特許第6189511号(P6189511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189511
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】組織の状態を検出する電子装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0408 20060101AFI20170821BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20170821BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20170821BHJP
   A61B 5/05 20060101ALI20170821BHJP
   A61B 8/08 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A61B5/04 300J
   A61B5/04 300W
   A61B5/05 B
   A61B5/04 300M
   A61B8/08
【請求項の数】15
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2016-199195(P2016-199195)
(22)【出願日】2016年10月7日
(62)【分割の表示】特願2014-528698(P2014-528698)の分割
【原出願日】2012年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-12838(P2017-12838A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】61/530,283
(32)【優先日】2011年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/540,421
(32)【優先日】2011年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/541,762
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/649,035
(32)【優先日】2012年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/681,545
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511088449
【氏名又は名称】エムシー10 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MC10,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ディクソン、アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カーベック、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】カシベンスキー、アイザイア
(72)【発明者】
【氏名】シュラトカ、ベン
【審査官】 永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0248946(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/082993(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04 − 5/0492
A61B 5/05 − 5/053
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の状態を監視するための装置であって、
前記組織上に配設された少なくとも2つの導電性構造であって、前記少なくとも2つの導電性構造の各々は、非線形構成を有し、前記少なくとも2つの導電性構造は、互いに実質的に平行に配設される、前記少なくとも2つの導電性構造と、
少なくとも2つのブレース構造であって、前記少なくとも2つのブレース構造の各々が、前記少なくとも2つの平行な導電性構造の向きに対して実質的に垂直に配設され、前記少なくとも2つの平行な導電性構造のうちの少なくとも1つの導電性構造との電気通信状態にある、前記少なくとも2つのブレース構造と、
少なくとも1つの非線形スペーサ構造であって、実質的に均一な離隔が前記少なくとも2つのブレース構造の間において維持されるように、前記少なくとも1つのスペーサ構造の各々の端部が、前記少なくとも2つのブレース構造の各々のブレース構造の一部分に物理的に結合され、前記少なくとも1つの非線形スペーサ構造は、前記少なくとも2つのブレース構造の各々と同一平面上にある、前記少なくとも1つの非線形スペーサ構造とを備え、
前記装置を使用した前記組織の電気特性の計測は、前記組織の状態の通知を提供する、装置。
【請求項2】
前記組織の状態は、前記組織の水分補給状態、失われた汗の容積、前記組織の機械的特性、前記組織の疾病状態、又は前記組織のSPF保護のレベルである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの導電性構造の各々は、ジグザグの形態、曲がりくねった構成、又は波打った構成を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つのブレース構造の各々は、導電性材料から形成され、
前記少なくとも2つのブレース構造の各々は、前記少なくとも2つの導電性構造を外部回路に対して電気的にリンクしている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つのブレース構造は、前記少なくとも2つの導電性構造のうちの隣接する導電性構造の離隔を実質的に均一な値に維持する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの非線形スペーサ構造の各々は、前記少なくとも2つの平行な導電性構造の主方向に対して実質的に平行に配設される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つのブレース構造の各々は、前記装置の少なくとも1つの電気接点との電気通信状態にあり、
前記少なくとも1つの電気接点は、電源、無線受信機、無線送信機、無線トランシーバ、及び温度センサの少なくとも1つとの電気通信状態にある、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、隣接する導電性構造の間に配設された複数のクロスリンク構造を更に備え、
前記複数のクロスリンク構造の各々のクロスリンク構造は、誘電材料から形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記少なくとも2つの導電性構造の少なくとも一部分上に配設されたカプセル化層を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記カプセル化層の一部分は、接着剤を有し、
前記接着剤は、前記カプセル化層の前記部分を前記組織に対して装着する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、隣接する導電性構造の間に配設された複数のクロスリンク構造を更に備え、
前記複数のクロスリンク構造の各々のクロスリンク構造は、前記カプセル化層と同一の材料から形成される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記カプセル化層は、ポリマーである、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、前記少なくとも2つの導電性構造の少なくとも一部分との物理的通信状態にある支持層を更に備え、
前記支持層は、ポリマーである、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、超音波装置を更に備え、
前記超音波装置は、前記組織の電気特性の計測値を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記超音波装置は、
対象の前記組織の第1部分の近傍に配設された超音波生成器であって、前記超音波生成器は、圧電結晶を有し、前記超音波生成器は、前記組織の一部分に向って超音波を導く、前記超音波生成器と、
前記第1部分とは異なる前記対象の組織の第2部分の近傍に配設された超音波レシーバとを含み、
前記超音波レシーバは、前記組織の前記第2部分に到来する超音波の計測を提供し、
前記組織の前記第2部分に到来する前記超音波の前記計測は、前記組織の状態の通知を提供する、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
組織の状態を検出する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物組織の電気特性の計測の際に利用される電子装置の開発のために努力が傾注されている。例えば、組織の水分補給レベルなどの特性を計測するべく適用可能な電子装置を開発するために努力が傾注されている。
【0003】
組織の水分補給とは、生物組織内における水を吸収及び保持するプロセスのことである。人間の場合には、組織の水分補給状態の大幅な低下は、脱水をもたらす可能性があり、且つ、その他の深刻な医学的状態を引き起こす場合がある。脱水は、水自体の喪失、電解質の喪失、及び/又は血漿の喪失の結果としてもたらされる場合がある。組織の水分補給を監視するための従来の技法においては、例えば、超音波速度を利用して水分補給レベルを算出する超音波水分補給モニタを利用している。超音波水分補給モニタは、一般に、筋肉などの組織に装着される。この装置は、一般に、剛性のフレームを使用して一定の距離を超音波トランスデューサとレシーバの間において維持している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような医療関係の用途における電子装置の使用は、多くの電子装置が設計及びパッケージ化されている箱様の剛性の方式によって妨げられる可能性がある。生物組織は、主には、柔らかく、柔軟であり、且つ、湾曲している。反対に、箱様の剛性の電子装置は、硬く且つ角張っている可能性があり、このことが組織の計測に影響を及ぼす可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の内容に鑑み、本明細書においては、十分な快適性及び精度は、そのいずれもが、組織の状態を監視するための技法に伴う望ましい属性であることを認識及び理解されたい。
【0006】
本明細書に記述されている様々な例は、一般に、消費者市場と軍事市場の両方に適用可能な組織状態の監視方法、装置、及びシステムを対象としており、これらの方法、装置、及びシステムは、リアルタイムフィードバックのみならず、携帯性をも提供することができる。組織の状態は、水分補給の状態又は疾病の状態であってもよい。いくつかの例においては、方法、装置、及びシステムは、皮膚及び基礎をなす組織の電気特性の計測に少なくとも部分的に基づいている。
【0007】
例示用の装置は、組織の状態の監視について記述されている。この装置は、組織上に配設された少なくとも2つの導電性構造であって、少なくとも2つの導電性構造のそれぞれは、非線形構成を有し、少なくとも2つの導電性構造は、互いに実質的に平行に配設されている、少なくとも2つの導電性構造と、少なくとも2つのブレース構造であって、少なくとも2つのブレース構造の各々が、少なくとも2つの平行な導電性構造の向きに対して実質的に垂直に配設されると共に少なくとも2つの平行な導電性構造のうちの少なくとも1つとの電気通信状態にある、少なくとも2つのブレース構造と、少なくとも2つのスペーサ構造であって、実質的に均一な離隔が少なくとも2つのブレース構造の間において維持されるように、少なくとも2つのスペーサ構造の各々の端部が、少なくとも2つのブレース構造のそれぞれのブレース構造の一部分に物理的に結合される、少なくとも2つのスペーサ構造とを備える。この装置を使用した組織の電気特性の計測は、組織の状態の通知を提供する。
【0008】
組織の状態は、組織の水分補給状態、失われた汗の容積、組織の機械的特性、組織の疾病状態、又は組織のSPF保護のレベルであってもよい。
例示用の装置の場合には、少なくとも2つの導電性構造のそれぞれは、ジグザグの形態、曲がりくねった構成、又は波打った構成を有することができる。
【0009】
少なくとも2つのブレース構造のそれぞれは、導電性材料から形成することが可能であり、少なくとも2つのブレース構造のそれぞれは、少なくとも2つの導電性構造を外部回路に対して電気的にリンクしている。
【0010】
少なくとも2つのブレース構造は、少なくとも2つの導電性構造のうちの隣接する導電性構造の離隔を実質的に均一な値に維持するように構成することができる。
少なくとも1つのスペーサ構造のそれぞれは、少なくとも2つの平行導電性構造の主方向に対して実質的に平行に配設することができる。
【0011】
少なくとも2つのブレース構造のそれぞれは、装置の少なくとも1つの電気接点との電気通信状態にあってもよく、少なくとも1つの電気接点は、電源、無線受信機、無線送信機、無線トランシーバ、及び温度センサのうちの少なくとも1つとの電気通信状態にある。
【0012】
例示用の装置は、隣接する導電性構造の間において配設された複数のクロスリンク構造を含むことが可能であり、複数のクロスリンク構造のそれぞれのクロスリンク構造は、誘電材料から形成されている。
【0013】
例示用の装置は、少なくとも2つの導電性構造の少なくとも一部分上に配設されたカプセル化層を含むことができる。一例において、カプセル化層の一部分は、接着剤を有しており、接着剤は、カプセル化層のこれらの部分を組織に対して装着する。
【0014】
装置は、隣接する導電性構造の間に配設された複数のクロスリンク構造を含むことが可能であり、複数のクロスリンク構造のそれぞれのクロスリンク構造は、カプセル化層と同一の材料から形成されている。
【0015】
一例においては、カプセル化層は、ポリマーである。別の例においては、ポリマーは、ポリイミドである。
例示用の装置は、少なくとも2つの導電性構造の少なくとも一部分との物理的通信状態にある支持層を含むことが可能であり、支持層は、ポリマーである。
【0016】
この例示用の実装形態における装置は、超音波装置を含むことが可能であり、超音波装置は、組織の電気特性の計測値を提供する。超音波装置は、対象の組織の第1部分の近傍に配設された超音波生成器であって、超音波生成器は、圧電結晶を有し、超音波生成器は、超音波を組織の一部分に向って導く、超音波生成器と、第1部分とは異なる対象の組織の第2部分の近傍に配設された超音波レシーバとを備えることが可能である。超音波レシーバは、組織の第2部分に到来する超音波の計測値を提供する。組織の第2部分に到来する超音波の計測は、組織の状態の通知を提供する。
【0017】
また、組織の状態を監視するためのシステムも提供される。例示用のシステムは、この例示用の実装形態の装置のいずれかのうちの少なくとも1つと、少なくとも1つのその他のコンポーネントとを含む。少なくとも1つのその他のコンポーネントは、電池、送信機、トランシーバ、メモリ、高周波識別(Radio-Frequency Identification:RFID)チップ、処理ユニット、アナログ検知ブロック、UVAセンサ、UVBセンサ、及び温度センサのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0018】
また、組織の状態を監視するための方法も提供される。この方法は、組織の電気計測値を示すデータを受け取ることであって、電気計測は、本明細書に記述されている少なくとも1つの装置を使用して実行される、データを受け取ること、少なくとも1つのプロセッサユニットを使用してデータを分析することであって、分析は、組織の状態の通知を提供する、データを分析することを備えることができる。
【0019】
一例においては、データを分析することは、有効回路モデルをデータに対して適用することを含むことが可能であり、モデルのパラメータの値は、組織の状態の通知を提供する。
【0020】
別の例においては、データを分析することは、データを較正標準と比較することを含むことが可能であり、比較することは、組織の状態の通知を提供する。較正標準は、電気計測の値と組織の状態の通知との間における関連付けを含むことができる。
【0021】
組織の状態を監視するための別の例示用の装置が記述されている。この装置は、組織の上に配設された複数の導電性構造であって、複数の導電性構造のそれぞれは、非線形構成を有し、複数の導電性構造は、互いに入り込んだ構成において実質的に互いに平行に配設されている、複数の導電性構造と、少なくとも2つのブレース構造であって、少なくとも2つのブレース構造の各々が、少なくとも2つの平行な導電性構造の向きに対して実質的に垂直に配設され、且つ複数の導電性構造のうちの少なくとも1つとの電気通信状態にある、少なくとも2つのブレース構造と、少なくとも1つのスペーサ構造であって、実質的に均一な離隔が少なくとも2つのブレース構造の間に維持されるように、少なくとも1つのスペーサ構造の各々の端部が、少なくとも2つのブレース構造のそれぞれのブレース構造の一部分に物理的に結合される、少なくとも1つのスペーサ構造とを備える。装置を使用した組織の電気特性の計測は、組織の状態の通知を提供する。
【0022】
この例示用の装置の場合には、組織の状態は、組織の水分補給状態、失われた汗の容積、組織の機械的特性、組織の疾病状態、又は組織のSPF保護のレベルであってもよい。
複数の導電性構造のそれぞれは、ジグザグの形態、曲がりくねった構成、又は波打った構成を有することができる。
【0023】
少なくとも2つのブレース構造のそれぞれは、導電性材料から形成することが可能であり、少なくとも2つのブレース構造のそれぞれは、複数の導電性構造を外部回路に対して電気的にリンクしている。
【0024】
少なくとも2つのブレース構造は、複数の導電性構造のうちの隣接する導電性構造の離隔を実質的に均一な値に維持するように構成されている。
少なくとも1つのスペーサ構造のそれぞれは、少なくとも2つの平行な導電性構造の主方向に対して実質的に平行に配設することができる。
【0025】
少なくとも2つのブレース構造のそれぞれは、装置の少なくとも1つの電気接点との電気通信状態にあってもよく、少なくとも1つの電気接点は、電源、無線受信機、無線送信機、無線トランシーバ、及び温度センサのうちの少なくとも1つとの電気通信状態にある。
【0026】
一例においては、装置は、隣接する導電性構造の間に配設された複数のクロスリンク構造を含むことが可能であり、複数のクロスリンク構造のそれぞれのクロスリンク構造は、誘電材料から形成されている。
【0027】
この実装形態の例示用の装置は、複数の導電性構造の少なくとも一部分上に配設されたカプセル化層を含むことができる。カプセル化層の一部分は、接着剤を含むことが可能であり、接着剤は、カプセル化層の一部分を組織に対して装着する。
【0028】
例示用の装置は、隣接する導電性構造の間に配設された複数のクロスリンク構造を含むことが可能であり、複数のクロスリンク構造のそれぞれのクロスリンク構造は、カプセル化層と同一の材料から形成されている。
【0029】
