シーラーツー・イン・ワン組成物(2 in 1 composition)があることは望ましい。理想的には、ツー・イン・ワン組成物は、溶けたガッタパーチャよりも低い粘度を有し、粘着性が低くなるであろう。この改善により、組成物が細管と小さな隙間との複合構造体中に浸透するのが高まり、根管系全体がより完全に封鎖されることになるであろう。より詳しくは、本発明は、安定な改善されたツー・イン・ワンシーラー組成物(例えば、複合シーラント組成物)および/または場合により架橋製剤と共に接着促進剤ならびにその組成物を用いて根管を処置する方法を提供することによってこれらの欠点を克服することを試みる。望ましくは、本発明は、これらの所望の性質ならびに他の有益な特徴および利点を有する、このような改善された充填組成物を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以前の充填系、特に歯根管充填における改善を目的とする。
【0010】
一態様において、本発明は、架橋ポリイソプレン微粒子を含む、根管の充填およびを封鎖用の歯内複合シーラント組成物を企図する。
【0011】
別の態様において、本発明は、接着促進剤を含む、根管の充填および封鎖用の歯内複合シーラント組成物を企図する。
【0012】
別の態様において、本発明は、複合シーラント組成物を用いて根管を封鎖する方法であって、シス−ポリイソプレン、架橋剤、開始剤、充填剤、酸化亜鉛および放射性乳白剤を含む混合物を準備するステップと、混合物を硬化して硬化された架橋シス−ポリイソプレン材を形成するステップと、硬化された架橋シス−ポリイソプレン材を極低温で粉砕して微粒子を形成するステップと、エポキシベースの重合性化合物および少なくとも1つの放射性乳白剤、充填剤、ならびに硬化された架橋シス−ポリイソプレン微粒子を含む第1の成分混合物を準備するステップと、アミンベースの重合性化合物、硬化剤および少なくとも1つの放射性乳白剤、充填剤、ならびに硬化された架橋シス−ポリイソプレン微粒子を含む第2の成分混合物を準備するステップと、第1の成分混合物および第2の成分混合物を根管に充填して硬化された複合シーラント材を形成するステップとを含み、第1の成分混合物、第2の成分混合物または両方が、硬化された架橋シス−ポリイソプレン微粒子を含む方法を企図する。
【0013】
別の態様において、本発明は、以下の式(I):R−R−W−Z−R−R(I)(式中、
Wは、
【化1】
であるか、または
Wは、
【化2】
であり;かつ
Zは、
【化3】
であり;
【0014】
およびRは、独立して水素、NH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸またはホスファチジルコリン基であり;RおよびRは、独立してC1−10アルキル基、NH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸またはホスファチジルコリン基であり;R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR13が独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸もしくはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R13基であるが、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の複数の基は、同一または異なってもよく;かつxは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつmは1から1000までの整数であり、mの複数の基は、同一または異なってもよい)を含む接着促進剤を企図する。
【0015】
さらに別の態様において、本発明の態様のいずれかは、以下の特徴の1つまたはいずれかの組合せをさらに特徴としてもよい:架橋ポリイソプレン微粒子がシス−ポリイソプレンから合成される;重合性化合物、硬化剤および充填剤をさらに含む;重合性化合物の部分が開環官能基、反応性環式官能基、フリーラジカル官能基またはそれらのいずれかの組合せを含む;開環官能基が、酸性基、アミン基、チオール基およびアルコール基からなる群から選択される;反応性環式官能基が、エポキシ基、無水物基、アジリジン基およびオキサゾロン基からなる群から選択される;フリーラジカル官能基が、二重結合および三重結合からなる群から選択される;接着促進剤が象牙質結合官能基を含む;象牙質結合官能基が負電荷、正電荷、両性電荷または双極性電荷を含む;負または正電荷が、カルボン酸基、硫酸基、アミン基、リン酸基、第四級アンモニウム基およびスルホン酸、ベタイン、ホスファチジルコリン基を含む;架橋ポリイソプレン微粒子が約200μm未満である;
架橋シス−ポリイソプレン微粒子が約50μmから約180μmの範囲である;最大約50質量%が架橋シス−ポリイソプレン粉末であり、ここで、組成物が、タングステン、亜鉛、酸化亜鉛、酸化タングステン、バリウム、硫酸バリウム、ビスマス、酸化ビスマスおよびタングステン酸カルシウムからなる群から選択される放射性乳白剤約80質量%;硬化剤最大約10%、ポリマー、シリカ、架橋シス−ポリイソプレン微粒子またはヒュームドシリカ、またはそれらのいずれかの組合せである充填剤最大約40%、および接着剤最大約50%をさらに含む;硬化剤がアミン基を有する触媒を含む;架橋シス−ポリイソプレン微粒子が繊維、架橋剤、開始剤、放射性乳白剤、シス−ポリイソプレンおよび/または抗菌剤を含む;開始剤が、フリーラジカル開始剤またはカチオン性開始剤からなる基および白金開始剤から選択される;接着促進剤が、以下の式(I):R−R−W−Z−R−R(I)(式中、
【0016】
Wは、
【化4】
であるか、または
Wは、
【化5】
であり;かつ
Zは、
【化6】
であり;
【0017】
およびRは、独立して水素、NH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸またはホスファチジルコリン基であり;
およびRは、独立してC1−10アルキル基、NH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン基であり;R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR13が独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸またはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R13基であるが、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の複数の基は、同一または異なってもよく;かつxは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつmは1から1000までの整数であり、mの複数の基は、同一または異なってもよく;ここで、i)RおよびRは、独立してエポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であるか;ii)RおよびRは、独立してNH、OH、COOHまたはSH基であるか;またはiii)RおよびRの少なくとも1つは、独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸またはホスファチジルコリン基であり;ここで、i)RおよびRは、独立してエポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であり;かつ(ii)R、R、R、R、R、R10、R11およびR12の少なくとも1つは、独立して、R13が独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸もしくはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R13基であり;ここで、i)RおよびRは、独立してNH、OH、COOHまたはSH基であり;かつii)R、R、R、R、R、R10、R11およびR12の少なくとも1つは、独立して、R13が独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸またはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R13基であり;ここで、i)RおよびRの少なくとも1つは、独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸またはホスファチジルコリン基であり;かつii)R、R、R、R、R、R10、R11およびR12の少なくとも1つは、独立して、R13が独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であるようなC1−10−R13基であるが、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基が存在するときは、NH、OH、COOHまたはSH基が存在せず;ここで、R、R、R11およびR12は、独立してC1−10アルキル基であり;ここで、
