特許第6189552号(P6189552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6189552通路形成領域及びCラップシールを有する吸収性コア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189552
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】通路形成領域及びCラップシールを有する吸収性コア
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/53 20060101AFI20170821BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20170821BHJP
   A61F 13/532 20060101ALI20170821BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20170821BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A61F13/53 100
   A61F13/539
   A61F13/532 200
   A61F13/537 200
   A61F13/537 310
   A61F13/535 200
【請求項の数】15
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-557549(P2016-557549)
(86)(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公表番号】特表2017-502797(P2017-502797A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】US2014070251
(87)【国際公開番号】WO2015095004
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年6月7日
(31)【優先権主張番号】13198435.3
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100199255
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 大幸
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、ステルジグ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス、アドルフ、ヤッケルス
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ヤルケ
(72)【発明者】
【氏名】トルシュテン、リナート
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/170778(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/170781(WO,A1)
【文献】 特表2004−500165(JP,A)
【文献】 特開2003−126145(JP,A)
【文献】 特表平08−504112(JP,A)
【文献】 特表2008−526432(JP,A)
【文献】 特表2009−505784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断方向(x)及び長手方向(y)に延びるほぼ平面状の吸収性コア(28)であって、当該吸収性コアは、前縁部(280)、後縁部(282)、及び2つの長手方向に延びる側縁部(284,286)を有し、
それぞれが内側表面及び外側表面を有する第1の基材(16)及び第2の基材(16’)を有するコアラップと、
場合により粒子の形態であり、少なくとも80重量%〜100重量%以下の超吸収性ポリマーを含む吸収性材料(60)であって、前記第1の基材と前記第2の基材との間に吸収性材料堆積領域(73)を画定する外周を有し、前記吸収性材料堆積領域が、吸収性材料を実質的に含まない1つ以上の領域(26a,26b)を包含する、吸収性材料(60)と、
前記第1の基材の前記内側表面に直接適用され、かつ補助接着剤適用領域(71)を画定する補助接着剤(72)と、を有し、
前記補助接着剤が、前記吸収性材料を実質的に含まない前記1つ以上の領域を介して前記第1の基材の前記内側表面と前記第2の基材の前記内側表面とを少なくとも部分的に結合することにより、前記吸収性材料が膨潤する際に前記コアラップが前記吸収性材料を実質的に含まない前記領域(26a,b)内に通路(26’)を形成する、という吸収性コアにおいて、
前記補助接着剤適用領域(71)が前記吸収性材料堆積領域(73)よりも小さく、かつ前記第1の基材及び/又は前記第2の基材が、前記コアの前記前縁部、後縁部、又は側縁部のいずれか、のうちの少なくとも1つの周囲で折り畳まれている少なくとも1つの外側に延びるフラップを有し、かつ前記少なくとも1つのフラップが他方の基材の前記外側表面に結合されることによって前記吸収性コアの少なくとも1つの縁部に沿ってCラップシール(284’,286’)を形成することを特徴とする、吸収性コア。
【請求項2】
前記コアの前記長手方向に延びる側縁部(284,286)の一方の周囲でそれぞれが折り畳まれて2つの横方向に延びているフラップを有することによって、前記コアの各側縁部に沿ってCラップシール(284’,286’)を形成する、請求項1に記載の吸収性コア。
【請求項3】
前記補助接着剤適用領域(71)が、前記吸収性材料堆積領域(73)よりも少なくとも20%小さく、詳細には前記吸収性材料堆積領域(73)よりも20%〜80%小さい、請求項1又は2に記載の吸収性コア。
【請求項4】
前記補助接着剤適用領域(71)が、前記長手方向(y)若しくは前記横断方向(x)又は両方の方向において前記吸収性材料堆積領域(73)よりも短い、請求項1又は2に記載の吸収性コア。
【請求項5】
前記吸収性材料堆積領域(73)が吸収性材料(60)を実質的に含まない少なくとも2つの領域(26a,26b)を含み、前記領域(26a,26b)が、長手方向に延びており、並びに前記長手方向軸(y)上に投射した場合に前記コアの長さLの、少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、かつ場合により80%まで、又は75%まで、又は70%まで、の長さ(L’)を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性コア(20)。
【請求項6】
前記長手方向に延びる前記吸収性材料(60)を実質的に含まない前記1つ以上の領域(26a,26b)が、前記長手方向軸上に投射した場合に、少なくとも2cm、詳細には少なくとも3cm、又は少なくとも4cm、場合により14cmまで、の長さ(L’)を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項7】
前記補助接着剤適用領域(71)が、前記コアの前記長手方向(y)に沿って方向付けられた一連の接着剤スロット(72s)と、前記スロット間の間隔とを含み、前記スロット間の前記距離が4mm以下、詳細には0.5mm〜4mmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項8】
前記吸収性材料が吸収性材料の実質的に連続した層を形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項9】
前記吸収性材料は、前記吸収性材料の平均坪量が前記長手方向軸に沿って変化するように少なくとも前記長手方向に輪郭形成され、詳細には前記吸収性材料が、前記吸収性材料堆積領域の当該前部及び/又は当該中心部において前記吸収性材料堆積領域の当該後部におけるよりも高い坪量で適用されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項10】
前記補助接着剤適用領域(71)が、前記吸収性材料を実質的に含まない領域(26)を包含する単一の領域を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性コア。
【請求項11】
前記補助接着剤適用領域が、前記吸収性材料を実質的に含まない領域(26a,26b)の1つ以上をそれぞれが包含する2つ以上の副領域(71a,71b)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項12】
前記吸収性材料(60)が、前記第1の基材(16)上に、第1の吸収性材料ランド領域(75)と吸収性材料不在接合領域(76)とを有するパターンで堆積された第1の吸収性材料層(61)と、場合により、前記吸収性材料ランド領域(75)及び吸収性材料不在接合領域(76)を覆って前記吸収性材料を更に固定する少なくとも1つの繊維状接着剤層(74)とを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性コア。
【請求項13】
前記吸収性材料(60)が、前記第2の基材(16’)上に、第2の吸収性材料ランド領域(75’)と吸収性材料不在接合領域(76’)とを有するパターンで適用された第2の吸収性材料層(62)と、場合により、前記吸収性材料ランド領域(75’)及び吸収性材料不在接合領域(76’)を覆う繊維状接着剤層(74’)とを更に含み、前記第1及び第2の吸収性材料層(61,62)が合わせられて吸収性材料の実質的に連続した層を与える、請求項12に記載の吸収性コア。
【請求項14】
前記第2の基材(16’)の前記内側表面に直接適用され、かつ第2の補助接着剤適用領域を画定する、第2の補助接着剤を更に含む、請求項13に記載の吸収性コア。
【請求項15】
トップシート(24)と、バックシート(25)と、場合により捕捉及び/又は分配層(54)と、請求項1〜14のいずれかに記載の吸収性コア(28)とを有し、詳細には前記第1の基材(16)が前記トップシートの近くに配置され、前記第2の基材(16’)が前記バックシートの近くに配置され、かつ前記第1の基材が、前記コアの前記側縁部の周囲で折り畳まれて、前記第2の基材とともにこれらの側縁部のそれぞれに沿ってCラップシールを形成する2個の横方向外側に延びるフラップを有する、吸収性物品(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳児用おむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、又は成人失禁用製品など(ただしこれらに限定されない)の吸収性物品における吸収性コア及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
上記に示した種類の個人衛生用の吸収性物品は、身体排泄物、特に大量の尿を吸収して保持するように設計される。これらの吸収性物品は、特に層であって、異なる機能を提供するいくつかの層、例えば、トップシート、バックシート、及びその間の吸収性コアを備えている。吸収性コアの機能は、一般的には、排泄物を長時間にわたって吸収して保持すること、再湿潤を最小限に抑えて着用者を乾いた状態に維持すること、及び衣類又はベッドシーツが汚れることを防止することである。
【0003】
現在市販されている吸収性物品の大半は、吸収性材料として、吸収性ゲル化材料(AGM)とも称される、粒子の形の、粉砕木材パルプと超吸収性ポリマー粒子(SAP)との配合物を含む。例えば、米国特許第5,151,092号(Buell)を参照のこと。吸収性材料として本質的にSAPからなるコア(いわゆる「エアフェルトフリー」コア)を有する吸収性物質も提案されている(例えば、米国特許第6、790、798号(Suzuki)、国際公開第WO2008/155699号(Hundorf)、同第WO95/11652号(Tanzer)、同第WO2012/052172号(Van Malderen)を参照のこと)。スリット又は溝を有する吸収性コアも、一般的にコアの流体捕捉特性を増大させるため、又は折り畳みガイドとして機能させる目的で提案されている。
【0004】
コアの内部におけるSAPの、湿潤及び乾燥状態の両方における固定は、エアフェルトフリーコアを有する吸収性物品では難しい課題でありうる。米国特許第6,790,798(Suzuki)号及び国際公開第WO2008/155699号(Hundorf)は、SAPの層の上に繊維状の熱可塑性接着材料を堆積することによって固定されたSAPのパターン化層を有する吸収性コアを開示している。かかる繊維状の熱可塑性材料は、SAPが大量の尿を吸収する能力を大きく制限することなく、物品の使用の前及び使用の間における吸収性コア内のSAPの位置を維持する助けとなる。
【0005】
国際公開第WO2012/170778号(Rosatiら、同第WO2012/170779号、同第WO2012/170781号、及び同第WO2012/170808号も参照のこと)は、超吸収性ポリマー、必要に応じてセルロース系材料、及び少なくとも一対のほぼ長手方向に延びる通路を有する吸収性構造体を開示している。コアラップが通路を通じて接着剤によって結合され、通路結合を形成することができる。かかる通路結合は永久的なものであるため、それらの一体性が乾燥状態及び湿潤状態の両方で少なくとも部分的に維持される。吸収性構造体が液体を吸収して膨潤すると、吸収性構造体は3次元形状となって通路が見えるようになる。かかる通路は、吸収性構造体の使用の全体を通じて、向上したフィット性及び/又は良好な液体捕捉/輸送、及び/又は向上した性能を与えることが示されている。特定の好ましい実施形態では、コアは、吸収性層に適用された第1の接着材料を含み、好ましくは前記第1の接着材料は熱可塑性繊維状接着材料であり、第2の接着材料が支持シートと吸収性層との間に存在してもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,151,092号
【特許文献2】米国特許第6、790、798号
【特許文献3】国際公開第WO2008/155699号
