特許第6189446号(P6189446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189446
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】床清掃装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/30 20060101AFI20170821BHJP
   A47L 11/293 20060101ALI20170821BHJP
   A47L 11/26 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A47L11/30
   A47L11/293
   A47L11/26
【請求項の数】25
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-538228(P2015-538228)
(86)(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公表番号】特表2015-536175(P2015-536175A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】CH2012000245
(87)【国際公開番号】WO2014067019
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2015年10月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】515116010
【氏名又は名称】ベットロック・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リスシオ,ミケーレ
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−228855(JP,A)
【文献】 実開平04−116946(JP,U)
【文献】 特公平07−061304(JP,B2)
【文献】 欧州特許出願公開第02248455(EP,A1)
【文献】 特開平10−099245(JP,A)
【文献】 実開平07−016751(JP,U)
【文献】 特開平09−206262(JP,A)
【文献】 特表2000−512190(JP,A)
【文献】 特開2004−147759(JP,A)
【文献】 特開2008−253365(JP,A)
【文献】 実開平06−079454(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 11/30
A47L 11/26
A47L 11/293
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部分(16)および2つの側方後輪(3)を含む後部分(17)と、
シャーシ(2)と、
シャーシ(2)に取り付けられた清掃ユニット(4)であって、清掃ユニット(4)は、
清掃される床(12)と接触可能となるように清掃装置(1)の前部分(16)に配置された、少なくとも1つの回転可能なブラシ(20)と、
少なくとも1つのブラシ(20)の前に配置された前部吸引ユニット(8)および少なくとも1つのブラシ(20)の後方に配置された後部吸引ユニット(7)を含む吸引装置(25)と、
を含む清掃ユニット(4)とを含む床清掃装置(1)であって、
前部吸引ユニット(8)は、前部吸引チャネル(29)および前部吸引チャネル(29)を閉鎖するための閉鎖部材(26)を含み、
後部吸引ユニット(7)が、前方および後方移動方向の両方への清掃装置(1)の移動の間に開放されたままである後部吸引チャネル(30)を含み、
閉鎖部材(26)が、清掃装置(1)が前方移動方向に移動させられたときに前部吸引チャネル(29)を閉鎖し、
閉鎖部材(26)が、清掃装置(1)が後方移動方向に移動させられたときに前部吸引チャネル(29)を開放することを特徴とする、床清掃装置。
【請求項2】
前部吸引チャネル(29)が、前部吸引ユニット(8)の全長にわたって清掃される床(12)に向かって開放している吸引開口(24)を含み、閉鎖部材(26)は、清掃装置(1)が前方移動方向に移動させられたときに前部吸引チャネル(29)の吸引開口(24)を閉鎖し、清掃装置(1)が後方移動方向に移動させられたときに吸引開口(24)を開放する、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前部吸引チャネル(29)が、清掃される床(12)に向かって開放している吸引開口(24)を含み、閉鎖部材(26)は、その全長に沿って吸引開口(24)を前方に制限する前セクション(27)と、その全長に沿って吸引開口(24)を後方に制限する後セクション(28)とを有するリップ(41)を含む、請求項1または2に記載の清掃装置。
【請求項4】