【0018】
Wは、
【化7】
であり;そして
【0019】
およびRは、独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であり;RおよびRは、独立してC1−10アルキル基であり;かつR、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR13が独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸もしくはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R13基であるが、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の複数の基は、同一または異なってもよく;ここで、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基が存在するとき、NH、OH、COOHまたはSHは、存在せず;ここで、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12の少なくとも1つは、C1−10−R13基を含み;ここで、RおよびRの少なくとも1つは、C1−10−R13基を含み;ここで、R、R、R11およびR12は、独立してC1−10アルキル基であり;ここで、
【0020】
Wは、
【化8】
であり;そして
【0021】
およびRは、独立して水素、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸またはホスファチジルコリン基であるが、但し、RおよびRの少なくとも1つは、水素ではなく;RおよびRは、独立してC1−10アルキル基であり;かつR、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR13が独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸もしくはスクシンイミド基であるようなC1−10−R13基であるが、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の複数の基は同一または異なってもよく、但し、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12の少なくとも2つは、C1−10−R13基を含み;ここで、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基が存在するとき、NH、OH、COOHまたはSHは、存在せず;ここで、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12の少なくとも2つは、C1−10−R13基を含み;
ここで、xは1から50の範囲であり、yは25から250の範囲であり、かつmは1である)を特徴とし、ここで、接着促進剤は、第1の成分および第2の成分を含み、a)第1の成分は、以下の式(IIa):R−R−W−Z−R−R(IIa);(式中、RおよびRは、独立してNH、OH、COOHまたはSHであり;RおよびRは、独立してC1−10アルキル基であり;
【0022】
Wは、
【化9】
であり;かつ
Zは、
【化10】
であり;
【0023】
、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR13が独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸もしくはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R13基であるが、R、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の複数の基は、同一または異なってもよく;xは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつmは1から10までの整数であり、mの複数の基は、同一または異なってもよい)を特徴とし、そしてb)第2の成分は、以下の式(IIb):R13−R14−W−Z−R15−R16(IIb);(式中、R13およびR16は、独立してエポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であり;R14およびR15は、独立してC1−10アルキル基であり;
【0024】
Wは、
【化11】
であり;
Zは、
【化12】
であり;
【0025】
16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR24が独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、ビスリン酸もしくはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R24基であるが、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23およびR24の複数の基は、同一または異なってもよく;qは1から1000までの整数であり、qの複数の基は、同一または異なってもよく;rは1から1000までの整数であり、rの複数の基は、同一または異なってもよく;かつsは1から10までの整数であり、sの複数の基は、同一または異なってもよく;ここで、i)R、R、R、R、R、R10、R11、R12の少なくとも1つは、C1−10−R13基を含み;かつ/またはii)R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23の少なくとも1つは、C1−10−R24基を含み;ここで、i)RおよびRの少なくとも1つは、C1−10−R13基を含み;かつ/またはii)R18およびR19の少なくとも1つは、C1−10−R24基を含み;ここで、xは1から50の範囲であり、yは25から250の範囲であり、かつmは1であり、そして、ここで、qは1から50の範囲であり、rは25から250の範囲であり、かつsは1である)を特徴とし、ここで、接着促進剤は、第1の成分および第2の成分を含み、a)第1の成分は、以下の式(IIIa):R−R−W−Z−R−R(IIIa);(式中、RおよびRは、独立して水素、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン基であるが、但し、RおよびRの少なくとも1つは水素でなく;RおよびRは、独立して、置換されたまたは非置換のC1−10アルキル基であり;
【0026】
Wは、
【化13】
であり;
Zは、
【化14】
であり;
【0027】