カプセル化層は、ポリマーであってもよい。一例として、ポリマーは、ポリイミドである。
例示用の装置は、複数の導電性構造の少なくとも一部分との物理的な通信状態にある支持層を含むことが可能であり、支持層は、ポリマーである。
【0030】
この例示用の実装形態における装置は、超音波装置を含むことが可能であり、超音波装置は、組織の電気特性の計測値を提供する。超音波装置は、対象の組織の第1部分の近傍に配設された超音波生成器であって、超音波生成器は、圧電結晶を有し、超音波生成器は、超音波を組織の一部分に向って導く、超音波生成器と、第1部分とは異なる対象の組織の第2部分の近傍に配設された超音波レシーバと、を含むことが可能である。超音波レシーバは、組織の第2部分に到来する超音波の計測値を提供する。組織の第2部分に到来する超音波の計測は、組織の状態の通知を提供する。
【0031】
また、組織の状態を監視するためのシステムも提供される。例示用のシステムは、この例示用の実装形態の少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのその他のコンポーネントとを含む。少なくとも1つのその他のコンポーネントは、電池、送信機、トランシーバ、メモリ、高周波識別(RFID)チップ、処理ユニット、アナログ検知ブロック、UVAセンサ、UVBセンサ、及び温度センサのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0032】
また、組織の状態を監視するための方法も提供される。この方法は、組織の電気計測値を示すデータを受け取ることであって、電気計測は、この例示用の実装形態による装置の少なくとも1つを使用して実行される、前記データを受け取ること、少なくとも1つのプロセッサユニットを使用してデータを分析することであって、分析は、組織の状態の通知を提供する、データを分析することを含む。
【0033】
一例においては、データを分析することは、有効回路モデルをデータに対して適用することを含むことが可能であり、モデルのパラメータの値は、組織の状態の通知を提供する。
【0034】
別の例においては、データを分析することは、データを較正標準と比較することを含むことが可能であり、比較することは、組織の状態の通知を提供する。
較正標準は、電気計測の値と組織の状態の通知との間における関連付けを含むことができる。
【0035】
また、組織の状態を監視するための別の例示用の装置も提供される。この装置は、組織上に配設されると共に導電性構造の長さの全体に実質的に沿って実質的に互いに平行に延在する少なくとも2つの導電性構造であって、少なくとも2つの導電性構造のそれぞれは、湾曲した構成を有する、少なくとも2つの導電性構造と、少なくとも2つの平行な導電性構造のうちの少なくとも1つとの電気通信状態にそれぞれがある少なくとも2つの接点構造とを含む。装置を使用した組織の電気特性の計測は、組織の状態の計測値を提供する。
【0036】
この例示用の実装形態においては、組織の状態は、組織の水分補給状態、失われた汗の容積、組織の機械的特性、組織の疾病状態、又は組織のSPF保護のレベルであってもよい。
【0037】
複数の導電性構造のそれぞれは、ジクザグの形態、曲がりくねった構成、又は波打った構成を有することができる。
少なくとも2つの導電性構造のそれぞれは、少なくとも2つの導電性構造のうちの隣接する導電性構造の離隔を実質的に均一な距離の値に維持するように構成されている。
【0038】
少なくとも2つの接点構造のそれぞれは、少なくとも2つの導電性構造を外部回路に対して電気的にリンクしている。
少なくとも2つの接点構造のそれぞれは、電源、無線受信機、無線送信機、無線トランシーバ、及び温度センサのうちの少なくとも1つとの電気通信状態にあってもよい。
【0039】
一例においては、装置は、少なくとも2つの導電性構造の少なくとも一部分上に配設されたカプセル化層を含むことができる。カプセル化層の一部分は、接着剤を含むことが可能であり、接着剤は、カプセル化層の一部分を組織に対して装着する。
【0040】
カプセル化層は、ポリマーであってもよい。一例においては、ポリマーは、ポリイミドである。
この実装形態による例示用の装置は、少なくとも2つの導電性構造のそれぞれの導電性構造の一部分にそのそれぞれの端部において結合された少なくとも1つのクロスリンク構造を含むことができる。
【0041】
少なくとも1つのクロスリンク構造のそれぞれは、少なくとも2つの平行な導電性構造の一部分に対して実質的に垂直に配設することができる。
例示用の装置は、少なくとも2つの導電性構造の間に配設された複数のクロスリンク構造を含むことが可能であり、複数のクロスリンク構造のそれぞれのクロスリンク構造は、誘電材料から形成されている。
【0042】
例示用の装置は、隣接する導電性構造の間に配設された複数のクロスリンク構造を含むことが可能であり、複数のクロスリンク構造のそれぞれのクロスリンク構造は、カプセル化層と同一の材料から形成されている。
【0043】
一例においては、カプセル化は、ポリマーである。ポリマーは、ポリイミドであってもよい。
例示用の装置は、少なくとも2つの導電性構造の少なくとも一部分との物理的通信状態にある支持層を含むことが可能であり、支持層は、ポリマーである。
【0044】
この例示用の実装における装置は、超音波装置を含むことが可能であり、超音波装置は、組織の電気特性の計測値を提供する。超音波装置は、対象の組織の第1部分の近傍に配設された超音波生成器であって、超音波生成器は、圧電結晶を有し、超音波生成器は、超音波を組織の一部分に向って導く、超音波生成器と、第1部分とは異なる対象の組織の第2部分の近傍に配設された超音波レシーバと、を含むことができる。超音波レシーバは、組織の第2部分に到来する超音波の計測値を提供する。組織の第2部分に到来する超音波の計測は、組織の状態の通知を提供する。
【0045】
また、組織の状態を監視するためのシステムも提供され、このシステムは、この例示用の実装形態の少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのその他のコンポーネントと、を含む。少なくとも1つのその他のコンポーネントは、電池、送信機、トランシーバ、メモリ、高周波識別(RFID)チップ、処理ユニット、アナログ検知ブロック、UVAセンサ、UVBセンサ、及び温度センサのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0046】
また、組織の状態を監視するための方法も提供される。この方法は、組織の電気計測値を示すデータを受け取ることであって、電気計測は、この例示用の実装形態の少なくとも1つの装置を使用して実行される、データを受け取ること、少なくとも1つのプロセッサユニットを使用してデータを分析することであって、分析は、組織の状態の通知を提供する、データを分析することを含む。
【0047】
データを分析することは、有効回路モデルをデータに対して適用することを含むことが可能であり、モデルのパラメータの値は、組織の状態の通知を提供する。
データを分析することは、データを較正標準と比較することを含むことが可能であり、比較することは、組織の状態の通知を提供する。
【0048】
較正標準は、電気計測の値と組織の状態の通知の間における関連付けを含むことができる。
組織の状態を監視するための別の装置も提供される。この装置は、組織上に配設された基材であって、基材は、組織の状態の変化に伴って状態を変化させる材料から形成されている、基材と、基材上に配設された少なくとも1つの第1インダクタ構造であって、少なくとも1つの第1インダクタ構造の電気特性及び物理特性のうちの少なくとも1つは、基材の状態の変化に伴って変化する、少なくとも1つの第1インダクタ構造と、を含む。少なくとも1つの第1インダクタ構造の電気特性又は物理特性の計測は、組織の状態の通知を提供する。
【0049】
組織の状態は、組織の水分補給状態、失われた汗の容積、組織の機械的特性、組織の疾病状態、又は組織のSPF保護のレベルであってもよい。
一例においては、第1インダクタ構造は、螺旋形コイル構造、円筒形コイル構造、又はドーナツ形の構造であってもよい。
【0050】
一例においては、装置は、読取装置を含むことが可能であり、読取装置は、少なくとも1つの第2インダクタ構造を有し、少なくとも1つの第1インダクタの近傍に移動された少なくとも1つの第2インダクタ構造の電気特性の変化の計測は、少なくとも1つの第1インダクタ構造の電気特性の計測値を提供する。
【0051】
一例においては、第2インダクタ構造は、第1インダクタ構造と同一の構成である。
一例においては、第1インダクタ構造及び第2インダクタ構造は、螺旋形コイル構造、円筒形コイル構造、又はドーナツ形の構造である。
【0052】
計測対象の電気特性は、少なくとも1つの第1インダクタ構造からの磁束密度であってもよい。
一例においては、装置は、少なくとも1つの第1インダクタ構造の少なくとも一部分上に配設されたカプセル化層を含む。カプセル化層は、ポリマーであってもよい。
【0053】
一例においては、ポリマーの一部分は、接着剤を含むことが可能であり、接着剤は、ポリマーのこれらの部分を組織に対して装着する。
一例においては、装置は、少なくとも1つのインダクタ構造と基材の間に配設されたセパレータ層を含むことが可能であり、セパレータ層は、非導電性材料である。
【0054】
セパレータ層は、ポリマーから形成することができる。
この例示用の実装形態における装置は、超音波装置を含むことが可能であり、超音波装置は、組織の電気特性の計測値を提供する。超音波装置は、対象の組織の第1部分の近傍に配設された超音波生成器であって、超音波生成器は、圧電結晶を有し、超音波生成器は、超音波を組織の一部分に向って導く、超音波生成器と、第1部分とは異なる対象の組織の第2部分の近傍に配設された超音波レシーバと、を含むことができる。超音波レシーバは、組織の第2部分に到来する超音波の計測値を提供する。組織の第2部分に到来する超音波の計測は、組織の状態の通知を提供する。
【0055】
また、組織の状態を監視するためのシステムも提供される。このシステムは、この例示用の実装形態の少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのその他のコンポーネントと、を含む。少なくとも1つのその他のコンポーネントは、電池、送信機、トランシーバ、メモリ、高周波識別(RFID)チップ、処理ユニット、アナログ検知ブロック、UVAセンサ、UVBセンサ、及び温度センサのうちの少なくとも1つである。
【0056】
また、組織の状態を監視するための方法も提供される。この方法は、組織の電気計測値を示すデータを受け取ることであって、電気計測は、この例示用の実装形態の少なくとも1つの装置を使用して実行される、データを受け取ること、少なくとも1つのプロセッサユニットを使用してデータを分析することであって、分析は、組織の状態の通知を提供する、データを分析することを含む。
【0057】
データを分析することは、有効回路モデルをデータに対して適用することを含むことが可能であり、モデルのパラメータの値は、組織の状態の通知を提供する。
データを分析することは、データを較正標準と比較することを含むことが可能であり、比較することは、組織の状態の通知を提供する。
【0058】
較正標準は、電気計測の値と組織の状態の通知の間における関連付けを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1A】本明細書の原理による組織の状態を監視するための例示用のシステムのブロックダイアグラムを示す。
図1B】本明細書の原理による組織の状態を監視するための別の例示用のシステムのブロックダイアグラムを示す。
図2】本明細書の原理による例示用の装置を使用して監視してもよい組織の状態又は組織の断面の例を示す。
図3】本明細書の原理による組織の状態を監視するための例示用の装置の断面図を示す。
図4】本明細書の原理による組織の状態を監視するための別の例示用の装置の断面図を示す。
図5】本明細書の原理による互いに入り込んだ導電性構造を含む例示用の装置を示す。
図6】本明細書の原理による図5の例示用の装置の図であり、選択された部分が拡大されている。
図7】本明細書の原理による互いに入り込んだ導電性構造の間において配設されたクロスリンク構造を有する装置の一例を示す。
図8】本明細書の原理による湾曲した導電性構造を有する例示用の装置を示す。
図9】本明細書の原理による湾曲した導電性構造及びクロスリンク構造を有する別の例示用の装置を示す。
図10】本明細書の原理による湾曲した導電性構造を有する別の例を示す。
図11A-E】本明細書の原理による例示用の装置を製造するための例示用のプロセスを示す。
図11F-I】本明細書の原理による例示用の装置を製造するための例示用のプロセスを示す。
図12A-E】本明細書の原理による互いに入り込んだ導電性構造を含む例示用の装置を示す。
図13A】本明細書の原理による装置の変形用の有限要素(FE)モデルを示す。
図13B】本明細書の原理による50%の伸長の際の延伸した装置を示す。
図14A】本明細書の原理による弛緩状態における互いに入り込んだ導電性構造を有する例示用の装置を示す。
図14B】本明細書の原理による50%だけ伸長した互いに入り込んだ導電性構造を有する例示用の装置を示す。
図15A】本明細書の原理による選択された計測周波数における汗のレベルに伴うインピーダンスの変化の大きさ及び位相のプロットを示す。
図15B】本明細書の原理による選択された計測周波数における汗のレベルに伴うインピーダンスの変化の大きさ及び位相のプロットを示す。
図16A】本明細書の原理による図14A及び図14Bの例示用の装置の性能対インピーダンス及び静電容量を示す。
図16B】本明細書の原理による図14A及び図14Bの例示用の装置の性能対インピーダンス及び静電容量を示す。
図17】本明細書の原理による基材の延伸の際の導電性構造の間の距離の変化のシミュレーションを示す。
図18】プレーン外変形のシミュレーションを示しており、図18の嵌め込み図は、本明細書の原理による延伸自在の相互結合部の光学画像を示す。
図19A-B】本明細書の原理によるインダクタ構造を含む例示用の装置を示す。
図20】本明細書の原理によるインダクタ構造を含む例示用の読取装置を含むシステムを示す。
図21】本明細書の原理による例示用の検知パッチの4分の1の断面を示す。
図22】本明細書の原理による例示用の検知パッチの4分の1の断面を示す。
図23】本明細書の原理による例示用の検知パッチの4分の1の断面を示す。
図24】本明細書の原理による例示用の超音波システムの断面を示す。
図25】本明細書の原理による電圧が印加された際の例示用の超音波システムの例示用の動作を示す。
図26A】本明細書の原理による上腕組織の周りにおける例示用の装置マウントを示す。
図26B】本明細書の原理による図26Aの装置マウントの断面を示す。
図27】本明細書の原理による組織の状態を監視するためのハンドヘルド装置に伴うパッチの使用法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下は、組織の電気特性を計測するための方法及び装置に関係した概念及びその例の更に詳細な説明である。開示されている概念は、なんらかの特定の実装方式に限定されるものではないことから、上述の及び以下において更に詳述する様々な概念は、多数の方法のうちの任意のものによって実装してもよいことを理解されたい。特定の実装形態及び用途の例は、主に例示を目的として提供されるものである。
【0061】
本明細書において使用されている「含む」という用語は、「限定を伴うことなしに含む」を意味しており、「含んでいる」という用語も、「限定を伴うことなしに含む」を意味している。「〜に基づいた」という用語は、「〜に少なくとも部分的に基づいた」を意味している。
【0062】
本明細書に記述されている装置及びシステムは、延伸自在の相互結合部とリンクされると共に生物組織に対する整合状態を提供する低弾性係数のポリマーに埋め込まれた超薄型のコンポーネントを使用する技術プラットフォームを提供している。この技術プラットフォームは、高性能の能動型コンポーネントを新しい機械的フォームファクタにおいて実装する。
【0063】
非限定的な例においては、本明細書に記述されている原理による技術プラットフォームは、ファウンドリ用の相補型金属酸化物半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:CMOS)ウエハに基づいて製造することが可能であり、且つ、ポリマーに基づいた且つ/又はポリマーによって被覆された担持体に転写することができる。
【0064】
本明細書の原理による技術プラットフォームは、身体の上部及び内部に適用される装置及びシステムを提供する。非限定的な例として、本明細書に記述されている例示用の装置又はシステムの任意のものは、組織に対して直接的に取り付けることができる。例えば、装置又はシステムは、皮膚に取り付けることができる。本明細書に記述されている任意の例示用の実装形態においては、装置又はシステムは、連続的な監視を円滑に実行しつつ、不快感を伴うことなしに長期間にわたって組織上に配設してもよい。身体の内部における実装形態の場合には、本明細書に記述されている装置又はシステムは、組織の内部に関する電気的情報を提供するべく組織管腔の組織の近傍に配置されるカテーテル又はその他の同等器具に取り付けてもよい。例えば、組織管腔は、限定を伴うことなしに、心臓の管腔であってもよい。
【0065】
更に詳細に後述するように、本明細書の原理による装置又はシステムは、組織の電気特性を監視するために実装することができる。装置又はシステムは、静電容量に基づいた計測を通じて、或いは、インダクタンスに基づいた計測を通じて、組織の電気特性を計測するように構成することができる。計測された電気特性は、組織状態のインジケータとして使用することができる。例えば、電気特性の計測値を使用し、例えば、組織の疾病状態、(組織の硬さを含む)組織の機械的特性、(その水分補給レベルに関係しうる)組織の汗のレベル、又は組織のその他の状態を監視することができる。又、超音波計測からの情報を使用し、組織の疾病状態、(組織の硬さを含む)組織の機械的特性、(その水分補給レベルに関係しうる)組織の汗のレベル、又は組織のその他の状態に関する情報を提供することもできる。
【0066】
本明細書の原理による装置は、静電容量に基づいた計測を通じて組織の電気特性を計測するように構成することができる。この例示用の実装形態による装置は、組織上に配設された少なくとも2つの導電性構造を含むことができる。静電容量に基づいた計測は、電位を少なくとも2つの導電性構造間に印加することにより、実行することができる。少なくとも2つの導電性構造は、互いに実質的に平行に配設される。少なくとも2つの導電性構造のそれぞれは、(限定を伴うことなしに、曲がりくねった構成、ジグザグの構成、又は波打った構成などの)非線形の構成を有する。又、装置は、少なくとも2つの平行な導電性構造の向きに対して実質的に垂直にそれぞれが配設された少なくとも2つのブレース構造と、少なくとも2つのブレース構造のそれぞれのブレース構造の一部分にその端部のそれぞれにおいて物理的に結合された少なくとも1つのスペーサ構造と、をも含む。少なくとも2つのブレース構造のそれぞれは、少なくとも2つの平行な導電性構造のうちの少なくとも1つとの電気通信状態にある。少なくとも1つのスペーサ構造は、少なくとも2つのブレース構造の間における実質的に均一な離隔の維持を促進する。装置を使用した組織の電気特性の計測を使用し、本明細書に記述されている原理のいずれかに従って組織の状態の通知を提供する。