閉鎖部材(26)が、清掃装置(1)の前部分(16)を先にして、または清掃装置(1)の後部分(17)を先にして清掃装置が移動させられたときに、清掃される床(12)上のその摺動運動のためリップ(41)の前セクション(27)に作用する摩擦力によって作動される、請求項に記載の清掃装置。
【請求項5】
リップ(41)が弾性材料で作られている、請求項またはに記載の清掃装置。
【請求項6】
リップ(41)の前セクション(27)が垂直高さHFを有し、リップ(41)の後セクション(28)は垂直高さHRを有し、前セクション(27)が吸引開口(24)を横切って屈曲可能となるようにHFはHRよりも大きくなっている、請求項からのいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項7】
リップ(41)の前セクション(27)が、前セクション(27)の一部が後セクション(28)の下に延在するまで屈曲可能である、請求項からのいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項8】
後部吸引ユニット(7)が後部吸引チャネル(30)を含み、前部吸引チャネル(29)および後部吸引チャネル(30)はいずれも単一の真空タービン(5)と流体連通するようにマニホールド(31)に接続されている、請求項1からのいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項9】
前部吸引ユニット(8)および後部吸引ユニット(7)が、清掃装置(1)の前方および後方移動方向を横切って延在する、請求項1からのいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項10】
清掃装置(1)の垂直中間平面(18)に対して直角に測定されたときに、前部吸引ユニット(8)および後部吸引ユニット(7)は各々、垂直中間平面(18)に対して直角な少なくとも1つのブラシ(20)の寸法以上の長さを有する、請求項1からのいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項11】
清掃装置(1)がさらにブラシ筐体(22)を含み、後部吸引ユニット(7)は弾性接続装置(10)によってブラシ筐体(22)に取り付けられて、後部吸引ユニット(7)が弾性接続装置(10)によって提供される弾性抵抗に逆らってシャーシ(2)に対して横方向に移動できるようにする、請求項1から10のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項12】
弾性接続装置(10)が、ファスナ(47)によってブラシ筐体(22)に装着されたピボットジョイントを形成する、弾性コネクタ(11)を含む、請求項11に記載の清掃装置。
【請求項13】
ピボットジョイントが、基本的に垂直に延在する回転軸(42)を有する、請求項12に記載の清掃装置。
【請求項14】
後部吸引ユニット(7)が湾曲した吸引バーを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項15】
後部吸引ユニット(7)が基本的に楕円形に湾曲した吸引バーを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項16】
弾性接続装置(10)が、後部吸引ユニット(7)に装着された第一末端(49)および弾性コネクタ(11)によってブラシ筐体(22)に取り付けられた第二末端(50)を有する、長尺ブラケット(46)を含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項17】
長尺ブラケット(46)が弾性コネクタ(11)によって静止位置で付勢され、静止位置において長尺ブラケット(46)は、清掃装置(1)の前方または後方移動方向に沿って延在する、請求項16に記載の清掃装置。
【請求項18】
少なくとも1つのブラシ(20)が、基本的に垂直に延在する回転軸(21)を中心に回転可能である、請求項1から17のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項19】
清掃装置(1)がさらに、清掃される床(12)の上で清掃装置(1)を移動させるのに適したハンドルバー(6)を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項20】
後部吸引ユニット(7)が後輪(3)の前に配置される、請求項1から19のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項21】
シャーシ(2)に取り付けられて、垂直に延在するその最小寸法Xを有するレセプタクルとして構成された、第一タンク(15)をさらに含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の清掃装置。
【請求項22】
清掃装置(1)の後部分(17)に配置されて、清掃装置(1)の前方または後方移動方向の最小寸法Zを有するレセプタクルとして構成された、第二タンク(13)をさらに含む、請求項21に記載の清掃装置。
