(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラットフォームの前記第3の面は、前記プラットフォームの前記第3の面もまた半径方向を向くように、前記長手方向軸線に対して、ある角度をなして前記プラットフォームの前記第1の面から半径方向内側に延在する、請求項1に記載のシールアセンブリ。
隣接する溝の入口間の円周方向の間隔は、各対応する溝の側壁の中間点での前記溝の周方向幅よりも小さく、かつ、隣接する溝の出口間の円周方向の間隔は、各対応する溝の前記側壁の中間点での前記溝の前記周方向幅よりも大きい、請求項1に記載のシールアセンブリ。
前記ベーン溝は、前記インナーシュラウドの軸方向端部から遠位に置かれたその入口から、前記インナーシュラウドの前記軸方向端部に隣接して置かれたその出口へと、前記入口が前記出口よりも幅広であるように先細化されている、請求項9に記載のシールアセンブリ。
隣接する溝の入口間の円周方向の間隔は、各対応する溝の側壁の中間点での前記溝の周方向幅よりも小さく、かつ、隣接する溝の出口間の円周方向の間隔は、各対応する溝の前記側壁の中間点での前記溝の前記周方向幅よりも大きい、請求項12に記載のシールアセンブリ。
前記ベーン溝は、前記インナーシュラウドの軸方向端部から遠位に置かれたその入口から、前記インナーシュラウドの前記軸方向端部に隣接して置かれたその出口へと、前記入口が前記出口よりも幅広であるように先細化されている、請求項16に記載のシールアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付図面に対する参照がなされるが、この図面には、限定ではなく例示として、本発明を実施し得る特定の好ましい実施形態が示されている。別な実施形態が採用されてもよく、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく変更が施されてもよいことを理解されたい。
【0011】
図1を参照すると、タービンエンジン10の一部が大まかに示されており、これは、アウターケーシング(図示せず)から懸架されかつ環状インナーシュラウド16に対して固定された複数のベーン14を含む静止ベーンアセンブリ12と、複数のブレード20およびタービンローター24の一部を形成するローターディスク構造体22を含むブレードアセンブリ18とを含む。ベーンアセンブリ12およびブレードアセンブリ18は、全体として、本明細書では、エンジン10のタービンセクション26の「ステージ」と呼ぶことができるが、それは、当業者には明らかであるように複数のステージを含み得る。ベーンアセンブリ12およびブレードアセンブリ18は、エンジン10の長手方向軸線L
Aを規定する軸方向に互いに離間されており、
図1に示すベーンアセンブリ12は、タービンセクション26の入口26Aおよび出口26Bに関して図示するブレードアセンブリ18から上流に存在する(
図1および
図3参照)。
【0012】
ローターディスク構造体22は、プラットフォーム28、ブレードディスク30、そしてエンジン10の運転中にローター24と共に回転するブレードアセンブリ18と関連付けられたその他の構造体、例えば、ルート、サイドプレート、シャンクなどを含んでいてもよい。
【0013】
ベーン14およびブレード20は、タービンセクション26内に形成された環状高温ガス流路34内へと延びている。高温燃焼ガスを含む作動ガスH
G(
図3参照)は、エンジン10の運転中、高温ガス流路34を通って導かれ、そしてベーン14およびブレード20を経て、残るステージへと流れる。高温ガス流路34を作動ガスH
Gが通過することによって、ブレード20の回転が引き起こされ、そして対応するブレードアセンブリ18がタービンローター24を回転させる。
【0014】
図1を参照すると、ディスクキャビティ36が、環状インナーシュラウド16とローターディスク構造体22との間に、高温ガス流路34から半径方向内内側に配置されている。例えば圧縮機吐出エアなどのパージエアP