【0067】
装置が静電容量に基づいた計測を通じて組織の電気特性を計測するように構成されている別の例示用の実装形態においては、装置は、導電性構造の長さの実質的に全体に沿って互いに実質的に平行に延在している少なくとも2つの導電性構造を含むことができる。導電性構造のそれぞれは、湾曲した構成を有することができる。また、この例示用の実装形態による装置は、少なくとも2つの接点構造を含むこともできる。少なくとも2つの接点構造のそれぞれは、少なくとも2つの平行な導電性構造のうちの少なくとも1つとの電気通信状態にある。静電容量に基づいた計測は、少なくとも2つの接点構造を使用して少なくとも2つの導電性構造間に電位を印加することにより、実行することができる。装置を使用した組織の電気特性の計測を使用し、本明細書に記述されている原理のうちのいずれかに従って組織の状態の通知を提供する。
【0068】
本明細書に記述されている原理による装置は、インダクタンスに基づいた計測を通じて組織の電気特性を計測するように構成することができる。この例示用の実装形態による装置は、組織上に配設された基材を含むことが可能であり、基材は、組織状態の変化に伴う状態の変化を示す材料から形成されている。非限定的な例として、基材は、(その水分補給レベルと関係しうる)組織の汗のレベルの変化に伴って水分補給状態を変化させる材料から形成することができる。装置は、基材上に配設された少なくとも1つの第1インダクタ構造を更に含む。非限定的な例として、インダクタ構造は、螺旋形コイル構造、円筒形コイル構造、又はドーナツ形の構造であってもよい。インダクタンスに基づいた計測は、信号を少なくとも1つの第1インダクタ構造に印加することによって実行することができる。少なくとも1つの第1インダクタ構造の電気特性及び/又は物理特性は、基材の状態の変化に伴って変化する。装置を使用した少なくとも1つの第1インダクタ構造の電気特性又は物理特性の計測を使用し、組織状態の通知を提供する。
【0069】
例示用の実装形態においては、静電容量に基づいた又はインダクタンスに基づいた計測を通じて組織の電気特性を計測するように構成された装置のいずれかを組織上に直接的に配設してもよい。この例においては、装置を使用し、計測の時点における組織の状態に基づいて電気特性を計測する。この例による計測値を使用し、皮膚の水分補給レベルの通知を提供することができる。
【0070】
別の例示用の実装形態においては、静電容量に基づいた又はインダクタンスに基づいた計測を通じて組織の電気特性を計測するように構成された装置のいずれかを、吸収層が装置と組織の間において位置決めされた状態で、組織上に配設してもよい。この例においては、吸収層の状態の変化の計測を使用し、組織の状態の通知を提供することができる。例えば、汗を吸収することができる吸収層を組織と例示用の層の間に配設してもよい。この例においては、装置を使用し、吸収層内の蓄積された汗の量に基づいて電気特性を計測する。即ち、電気特性のそれぞれの後続の計測値は、吸収層内における時間に伴って蓄積される更に多くの量の汗に基づいている。この蓄積される汗に基づいた計測値は、組織の水分補給レベルに関係しうる。また、この例による計測値を使用し、発汗量(即ち、所定のインターバルにおいて収集される汗の量)の通知を提供することもできる。
【0071】
一例においては、本明細書に記述されている装置のいずれかに印加される電位は、時変電位であってもよい。即ち、静電容量計測又はインダクタンス計測を含む本明細書において実行される計測のいずれかを、時間に伴って電位を変化させることにより、実行することができる。電位は、定期的に、又は電位の値の間におけるステップ関数として、変化させることができる。
【0072】
図1Aは、本明細書の原理による非限定的な例示用のシステムのブロックダイアグラムを示している。例示用のシステム100は、組織の電気特性の計測値を提供するために使用することができる少なくとも1つの装置102を含む。少なくとも1つの装置102は、組織の電気特性の静電容量に基づいた計測及び/又はインダクタンスに基づいた計測を実行するように、本明細書に記述されているように構成することができる。システム100は、少なくとも1つの装置102に結合された少なくとも1つのその他のコンポーネント104を含む。例示用の実装形態においては、少なくとも1つのコンポーネント104は、電位を装置102に対して印加するように構成することができる。例えば、少なくとも1つのコンポーネント104は、電池又は電位を供給するべく使用することができる任意のその他のエネルギー貯蔵装置を含むことができる。例示用の一実装形態においては、システム100は、組織の計測された電気特性に基づいて組織状態の通知を提供するための少なくとも1つのコンポーネント104を含むことができる。例示用の一実装形態においては、少なくとも1つのコンポーネント104は、組織の電気特性の計測値に基づいて装置からの信号を分析するように構成された少なくとも1つのプロセッサユニットを含むことができる。例示用の一実装形態においては、少なくとも1つのコンポーネント104は、組織の電気特性の計測値に基づいて装置から信号を送信するように構成することができる。例えば、少なくとも1つのコンポーネント104は、装置の計測によって計測されたデータを含む信号を装置からハンドヘルド装置又はその他の演算装置に送信するように構成された送信機又はトランシーバを含むことができる。ハンドヘルド装置の非限定的な例は、スマートフォン、タブレット、スレート、e読取装置、デジタルアシスタント、又は任意のその他の同等装置を含む。非限定的な例として、ハンドヘルド装置又はその他の演算装置は、組織の電気特性の計測値に基づいて装置からの信号を分析するように構成されたプロセッサユニットを含むことができる。少なくとも1つのその他のコンポーネント104は、温度センサであってもよい。
【0073】
図1Bは、本明細書の原理の別の実装形態による非限定的な例示用のシステム150のブロックダイアグラムを示している。例示用のシステム150は、静電容量に基づいた計測及び/又はインダクタンスに基づいた計測を含む組織の電気特性の計測を実行するために使用することができる少なくとも1つの装置102を含む。図1Bの非限定的な例においては、少なくとも1つのその他のコンポーネント104は、少なくとも1つの装置102に結合されたアナログ検知ブロック152と、アナログ検知ブロック152に結合された少なくとも1つのプロセッサユニット154とを含む。少なくとも1つのその他のコンポーネント104は、メモリ156を含む。例えば、メモリ156は、不揮発性のメモリであってもよい。非限定的な例として、メモリ156は、RFIDチップの一部として取り付けることができる。また、少なくとも1つのその他のコンポーネント104は、送信機又はトランシーバ158を含む。送信機又はトランシーバ158を使用し、データを装置102からハンドヘルド装置又はその他の演算装置に(例えば、更なる分析のために)送信することができる。また、図1Bの例示用のシステム150は、電池160と、電池160に結合された充電レギュレータ162とを含む。充電レギュレータ162及び電池160は、プロセッサユニット154及びメモリ156に結合されている。
【0074】
システム150の非限定的な例示用の使用法は、以下のとおりである。電池160は、装置102が計測を実行するための電力を供給する。プロセッサユニット154は、定期的に稼働してアナログ検知ブロック152を起動し、アナログ検知ブロック152は、信号を調整し、且つ、信号をプロセッサユニット154上のA/Dポートに供給する。装置102からのデータは、メモリ156内に保存される。一例においては、近距離通信(Near-Field Communication:NFC)対応型のハンドヘルド装置がシステム150の近傍に移動した際に、データがハンドヘルド装置に転送され、データは、ハンドヘルド装置のアプリケーションソフトウェアによって解釈される。データの記録及びデータの転送は、非同期式であってもよい。例えば、データの記録は、毎分実行することが可能であり、データの転送は、必要に応じて実行してもよい。
【0075】
非限定的な例においては、本明細書の原理によるシステムは、(限定を伴うことなしに、(その水分補給レベルに関係しうる)組織の汗のレベル及び/又は組織の疾病の監視などの)組織の状態を監視するための電源及び無線通信を有する自給式の組織に基づいたシステムとして構成することができる。
【0076】
非限定的な例においては、システム100又はシステム150は、限定を伴うことなしに、パッチなどの支持体上において取り付けることができる。支持体は、計測対象である組織上に配設される。
【0077】
非限定的な例においては、システム100、システム150、又は本明細書に記述されている装置のいずれかをカプセル化層によって少なくとも部分的にカバーしてもよい。カプセル化層は、限定を伴うことなしにポリイミドなどのポリマーに基づいた材料から形成することができる。一例においては、カプセル化層の厚さは、本明細書の原理によるシステム又は装置のいずれかがシステム又は装置の中立機械プレーン(Neutral Mechanical Plane:NMP)又は中立機械表面(Neutral Mechanical Surface:NMS)において位置するように、構成することができる。NMP又はNMSは、任意の印加された歪(strain)が極小化されるか、又は実質的にゼロとなるシステム又は装置の装置層(device layer)の厚さを通じた位置に存在している。NMP又はNMSの場所は、組織の電気計測を実行するべく使用されるシステム又は装置のコンポーネント内における歪の遮断を支援する材料の導入により、システム又は装置の構造との関係において変化させることができる。例えば、本明細書に記述されているシステム又は装置を覆って配設されるカプセル化材料の厚さは、システム又は装置全体の厚さとの関係においてシステム又は装置を押し下げるように変化させてもよく(即ち、増減させてもよく)、これにより、システム又は装置との関係においてNMP又はNMSの位置を変化させることができる。別の例においては、カプセル化のタイプには、カプセル化材料の弾性(ヤング)係数の任意の差が含まれる。
【0078】
本明細書に記述されている原理による装置又はシステムを使用し、様々な身体上のセンサとの関連において組織状態を監視することができる。本明細書に記述されている装置のうちの1つ又は複数の装置を使用して計測してもよい組織状態の非限定的な例が図2に示されている。例えば、本明細書の装置又はシステムは、組織のUV曝露の量を計測するように構成された少なくとも1つのUVセンサを含むことができる。別の例として、本明細書の装置は、組織の温度を計測するための少なくとも1つの温度センサを含むように構成することができる。
【0079】
本明細書に記述されている技術プラットフォームの装置及びシステムは、外部演算装置(ハンドヘルド装置を含む)との無線通信を提供しつつ、長期間にわたって非常に低い電力レベルにおいてセンサデータを記録するために使用することができる順応性を有する身体上の電子装置をサポートしている。
【0080】
例えば、本明細書に記述されている技術プラットフォームは、(その水分補給レベルに関係しうる)身体の発汗量を監視するために使用することができる順応性を有する身体上の電子装置をサポートしている。人間の自律神経系は、流体の喪失について相対的に低速のフィードバックしか提供しない。流体の喪失に関するリアルタイムの更新を提供することができる水分補給センサによれば、運動選手は、結果としてもたらされる病的影響を極小化すると共に回復を加速させつつ、自身の運動期間を延長させることができよう。非限定的な例においては、本明細書に記述されているシステム及び装置は、組織の水分補給の変化に伴って水分補給状態を変化させる基材材料(substrate material)の水分補給レベルを記録する水分補給センサとして構成することができる。基材材料は、皮膚から汗を収集する柔らかな吸収材料であってもよく、且つ、計測のデータを外部演算装置(ハンドヘルド装置を含む)に対して送信する。
【0081】
静電容量およびインピーダンスに基づいた計測
非限定的な例においては、皮膚の水分補給は、皮膚病学、医学治療法、及び美容術の有効性の評価のための主な生理的応答の1つであってもよい。生成される汗の量は、人の全体的な水分補給レベルの変化の通知を提供することができる。また、この通知を使用して、人の全体的な水分補給レベルの通知を提供することもできる。
【0082】
汗は、相対的に深いレベルから皮膚を通じて延在する導管として形成された微細孔によって皮膚の表面にまで運ばれる。例えば、熱/寒さ又は運動/休憩は、数分で発汗に影響を及ぼす可能性がある。皮膚の水分補給状態とは、皮膚の最上部層(角質層)の内部における水の含有量であり、且つ、例えば、全体的な身体の水分補給状態又は皮膚の手入れに応じて、数日から数週間の期間で変化する可能性がある。
【0083】
皮膚の水分補給レベルは、インピーダンス−静電容量の直接的な電気計測(RC計測)により、或いは、皮膚の機械的且つ光学的特性の間接的な計測により、判定することができる。これらの方法のうち、RC計測は、相対的に信頼性が高く、実装が容易であり、且つ、低費用となる可能性がある。RC計測を実行するには、装置又はシステムの計測電極と組織の間において物理的接触を維持する必要がある。これらの計測値の精度は、装置又はシステムの計測電極と組織の間の物理的接触を維持するために印加される接触力に依存しうる。剛性を有する平坦な電極を使用してRC計測を実行する場合には、接触力を印加することにより、これらの電極が皮膚の湾曲した順応性を有する表面との接触状態に留まることを保証する。例えば、RC計測方式を使用する剛性の平らな電極を有する既存の水分補給センサは、この課題に対処するために組込み型の圧力検知装置を有する。更には、剛性の平らな電極を有する既存の水分補給センサは、汗を貯蔵するためのリザーバの欠如に起因し、瞬間的な計測に限定されることになろう。この結果、剛性の平らな電極を有する水分補給センサは、使用が困難となる可能性があり、且つ、連続的な監視を提供することができないであろう。
【0084】
非限定的な例においては、本明細書に記述されている装置及びシステムは、組織の電子生理学的計測値を収集するための新しいプラットフォームを提供している。本明細書に記述されている技術によれば、接触を維持するための外部における機械的負荷の印加を必要とすることなしに、電子装置を組織上において一体化することができる。延伸自在の電極から構成された新しい表皮汗センサについて説明する。小さな導電性構造の形状サイズ及び個別のオープンメッシュタイプの構造を活用することにより、本明細書に記述されている装置は、組織表面上において順応性を有する状態で適用することができる。例示用の一実装形態においては、連続的な監視能力を実現するべく、汗貯蔵層として機能するように、セルロースパッドを導電性構造と組織の間に取り付けることが可能であり、且つ、構造全体が、接着性の支持層(adhesive backing layer)(限定を伴うことなしに、TEGADERM(登録商標)(ミネソタ州St.Paulに所在する3M社)等)により、1つに保持されている。この支持層は、構造的な支持を提供し、且つ、計測の際に装置を組織との緊密な接触状態において保持する。この構成によれば、本明細書に記述されている皮膚汗センサ装置は、信頼性が高く且つ連続的な汗の監視のための実行可能な解決策を提供する。
【0085】
本明細書に記述されているシステム、装置、及び方法は、組織の静電容量に基づいた特性の計測を円滑に実行する。組織の静電容量に基づいた特性を使用し、組織状態の通知を提供することができる。非限定的な例として、本明細書に記述されているシステム、装置、及び方法は、(組織の水分補給及び/又は脱水のレベルに関係しうる)組織の発汗量の計測を円滑に実行することができる。この例においては、静電容量に基づいた電気特性の計測を使用し、組織の水分補給及び/又は脱水のレベルの通知を提供することができる。
【0086】
図3は、基材301上に配設された3つの導電性構造302−a、302−b、及び302−cを含む例示用の一実装形態による例示用の装置300の断面図を示している。基材301は、皮膚又は任意のその他の組織であってもよい。また、例示用の装置300は、層306を含む。層306は、基材301との接触状態における導電性構造302−a、302−b、及び302−cの維持を支援するために基材301の一部分に接着する接着部分を含むことができる。
【0087】
また、図3の図は、3つの導電性構造302−a、302−b、及び302−cが基材301上において配設された際の基材の電気特性の有効回路図の例示用の電気接続を示している。図3に示されているように、接地(Gnd)との関係における所定の電位(Vin)が導電性構造302−a、302−b、及び302−cのうちの隣接するペア間に印加された際に、導電性構造302−a、302−b、及び302−cと基材301の間の境界面に隣接して有効可変静電容量項(effective variable capacitance terms)が生じ、基材301内に有効可変静電容量項及び抵抗項(effective variable capacitance andresistance term)が生じる。これらの有効回路項は、次式のように装置及び組織の電気特性を表現することが可能であり、
R=ρl/A (1)
この場合に、Rは、電気抵抗値であり、ρは、抵抗率であり、lは、導電性構造の間における組織内の長さであり、ARは、組織を通じた電流経路の断面積である。
【0088】
C=εA/d (2)
この場合に、Cは、電気静電容量であり、εは、誘電率であり、Aは、導電性構造と組織の間のオーバーラップしている面積であり、dは、導電性構造の間における離隔距離である。一例においては、3つの導電性構造302−a、302−b、及び302−cの間における、限定を伴うことなしに、組織などの基材の電気特性の計測は、図3の例示用の回路要素に基づいて、式(1)及び式(2)の表現を使用することにより、モデル化することができる。
【0089】
静電容量に基づいた計測を実行するための本明細書の原理による装置又はシステムは、3つの導電性構造にのみ限定されるものではない。例えば、例示用の装置又はシステムは、2個の、5個の、8個の、10個の、15個の、又は更に多くの数の導電性構造(E1、E2、及びE3、...、E(n)、ここで、nは、整数である)を含むことができる。このようなシステムの場合には、図3の有効回路モデルは、有効静電容量項(C1、C2、C3、...、C(j)であり、ここで、jは、整数である)及び有効抵抗項(R1、R2、...、R(k)であり、ここで、kは、整数である)により、任意の数の有効回路要素に拡張することができる。図4は、基材401上に配設された2つの導電性構造402−a、及び402−bを含む(即ち、n=2である)例示用の一実装形態による別の例示用の装置400の断面図を示している。基材401は、皮膚又は任意のその他の組織であってもよい。また、例示用の装置400は、層406を含む。一例においては、装置の隣接する導電性構造又は緊密な近接状態にある導電性構造の間における基材301又は401の電気特性の計測は、図3又は図4の例示用の回路要素に基づいてモデル化することが可能であり、更なるコンポーネントをモデル化するべく推定することもできる。装置は、任意の数nの導電性構造を有するように構成することができる。導電性構造の数nを増大させることにより、システムの入力及び出力に跨る計測静電容量の精度が向上することになろう。
【0090】