【請求項23】
シャーシ(2)の後端から延在する長尺部材(9)をさらに含み、第二タンク(13)は長尺部材(9)に取り付け可能である、請求項22に記載の清掃装置。
【請求項24】
長尺部材(9)の一端は蝶番(39)によってシャーシ(2)に回転可能に装着されている、請求項23に記載の清掃装置。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の清掃装置(1)を用いて床を清掃する方法であって、
開放されたままの後部吸引チャネル(30)内により高い真空を印加するように、前部吸引チャネル(29)を閉鎖するために清掃装置(1)を前方移動方向に移動させるステップ、および/または
開放した前部吸引チャネル(29)および開放した後部吸引チャネル(30)を通じて高い一体吸引体積流量を得るように、前部吸引チャネル(29)を開放するために清掃装置(1)を後方移動方向に移動させるステップ、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の床清掃装置、および請求項27のプリアンブルに記載の、これを用いて床を清掃する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床面を清掃するための装置は、WINDMEISSERの米国特許第5,901,410号明細書より知られている。この周知の清掃装置は湿式清掃に適しており、ブラシ手段の前の前部吸引ユニットおよびブラシ手段の後の後部吸引ユニットを含む。新しい洗浄液は、いずれかの移動方向で第一タンクからブラシ手段に供給される。前部吸引ユニットおよび後部吸引ユニットはいずれもブラシ手段と平行に延在し、いずれも第二タンクに接続されている。洗浄液は、清掃装置が前方移動方向に移動させられたときに後部吸引ユニットによって吸い上げられ、清掃装置が後方移動方向に移動させられたときに前部吸引ユニットによって吸い上げられる。この周知の装置の不都合は、清掃装置のいずれの移動方向においても両方の吸引ユニットがいつも起動しているのに、ブラシ手段を通じて床に適用される洗浄液を吸い上げるためには前部および後部吸引ユニットのうちの1つしか使用されないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5901410号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前部および後部吸引ユニットを有し、吸引ユニットに印加される真空を増加させるかまたは真空タービン出力を変化させることなく吸引体積流量を増加させることを可能にする、床清掃装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1の特徴を含む床清掃装置、ならびにこれを用いて請求項27の特徴を有する床を清掃する方法によって、提示された問題を解決する。
【0006】
本発明による床清掃装置の利点は基本的に、以下のことに見られる:
−前方移動方向への清掃装置の移動の間、前部吸引チャネルは閉鎖され、真空タービンの全吸引能力は後部吸引ユニットに集中する。前部吸引チャネルが閉鎖されているため、吸引体積流量は減少し、したがって清掃装置が前方移動方向に移動させられたときに、後部吸引チャネル内の真空の増加が実現されることが可能である。
−後方移動方向への清掃装置の移動の間、前部吸引ユニットおよび後部吸引ユニットが活発に洗浄液を吸い上げ、高い一体吸引体積流量を生じるように、前部吸引ユニットが開放する。
−したがって、両方の吸引ユニットが同時に起動して高い吸引体積流量を許容するとき、または後部吸引ユニットのみが起動して高真空を許容するときに一定の吸引力を有する真空タービンが、使用される。
【0007】
特殊な実施形態において、閉鎖部材は、清掃装置が前方移動方向に移動させられたときに前部吸引チャネルを閉鎖する。
【0008】
別の実施形態において、閉鎖部材は、清掃装置が後方移動方向に移動させられたときに前部吸引チャネルを開放する。この構成のため、前部吸引チャネルは、単純に清掃装置の移動方向を変更することによって、開閉されることが可能である。
【0009】
さらなる実施形態において、後部吸引ユニットは、前方および後方移動方向の両方への清掃装置の移動の間に開放されたままである、後部吸引チャネルを含む。この構成は、後部吸引チャネルがいずれかの移動方向に開放しているので、清掃ユニットの吸引体積流量は後方移動方向への清掃装置の移動によって単純に増加させられることが可能であるという利点を可能にする。
【0010】
さらなる実施形態において、前部吸引チャネルは、前部吸引ユニットの全長にわたって清掃される床に向かって開放している吸引開口を含み、閉鎖部材は、清掃装置が前方移動方向に移動させられるときに前部吸引チャネルの吸引開口を閉鎖し、清掃装置が後方移動方向に移動させられるときに吸引開口を開放する。これにより、閉鎖部材の単純な構成が実現可能である。
【0011】