【特許文献4】国際公開第WO95/11652号
【特許文献5】国際公開第WO2012/052172号
【特許文献6】国際公開第WO2012/170778号
【特許文献7】国際公開第WO2012/170779号
【特許文献8】国際公開第WO2012/170781号
【特許文献9】国際公開第WO2012/170808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の吸収性コアは一般的に良好な性質を有しているが、原材料、特に接着材料の使用を低減する一方で、SAPの固定及び液体捕捉などの重要な性質を向上させるか又は少なくとも維持することが引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は請求項に示されるものである。詳細には、第1の態様において、本発明は、横断方向及び長手方向に延びるほぼ平面状の吸収性コアであって、前縁部、後縁部、及び2つの長手方向に延びる側縁部を有する吸収性コアに関する。吸収性コアは、それぞれの基材が内側表面及び外側表面を有する第1の基材及び第2の基材を有するコアラップと、少なくとも80重量%〜100重量%以下の超吸収性ポリマーを含む吸収性材料であって、前記第1の基材と前記第2の基材との間に吸収性材料堆積領域を画定する、吸収性材料とを含む。前記吸収性材料堆積領域は、吸収性材料を実質的に含まない1つ以上の領域を包含する。補助接着剤が、前記第1の基材の前記内側表面の補助接着剤適用領域に直接適用される。補助接着剤は、吸収性材料を実質的に含まない領域の少なくとも1つ以上を介して前記第1の基材の内側表面と前記第2の基材の内側表面とを少なくとも部分的に結合することにより、前記吸収性材料が膨潤する際に前記コアラップが前記吸収性材料を実質的に含まない結合領域内に通路を形成する。補助接着剤適用領域は、吸収性材料堆積領域よりも小さい。第1の基材又は第2の基材の一方は、前記前縁部、後縁部、又は側縁部のいずれかのうちの少なくとも1つの周囲に折り畳まれている少なくとも1つの外側に延びるフラップを有し、前記延びたフラップが他方の基材の外側表面に結合されることによって少なくとも1つのCラップシールを形成する。吸収性コアは、詳細には、それぞれが側縁部を覆って横方向に延びて2個の長手方向に延びる側部のCラップシールを形成する2個のフラップを有することができる。
【0009】
本発明者らは、提案される本発明が前提部分に示される問題を解決しうることを見出したものである。本発明のCラップシールは、吸収性材料堆積領域内に設けられるコアラップ結合と協働してSAP粒子の運動の自由を低減することができる。補助接着剤の量及び補助接着剤によって覆われる領域を、SAPの充分な固定状態を維持しながら従来の周知の実施と比較して低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一部の層を部分的に除去した、本発明に係る吸収性コアの平面図である。
図2図1のコアの横断面図である。
図3】場合により用いられる吸収性層の2層構造を示すコアの長手方向断面図である。
図4図3の一部の拡大図である。
図5図3に示される吸収性コアの半分を形成する上側吸収性構造体の分解図であり、補助接着剤が適用領域上の一連のスロットとして適用されている様子が示されており、スロットは長手方向において吸収性材料堆積領域よりも短くなっている。
図6】別の吸収性コアの平面図であり、補助接着剤は、長手方向及び横断方向において吸収性材料堆積領域よりも短い領域に適用されている。
図7】別の吸収性コアの平面図であり、補助接着剤は2個の副領域に適用されている。
図8】本発明の吸収性コアを有する例示的なおむつの平面図である。
図9図8の横断面図を示す。
図10】吸収性コアが液体の吸収後に膨潤した際の図9と同様の横断面図を示す。
図11】本発明に係る吸収性コアを製造するための装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
序論
本明細書で使用するところの「含む、備える、有する(comprise)」、「comprising」なる用語は、オープンエンド形式のものである。それぞれは、その語の後に記載される要素(例えば構成部材)の存在を特定するものであるが、他の要素、例えば、当該技術分野において周知であるか、又は本明細書に開示される要素、工程、構成部材の存在を除外するものではない。動詞「comprise」に基づくこれらの語は、要素がその機能を行う方法に実質的に影響しない、言及されない任意の要素、工程、又は成分を除外する、より狭義の用語「consisting essentially of」、及び明確に記載されない任意の要素、工程、又は成分を除外する用語「consisting of」を包含するものとして読まれるべきである。以下に記載する好ましい又は例示的な実施形態はいずれも、特許請求の範囲を限定することが具体的に示されていない限り、特許請求の範囲を限定しない。「一般的には」、「通常は」、「好ましくは」、「有利には」、「詳細には」などの語も、特許請求の範囲を限定することが具体的に示されていない限り、特許請求の範囲を限定することを目的としない特徴を修飾する。
【0012】
そうでない旨が断られない限り、説明文及び特許請求の範囲は、使用前(すなわち乾燥しており、液体を含んでいない)の、少なくとも24時間、21℃±2℃かつ相対湿度(RH)50±20%で状態調整された物品を指す。
【0013】
吸収性コア28の概説
本明細書で使用する「吸収性コア」なる用語は、吸収性物品内に配置されるか又は配置されることを意図し、コアラップ内に封入された吸収性材料を含む個々の構成要素のことを指す。本明細書で使用する「吸収性コア」なる用語には、トップシート、バックシート、及び(存在する場合)吸収性コアの一体部分ではなく、詳細にはコアラップ内に配置されていない捕捉分配層又は多層システムは含まれない。吸収性コアは、通常は、吸収性物品のすべての構成要素のうちで最も高い吸収能力を有し、超吸収性ポリマー(SAP)の全体又は少なくとも大部分を含む吸収性物品の構成要素である。コアは、コアラップ、吸収性物品、及び接着剤で本質的に構成されるか、又は構成されてよい。「吸収性コア」及び「コア」なる用語は、本明細書では互換可能に用いられる。
【0014】
本発明の吸収性コアは、ほぼ平面状である。ほぼ平面状とは、吸収性コアを表面上に平らに置くことができることを意味する。吸収性コアは、また、通常薄くて快適であり、その製造プロセスの間に例えばドラムなどの平らでない表面上に置くか、又は吸収性物品に変換される前に保管材料の連続的なロール物として保管することができる。説明を簡単にするため、図1の例示的な吸収性コアは、平らな状態で横断方向(x)及び長手方向(y)に延びている様子が示されている。特に断らない限り、本明細書に開示される寸法及び領域はこの平らに広げられた形態のコアに適用される。同じことは、コアが組み込まれた、図8に例示的に示される吸収性物品に当てはまる。説明を簡単にするため、吸収性コア及び本発明の物品を図面及びこれらの図面で参照される参照符合を参照して説明する。しかしながら、これらは、特に断らない限りは、特許請求の範囲を限定しようとするものではない。
【0015】
吸収性コアは、前縁部280、後縁部282、及び前縁部と後縁部とを連結する2つの長手方向に延びる側縁部284、286を有している。コアの前縁部とは、コアが組み込まれているか又は組み込まれることになる吸収性物品の前縁部に向かって配置されることを意図したコアの縁部である。通常、コアの吸収性材料60は、より高い吸収性が物品の前半分に向かって通常は求められることから、後縁部に向かうよりも前縁部に向かって、幾分より多くの量を有利に分配することができる通常、コアの前縁部280及び後縁部282は、コアの側縁部284、286よりも短くてよい。吸収性コアは上面288及び下面290も有しうる。コアの上面とは、物品のトップシート24に向かって配置されるか又は配置されることを意図した面であり、下面とは完成した物品のバックシート25に向かって配置されるか又は配置されることを意図した面である。コアラップの上面は通常、下面よりも高い親水性を有している。
【0016】
吸収性コアは、コアを長手方向と横断方向(x,y)とによって形成される平面内で見た場合に、前縁部から後縁部に延びる、コアをこの軸に対して2つのほぼ対称的な半部分に分割する長手方向軸80によって概念上(すなわち仮想的に)分割することができる。吸収性コアは一般的に、縁部から縁部まで測定した場合に横断方向に幅Wを、長手方向に長さLを有する概ね長方形であってよく、吸収性材料を封入していないコアラップの領域、詳細には、存在する場合に前部及び後部エンドシールを含む。コアが長方形でない場合には、横断方向及び長手方向に沿って測定した最大の寸法を用いてコアの長さ及び幅を報告することができる。コアの幅及び長さは目的とする用途に応じて異なりうる。乳児及び幼児用のおむつでは、幅Lは例えば40mm〜200mm、長さは100mm〜500mmの範囲であってよい。
【0017】
コアの横断方向軸90(本明細書では「股ライン」とも称する)は、長手方向軸に直交し、コアの股ポイントCを通過する仮想線である。股ポイントCは、Lを図1に示されるように前縁部280から後縁部282の方向に測定したコアの長さとして、吸収性コアの前縁部から0.45Lの距離に配置された吸収性コアの点として定義される。本明細書において、コアの股領域は、股ライン(すなわち股ポイントCの高さ)から、コアの後縁部及び前縁部に向かって、両方向にLの1/4(L/4)の距離だけ、全体でL/2の長さにわたって延びるコアの領域として定義される。コアの前部領域及び後部領域は、それぞれコアの前縁部及び後縁部に向かうコアの残りの領域である。
【0018】
コアラップは、下記により詳細に述べるように、コアの少なくとも一方の縁部に沿って少なくとも1つのCラップシール284’,286’(詳細にはコアの長手方向に延びる側縁部のそれぞれに沿って1つのCラップシール)を形成する第1の基材及び第2の基材16,16’を備える。吸収性材料は、コアラップ内に封入された超吸収性ポリマー(本明細書では「SAP」と略す)を高い割合で含んでいる。SAP含量は例えば、コアラップ内に収容された吸収性材料の少なくとも80重量%〜最大で100重一つずつの量%に相当する。SAPは、詳細には粒子の形態(SAP粒子)でありうる。コアラップは、吸収性コア中のSAPの比率(%)を計算する目的では吸収性材料としてみなされない。
【0019】
吸収性材料は、少なくとも80%、場合により90重量%、及び最大で100重量%の超吸収性ポリマー材料を含む。吸収性材料は詳細にはセルロース繊維を含まないものとすることができる。これにより、吸収性コアを、比較的薄い、詳細にはセルロース繊維を含む従来のコアよりも薄いものとすることができる。詳細には、本明細書に述べられるコア厚さ試験に従って股ポイント(C)又はコアの表面の他の任意の点で測定されるコアの厚さ(使用前の)が、0.25mm〜5.0mm、詳細には0.5mm〜4.0mmであってよい。
【0020】
吸収性材料60は、コアの平面内で上から見た場合に吸収性材料堆積領域73を画定する。吸収性コアは、吸収性材料堆積領域内に含まれ、これを介して第1の基材と第2の基材とが互いに接着されている、吸収性材料を含まない1つ以上の領域26を有する。下記に詳細に述べるように、これらの領域の基材間の接着27は、補助接着剤適用領域71上の基材の少なくとも1つの内表面に直接適用された補助接着剤72によって少なくとも部分的に形成される。この接着により、吸収性材料が尿などの液体を吸収して膨潤する際に材料不在区域26が通路26’を形成することが可能となる。吸収性材料堆積領域73は、図5の吸収性構造体70に例示的に示されるように、接合領域76によって分離されたランド領域75のパターンとして基材上に適用された1層の、又は幾つかの実施形態では2層の吸収性層によって形成されうる。詳細には、オフセットしたランド領域及び接合領域を有する2層の吸収性層が合わせられることで、図3に示されるような吸収性材料がほぼ連続した吸収性材料堆積領域を形成することができる。吸収性コアは、有利な点として、吸収性材料を更に固定し、かつ又は吸収性コアの材料不在区域内の接着を形成する助けとなるように繊維状熱可塑性接着剤74を更に含むことができる。
【0021】
補助接着剤適用領域71の表面は、本発明によれば、吸収性材料堆積領域73の表面よりも小さくなっているが、吸収性材料不在区域26内に少なくとも部分的に存在しているために、補助接着剤72が基材の内表面間で少なくとも部分的に接着を形成することができる。補助接着剤適用領域71の大きさは、所望の吸収性材料の分配に従って調整することができる。例えば、全体的に低い量のSAPを有するコアの場合、補助接着剤適用領域を、材料不在区域26に対応した区域に実質的に小さくすることが可能である。これに対して、補助接着剤適用領域71は、コアの股領域及び前部領域に通常、存在してそれらの固定化に寄与する、通路形成区域26a,26bに直接隣接しないが、比較的高い量のSAPが堆積された区域にも延びうる。より小さな補助接着剤適用領域71を有することで、接着剤が最も必要とされる位置で接着剤の機能を維持しながら使用される接着剤の全体の量を低減するという利点が与えられる。補助接着剤層を、コアの少なくとも1つ、好ましくは2つの縁部に沿って、Cラップシールと、また、必要に応じて更なる繊維状接着ウェブ74と組み合わせることで、乾燥状態及び湿潤状態における吸収性材料の充分な固定化が与えられる。吸収性コアは有利な点として、米国特許出願公開第2010/0051166号に記載の湿潤不動化試験(Wet Immobilization Test)に従って、約70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%以下のSAP損失率を実現する。
【0022】
本発明の吸収性コアは、吸収性物品、例えば平らに広げられた状態で図8に示されるテープ付きおむつに一般的に使用される。したがって、コアの長手方向軸80は、物品の長手方向軸80’と隣接しうる。物品は、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート25、及びトップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コア28を更に有することができる。