、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR13が独立してNH、OH、COOH、SHであるようなC1−10−R13基であるが、R、R、R、R10、R11、R12およびR13の複数の基は、同一または異なってもよく;xは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつmは1から10までの整数であり、mの複数の基は、同一または異なってもよい)を特徴とし、そしてb)第2の成分は、以下の式(IIIb):R13−R14−W−Z−R15−R16(IIIb);(式中、R13およびR16は、独立して水素、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン基であるが、但し、RおよびRの少なくとも1つは、水素でなく;R14およびR15は、独立して、置換されたまたは非置換のC1−10アルキル基であり;
【0028】
Wは、
【化15】
であり;
Zは、
【化16】
であり;
【0029】
16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR24が独立してエポキシド、無水コハク酸もしくはスクシンイミド基であるようなC1−10−R24基であるが、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23およびR24の複数の基は、同一または異なってもよく;qは1から1000までの整数であり、qの複数の基は、同一または異なってもよく;rは1から1000までの整数であり、rの複数の基は、同一または異なってもよく;かつsは1から10までの整数であり、sの複数の基は、同一または異なってもよく;ここで、i)R、R、R、R、R、R10、R11、R12の少なくとも1つは、C1−10−R13基を含み;かつ/またはii)R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22およびR23の少なくとも1つは、C1−10−R24基を含み;ここで、xは1から50の範囲であり、yは25から250の範囲であり、かつmは1であり;そして、ここで、qは1から50の範囲であり、rは25から250の範囲であり、かつsは1である)を特徴とし、ここで、接着促進剤は以下の式(IV):R−W−Z−R(IV)(式中、RおよびRは、独立して、置換されたまたは非置換のC1−11アルキル基であり;
【0030】
Wは、
【化17】
であるか;または
Wは、
【化18】
であり;かつ
Zは、
【化19】
であり;
【0031】
ここで、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR11が独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸もしくはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R11基であるが;R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11の複数の基は、同一または異なってもよく;但し、R、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、C1−10−R11基を含み;xは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつmは1から10までの整数であり、mの複数の基は、同一または異なってもよく;ここで、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基が存在するとき、NH、OH、COOHまたはSHは、存在せず;ここで、
【0032】
Wは、
【化20】
であり;そして
【0033】
ここで、R、R、R、R、R、R10およびR11は、C1−10アルキル基を含み;xは1から50の範囲であり、yは25から250の範囲であり、かつmは1である)を特徴とし、ここで、接着促進剤は、第1の成分および第2の成分を含み、a)第1の成分は、以下の式(IVa):R−W−Z−R(IVa)(式中、RおよびRは、独立して、置換されたまたは非置換のC1−11アルキル基であり;
【0034】
Wは、
【化21】
であり;かつ
Zは、
【化22】
であり;
【0035】
ここで、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR11が独立してNH、OH、COOHもしくはSHであるようなC1−10−R11基であるが;R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11の複数の基は、同一または異なってもよく;但し、R、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つはC1−10−R11基を含み;xは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつmは1から10までの整数であり、mの複数の基は、同一または異なってもよい)を特徴とし、そしてb)第2の成分は、以下の式(IVb):R12−W−Z−R13(IVb)(式中、R12およびR13は、独立して、置換されたまたは非置換のC1−11アルキル基であり;
【0036】
Wは、
【化23】
であり;かつ
Zは、
【化24】
であり;
【0037】
ここで、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20およびR21は、独立して水素、C1−10アルキル基、またはR22が独立してエポキシド、無水コハク酸もしくはスクシンイミド基であるようなC1−10−R22基であるが;R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21およびR22の複数の基は、同一または異なってもよく;但し、R14、R15、R16、R17、R18およびR19の少なくとも1つはC1−10−R11基を含み;qは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;rは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつsは1から10までの整数であり、mの複数の基は、同一または異なってもよく;ここで、i)R、R、RおよびRの少なくとも1つは、C1−10−R11基を含み;かつii)R16、R17、R18およびR19の少なくとも1つは、C1−10−R22基を含み;ここで、xは1から50の範囲であり、yは25から250の範囲であり、かつmは1であり;そして、ここで、qは1から50の範囲であり、rは25から250の範囲であり、かつsは1であり;ここでi)R、R、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、R23がリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R23基であるが;R、R、RおよびRの複数の基は、同一または異なってもよく;かつ/またはii)R16、R17、R18およびR19の少なくとも1つは、独立して、R24がリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン基であるようなC1−10−R24基であるが;R16、R17、R18およびR19の複数の基は、同一または異なってもよい)を特徴とし、ここで、接着促進剤は、以下の式(V):R−R−W−R−R(V)[式中、RおよびRは、独立して水素、NH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であり;RおよびRは、独立してC1−1000アルキル基であり;そして
【0038】
Wは、
【化25】
であり;
Wは、
【化26】
であるか;または
Wは、
【化27】
であり;
【0039】