別の実施形態において、前部吸引チャネルは、清掃される床に向かって開放している吸引開口を含み、閉鎖部材は、その全長に沿って吸引開口を前方に制限する前セクションと、その全長に沿って吸引開口を後方に制限する後セクションとを有する、リップを含む。これにより、前部吸引チャネルの吸引開口を開閉させるためにリップの前セクションが使用され得るという利点が実現可能である。
【0012】
好ましくは、閉鎖部材は、清掃装置が清掃装置の前方移動方向へまたは清掃装置の後方移動方向へ移動させられたときに清掃される床上のその摺動運動のためリップの前セクションに作用する摩擦力によって、作動される。この構成の利点は、閉鎖部材が、いかなる補助駆動または装置も用いずに作動させられることが可能であって、作業者によって個別に作動されてはならないという点に見られる。好ましくは、リップは弾性材料で作られており、リップの前セクションが付勢されて前部吸引開口が開放されたその初期構成になるという利点を可能にする。
【0013】
さらなる実施形態において、リップの前セクションは垂直高さHFを有してリップの後セクションは垂直高さHRを有し、前セクションが吸引開口を横切って屈曲可能となるように、HFはHRよりも大きくなっている。これにより、清掃装置が前方移動方向に移動させられたときに、結果的に吸引スロットが閉鎖されて前部吸引ユニットによって生じる吸引がほんのわずかであるかまたは全くなくなるように、リップの前セクションが後セクションの下に曲げられるという利点が実現されることが可能である。清掃装置が後方移動方向に移動させられたとき、リップの前セクションは最初に清掃される床と接触し、前部吸引ユニットの吸引スロットが開放されて前部吸引バーがこの状態において標準吸引バーの機能を実行するように、後方移動方向と反対に、すなわち清掃装置の前端に向かって押される。
【0014】
好ましくは、リップの前セクションは、前部吸引チャネルの吸引開口が完全に閉鎖可能となるように、前セクションの一部が後セクションの下に延在するまで屈曲可能である。
【0015】
さらなる実施形態において、後部吸引ユニットは後部吸引チャネルを含み、前部吸引チャネルおよび後部吸引チャネルはいずれも、単一の真空タービンと流体連通するように、マニホールドに接続されている。この構成の利点は、清掃装置が単一の真空タービンで操作可能であるという点である。好ましくは、清掃ユニットは、真空タービン用の第一電気駆動モータ、および少なくとも1つのブラシ用の少なくとも1つの第二電気駆動モータを含む。
【0016】
やはりさらなる実施形態において、前部吸引ユニットおよび後部吸引ユニットは、清掃装置の前方および後方移動方向を横切って延在する。好ましくは、清掃装置の垂直中間平面に対して直角に測定されたときに、前部吸引ユニットおよび後部吸引ユニットは各々、垂直中間平面に対して直角な少なくとも1つのブラシの寸法以上の長さを有する。
【0017】
別の実施形態において、清掃装置はさらにブラシ筐体を含み、後部吸引ユニットは弾性接続装置によってブラシ筐体に取り付けられて、後部吸引ユニットが弾性接続装置によって提供される弾性抵抗に逆らってシャーシに対して横方向に移動できるようにする。
【0018】
好ましくは、弾性接続装置は、ファスナによってブラシ筐体に装着されたピボットジョイントを形成する、弾性コネクタを含む。好ましくはピボットジョイントは、基本的に垂直に延在する回転軸を有する。
【0019】
別の実施形態において、後部吸引ユニットは湾曲した吸引バー、好ましくは基本的に楕円形に湾曲した吸引バーを含む。
【0020】
さらなる実施形態において、弾性接続装置は、後部吸引ユニットに装着された第一末端および弾性コネクタによってブラシ筐体に取り付けられた第二末端を有する、長尺ブラケットを含む。好ましくは、長尺ブラケットは弾性コネクタによって静止位置で付勢され、静止位置において長尺ブラケットは、清掃装置の前方または後方移動方向に沿って延在する。
【0021】
さらなる実施形態において、少なくとも1つのブラシは、基本的に垂直に延在する回転軸を中心に回転可能である。
【0022】
別の実施形態において、清掃装置はさらに、清掃される床の上で清掃装置を移動させるのに適したハンドルバーを含む。
【0023】
好ましくは、後部吸引ユニットは後輪の前に配置される。この構成は、清掃装置が前方移動方向に移動させられたときに、後輪が清掃される床の濡れた領域の外側を移動するという利点を可能にする。
【0024】
さらなる実施形態において、清掃装置はさらに、シャーシに取り付けられて、清掃装置の前方および後方移動方向に対して垂直に延在するその最小寸法Xを有するレセプタクルとして構成された、第一タンクを含む。好ましくは、清掃装置はさらに、清掃装置の後部分に配置されて、清掃装置の前方または後方移動方向の最小寸法Zを有するレセプタクルとして構成された、第二タンクを含む。
【0025】
別の実施形態において、清掃装置はさらに、シャーシの後端から延在する長尺部材を含むことが可能であり、第二タンクは長尺部材に取り付け可能である。好ましくは、長尺部材の一端は、蝶番によってシャーシに回転可能に装着されている。この構成は、テーブルの下の床を清掃できるように、第二タンクが取り付けられた長尺部材が蝶番の回転軸を中心に後方に回転できるという利点を可能にする。