【0023】
本発明の吸収性コア及び物品について、更に以下に一般的に、特に断らない限りは本発明の範囲を限定するものとみなされない、図面に例示的に示される実施形態により例として述べる。
【0024】
基材16,16’
コアラップが第1の基材16と第2の基材16’とによって画定され、吸収性材料を封入する。第1及び第2の基材は、小包の包装と同様の、吸収性材料の周囲に折り畳まれた材料の単一のウェブで形成された部材であってよい。しかしながら、第1の基材及び第2の基材は、吸収性コアの縁部に沿って互いに取り付けられた材料の2つの別々のウェブで構成されることが有利である。基材は、吸収性材料を受容及び収容するのに適した任意の材料によって形成することができる。従来のコアを生産するのに使用される一般的な基材材料、特に紙、ティッシュ、フィルム、織布若しくは不織布、又はこれらのいずれかの積層体を用いることができる。コアラップは、特に、カード不織布、スパンボンド不織布(「S」)、メルトブローン不織布(「M」)、及びこれらのいずれかの積層体などの不織布ウェブから形成されうる。例えば、スパンメルトされたポリプロピレン不織布、詳細にはSMS、SMMS、又はSSMMS型の積層体ウェブの構造を有し、坪量が約5gsm〜15gsmの範囲であるものが好適である。好適な材料は、米国特許7,744,576号、米国特許出願公開第2011/0268932号、同第2011/0319848号、及び同第2011/0250413号に記載されている。PE、PET、及び特にPPなどの合成繊維から得られる不織布材料を使用することができる。
【0025】
本明細書で使用する「不織布層」、「不織布ウェブ」なる用語は、摩擦及び/又は粘着及び/又は接着により結合された、方向性を有した、又はランダムに配向された繊維から作られたシート、ウェブ、又はバットを一般的に意味し、紙、及び更なるニードル加工の有無を問わず、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだ織り製品、編み製品、タフト加工品、ステッチ結合製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品は含まない。繊維は、天然起源であっても合成起源であってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントでもよく、又はその場で形成されたものでもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mm超の範囲の直径を有し、短繊維(ステープル繊維又は細断繊維として知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの無撚糸束(トウ)、及び連続フィラメントの撚糸束(ヤーン)などのいくつかの異なる形態によって提供される。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くのプロセスによって形成することができる。不織布ウェブの坪量は、通常は、グラム/平方メートル(g/m又はgsm)で表される。
【0026】
図面に示されるように、第1の基材16は、コアラップの上面288の全体をほぼ形成してよく、第2の基材16’は、コアラップの下面290の全体をほぼ形成してよいが、これが逆でもあってよいことを除外するものではない。「表面の全体をほぼ形成する」とは、他方の基材の外側に延びるフラップが、考慮される表面の一部も形成しうることを意味する。各基材は通常、吸収性コアと同じ平面内でほぼ平面状であり、それぞれ外側表面と内側表面とを有する。内側表面は吸収性材料に向かって方向付けられ、外側表面は反対側の表面である。基材の少なくとも一方は少なくとも1つ、有利には2つの外側に延びたフラップを有しており、これらは吸収性コアの前部、後部、又は側縁部の周囲に折り畳まれてから他方の基材の外側表面に取り付けられることで少なくとも1つのいわゆるCラップシールを形成する。これは図2に例示的に示されており、第1の基材が、コアの長さに沿って横方向に延び、吸収性コアのそれぞれの側縁部284,286を覆って折り畳まれた2個のサイドフラップを有している。フラップは、例えば各Cラップシールに沿った接着剤シール284’,286’を使用することにより、第2の基材の外側表面に取り付けることができる。接着剤の1本又は2本の連続的、又は半連続的な線を、通常はフラップの長さに沿って適用することによってフラップの内側表面を他方の基材の外側表面と接着することができる。
【0027】
図3に例示的に示されるように、コアは、いわゆるサンドウィッチシール280’,282’を有してもよく、2つの基材がコアの1つの縁部に沿って互いに面同士を合わせた関係で接着され、各基材の内側表面が他方の基材の内側表面と接着される。これらのサンドウィッチシールは、例えば図1のコアの前縁部280及び後縁部282上に示されるように、例えば縁部に垂直な方向の一連のしまもようとして適用されたホットメルト接着剤を使用して形成することができる。
【0028】
基材は一般的に、長さ数百メートルの材料のロール物として市販のものが供給されうる。次いで各ロール物は変換ラインに組み込まれ、高速で巻き出されながら、補助接着剤、吸収性材料、及び存在する場合には繊維状熱可塑性接着剤が基材上に堆積又は適用されてから、吸収性材料を封入したコアラップが第2の基材によって形成される際に吸収性コアに更に変換される。一般的に、変換ラインの機械方向(MD)は基材/コアの長手方向(y)と一致し、機械横断方向(CD)は基材/コアの横断方向(x)と一致しうる。基材は、コアを個々に分けるようにコアの前縁部及び後縁部280,282に沿って切断することができる。これについては、更に下記のプロセスの項で更に例示的に説明する。
【0029】
第1の基材の内側表面は、吸収性材料堆積領域73内に包含される、吸収性材料を実質的に含まない1つ以上の領域26a,bを介して補助接着剤により第2の基材の内側表面と少なくとも部分的に接着される。補助接着剤は、第1の基材及び/又は第2の基材上に直接適用することができる。2つの基材間の接着を、存在する場合には繊維状接着剤層74によって、又は材料不在領域26内で2つの基材を熱接着及び/又は圧力接着するなど、更なる接着手段を使用して強化することができることも除外されない。第2の補助接着剤層が他方の基材上に存在してもよい。吸収性材料が尿などの液体を吸収して膨潤する際、コアラップはこれらの接着された領域26a,bに沿って通路26’を次第に形成する。
【0030】
通路を形成する材料不在領域26a,bは、長手方向に延びうるが、これらの領域は長手方向にのみ延びる必要はなく、例えば長手方向に対して円弧状又は斜めであってもよい。かかる通路は、物品に物品の使用時のより高い横方向の可撓性及び通路に沿った向上した液体分配性を与えることができる。
【0031】
吸収性材料60
吸収性材料は、比較的高量の超吸収性ポリマー(本明細書では「SAP」と呼ばれる)を含む。本発明で有用なSAPとしては、非水溶性ではあるが大量の流体を吸収できる様々な水膨潤性ポリマーが挙げられる。吸収性材料は、吸収性材料の少なくとも80重量%、詳細には少なくとも85重量%、90重量%、95重量%、及び最大で100重量%の超吸収性ポリマーを含む。吸収性材料は、詳細には、セルロース繊維を含まないか又は吸収性材料の20重量%未満、詳細には10重量%、5重量%未満、又は更には0重量%のセルロース繊維といった極少量のセルロース繊維を含むことができる。したがって、吸収性材料は有利にはSAPで構成されるか又は本質的に構成されうる。SAPは、通常は、粒子の形態(超吸収性ポリマー粒子)であってよいが、例えば超吸収性ポリマー発泡体などの他の形態のSAPも使用できることを除外しない。
【0032】
本明細書で使用する「超吸収性ポリマー」とは、遠心保持容量(CRC)試験(EDANA法WSP 241.2−05E)を使用して測定した場合に、それらの重量の少なくとも10倍の0.9%生理食塩水を一般的に吸収可能な架橋ポリマー材料でありうる吸収性材料を指す。かかるSAPは、詳細には、CRC値が20g/g超、又は24g/g超、又は20〜50g/g、又は20〜40g/g、又は24〜30g/gであってよい。
【0033】
超吸収性ポリマーは、乾燥状態で流動性を有することで基材上に容易に堆積できるように粒子の形態であってもよい。一般的な粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーで作られる。しかしながら、デンプン系の粒子状吸収性ポリマー材料を使用することもでき、更に、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルのデンプングラフトコポリマーも使用できる。超吸収性ポリマーは、内部及び/又は表面架橋されたポリアクリレート及びポリアクリル酸ポリマーであってもよい。好適な材料は、国際公開第WO07/047598号、同第WO07/046052号、同第WO2009/155265号、及び同第WO2009/155264号に記載されている。いくつかの実施形態では、好適な超吸収性ポリマー粒子は、国際公開第WO2006/083584号に更に詳細に記載されるように、現在の最新の製造プロセスによって得ることができる。超吸収性ポリマー粒子は、好ましくは内部架橋されてよく、すなわち、重合は、ポリマー網状組織にフリーラジカル的に共重合されうる、2種類以上の重合性基を有する化合物の存在下で行なわれる。いくつかの実施形態において、SAPは、例えば、ナトリウム対イオンを有する、例えば60%〜90%、又は約75%の中和度を有する、ポリアクリル酸ポリマー/ポリアクリレートポリマーから形成される。
【0034】
SAP粒子はその乾燥状態では比較的小さくてよく(その最長の寸法が1mm以下)、形状は概ね円形であってよいが、粒状、繊維、薄片、球、粉末、小板、並びに他の形状及び形態も当業者には周知である。一般的にSAPは球状粒子の形態であってよい。繊維に対して、「球状粒子」は、粒子の最小粒子の寸法に対する最長粒子の寸法の比が1〜5の範囲内であるような最長及び最短の寸法を有し、この値が1では完全な球状粒子に等しく、この値が5ではかかる球状粒子から幾分逸脱する。超吸収性ポリマー粒子は、EDANA法WSP 220.2−05に従って測定した場合に、850μm未満、又は50〜850μm、好ましくは100〜710μm、より好ましくは150〜650μmの粒径を有してもよい。比較的小さな粒径を有するSAPは、液体排泄物と接する吸収性材料の表面積の増加に役立ち、したがって液体排泄物の素早い吸収を助ける。
【0035】
吸収性コアは、一般的には、1種類のみのSAPを含むが、SAPのブレンドを使用できることを排除しない。超吸収性ポリマーの流体透過性は、欧州特許出願第12174117.7号で開示されている試験により測定されるように、尿透過率測定試験(UPM)値を用いて定量化することができる。SAPのUPMは、例えば、少なくとも10×10−7cm.秒/g、又は少なくとも30×10−7cm.秒/g、又は少なくとも50×10−7cm.秒/g以上、例えば、少なくとも80又は100×10−7cm.秒/gであってもよい。流動特性はまた、第2の吸収性層に使用されるSAPの量及び分布を変えることで調整することもできる。
【0036】
吸収性材料の堆積領域73
コアラップ内に封入される吸収性材料60は、吸収性コアの平面内に見られるような吸収性材料堆積領域73を有している。吸収性材料堆積領域73は、図1に示される吸収性コアの上面から見た場合に、コアラップ内部の吸収性材料60によって形成される層の外周によって画定され、その中に含まれた材料不在領域26a,bを有している。吸収性材料堆積領域73は、例えば図1に示すように、略長方形であってよいが、「T字形」若しくは「Y字形」又は「砂時計型」若しくは「犬用の骨型」形状など他の形状を使用することもできる。詳細には、堆積領域は、コアの股領域においてその幅に沿ったテーパを示してもよい。このように、吸収性材料の堆積領域は、吸収性物品の股領域内に配置されることが意図されたコアの領域において、比較的狭い幅を有しうる。これにより、例えばより良好な着用快適性を与えることができる。例えば、吸収性材料堆積領域73は、その最も狭い点における幅(横断方向xに測定した場合)が約100mm、90mm、80mm、70mm、60mm未満、又は更には約50mm未満であってよい。この最も狭い幅は、堆積領域73の前部領域内及び/又は後部領域内のその最大点における堆積領域の幅よりも例えば少なくとも5mm、又は少なくとも10mm小さくてもよい。
【0037】
材料不在領域26a,bを考慮しなければ、SAPの坪量(単位表面積当たり堆積される量)も、コアの長手方向y(図3に概略的に示す)、横断方向(x)、又はその両方の方向に吸収性材料、詳細にはSAPの輪郭形成された分布を形成するように堆積領域73に沿って変化してもよい。したがって、コアの長手方向軸80に沿って、また、横断方向軸に沿って、又はこれらの軸のいずれかに平行な任意の軸に沿って吸収性材料の坪量は変化しうるしたがって、比較的高い坪量の領域におけるSAPの坪量は、比較的低い坪量の領域よりも、例えば、少なくとも10%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%高くてもよい。詳細には、股ポイントCの長手方向位置において吸収性材料堆積領域中に存在するSAPは、吸収性材料堆積領域73の少なくとも1つの他の領域、詳細にはコアの股領域と比較して、単位表面積当たりより多くのSAPが堆積されてよい。
【0038】
吸収性材料60は、SAPを比較的高速で比較的に正確に堆積することが可能な周知の技術を用いて任意の基材に堆積することができる。詳細には、例えば米国特許出願公開第2006/024433号(Blessing)、同第2008/0312617号及び同第2010/0051166号(いずれもHundorfらに付与)に開示されるSAP印刷技術を用いることができる。この技術は、印刷ロールなどの転写装置を使用して、支持体のグリッド上に配置された基材上にSAPを堆積するものであり、この支持体は、互いにほぼ平行に、かつ間隔を置いて延びる複数のクロスバーを有しうる。吸収性材料を実質的に含まない領域26は、米国特許出願公開第2012/0312491号(Jackels)に例示的に開示されるように、選択された領域にSAPが適用されないように、例えば、グリッド及び受容ドラムのパターンを改変することによって形成することができる。この技術は、基材上へのSAPの高速かつ正確な堆積を可能とすることで、詳細には、吸収性材料によって囲まれた、吸収性材料を実質的に含まない1つ以上の領域26を与えることができる。