ここで、R、R、R、R、R、R1011、R12、R13、R14、R15およびR16は、独立して水素、C1−10アルキル基であるか、またはNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸、ホスファチジルコリン、炭化水素もしくはシリコーンに結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16の少なくとも1つは、連結基を含み、かつR、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15およびR16の複数の基は、同一または異なってもよく;xは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつzは1から1000までの整数であり、zの複数の基は、同一または異なってもよく;ここで、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基が存在するとき、NH、OH、COOHまたはSHは、存在せず;ここで、RおよびRの少なくとも1つは、NH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であり;ここで、R13、R14、R15およびR16の少なくとも1つは、NH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基に結合されている連結基を含み;ここで、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12の少なくとも1つは、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸、ホスファチジルコリン、炭化水素またはシリコーン結合されている連結基を含み;ここで、シリコーンはトリス(トリメチルシロキシ)シリル基を含み;ここで、
【0040】
Wは、
【化28】
であり;
【0041】
ここで、R、R、RおよびRは、独立してC1−10アルキル基であるか、またはリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸もし
くはホスファチジルコリンに結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、連結基を含み、かつR、R、RおよびRの複数の基は、同一または異なってもよく;R、R10、R11およびR12は、独立してC1−10アルキル基であるか、または炭化水素もしくはシリコーン基に結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R、R10、R11およびR12の少なくとも1つは、連結基を含み、かつR、R10、R11およびR12の複数の基は、同一または異なってもよく;R13、R14、R15およびR16は、独立してC1−10アルキル基であるか、またはNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸もしくはスクシンイミド基に結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R13、R14、R15およびR16の少なくとも1つは、連結基を含み、かつR13、R14、R15およびR16の複数の基は、同一または異なってもよく;xは1から100までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;yは1から100までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;かつzは1から100までの整数であり、zの複数の基は、同一または異なってもよく;ここで、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基が存在するとき、NH、OH、COOHまたはSHは、存在せず;ここで、シリコーンはトリス(トリメチルシロキシ)シリル基を含む]を特徴とし、ここで、接着促進剤は第1の成分および第2の成分を含み、(a)第1の成分は、以下の式(VIa):R−R−W−R−R(VIa);[式中、RおよびRは、独立して水素、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であり;RおよびRは、独立してC1−1000アルキル基であり;かつ
【0042】
Wは、
【化29】
であり、
【0043】
ここで、R、R、RおよびRは、独立して水素、C1−10アルキル基であるか、またはリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸、ホスファチジルコリン、炭化水素もしくはシリコーンに結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R、R、RおよびRの少なくとも1つは、連結基を含み、かつR、R、RおよびRの複数の基は、同一または異なってもよく;R、R10、R11およびR12は、独立して水素、C1−10アルキル基であるか、または炭化水素もしくはシリコーン基に結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R、R10、R11およびR12の少なくとも1つは、連結基を含み、かつR、R10、R11およびR12の複数の基は、同一または異なってもよく;R13、R14、R15およびR16は、独立して水素、C1−10アルキル基であるか、またはエポキシド、無水コハク酸もしくはスクシンイミド基に結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R13、R14、R15およびR16の少なくとも1つは、連結基を含み、かつR13、R14、R15およびR16の複数の基は、同一または異なってもよく;xは1から1000までの整数であり、複数の基xは、同一または異なってもよく;かつyは1から1000までの整数であり、複数の基yは、同一または異なってもよく;かつzは1から1000までの整数であり、複数の基zは、同一または異なってもよい]を特徴とし、そしてb)第2の成分は、以下の式(VIb):R17−R18−W−R19−R20(VIb)[式中、R17およびR20は、独立して水素、NH、OH、COOHまたはSHであり;R18およびR19は、独立してC1−1000アルキル基であり;かつ
【0044】
Wは、
【化30】
であり、
【0045】
ここで、R21、R22、R23およびR24は、独立して水素、C1−10アルキル基であるか、またはリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸、ホスファチジルコリン、炭化水素もしくはシリコーンに結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R21、R22、R23およびR24の少なくとも1つは、連結基を含み、かつR21、R22、R23およびR24の複数の基は、同一または異なってもよく;R25、R26、R27およびR28は、独立して水素、C1−10アルキル基であるか、または炭化水素もしくはシリコーン基に結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R25、R26、R27およびR28の少なくとも1つは、連結基を含み、かつR25、R26、R27およびR28の複数の基は、同一または異なってもよく;R29、R30、R31およびR32は、独立して水素、C1−10アルキル基であるか、またはNH、OH、COOHもしくはSH基に結合されている連結基を含み、この連結基は、アクリレート基、(メタ)アクリレート基、シロキシアクリレート基、ビニル基およびアリル基からなる群から選択されるが、R29、R30、R31およびR32の少なくとも1つは、連結基を含み、かつR29、R30、R31およびR32の複数の基は、同一または異なってもよく;qは1から1000までの整数であり、qの複数の基は、同一または異なってもよく;かつrは1から1000までの整数であり、rの複数の基は、同一または異なってもよく;かつsは1から1000までの整数であり、sの複数の基は、同一でもよいまたは異なってもよい]を特徴とし;ここで第1の成分、第2の成分または両方のシリコーンは、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基を含み;ここで、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基は、[トリ(トリメチルシリルオキシ)シリル]プロピルメタクリレートであり;ここで、アミンベースの重合性化合物は、アミン修飾ポリシロキサン化合物であり;ここで、第1の成分混合物、第2の成分混合物または両方は、接着促進剤を含み;
ここで、接着促進剤はケイ素官能基を含み;ここで、接着促進剤はケイ素官能基およびアミンまたはエポキシ官能基を含み;ここで、第1の成分混合物は、シリコーン官能基およびエポキシ官能基を有する接着促進剤を含み;ここで、第2の成分混合物は、シリコーン官能基およびアミン官能基を有する接着促進剤を含み;ここで、第1の成分混合物は、シリコーン官能基、エポキシ官能基および象牙質結合官能基を有する接着促進剤を含み;ここで、第2の成分混合物は、シリコーン官能基、アミン官能基および象牙質結合官能基を有する接着促進剤を含み;ここで、象牙質結合官能基は、リン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸およびホスファチジルコリンからなる群から選択され;ここで、複合シーラント材は、100,000cpsを超えるか、またはパテ様の粘度を有し;ガッタパーチャポイント、栓塞子、または架橋ガッタパーチャポイントを根管に挿入するステップをさらに含み;ここで、ガッタパーチャポイントまたは担体は、表面改質され;ここで、表面改質は、コロナ処理またはプラズマ処理であり;ここで、架橋シス−ポリイソプレン微粒子は、複合シーラント材中で可溶性でない;本明細書に記載される歯内複合シーラント組成物の使用;またはそれらの任意の組合せ。
【0046】
上記の態様および実施例は、本明細書に示し、記載したとおり、本発明と共に存在する他のものを限定しないことを理解しなければならない。例えば、本明細書に記載したとおり、図面に示したとおり、または別途、本発明の上記の態様または特徴のいずれかを組み合わせて他の独特な構造を形成してもよい。
【0047】
本発明の詳述
望ましくは、複合シーラント組成物は、架橋性材料を含むが、必要なわけではない。
【0048】
一般に、本発明は、改善された高強度の複合シーラント組成物および該組成物を形成する方法に関する。好都合なことに、複合シーラント組成物は、望ましい高強度の特性を有する歯科用シーラントの形成に用いることができる。この高強度の材料は、根管の形成が可能であり、歯象牙質および/または根管ポイントへの改善された結合(より高い接着)にとって有用でありうる。重合性樹脂およびフィラー粒子を含む歯科用材料は、しばしば、根管の形成に用いられる。このような歯科用材料は、自己(化学的に)硬化性、熱硬化性、光硬化性または二重硬化性(dual-curable)であることができる。歯科用材料は、異なる化学機構によって硬化し、固まってさまざまな歯科用途のための強くかつ耐久性がある材料を形成する。
【0049】
一態様において、本発明は、根管中への細菌の漏出を防止するためのシーラーとガッタパーチャとの間の封鎖およびシーラーと象牙質との間の封鎖の形成の問題を解決する。本発明は、種々の二成分ポリマー系において、極低温で粉砕して粉末にし、フィラーとして混合されたゴム製剤を用いる。粉砕したゴムを、ポリマー系のいずれか一方または両方の部分と配合することができる。1つまたはそれ以上のタイプの粉砕したゴムを用いることができる。これにより、ペースト状の粘度を有する液体が生成することになる。
【0050】
本研究を行う技術は、粉砕またはポリマー系への分散でなくてもよい。ポリマー系に関する粉砕ゴムの製剤は、本発明の利点の1つを提供すると考えられる。
【0051】
別の態様において、本発明は、根管中への細菌の漏出を防止するための充填材料と象牙質との間の封鎖の形成の問題を解決する。本発明は、コラーゲンおよびヒドロキシアパタイトに結合するように設計されている2つの理想的な分子添加剤である。
【0052】
象牙質は、結晶性ヒドロキシアパタイト(CaP)と結びついたコラーゲン(炭化水素ポリマー)マトリックスで構成される。象牙質結合分子は、トリブロック構造で3つのサブコンポーネントを含むように設計される。例えば、第1の部分では、ブロックAは、リン酸基を構成してもよく、第2の部分では、ブロックBは、トリスメタクリレートを構成してもよく、そして第3の部分では、ブロックCは、アミノメタクリレートまたはグリシダルメタクリレートのような反応性基のいずれかであってもよい。ブロックAは、ヒドロキシアパタイトに結合にするように設計される。ブロックBは、相容化剤であるように設計される。ブロックCは、硬化(アミノ/エポキシ反応)中に架橋してネットワークとなるように設計される。分子添加剤は、2つのジメチルシロキサン;アミノ官能化およびエポキシ官能化(より詳しくは、添付書類を参照のこと)に分散される。
【0053】
重合性材料
重合性材料(例えば、複合シーラント組成物)は、典型的に、少なくとも1つの重合性成分および場合により、限定されるわけではないが、少なくとも1つのフィラー(例えば、ガラス粒子)、接着促進剤、開始剤、触媒、促進剤、阻害剤、界面活性剤、添加剤、またはそれらの組合せもしくはその他の1つまたはそれ以上を含む。
【0054】
重合性化合物
ここで、全組成物の個々の成分をより詳細に説明する。本明細書における複合シーラント組成物は、少なくとも1つの重合性材料を含んでもよい。望ましくは、複合シーラント組成物は、開環反応を受けることができる環式化合物(例えば、無水コハク酸、スクシンイミド基、エポキシド、またはその他)、開環求核試薬(例えば、OH、COOH、SH、アミン樹脂(例えば、NH2)、またはその他)、ウレタンジ−(メタ)アクリレート、イソシアナトメチルシクロヘキサンのマルチ(メタ)アクリレート誘導体、重合性ポリシロキサン化合物(例えば、エポキシ官能化シロキサン、アミノ官能化シロキサン、またはその他)、またはそれらのいずれかの組合せの少なくとも1つを有する第1の重合性材料を含んでもよい。
【0055】
第1の重合性材料は、典型的に、複合シーラント組成物の少なくとも約1質量%、好ましくは少なくとも約5質量%、そしてより好ましくは、少なくとも約10質量%の量で存在してもよい。さらにまた、第1の重合性材料は、典型的に、全複合シーラント組成物質量の約99%未満、好ましくは約75%未満、そしてより好ましくは約50質量%未満の量で存在してもよいことが理解される。例えば、第1の重合性材料は、典型的に、全複合シーラント組成物の約1質量%から約99質量%まで、好ましくは約5質量%から約75質量%まで、そしてより好ましくは約10質量%から約50質量%までの範囲の量で存在してもよい。特定の一実施態様において、第1の重合性材料は、重合性ポリシロキサン化合物である。
【0056】
本発明の組成物中に用いてもよい重合性ポリシロキサン化合物(例えば、ポリジメチルシロキサンコポリマー)の例としては、開環反応を受けることができる環式化合物、例えばエポキシ修飾ポリシロキサン化合物(例えば、二官能性および多官能性エポキシシリコーン)および開環求核試薬、例えばアミン修飾ポリシロキサン化合物(例えば、アミノアルキル官能性シリコーン)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。1つの好ましいエポキシ修飾ポリシロキサンは、商品名EMS622の下で販売されており、ゲレスト社(Gelest, Inc.)から商業的に入手可能である。1つの好ましいアミン修飾ポリシロキサンは、商品名AMS162の下で販売されており、ゲレスト社から商業的に入手可能である。
【0057】
第1の重合性材料は、第1の成分(例えば、開環反応を受けることができる環式化合物)および重合が可能な第2の成分(例えば、開環求核試薬)を含んでもよい。例えば、ポリシロキサン化合物は、エポキシ修飾ポリシロキサンを有する第1のポリシロキサン成分またはアミン修飾ポリシロキサンを有する第2のポリシロキサン成分を含んでもよい。エポキシ修飾ポリシロキサンは、全複合シーラント組成物の少なくとも約1質量%、好ましくは少なくとも約3質量%、そしてより好ましくは少なくとも約5質量%の量で存在してもよい。さらにまた、エポキシ修飾ポリシロキサンは、全複合シーラント組成物の約50質量%未満、好ましくは約40質量%未満、そしてより好ましくは約25質量%未満の量で存在してもよい。例えば、エポキシ修飾ポリシロキサンは、全複合シーラント組成物の約1質量%から約50質量%まで、好ましくは約3質量%から約40質量%まで、そしてより好ましくは約5質量%から約25質量%までの範囲の量で存在してもよい。エポキシ修飾ポリシロキサンを有する第1のポリシロキサン成分の例は、式(I)