導電性構造Ei(i=1、...、3)は、金属又は金属合金、ドーピングされた半導体、又は導電性酸化物、或いは、これらの任意の組合せを含む当技術分野における任意の適用可能な導電性材料を含むことができる。金属の非限定的な例は、Al又は遷移金属(Au、Ag、Cr、Cu、Fe、Ir、Mo、Nb、Pd、Pt、Rh、Ta、Ti、V、W、又はZnを含む)、或いは、これらの任意の組合せを含む。ドーピングされた半導体の非限定的な例は、任意の導電性形態のSi、Ge、又はIII−IV族半導体を含む(GaAsやInPを含む)。
【0091】
導電性構造のうちの1つ又は複数の導電性構造は、限定を伴うことなしに、ポリイミドなどのポリマーに基づいた材料によって少なくとも1面上においてカバーしてもよい。一例においては、導電性構造のうちの1つ又は複数の導電性構造は、ポリマーに基づいた材料内において閉じ込めてもよい。ポリマーに基づいた材料は、カプセル化層として機能することができる。
【0092】
層306又は406は、延伸自在の且つ/又は曲がり易い材料から製造された保護層、カプセル化層、及び/又は支持層であってもよい。層306又は406用に使用することができる材料の非限定的な例は、限定を伴うことなしに、ポリイミド、或いは、例えば、TEGADERM(登録商標)(ミネソタ州St.Paulに所在する3M社)などの透明な医療用包帯などの任意の適用可能なポリマーに基づいた材料を含む。
【0093】
非限定的な例においては、層306又は406は、少なくとも2つの導電性構造の少なくとも一部分上に配設されるカプセル化層であってもよい。一例においては、カプセル化層は、ポリマーであってもよい。別の例においては、カプセル化層の一部分は、接着剤を含むことが可能であり、且つ、この場合に、接着剤は、カプセル化層のこれらの部分を組織との物理的な接触状態において維持している(組織に対する装着を含む)。この結果、装置を組織との接触状態において維持することができる。
【0094】
別の例においては、装置と、装置と組織の間に存在する吸収層の間に導電性ゲルを配設することができる。導電性ゲルは、容易に変形することが可能であり、間隔の変化を許容することができるが、装置と吸収体の間の電気的な距離を実質的にゼロにおいて維持することができる。
【0095】
基材301又は401は、限定を伴うことなしに、皮膚、筋肉組織、心臓組織などのような組織の一部分であってもよい。
図5は、10個の互いに入り込んだ導電性構造502を含む例示用の装置500を示している。例示用の装置500は、本明細書に記述されている原理による電気計測を実行するために組織上に配設することができる。静電容量に基づいた計測は、電位を互いに入り込んだ導電性構造間に印加することにより、実行することができる。図5の例においては、互いに入り込んだ導電性構造502は、互いに実質的に平行に配設されている。互いに入り込んだ導電性構造502のそれぞれは、非線形構造を有する。図5の例においては、導電性構造502は、曲がりくねった構成を有する。その他の例においては、導電性構造502の非線形構成は、ジグザグの構成、波打った構成、又は任意のその他の非線形構成であってもよい。導電性構造の非線形構成は、線形電極よりも、大きな組織の電気特性のサンプリングと、大きな信号対ノイズと、を促進することができる。また、導電性構造の非線形構成は、延伸などの変形に伴う装置の相対的に一貫性のある性能を促進する。また、例示用の装置500は、互いに入り込んだ導電性構造502の全体的な向きに対して実質的に垂直にそれぞれが配設された2つのブレース構造504と、少なくとも2つのブレース構造のうちのそれぞれのブレース構造の一部分にその端部のそれぞれにおいて物理的に結合された少なくとも1つのスペーサ構造506とを含む。ブレース構造504のそれぞれは、導電性構造502のうちの1つ飛ばしの導電性構造との電気通信状態にある。例えば、導電性構造502−eは、ブレース構造504のうちの1つとの電気通信状態にあり、1つ飛ばしの互いに入り込んだ導電性構造502−fは、このブレース構造504との電気通信状態にはない。スペーサ構造506は、ブレース構造504の間における実質的に均一な離隔の維持を促進する。また、スペーサ構造506は、装置の変形の際の実質的に均一なフォームファクタの維持を促進する。例示用の装置500を使用した組織の電気特性の計測を使用し、本明細書に記述されている原理のいずれかに従って組織の状態の通知を提供することができる。
【0096】
また、例示用の装置500は、上記において且つ図1A又は図1Bとの関連において説明した装置500と少なくとも1つのその他のコンポーネントの間の電気通信を提供する接点508を含んでもよい。例えば、少なくとも1つのその他のコンポーネントは、電位を接点508間に印加し、隣接する導電性構造502間に順番に印加する電池であってもよい。一例においては、(上述のように)、装置500と、少なくとも1つのその他のコンポーネントとを含むシステムが、本明細書に記述されている原理に従って提供される。
【0097】
導電性構造及びブレース構造は、金属又は金属合金、ドーピングされた半導体、又は導電性酸化物、或いは、これらの任意の組合せを含む当技術分野における任意の適用可能な導電性材料を含むことができる。金属の非限定的な例は、Al又は遷移金属(Au、Ag、Cr、Cu、Fe、Ir、Mo、Nb、Pd、Pt、Rh、Ta、Ti、V、W、又はZnを含む)、又はこれらの任意の組合せを含む。ドーピングされた半導体の非限定的な例は、任意の導電性形態のSi、Ge、又はIII−IV族半導体を含む(GaAs、InPを含む)。一例においては、導電性構造及びブレース構造は、同一の導電性材料から形成することができる。別の例においては、導電性構造及びブレース構造は、異なる導電性材料から形成することができる。
【0098】
導電性構造及び/又はブレース構造は、限定を伴うことなしに、ポリイミドなどのポリマーに基づいた材料により、少なくとも一面上においてカバーしてもよい。一例においては、導電性構造及び/又はブレース構造は、ポリマーに基づいた材料内において閉じ込めてもよい。ポリマーに基づいた材料は、カプセル化層として機能することができる。
【0099】
また、スペーサ構造は、ポリマーに基づいた材料から形成してもよい。
装置500又は装置500を含むシステムは、延伸自在の且つ/又は曲がり易い材料から製造された保護及び/又は支持層を含んでもよい。保護及び/又は支持層に使用することができる材料の非限定的な例は、限定を伴うことなしに、ポリイミド、或いは、例えば、TEGADERM(登録商標)(ミネソタ州St.Paulに所在する3M社)などの透明な医療用包帯などの任意の適用可能なポリマーに基づいた材料を含む。保護及び/又は支持層は、基材(組織を含む)との接触状態における導電性構造502の維持を支援するために基材の一部分に接着する接着剤部分を含むことができる。
【0100】
非限定的な例においては、検知コンポーネントの寸法及び形態は、スペーサ構造506を使用することによって維持することができる。一例においては、スペーサ構造506は、絶縁材料、或いは、導電性構造又はブレース構造よりも小さな導電率を有する別の材料から形成されている。装置500のスペーサ構造506の特性は、電流がスペーサ構造506を経由してブレース構造の間において直接的に流れることをほとんど又はまったく促進することができない。むしろ、電流は、基礎をなす組織を経由して導電性構造502の1つの組から導電性構造502の別の組に流れる。
【0101】
図5による例においては、ブレース構造(brace structure)の波形の長さは、均一なものであってもよく、或いは、装置500の面の間において異なっていてもよい。
非限定的な例においては、導電性構造の非線形構成は、装置の柔軟性の増大を促進している。例えば、非線形の形状は、基礎をなす組織の延伸、捩じれ、又はその他の変形に対する装置の柔軟性の増大を促進することが可能であり、且つ、装置は、延伸、捩じれ、又はその他の変形にも拘らず、組織との間の実質的な接触を維持する。
【0102】
図6は、図5の例示用の装置500の図であり、選択部分が拡大されている。図6は、ブレース構造504の側部(色の薄いセグメント)がスペーサ構造506との間に境界面510を形成している装置500の一部分の拡大図を示している。図6は、ブレース構造504と導電性構造502の間の境界面512の拡大図を示しており、この図は、互いに入り込んだ導電性構造502のうちの1つ飛ばしの導電性構造がブレース構造504と物理的に接触していることをも示している。
【0103】
図7は、本明細書の原理に従って形成することができるクロスリンク構造(cross-linkstructure)515を含む装置500の非限定的な例を示している。クロスリンク構造515は、例えば、センサがその上部に配設される基材の延伸、曲がり、捩じれ、又はその他の変形に対してセンサを安定させるべく、製造の際に(例えば、基材からの転写プロセス及び/又は別の基材への印刷及び抽出プロセスの際に)、且つ、使用の際に、構造の機械的な安定性の改善を提供することができる。例えば、クロスリンク構造515は、装置の延伸、伸長、又は弛緩の際に且つ/又はこれらの後に、寸法の比率を含むフォームファクタの維持を支援することができる。例えば、クロスリンク構造515は、それらの長さに沿った任意の位置において図5の導電性構造502の任意のペア間に形成することができる。図示の例においては、クロスリンク構造515は、曲がりくねった(「S」)形状で形成されている。その他の例においては、クロスリンク構造515は、実質的にまっすぐなクロスバーとして形成することが可能であり、ジグザグパターンにおいて形成することが可能であり、円弧として、又は波形として、又は装置の機械的な安定性及び/又はフォームファクタの維持を促進する任意のその他の形態として、形成することができる。更には、クロスリンク構造515は、隣接する電極間に形成された少なくとも2つのクロスリンク構造として形成することもできる。クロスリンク構造515は、ポリマーに基づいた材料又は任意のその他の延伸自在の且つ/又は曲がり易い材料から形成することができる。更には、例示用のクロスリンク構造515の位置決めは、図7のx方向において略アライメントされた状態となるように示されているが、クロスリンク構造515は、x方向において相互の関係において変位させることもできる。
【0104】
図7の例においては、クロスリンク構造515は、互いに入り込んだ導電性構造の一部分をカバーする実質的に同一のカプセル化材料から形成することが可能であり、且つ、これらからシームレスに延在することができる。この例においては、これらのクロスリンク構造515は、互いに入り込んだ導電性構造の一部分上にポリマーに基づいたカプセル化材料を配設する同一のプロセスステップにおいて形成することができる。別の例においては、クロスリンク構造515は、互いに入り込んだ導電性構造の一部分をカバーするカプセル化材料とは異なる材料から形成することができる。
【0105】
図8図10は、静電容量に基づいた計測を通じて組織の電気特性を計測するように構成された装置の別の例示用の実装形態を示している。図8に示されているように、装置800は、導電性構造802の実質的に長さの全体に沿って実質的に互いに平行に延在する少なくとも2つの導電性構造802を含むことができる。導電性構造802のそれぞれは、湾曲した構成を有することができる。また、この例示用の実装形態による装置800は、少なくとも2つの接点構造804を含むこともできる。少なくとも2つの接点構造804のそれぞれは、少なくとも2つの平行な導電性構造802のうちの少なくとも1つとの電気通信状態にある。少なくとも2つの接点構造804を使用して電位を少なくとも2つの導電性構造802に印加することにより、静電容量に基づいた計測を実行することができる。装置800を使用した組織の電気特性の計測を使用し、本明細書に記述されている原理のいずれかに従って組織の状態の通知を提供する。
【0106】
図8図10の例は、2つの湾曲した導電性構造802を有するように示されているが、本発明の原理によるその他の例は、実質的に同心状に配設されると共に接点804との電気通信状態にある3つの、4つの、又はこれを上回る数の湾曲した導電性構造802を含むことができる。
【0107】
導電性構造802及び接点構造804は、金属又は金属合金、ドーピングされた半導体、又は導電性酸化物、或いは、これらの任意の組合せを含む当技術分野における任意の適用可能な導電性材料を含むことができる。金属の非限定的な例は、Al又は遷移金属(Au、Ag、Cr、Cu、Fe、Ir、Mo、Nb、Pd、Pt、Rh、Ta、Ti、V、W、又はZnを含む)、又はこれらの任意の組合せを含む。ドーピングされた半導体の非限定的な例は、任意の導電性形態のSi、Ge、又はIII−IV族半導体を含む(GaAsやInPを含む)。一例においては、導電性構造802及び接点構造804は、同一の導電性材料から形成することができる。別の例においては、導電性構造802及び接点構造804は、異なる導電性材料から形成することができる。
【0108】
導電性構造802及び/又は接点構造804は、限定を伴うことなしに、ポリイミドなどのポリマーに基づいた材料により、少なくとも一面上においてカバーしてもよい。一例においては、導電性構造802及び/又は接点構造804は、ポリマーに基づいた材料内において閉じ込めてもよい。ポリマーに基づいた材料は、カプセル化層として機能することができる。
【0109】
装置800又は装置800を含むシステムは、延伸自在の且つ/又は曲がり易い材料から製造された保護及び/又は支持層を含むことができる。保護及び/又は支持層に使用することができる材料の非限定的な例は、限定を伴うことなしに、ポリイミド、或いは、例えば、TEGADERM(登録商標)(ミネソタ州St.Paulに所在する3M社)などの透明な医療用包帯などの任意の適用可能なポリマーに基づいた材料を含む。保護及び/又は支持層は、基材(組織を含む)との接触状態における導電性構造802の維持を支援するために基材の一部分に接着する接着部分を含むことができる。
【0110】
図9に示されているように、装置は、クロスリンク構造806を含んでもよい。クロスリンク構造806は、例えば、センサがその上部に配設される基材の延伸、曲がり、捩じれ、又はその他の変形に対してセンサを安定させるために、製造の際に(例えば、基材からの転写プロセス及び/又は別の基材への印刷及び抽出プロセスの際に)、且つ、使用の際に、構造の機械的な安定性の改善を提供することができる。例えば、クロスリンク構造806は、装置の延伸、伸長、又は弛緩の際に且つ/又はこれらの後に、寸法の比率を含むフォームファクタの維持を支援することができる。例えば、クロスリンク構造806は、その長さに沿った任意の位置において図5の導電性構造802の任意のペア間に形成することができる。図示の例においては、クロスリンク構造806は、曲がりくねった(「S」)形状において形成されている。その他の例においては、クロスリンク構造806は、実質的にまっすぐなクロスバーとして形成することが可能であり、ジグザグパターンにおいて形成することが可能であり、円弧として、又は波形として、或いは、装置の機械的な安定性及び/又はフォームファクタの維持を促進する任意のその他の形態として、形成することができる。更には、クロスリンク構造806は、隣接する電極間に形成された少なくとも2つのクロスリンク構造として形成することもできる。クロスリンク構造806は、ポリマーに基づいた材料又は任意のその他の延伸自在の且つ/又は曲がり易い材料から形成することができる。
【0111】
図9の例においては、クロスリンク構造806は、導電性構造の一部分をカバーする実質的に同一のカプセル化材料から形成することが可能であり、且つ、これらからシームレスに延在することができる。この例においては、これらのクロスリンク構造806は、ポリマーに基づいたカプセル化材料を導電性構造の一部分上に配設する同一のプロセスステップにおいて形成することができる。別の例においては、クロスリンク構造806は、導電性構造の一部分をカバーするカプセル化材料とは異なる材料から形成することができる。
【0112】
図10は、導電性構造802とリード線807の間の境界面の拡大図810及び812を示している。リード線807は、導電性構造802と接点804の間における電気通信を提供している。図10の拡大図810及び812に示されているように、導電性構造802のうちの1つは、スペーサ構造806によってリード線807から分離されている。一例においては、スペーサ構造806は、絶縁材料、或いは、導電性構造802又はリード線807よりも小さな導電率を有する別の材料から形成されている。装置800のスペーサ構造806の特性は、電流がスペーサ構造806を経由して1つの導電性構造802からリード線807に直接的に流れることをほとんど又はまったく促進することができない。むしろ、電流は、基礎をなす組織を経由して導電性構造802の1つの組から導電性構造802の別の組に流れる。また、スペーサ構造806は、ポリマーに基づいた材料から形成してもよい。
【0113】
図5図10のうちの任意の図の例示用の装置を製造するための非限定的な例示用のプロセスが図11A図11Iに示されている。図11Aにおいて、限定を伴うことなしに、シリコンの基材又はIII−V族の電子装置用の基材などの組立用の基材1100を犠牲剥離層(sacrificial release layer)1102によって被覆している。非限定的な例においては、犠牲剥離層1102は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリマーである。図11Bにおいて、犠牲剥離層102をパターン化している。図11Cにおいて、第1ポリマー層1104を犠牲剥離層1102上にスピンコーティングしている。一例においては、第1ポリマー層1104は、ポリイミドであってもよい。図11Dにおいて、第1ポリマー層1104の上方に導電性材料1106の層を堆積させて導電性構造を形成している。図11Eにおいて、使用している導電性材料1106に適用可能な場合には、リソグラフプロセスを実行し、導電性材料1106を本明細書に記述されている導電性構造の構成のうちの任意のものにパターン化してもよい。図11Fにおいて、導電性構造上に第2ポリマー層1108をスピンコーティングしている。一例においては、第2ポリマー層1108は、ポリイミドであってもよい。図11Gにおいて、第2ポリマー層1108をパターン化している。図11Hにおいて、犠牲剥離層の材料を選択的に除去している。例えば、犠牲剥離層の材料がPMMAである場合には、選択的除去のためにアセトンを使用することができる。この段階において、装置1110は、実質的に最終的な形態を有しており、且つ、組立基材に装着された状態にある。図11Iにおいて、転写基材1112を使用し、装置1110を組立基材1100から取り外している。
【0114】
図12A図12Eは、互いに入り込んだ導電性構造を含む例示用の装置の例示用の一実装形態を示している。図12Aは、例示用の装置をコインに匹敵する寸法において製造することができることを示している。電極の寸法は、幅が100μmであり、且つ、厚さが0.5μmである。オープンメッシュ(open-mesh)の電極構造に起因し、組織の延伸に起因した導電性構造上の歪を制限することができる。導電性構造上における回転角度[7]は、−25度として設計される。更には、導電性構造を相互接続している延伸自在の導体が延伸の際に所定の役割を果たす。この観点においては、延伸自在の導体の回転角度は、0度として設計される。この例においては、電極と延伸自在の導体は、いずれも、金(Au)から製造されており、且つ、機械的な信頼性のために、ポリイミド(PI)中において完全にカプセル状に包まれている。ポリイミドは、電極の上部及び下部の両方において、厚さが10μmである。図12Bは、計測を実行する前の保護層を使用して皮膚上に配設された例示用の装置を示している。図12Cは、長さの観点において延伸変形した状態にある例示用の層を示している。図12Dは、対角方向における延伸変形状態にある例示用の装置を示している。これらのシナリオのそれぞれにおいて、例示用の装置は、変形力が除去されたら実質的にその元のフォームファクタに戻るように、構成されている。図12Eは、皮膚から取り外される途中の例示用の装置を示している。
