特許第6189555号(P6189555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189555
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物
(51)【国際特許分類】
   B63B 39/00 20060101AFI20170821BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B63B39/00
   B63B35/44 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-572222(P2016-572222)
(86)(22)【出願日】2015年3月12日
(65)【公表番号】特表2017-506605(P2017-506605A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】KR2015002387
(87)【国際公開番号】WO2016122047
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2015年12月22日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0014466
(32)【優先日】2015年1月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515356557
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ オーシャン サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,サ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ドン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ボ ウ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヨン ジュ
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0080999(KR,A)
【文献】 特開平10−244989(JP,A)
【文献】 特開2000−203488(JP,A)
【文献】 特公昭58−020325(JP,B2)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0071237(KR,A)
【文献】 国際公開第2013/038433(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公開第2383978(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/38,35/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上に配置される海上浮遊構造物において、
中央に配置される第1浮遊体、及び前記第1浮遊体の側面に配置される複数の第2浮遊体を含み、
前記第1浮遊体は、
多角柱状の浮遊可能な材質からなる浮遊ボディ部と、
中心部に前記浮遊ボディ部の下面が装着され、断面が前記浮遊ボディ部の断面と同じ形状を有し且つ断面積が前記浮遊ボディ部の断面積よりも大きく形成され、水中に配置されて波または波浪による前記第1浮遊体の動揺を低減させるダンパー部と、
前記浮遊ボディ部の各側面に少なくとも一つ設けられる結合溝部とを含み、
前記第2浮遊体は、
前記浮遊ボディ部と同じ形状を有し、前記浮遊ボディ部の側面と向き合う側面に設けられて前記結合溝部に結合される結合部を含み、
前記結合溝部は、前記浮遊ボディ部の一側面ずつ離れて配置され
前記結合溝部は、
前記浮遊ボディ部の側面から内側に向かって垂直な方向に設けられた取り込み溝、および前記取り込み溝の端部から直角に延設された係止溝を含み、
前記結合部は、
前記第2浮遊体の側面から外側に向かって突出した第1係止部材、および前記第1係止部材の端部から直角に延設された第2係止部材を含み、
前記第2係止部材は、取り込み溝に取り込まれた状態でスライド方式で前記係止溝に係合されることにより、前記第1浮遊体と前記第2浮遊体とが結合固定され、
前記取り込み溝、前記係止溝、前記第1係止部材および前記第2係止部材は、海面に対して平行に形成されていることを特徴とする、海上浮遊構造物。
【請求項2】
前記浮遊ボディ部の上面から前記係止溝まで第1貫通ホールが設けられ、前記第2係止部材に第2貫通ホールが設けられることにより、前記第2係止部材が前記係止溝に係合された状態で前記第1貫通ホールと前記第2貫通ホールを介して結合ピンが挿入されて前記第1浮遊体と前記第2浮遊体とを結合固定することを特徴とする、請求項に記載の海上浮遊構造物。
【請求項3】
前記複数の第2浮遊体のうち、互いに隣接した前記第2浮遊体の離隔空間に配置される複数のカバー部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の海上浮遊構造物。
【請求項4】
前記浮遊ボディ部の断面が正八角形であることを特徴とする、請求項1に記載の海上浮遊構造物。
【請求項5】
前記浮遊ボディ部と前記ダンパー部の高さ比は1.5:1〜1.6:1であることを特徴とする、請求項1に記載の海上浮遊構造物。
【請求項6】
前記浮遊ボディ部の断面と前記ダンパー部の断面との長さ比は1:1.5〜1:1.6であることを特徴とする、請求項1に記載の海上浮遊構造物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項による海上浮遊構造物が多数個結合されてなることを特徴とする、海上浮遊構造体。
【請求項8】
前記第1浮遊体と前記第2浮遊体との間に形成される離隔空間にカバー部が配置され、
前記カバー部によって離隔空間をカバーし、水面上にダンピング効果を持つエア緩衝空
間を形成することを特徴とする、請求項に記載の海上浮遊構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物に係り、より詳しくは、波や波浪などによる海上の浮遊体の動揺、例えば、上下揺れ(heave)、縦揺れ(pitch)、横揺れ(roll)および船首揺れ(yaw)などに対する動きを低減させることが可能な減揺用ダンパーを備えた浮遊体の周辺に多数の浮遊体を連結して構成される海上浮遊構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気を生産するための代表的な発電の形態として、化石燃料をエネルギー源とする火力発電および核分裂を利用する原子力発電を挙げることができる。