【化31】
(式中、xは1〜1000であり、かつyは1〜1000である)として示してもよい。
【0058】
エポキシ修飾ポリシロキサンを有する第1のポリシロキサン成分の代わりに、またはそれに加えて、ポリシロキサン成分は、アミン修飾ポリシロキサンを有する第2のポリシロキサン成分を含んでもよい。アミン修飾ポリシロキサンは、全複合シーラント組成物の少なくとも約1質量%、好ましくは少なくとも約3質量%、そしてより好ましくは少なくとも約5質量%の量で存在してもよい。さらにまた、アミン修飾ポリシロキサンは、全複合シーラント組成物の約50質量%未満、好ましくは約40質量%未満、そして好ましくは約25質量%未満の量で存在してもよい。例えば、アミン修飾ポリシロキサンは、全複合シーラント組成物の約1質量%から約50質量%まで、好ましくは約3質量%から約40質量%まで、そしてより好ましくは約5質量%から約25質量%までの範囲の量で存在してもよい。
【0059】
アミン修飾ポリシロキサンを有する第2のポリシロキサン成分の例は、式(II)
【化32】
(式中、nは1〜1000であり、かつmは1〜1000である)として示してもよい。
【0060】
硬化剤
本明細書の複合シーラント組成物は、材料の硬化を行うために少なくとも1つの開始成分(例えば、触媒)を含んでもよい。開始成分は、全複合シーラント組成物の少なくとも約0.0005質量%、好ましくは少なくとも約0.005質量%、そしてより好ましくは少なくとも約0.05質量%の量で存在してもよい。全複合シーラント組成物は、約3.0質量%未満、好ましくは約1.5質量%未満、そしてより好ましくは約1質量%の開始成分を含んでもよい。例えば、開始成分は、全複合シーラント組成物の約0.0005質量%〜約3質量%、好ましくは約0.005質量%から約1.5質量%まで、そしてより好ましくは約0.05質量%から約1質量%の範囲で存在してもよい。
【0061】
1つの好ましい開始成分は、アルカノールアミンを含む。適したアルカノールアミンの例としては、エタノールアミン、2−アミノ−1−ブタノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノエタンチオール、2−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−ペンタノール、エタノールアミン、2−ヒドロキシエチルヒドラジン、3−アミノ−1−プロパノール、DL−2−アミノ−1−プロパノール、DL−1−アミノ−2−プロパノール、DL−2−アミノ−1−ペンタノール、DL−2−アミノ−1−ヘキサノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、またはその他およびそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるわけではない。他の触媒、例えば塩(例えば、白金、パラジウム、またはその他)は認められる。
【0062】
表1に示すように、異なる触媒を用いて二成分系のさまざまな複合シーラント組成物を硬化させる際の促進効果の例:
【表1】
【0063】
フィラー
複合シーラント組成物は、1つまたはそれ以上のフィラーを含んでもよい。本発明による有用な放射線不透過性を有するフィラーとしては、限定されるわけではないが、無機フィラー、例えばAg、TiO、La、ZrO、BaSO、CaWO、BaWO、FeおよびBi、CeO、ZrO、MgO、ランタニド塩、ポリマー顆粒が含まれる。ガラスは、in vivoでフッ化物放出のためのフッ化物を含んでもよい。放射性乳白剤を含む場合、これは、全複合シーラント組成物の少なくとも約20質量%、好ましくは少なくとも約30質量%、そしてより好ましくは少なくとも約40質量%の量で存在してもよい。さらにまた、放射性乳白剤は、全複合シーラント組成物の約80質量%未満、好ましくは約70質量%未満、そしてより好ましくは約60質量%未満の量で存在してもよい。例えば、放射性乳白剤は、全複合シーラント組成物の約20質量%から約80質量%まで、好ましくは約30質量%から約70質量%まで、そしてより好ましくは約40質量%から約60質量%までの範囲の量で存在してもよい。
【0064】
使用してもよい他のフィラーとしては、シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア、無機塩、金属酸化物、(例えば、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、またはその他)、およびガラスが含まれるが、それらに限定されるわけではない。所望の一実施態様において、沈殿シリカ(例えば、Hi-Sil 233)を、フィラーとして含んでもよい。別の所望の実施態様において、ヒュームドシリカ(例えば、エーロシル200(Aerosil 200))を、フィラーとして含んでもよい。フィラー材は、全複合シーラント組成物の少なくとも約0.1質量%、好ましくは少なくとも約1質量%、そしてより好ましくは少なくとも約5質量%の量で存在してもよい。さらにまた、フィラー材は、全複合シーラント組成物の約25%未満、好ましくは約20%未満、そしてより好ましくは約15%未満の量で存在してもよい。例えば、フィラー材は、全複合シーラント組成物の約0.1%から約25%まで、好ましくは約1%から約20%まで、そしてより好ましくは約5%から約15%までの範囲の量で存在してもよい。
【0065】
好ましい実施態様において、複合シーラント組成物は、架橋材料(例えば、架橋ゴム、例えばポリイソプレンまたはその他)をさらに含んでもよい。架橋材料の望ましい例としては、架橋シスポリイソプレンベースの材料、例えばシス−1,4−ポリイソプレンベースの材料が含まれうる。表2および3に示すように、架橋材料は、2011年3月11日に出願された米国特許出願第13/045744号に記載された以下の組成物を含んでもよく、それはすべての目的のため参照により本明細書に組み込まれる:
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
架橋材料は、全複合シーラント組成物の少なくとも約3質量%、好ましくは少なくとも約5質量%、そしてより好ましくは少なくとも約10質量%の量で存在してもよい。さらにまた、架橋材料は、全複合シーラント組成物の約50質量%未満、好ましくは約40質量%未満、そしてより好ましくは約30質量%未満の量で存在してもよい。例えば、架橋材料は、全複合シーラント組成物の約3質量%から約50質量%まで、好ましくは約5質量%から約40質量%まで、そしてより好ましくは約10質量%から約30質量%までの範囲の量で存在してもよい。
【0069】
望ましくは、架橋材料は、(例えば、架橋材料の粉砕または細断工程から)粉末として準備してもよい。架橋材料は、少なくとも約5ミクロン、好ましくは少なくとも約10ミクロン、そしてより好ましくは少なくとも約25ミクロンの粒径を含んでもよい。さらにまた、架橋材料は、約500ミクロン未満、好ましくは約400ミクロン未満、そしてより好ましくは約300ミクロン未満の粒径を含んでもよい。例えば、架橋材料は、約5ミクロンから約500ミクロンまで、好ましくは約10ミクロンから約300ミクロンまで、そしてより好ましくは約25ミクロンから約150ミクロンまで(例えば、約50ミクロンから約100ミクロンまで、または約125ミクロンから約200ミクロンまで)の範囲の粒径を含んでもよい。
【0070】
表4に示す、架橋材料を含む2成分複合シーラント組成物の特定の一例:
【表4】
【0071】
望ましくは、環式ベースの重合性化合物は、エポキシ官能基を含むのに対して、開環ベースの重合性化合物は、アミン官能基を含むが、必要なわけではない。