【0115】
本明細書に記述されている例示用の装置又はシステムを使用した計測の例示用の実装形態は、以下のとおりである。本明細書に記述されている例示用の装置又はシステムの(限定を伴うことなしに、図3及び図4に示されている有効回路などの)有効回路項モデルを使用し、図5図7の装置又は図8図10の装置を使用して実行される電気計測をモデル化することができる。例えば、図3との関連において説明した有効回路を使用し、図5の部分「A」を通じたラインに跨る計測をモデル化することも可能であり、或いは、これを推定し、互いに入り込んだ構造全体の複数の導電性構造をモデル化することもできる。別の例として、図4との関連において説明した有効回路を使用し、図8の部分「B」を通じたラインに跨る計測をモデル化することができる。
【0116】
図5図10のいずれかとの関連において本明細書において記述されている原理による装置を使用して実行される電気計測の分析を使用し、組織状態の変化の通知を提供することができる。例えば、図3又は図4の境界面近傍の有効回路項は、限定を伴うことなしに、(その水分補給レベルに関連しうる)基礎をなす組織の発汗量などの組織状態の変化の影響を受け易いものと思われる。基材の内部において、導電性構造の間に可変静電容量及び抵抗項が生じる。これらの有効項は、(水分補給レベルに関係しうる)組織の汗のレベル及び/又は例示用の装置又はシステム及び/又は基礎をなす組織の延伸の影響を受け易いものと思われる。
【0117】
本明細書においては、静電容量に基づいた計測を使用した基材の電気特性の計測に基づいて組織の状態を判定するための例示用の方法が提供されている。この方法は、組織の電気特性の計測値との関連においてデータを受け取るステップと、モデルをデータに対して適用して有効回路モデルの少なくとも1つのパラメータを定量化するステップとを含む。パラメータの値を使用し、組織状態の通知を提供することができる。
【0118】
例示用のシステム、装置、及び方法においては、上述の装置のうちのいずれかをその上部に配設し、電気特性の計測を実行することができる。一例においては、センサは、複数の方向(例えば、x、y、及び/又はz方向)における変形に耐えるように構成されている。本明細書の非限定的な例示用のシステム、装置、及び方法においては、本明細書に記述されている装置を含む十分な順応性を有するセンサが提供される。十分な順応性を有するセンサは、限定を伴うことなしに、(水分補給レベルに関連しうる)汗のレベル、組織疾病状態、又は組織の機械的特性などの組織状態を検出するためのセンサの機能に対する最小限の影響を伴って又はこれをまったく伴うことなしに、様々な表面プロファイル(surface profile)上に配置することが可能であり、このことは、様々な表面プロファイル上に装着も含まれる。
【0119】
非限定的な例として、パラメータの値を組織状態の較正標準対回路パラメータの値と比較することができると共に/又はこれと関連付けることができる。較正標準は、特徴の判定が求められている状態を示す組織又は組織に類似した材料の電気計測値のトレーニングセットに基づいて生成することができる。例えば、トレーニングセットは、疾病状態の様々な段階における組織を含むことが可能であり、この場合に、電気計測値と既知の疾病段階の間の関連付けを使用し、未知の疾病状態の組織に適用される較正標準を生成することができる。別の例として、トレーニングセットは、様々な水分補給レベルにある組織を含むことができる。電気計測値と既知の水分補給レベルの間の関連付けを使用し、未知の水分補給レベルの組織に対して適用される較正標準を生成することができる。
【0120】
別個の互いに入り込んだ構造を含む本明細書に記述されている装置の構成により、装置の変形は、組織の自然な動きに対応することができる。装置の動き、特に、延伸変形は、装置の性能に影響を及ぼす可能性がある。導電性構造の間の距離がRC計測のパラメータのうちの1つであることから、延伸変形によってシステムの電気特性が変化する可能性がある。図13Aは、変形メカニズムシミュレーション用の有限要素(FE)モデルを示しており、且つ、図13Bは、50%の伸長によって延伸した水分補給センサを示している。金属は、Auであり、且つ、共一次移動硬化則(bi-linear kinematic hardening rule)に従う可塑性変形可能な固体としてモデル化することができる。ヤング係数は、30eMPaにおいて設定され、降伏応力は、204MPaであり、且つ、接線係数は、4769MPaである。クロスリンク構造及び導電性構造の被覆のポリイミドは、3.2eMPaのヤング係数を伴う線形弾性としてモデル化され、且つ、支持層(TEGADERM(登録商標))は、3要素超弾性Mooney−Rivlin固体としてモデル化される。超弾性Mooney−Rivlinモデルの3つの要素は、C10=−0.13、C01=0.57、及びC11=0.13である。FEモデルは、図13Bに示されているように、延伸試験に対応している。
【0121】
図14Aは、その弛緩状態における互いに入り込んだ導電性構造を含む例示用の装置を示している。図14Bは、約50%の延伸が適用された図14Aの例示用の装置を示している。図15A図16Bを参照し、図14A及び図14Bに示されているものなどの例示用の装置を使用する基材の電気特性の計測の非限定的な例について説明する。この計測を使用し、上述のように、組織の一部分を通じた回路内における電流に対する電圧の複素比を定量化することができる。電気特性は、電気特性の大きさ及び/又は位相に基づいて定量化することができる。
【0122】
非限定的な例においては、図14Aの装置を使用してパッチの水分補給レベルを計測しており、パッチの水分補給レベルは、人間の発汗量と関係付けることができる。この例においては、基材は、セルロースパッドである。図15Aは、選択された計測周波数(20〜80kHzの高周波数(RF)範囲)における20〜80%飽和の汗のレベルの範囲に伴うインピーダンスの変化の大きさを示しており、且つ、図15Bは、位相を示している。この例示用の実装形態においては、汗のレベルは、基材の容積に対する生理食塩水の容積の比として規定されており、これは、100が完全飽和に対応するように正規化されている。追加する生理食塩水の容積を変化させているが、セルロースパッドの容積は、一定(450mm)に保持されている。所定の周波数の範囲における初期計測を実行し、いずれの周波数が水分補給レベルにおいてインピーダンスの最大変化を有しているのかを判定し、これにより、最適感度を提供する。図15Aは、汗のレベルが20%飽和から80%飽和に変化するのに伴って、20kHzにおけるインピーダンスの大きさが0.38MΩだけ降下し、インピーダンスの位相が、−2.13度だけシフトすることを示している。即ち、20kHzが、このRFの範囲においてインピーダンスの大きさの最も高感度な出力を提供する。汗のレベルの増大に伴って、インピーダンスは、20kHz〜80kHzのRF範囲において低下する。この振る舞いは、導電率の増大に帰することが可能であり、セルロースパッド内における生理食塩水の量を増大させることにより、電荷搬送用の相対的に大きなイオン経路が提供される。
【0123】
汗吸収パッチ上に取り付けられた際に、パッチ内の流体に対する例示用の装置の応答は、定量化可能である。パッチの飽和に必要とされる検体の容積を事前に判定し、次いで、検体を乾燥したパッチ上に滴定し、水分補給レベルを体系的に増大させる。インピーダンスの劇的な低下が0〜20%の水分補給において見出され、その後に、この低下は、更に漸進的なものとなる。
【0124】
例示用の装置及びシステムの電気性能は、変形の適用に伴って変化するように思われる。「抵抗性」インピーダンス(R)及び静電容量(C)の変化を含む組織状態の変化に伴う電気特性の変化は、式(1)及び式(2)との関係において記述することができる。
【0125】
組織状態の変化に伴う基材の電気特性の変化は、組織の水分補給状態の変化に基づいて以下のように記述することができる。基材内の汗のレベルの増大に伴って、抵抗率(ρ)が減少し、誘電率(ε)が増大し、この結果、(抵抗値に基づいた)インピーダンスが低下し、且つ、静電容量が上昇することになる。抵抗率の減少は、基材内における移動可能なイオンの増大に起因する可能性がある。その一方で、誘電率の増大は、セルロースパッド内における汗の容積によって主に検出される双極子の増大によって説明することができる。これらの2つの要因(ρ及びε)は、主には、セルロースパッド内の汗のレベルによって決定される。また、センサの性能は、導電性構造の間の距離などの構造的パラメータの影響を受け易いということにも留意されたい。式(1)及び式(2)によれば、導電性構造の間の距離(l及びd)が延伸に起因して増大するのに伴って、電気抵抗値が増大し、静電容量が減少する。
【0126】
本明細書に記述されているように、例示用の装置は、延伸自在の構造内において非線形の導電性構造を利用することにより、組織上における快適な装着のために機械的に設計することができる。例示用の装置は、計測周波数、汗のレベル、及び延伸変形の影響を受け易くなるように、構成することができる。
【0127】
図16A及び図16Bとの関連において説明する例示用の実装形態においては、20kHz信号が高感度の性能を提供するものと考えられ、電気インピーダンスが50%だけ変化しており、汗のレベルが20%飽和から80%飽和に増大している。更には、15%から最大で50%のセンサの伸長が電気インピーダンス及び静電容量の両方の計測感度に対して影響を及ぼしている。図16A及び図16Bは、それぞれ、例示用の装置に様々な汗のレベルにおいて延伸が適用されている際の例示用の装置の性能対インピーダンス及び静電容量を示している。
【0128】
具体的には、図16A及び図16Bは、それぞれ、延伸状態であり且つ20%飽和〜80%飽和の範囲の汗のレベルにおける例示用の装置のインピーダンス及び静電容量の変化を示している。これらの計測は、50kHzにおいて実施されたものである。図16Aに示されているように、インピーダンスは、電極間の距離(l)の増大に起因し、延伸に伴って非線形で増大している。更には、装置は、伸長が非常に大きくなった際に、汗のレベルとの関係における感度を喪失するように思われる。図16Bは、静電容量の場合における同様の傾向を示しており、装置の性能は、15%の伸長における延伸の際に非線形で約80%だけ減少している。装置の性能は、40%超だけ延伸された際に、大きく劣化するものと考えられ、インピーダンスも、静電容量も、汗のレベルとの関係において計測することができない。性能の低減は、導電性構造に基材との接触を喪失させる延伸自在の相互結合部上におけるプレーン外変形(out-of-plane deformation)に起因したものであろう。また、抵抗性インピーダンス及び静電容量は、式(1)及び式(2)との関連において説明したように、構造的パラメータl及びdに対して線形の関係にはない。但し、延伸の際には、電気性能の出力に対する非線形の関係を生成する相対的に複雑な変形メカニズムが存在している。
【0129】
図17は、基材の延伸の際の導電性構造の間の距離の変化(d)のシミュレーションを示している。導電性構造の間の距離の変化と伸長は、1対1の比例的な要因ではない。15%の伸長において、距離は、電極の間において9%だけ変化する。但し、同一の伸長において、センサの電気性能は、80%だけ低下する。この性能の低下は、延伸の際の延伸自在の相互結合部上におけるプレーン外変形に起因したものであろう。図18は、プレーン外変形のシミュレーションを示しており、図18の嵌め込み図は、延伸自在の相互結合部の光学画像を示している。嵌め込まれた画像内の延伸自在の相互結合部の色の違いは、光の異なる方式による反射を生成するプレーン外変形に起因したものである。15%の伸長において、延伸自在の相互結合部は、Z方向において0.14mmだけ変形する。この面外変形は、離隔距離(d)と抵抗性インピーダンスの長さ(l)の両方を増大させることができる。この結果、電極間の距離のみならず、面外変形も、電気性能に対して影響を及ぼすことになる。
【0130】
本明細書においては、最適な周波数において実行される静電容量に基づいた計測を使用した基材の電気特性の計測に基づいて組織状態を判定するための例示用の方法が提供される。この方法は、組織の電気特性の計測値との関連においてデータを受け取るステップであって、計測は、RF範囲内においてインピーダンスの大きさの最も高感度な出力を提供する周波数において実行される、データを受け取るステップと、モデルをデータに対して適用して有効回路モデルの少なくとも1つのパラメータを定量化するステップとを含む。一例においては、周波数は、約20kHzである。パラメータの値を使用し、組織状態の通知を提供することが可能であると共に/又は例示用の装置の延伸の量を定量化することができる。
【0131】
静電容量に基づいた計測を使用した基材の電気特性の計測に基づいて組織状態を判定するための本明細書において提供される別の例示用の方法は、特定の程度の例示用の装置の変形を許容している。この方法は、組織の電気特性の計測との関連においてデータを受け取るステップであって、計測を実行するために使用される例示用の装置には、計測の際に所定程度の変形が適用される、データを受け取るステップと、モデルをデータに対して適用して有効回路モデルの少なくとも1つのパラメータを定量化するステップとを含む。パラメータの値を使用し、組織状態の通知を提供することができる。
【0132】
その他の水分補給監視法との関係において、汗の分析、血液の分析、筋肉の超音波分析、及び電気分析を実行することもできる。これらのその他の水分補給監視法を使用し、本明細書の原理に従って実行される水分補給監視計測を裏付けるか又は較正する潜在的な方法を提供することができる。汗の分析(イオン濃度分析によるもの)及び血液の分析(ヘモグロビン濃度によるもの)は、いずれも、非侵襲的な試料収集のみならず、必要な成分のスケーラビリティにおいても、実際的な課題を有することになろう。
【0133】
静電容量の検知を使用する水分補給の監視は、血液及び汗の分析との比較において、以下のようないくつかの利益を提示することができる。
・血液及び汗の分析は、廃棄可能な接着性のセンサユニットを必要とする可能性が高く、且つ、費用を所要する場合がある。
【0134】
・静電容量の検知が水分補給の監視のために良好に機能する太腿及び上腕を含む特定の場所が存在しており、これらの場所は、活発な活動の際の装置の使用に有用である。汗又は血液の監視システムのための最良の場所は、判定が相対的に困難であろう。
【0135】
・静電容量の検知は、完全に非侵襲的なものとすることができる。
このようなセンサは、不快感を伴うことなしに最大で一週間の期間にわたって装着されており、体操やシャワーなどの日常の活動にも耐える。寿命は、主に皮膚内の細胞の代謝回転によって制限されている。
【0136】
本明細書の原理によるシステム、装置、及び方法は、以下のような利益を提供する。
・センサ回路は、腕/脚バンド又は身体にぴったりと合った衣服に内蔵されるかどうかとは無関係に、相対的に快適且つ携帯型のユーザー経験のために、十分に曲がり易く、延伸自在であり、快適なものとなるように、構成することができる。
【0137】
・水分補給状態は、腕/脚バンド又は身体にぴったりと合った衣料品或いは皮膚上に配置されたパッチを含む衣服又は用具の品目に内蔵されたセンサを使用する計測に基づいてリアルタイムで観察してもよい。
【0138】
・例示用の装置は、(水分補給レベルに関係しうる)汗のレベルを示すためのLEDインジケータライトに結合されたセンサを含んでもよい。
・例示用の装置は、(無線通信によるもの又はIRを使用するものを含む)データを送信するように構成された皮膚上に配置されたパッチ又は衣服又は用具の品目内に、本明細書に記述されているセンサを含んでもよく、(限定を伴うことなしに、スマートフォンなどの)ハンドヘルド装置をセンサの近傍に移動させることにより、センサによって実行された電気計測の定量的通知を受け取ることができる。
【0139】
・腕/脚バンドは、無線方式であってもよく、データをモバイル装置及び携帯型音楽プレーヤに送信してもよい。
・革新的な低電力管理法により、回路は、非常に小さな電源によって動作することができる。
【0140】
・革新的な電子回路設計により、静電容量(並びに、いくつかの例においては、インピーダンスの計測値)の小さな変化を検出することができる。
静電容量の計測を実行するためのセンサは、皮膚上において装着してもよい(皮膚パッチとしてのものを含む)又は身体にぴったりと合った衣服又は(腕又は脚バンドなどの)その他の用具内に統合してもよい曲がり易く且つ/又は延伸自在の基材上において組み立ててもよい。一例においては、センサは、センサが曲がり易く且つ/又は延伸自在の基材と共に曲がることができるように曲がりくねった形状を有するように、設計されている。(水分補給の状態に関係しうる)汗のレベルは、静電容量センサの2つの接点の間の静電容量を計測することによって判定される。計測される静電容量の変化は、水分補給状態の変化を反映することができる。
【0141】
また、このセンサは、汗の組成を計測するその他のタイプのセンサ(例えば、導電率を計測するセンサ、或いは、ナトリウム、カリウム、及びカルシウムなどの選択されたイオンの濃度を計測するセンサ、及びその他のもの)との組合せにおいて使用してもよいものと想定される。
【0142】
本明細書に記述されている原理によるシステム、方法、及び装置は、少なくとも4つの商業セグメントに適していよう。第1のセグメントは、競技であり、これには、気楽な競技と高度に競争的な競技の両方が含まれる。水分補給レベルの計測は、運動選手のトレーニングルーチンの監視の際に、運動選手に高度な支援を提供することが可能であり、過度な脱水の防止を支援するための安全のための予防策を提供することができる。本明細書に開示されているシステム、装置、及び方法を使用し、運動選手が更なる水又はスポーツドリンクやエネルギードリンクなどの電解質溶液を飲用する必要がある時点を通知する。第2の適用可能なセグメントは、軍事である。兵士やパイロットなどは、実際の戦闘及び訓練の際の水分補給の監視から大きな利益を享受することになろう。脱水は、低レベルの場合にも、物理的且つ精神的な性能に影響を及ぼす可能性があり、且つ、深刻な安全上の問題を引き起こす可能性がある。水分補給レベルを監視することにより、兵士が水分補給された状態に留まってこれらのリスク要因のいずれかを回避することを支援することができる。第3の潜在的な市場セグメントは、美容及び化粧の市場であり、局所的な皮膚の水分補給を監視してもよく、水分補給の状態が低過ぎると思われる際には、様々なローション又はその他の製品を塗布してもよい。適切な水分補給のレベルにより、皮膚の乾燥を防止することが可能であり、時間に伴い、健康な皮膚の外観を生成することができる。別の例においては、水分補給のレベルは、皮膚の硬さのインジケータとして機能することができる。第4のセグメントは、健康及び厚生/医療の監視市場におけるものである。これは、多数の健康計測のうちの1つとして水分補給レベルが監視される一般的な厚生プログラムの一部であってもよく、健康の追跡、診断、及び長期監視のための一般的な評価に統合してもよい。