【0039】
吸収性材料は、堆積領域73にほぼ連続的に分配することができる。「ほぼ連続的」とは、堆積領域の少なくとも50%、又は少なくとも70%〜最大で100%が、コアの上面から見た場合に吸収性材料の連続した層を有することを意味する。吸収性材料は、例えば基材の1つに単一の連続層として適用することができ、これによりこの層は材料堆積領域73を直接形成する。
【0040】
吸収性材料の、詳細にはSAPの連続層はまた、一致した不連続的な吸収性材料の適用パターンを有する2つの吸収性層を組み合わせることによって得ることもでき、得られる層は例えば米国特許出願公開第2008/0312622号(Hundorf)に例示的に教示され、図3〜4に例示的に示されるように、吸収性材料堆積領域73全体にわたってほぼ連続的に分配される。かかる個別の吸収性層61が、図5に分離された分解図で示されている。各吸収性材料層61,62は、吸収性材料不在接合領域76,76’によって分離された吸収性材料ランド領域75,75’を有するパターンを有している。第1の層の吸収性材料領域75は、第2の層の吸収性材料不在接合領域76’にほぼ一致しており、その逆も同様である。図3〜4に例示的に示されるように、吸収性コア28は、したがって、第1の基材16及び第2の基材16’上にそれぞれ堆積され、互いに合わせられた第1の吸収性層61及び第2の吸収性層62を含みうる。
【0041】
図5は、第1の基材16と、後述するように一連のスロット72s内にスロットコーティングにより適用された補助接着剤の層72と、吸収性材料不在接合領域76により分離され、横方向に向けられた吸収性材料ランド領域75を有するパターンの第1の吸収性材料の層61と、吸収性材料ランド領域75及び吸収性材料不在接合領域76を覆うことで吸収性材料層61を第1の基材上で更に固定する、任意ではあるが設けられるが好ましいものである少なくとも1つの繊維状接着剤層74とをより詳細に示している。吸収性材料層は、そこを介して基材16が第2の基材16’に取り付けられる吸収性材料不在領域26a,26bを更に含んでいる。第1及び第2の吸収性層61,62は、組み合わされる前のそれぞれの基材上の所望の吸収性材料堆積領域73と同じ幅を有する横断方向のしまもよう又は「ランド領域」として堆積することができる。各吸収性層61は、例えば5〜50個のこれらのほぼ長方形のランド領域を有しうる。これらのランド領域は、長手方向(y)に測定して4〜20mmの範囲の幅、具体的には10mmの幅を有しうる。ランド領域75は、横断方向(x)に均一な長さを有してよいが、異なる幅、詳細には吸収性構造の中心又は股区画に向かって異なる幅を有することにより、構造の少なくとも股区域においてその幅に沿ったテーパを示すいわゆる「犬用の骨型」又は「砂時計型」の形状を形成することができる。
【0042】
ランド領域75間の接合領域76の幅は、ランド領域の幅よりも一般的に小さくてよく、例えば、例示的に0.5〜6mm、例えば1〜2mmの範囲の幅を有する。無論のこと、吸収性材料の他の堆積パターンも可能であり、例えば吸収性材料を、円形若しくは卵形のランド領域の配列として、又は長方形のランド領域と円形若しくは卵形のランド領域との組み合わせとして堆積することができる。
【0043】
多くの用途で、液体の排泄は専らコアの1つの領域で起きる。おむつでは、液体は専らコアの股領域に向かって放出され、コアの前部にはそれほど放出されない。相対的に少ない量の液体がコアの後部に向かって放出されうる。したがって、液体がコアを損なう可能性が高い領域により多くの吸収性材料が存在するように吸収性構造の長手方向に沿って吸収性材料の量に変化をつけることが有益でありうる。ランド領域75は、コアの長手方向及び/又は横断方向に沿って輪郭形成された坪量を与えるように異なる量の吸収性材料を有利に含むことができる。
【0044】
上記に述べたように、吸収性層61の接合領域76は、図4に示されるように、対向する吸収性層62のランド領域75’によって埋められることから、吸収性コアにおいて直接識別可能でないことが有利でありうる。その一方で、本発明の目的の1つは、吸収性材料堆積領域73が、吸収性材料を含まない少なくとも1つ、詳細には2つの領域26を含み、ここを介して基材同士が互いに接着されることにある。
【0045】
吸収性材料を実質的に含んでいない領域26及び通路26’
コアの吸収性材料堆積領域73は、吸収性材料を実質的に含まない1つ以上の領域26を含んでいる。「実質的に含まない」とは、これらの領域のそれぞれにおいて、吸収性材料の坪量が、コアの吸収性材料堆積領域73の残りの部分における吸収性材料の平均坪量の少なくとも25%未満、詳細には20%未満、10%未満であることを意味する。詳細には、吸収性材料はこれらの領域26a,bに存在せずともよい。製造プロセスの間に生じうる吸収性材料の粒子による意図せざる汚染などの最小量は、吸収性材料とはみなされない。領域26は、コアの平面で考えた場合に吸収性材料によって有利に囲まれており、このことは、領域26が吸収性材料の堆積領域73の縁部のいずれにも延びていないことを意味する。
【0046】
コアラップの上面16は、吸収性材料を実質的に含まないこれらの領域26を介して、少なくとも1つのコアラップ結合27によってコアラップの下面16’に取り付けられる。図10に示されるように、吸収性材料60が液体を吸収して膨潤する際、コアラップ結合27は、実質的な材料不在領域26において少なくとも最初は付着したままである。吸収性材料60は、液体を吸収するとコアの残りの部分において膨潤し、これにより、コアラップが、コアラップ結合27を含む、吸収性材料を実質的に含まない領域26に沿って1つ以上の通路26’を形成する。これらの通路26’は3次元であり、侮辱的流体をその長さに沿ってコアのより幅広の領域に分配する機能を有しうる。これらの通路26’は、より速やかな流体捕捉速度及びコアの吸収能力のより効果的な利用を与えることができる。通路26’はまた、繊維状層54などの被覆層の変形をもたらし、かつ対応する溝29を被覆層に与えることができる。吸収性コアが、吸収性材料を実質的に含まないがコアラップ結合を有さない他の領域を含みうることを除外するものではなく、これらの非結合領域は通常は湿潤時に通路を形成しない。
【0047】
第1の基材16の内側表面と第2の基材16’の内側表面とは、吸収性材料を実質的に含まない領域26に沿って連続的に互いに付着されてもよいが、コアラップ結合27は、一連の点結合により形成されるような不連続(断続的)なものであってもよい。補助接着剤は、少なくとも一部において基材結合27を形成する助けとなる。一般的には、補助接着剤が基材間によく付着して基材間に結合を形成するように基材の領域26に一定の圧力を加える。必要に応じて用いられる繊維状接着剤74,74’が存在する場合、接着剤74,74’も結合27を形成する助けとなり、圧力接着、超音波接着若しくは熱接着、又はこれらの組み合わせなどの他の周知の取り付け手段によって更に結合を形成することも可能である。補助接着剤が一連の連続スロット72sとして適用される場合、これらのスロットの幅及び頻度は、少なくとも1つの補助接着剤のスロットが長手方向の通路の任意のレベルに存在するようなものとすることが有利でありうる。例えば、スロットは幅1mmで各スロット間の距離を1mmとし、通路形成領域の幅を約8mmとすることができる。これにより、平均で4本の補助接着剤のスロットが領域26内に存在することになる。
【0048】
吸収性材料を実質的に含まない通路形成領域26の形状及びサイズの以下の例は、非限定的である。一般的に、コアラップ結合27は、一部の製造プロセスで求められる公差のために領域26と同じ輪郭であるがわずかに小さい外形を有しうる。吸収材料を実質的に含まない領域26は、2つの長手方向に延在する吸収性材料を実質的に含まない領域26a,bによって図1に示されるように、コアの股領域内に、詳細には少なくとも股ポイントCと同じ長手方向のレベルに存在しうる。吸収性コア28はまた、2個よりも多い、例えば、少なくとも3個、又は少なくとも4個、又は少なくとも5個、又は少なくとも6個の吸収性材料を実質的に含まない領域を含んでもよい。吸収性コアは、長手軸80に対して対称的に配置された1つ以上の対の吸収性材料を実質的に含まない領域26a,26bを含んでもよい。例えば国際公開第WO2012/170778号の図面に見られるように、吸収性材料を実質的に含まないより短い領域が、例えばコアの後部領域又は前部領域に存在してもよい。
【0049】
通路形成領域26は実質的に長手方向に延在しているが、これは一般的には、各領域が、長手方向(y)に横断方向(x)と少なくとも同程度に延び、一般的には(それぞれの軸上に投射した後に測定して)長手方向に横断方向の少なくとも2倍延びているという意味である。吸収性材料を実質的に含まない領域26は、コアの長手方向軸80上に投射した長さL’が、吸収性コアの長さLの少なくとも10%、詳細には20%〜80%であってよい。少なくとも一部又は全部の通路形成領域26が、完全に又は実質的に完全に横断方向に向いていないことは有利でありうる。吸収性材料を実質的に含まない領域は、その長さの少なくとも一部に沿った幅Wcが、少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mm、最大で例えば20mm、又は16mm、又は12mmであってよい。吸収性材料を実質的に含まない領域の幅Wcは、そのほぼ全長にわたって一定であってもよく、又はその長さに沿って変化してもよい。
【0050】
吸収性材料を実質的に含まない領域26は、完全に長手方向を向いた、かつ長手方向軸に対して平行な方向を有しうるが、湾曲していてもよい。詳細にはこれらの領域の一部又は全部、詳細には股領域に存在するこれらの領域は、例えば通路26a,bの対について図1に示されるように、長手軸80に向かって凹状でありうる。その曲率半径は、吸収性材料堆積領域73の平均の横断方向の寸法と通常は少なくとも等しく(好ましくはこの平均の横断方向の寸法の少なくとも1.5倍、又は少なくとも2.0倍)、また、真っ直ぐであるが、長手方向軸に平行な直線と(例えば5°〜)30°以下、又は例えば20°以下、又は10°以下の角度をなしてもよい。曲率半径は、吸収性材料を実質的に含まない領域に対して一定であってもよく、又はその長さに沿って変化してもよい。これはまた、通路の2つの部分間の角度が少なくとも120°、好ましくは少なくとも150°であり、かつこれらの場合のいずれにおいても、領域の長手方向の広がりが横断方向の広がりよりも大きいものとして、その内部に角度を有する吸収性材料を実質的に含まない領域を含みうる。これらの領域は分岐してもよく、例えば、股領域において長手方向軸と重なる、中央の材料を実質的に含まない領域が物品の後方に向かって、かつ/又は前方に向かって分岐したものでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、コアの長手軸80と一致する吸収性材料を実質的に含まない領域は存在しない。吸収性材料を実質的に含まない領域は、長手方向軸に対して1つ以上の対称的な対として存在する場合、それらの長手方向の寸法の全体にわたって互いから間隔をおいて配されてもよい。最小の間隔は、例えば、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも16mmであってよい。
【0052】
更に、流体が漏出するリスクを低減するため、吸収性材料を実質的に含まない領域は、吸収性材料堆積領域73のいずれの縁部にまでも延在せず、したがって、コアの吸収性材料堆積領域73によって囲まれ、その中に完全に含まれることが有利でありえる。一般的には、吸収性材料を実質的に含まない領域と吸収性材料堆積領域の最も近い縁部との間の最小距離は、少なくとも5mmである。
【0053】
吸収性コア内の通路26’は、吸収性材料が尿などの液体を吸収して膨潤し始めると形成され始める。コアがより多くの液体を吸収するにつれ、2つの基材間のコアラップ結合27によって形成される吸収性コア内の陥凹部が、より深くなり、視覚的及び触覚的により明らかとなる。通路は吸収性材料が完全な飽和状態に達するまで形崩れしないでそのままに維持されるように、比較的少量のSAP及び/又は比較的伸びやすい基材材料と組み合わせた充分に強いコアラップ結合を形成することが可能である。一方で、コアラップ結合は、一部の場合では、コアが相当に充填される際に吸収性材料の膨潤を制限する場合もある。コアラップ結合27は、大量の流体に曝される際、制御された形で次第に開くような設計としてもよい。したがって、図10に示されるように、吸収性材料が中程度の量の流体を吸収するため、結合は少なくとも第1の段階の間、実質的に完全な状態でありうる。第2の段階において、通路中のコアラップ結合27は、コアの横断方向の高い可撓性及び液体管理性といった通路の利点の多くを保ちつつ、吸収性材料が膨潤するためのより大きな空間を与えるように開き始めることができる。第3の段階において、吸収性コアの極めて高い飽和度に応じて、通路結合のより多くのかなりの部分が開くことで、膨潤する吸収性材料が膨張するための更により大きな空間を与えることができる。より多くの吸収性材料は通常、より大きな膨潤を引き起こし、結合により大きな圧力がかかることから、通路内のコアラップ結合27の強度を、例えば、コアラップの2つの面を結合させるために使用される接着剤の量及び性質、コアラップ結合を形成するために用いられる圧力、及び/又は吸収性材料の分配を変化させることによって制御することができる。コアラップの材料の伸張性も一定の役割を果しうる。
【0054】
補助接着剤72及び補助接着剤適用領域71