【0026】
本発明の特殊な実施形態は、例示によって、および以下の添付図面を参照して、後述される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による床清掃装置の実施形態の側面図である。
図2図1に示される本発明による床清掃装置の実施形態の前部分の分解斜視図である。
図3】垂直中間平面に沿ったブラシ筐体の断面図である。
図4図3の詳細Bの拡大断面図である。
図5】第二タンクが垂直および後方傾斜位置で付加的に示された、図1に示される本発明による床清掃装置の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明はその具体的実施形態と併せて記載されるものの、当業者にとって多くの変更、修正、および変形例が自明となることは、明らかである。したがって、添付請求項の精神および広い範囲に含まれるようなすべての変更、修正および変形例を含むように意図される。
【0029】
本明細書において言及されるすべての文献、特許、および特許出願は、個別の各文献、特許、および特許出願が具体的かつ個別に参照により本明細書に組み込まれるのと同じ程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本願のいずれの参考文献の引用または特定も、このような参考文献が本発明に対する従来技術として利用可能であるという許可として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用される限りにおいて、これらは必ずしも限定的に解釈されるべきではない。「comprises(含む)」、「comprising」、「includes(含む)」、「including」、「having(有する)」、およびこれらの活用形は、「〜を含むがこれらに限定されるものではない」ことを意味する。この用語は、「〜からなる」および「基本的に〜からなる」という用語を包含する。
【0030】
用語「前部」、「後部」、「前方」、および「後方」は、前部分を先にして清掃される床上で清掃装置が移動するように、清掃装置の「前方移動方向」に向けられること、すなわち清掃装置の前部分に向かってハンドルバーを手動で押すことに夜清掃装置の運動として、理解される。用語「後方移動方向」は、清掃装置が後部分を先にして床上を移動するように、ハンドルバーを引くことによって反対の移動方向となることを意味する。言い回し「側方」または「横方向に」は、前方および後方移動方向に対して隣に位置するまたは交差方向に延在するものとして理解される。さらに、用語「シャーシの下側」、「シャーシの上側」、「上」、「下」、「垂直」、および「水平」は、清掃される床上に位置する清掃装置を基準とする。
【0031】
用語「シャーシ」は、清掃装置の様々な部品を所定位置で支持および/または保持し、ハンドルバーが装着されて後輪が回転可能に取り付けられる骨組として、理解される。
【0032】
本明細書において使用される際に、「a」、「an」、および「the」は、文脈において別途明確に指示しない限り、複数形を含む。たとえば、用語「a brush(ブラシ)」または「at least one brush(少なくとも1つのブラシ)」は、複数のブラシを含んでもよい。
【0033】
本願全体を通じて、本発明の様々な実施形態が範囲形式において提示される。範囲形式における記載は単なる利便性および簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する固定的な限定として解釈されるべきではないことは、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能性のあるすべての小範囲、ならびにこの範囲内の個々の数値を具体的に開示したと見なされるべきである。たとえば、1から6などの範囲の記載は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの小範囲、ならびにたとえば1、2、3、4、5、および6などのこの範囲内の個別の数字を具体的に開示したと見なされるべきである。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
【0034】
本明細書において数値範囲が示されるときはいつも、提示された範囲内のいずれの引用数値(小数または整数)も含むように意図される。第一表示数と第二表示数との「間の範囲」および第一表示数「から」第二表示数「までの範囲」というフレーズは、本明細書において同義に使用され、第一および第二表示数ならびにその間のすべての小数および整数を含むように意図される。
【0035】