【0143】
インダクタンスに基づいた計測
本明細書に記述されている原理による一例においては、装置は、インダクタンスに基づいた計測を通じて組織の電気特性を計測するように構成することができる。
【0144】
インダクタンスに基づいた計測を実行するための装置1900の非限定的な例が図19Aに示されている。この例示用の実装形態による装置1900は、組織上に配設される基材1902を含むことが可能であり、基材1902は、組織状態の変化に伴って状態の変化を示す材料から形成されている。非限定的な例として、基材1902は、(水分補給レベルに関係しうる)組織の汗のレベルの変化に伴って水分補給状態を変化させる材料から形成することができる。装置1900は、基材上に配設された少なくとも1つの第1インダクタ構造1904を更に含む。非限定的な例として、インダクタ構造1904は、螺旋形コイル構造、円筒形コイル構造、又はドーナツ形の構造であってもよい。インダクタンスに基づいた計測は、電位を少なくとも1つの第1インダクタ構造1904に印加することにより、実行することができる。少なくとも1つの第1インダクタ構造1904の電気特性及び/又は物理特性は、基材の状態の変化に伴って変化する。装置を使用した少なくとも1つの第1インダクタ構造1904の電気特性又は物理特性の計測を使用し、組織状態の通知を提供する。装置1900は、カプセル化層1906を更に含む。
【0145】
一例においては、電気特性は、少なくとも1つの第1インダクタ構造からの磁束密度であってもよい。
一例においては、カプセル化層1906は、ポリマーであってもよく、これには、接着部分を有するポリマーが含まれる。例えば、カプセル化層の接着部分1908は、カプセル化層1906が組織と物理的に接触するところに存在することができる(組織に対する装置の装着も含まれる)。接着部分を使用し、装置1900を組織に取り付けることができる。この結果、装置を組織との接触状態において維持することができる。
【0146】
別の例においては、導電性ゲルを装置と、装置と組織の間に存在する任意の吸収層の間に配設することができる。導電性ゲルは、容易に変形することが可能であり、間隔の変化を許容することができるが、装置と吸収体の間の電気的な距離を実質的にゼロにおいて維持することができる。
【0147】
一例においては、電気特性は、領域に到達する少なくとも1つの第1インダクタ構造からの磁束密度である。
図19Bにおいて示されているように、インダクタンスに基づいた計測を実行するための装置1900は、基材1902と、少なくとも1つの第1インダクタ構造1904と、カプセル化層1906とを含むことができる。装置は、少なくとも1つの第1インダクタ構造1904と基材1902の間に配設されたセパレータ層1908を更に含む。
【0148】
一例においては、セパレータ層は、非導電性材料であり、非導電性材料には、ポリマーに基づいた材料が含まれる。
例示用の一実装形態においては、読取装置を使用し、組織の電気計測を実行することができる。図20に示されているように、例示用の読取装置1910は、少なくとも1つの第2インダクタ構造1912を含むことができる。少なくとも1つの第1インダクタ構造1904の近傍に移動された少なくとも1つの第2インダクタ構造1912の電気特性の変化の計測により、少なくとも1つの第1インダクタ構造1904の電気特性の計測が得られる。読取装置1901を使用する少なくとも1つの第1インダクタ構造1904の電気特性又は物理特性の計測を使用し、組織状態の通知を提供する。例えば、(静電容量に基づいたシステムとの関連において)上述したように、異なる既知の組織状態における組織試料のトレーニングセットのインダクタンスに基づいた電気計測に基づいて、較正標準を生成することができる。
【0149】
第2インダクタ構造1912は、第1インダクタ構造1904と同一の構成であってもよい。
非限定的な例においては、読取装置は、スマートフォン、タブレット、スレート、又はその他のハンドヘルド演算装置などのハンドヘルド装置である。ハンドヘルド装置のプロセッサを使用し、インダクタンスに基づいた計測からのデータを分析して組織状態の通知を提供することができる。
【0150】
下層組織(underlying tissue)のインピーダンスに対する感度を有するRFインダクタコイルが使用される。同様に、下層組織のインピーダンスの変化を計測するための皮膚上の受動型RF誘導コイルを組織の水分補給の状態の変化と関連付けてもよい。これは、着用可能な(延伸自在の、曲がり易い、又は順応性を有する)フォームファクタに容易に統合可能である水分補給の評価のための単純且つ非侵襲的な方法を提供する。
【0151】
組織のインピーダンス−インダクタンスを使用する水分補給の監視は、血液及び汗の分析との比較において、いくつかの特定の利点を有しており、血液及び汗の分析は、廃棄可能な接着性のセンサユニットを必要とする可能性があり、費用を所要する場合がある。RFインダクタは、再使用可能となるように容易に設計することができる。RFインピーダンス試験が水分補給監視について最良に機能する太腿及び上腕を含む特定の場所が存在しており、これらの場所は、活発な活動の際の装置の使用に有用である。
【0152】
RFインダクタコイルは、皮膚上において着用してもよく或いは身体にぴったりと合った衣服に一体化させてもよい曲がり易く且つ/又は延伸自在の基材上において組み立ててもよい。コイルの共振周波数を計測することにより、その水分補給の状態を含む組織の状態が判定される。この周波数は、コイルに隣接する組織のインピーダンスに関係している。共振周波数の変化をインピーダンスの変化と関連付けてもよく、このインピーダンスの変化は、水分補給の状態の変化を反映している。コイルがインピーダンスの変化に対する感度を有する組織の深さは、コイルの半径に伴って増減する。小さなコイル(<1cm)は、主には、皮膚の水分補給に対する感度を有するように構成され、相対的に大きなコイル(>1cm)は、筋肉の水分補給の状態に対する感度を有するように構成される。
【0153】
本明細書の様々な例に従い、装置を使用し、以下のような情報を付与するリアルタイムデータを提供することができる。
1.失われた汗の合計容積
2.能動型モニタによる失われた汗の組成(汗として失われる主要な電解質は、ナトリウム、カリウム、カルシウムである)
受動型の非侵襲的装置を通じた水分補給のリアルタイム監視のための本明細書の例示用の装置及びシステムは、一定の表面積の皮膚上の親水性パッチ(即ち、親水性ポリウレタン)上におけるRF導体コイルの配置による失われた汗の容積に基づいたものである。RFコイル及びパッチは、皮膚と接触すると共に特定の表面積からの汗の収集のみを許容する生体接着性パッチ内に収容してもよい。親水性パッチ(TECOPHILIC(登録商標)(オハイオ州Wickliffeに所在するLubrizol Corporation社))は、その表面積において失われた量の汗を収集し、その汗を均一に分散させる。親水性パッチ上のRFコイルの共振周波数の変化を汗の蓄積に伴う親水性パッチ内のインピーダンスの変化に関連付けることができる。この変化は、携帯型(ハンドヘルド)RF読取装置を使用して計測することができる。小さなRFコイルを使用し、上述の表面積において親水性ポリウレタンパッチ内に蓄積された均一な分布の汗を計測することができる。この結果、関連付けられたデータは、身体全体の表面積に対するパッチの表面積を推定することにより、身体の表面積(Body Surface Area:BSA)の全体において失われた汗の容積に基づいて、水分補給の状態を付与することができる。平均BSAは、成人の場合には、1.73mとなるように、即ち、男性の場合には、1.9mとなり、且つ、女性の場合には、1.6mとなるように、幅広に解釈される。これは、身長と体重のいずれもが、BSA用のDubois及びDubois式(又は、別の合意されたBSA用の式)を通じて既知である場合には、以下のように、更にカスタマイズすることができる。
【0154】
【数1】
例示用の装置は、皮膚に接着する弾性パッチ内に収容することができる。このパッチは、適用の際に失われた汗を吸引し、且つ分散させる吸収性の毛管作用を有する親水性材料を収容する空洞を含んでもよい。パッチは、親水性材料内の汗の蓄積量が、皮膚を通じた汗の流束、即ち、皮膚の1平方メートル当たりの汗の量と直接的に相関するように、設計してもよい。この流束に上述の算出されたBSAを乗算することにより、所定の期間において失われた流体の量の実質的に絶対的な計測値が得られる。この結果、着用者は、失われた流体の量を正確に補給するか又は再水分補給することができる。パッチは、皮膚に対するアクセスを制限し、且つ空洞内への汗の流れの制御を許容する微細孔を有するエラストマーを含んでもよい。パッチの外側表面上のRFコイルを外部の周波数掃引型RFトランシーバによって励起してもよい。中心周波数及びコイルのQは、パッチの水分含有量に応答して変化し、これが外部トランシーバによって検出されることになる。この計測のためのベースラインは、最初に皮膚に適用された際のパッチである。
【0155】
別の実装形態は、エラストマーの下部表面上に、即ち、皮膚の面又は空洞の底部上に金属メッシュを含む。メッシュは、皮膚の表面をRF検知コイルから隔離し、且つ個々の身体組成及び水分補給の開始に応じたコイル応答の自然な変動を除去することにより、パッチの一括工場較正を許容する。
【0156】
別の例示用の実装形態は、空洞内に埋め込まれると共に空洞の上方及び下方の両方において隔離を提供する検知コイルを含む。この隔離は、対象物の変動及び漂遊電磁界からの検知コイルの保護に有用である。この例においては、検知コイルにリンクされているが遮蔽された空洞の外部に位置する別個の通信コイルを含んでもよい。リンクは、受動型又は能動型のいずれであってもよい。受動型リンクは、AC結合又はDC結合してもよい。能動型リンクは、RFIDタグと同様に、トランジスタ、RFエネルギーの収集及び貯蔵、Rx、検知、並びに、Tx位相、タイミング、及び制御を含んでもよい。
【0157】
図21の例示用の装置は、エラストマー基材2102と、TECOPHILIC(登録商標)材料2104、水分が組織からパッチに進入することを許容する微細孔を提供する開口部2106、エラストマーキャップ2108、TECOPHILIC(登録商標)層2104の水分補給レベルを検出するための検知コイル2110(第1インダクタ構造)を含む検知パッチ2100の4分の1の部分を示している。
【0158】
図22の例示用の装置は、コイルが、皮膚の内部ではなく、TECOPHILIC(登録商標)の内部の水分のみを検出するように、TECOPHILIC(登録商標)層の下方に遮蔽メッシュ2112を含む検知パッチ2200の4分の1の部分を示している。
【0159】
図23の例示用の装置は、検知コイル2110の電磁的な隔離を提供するための上部遮蔽体2114と下部遮蔽体2112の両方を含む検知パッチ2300の4分の1の部分を示している。第2コイル2116は、検知コイル2110を使用して実行される組織状態計測の通信のために使用される。
【0160】
超音波に基づいた計測
汗の分析、血液の分析、及び筋肉の超音波分析は、水分補給の監視の潜在的な方法として使用されている。汗の分析(イオン濃度分析によるもの)及び血液の分析(ヘモグロビン濃度によるもの)は、いずれも、非侵襲的な試料収集のみならず、必要な成分のスケーラビリティにおいても、実際的な課題を有している。全体的な水分補給レベルのインジケータとして組織の水分補給レベルを判定するための超音波速度は、研究によって証明された関係を利用するものであり、且つ、最低限の複雑化の潜在性しか伴わない方法である。
【0161】
図24は、組織の電気特性を示すデータを提供するべく本明細書に記述されている静電容量に基づいたシステム及び/又はインダクタンスに基づいたシステムとの関連において使用することができる例示用の超音波システム2400の断面を示している。例示用の超音波システム2400は、圧電結晶2402、硬質ポリマー合焦要素2404、金属プレート2406、及び電圧を圧電結晶2402に供給するための配線2408を含む。
【0162】
図25は、電圧が印加された際の例示用の超音波システム2400の例示用の動作を示している。交流電圧は、圧電結晶2402内の形状の変化を生成し、且つ、この形状の変化は、超音波の生成を支援する。
【0163】
図26Aは、上腕組織の周りにおける例示用の装置マウント2600を示している。図26Bは、上腕組織2602の周りに配設された装置マウント2600の断面を示している。超音波システムは、超音波生成器2604と、超音波レシーバ2606とを含む。
【0164】
超音波速度又は組織のインピーダンスを使用した水分補給の監視は、血液及び汗の分析との比較において、以下のようないくつかの特定の利点を有する。
・血液及び汗の分析は、廃棄可能な接着性のセンサユニットを必要とする可能性が高く、且つ、費用を所要する場合がある。超音波装置は、再使用可能となるように容易に設計することができる。
【0165】
・超音波速度が水分補給の監視を支援する太腿及び上腕を含む特定の場所が存在しており(図26Aを参照されたい)、且つ、これらの場所は、活発な活動の際の装置の使用に有用である。汗又は血液の監視システムのための最適な場所は、判定することが相対的に困難であろう。
【0166】
・超音波装置は、非侵襲的なものにすることができる。
本開示の利益の非限定的な例は、以下のものを含む。
・センサ回路は、腕/脚バンド又は身体にぴったりと合った衣服に内蔵されるかどうかとは無関係に、相対的に快適な且つ携帯型のユーザー経験のために、十分に曲がり易く、延伸自在であり、且つ、順応性を有する。
【0167】
・水分補給状態の読取値は、バンドの全体にわたる複数のアレイ内に配置された複数のトランスデューサ−センサペアから取得された速度の読取値の平均値を使用することによって導出されることになる。トライアルの回数の増大は、読取値の精度の改善を支援することになる。更には、平均読取値は、バンドの順応特性に起因したトランスデューサ−センサ間の離隔の潜在的な小さな変化によって生成される不一致の軽減(mitigate any inconsistencies)を支援することにもなる。
【0168】
・水分補給状態は、含まれているLEDインジケータライトを介して、腕/脚バンド又は身体にぴったりと合った衣料品上においてリアルタイムで観察してもよい。
・腕/脚バンドは、無線であってもよく、且つ、データをモバイル装置及び携帯型音楽プレーヤに送信してもよい。
【0169】
・革新的な低電力管理法により、回路は、非常に小さな電源によって動作することができる。
RFインダクタコイルは、皮膚上において着用してもよく又は身体にぴったりと合った衣服に一体化させてもよい曲がり易く且つ/又は延伸自在の基材上において組み立ててもよい。コイルの共振周波数を計測することにより、水分補給の状態を判定する。この周波数は、コイルに隣接した組織のインピーダンスに関係している。共振周波数の変化をインピーダンスの変化と関連付けてもよく、インピーダンスの変化は、水分補給の状態の変化を反映している。コイルがインピーダンスの変化に対する感度を有する組織の深さは、コイルの半径に伴って増減する。小さなコイル(<1cm)は、主には皮膚の水分補給に対する感度を有するように構成され、相対的に大きなコイル(>1cm)は、筋肉の水分補給の状態に対する感度を有するように構成される。
【0170】
様々な例においては、これらのセンサ(超音波及び(インダクタンスに基づいた及び/又は静電容量に基づいた)インピーダンス)は、単独で又は組合せにおいて使用してもよい。また、これらのセンサ(超音波及び(インダクタンスに基づいた及び/又は静電容量に基づいた)インピーダンス)は、汗の組成を計測するその他のタイプのセンサ(例えば、導電率を計測するセンサ、或いは、ナトリウム、カリウム、及びカルシウムなどの選択されたイオンの濃度を計測するセンサ、及びその他のもの)との組合せにおいて使用してもよいものと想定される。
【0171】
例示用のコンポーネントは、超音波トランスデューサ/レシーバアレイ回路である。超音波トランスデューサ及びレシーバは、トランスデューサおよびレシーバのペアからの信号を処理する一連のアナログ−デジタルコンバータ(Analog-to-Digital Converter:ADC)を有する回路内に配置される圧電ディスクアクチュエータである。
【0172】
これらのトランスデューサ/レシーバは、Tシャツの袖、圧縮ショートパンツの脚部、或いは、ネオプレン、スパンデックス、又はその他のタイプのポリマー材料などの身体にぴったりと合った曲がり易い延伸自在の材料から製造されたスポーツ腕バンド又は脚バンド内に配置される。例示用の一構成は、相互に等距離に離隔したトランスデューサ及びレシーバからなる3つ以上のアレイである。それぞれのセクションは、2つのトランスデューサ及び2つのレシーバを収容している。それぞれのトランスデューサは、隣接するアレイ内のレシーバと通信する機能を備えており、且つ、逆も又同様である。トランスデューサおよびレシーバのセクションは、骨の干渉に起因し、対角方向のセクションとは通信せず、隣接するセクションのみと通信する。
【0173】
水分補給状態を筋肉組織を通じた超音波の速度に基づいて監視する。組織の水分補給レベルと組織を通じた超音波の速度の間には、証明済みの線形の比例性が存在している(トプチャンら著(Topchyan, et al.)、超音波学(Ultrasonics)、第44巻、2006年、259〜264頁)。筋肉組織が相対的に脱水状態となるのに伴って、超音波速度は、相対的に高速となる。この線形の関係は、脱水の極端なレベルには、当て嵌まらない。回路内のADCは、トランスデューサにおける超音波信号の伝播とレシーバにおける信号の受信の間の時間差を計測する。次いで、この時間差をトランスデューサとレシーバの間の距離によって除算して超音波速度を得る。これを規則的なインターバルにおいて計測する。これらの計測が30秒ごとに実施される例においては、8つのトランスデューサおよびレシーバのペアのそれぞれからの読取値の平均値から、1つの全体速度が算出されることになる。それぞれの30秒のインターバルにおいて1度ずつそれぞれのペアを起動して速度読取値を取得することになり、且つ、一度に1つのペアのみを起動して肯定的又は否定的な干渉の可能性を除去することになる。
【0174】
組織の特性を計測する装置を使用するための例示用のシステム
非限定的な一例においては、本明細書に記述されている原理のいずれかによる装置又はシステムは、パッチの一部として組織に取り付けることができる。本明細書に記述されている装置のいずれかのうちの少なくとも1つを含むことができるパッチ2702の一例が図27に示されている。パッチ2702は、皮膚などの組織に適用してもよい。ハンドヘルド装置2704を使用し、パッチ2702の装置が実行する電気計測との関連においてデータを読み取ることができる。例えば、パッチ2702は、信号をハンドヘルド装置2704に送信するために送信機又はトランシーバを含むことができる。電気計測との関連におけるデータをハンドヘルド装置2702のプロセッサによって分析し、本明細書に記述されている原理に従って組織状態の通知を提供することができる。
【0175】