補助接着剤72は、補助接着剤適用領域71上の基材16に直接適用される。補助接着剤は、吸収性材料を実質的に含まない領域26a,bを離れて第1の基材16の内側表面と第2の基材16’の内側表面との間の結合27を少なくとも部分的に形成する。補助接着剤72は、第1の基材16と、吸収性材料(吸収性材料ランド領域75)及び繊維状熱可塑性材料74(吸収性材料不在接合領域76内)の両方との間の接着性を向上させるうえでも有用でありうる。
【0055】
補助接着剤72は、吸収性コア製造の分野で使用されるいずれの種類の熱可塑性ホットメルト接着剤を含むか又はこれで構成されたものでよい。かかる接着剤は、凝集力を与えるための1種類以上のポリマー(例えばエチレンプロピレンコポリマー、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル及びこれらの組み合わせなどの脂肪族ポリオレフィン;エチレン酢酸ビニルコポリマー;スチレンブタジエン又はスチレンイソプレンブロックコポリマーなど)、接着強度を与えるための樹脂又は類似の材料(粘着付与剤と呼ばれる場合もある)(例えば、石油蒸留物から蒸留される炭化水素類;ロジン及び/又はロジンエステル;例えば木材又は柑橘類から誘導されるテルペン類など);並びに粘度を改変するための必要に応じて用いられるワックス、可塑剤、又は他の材料(例えば、鉱物油、ポリブテン、パラフィンオイル、エステルオイル、など)、及び/又は、酸化防止剤若しくは他の安定化剤を含むがこれらに限定されない他の添加剤を一般的に含む。例示的な適当な市販の接着剤が、フラー社(Fuller)より参照番号1286又は1358で入手可能である。ホットメルト接着剤の化学的性質についての更なる情報を、以下の繊維状熱可塑性接着剤層74において述べる。
【0056】
補助接着剤72は、当該技術分野では周知の任意の接着剤アプリケータ、詳細にはビーズノズル、スロットノズル、又はスプレーノズルにより適用することができる。補助接着剤は、原則的には、補助接着剤適用領域71の全体に連続的なフィルムとして適用することができるが、これは接着材料の使用を過度に多くしうる。したがって、通常は、接着剤は、より少量の接着剤を用いて被覆される領域を最大化するように不連続的に適用される。このため、補助接着剤を、スプレーノズルを使用して接着剤の比較的幅広のカーテンとして適用することができる。補助接着剤は、適用領域内の一連の個別の適用区域として不連続的に適用することもできる。例えば、補助接着剤は、図5にスロット72sにより示されるように、長手方向にそれぞれ延びることができる複数の間隔を空けたスロットからなるパターンとしてスロットコーティングプロセスを用いて適用することができる。スロットは、例えば0.5mm〜3mmの幅を有してよく、かつ/又は0.5mm〜4mmのスロット間の横方向の間隔を有してよい。スロット72sは、図5に示されるようにすべて同じ長さのものであってもよいが、異なる長さを有してもよい。例えば、吸収性材料が、基材の中心に向かってより材料が多くなるような横方向に輪郭形成されている場合、基材の中心に向かってより長い、又はより幅の広いスロットを有することが有用でありうる。図5の例では、吸収性材料は横断方向に輪郭形成されていない。この例の補助接着材料スロット72sは規則的な間隔を有し、いずれも同じ長さ及び幅を有している。各スロットは、図5に示されるように長手方向に連続的に適用されてよいが、不連続的に適用することもできる。スロットはいずれも同じ長さを有するか、又は特定の領域でより強固なSAPの固定が求められる場合には異なる長さを有してもよい。スロットとして適用される場合、スロット72s内の補助接着剤72は、例えば1gsm〜20gsm、詳細には2gsm〜10gsmの範囲、例えば3又は4gsmの坪量で適用することができる。より一般的には、補助接着剤適用領域71を、スロット間の接着剤を含まないすべての領域又は例えば螺旋状の接着剤適用線内の接着剤を含まないすべての領域とともに全体として考えた場合に、適用領域全体での坪量は、スロット72sについて上記に示した坪量の半分とすることができる。坪量は、補助接着剤適用領域71内で局所的に変化してもよい。
【0057】
本明細書で使用する「補助接着剤適用領域」とは、その外周が補助接着剤72及び補助接着剤間の補助接着剤を含まないすべての領域を含む、基材16の平面内の最小の領域71を意味する。補助接着剤適用領域71は、吸収性材料堆積領域73よりも小さい。したがって、補助接着剤は、補助接着剤が最も必要とされる第1の基材16の領域、通路形成領域26a,bが存在し、2つの基材間の結合27が望ましい最前部、及び、一般的に、吸収性材料の量がコアの後部領域よりも一般に高くてよい吸収性コアの股領域股はその近くに有利に適用することができる。吸収性材料堆積領域73に対して補助接着剤適用領域71を小さくすることは、適用領域全体と比較して一般的により少ない補助接着材料が用いられるという利点を有する。補助接着剤の量及び領域を小さくすることで、ホットメルト接着剤が通常は疎水性であり、完成した製品の望ましくない接着剤臭が低減されることから、向上した液体捕捉特性も与えられる。
【0058】
一般的に、補助接着剤適用領域は、吸収性材料堆積領域73よりも少なくとも20%小さくてよく、詳細には吸収性材料堆積領域73よりも20%〜80%小さくてよい。これらの領域は、吸収性コアの平面内のそれらの表面を測定し、吸収性材料堆積領域73内の通路形成領域26’を含めることによって比較される。
【0059】
補助接着剤適用領域71は、長手方向(y)及び/又は横断方向(x)において吸収性材料堆積領域73よりも短くてよい。補助接着剤適用領域71は例えばほぼ長方形であってよく、吸収性材料堆積領域73と概ね同じ幅を有する一方で長手方向(y)にはより短くてよい。図1は、補助接着剤適用領域71及び吸収性材料堆積領域73がいずれも長方形であり、かつ概ね同じ幅を有するそのような一例を示したものであり、適用領域71は、堆積領域73よりも長手方向に短く、吸収性材料堆積領域の前端又は後端のいずれにも延びていない。図6は、補助接着剤適用領域71が長手方向及び横断方向の両方において吸収性材料堆積領域73よりも短い別の構成を示している。吸収性材料堆積領域73は長方形ではない形状とすることもできることから、両方の領域について多くの異なる構成が可能であることは言うまでもない。補助接着剤適用領域71は、例えば吸収性材料堆積領域73の前端からその幅に沿って延び、吸収性材料堆積領域の後端の手前で止まってもよい。これは、補助接着剤がそこで必要とされる、コアの前部に向かって比較的高量のAGMを有する用途において有利となりうる。補助接着剤適用領域は、長方形ではないが、例えば中央部本体よりも短い2個の隣接したサイドウイングを有する中央部本体を有する形状を有してもよい。そのウイングは、吸収性材料堆積領域の側縁部にまで延びても延びなくともよいが、必要な場合にはこれらの縁部にまで延びてもよい。異なる長さのこれらの部分は、例えば、スロットコーティングプロセスを使用し、適用領域の中央部と比較して適用領域の側部のより短い距離にホットメルト接着剤を適用するようにスロットノズルを調整することにより容易に得ることができる。
【0060】
補助接着剤適用領域71は、吸収性物品の目的とする用途及び吸収性材料の分配に適合した任意の形状を有することができる。詳細には、補助接着剤適用領域は長方形で、基材の中心領域にテーパを有するか又は中央の細長い部分とより短い側部とを有する形状とすることができる。補助接着剤適用領域は、図7に示されるような離間した副領域71a,71bを有することも可能である。ここでは副領域とは、他方から少なくとも約10mm離間した接着剤適用領域として定義される。その場合、接着剤適用副領域間の接着剤を含まない領域は、例えば補助接着剤領域71の表面を測定する場合に補助接着剤適用領域の一部とはみなされない。そのような構成が図7に例示されており、補助接着剤適用領域71が2個の副区域71a及び71bからなり、これらの区域のそれぞれは、1つの通路形成領域26a,26bに概ね対応しており、約10mmの距離だけ離間している。
【0061】
上記の説明では、補助接着剤72を、吸収性コアの上面288を形成し、完成した吸収性物品20のトップシート24に向かって配置される第1の吸収性基材16に関連して説明した。しかしながら、第1の基材は、物品20のバックシート25に向かって配置される吸収性コアの下面290を代わりに形成してもよいことから、これは限定的なものではない。詳細には上記に述べた構成のいずれにおいても、第1の基材上に直接適用された第1の補助接着剤に加えて、第2の基材上に第2の補助接着剤を直接適用することも考えられる。これは、コアラップ内部の吸収性材料が上記に述べたような2つの層61,62を含む場合に特に有用でありうる。
【0062】
微小繊維接着剤74,74’
吸収性コア28は、コアの製造プロセス及び物品の使用の間に吸収性材料60を更に固定するために、繊維状熱可塑性接着材料74を含んでもよい。繊維状熱可塑性接着材料74,74’は、吸収性材料の層61,62をそれぞれの基材16,16’に固定するうえで特に有用でありうる。これらの吸収性層は、上記に述べたような接合領域76,76’により分離されたランド領域75,75’を有してもよく、その結果、繊維状熱可塑性接着材料74はランド領域において吸収性材料61,62と少なくとも部分的に接触し、かつ接合領域において基材層16,16’と少なくとも部分的に接触することができる。これによって、それ自体は本質的に長さ方向及び幅方向の寸法と比較して比較的薄い2次元構造である熱可塑性接着材料の繊維状層に本質的に3次元の網状構造が付与される。これにより、繊維状熱可塑性接着材料はランド領域において吸収性材料を覆うキャビティを与えることができ、それによりこの吸収性材料を固定する。繊維状接着剤は、例えばコア製造プロセスにおいて吸収性層がその基材上に堆積された後、吸収性層上に噴霧することができる。
【0063】
繊維状熱可塑性接着材料は、一般的に10,000より大きい分子量(Mw)、及び通常は室温以下、又は−6℃<Tg<16℃のガラス転移温度(Tg)を有しうる。ホットメルト中のポリマーの一般的な濃度は、約20%〜約40重量%の範囲である。熱可塑性ポリマーは、水非感受性であってもよい。例示的なポリマーは、A−B−A三元ブロック構造、A−B二元ブロック構造、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造を含む(スチレン性)ブロックコポリマーであり、Aブロックは、一般的にはポリスチレンを含む非エラストマーポリマーブロックであり、Bブロックは、不飽和共役ジエン又はその(部分)水素添加物である。Bブロックは一般的に、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。用いることができる他の適当な熱可塑性ポリマーとしては、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーであるメタロセンポリオレフィンがある。その場合、少なくとも1種類のコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを調製することができる。非晶質ポリオレフィン、又はC2〜C8のアルファオレフィンのホモポリマー、コポリマー又はターポリマーである非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)もまた、適用可能である。
【0064】
粘着付与樹脂は、例示的に5,000未満の分子量(Mw)、及び通常、室温よりも高いTgを有し、ホットメルト中の樹脂の一般的な濃度は、約30〜約60%の範囲であり、可塑剤は、一般的には1,000未満の低い分子量(Mw)及び室温よりも低いTgを有し、一般的な濃度は約0〜約15%である。
【0065】
繊維層に使用される熱可塑性接着剤は、好ましくはエラストマー特性を有することで、SAPが膨潤する際にSAP層上に繊維により形成されたウェブが伸びることができる。例示的なエラストマーホットメルト接着剤としては、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、ハード成分(一般にポリプロピレン又はポリエチレンなどの結晶性ポリオレフィン)とソフト成分(エチレンプロピレンゴムなど)とのポリオレフィンブレンドなどの熱可塑性エラストマー;ポリ(エチレンテレフタラート−co−エチレンアゼラート)などのコポリエステル;及びA−B−A型ブロックコポリマーとして指定される熱可塑性末端ブロックとゴム性中間ブロックを有する熱可塑性エラストマーブロックコポリマー:構造的に異なるホモポリマー又はコポリマーの混合物、例えばポリエチレン又はポリスチレンとA−B−A型ブロックコポリマーとの混合物;熱可塑性エラストマーと低分子量樹脂改質剤との混合物、例えばスチレンイソプレンスチレンブロックコポリマーとポリスチレンとの混合物;並びに、本明細書に述べられるエラストマーホットメルト感圧接着剤が挙げられる。これらの種類のエラストマーホットメルト接着剤については、米国特許第4,731,066号(Korpman)により詳細に記載されている。
【0066】
熱可塑性接着材料の繊維は、例示的に約1〜約50マイクロメートル、又は約1〜約35マイクロメートルの平均厚さ、及び約5mm〜約50mm、又は約5mm〜約30mmの平均長さを有することができる。補助接着剤は、熱可塑性接着材料の基材との接着性を高めることができる。繊維は互いに接着されて、メッシュとして述べられる場合もある繊維状層を形成する。
【0067】
吸収性物品20の概説
乳児用テープ付きおむつ20の形態の本発明による例示的な吸収性物品20が、図8及び9に示されている。図8は、例示的なおむつ20の平らに広げられた状態の平面図であり、おむつ20の構造をより分かりやすく示すために構造の一部分を切り欠いて示している。図9は、図8の9−9線に沿ったおむつ20の横断面図である。本発明は様々なおむつ又は他の吸収性物品を製造するために使用することが可能であるため、おむつ20はあくまで例示の目的で示すものである。
【0068】