Aが、インナーシュラウド16およびローターディスク構造体22を冷却するために、ディスクキャビティ36内に提供される。パージエアP
Aはまた、ディスクキャビティ36内への作動ガスH
Gの流れに対抗するために、高温ガス流路34を通って流れる作動ガスH
Gの圧力に対する圧力バランスを実現する。パージエアP
Aは、ローター24を通るように形成された冷却通路(図示せず)から、かつ/または必要に応じてその他の上流側通路(図示せず)からディスクキャビティ36へと提供できる。通常は、残りのインナーシュラウド16と、対応する隣接ローターディスク構造体22との間に、さらなるディスクキャビティ(図示せず)が設けられることに留意されたい。
【0015】
図1ないし
図3に示すように、図示の実施形態におけるインナーシュラウド16は、そこからベーン14が延在する、概ね半径方向を向いて延在する第1の面40を備える。図示の実施形態における第1の面40は、インナーシュラウド16の軸方向上流側端部42から、軸方向下流側端部44へと延在する(
図2および
図3参照)。インナーシュラウド16はさらに、隣接するブレードアセンブリ18から離れるように、インナーシュラウド16の軸方向下流側端部44からインナーシュラウド16の概ね軸方向に面する第3の面48へと延在する半径方向内側かつ軸方向下流側を向く第2の面46を備える(
図1および
図2参照)。図示の実施形態におけるインナーシュラウド16の第2の面46は、長手方向軸線L
Aに平行な直線L1に対して角度βで下流側端部44から延在し、すなわち第2の面46もまた長手方向軸線L
Aに対して角度βで下流側端部44から延在し、この角度βは好ましくは約30〜60°であり、図示する実施形態では約45°である(
図1参照)。第3の面48は、第2の面46から半径方向内側に延在し、かつ、隣接するブレードアセンブリ18のローターディスク構造体22に面している。
【0016】
インナーシュラウド16およびローターディスク構造体22のコンポーネントは、各ベーン14およびブレード20から半径方向内側で、高温ガス流路34とディスクキャビティ36との間に環状シールアセンブリ50を形成するように協働する。環状シールアセンブリ50は、高温ガス流路34からディスクキャビティ36内への作動ガスH
Gの取り込みを防止するのを助け、そして、以下で説明するように、高温ガス流路34を通る作動ガスH
Gの流動方向を基準として所望の方向にディスクキャビティ36からパージエアP
Aの一部を供給する。ここで説明したものと類似の付加的なシールアセンブリ50が、高温ガス流路34から各ディスクキャビティ36内への作動ガスH
Gの取り込みを防止するのを助けるために、そして、以下で説明するように、高温ガス流路34を通る作動ガスH
Gの流動方向を基準として所望の方向にディスクキャビティ36からパージエアP
Aを供給するために、エンジン10の残りのステージのインナーシュラウド16と隣接ローターディスク構造体22との間に設けられてもよいことに留意されたい。
【0017】
図1ないし
図3に示すように、シールアセンブリ50は、ベーンおよびブレードアセンブリ12,18の一部分を含む。特に、図示の実施形態では、シールアセンブリ50は、インナーシュラウド16の第2および第3の面46,48と、ローターディスク構造体22のプラットフォーム28の軸方向上流側端部28Aとを備える。これらのコンポーネントは、ディスクキャビティ36からのパージエアP
Aのための出口52を画定するように協働する(
図1および
図3参照)。
【0018】
シールアセンブリ50はさらに、本明細書ではベーン溝とも呼ばれる複数の溝60を備え、この溝60は、インナーシュラウド16の第2および第3の面46,48内へと延在する。溝60は、周方向にコンポーネントを有するスペース62が隣接溝60間に形成されるように配置される(
図2および
図3参照)。スペース62のサイズは、エンジン10の特定の構成に応じて変更可能であり、かつ、溝60からのパージエアP
Aの放出を微調整するために選択可能であり、溝60からのパージエアP
Aの放出については、以下でさらに詳しく説明する。
【0019】