図27に示されているように、パッチは、組織に適用される物質2706との関連において使用してもよい。物質2706は、組織の状態を変化させるように構成してもよく、これには、組織の疾病の治療が含まれる。例えば、物質2706は、UVからの保護を提供するために皮膚組織に適用されるように構成してもよい。この例においては、パッチの装置は、組織上におけるUV及び/又はSPF検知の通知を提供するべく、太陽による損傷を防止するべく、且つ/又は、保護製品を推奨するべく、電気計測を実行するように、構成されることになろう。別の例においては、物質2706は、組織の疾病又はその他の変異を治療するべく組織に対して適用されるように構成してもよい。
【0176】
一例として、パッチ2702は、快適性及び通気性のために構成された廃棄可能な接着性パッチであってもよい。
別の例においては、パッチ2702は、快適性及び長期間の着用のために構成された相対的に丈夫なセンサパッチであってもよい。センサパッチは、対象の組織状態を計測するためのオンボードセンサと、電気通信との関連においてデータを記録するためのメモリと、状態のチェック及びダウンロードを実行するべくハンドヘルド装置によるセンサパッチの読取りを許容する近距離通信装置とを含んでもよい。ハンドヘルド装置の非限定的な例は、スマートフォン、タブレット、スレート、e読取装置、又はその他のハンドヘルド演算装置を含む。センサパッチは、上述のように計測を実行するために使用される電圧を供給するために、電池などのエネルギー貯蔵装置を含んでもよい。
【0177】
一例においては、システムは、パッチ2702と、充電パッド(図示せず)とを含んでもよい。パッチ2702は、パッチ2702のエネルギー貯蔵コンポーネントを充電するために充電パッド上に配置してもよい。充電パッドは、AC壁ソケットにおいて充電してもよい。充電パッドは、誘導型充電パッドであってもよい。
【0178】
例示用の一実装形態においては、パッチ2702は、静電容量に基づいた及び/又はインダクタンスに基づいた計測からの電気的情報に基づいてSPF監視を実行するための装置を含むことができる。この実装形態による例示用の装置は、オンボードのUVA及び/又はUVBセンサを含むことができる。報告対象である組織状態は、組織を保護するための日焼け止め製品の太陽からの保護の有効性である。この実装形態による例示用の廃棄可能なパッチは、日焼け止め剤の分布状態を正確に表すべく皮膚の湿潤特性をシミュレートするように設計された表面を提供することができる。
【0179】
例示用のSPF監視システムは、廃棄可能な接着性パッチと共に、丈夫なセンサパッチを使用することができる。SPF監視システムの使用のための例示用の方法においては、パッチ2702は、長期間にわたる太陽に対する曝露が予測される場合には、人物の身体上の個別の高曝露の場所に配置することができる。例えば、一日の全体を通じたものなどように、時間の経過と共に、NFC対応型のハンドヘルド装置をパッチ2702の近傍に配置することにより、どれだけの太陽からの保護が依然として有効であるのかをチェックすることができる。ハンドヘルド装置は、「SPF」状態を記録及び追跡するためのアプリケーション(App)を含むことができる。即ち、ハンドヘルド装置上のAppは、ハンドヘルド装置のプロセッサユニットがパッチ2702の装置からの電気計測値を分析し、且つ、この分析に基づいて組織状態(SPF状態)の通知を提供するように、機械可読命令を含むことができる。Appは、(i)製品の推奨を提供するか、(ii)製品を再適用するための示唆を提供するか、又は(iii)推奨された製品の購入又はそのサンプルの入手を促進するインターフェイスを提示するための機械可読命令を含むことができる。一日が終了した時点などのように、使用の後に、消費者は、接着性パッチを廃棄してもよく、且つ、後の時点において再使用するために、センサパッチを保持してもよい。センサパッチは、本明細書に記述されるように、充電パッドを使用することによって再充電することができる。
【0180】
別の例示用の実装形態においては、パッチ2702は、静電容量に基づいた及び/又はインダクタンスに基づいた計測からの電気的情報に基づいてUV線量計として稼働する装置を含むことができる。この実装形態による例示用の装置は、オンボードのUVA及び/又はUVBセンサを含むことができる。報告の対象である組織状態は、人間のUV曝露量である。
【0181】
例示用のUV線量計システムは、廃棄可能な接着性パッチと共に、丈夫なセンサパッチを使用することができる。UV線量計システムの使用のための例示用の方法においては、パッチ2702は、長期間にわたる太陽に対する曝露が予測される場合には、人物の身体上の個別の高曝露の場所に配置することができる。例えば、一日の全体を通じたものなどのように、時間の経過と共に、NFC対応型のハンドヘルド装置を接着性パッチの近傍に移動させることにより、パッチ2702の使用の全体を通じて収集された記録済みのデータをダウンロードすることができる。Appを使用し、「太陽に対する個人的な曝露状態」を追跡することができる。即ち、ハンドヘルド装置上におけるAppは、ハンドヘルド装置のプロセッサユニットがパッチ2702の装置からの電気計測値を分析し、且つ、この分析に基づいて組織状態(個人的な太陽に対する曝露状態)の通知を提供するように、機械可読命令を含むことができる。Appは、(i)製品の推奨を提供するか、(ii)製品を再適用するための示唆を提供するか、又は(iii)推奨された製品の購入又はそのサンプルの入手を促進するインターフェイスを提示するための機械可読命令を含むことができる。一日の終了の時点などのように、使用の後に、その人物は、接着性のパッチを廃棄してもよく、且つ、後の時点における再使用のために、センサパッチを保持してもよい。センサパッチは、例えば、一晩で、充電パッド上において再充電することができる。
【0182】
別の例示用の実装形態においては、パッチ2702は、静電容量に基づいた及び/又はインダクタンスに基づいた計測からの電気的情報に基づいて水分補給及び/又は硬度モニタとして稼働する装置を含むことができる。この実装形態による例示用の装置は、オンボードの水分補給センサを含むことができる。報告の対象である組織状態は、人間の組織の水分補給及び/又は硬さである。この通知に基づいて、パッチ2702は、個人化された皮膚の水分補給及び硬さの製品による治療のための診断及び推奨を実行することができる。
【0183】
例示用の水分補給及び/又は硬度監視システムは、廃棄可能な接着性パッチと共に、丈夫なセンサパッチを使用することができる。水分補給及び/又は硬度監視システムの使用のための例示用の方法においては、その人物は、個人的なプロファイルを生成してもよく、且つ、ハンドヘルド装置上において製品の選択肢をそのプロファイルと関連付けてもよい。プロファイルを生成するために使用可能なAppをハンドヘルド装置にダウンロードしてもよい。夜間などのように、製品の適用の後に、その人物は、1つ又は複数のパッチ2702を身体上の対象のエリアに配置してもよい。その人物は、NFC対応型のハンドヘルド装置をパッチ2702の近傍に移動させることにより、パッチ2702の使用の際に間欠的に収集されたデータをダウンロードしてもよい。Appは、「個人的な水分補給及び硬さの状態」を追跡するための機械可読命令を含むことができる。別の例においては、Appは、(i)製品の推奨を提供するか、(ii)製品を再適用するための示唆を提供するか、又は(iii)推奨された製品の購入又はそのサンプルの入手を促進するインターフェイスを提示するための機械可読命令を含むことができる。その人物は、この手順を様々な製品及びビューティルーチンによって反復してもよく、且つ、その結果に基づいてプロファイルを更新してもよい。
【0184】
計測値を通知及び/又は送信するためのシステム
例示用の一実装形態においては、組織状態(水分補給状態を含む)の状況を一連のLEDインジケータライトによって監視してもよい。即ち、組織状態の通知を提供するべく、本明細書に記述されている例のいずれかに従って、LEDライトを使用することができる。
【0185】
組織状態(水分補給レベルを含む)の値又は値の変化を示すための多くの方法の一例として、LEDインジケータライトを点灯し、初期読取値からのセンサ計測値の百分率の変化を通知してもよい。LEDは、以下の表に表示されているように、水分補給レベルに応じて一緒に点灯するペアとしてグループ化される。
【0186】
【表1】
特定の計測値の変化に結び付くすべてのLEDインジケータは、点灯した状態に留まることができるが、これらは、対象が再度水分補給された場合には/際には、消灯してもよい。例えば、計測値の4%の変化の際には、LEDの2つの緑色ペアと1つの黄色ペアが点灯してもよい。その増大が0.5%に低下した場合には、1つの緑色ペアのみが点灯してもよい。
【0187】
これは、水分補給レベルの通知をユーザーに提示してもよい多数の方法のうちの一例である。また、数字7セグメントLED又はLCDディスプレイを使用し、数値又は百分率値を提供することもできる。LEDの線形の構成は、水分補給レベルを「チャート」として表示することが可能であり、この場合には、点灯したLEDの相対的に長い延在は、相対的に大きな水分補給を示している。また、輝度レベルによって水分補給レベルを通知することも可能であり、或いは、水分補給レベルの上昇、水分補給レベルの低下、又は水分補給レベルの絶対値を通知するための連続パターン又はその他の多数の方法を表示してもよく、且つ、これらをユニットと一体化させてもよい。
【0188】
更にその他の実装形態においては、外部電源を利用するのではなく、「オンボード」の電源を利用してもよい。一例においては、電源は、剛性のハウジング内に収容された小さな12V電池であってもよい。このような電力管理法は、様々な周知の電池及びエネルギー貯蔵管理方法を使用することができる。
【0189】
別の態様においては、セルラーフォン、mp3プレーヤなどの携帯型音楽プレーヤ、或いは、その他の適切なモバイル装置に対するデータ送信をサポートすることにより、添付のソフトウェアアプリケーションによるデータ記録及び可聴水分補給状態警報を実現してもよい。一例においては、処理回路、並びに、BLUETOOTH(登録商標)データ送信機(又は、WiFi(802.11プロトコル)、ANT、又はその他の無線手段及びプロトコルなどのその他の無線技法)を利用し、このような送信を円滑に実行している。
【0190】
更に別の態様においては、LEDライトインジケータシステムをその他の通知メカニズムによって置換又は補完してもよい。例えば、LEDライトインジケータシステムは、以前に計測されたベースラインからのセンサ計測値の百分率の変化の正確な読出し情報を付与することによって、水分補給レベルの百分率の変化の正確な読出し情報を付与するディスプレイによって置換してもよい。別の解決策は、オンボードの通知を除去し、且つ、モバイル装置又はmp3プレーヤと統合するというものである。これは、電話機又はその他のモバイル装置内において提供されている処理能力を活用するものであり、この結果、スポーツバンド上における処理リソースが低減又は除去される。
【0191】
その他の例によれば、水分補給監視装置は、順応性を有する基材上に、薄く、曲がり易く、且つ/又は、延伸自在の静電容量に基づいたセンサを含んでもよい。センサ電極は、受動型の装置であり、且つ、デカール又は一時的な刺青(tattoo)のような様々な場所において皮膚に適用されるか、或いは、身体にぴったりと合った衣服に一体化させてもよい。導電性構造の間の静電容量およびインピーダンスを計測し、水分補給の状態と関連付ける。
【0192】
更にその他の例によれば、水分補給監視装置は、順応性を有する基材上に、薄くて、曲がり易く、且つ/又は、延伸自在の(限定を伴うことなしに、RFインダクタコイルなどの)インダクタ構造を含んでもよい。コイルは、受動型の装置であり、デカール又は一時的な刺青のような様々な場所において皮膚に適用されるか、或いは、身体にぴったりと合った衣服に一体化させてもよい。コイルは、皮膚の近傍に配置することが可能であり、直接的な接触となる必要はない。次いで、コイルの共振周波数を計測し、水分補給の状態と関連付ける。
【0193】
このような組織状態(水分補給を含む)に関する情報を保存、送信、及び記録して特定の活動又は一連の活動からのその他の健康情報に結び付けることにより、時間に伴う身体の水分補給の長期間にわたるプロファイルを付与してもよい。この情報は、ソフトウェアアプリケーションにおいて又はウェブに基づいたツール内において、時間に伴うその他の健康関係の情報と更に統合すると共にユーザー、親、医師、コーチ、又はその他の関係者に提示することにより、時間に伴う状態のグラフィカルな且つ視覚的な情報を付与してもよい。これを使用し、傾向をプロットしてもよく、且つ、水分補給及びその他の生理学的な兆候に関係する問題の早期の診断を提供してもよい。
【0194】
また、この情報は、このような健康状態及び情報をソーシャルメディアサイト及びフォーラムに対して自動的に更新して友人、仲間の運動選手、及び同僚が便利な形態で類似の情報を比較及び対照できるようにするための方法において使用することもできる。追加の特徴は、競争情報及びエンターテインメントを提供するためのオンライン方式によるコメント及びその他の通信を許容することになろう。
【0195】
装置は、皮膚又は筋肉の水分補給の監視を要する場所に適用される。ベースライン読取値を活動期間の開始時点において取得し、次いで、計測値を定期的に取得する。計測からの電気的情報の変化を、限定を伴うことなしに、水分補給状態などの組織状態の変化と関連付けることができる。
【0196】
特定の活動を、活動レベルの変化、更なる水又はスポーツドリンクなどのその他の流体の飲用、或いは、皮膚の水分補給レベルを変化させる特定のクリーム又はローションの塗布などの水分補給状態の特定の変化に結び付けてもよい。
【0197】
超音波技法に基づいて計測するためのコンポーネントを含む装置の場合には、図26Aに示されているように、装置をユーザーの上腕(上腕/三頭筋エリア)又は脚部の下部(ふくらはぎ)の周りに巻き付けてもよく、且つ、限定を伴うことなしに、接着剤、或いは、(VELCRO(登録商標)として市販されている)フック及びループスタイルの留め具コンポーネントなどの手段を使用して固定してもよい。次いで、装置の電源を投入し、活動が開始される前に、ベースライン超音波速度読取値を取得する。装置は、装置が皮膚との直接的な接触を有する限り、衣服又はその他の使用機器とは無関係に、使用してもよい。
【0198】
水分補給の監視
本開示の様々な例は、水分補給モニタとして使用されるケースをその直接的且つ具体的な狙いとしている。この特定の医療用途は、広範なものになろうが、具体的には、これは、水分補給レベルに関連する病院の内外における負傷の治癒、リハビリ、解毒、及び監視のための用途を有することができる。
【0199】
水は、健康な細胞の主要成分であることから、脱水は、負傷の治癒及び物理的なリハビリにおいて、治癒能力の低下を結果的にもたらす可能性がある。また、大規模に露出した負傷(又は、場合によっては、滲出する負傷)は、大量の流体を流出する場合があり、この結果、脱水及び電解質の不均衡をもたらす。身体細胞塊(body cell mass)を維持することは、負傷の治癒の促進に有用である。修復及び回復プロセスにおいては、エネルギー消費が10〜50%だけ増大することが一般的であることから、身体は、負傷の治癒の際に、所定のタイプの代謝亢進状態に入る。この代謝亢進状態は、脱水をもたらす可能性があり、水は、栄養の吸収及び分配の際に身体を支援することから、この結果、脱水は、治癒プロセスにおいて絶対的に重要な蛋白質の破壊に影響を及ぼす可能性がある。脱水状態の皮膚は、相対的に弾性が乏しく、相対的に脆く、且つ、相対的に破壊されやすいことから、水分補給は、負傷の治癒において所定の役割を果たす。また、脱水は、血液循環の効率を低減する可能性もあり、この結果、負傷に対する酸素及び栄養の供給を損なう可能性がある。水及び水分補給は、治癒のプロセスにおいて大きな役割を果たす。
【0200】
解毒プロセスにおいては、水分補給は、毒素及び老廃物を排出するための身体の機能において所定の役割を果たす。水分補給は、細胞の内外における水の流れに基づいた解毒のための基礎である。身体内のpHバランスは、細胞内における蓄積された毒素の解毒に依存している。水及び水分補給は、このプロセスにおいて所定の役割を果たし、人々は、身体から毒素を取り除くと共に全体的な心身の健康を提供する最適レベルの水分補給を維持するために日常的に十分な水を飲んでいないことが判明している。適切な水の摂取を伴うことなしに数年間にわたって生存した者は、身体内における毒素の蓄積に負ける可能性が非常に高い。尿の色を比較する粗野な方法以外に、日常的に組織の水分補給レベルの正確な監視を実行することは困難である。この水分補給モニタは、すべての水分補給の利益を通じて、人々が相対的に健康な生活を送るための方法を提供することができる(脱水の徴候の範囲は、物理的及び精神的な能力の低下、片頭痛、筋肉痛、及び便秘から、入院を必要とする更に深刻な事態にまで及んでいる)。
【0201】
水分補給レベルについての病院の内外における患者の監視(場合によっては、自己監視)は、鎮痛剤及び抗生物質の極端な脱水効果を考えた際に有益であろう。上述の負傷の治癒におけるとまったく同様に、身体は、鎮痛剤及び抗生物質を摂取した際に、増大した水分補給のニーズを有する。多くの鎮痛剤及び多くの抗生物質は、身体に対する脱水効果を有し、これにより、負傷からの回復が困難になる。鎮痛剤は、二重の効果を有しており、即ち、鎮痛剤は、処理のために大量の細胞水を使用し、鎮痛剤は、脱水に対する身体の自然な応答、即ち、渇きを弱めてしまう。漸進的な細胞脱水のプロセスが時間と共に発生する可能性がある。また、多くの抗生物質は、下痢を引き起こすが、下痢は、時間と共に深刻な脱水を引き起こす可能性がある。この状況においては、脱水レベルの監視は、予防的なものと事前の対策的なものの両方である。
【0202】
また、水分補給モニタ用の減量市場における用途も存在している。水分補給された状態に留まることは、日常生活における一般的な心身の健康(利益、短期的健康、長期的健康などに合焦したもの)に非常に重要であるが、あまりに多くの人々が一日を通じて十分な水を飲んでおらず、慢性化しうる脱水状態を生成する可能性があることが文書によって十分に立証されている。ダイエット及び/又はアスレチック産業は、副作用を伴うことなしに非常に低コストの健康的な減量及び健康的なライフスタイルをもたらす食欲管理方法として水分補給を使用することにより、大きな利益を導出することになろう。水は、容易に利用可能であると共に非常に低廉な水分補給の形態である。水は、食欲を抑圧することによる減量(適切に水分補給された際にカロリーの摂取を低減する「満腹感」など)、代謝を強化することによる減量、およびエネルギーの生成を増大させることによる減量において、不可欠な鍵であることが長年にわたって知られている。水分補給の研究は、脱水がムードと意志力の両方に影響を及ぼす可能性があることを示しており、乏しいムード及び意志力は、人々が脂肪、砂糖、及びカロリーの豊富な食品を食べる可能性を増大させる。適切な水分補給は、ダイエット/フィットネス市場における絶対的な巨大なシフトをもたらし、本明細書に記述されているモニタは、これを促進する。非限定的な例示用の実装形態においては、装置は、水分補給モニタとして使用されている。
【0203】