吸収性物品20は、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート25、及びトップシート24とバックシート25との間の本発明による吸収性コア28を備えている。吸収性物品は、捕捉層及び/又は分配層(54として示され、まとめて捕捉分配システム(ADS)と称される)、並びにトップシートとバックシートとの間に存在する伸縮性ガスケットカフ32、及び以下に更に詳細に述べるような直立バリアレッグカフ34などの更なる一般的な構成要素を有することもできる。図面には、物品の後縁部12に向かって取り付けられ、物品の前縁部10に向かってランディング区域44と協働する締着タブ42を含む締着システムのような他の一般的なテープ付きおむつ構成要素も示されている。吸収性物品は、後部弾性ウエスト機構、前部弾性ウエスト機構、横断方向バリアカフ、又はローションアプリケーションなどの図に示されていない他の一般的な要素を備えてもよい。
【0069】
吸収性物品20は、前縁部10、後縁部12、及び2つの長手方向に延びる側(横)縁部13、14を有している。前縁部10は、着用時にユーザーの前方に向かって置かれることが意図された物品の縁部であり、後縁部12はその反対側の縁部である。図8に例示的に示されるように、物品を平らに広げられた形態で着用者に面する側から見た場合、吸収性物品は、物品の前縁部から後縁部に延びて物品を軸に対してほぼ対称的な2つの半部分に分割する長手方向軸80’によって概念的に分割されうる。この軸80’は、コアの長手方向軸80と一般的には一致してよい。物品の特定の部品に伸縮性要素によって張力が作用している場合、物品は一般的に、物品の外周に沿ってクランプを使用するかかつ/又は粘着表面を使用して、トップシート及びバックシートがほぼ平らになるようにピンと引っ張ることができるように平らに広げることができる。トレーニングパンツのような閉じた物品は、平らな表面に適用することができるように横の縫い目に沿って切り開くことができる。特に断らない限り、本明細書に開示される寸法及び領域はこの平らに広げられた形態の物品に適用される。物品は、後縁部から前縁部まで軸80’に沿って測定される長さL’’を有する。吸収性物品20は、物品がこのような平らな状態にある場合に長手方向軸上で測定される長さの等しい前部領域及び後部領域に横断方向軸90’によって概念的に分割することもできる。この物品の横断方向軸90’は長手方向軸80’に垂直であり、物品の長さの半分の位置にある。
【0070】
トップシート24、バックシート25、吸収性コア28、及び他の物品の構成要素は、各種の周知の形態で、詳細には接着及び/又は熱エンボス加工によって組み立てることができる。例示的なおむつアセンブリについては、例えば米国特許第3,860,003号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、及び同第6,004,306号に一般的に記載されている吸収性物品は薄いことが好ましい。物品は、長手方向軸と横断方向軸との交点において薄いことが有利である場合があり、例えば、下記に述べる吸収性物品キャリパー試験を用いて測定される厚さが、1.0mm〜8.0mm、詳細には1.5mm〜6.0mmである。
【0071】
物品のこれらの構成要素及び他の構成要素について以下に更に詳細に考察する。本明細書に開示されている寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解すべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0072】
トップシート24
トップシート24は、着用者の肌に直接接する吸収性物品の部分である。トップシート24は、バックシート25、吸収性コア28、又は当該技術分野では周知の他の任意の層と接合することができる(本明細書で使用するところの「接合される」なる用語は、要素を直接的に他の要素に取り付けることにより、ある要素を他の要素に直接的に固定する構成、及び要素を中間部材に取り付け、それが他の要素に取り付けられることにより、ある要素を間接的に他の要素に固定する構成を含む)。通常、トップシート24及びバックシート25は、いくつかの箇所(例えば、物品の外周部又はその近く)で互いに直接接合し、他の箇所では、物品20の1つ又は複数の他の要素へこれらを直接接合することにより、共に間接的に接合している。
【0073】
トップシート24は、着用者の皮膚にとってしなやかで、柔らかい感触で、かつ非刺激性であることが好ましい。更に、トップシート24の少なくとも一部分は、液体透過性であり、液体がその厚さを通して容易に浸透することを可能にする。適当なトップシートは、例えば、多孔質発泡体、網目状発泡体、有孔プラスチックフィルム、あるいは天然繊維(例えば、木材繊維又は綿繊維)、合成繊維又はフィラメント(例えば、ポリエステル繊維、若しくはポリプロピレン繊維、若しくは二成分PE/PP繊維、又はそれらを混ぜたもの)、あるいは天然繊維と合成繊維との組み合わせの織布又は不織布材料などの幅広い範囲の材料から製造することができる。トップシート24が繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド法、カード法、湿式堆積法、メルトブロー法、水流交絡法、又は当該技術分野において既知の別の方法、特にスパンボンドPP不織布法で処理することができる。ステープル長のポリプロピレン繊維のウェブを含む適当なトップシートとしては、マサチューセッツ州ウォルポール所在のInternational Paper Companyの一部門であるVeratec,Inc.によってP−8の製品名にて製造されるものがある。
【0074】
適当な成形フィルムのトップシートは、米国特許第3,929,135号、同第4,324,246号、同第4,342,314号、同第4,463,045号、及び同第5,006,394号にも記載されている。その他の適当なトップシートは、米国特許第4,609,518号及び同第4,629,643号に従って作製することも可能である。かかる成形フィルムは、The Procter & Gamble Company(オハイオ州シンシナティ)から「DRI−WEAVE」として、及びTredegar Corporation(本拠地バージニア州リッチモンド)から「CLIFF−T」として入手可能である。
【0075】
トップシートの任意の部分を、当該技術分野において既知のローションでコーティングしてもよい。適当なローションの例としては、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,643,588号、同第5,968,025号、及び同第6,716,441号に記載されるものが挙げられる。トップシート24はまた、抗菌剤を含むか、あるいは抗菌剤にて処理されてもよく、その一部の例は国際公開第WO 95/24173号に開示されている。更に、トップシート、バックシート、又はトップシート若しくはバックシートの任意の部分には、より布に近い外観を持たせるためにエンボス加工及び/又はつや消し加工を施してもよい。
【0076】
トップシート24は、尿及び/又は糞便(固体、半固体、若しくは液体)など、それを通る排出物の浸透を容易にするための1つ又は複数の開口を備えていてもよい。少なくとも一次開口部のサイズは、所望の排泄物封入性能を達成するために重要である。一次開口部が小さ過ぎると、排泄物は、排泄物源と開口位置の位置合わせがよくないことが原因で、又は開口より大きい直径を有する糞便の塊が原因で、開口部を通過しない場合がある。開口部が大き過ぎると、物品からの「再湿潤」により汚染される可能性のある皮膚面積が増加する。一般的には、おむつの表面の開口部の総面積は、約10cm〜約50cm、詳細には約15cm〜35cmの面積を有してもよい。開口形成されたトップシートの例は、米国特許第6,632,504号に開示されている。国際公開第WO 2011/163582号にも、12〜18gsmの坪量を有し、かつ複数の結合点を含む、好適な着色トップシートが開示されている。各結合点は、2mm〜5mmの表面積を有し、複数の結合点の累積表面積は、トップシートの合計表面積の10〜25%である。
【0077】
一般的なおむつのトップシートの坪量は、約10〜約28gsmであり、とりわけ、約12〜約18gsmであるが、他の坪量も可能である。
【0078】
バックシート25
バックシート25は一般に、ユーザーが装着したときに物品の外部表面の大半を形成する吸収性物品20の部分である。バックシート25は、吸収性コア28の下面290に向かって配置され、その中に吸収及び包含された排泄物がベッドシーツ及び下着などの物品を汚すのを防止する。バックシート25は、一般的には、液体(例えば、尿)に対して不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm〜約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであるか、又はそれを含んでもよい。例示的なバックシートフィルムとしては、バージニア州リッチモンドを拠点とするTredegar Corporationによって製造され、CPC2フィルムの商標で販売されるものが挙げられる。他の適当なバックシート材としては、物品20から蒸気を逃す一方で、依然として排泄物がバックシート25を通過することを防止する通気性材料が挙げられる。例示的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルム被覆された不織布ウェブなど複合材料、日本のMitsui Toatsu Co.により、名称ESPOIR NOで製造され、かつTredegar Corporation(バージニア州リッチモンド)によって、名称EXAIREで販売されているような微孔性フィルム、及びHYTREL blend P18−3097の商品名にて、Clopay Corporation(オハイオ州シンシナティ)により製造されているようなモノリシックフィルムを挙げることができる。一部の通気性複合材料については、国際出願番号第WO 95/16746号(E.I.DuPont)、米国特許第5,938,648号(LaVonら)、同第4,681,793号(Linmanら)、同第5,865,823号(Curro)、同第5,571,096号(Dobrinら)、及び同第6,946,585号(London Brown)により詳細に記載されている。
【0079】
バックシート25は、当該技術分野において既知のいずれかの取り付け手段によって、トップシート24、吸収性コア28、又はおむつ20の他のいずれかの要素に接合してよい。好適な取り付け手段は、トップシート24を物品20の他の要素に接合するための手段に関して上で説明される。例えば、取り付け手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターンが施された層、又は接着剤の分離した線、螺旋、若しくは点の配列を挙げることができる。好適な取り付け手段として、米国特許第4,573,986号に開示されるように、接着剤のフィラメントの開放パターン網目構造(open pattern network)が挙げられる。他の適当な取り付け手段として、米国特許第3,911,173号、同第4,785,996号、及び同第4,842,666号に示される装置及び方法により例示されるような、螺旋パターンに渦を巻く接着剤フィラメントのいくつかの線が挙げられる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller社(ミネソタ州セントポール)が製造し、HL−1620及びHL 1358−XZPの名称で市販されている。代替的に、取り付け手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で既知の他の任意の好適な取り付け手段、若しくはこれら取り付け手段の組み合わせを含んでもよい。
【0080】
捕捉−分配システム54
本発明の吸収性物品は、捕捉層、分配層、又は両者の組み合わせ(本明細書では、まとめて捕捉分配システム(ADS)と称される)を有することができる。ADSの機能は一般的に、効率的な方法で液体を迅速に捕捉し、それを吸収性コアに分配することである。ADSは、1つ、2つ、又はそれ以上の層を備えてもよく、それらの層は一体の層を形成しても、あるいは依然として、互いに結合され得る個別の層であってもよい。ADSは詳細には2つの層、つまり、分配層と捕捉層とを備え、捕捉層は吸収性コアとトップシートとの間に配設されているが、本発明はこの例に限定されない。通常、SAPは流体の捕捉及び分配を緩慢にし得るので、ADSはSAPを含まない。先行技術により、多数のタイプの捕捉・分配システムが開示されている。例えば、国際公開第WO2000/59430号(Daley)、同第WO95/10996号(Richards)、米国特許第5,700,254号(McDowall)、国際公開第WO02/067809号(Graef)を参照されたい。ADSは、必須ではないが、分配層と捕捉層の2つの層を備えてもよく、これら2つの層についてこれから更に詳細に例示する。
【0081】
分配層
分配層の機能は、コアの吸収性能をより効率的に使用できるように、侮辱的流体液体を物品内のより大きい表面にわたって広げることである。一般的には、分配層は、合成繊維又はセルロース繊維系の比較的密度の低い不織布材料によって作製される。分配層の密度は、物品の圧縮度に応じて変動してもよいが、典型的には、2.07kPa(0.30psi)で測定して、0.03〜0.15g/cm、特に、0.05g〜0.15g/cmの範囲であってもよい。分配層54はまた、米国特許第5,137,537号に開示されている手順に示されているとおりに測定して、25〜60、好ましくは30〜45の保水値を有する材料であってもよい。分配層は通常、30g/m〜400g/m、詳細には100g/m〜300g/mの平均坪量を有しうる。
【0082】
分配層は例えば、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含みうる。架橋されたセルロース繊維は捲縮されるか、撚り合わされるか、若しくはカールされてもよく、又は、捲縮、撚り合わせ、及びカールを含むそれらの組み合わせであってもよい。この型の材料は、捕捉システムの一部として使い捨ておむつで過去に使用されており、例えば、米国特許公開第2008/0312622号(Hundorf)を参照されたい。架橋されたセルロース繊維は、製品パッケージ内の圧縮に対して、又は、例えば、赤ちゃんの重量下での使用状況下において、高い復元力、したがって高い耐性を付与する。
【0083】