図2に最も明瞭に示すように、溝60の入口64は、高温ガス流路34に向けて放出されるべきディスクキャビティ36からのパージエアP
Aが溝60に入る場合、その第3の面48におけるインナーシュラウド16の軸方向端部44から遠位に配置され、かつ、溝60のアウトレットすなわち出口66は、パージエアP
Aが溝60から放出される場合、その第2の面46におけるインナーシュラウド16の軸方向端部44に近接して配置される。
図2Aを参照すると、溝60は、好ましくは、入口64の幅W
1が出口66の幅W
2よりも広いように、その入口64からその出口66へと先細化されており、ここで、幅W
1,W
2は、各溝を通過するパージエアP
Aの一般的な流れの方向に対して略垂直な方向において溝60を画定するインナーシュラウド16の対向する側壁S
W1,S
W2間でそれぞれ測定されたものである。こうした溝60の先細化は、以下で説明するように、ディスクキャビティ36内への作動ガスH
Gの取り込みをより効果的に防止するために、溝60からのパージエアP
Aのより集中しかつ影響力のある放出を実現すると考えられる。
【0020】
図3に示すように、溝60はまた、好ましくは、その入口64が、タービンローター24の回転方向D
Rに関して、その出口66から上流側に配置されるように、周方向に傾斜しかつ/または湾曲している。こうした溝60の傾斜および/または湾曲は、パージエアP
Aが高温ガス流路34を通過する作動ガスの流れに関して所望の方向に流れるように、ディスクキャビティ36から溝60を出て高温ガス流路34に向うパージエアP
Aの誘導を実現する。特に、本発明のこの態様に係る溝60は、パージエアP
Aの流れの方向が、高温ガス流路34の対応する軸方向位置において、作動ガスH
Gの流れの方向と共に概ね整列させられるように、ディスクキャビティ36からのパージエアP
Aを誘導するが、高温ガス流路34の対応する軸方向位置での作動ガスH
Gの流れの方向は、概して、ベーン14の後縁14Aの出口角度と平行である。
【0021】
図1ないし
図3を参照すると、シールアセンブリ50はさらに、その第3の面48からブレードアセンブリ18のブレードディスク30に向かって延在するインナーシュラウド16の概ね軸方向に延在するシール構造体70を備える。
図1および
図3に示すように、シール構造体70の軸方向端部70Aは、ブレードアセンブリ18のブレードディスク30に非常に近接している。シール構造体70は、インナーシュラウド16の一体部分として形成されてもよく、あるいは、インナーシュラウド16と別個に形成され、それに対して取り付けられてもよい。
図1に示すように、シール構造体70は、好ましくは、ディスクキャビティ36内への高温ガス流路34からの取り込みが蛇行経路を経て移動しなければならないように、プラットフォーム28の上流側端部28Aとオーバーラップする。
【0022】
エンジン10の運転中、高温ガス流路34を高温作動ガスH
Gが通過することによって、ブレードアセンブリ18およびタービンローター24は、
図3に示す回転方向D
Rに回転させられる。
【0023】
ディスクキャビティ36と高温ガス流路34との圧力差(ディスクキャビティ36内の圧力は高温ガス流路34内の圧力よりも高い)は、ディスクキャビティ36内に置かれたパージエアP
Aを高温ガス流路34に向って流動させる(
図1参照)。パージエアP
Aがインナーシュラウド36の第3の面48に到達するとき、パージエアP
Aの一部は溝60の入口64に流入する。パージエアP
Aのこの部分は溝60を通って半径方向外向きに流れ、続いて、インナーシュラウド16の第2の面46内の溝60の一部に到達すると、パージエアP
Aは、隣接するブレードアセンブリ18に向かって溝60内で半径方向外向きおよび軸方向に流れる。上述したような溝の傾斜および/または湾曲によって、作動ガスH
Gがベーン14の後縁14Aを出た後に流動しているときと概して同じ方向にパージエアP
Aが溝60から放出されるように、パージエアP
Aは周方向の速度成分を備える(
図3参照)。
【0024】
溝60からのパージエアP