静電容量に基づいた計測又はインダクタンスに基づいた計測を実行する際に本明細書の装置又はシステムによって提供されるデータを使用し、身体の流体を置換するタイミングを判定することができる。失われた大量の流体及び電解質を置換しなければ、脱水の際の細胞レベルの変化に帰することができる深刻な腹痛、運動能力の低下、及び精神的な混乱をもたらす可能性がある。膨れ上がった満腹感に言及するまでもなく、過大な流体及び電解質の置換は、試合又はトレーニングの際の電解質の不均衡及び胃腸の問題をもたらす可能性がある。運動選手又は兵士に伴う温度、湿度、標高、活動のレベル、及び熱順応の程度の変化がプロセスを更に複雑化させている。皮膚からの流体の喪失の監視は、脱水を、或いは、更に一般的には、水分補給の状態を、リアルタイムで計測するための信頼性の高い方法であろう。
【0204】
本明細書に記述されている装置及びシステムは、運動/練習/試合/戦闘/トレーニングにおいて、或いは、モニタが身体上に配置された時点から任意の規定の期間において、失われた汗の合計容積のリアルタイムの代用品を提供することができる。この結果、失われた流体を置換するという課題が相対的に単純化され、活動、トレーニング、又は戦闘の際にリアルタイムで失われたものを置換することにより、精神的且つ物理的な能力の低下の低減が支援され、或いは、この低下の回避が実質的に除去される。
【0205】
結論
限定を伴うことなしに、特許、特許出願、論文、書籍、条約、及びウェブページを含む本出願において引用されているすべての文献及び類似の資料は、それらの文献及び類似の資料のフォーマットとは無関係に、引用により、そのすべてが本明細書に明示的に包含される。包含された文献又は類似の資料のうちの1つ又は複数のものが、限定を伴うことなしに、規定された用語、用語の使用法、記述されている技法、又はこれらに類似したものを含む本出願と異なるか又は矛盾している場合には、本出願が優先する。
【0206】
本明細書において使用されているセクション見出しは、組織的な目的のためのものに過ぎず、決して記述されている手段を限定するものと解釈してはならない。
以上においては、様々な例が記述及び図示されているが、当業者であれば、機能を実行するための、且つ/又は、結果及び/又は本明細書において記述されている利点のうちの1つ又は複数のものを取得するための様々なその他の手段及び/又は構造に容易に想到するものであり、且つ、このような変形及び/又は変更のそれぞれは、本明細書に記述されている例の範囲に含まれるものと考えられる。更に一般的には、当業者は、本明細書に記述されているすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成は、例示を目的としたものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、特定の用途、又は本教示内容が使用される対象の用途によって左右されることを容易に理解するであろう。当業者であれば、一般的な計測を上回るものを使用することなしに、本明細書に記述されている特定の例の多数の均等物を認識又は突き止めることができよう。従って、上述の例は、一例として提示されたものに過ぎず、且つ、添付の請求項及びその均等物の範囲内において、具体的に記述及び特許請求されているもの以外の例を実施してもよいことを理解されたい。本開示の例は、本明細書に記述されているそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法を対象としている。更には、それらの特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾していない場合には、それらの複数の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/方法の任意の組合せは、本開示の範囲内に含まれる。
【0207】
本発明の上述の例は、複数の方法のいずれかによって実装することができる。例えば、いくつかの例は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組合せを使用することによって実装してもよい。一例の任意の態様がソフトウェアにおいて少なくとも部分的に実装される際には、ソフトウェアコードは、単一の装置又はコンピュータ内において提供されているのか又は複数の装置/コンピュータに跨って分散されているのかとは無関係に、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの集合体上において実行することができる。
【0208】
この観点において、本発明の様々な態様は、1つ又は複数のコンピュータ又はその他のプロセッサ上において実行された際に、上述の技術の様々な例を実装する方法を実行する1つ又は複数のプログラムによって符号化された1つのコンピュータ可読ストレージ媒体(又は、複数のコンピュータ可読ストレージ媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ又は複数のフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ又はその他の半導体装置内における回路構成、又はその他の有体のコンピュータストレージ媒体又は一時的ではない媒体)として少なくとも部分的に実施してもよい。1つ又は複数のコンピュータ媒体は、その上部に保存された1つ又は複数のプログラムを1つ又は複数の異なるコンピュータ又はその他のプロセッサ上に読み込んで上述のこの技術の様々な態様を実装することができるように、搬送可能であってもよい。
【0209】
「プログラム」又は「ソフトウェア」という用語は、本明細書においては、上述のこの技術の様々な態様を実装するようにコンピュータ又はその他のプロセッサをプログラムするように利用することができる任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能命令の組を意味するという一般的な意味において使用されている。更には、この例の一態様によれば、実行された際にこの技術の方法を実行する1つ又は複数のコンピュータプログラムは、この技術の様々な態様を実装するべく、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に存在する必要はなく、いくつかの異なるコンピュータ又はプロセッサの間においてモジュラー方式で分散させてもよいことを理解されたい。
【0210】
コンピュータ実行可能命令は、1つ又は複数のコンピュータ又はその他の装置によって実行されるプログラムモジュールなどの多くの形態を有してもよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象的データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。通常、プログラムの機能は、様々な例においては、適宜、組み合わせてもよく、或いは、分散させてもよい。
【0211】
又、本明細書に記述されている技術は、その少なくとも一例が提供されている方法として実施してもよい。方法の一部分として実行される動作は、任意の適切な方法によって順序付けしてもよい。従って、動作が図示のものとは異なる順序で実行される例を構築してもよく、これは、例示用の例において連続的な動作して示されている場合にも、いくつかの動作を同時に実行するステップを含んでもよい。
【0212】
本明細書において規定及び使用されているすべての定義は、辞書の定義、引用によって包含された文書内における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味よりも、優先するものと理解されたい。
【0213】
本明細書及び請求項において使用されている「及び/又は」というフレーズは、そのように連結された要素の「いずれか又は両方」を、即ち、いくつかのケースにおいては連結状態において存在し、且つ、その他のケースにおいては非連結状態において存在する要素を、意味するものと理解されたい。「及び/又は」と共に列挙された複数の要素は、同一の方式により、即ち、そのように連結された要素の「1つ又は複数のもの」として、解釈することを要する。「及び/又は」という表現によって具体的に識別されている要素以外のその他の要素は、具体的に識別されている要素に関係するか又は関係しないかとは無関係に、任意選択により、存在してもよい。従って、非限定的な例として、「A及び/又はB」に対する参照は、「有する」などの開放型の言語との関連において使用された際には、例えば、一例においては、Aのみ(任意選択により、B以外の要素を含む)を、別の例においては、Bのみ(任意選択により、A以外の要素を含む)を、更に別の例においては、A及びBの両方(任意選択により、その他の要素を含む)を意味することができる。
【0214】
本明細書及び請求項において使用される「又は」は、上述の「及び/又は」と同一の意味を有するものと理解されたい。例えば、リスト内の項目を分離している際には、「又は」又は「及び/又は」は、包含的なものとして解釈されることになり、即ち、いくつかの又は列挙された要素のうちの少なくとも1つのものの包含であるが、それらのうちの複数のものをも含み、且つ、任意選択により、更なる列挙されてはいない項目をも含む。「〜のうちの1つのみ」又は「〜のうちの正確に1つ」、或いは、請求項において使用された際の「〜から構成される」などのように、そうではない旨が明瞭に示されている用語のみが、いくつかの又は列挙された要素のうちの正確に1つの要素の包含を意味することになる。一般に、本明細書において使用されている「又は」という用語は、「〜のうちのいずれか」、「〜のうちの1つ」、「〜のうちの1つのみ」、又は「〜のうちの正確に1つ」などの排他性を有する用語によって先行されている場合にのみ、排他的代替肢(即ち、「一方又は他方であって、両方ではない」を示すものと解釈されることになる。請求項において使用された際の「〜から基本的に構成される」は、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有することになる。
【0215】
1つ又は複数の要素のリストを参照して本明細書及び請求項において使用されている「少なくとも1つ」というフレーズは、要素のリスト内の要素のうちの任意の1つ又は複数のものから選択された少なくとも1つの要素を意味しているが、必ずしも、要素のリスト内において具体的に列挙されているそれぞれの且つすべての要素の少なくとも1つを含むというものではなく、要素のリスト内の要素の任意の組合せを排除するものでもないことを理解されたい。又、この定義は、具体的に識別されている要素に関係するか関係しないかとは無関係に、「少なくとも1つ」というフレーズが参照している要素のリスト内において具体的に識別されている要素以外の要素が、任意選択により、存在してもよいことを許容している。従って、非限定的な例として、例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は、等価的に、A又はBのうちの少なくとも1つ」、或いは、等価的に、「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」は、一例においては、Bを伴うことなしに、任意選択によって複数のものを含む、少なくとも1つのA(並びに、任意選択により、B以外の要素を含む)、別の例においては、Aを伴うことなしに、任意選択によって複数のものを含む、少なくとも1つのB(並びに、任意選択により、A以外の要素を含む)、更に別の例においては、任意選択によって複数のものを含む、少なくとも1つのAと、任意選択によって複数のものを含む、少なくとも1つのBと(並びに、任意選択により、その他の要素を含む)、を意味することができる。
【0216】
請求項においては、並びに、上述の本明細書においては、「有する」、「含む」、「担持する」、「具備する」、「包含する」、「伴う」、「保持する」、「から構成される」、及びこれらに類似したものなどのすべての移行語は、開放型であるものとして、即ち、限定を伴うことなしに含むことを意味するものとして理解されたい。「構成される」及び「基本的に構成される」という移行語のみが、「米国特許審査便覧(the United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures)」の§2111.03に規定されているように、それぞれ、閉鎖型又は半閉鎖型の移行語となる。
【0217】
請求項は、特記されていない限り、記述されている順序又は要素に限定されるものとして読み取るべきではない。当業者であれば、添付の請求項の精神及び範囲を逸脱することなしに、形態及び詳細における様々な変更を実施するであろうことを理解されたい。添付の請求項及びその均等物の精神及び範囲に含まれるすべての例は、特許請求の対象である。
【0218】
以下の刊行物、特許明細書、及び特許出願明細書は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
キムら著(Kim et al.)、「延伸自在且つ折り畳み自在のシリコン集積回路(Stretchable and Foldable Silicon Integrated Circuits)」、科学エクスプレス(Science Express)、2008年3月27日、10.1126/science.l 154367
コら著(Ko et al.)、「圧縮可能なシリコン光電子装置に基づいた半球電子眼カメラ(A Hemispherical Electronic Eye Camera Based on Compressible Silicon Optoelectronics)」、ネイチャ(Nature)、2008年8月7日、第454巻、748〜753頁
キムら著(Kim et al.)、「モノリシックに集積された延伸自在の波打った相互結合部を内蔵する相補型金属酸化物シリコン集積回路(Complementary Metal Oxide Silicon Integrated Circuits Incorporating Monolithically Integrated Stretchable Wavy Interconnects)」、アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters)、2008年7月31日、第93巻、044102
キムら著(Kim et al.)、「極端な機械的変形に対する線形の弾性応答を有する集積回路用の材料及び非共面メッシュ設計(Materials and Noncoplanar Mesh Designs for Integrated Circuits with Linear Elastic Responses to Extreme Mechanical Deformations)」、PNAS、2008年12月2日、第105巻、第48号、18675〜18680頁
マイトルら著(Meitl et al.)、「弾性スタンプに対する接着の動的制御による転写印刷(Transfer Printing by Kinetic Control of Adhesion to an Elastomeric Stamp)」、ネイチャマテリアルズ(Nature Materials)2006年1月、第5巻、33〜38頁
2009年3月5日付けで出願され、2010年1月7日付けで公開された「延伸自在且つ折り畳み自在の電子装置(STRETCHABLE AND FOLDABLE ELECTRONIC DEVICES)」という名称の米国特許出願公開第2010/0002402A1号明細書
2009年10月7日付けで出願され、2010年4月8日付けで公開された「延伸自在の集積回路及びセンサアレイを有するカテーテルバルーン(CATHETER BALLOON HAVING STRETCHABLE INTEGRATED CIRCUITRY AND SENSOR ARRAY)」という名称の米国特許出願公開第2010/0087782A1号明細書
2009年11月12日付けで出願され、2010年5月13日付けで公開された「極めて延伸自在の電子装置(EXTREMELY STRETCHABLE ELECTRONICS)」という名称の米国特許出願公開第2010/0116526A1号明細書
2010年1月12日付けで出願され、2010年7月15日付けで公開された「非平面撮像アレイの方法及び用途(METHODS AND APPLICATIONS OF NON-PLANAR IMAGING ARRAYS)」という名称の米国特許出願公開第2010/0178722A1号明細書
2009年11月24日付けで出願され、2010年10月28日付けで公開された「延伸自在の電子装置を利用してタイヤ又は路面の状態を計測するシステム、装置、及び方法(SYSTEMS,DEVICES,AND METHODS UTILIZING STRETCHABLE ELECTRONICS TO MEASURE TIRE OR ROAD SURFACE CONDITIONS)」という名称の米国特許出願公開第2010/027119A1号明細書
2011年7月14日付けで公開された「力及び/又は動きの変化の順応性を有する検知のための方法及び装置(Methods and Apparatus for Conformal Sensing of Force and/or Change in Motion)」という名称の国際特許出願公開第2011/084709号パンフレット
2010年3月12日付けで出願され、2011年2月10日付けで公開された「検知及び治療の提供のための延伸自在の集積回路を有するシステム、方法、及び装置(SYSTEMS,METHODS,AND DEVICES HAVING STRETCHABLE INTEGRATED CIRCUITRY FOR SENSING AND DELIVERING THERAPY)」という名称の米国特許出願公開第2011/0034912A1号明細書
上述の概念及び更に詳しく後述する更なる概念のすべての組合せが(それらの概念が相互に矛盾していないことを条件として)本明細書に開示されている主題の一部を構成するものと想定されることを理解されたい。具体的には、本開示の末尾に添付されている特許請求された主題のすべての組合せが、本明細書に開示されている主題の一部を構成するものと想定されている。又、引用によって包含された任意の開示にも出現する場合のある本明細書において明示的に利用されている用語には、本明細書において開示されている特定の概念と最も合致する意味を付与することを要するということも理解されたい。
【0219】
本教示の上述の並びにその他の態様、例、及び特徴については、添付の図面との関連において以下の説明から更に十分に理解することができよう。
当業者であれば、本明細書において記述されている図面は、例示を目的としたものに過ぎないことを理解するであろう。いくつかの例においては、本発明の様々な態様は、本発明の理解を促進するべく、誇張又は拡大された状態で示されている場合があることを理解されたい。図面においては、同一の参照符号は、一般に、様々な図面のすべてを通じて、同一の特徴、機能的に類似した要素、及び/又は構造的に類似した要素を意味している。図面は、必ずしも縮尺が正確ではなく、その代わりに、教示の原理を例示することに重点が置かれている。図面は、決して本教示の範囲を限定することを意図したものではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A-E】
図11F-I】
図12A-E】
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
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図19A-B】
図20
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図27