明確さのために個別の実施形態の文脈において記載される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが、理解される。逆に、簡潔さのために単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴はまた、本発明のいずれか別に記載された実施形態において、個別に、またはいずれか適切なサブコンビネーションで、または適切に提供されてもよい。様々な実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、これらの要素がなければ実施形態が機能しないのでない限り、これらの実施形態の不可欠な特徴と見なされるべきではない。本明細書において使用される際に、用語「方法」は、機械工学の熟練者にとって周知の、または彼らによって周知のやり方、手段、手法、および手順から容易に開発されるやり方、手段、手法、および手順を含むがこれらに限定されない、任意のタスクを成就するためのやり方、手段、手法、および手順を指す。
【0036】
用語「例示的」は本明細書において、「例、事例、または説明の役割を果たす」ことを意味するために使用される。「例示的」と記載されるいずれの実施形態も、必ずしも別の実施形態よりも好適または有利であると解釈されるものではなく、および/または別の実施形態からの特徴の組み込みを排除するものではない。
【0037】
用語「随意に」は本明細書において、「ある実施形態では提供されるが別の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用される。本発明のいずれの具体的実施形態も、このような特徴が矛盾しない限り、複数の「随意的な」特徴を含んでもよい。
【0038】
図1から図4は、床12の湿式清掃のための清掃装置1の実施形態を示す。清掃装置1は基本的に、前部分16、2つの側方後輪3を有する後部分17、シャーシ2、およびシャーシ2に取り付けられた清掃ユニット4を含む。例示的には、清掃装置1には、清掃される床12上で清掃装置1を移動させるのに適したハンドルバー6が設けられてもよい。あるいは、清掃装置1はモータによって駆動され、清掃装置1に取り付けられた制御手段を用いて作業者によって制御されることが可能であり、若しくは遠隔操作によって制御されることが可能である。ハンドルバー6は、ハンドルバー6が清掃装置1を前方および後方移動方向に手動で移動させられるように、基本的に垂直に延在する長尺部材9、たとえば支柱によって、シャーシ2に取り付けられることが可能である。本発明による清掃装置1の様々な実施形態において、清掃ユニット4は、1つ以上のブラシ20を含むことができる。例示的には、ただし限定的ではなく、図1から図5に示される清掃装置1の実施形態には、2つのブラシ20を含む清掃ユニット4が設けられている。2つのブラシ20は、ブラシ筐体22に回転可能に取り付けられている。ブラシ20は各々回転軸21を中心に回転可能である。ブラシ20にはたとえば、ただし限定的ではなく、垂直中間平面18の両側で垂直に、および清掃装置の前方および後方移動方向に対して基本的に垂直に延在する、その回転軸21が配置されることが可能である。あるいは、1つ以上のブラシ20には、清掃装置1の横方向に水平に延在するその回転軸21が配置されることが可能である。
【0039】
さらに、清掃ユニット4は、第一タンク15、第二タンク13、好ましくは2つの回転ブラシ20、および汚れた洗浄液の吸い上げを可能にする吸引装置25を含むことができる。第一タンク15は浄水供給のために使用され、その一方で第二タンク13は、床12から吸い上げられた汚れた洗浄水が可撓管33を通じて吸引装置25によって送達される回収水タンクとして使用される。さらに、清掃ユニット4は、真空タービン5を駆動するための第一電気駆動モータ(図示せず)、ならびに各々が2つのブラシ20のうちの1つを駆動するための第二および第三電気駆動モータ(図示せず)を、含むことができる。清掃装置1には、電気駆動モータに電気エネルギーを供給するための電池35、好ましくはリチウムイオン電池が設けられることが可能である。2つのブラシ20は、反対の回転方向に回転することが可能である。
【0040】
好ましくは、第一タンク15は浄水タンクとして構成され、第二タンク13は回収水タンクとして構成される。さらに、第一タンク15は高速固定装置によってシャーシ2に取り外し可能に装着されることが可能であり、第二タンク13は高速固定装置によって長尺部材9に取り外し可能に装着されることが可能である。第一タンク15、すなわち浄水タンクは、第一タンク15からノズル45(図2)を介して各々のブラシ20まで水を流すように、配管および/または可撓管システム(図示せず)に接続されている。ブラシ20は、清掃装置1の前部分16内の後輪3の前に配置されており、清掃される床12と接触可能となるように、シャーシ2の下側19から突起している。ブラシ筐体22は、その下側19においてシャーシ2に取り付けられることが可能である。
【0041】