【0072】
複合シーラント組成物は、添加剤、薬学的活性成分、色素または顔料(例えば、酸化鉄)ロウ、油(例えば、シリコーン油およびパラフィン油)、界面活性剤、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、抗酸化剤、防腐剤(例えば、ナノシルバー)、またはそれらの混合物をさらに含んでもよい。
【0073】
接着促進剤
複合シーラント組成物は、少なくとも1つの接着促進剤をさらに含んでもよい。一態様において、重合性化合物(例えば、第2の重合性材料)に加えて、接着促進剤(例えば、第2の重合性材料)が存在してもよい。別の態様において、接着促進剤は重合性化合物であってもよい。
【0074】
理論に拘束されることを意図するものではないが、本明細書における接着促進剤は、分子の少なくとも一部が、開環反応官能基(例えば、エポキシ基、無水コハク酸基、スクシンイミド基、またはその他)および/または開環求核性官能基(例えば、OH、COOH、SHアミン基、例えばジエポキシドもしくはジアミン基、またはその他)を受けることができる環式化合物を含んでもよく、複合シーラント組成物を架橋することができる特定の分子構造の有益な使用を行うと考えられる。接着促進剤の分子構造は、疎水性官能基、例えば炭化水素、シリコーン(例えば、それは、SiO、SiO、SiHまたはSiCのようにシラン化されている)、またはその他を含んでもよく、それは、増粘剤であることができ、かつ/または本明細書に議論される架橋材料用の分散液担体として提供してもよい。特定の一実施態様において、シリコーン官能基は、トリス(トリメチルシロキシ)シリル基、例えば[トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル]プロピルメタクリレート)を含む。さらにまた、接着促進剤の分子構造は、象牙質結合官能基、例えばリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン官能基を含んでもよく、それは、例えば複合シーラント組成物の分子ネットワークにより歯象牙質との結合を改善することができる。
【0075】
接着促進剤は、1つの成分材料または2つの成分材料であってもよい。接着促進剤の例としては、以下が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0076】
i)
【化33】
[式中、
は、独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であるが、Rは同一または異なってもよく(好ましくは、R1は、開環求核試薬、例えばNH2、OH、COOH、SHまたはその他である);
xは0から10までの整数(例えば、1〜10)であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;かつ
yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよい]。
【0077】
ii)
【化34】
[式中、Rは、独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であり、Rの複数の基は、同一または異なってもよく(好ましくは、Rは、開環求核試薬、例えばNH、OH、COOH、SHまたはその他である);
xは0から10までの整数(例えば、1〜10)であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;
yは1から10までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;
Aは1から1000までの整数(例えば、1〜100、好ましくは1〜10)であり、
Aの複数の基は、同一または異なってもよく;かつ
Bは0から1000までの整数(例えば、1〜100、好ましくは45〜65)であ り、Bの複数の基は、同一または異なってもよい]。
【0078】
iii)
【化35】
[式中、
は、独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であるが、Rは、同一または異なってもよく(好ましくは、Rは、環重合を受けてもよい環式化合物、例えばエポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、またはその他である);
xは0から10までの整数(例えば、1〜10)であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;かつ
yは1から1000までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよい]。
【0079】
iv)
【化36】
[式中、
は、独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であるが、Rの複数の基は、同一または異なってもよく(好ましくは、Rは、環重合を受けてもよい環式化合物、例えばエポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、またはその他である);
xは0から10までの整数(例えば、1〜10)であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;
yは1から10までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;
Aは1から1000までの整数であり、Aの複数の基は、同一または異なってもよく;かつ
Bは0から1000までの整数(例えば、1〜1000)であり、Bの複数の基は、同一または異なってもよい]。
【0080】
v)
【化37】
[式中、
は、独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であるが、
の複数の基は、同一または異なってもよく;
は、独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン基であるが、
の複数の基は、同一または異なってもよく;
xは0から10までの整数(例えば、1〜10)であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;
yは1から10までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;
Aは1から1000までの整数であり、Aの複数の基は、同一または異なってもよく;かつ
Bは0から1000までの整数(例えば、1〜1000)であり、Bの複数の基は、同一または異なってもよく;そして
およびRは、位置を変えることができる]。
【0081】
接着促進剤は、1つの成分材料または2つの成分材料であってもよい。接着促進剤の例としては、以下が含まれるが、それらに限定されるわけではない:
【0082】
vi)
【化38】
[式中、
は、独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であるが、Rの複数の基は、同一または異なってもよく;
10は、独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン基であるが、
10の複数の基は、同一または異なってもよく;
xは0から10までの整数(例えば、1〜10)であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;
yは1から10までの整数であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;
zは1から10までの整数であり、zの複数の基は、同一または異なってもよく;
Aは1から1000までの整数であり、Aの複数の基は、同一または異なってもよく;かつ
Bは1から1000までの整数であり、Bの複数の基は、同一または異なってもよく;かつ
Cは0から1000までの整数(例えば、1〜1000)であり、Cの複数の基は、同一または異なってもよく;そして