Aの放出は、強制的に作動ガスH
Gをシールアセンブリ50から離すことによって、高温ガス流路34からディスクキャビティ36内への高温作動ガスH
Gの取り込みを制限するのを助ける。シールアセンブリ50が、高温ガス流路34からディスクキャビティ36内への高温作動ガスH
Gの取り込みを制限するので、シールアセンブリ50は、より少ない量のパージエアP
Aがディスクキャビティ36に提供されることを可能とし、これによってエンジン効率が増大する。
【0025】
さらに、パージエアP
Aは、ベーン14の後縁14Aを出た後に作動ガスH
Gが高温ガス流路34を通って流れるときと概して同じ方向にパージエアP
Aが溝60から放出されるので、作動ガスH
Gと混じり合うパージエアP
Aと関連付けられた圧力損失は僅かであり、したがってエンジン効率がさらに増大する。これは特に本発明の溝60によって実現される。というのは、それらが、溝60が周方向に傾斜および/または湾曲させられた結果として、ベーン14の後縁14Aを出た後の高温作動ガスH
Gの流れと略同じ周方向に溝60からパージエアP
Aが放出されることに加えて、溝60から放出されたパージエアP
Aが高温ガス流路34を通る高温作動ガスH
Gの下流側流動方向に軸方向に流れるように、インナーシュラウド16の下流側端部44に形成されるからである。インナーシュラウド16に形成された溝60は、したがって、プラットフォーム28の上流側端部28Aにそれらが形成された場合よりも、作動ガスH
Gと混じり合うパージエアP
Aと関連付けられる低い圧力損失を提供すると考えられる。というのは、プラットフォーム28の上流側端部28Aに形成された溝から放出されるパージエアは、高温ガス流路34を通る高温作動ガスH
Gの流動方向に関して上流側に軸方向に流れ、これによって混合と関連付けられた大きな圧力損失を生じるからである。
【0026】
溝60の角度および/または湾曲は、溝60からのパージエアP
Aの放出方向を微調整するために変化させることができることに留意されたい。これは、ベーン14の後縁14Aの出口角に基づいて、かつ/または高温ガス流路34を通って流れる作動ガスH
Gと混じり合うパージエアP
Aと関連付けられた圧力損失の程度を変化させるために、望ましいであろう。
【0027】
さらに、溝60の入口64は、インナーシュラウド16の第3の面48に、さらに半径方向内側にまたは外側に配置されてもよく、あるいは入口64は、溝60の全体がインナーシュラウド16の第2の面46に配置されるようにインナーシュラウド16の第2の面46に配置されてもよい。
【0028】
最後に、本明細書で説明する溝60は、好ましくは、インナーシュラウド16と共に鋳造され、あるいはインナーシュラウド16に機械加工される。したがって、溝60の製造の構造的完全性および複雑さは、インナーシュラウド16と別個に形成されかつそれに固定されたリブに対して改善されると考えらる。
【0029】
図4を参照するとタービンエンジン110の一部が示されているが、
図1ないし
図3を参照して先に説明したものと同様の構造体は、100だけ増えた同じ参照数字を含む。エンジン100が大まかに示されており、それは、アウターケーシング(図示せず)から懸架されかつ環状インナーシュラウド116に固定された複数のベーン114を含む静止ベーンアセンブリ112と、ベーンアセンブリ112から下流側にあって複数のブレード120およびタービンローター124の一部を形成するローターディスク構造体122を含むブレードアセンブリ118とを含む。ベーンアセンブリ112およびブレードアセンブリ118は、本明細書では、まとめて、エンジン110のタービンセクション126の「ステージ」と呼ぶことができるが、このタービンセクション126は、当業者には明らかであるように、複数のステージを含むことができる。ベーンアセンブリ112およびブレードアセンブリ118は、エンジン110の長手方向軸線L
Aを規定する軸方向に互いに離間させられており、ここで、