分配層に適した例示的な化学的に架橋されたセルロース繊維は、米国特許第5,549,791号、同第5,137,537号、国際公開第WO 95/34329号、又は米国特許出願公開第2007/118087号に開示されている。例示的な架橋剤は、クエン酸などのポリカルボン酸並びに/又はアクリル酸及びマレイン酸共重合体などのポリアクリル酸を含む。例えば、架橋されたセルロース繊維は、繊維内エステル架橋結合形態で前記繊維と反応させた、C2〜C9のポリカルボン酸架橋剤を、セルロース無水グルコースのモル数に基づいて、約0.5モル%〜約10.0モル%有してもよい。C2〜C9のポリカルボン酸架橋剤は、
−1分子あたり少なくとも3つのカルボキシル基を有するC2〜C9の脂肪族及び脂環式ポリカルボン酸と、
−1分子あたり2つのカルボキシル基を有し、カルボキシル基の1つ又は両方に対するアルファ位、ベータ位に炭素−炭素二重結合を有するC2〜C9の脂肪族及び脂環式ポリカルボン酸であって、該C2〜C9のポリカルボン酸架橋剤の1つのカルボキシル基が2つ又は3つのいずれかの炭素原子により第2のカルボキシル基から切り離されている、C2〜C9の脂肪族及び脂環式ポリカルボン酸と、からなる群から選択することができる。繊維は、前記繊維と繊維内エステル架橋結合状態で反応させた架橋剤を、具体的に、セルロース無水グルコースモルのモル数に基づいて計算して約1.5モル%〜約6.0モル%を有してもよい。架橋剤は、クエン酸、1、2、3、4ブタンテトラカルボン酸、及び1、2、3プロパントリカルボン酸、からなる群から、具体的に、クエン酸から選択されてもよい。
【0084】
ポリアクリル酸架橋剤は、また、ポリアクリル酸ホモポリマー、アクリル酸のコポリマー、及びそれらの混合物から選択されてもよい。繊維は、繊維内架橋結合の形態で前記繊維と反応させたこれらの架橋剤を、乾燥した繊維の重量に対して、1.0重量%〜10.0重量%、好ましくは、3重量%〜7重量%有してもよい。架橋剤は、500〜40,000、好ましくは、1000〜20,000の分子量を有するポリアクリル酸ポリマーであってもよい。高分子ポリアクリル酸架橋剤は、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマーであってもよく、具体的に、アクリル酸対マレイン酸の重量比は、10:1〜1:1、好ましくは、5:1〜1.5:1である。クエン酸の有効量を前記高分子ポリアクリル酸架橋剤と更に混合してもよい。
【0085】
架橋されたセルロース繊維を含む分配層は、他の繊維を含んでもよいが、この層は、層の重量に対して、少なくとも50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%、又は更には最大100%の架橋されたセルロース繊維(架橋剤を含む)を含んでもよい。このような架橋されたセルロース繊維の混合層の例は、約70重量%の化学的に架橋されたセルロース繊維、約10重量%のポリエステル(PET)繊維、及び約20重量%の未処理のパルプ繊維を含み得る。別の例では、架橋されたセルロース繊維の層は、化学的に架橋されたセルロース繊維を約70重量%、リヨセル繊維を約20重量%、及びPET繊維を約10重量%含んでもよい。別の例では、その層は、化学的に架橋されたセルロース繊維を約68重量%、未処理のパルプ繊維を約16重量%、及びPET繊維を約16重量%含んでもよい。別の例では、架橋されたセルロース繊維の層は、化学的に架橋されたセルロース繊維を約90重量%〜100重量%含んでもよい。
【0086】
捕捉層
吸収性物品20は捕捉層52を備えてもよく、その機能は、流体をトップシートから離して素早く捕捉し、着用者に優れた乾燥性を提供することである。捕捉層は、一般的には、トップシートの直下に配置される。存在する場合、分配層は、捕捉層の下に少なくとも部分的に配設されうる。捕捉層は、一般的には、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は、代替的に、カーディングを施された化学結合された不織布を含む、例えば、SMS又はSMMS材料など、不織布材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。不織布材料は、詳細にはラテックス結合されていてもよい。例示的な上部捕捉層52が米国特許第7,786,341号に開示されている。使用される繊維が、中実で円形又は丸形で中空のPETステープル繊維(6デニール繊維と9デニール繊維との50/50又は40/60の混合)である場合は特に、カーディングされた樹脂結合不織布が使用されてもよい。例示的な結合剤は、ブタジエン/スチレンラテックスである。不織布は、加工ラインの外側で製造され、ロール物材料として保管及び使用されうるという利点を有している。更なる有用な不織布が、米国特許第6,645,569号(Cramerら)、同第6,863,933号(Cramerら)、同第7,112,621号(Rohrbaughら)、米国特許出願公開第2003/148684号(Cramerら)及び同第2005/008839号(Cramerら)に記載されている。
【0087】
捕捉層は、例えば、スチレンーブタジエンラテックスバインダ(SBラテックス)などのラッテクスバインダにより、安定化されてもよい。かかるラテックスを得るための方法は、例えば、欧州特許第149880号(Kwok)及び米国特許出願公開第2003/0105190号(Diehlら)で既知である。特定の実施形態では、結合剤は、約12重量%、約14重量%、又は約16重量%を超えて捕捉層52に存在してもよい。SBラテックスは、商品名GENFLO(商標)3160(OMNOVA Solutions Inc.(オハイオ州アクロン))で入手可能である。
【0088】
上述した第1の捕捉層に加えて、更なる獲得層(図示せず)が使用されてもよい。例えば、ティッシュ層が、第1の捕捉層と分配層との間に置かれてもよい。ティッシュは、上述した捕捉層と比較して、毛管現象による分配特性を向上させうる。ティッシュ層及び第1の捕捉層は同じサイズのものであってもよく、又は、異なるサイズのものであってもよく、例えば、ティッシュ層は、第1の捕捉層よりも、吸収性物品の後へと更に延在していてもよい。親水性ティッシュの例は、供給業者Havixによるセルロース繊維から作製された、13〜15gsmの高湿潤強度ティッシュである。
【0089】
締着システム42、44
吸収性物品は、締着システムを備えてもよい。締着装置を使用して、吸収性物品を着用者に保持するために吸収性物品の周囲に横方向の張力を付与できる。トレーニングパンツ物品のウエスト領域は既に結合されているので、この締着システムは、トレーニングパンツ物品には必須ではない。締着システムは通常、例えば、テープタブ、フックとループの締着要素、タブ及びスロットのような連結締着具、バックル、ボタン、スナップ、並びに/又は雌雄同体締着要素等の締着具42を備えてもよいが、他の既知のいかなる締着手段も概ね容認できる。締着具42が着脱可能に取り付けられるように、ランディングゾーン44が通常、物品の前ウエスト領域に設けられる。一部の例示的な表面締着システムが、米国特許第3,848,594号、同第4,662,875号、同第4,846,815号、同第4,894,060号、同第4,946,527号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号(Buell)に開示されている。例示的な連結締着システムが米国特許第6,432,098号に開示されている。締着システムはまた、米国特許第4,963,140号(Robertson)に開示されているように、使い捨て式の構成で物品を保持するための手段を提供してもよい。
【0090】
締着システムはまた、重なり部分のずれを減らすために米国特許第4,699,622号に開示されるように、又はフィット感を向上するために米国特許第5,242,436号、同第5,499,978号、同第5,507,736号、同第5,591,152号に開示されるように、第1及び第2の締着システムを備えてもよい。
【0091】
前及び後の耳部46、40
吸収性物品は、当該技術分野で既知のとおり、前耳部46と後耳部40とを備えてもよい。耳部は、サイドパネルとして、例えば、トップシート及び/又はバックシートから形成されたシャーシの一体部分であってもよい。あるいは、図8に示されるように、耳部は、接着及び/又は熱エンボス加工により取り付けられる分離型の要素であってもよい。後耳部40は、有利には、ランディングゾーン44にタブ42の取り付けが簡易に行えて、かつ着用者のウエストの周りにテープ付きおむつを適所に維持できるように伸縮可能である。また、前耳部46は、最初に吸収性物品を着用者に対して快適にフィットさせ、かつこうした弾性のある耳部は、吸収性物品の側部を拡張及び収縮させることができるため、吸収性物品が排出物を充填したときをとっくに過ぎている着用時間を通じて上記適合を維持することによって、より快適で輪郭に合ったフィット感を提供するために、弾性又は伸長可能であってもよい。
【0092】
バリアレッグカフ34及びガスケットカフ32
おむつ又はトレーニングパンツのような吸収性物品は、着用者の脚の周囲の物品のフィット性を高める構成要素、詳細にはバリアレッグカフ34及びガスケットカフ32を一般的に更に有することができる。バリアレッグカフ32は、一個の材料、通常は不織布で形成することができ、これは、物品の残りの部分に部分的に結合され、例えば図1及び2に示されるように物品を平ら引っ張った場合にトップシートによって規定される平面から離れる方向に部分的に持ち上げられることで立ち上がることができる。バリアレッグカフ34は、およそ着用者の胴と脚の連接部にて、液体及び他の身体排泄物の改善された封じ込めを提供することができる。バリアレッグカフ34は、長手方向軸の対向する側の吸収性物品の前縁部と後縁部との間に少なくとも部分的に延在し、股ポイント(C)に少なくとも隣接して存在する。
【0093】
バリアレッグカフ34は、物品の残りの部分、典型的にはトップシート及び/又はバックシートに接合される近位縁部64と、着用者の皮膚と接触し封止を形成することが意図される自由末端縁66とによって範囲を定めることができる。バリアレッグカフ34は、例えば、接着剤による結合、融合結合、又は既知の結合手段の組み合わせによってなされうる結合65によって、近位縁部64で物品のシャーシと接合することができる。近位縁部64での接着部65は、連続的又は断続的であってもよい。
【0094】
バリアレッグカフ34は、トップシート若しくはバックシートと一体である(すなわちこれから形成される)か、又はより一般的には、物品の残りの部分に接合される別個の材料から形成されることができる。一般的に、バリアレッグカフの材料は、物品の全長を通って延在してもよいが、物品の前縁及び後縁に向かってトップシートに「タック結合」され、その結果、これらのセクションでは、バリアレッグカフ材料はトップシートと同一平面のままとなる。各バリアレッグカフ34は、より良好な封止を提供するように、この自由末端縁66に近接して1つ、2つ、又はそれ以上のゴムひも35を備え得る。
【0095】
バリアレッグカフ34に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシと同じ平面内で形成され、詳細にはトップシートとバックシートとの間に少なくとも部分的に封入されてよく、かつバリアレッグカフ34に対して横方向外側きに配置することができるガスケットカフ32を有することができる。ガスケットカフ32は、着用者の大腿部の周りにより良好な封止を提供することができる。通常、各ガスケットレッグカフ32は、例えば、脚部開口部の領域のトップシートとバックシートとの間でおむつのシャーシに含まれる、1つ以上のゴムひも又は弾性要素33を含むであろう。
【0096】
米国特許第3,860,003号には、サイドフラップ、及び弾性レッグカフ(ガスケットカフ)を提供する1つ又は複数の弾性部材を有する、収縮可能な脚部開口部を提供する使い捨ておむつが記載される。米国特許第4,808,178号(Aziz)及び同4,909,803号(Aziz)は、脚領域の封じ込めを向上させる「立ち上がった」弾性フラップ(バリアレッグカフ)を有する使い捨ておむつを開示している。米国特許第4,695,278号(Lawson)及び同第4,795,454号(Dragoo)には、ガスケットカフとバリアレッグカフとを含む二重カフを有する使い捨ておむつについて記載されている。バリアレッグ及び/又はガスケットカフの全て又は一部分は、ローションで処理されてもよい。
【0097】
弾性ウエスト機構
吸収性物品はまた、改善したフィット及び封じ込めを提供する上で役立つ、少なくとも1つの弾性ウエスト機構(図示せず)を備え得る。弾性ウエスト機構は、一般的に、弾性的に伸縮して、着用者のウエストに動的にフィットするように意図したものである。この弾性ウエスト機構は、好ましくは、吸収性コア28の少なくとも一方のウエスト縁部から少なくとも長手方向外側に延在し、吸収性物品の裏面の少なくとも一部を概ね形成する。使い捨ておむつは、2つの弾性ウエスト機構を有するように構成され得、一方は前ウエスト領域に定置され、他方は後ウエスト領域に定置される。弾性ウエスト機構は、米国特許第4,515,595号、同第4,710,189号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号に記載されるものを含む、多数の異なった構成で構築されてもよい。
【0098】
層と構成要素の間の関係
典型的に、隣接する層は、層の表面の全体若しくは一部へのスロットコーティング若しくは吹き付けによる接着剤コーティング、又は、熱結合、又は圧力結合、あるいはそれらの組み合わせなど、従来の結合法を用いて互いに接合される。構成要素間の結合の多くは、分かりやすさ及び読みやすさのために図面には示されていない。物品の各層間の結合は、特に除外されない限りは存在するものとみなすべきである。接着剤は通常、例えばバックシートとコアラップとの間で、異なる層の接着性を向上させるために使用されうる。使用される接着剤は、当該技術分野において既知の任意の標準的ホットメルト接着剤であってよい。
【0099】
製造方法