およびR10は、位置を変えることができる]。
【0083】
所望の実施態様において、それぞれ官能性部分が存在し、それによってターポリマー接着促進剤を形成する。
【0084】
vii)
【化39】
[式中、
13は、独立してリン酸、硫酸、スルホン酸、ベタイン、カルボン酸、アミノ酸、二酸、二リン酸またはホスファチジルコリン基であるが、R13の複数の基は、同一または異なってもよく;
14は、独立して疎水性基、例えば炭化水素、シリコーン(例えば、それはシラン化される)、またはその他(好ましくは、シリコーンは、[トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル]プロピルメタクリレートのようなトリス(トリメチルシロキシ)シリル基を含む)であるが、
14の複数の基は、同一または異なってもよく;
15は、独立してNH、OH、COOH、SH、エポキシド、無水コハク酸またはスクシンイミド基であるが、R15の複数の基は、同一または異なってもよく;
nは1から1000までの整数であり、xの複数の基は、同一または異なってもよく;
mは0から1000までの整数(例えば、1〜1000)であり、yの複数の基は、同一または異なってもよく;
pは1から1000までの整数であり、zの複数の基は同一または異なってもよく;そして
13、R14およびR15は、位置を変えることができる]。
【0085】
2成分接着促進剤は、エポキシド、無水コハク酸、スクシンイミド基、またはその他のような環重合を受けてもよい環式化合物を有する式i)〜vii)の第1の成分;およびNH、OH、COOH、SHまたはその他のような開環求核試薬を有する式i)〜vii)の第2の成分を含んでもよいことが理解される。
重合が含まれる場合、第1の成分と第2の成分とを混合することによって重合が起こり接着促進剤を形成してもよい。
【0086】
接着促進剤は、種々の方法によって合成してもよい。望ましくは、RAFT重合によってターポリマー接着促進剤を形成して二成分系を形成してもよい。例えば、第1の成分(環重合を受けてもよい環式化合物を有する)は、以下のRAFT重合によって形成してもよい:
【化40】
【0087】
第2の成分(開環求核試薬を有する)は、以下のRAFT重合によって形成してもよい:
【化41】
【0088】
これらの使用可能な接着促進剤の特定の例i)〜vii)は、限定的な例と解釈すべきではない。
【0089】
少なくとも1つの重合性化合物および少なくとも1つの接着促進剤(表4〜7の実施例)を含む複合シーラント組成物において、接着促進剤は、全複合シーラント組成物の少なくとも約3質量%、好ましくは少なくとも約5質量%、そしてより好ましくは少なくとも約10質量%の量で存在してもよい。さらにまた、接着促進剤は、全複合シーラント組成物の約50質量%未満、好ましくは約40質量%、そしてより好ましくは約30質量%の量で存在してもよい。例えば、接着促進剤は、全複合シーラント組成物の約3質量%から約50質量%まで、好ましくは約5質量%から約40質量%まで、そしてより好ましくは約10質量%から約30質量%までの範囲の量で存在してもよい。
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】
【表7】
【0093】
望ましくは、環式ベースの重合性化合物および環式ベースの接着促進剤は、エポキシ官能基を含むのに対して、開環ベースの重合性化合物および開環ベースの接着促進剤は、アミン官能基を含むが、必要なわけではない。重合性化合物として接着促進剤を含む複合シーラント組成物(表7の実施例)において、接着促進剤は、全複合シーラント組成物の少なくとも約1質量%、好ましくは少なくとも約5質量%、そしてより好ましくは少なくとも約10質量%の量であってもよいことが理解される。さらにまた、接着促進剤は、全複合シーラント組成物の約90質量%未満、好ましくは約70質量%未満、そしてより好ましくは約50質量%未満の量で存在してもよいことが理解される。例えば、接着促進剤は、全複合シーラント組成物の約1質量%から約90質量%まで、好ましくは約5質量%から約70質量%まで、そしてより好ましくは約10質量%から約50質量%までの範囲の量で存在してもよい。
【0094】
【表8】
【0095】
望ましくは、環式ベースの接着促進剤はエポキシ官能基を含むに対して、開環ベースの接着促進剤はアミン官能基を含むが、必要なわけではない。
【0096】
1つの特定の二成分実施例において、生成物はパテ製剤を含んでもよく、これは粉砕された架橋材料(例えば、粉砕された架橋歯内担体)、シリカ、ポリマー、触媒および酸化ビスマスを含む。この製剤を、アマルガム送達デバイスまたはプラガーおよびスプレッダーを用いて送達することができる安定したパテ中に混合する。それはパテの粘稠度を有し、なんらかの所望の形状に丸めた後、根管中に入れることができる。根管が充填されたら、ガッタパーチャポイントまたは架橋歯内担体を根管に挿入して3d充填を促進し、根尖(apex)からの漏出を防止することができる。
【0097】
別の特定の実施例において、複合シーラント組成物は、粉砕された架橋材料、シリカ、ポリマー、触媒および酸化ビスマスを含む注射可能な製剤を含んでもよい。この製剤を二室式シリンジの末端に接続された静的ミキサー中で混合する。この材料を根管に直接注射する。根管が充填されたら、架橋歯内担体またはガッタパーチャポイントを根管に挿入して3d充填を促進し、根尖からの漏出を防止することができる。
【0098】
ガッタパーチャポイント/架橋担体の選択は、臨床医に任せることができることが理解される(それらは同じ意味で用いられる)。
【0099】
さらに、複合シーラント組成物系では、さまざまなタイプを用いることができることが理解される。本発明によるシーラント材は、それぞれの例において、ポリマーシ系の機能として、単一成分系として、または多成分系として、好ましくは二成分系として存在することができる。硬化性ポリマー系およびそのさらなる成分(例えば触媒および/または開始剤)は、このように当業者に知られている。
【0100】
好ましくは、紫外線放射および/または熱によって硬化する一成分歯科用シーラント材が、用いられる。本発明により用いられる硬化性ポリマーシステムおよび界面活性剤混合物の他に、その中には、通常、光開始剤が含まれる。
【0101】
複数の成分もしくはステップの機能もしくは構成を一つの成分もしくはステップに合わせてもよいし、または一つのステップもしくは成分の機能もしくは構成を複数のステップもしくは成分の間で分割してもよいことがさらに理解されよう。本発明は、これらの組合せのすべてを企図する。特に明記しない限り、本明細書に示したさまざまな構造物の寸法および幾何学的形状は、本発明を限定することを意図しているわけではなく、他の寸法または幾何学的形状をとることができる。さらに、本発明の特徴を、説明した実施態様の1つに関してのみ記載してきたかもしれないが、任意の与えられた用途に対しては、このような特徴を、他の実施態様の1つまたはそれ以上の他の特徴と組み合わせてもよい。また、上記から、本明細書における独特の構造物の製作およびその操作は、本発明による方法を構成することが理解されよう。また、本発明は、本明細書における方法の実施により生じる中間体および最終生成物を包含する。「含む」または「含む」の使用は、列挙された特徴「から本質的になる」または「からなる」実施態様も企図する。
【0102】
本明細書に示された説明および図解は、本発明、その原理およびその実際的な適用により他の当業者に知らせることを意図している。当業者は、特定の使用の要求に最適となりうるように、その多くの形態において本発明を合わせて適用してもよい。したがって、記載された本発明の特定の実施態様は、本発明を網羅する、または限定することを意図しているわけではない。したがって、本発明の範囲は、上の説明によって決定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲と、このような特許請求の範囲と題された同等物の完全な範囲とともに決定しなければならない。特許出願および刊行物を含むすべての論文および文献の開示は、すべての目的について参照により組み込まれる。