図4に示すベーンアセンブリ112は、タービンセクション126のインレット126Aおよびアウトレット126Bに対して図示するブレードアセンブリ118から上流側に存在する(
図4および
図6参照)。
【0030】
ローターディスク構造体122は、プラットフォーム128、ブレードディスク130、および、例えばルート、サイドプレート、シャンク等の、エンジン10の運転中にローター124と共に回転するブレードアセンブリ118と関連付けられた、その他の構造体を備える(
図4参照)。
【0031】
ベーン114およびブレード120は、タービンセクション126内に画定される環状の高温ガス流路134内へと延在する。高温の燃焼ガスを含む作動ガスH
G(
図6参照)は、エンジン10の運転中、高温ガス流路134を通って誘導され、そして残余のステージへとベーン114およびブレード120を通過して流れる。高温ガス流路134を作動ガスH
Gが通過することによってブレード120および対応するブレードアセンブリ118の回転が引き起こされ、タービンローター124の回転が生じる。
【0032】
図4に示すように、ディスクキャビティ136は、環状インナーシュラウド116とローターディスク構造体122との間で高温ガス流路134から半径方向内側に配置される。例えば圧縮機放出エアのようなパージエアP
Aは、インナーシュラウド116およびローターディスク構造体を冷却するためにディスクキャビティ136内に供給される。パージエアP
Aはまた、ディスクキャビティ136内への作動ガスH
Gの流入に対抗するために高温ガス流路134を通って流れる作動ガスH
Gの圧力に対する圧力バランスを提供する。パージエアP
Aはまた、ローター124を通って形成された冷却流路(図示せず)から、かつ/または必要に応じてその他の上流側流路からディスクキャビティ136に提供されてもよい。通常は、付加的なディスクキャビティ(図示せず)が、残りのインナーシュラウド116と、対応する隣接ローターディスク構造体122との間に設けられることに留意されたい。
【0033】
図4ないし
図6を参照すると、図示のプラットフォーム128は、そこからブレード120が延在する概ね半径方向外側を向く第1の面138を備える。図示の実施形態における第1の面138は、プラットフォーム128の軸方向上流側端部140から軸方向下流側端部142へと延在する(
図5および
図6参照)。
【0034】
プラットフォーム128はさらに、隣接ベーンアセンブリ112から離れるように、プラットフォーム128の軸方向上流側端部140から延在する半径方向内側を向く第2の面144を備える(
図4、
図5および
図5A参照)。
【0035】
プラットフォーム128の軸方向上流側端部140は、半径方向外側および軸方向上流側を向く第3の面146と、この第3の面146から第2の面144へと延在すると共に隣接ベーンアセンブリ112のインナーシュラウドに面する略軸方向を向く第4の面148とを備える。図示する実施形態におけるプラットフォーム128の第3の面146は、長手方向軸線L
Aと平行な線L
2に対して角度θで第1の面138から延在するが、この角度θは、好ましくは約30〜60°であり、図示の実施形態では約45°である(
図4参照)。
【0036】
プラットフォーム128および隣接するインナーシュラウド116のコンポーネントは、それぞれのブレード120およびベーン114から半径方向内側で、高温ガス流路134とディスクキャビティ136との間に環状シールアセンブリ150を形成するように協働する。環状シールアセンブリ150は、高温ガス流路134からディスクキャビティ136内への作動ガスH
Gの取り込みを防止するのを助け、そして、本明細書で説明するように、高温ガス流路134を通る作動ガスH
Gの流動方向を基準として所望の方向にディスクキャビティ136からパージエアP
Aの一部を提供する。本明細書で説明したものと類似の付加的なシールアセンブリ150が、高温ガス流路134からディスクキャビティ136内への作動ガスH
Gの取り込みを防止するのを助け、そして、本明細書で説明するように、高温ガス流路134を通る作動ガスH