本発明の吸収性物品は、当該技術分野では周知の任意の適当なプロセスによって製造することができる。詳細には、物品は手製であってもよく、又は最新の加工ライン上で高速で工業的に製造することもできる。本発明の吸収性コアは、詳細には、国際公開第WO2008/155699号に一般的に開示される方法を一部適応化して用いて、2つの吸収性構造体70,70’を合わせることによって工業的に製造することができる。かかる方法が図11に概略的に開示されている。
【0100】
図5に示される構造体に相当する層を有する吸収性構造体を製造するための第1の印刷ユニット134が図11の左側に示されている。第1の印刷ユニット134は、補助接着剤72を基材16に適用するための補助接着剤アプリケータ148、第1の基材16を受容するための第1の回転可能な支持ロール152、吸収性粒子状ポリマー材料を保持及び供給するための第1のホッパ154、ホッパ154から基材16上の堆積領域73に材料のランド領域及び接合領域を含む吸収性粒子状ポリマー層61を堆積するための第1の印刷ロール156、及び、繊維状熱可塑性接着材料74を適用するための第1の熱可塑性接着材料アプリケータ158を備える。補助接着剤アプリケータ148は、国際公開第WO2008/155699号に提案されるように、熱可塑性接着材料の比較的薄いが幅の広いカーテンを与えることができるノズルシステムであってよいが、基材の所望の幅(吸収性材料堆積領域73の幅に一致するか又はそれよりも短いか若しくは望ましい場合には大きくてもよい)に沿って長手方向に補助接着剤72の複数のスロット72sを同時に適用するためのスロットコーターを代わりに、かつ有利に備えてもよい。補助接着剤アプリケータは、補助接着剤層が所望の補助接着剤適用領域71内のみの場に適用されるように補助接着剤の供給を間欠的に停止するマニホールドを備えていてもよい。SAP印刷ロール156及び繊維状層接着剤アプリケータ158は、国際公開第WO2008/155699号に更に詳細に記載されているものでよい。
【0101】
印刷ユニット134により得られた吸収性構造体70は、第2の基材16’と面で向き合った関係に直接置かれるか、又は第2の吸収性構造体70’と組み合わせることで、図3に示されるような2つの吸収性層61,62からなる吸収性コアを形成することができる。次いで、この第2の吸収性構造体70’を、第1の印刷ユニット134と概ね同じであってよい、図11の右側に示されるような第2の印刷ユニット132上で形成することができる。第2の印刷ユニット132は、必要に応じて第2の補助接着剤72’を基材16’に適用するためのスロットコーターであってよい第2の補助接着剤アプリケータ136、基材16’を受容するための第2の回転可能な支持ロール140、吸収性粒子状ポリマー材料を保持するための第2のホッパ142、吸収性粒子状ポリマー材料を基材16’に転写するための第2の印刷ロール144、及び、繊維状熱可塑性接着材料74’を基材16’及びその上の吸収性粒子状ポリマー層62に適用するための熱可塑性接着材料アプリケータ146を有することができる。
【0102】
吸収性構造体同士は、2個の支持ロール140,152間のニップ162で圧力を加えることによって組み合わせることができる。側部シールは、一方の基材の横方向に延びるフラップを連続的に折り畳むことによってシール形成ガイドローラ160においてCラップとして形成される。次いで、吸収性コア28を、前部及び後部シールを形成し、コア材料のウェブを必要な間隔で切断することによって個別化することができる。次いで、吸収性コアの連続した流れを吸収性物品を製造するための加工プロセスに組み込むことができる。
【0103】
試験方法
別段の指示がない限り、本明細書に示された値は、本明細書で以下に示される方法に従って計測されたものである。別段の指示がない限り、全ての測定は、21℃±2℃及び50%±20% RHで実施される。別段の指定がない限り、この試験を実施する前に、すべての試料は少なくとも24時間、これらの状態に保たれて平衡化されるべきである。別段の指定がない限り、全ての測定は、少なくとも4つの試料で再現されているはずであり、得られた平均値が示される。
【0104】
遠心保持容量(CRC)
CRCは、過剰の液体中で自由膨潤する超吸収性ポリマー粒子によって吸収される液体を測定する。CRCは、EDANA法WSP 241.2−05に従って測定する。
【0105】
乾燥吸収性コアキャリパー試験
この試験を使用して、標準化された様式で吸収性コアのキャリパー(使用前、すなわち、流体充填なし)を測定し得る。
【0106】
装置:分解能が0.01mmのMitutoyo製手動キャリパーゲージ又は同等の計器。
【0107】
コンタクトフット:直径17.0mm(±0.2mm)の平坦な円形フット。円形の重りをフットに適用して(例えば、器具シャフトの周囲への適用を促進するためにスロットを有する重り)、目的の重量を得てもよい。フットと付加された重量(シャフトを含む)との総重量は、試料に2.07kPa(0.30psi)の圧力をもたらすように選択される。
【0108】
キャリパーゲージは、コンタクトフットの下部表面が約20×25cmの基部プレートの平坦で水平な上部表面の中心に接触するように、水平面でコンタクトフットの下部表面に取り付ける。ゲージは、基部プレート上に静置されているコンタクトフットでゼロであるように設定する。
【0109】
目盛:mmで目盛が付けられた較正済の金属定規。
【0110】
ストップウォッチ:精度1秒。
【0111】
試料調製:コアを上記のように少なくとも24時間状態調整する。
【0112】
測定手順:コアを、底側、即ち、最終物品においてバックシートに向けて配置する予定の側を下向きにして平坦に置く。測定点(例えば、股ポイントC)は、コアを圧縮又は変形させないように注意しながら、コアの上側に注意深く描かれる。
【0113】
キャリパーゲージのコンタクトフットを持ち上げ、コアを、コアの上側を上向きにしてキャリパーゲージの基部プレート上に平坦に配置して、下げたときにフットの中心が印を付けた測定点上にあるようにする。
【0114】
フットを物品の上にそっと下げ、放す(測定の開始前に較正が「0」であることを確認する)。キャリパーの値は、フットを放した10秒後に0.01mm単位で読み取る。
【0115】
手順を各測定点について繰り返す。測定点に折り目がある場合には、測定は、この点に最も近いが折り目の一切ない領域で行う。10個の物品を所与の製品に対してこの様式で測定し、平均キャリパーを算出し、10分の1mmの精度で報告する。
【0116】
吸収性物品キャリパー試験
吸収性物品キャリパー試験は、コアのキャリパーの代わりに最終吸収性物品のキャリパーを測定するという差異はありながら、乾燥吸収性コアキャリパー試験についてのように行うことができる。測定の点は、吸収性物品の長手方向軸80’と横断軸90’との交点であってもよい。吸収性物品が折り畳まれて及び/又はパッケージ中で提供される場合は、測定する物品を広げる及び/又はパッケージの中心エリアから取り出す。パッケージが4超の物品を含む場合、パッケージの各面上の最も外側の2つの物品が試験で使用される。パッケージが4個を超えるが14個より少ない物品を含む場合には、物品のパッケージ2個以上の試験を完了する必要がある。パッケージが14個以上の物品を含む場合には、物品のパッケージ1個のみの試験を行う必要がある。パッケージが4個以下の物品を含む場合には、パッケージ中の全ての物品を測定し、かつ複数のパッケージの測定を行う必要がある。キャリパーの読み取り値は、物品をパッケージから取り出し、広げ、状態調整してから24±1時間後に取るべきである。製品の物理的操作は最小限であり、必要なサンプルの準備のみに限定されるべきである。
【0117】
物品がキャリパーフットの下に平坦に配置されるのを阻止する物品のいずれの弾性構成要素も、切断するか、又は除去する。これらにはレッグカフ又はウエストバンドを挙げることができる。パンツ型物品は、必要に応じて、開くか、又はサイドシームに沿って切り出す。十分な張力を印加して、いかなる折り目/しわも平坦にならす。測定のエリアに触れること及び/又はそれを圧縮することを避けるように注意する。
【実施例】
【0118】
本発明の第1の態様による、図6に示される概略図に概ね対応する例示的な吸収性コアは、以下のようにして製造することができる。第1の基材16は、親水性を有するように界面活性剤処理された10gsmのSMS不織布基材であり、長さ390mm及び幅165mmである。第2の基材は、本来的に疎水性であり、長さ390mm及び幅130mmの10gsmのSMS不織布基材である。
【0119】
補助接着剤72(フラー社(Fuller)製ホットメルト接着剤1286又は1358)を、スロット間の距離を1mmとして1mm幅の41本のスロットからなるパターンに、スロットコーティングにより第1の基材上に適用する。したがって、適用領域は約81mmの一定の幅を有する。適用領域は、第1の基材の長手方向中心線上にその中心が位置する。スロットは、基材の前縁部から57mmの距離から始まって、基材の後縁部から237mmの距離にまで延びる。このため、補助接着剤の適用領域71は長方形であり、約19200平方mm、すなわち192平方cmの表面を有する。接着剤をスロット内に約8gsm(g/平方m)の坪量で適用することができる。第1の基材上の補助接着剤の総量は約80mgである。
【0120】
次いで、粒子状の超吸収性ポリマー60を第1の基材上に、図5に概略的に示されるように、各領域が幅約10mm、長さ約110mmである、基材の横断方向に方向付けられた長方形のランド領域75の規則的なパターンで適用する。最初のランド領域は基材の前縁部から15mmの距離から始まる。各ランド領域を分離する接合領域76は幅約1〜2mmである。最後のランド領域は基材の後縁部から15mmの距離に配置されることで、基材に約30個のSAPランド領域が与えられる。各ランド領域のSAPの量は、吸収性材料の輪郭形成された配分が与えられるように変化する。吸収性材料はコアの股領域においてより高い坪量で、コアの後部領域に向かってより低い坪量で、更に、コアの前部に向かって中間の値で堆積させた。図5に示されるように中心線に向かう凹状の外径を有する2個の長手方向に延びる吸収性材料不在領域も設けられる。したがって、かかる吸収性材料不在領域は補助接着剤適用領域内に完全に含まれる。長手方向軸上に投射されたこれらの材料不在領域26a,bの長さL’は、約230mmである。
【0121】
繊維状熱可塑性層74(例えばNW1151ZPホットメルト接着剤exフラー社(Fuller))を、5gsmの坪量で概ね均一に噴霧して、例えば基材のそれぞれの横側部から5mmの位置で止まるように、第1の基材上に堆積された吸収性材料のランド領域及びそれらの間の接合領域を覆うことができる(図5に示される)。
【0122】
上記に述べたようなこの第1の吸収性構造体70を、第2の基材16’、並びにランド領域75’及び接合領域76’の概ね同じ配分を有する別の吸収性材料の層62、吸収性材料不在領域26a,26b、及び繊維状接着剤74’を含む第2の吸収性構造体と合わせる。第2の基材は、第2の補助接着剤層を有しても有さずともよい。一方の構造体のランド領域が他方の構造体の接合領域を覆うよう、各ランド領域が長手方向に例えば約5mmのわずかなオフセットを有するようにして2つの基材を合わせる。両方の吸収性構造体の材料不在領域26a,bは、合わされた吸収性コアが図6に示されるものと同様の2つの通路形成領域26a,bを有するように位置合わせされる。2つの基材は、補助接着剤72によって、また、それよりも弱い度合いで繊維状接着剤によってこれらの領域26a,bを介して取り付けられる。これにより、コアラップ内部に、組み合わされたほぼ連続的な吸収性材料領域を形成することができる。したがって、組み合わされた吸収性材料堆積領域73は、幅110mm、長さ約360mmの長方形であり、実質的に連続している。したがって、この例における吸収性材料堆積領域の表面は、39,600平方mm、すなわち396平方cmである。したがって、補助接着剤適用領域71は吸収性材料堆積領域73よりも約51.5%小さい(=(396−192)/396)。コア内のSAPの総量は約13.5gであってよく、第1及び第2の基材上に均一に堆積にされる。
【0123】
第1の基材は第2の基材よりも幅が広く(165mm)、第1の基材から横方向に延びるフラップをコアの側縁部284,286の周囲から第2の基材の外側表面上に折り畳むことによってコアの横縁部の長さに沿ったCラップを形成することができる。これにより、上側基材16は、コアの横側縁部に沿って下側基材16’の周囲にC字状に巻かれる。下側基材16’の横縁部は、図2に示されるようにコアの吸収性材料の縁部においてわずかに上方に形成することができ、これにより、折り畳まれたコアラップの全体の幅は約120mmとなる。各Cラップシールは、例えば、各スロットが3mmのスロット幅及び390mmのスロット長さを有する、それぞれ20gsmの2本のスロットとして適用された接着剤を含むことができる。各基材の前端及び後端は、面で向き合った関係で接着されることで、例えば図1に示されるようなコアの幅にわたった一連の長手方向の接着剤スロットを使用して、2個の長手方向のサンドウィッチシール280’,282’を形成することができる。
【0124】
かかる吸収性コアは、図8に示されるおむつシャーシのような吸収性物品に組み込むことができる。吸収性コアが流体を吸収すると、吸収性材料60が膨潤し始め、図10に示されるように、吸収性材料堆積領域内の結合された領域26が通路26’を形成し始める。大量の液体による飽和状態では、これらのコアラップ結合27が開き始めることによって吸収性材料が膨潤できるようにより大きな体積が与えられる。コアのそれぞれの長手方向縁部に沿ったCラップは、吸収性材料の膨潤を通じて、コアが完全な飽和状態に達するまでそのままに維持されうる。吸収性材料は良好な湿潤及び乾燥状態でのSAPの固定化特性を有するばかりでなく、接着剤の使用も低減させる。
【0125】
本明細書に開示されている寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解すべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2
図3-4】
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11