吸引装置25は、ブラシ20の前に配置された前部吸引ユニット8、少なくとも1つのブラシ20の後方に配置された後部吸引ユニット7、ならびに前部吸引ユニット8および後部吸引ユニット7に動作可能に接続された真空タービン5を、含むことができる。前部および後部吸引ユニット8、7の各々は、ブラシ筐体22に取り付けられることが可能である。前部吸引ユニット8は、線形吸引バーとして構成されることが可能であり、前部吸引チャネル29と、清掃装置1が前方移動方向に移動させられたときに前部吸引チャネル29を閉鎖する閉鎖機構26と、を含むことができる。2つのブラシ20、前部吸引ユニット8、および後部吸引ユニット7は、清掃装置1が図1に示されるように作業位置にあるときに清掃される床12と接触するための、床接触領域44を画定する。閉鎖機構26は、後輪3に対して床接触領域44を上昇させるように清掃装置1が後方に傾斜したときに、前部吸引チャネル29を開放する。これとは別に、閉鎖機構26は、清掃装置1が後方移動方向に移動させられたときに、前部吸引チャネル29を開放する。さらに、後部吸引ユニット7は、前方および後方移動方向への清掃装置1の移動の間に開放している後部吸引チャネル30を含む。これにより、清掃ユニット4の吸引体積流量は、清掃装置1を後方移動方向に移動させることによって単純に増加させられることが可能であり、その一方で後部吸引ユニット7に印加される真空は、前部吸引ユニット8が閉鎖される前方移動方向へ清掃装置1を移動させることによって、増加させられることが可能である。前部吸引チャネル29は、前部吸引ユニット8の全長にわたって清掃される床12に向かって開放している吸引開口24を含む。閉鎖機構26は、清掃装置1が前方移動方向に移動させられたときに前部吸引チャネル29の吸引開口24を閉鎖して、清掃装置1が後方移動方向に移動させられたときに吸引開口24を開放するように、構成されることが可能である。この目的のため、閉鎖機構26は、プラスチックまたはゴムのガスケットとして構成されることが可能なリップ41を含むことができ、リップ41は、その全長に沿って吸引開口24を前方に制限する前セクション27(図3および図4)と、その全長に沿って吸引開口24を後方に制限する後セクション28と、を有することができる。清掃装置1が床接触領域44を清掃される床12と接触させたその作業位置において前方または後方に移動させられたときに閉鎖機構26は、清掃装置がその前方移動方向に、すなわちシャーシ2の前部分16を先にして、あるいは後方移動方向に、すなわちシャーシ2の後部分17を先にして移動させられたときの、清掃される床12上の前セクション27の摺動運動によってリップ41の前セクション27に作用する摩擦力によって、作動、すなわち閉鎖させられ、および/または開放される。
【0042】
好ましくは、リップ41の前セクション27および後セクション28は、弾性材料で作られている。これにより、リップ41の前セクション27は付勢されて、リップ41を含む床接触領域44が清掃される床12から持ち上げられたときに前部吸引開口24が開放する初期構成になることが可能である。リップ41の前セクション27は、ブラシ筐体22の底部から突起している垂直高さHFを有し、リップ41の後セクション28は、ブラシ筐体22の底部から突起している垂直高さHRを有する。その結果、リップ41の前セクション27が前部吸引チャネル29の吸引開口24を横切って屈曲可能となるように、HFはHRよりも大きくなっている。清掃装置1を前方移動方向に移動させると、リップ41の前セクション27は後セクション28の下に曲げられて吸引スロット24は閉鎖される。清掃装置1を後方移動方向に移動させると、リップ41の前セクション27は、前部吸引ユニット8の吸引スロット24が開放されるように清掃装置1の前端38に向かって押される。好ましくは、リップ41の前セクション27は、前部吸引チャネル29の吸引開口24を完全に閉鎖するように、前セクション27の一部がリップ41の後セクション28の下に延在するまで屈曲可能である。前部吸引ユニット8および後部吸引ユニット7は清掃装置1の前方および後方移動方向を横切って延在し、−シャーシ2の垂直中間平面18に対して直角に測定されたときに−前部吸引ユニット8および後部吸引ユニット7は各々、垂直中間平面18に対して直角な2つのブラシ20の寸法以上の長さを有する。さらに、後部吸引ユニット7は後部吸引チャネル30を含み、前部吸引チャネル29および後部吸引チャネル30はいずれも、単一の真空タービン5と流体連通するように、マニホールド31に接続されている。真空タービン5は、清掃装置1の前方および後方移動において洗浄液の活発な吸引のために十分な真空を生じるように構成されている。清掃装置1は、前方移動において全体的な真空能力が後部吸引装置7に集中するように、構成されている。これは、前方移動の間、リップ41の前セクション27が前部吸引装置8におけるいかなる気流も防止するということによる。後方移動の間、前部吸引ユニット8は、気流および洗浄液の活発な吸い上げを許容する。後方移動の間、前部8および後部7の両方の吸引ユニットは、洗浄液を活発に吸い上げる。
【0043】