Gの流動方向を基準として所望の方向にディスクキャビティ136からパージエアP
Aの一部を提供するために、エンジン110の残りのステージのプラットフォーム128と、隣接するインナーシュラウド116との間に設けられてもよいことに留意されたい。
【0037】
図4ないし
図6に示すように、シールアセンブリ150はベーンおよびブレードアセンブリ112,118の一部を備える。特に、図示された実施形態において、シールアセンブリ150は、プラットフォーム128の第3および第4の面146,148、ならびに隣接ベーンアセンブリ112のインナーシュラウド116の軸方向下流側端部116Aを備える。これらのコンポーネントは、ディスクキャビティ136からのパージエアP
Aのためのアウトレット152を画定するように協働する(
図4および
図6参照)。
【0038】
シールアセンブリ150はさらに、プラットフォーム128の第3および第4の面146,148内に延在する、本明細書ではブレード溝とも呼ばれる複数の溝160を備える。溝160は、タービンローター124およびローターディスク構造体122の回転方向D
Rによって規定される周方向にコンポーネントを有するスペース162が、隣接する溝160間に形成されるように配置される(
図5、
図5Aおよび
図6参照)。スペース162のサイズは、エンジン110の特定のサイズに応じて変更可能であり、そして溝160からのパージエアP
Aの放出を微調整するために選択可能であり、溝160からのパージエアP
Aの放出については以下でさらに詳しく説明する。
【0039】
図5Aに最も明瞭に示すように、溝160の入口164(ここで、高温ガス流路134に向けて放出されるべきディスクキャビティ136からのパージエアP
Aが溝160に入る)は、プラットフォーム128の第1の面138から遠位にあるプラットフォーム128の第4の面148に配置される。溝160のアウトレットすなわち出口166(ここでパージエアP
Aは溝160から放出される)は、その第3の面146においてプラットフォーム128の第1の面138に対して近接して配置される。溝160は、好ましくは、溝入口164の幅W
1が溝出口166の幅W
2よりも広いように、その入口164からその出口166へと先細化されており、ここで、W
1,W
2は、それぞれの溝160を通過するパージエアP
Aの一般的な流動方向に対して略垂直な方向を基準として、溝160を形成するプラットフォーム128の対向する側壁S
W1,S
W2間でそれぞれ測定されたものである。こうした溝160の先細化は、本明細書で説明するように、ディスクキャビティ136内への作動ガスH
Gの取り込みをより効果的に防止するように、溝160からのパージエアP
Aのより集中しかつ有効な放出を実現すると考えられる。
【0040】
さらに、依然として
図5Aを参照すると、隣接する溝入口164間の円周方向間隔C
SEは、その側壁中間点M
Pにおいて各溝160の周方向幅W
3よりも小さく、かつ、隣接する溝アウトレット166間の円周方向間隔C
SOは、その側壁中間点M
Pにおいて各溝160の周方向幅W
3よりも大きい。溝160のこれらの寸法は、溝160からの改善されたパージエアP
A流性能を提供すると考えられるが、これについては以下でさらに説明する。
【0041】
図5を参照すると、溝160はまた、好ましくは、その入口164の少なくとも一部が、タービンローター124およびローターディスク構造体122の回転方向D
Rを基準として、その出口166の少なくとも一部から下流側に配置されるように、周方向に傾斜かつ/または湾曲させられる。こうした溝160の傾斜および/または湾曲は、パージエアP
Aが高温ガス流路134を通る作動ガスH
Gの流れを基準にして所望の方向に流れるように、ディスクキャビティ136から溝160を出て高温ガス流路134に向かうパージエアP
Aの誘導をもたらす。特に、本発明の態様に係る溝160は、パージエアP
Aの流動方向が、概して、高温ガス流路134の対応する軸方向位置において作動ガスH
Gの流動方向と整列させられるように、ディスクキャビティ136からのパージエアP
Aを誘導するが、高温ガス流路134の対応する軸方向位置における作動ガスH
Gの流動方向は、概して、ベーン114の後縁114Aの出口角度と平行である(
図6参照)。
【0042】
図4および
図6に示すように、シールアセンブリ150はさらに、ブレードアセンブリ118のブレードディスク130に向って延在するインナーシュラウド116の略軸方向に延在するシール構造体170を備える。シール構造体170の軸方向端部170Aは、好ましくは、シール構造体170がプラットフォーム128の上流側端部140とオーバーラップするように、ブレードアセンブリ118のブレードディスク130のごく近傍に存在する。そうした形態は、最終的に溝160を通って高温ガス流路134内へと流れる冷却流体の量を制御/制限し、また、シール構造体170の内側に置かれたディスクキャビティ136の一部内への作動ガスH
Gの取り込み量を制限し、すなわち高温ガス流路134からディスクキャビティ136内へ取り込まれた作動ガスH
Gは曲がりくねった経路を通って移動しなければならない。シール構造体170はインナーシュラウド116の一体部分として形成されてもよく、あるいはインナーシュラウド116とは別に形成され、それに対して取り付けられてもよい。
【0043】
エンジン10の運転中、高温ガス流路134を高温作動ガスH
Gが通過することによって、ブレードアセンブリ118およびタービンローター124は、
図5および
図6に示す回転方向D
Rに回転させられる。
【0044】
ディスクキャビティ136と高温ガス流路134との間の圧力差(すなわちディスクキャビティ136内の圧力は高温ガス流路134内の圧力よりも高い)によって、ディスクキャビティ136内に位置するパージエアP
Aは高温ガス流路134に向って流動させられる(
図4参照)。パージエアP
Aがプラットフォーム128の第4の面148に到達するとき、パージエアP
Aの一部は溝160の入口164に流入する。パージエアPAのこの部分は溝160を通って半径方向外側に流れ、そして、その後、プラットフォーム128の第3の面146内の溝160の一部に到達したとき、パージエアP
Aは、隣接する上流側ベーンアセンブリ112から離れるように溝160内で半径方向外側にかつ軸方向に流れる。回転方向D
Rへのタービンローター124およびローターディスク構造体122と一緒になった溝160の回転と組み合わされた上述したような溝の傾斜および/または湾曲によって、パージエアP
Aが、作動ガスH
Gが上流側ベーン114の後縁114Aを出た後に流動しているのと概ね同じ方向に溝160から放出されるように、パージエアP
Aは周方向速度成分を備える(
図6参照)。
【0045】
溝160からのパージエアP
Aの放出は、シールアセンブリ150から離れるように作動ガスH
Gを押しやることによって、高温ガス流路134からディスクキャビティ136内への高温作動ガスH
Gの取り込みを制限するのを助ける。シールアセンブリ150がディスクキャビティ136内への高温ガス流路134からの作動ガスH
Gの取り込みを制限するので、シールアセンブリ150は、より少量のパージエアP
Aがディスクキャビティ136へと供給されることを可能とし、すなわちディスクキャビティ136内のパージエアP
Aの温度はディスクキャビティ136内に入る大量の作動ガスH
Gによって実質的に上昇しないので、エンジン効率が増大する。
【0046】
さらに、パージエアP
Aは、作動ガスH
Gが、上流ベーンの114の後縁114Aを出た後に高温ガス流路134を通って流れるのと概ね同じ方向に溝160から放出されるので、作動ガスH
Gと混ざり合うパージエアP
Aと関連付けられた圧力損失は僅かであり、したがって、さらにエンジン効率が増大する。これは、特に本発明の溝160によって実現される。というのは、それらは、溝160がタービンローター124およびローターディスク構造体122と共に回転しかつ周方向に傾斜および/または湾曲させられた結果として、パージエアP
Aが上流ベーンの114の後縁114Aを出た後の高温ガス流路134の流れと概ね同じ周方向に溝160から放出されるのに加えて、溝160から放出されたパージエアP