図1から図3に示されるように、吸引装置25は、弾性接続装置10によってブラシ筐体22に取り付けられた後部吸引ユニット7を含み、後部吸引ユニット7が弾性接続装置10によって提供される弾性抵抗に逆らってシャーシ2に対して横方向に移動できるようにする。弾性接続装置10は、後部吸引ユニット7に装着された第一末端49および弾性コネクタ11によってブラシ筐体22に取り付けられた第二末端50を有する、長尺ブラケット46を含むことができる。長尺ブラケット46の第一末端49は、後部吸引ユニット7のしっかりした固定を提供するために、Y字型であってもよい。弾性コネクタ11は好ましくは、ファスナ47によってブラシ筐体22に装着されたピボットジョイントを形成し、ピボットジョイントは、清掃装置1の前方または後方移動方向に対して垂直に延在する回転軸42を有する。弾性コネクタ11は、プラスチックまたはゴムからなってもよい。弾性コネクタ11の外周は、弾性コネクタ11と長尺ブラケット46との間の回転を防止するために多角形に構成されることが可能であり、あるいは接着またはその他の当業者にとって周知の手段によって長尺ブラケット46に回転可能に安定して装着されることが可能である。弾性コネクタ11によって、長尺ブラケット46は、長尺ブラケット46が清掃装置1の前方または後方移動方向に沿って延在する静止位置で付勢される。後部吸引ユニット7は、ブラシ20のうちの1つの直径の最低30%、好ましくは最低35%の間隔だけ、ブラシ筐体22から後方に離間することが可能である。長尺ブラケット46はブラシ22に弾性的に取り付けられるということのため、後部吸引ユニット7は、清掃装置1が湾曲経路に沿って移動させられたときにブラシ20の経路を辿ることが可能であり、あるいは清掃装置1が、弾性コネクタ11によって提供される弾性抵抗に逆らってその静止位置から後部吸引ユニット7を弾性的に押し出すのに十分なほど垂直壁に沿って移動させられたときに、この壁に対して弾性的に押圧されることが可能である。好ましくは、後部吸引ユニット7は、ブラシが部分的に取り囲まれるように、2つのブラシ20の後部分の周りの弧に沿って延在する、湾曲した吸引バーを含む。2つのブラシを有する清掃装置1の実施形態において、後部吸引ユニット7は好ましくは、ブラシ20の対の後周縁部の一部の周りにより良く適合するように、基本的に楕円形に湾曲した吸引バーとして構成される。さらに、各ストッパピン43は、ブラケット11の旋回運動を制限するように、垂直中間平面18の片側のブラシ筐体22の上側に実装されることが可能である。好ましくは、ストッパピン43は、最大±60°、好ましくは最大±45°および最低±30°、好ましくは最低±35°以内に、ブラケット11の旋回運動を制限する。
【0044】
図5に最もわかりやすく示されるように、第一タンク15はシャーシ2に取り付け可能であり、清掃装置1の前方および後方移動方向に対して垂直に延在するその最小寸法Xを有するレセプタクルとして構成されている。さらに、清掃装置1は、シャーシ2の末端からハンドルバー6まで延在する長尺部材9を含むことができ、第二タンク13は長尺部材9に取り付け可能である。第二タンク13は、長尺部材9およびハンドルバー6によって画定される平面に対して基本的に直角に延在する最小寸法Zを有する。長尺部材9の一端は、清掃装置1の横方向に延在する回転軸40を有する蝶番39によって、シャーシ2に回転可能に装着されることが可能である。これにより、第二タンク13が取り付けられた長尺部材9は、テーブルの下またはベンチの下の床12を清掃できるように、蝶番の回転軸40を中心に後方に回転できる。長尺部材9は調整可能であり、水平面に対して−90°から+90°の間の選択された角度で弛緩可能に固定可能である。このため、第二タンク13が取り付けられた長尺部材9は、最小空間上で清掃装置1を脇へ置くのに適した基本的に垂直な位置から、清掃装置1全体の全高を縮小させられる水平位置まで、回転させられることが可能である。ブラシ20および後部吸引ユニット7は、清掃装置1が作業位置にあるときに床接触領域44を画定し、第一タンク15は床接触領域44に対して最大40cm、好ましくは最大35cmの高さまで、垂直に延在することができる。好適な実施形態において、第一および第二タンク15、13の各々は、通常9リットルの容積を有することができる。一実施形態において、清掃装置1は付加的に、蝶番39の回転軸40を中心に長尺部材9を回転させるための機械的作動装置(図示せず)、好ましくはレバーホイストを含むことができる。このため、第二タンク13の重量は、第二タンク13が取り付けられた長尺部材9の調整の間にユーザによって垂直位置から水平位置へ、またはその逆に、手動で持ち上げられまたは下ろされてはならない。第二タンク13の重量は、機械的作動装置によって持ち上げられまたは下ろされることが可能である。好ましくは、第一タンク15は、最大水平断面積を有するように、清掃装置1の前および後部分16、17の上に長手方向に延在する。第一タンク15は、たとえばベンチの下の床12を清掃するのに適した清掃装置1の前下部分16を実現するために、シャーシ2の前端38に向かって先細っていてもよい。
【0045】
本発明の様々な説明が上記に記載されたが、様々な特徴が単独で、またはいずれかの組み合わせにおいて使用可能であることは、理解されるべきである。本発明の範囲は、添付請求項に明記されるように、相応に定義される。
図1
図2
図3
図4
図5