Aが高温ガス流路134を経て高温作動ガスH
Gの下流側流動方向に軸方向に流れるように、プラットフォーム128の上流側端部140の傾斜した第3の面146に形成されるからである。
【0047】
溝160の傾斜および/または湾曲は、溝160からのパッケージングP
Aの放出方向を微調整するために変更可能であることに留意されたい。これは、ベーン114の後縁114Aの出口角度に基づいて、かつ/または、パージエアP
Aは高温ガス流路134を通って流れる作動ガスH
Gと混ざり合うパージエアP
Aと関連付けられた圧力損失の量を変化させるために好ましいであろう。
【0048】
溝160の入口164はプラットフォーム128の第4の面148において、さらに半径方向内側にまたは外側に配置することができ、あるいは入口164は、溝160の全体がプラットフォーム128の第3の面146に配置されるであろうようにプラットフォーム128の第3の面146に配置することができることに留意されたい。
【0049】
本明細書で説明した溝160は、好ましくは、プラットフォーム128と共に鋳造され、あるいはプラットフォーム128に機械加工される。したがって、溝160の製造の構造的完全性および複雑性は、プラットフォーム128とは別個に形成されかつそれに対して取り付けられるリブに対して改善されると考えられる。
【0050】
図7を参照すると、本発明のさらなる態様に係るシールアセンブリ200が図示されており、ここで、
図4ないし
図6を参照して説明したものと類似の構造体は、100だけ増加した同じ参照番号を含む。この実施形態では、ブレードプラットフォーム228に形成された溝260は対向する第1および第2の側壁S
W1,S
W2によって形成され、第1の側壁S
W1は、概して半径方向に延在しかつ円周方向を向く壁を備え、かつ、第2の側壁S
W2は軸方向および周方向を向く概して半径方向に延在する壁を備える。この実施形態に係る側壁S
W1,S
W2は略直線状であり、したがって、それ自体、周方向速度成分を備えた溝260から出るパージエアP
Aを提供しないが、プラットフォーム228を含むブレードアセンブリ218は、
図4ないし
図6を参照して説明したように、運転中、回転方向D
Rに回転するので、溝260から出るパージエアP
Aは、それにもかかわらず、回転方向D
Rへのブレードアセンブリ218と一緒になった溝260の回転によって引き起こされる周速度成分を含む。したがって、本発明のこの態様に係る溝260から出るパージエアP
Aは、高温作動ガスが高温ガス流路234に沿って移動するのと概ね同じ方向に流れる。
【0051】
図8を参照すると、本発明のさらなる態様に係るシールアセンブリ300が示されている。
図8に示すシールアセンブリ300は、静止ベーンアセンブリ306のインナーシュラウド304に配置された第1の溝302(本明細書ではベーン溝とも呼ばれる)と、回転ブレードアセンブリ312のプラットフォーム310に配置された第2の溝308(本明細書ではブレード溝とも呼ばれる)とを含む。第1の溝302は、
図1ないし
図3を参照して説明した溝60と実質的に類似していてもよく、第2の溝308は、
図4ないし
図6を参照して説明した溝160と実質的に類似していてもよい。本発明のこの態様に係るシールアセンブリ300は、シールアセンブリ300と関連付けられたディスクキャビティ316内への高温ガス流路314からの作動ガスH
Gの取り込みをさらに制限することが可能であり、これによって、さらに少ない量のパージエアP
Aのディスクキャビティ316への供給が可能となり、これによってさらにエンジン効率が増大する。
【0052】
本発明の特定の実施形態を例示し説明してきたが、その他のさまざまな変更および改変を本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなし得ることは当業者には明白であろう。したがって、特許請求の範囲に本発明の範囲内にある全てのそうした変更および改変を包含することが意図される。