【0003】
しかし、火力発電は、化石燃料の燃焼により発生するエネルギーの利用に伴う公害誘発の問題だけでなく、莫大な建設費が要求される問題点がある。また、原子力発電は、大量の電気生産に有利であるものの、放射線漏れを遮断するための施設投資に莫大な費用が要求され、その施設が嫌悪施設として認識されて建設準備段階から地域住民による強力な抵抗を受けるしかなく、廃棄物の処理が容易でないうえ、軽微な事故でも深刻な環境破壊をもたらす危険が常に存在するという問題点がある。
【0004】
したがって、近年、火力や原子力から外れて公害問題から自由である風力、潮力、水力、太陽熱などの自然エネルギーが、無公害のクリーンエネルギーであるうえ、枯渇する心配のない永久的なエネルギー源であって、発電用途のエネルギー源として注目を集めている。
【0005】
ところが、通常の発電形態である水力発電は、公害の誘発はしないが、塞き止めのための莫大な費用が要求され、ダム建設の後、広範囲な地域の水没に伴う生態系の変化とともに、ひどい場合には当該地域の気候までも変化させる2次的な環境問題が発生するおそれがあるという問題点がある。一方、風力発電および太陽熱発電は、気象状態の影響に支配されるので、風がない場合および太陽輻射エネルギーが遮断される場合には発電が不可能であるという問題点がある。
【0006】
これに加えて、クリーンエネルギー源として海洋温度差発電(OTEC、Ocean Thermal Energy Conversion)を挙げることができる。
【0007】
海洋温度差発電は、水温の高い表層水と水温の低い深層水をそれぞれ気化熱と凝縮熱として活用して電気を生産する発電システムであって、このような海洋温度差発電は、ひたすら海水のみでエネルギーを供給するため、炭素排出量が全くないうえ、海水のリサイクルが可能な限りないエネルギー源として使用することができるという特徴がある。
【0008】
海洋温度差発電のためには、海上に発電を行うことが可能な海洋設備の設置が必須的である。このような海洋設備は、一定の空間を確保し且つ海上に浮遊可能な浮遊体を用いて設置できる。
【0009】
海洋設備が設置される浮遊体に関する技術は、例えば、大韓民国公開特許第10−2013−0131121号に開示されている。大韓民国公開特許第10−2013−0131121号は、浮遊式生産貯蔵海洋設備に関するもので、一定の収容空間を有する下部浮遊体、および前記下部浮遊体の上側に配置され、前記下部浮遊体の内部に下部領域が位置する状態で配置される少なくとも一つのカラムを含むように構成されている。
【0010】
しかし、従来技術に係る浮遊体の場合、波や波浪による浮遊体の動揺、例えば、上下揺れ(heave)、縦揺れ(pitch)、横揺れ(roll)および船首揺れ(yaw)などに対する揺れまたは動きが発生することがある。このような浮遊体の動揺は、搭載される海洋設備の制御および運営に悪影響を与えるおそれがあるという問題点がある。
【0011】
また、海上に人工島を設置する場合または大規模の海洋設備が必要な場合、浮遊体の大きさを増加させることにも限界があるだけでなく、複雑な構造の構造物からなるため、作業に困難が伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる問題点を解決するために案出されたもので、第1浮遊体の側面に凹凸形状の結合溝を設け、該結合溝に挿入されて固定される締結部材を介して隣接の第2浮遊体と相互連結して容易に構成することができる、多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、海上浮遊構造物の中心に位置する第1浮遊体に対して減揺用ダンパーを装着して波および波浪などによる揺れや動きを低減させることができる、多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物を提供することを目的とする。
【0014】
ところが、本発明の目的は上述した目的に制限されず、上述していない別の目的は以降の記載から当業者に明らかに理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の実施例に係る海上に配置される海上浮遊構造物は、中央に配置される第1浮遊体、及び前記第1浮遊体の側面に配置される複数の第2浮遊体を含み、前記第1浮遊体は、多角柱状の浮遊可能な材質からなる浮遊ボディ部と、中心部に前記浮遊ボディ部の下面が装着され、断面が前記浮遊ボディ部の断面と同じ形状を有し且つ断面積が前記浮遊ボディ部の断面積よりも大きく形成され、水中に配置されて波または波浪による前記第1浮遊体の動揺を低減させるダンパー部と、前記浮遊ボディ部の各側面に少なくとも一つ設けられる結合溝部とを含み、前記第2浮遊体は、前記浮遊ボディ部と同じ形状を有し、前記浮遊ボディ部の側面と向き合う側面に設けられて前記結合溝部に結合される結合部を含み、前記結合溝部は、前記浮遊ボディ部の一側面ずつ離れて配置されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る海上に配置される海上浮遊構造物は、前記結合溝部が前記浮遊ボディ部の側面から内側に向かって垂直な方向に設けられた取り込み溝、および前記取り込み溝の端部から直角に延設された係止溝を含み、前記結合部は、前記第2浮遊体の側面から外側に向かって突出した第1係止部材、および前記第1係止部材の端部から直角に延設された第2係止部材を含み、前記第2係止部材は、取り込み溝に取り込まれた状態でスライド方式で前記係止溝に係合されることにより、前記第1浮遊体と前記第2浮遊体とが結合固定されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る海上に配置される海上浮遊構造物は、前記浮遊ボディ部の上面から前記係止溝まで第1貫通ホールが設けられ、前記第2係止部材に第2貫通ホールが設けられることにより、前記第2係止部材が前記係止溝に係合された状態で前記第1貫通ホールと第2貫通ホールを介して結合ピンが挿入されて前記第1浮遊体と前記第2浮遊体とを結合固定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る海上に配置される海上浮遊構造物は、前記複数の第2浮遊体のうち、互いに隣接した前記第2浮遊体の離隔空間に配置される複数のカバー部を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る海上に配置される海上浮遊構造物は、前記浮遊ボディ部の断面形状が正八角形であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る海上に配置される海上浮遊構造物は、前記浮遊ボディ部と前記ダンパー部の高さ比が1.5:1〜1.6:1であることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る海上に配置される海上浮遊構造物は、前記浮遊ボディ部の断面と前記ダンパー部の断面との長さ比が1:1.5〜1:1.6であることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、請求項1〜7のいずれか一項による海上浮遊構造物が多数個結合されて構成されることを特徴とする海上浮遊構造体を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の海上浮遊構造物によれば、第1浮遊体をなす浮遊ボディ部の側面に凹凸形状の結合溝を設け、該結合溝に挿入されて固定される締結部材を介して、一定間隔離隔して配置される第2浮遊体と相互連結することにより、各浮遊体の締結を容易にすることができるという利点がある。
【0024】
また、本発明によれば、海上浮遊構造物の中心に位置する第1浮遊体に対して減揺用ダンパーを装着することにより、波および波浪などによる揺れや動きを低減させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明に係る海上浮遊構造物をなす第1浮遊体と第2浮遊体を示す図である。
図3】本発明に係る海上浮遊構造物をなす第1浮遊体と第2浮遊体を示す図である。
図4】本発明に係る多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物が複数個結合されて構成される海上浮遊構造体を例示的に示す例示図である。
図5】本発明に係る多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物が他の形態で複数個結合されて構成される海上浮遊構造体を例示的に示す例示図である。
図6図5の海上浮遊構造体の側断面を示す断面図である。
図7】本発明に係る海上浮遊構造物をなす第1浮遊体を概略的に示す斜視図である。
図8】本発明に係る第1浮遊体を示す側面図および上面図である。
図9】第1浮遊体と特性を比較するために第2浮遊体の構成を概略的に示す斜視図である。
図10】不規則波に対する運動応答特性をそれぞれ示すグラフである。
図11】不規則波に対する運動応答特性をそれぞれ示すグラフである。
図12】規則波に対する運動応答特性をそれぞれ示すグラフである。
図13】規則波に対する運動応答特性をそれぞれ示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0027】
本発明を説明するにあたり、関連した公知の機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にするおそれがあると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0028】
本発明の概念による実施例は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができる。よって、特定の実施例を図面に例示し、本明細書または出願に詳細に説明しようとする。ところが、これは本発明の概念による実施例を特定の開示形態について限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物及び代替物を含むものと理解されるべきである。
【0029】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いる或いは「接続されて」いると言及された場合、該他の構成要素に直接連結または接続されていることもあるが、それらの間に別の構成要素が介在することもあると理解されるべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いる或いは「直接接続されて」いると言及された場合、それらの間に別の構成要素が介在しないと理解されるべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち「〜間に」と「すぐに〜間に」または「〜に隣り合う」と「〜に直接隣り合う」等も同様に解釈されるべきである。
【0030】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0031】
図1は本発明に係る多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物を概略的に示す斜視図であり、図2および図3は本発明に係る海上浮遊構造物をなす第1浮遊体と第2浮遊体を示す図である。
【0032】
図1図3を参照すると、本発明に係る海上1に配置される海上浮遊構造物10は、第1浮遊体100、第2浮遊体200およびカバー部300を含んで構成できる。
【0033】
第1浮遊体100は、浮遊可能な材質で出来ており、海上浮遊構造物10の中央に配置され、図示の如く、浮遊ボディ部110とダンパー部120とから構成できる。このような第1浮遊体100の構成についての詳細な説明は後述する。
【0034】
第2浮遊体200は、第1浮遊体100と同じ材質で出来ており、図示の如く、第1浮遊体100をなす浮遊ボディ部110の形状と同じ形状に形成できる。
【0035】
海上1に浮遊して配置される第1浮遊体100と第2浮遊体200とは、結合溝部130と結合部210との結合を介して互いに結合できる。
【0036】
図2及び図3に示すように、第1浮遊体100には結合溝部130が多数形成できる。具体的に、結合溝部130は、浮遊ボディ部110の一側面ずつ離れて配置されるように設けられるもので、浮遊ボディ部110の断面が正八角形である場合、上方から見たときに浮遊ボディ部110の上下左右に形成できる。
【0037】
結合溝部130は、図示の如く、側面から内側に向かって垂直な方向に設けられた取り込み溝131、および取り込み溝131の端部から直角に延設された係止溝132から構成できる。
【0038】
また、結合溝部130が設けられる浮遊ボディ部110の側面と向き合う第2浮遊体200の側面には結合部210が形成できる。結合部210は、第2浮遊体の側面から外側に向かって突出した第1係止部材211と、該第1係止部材211の端部から直角に延設された第2係止部材212とを含んで構成できる。
【0039】
したがって、図3に示すように、第2係止部材212が浮遊ボディ部110の取り込み溝131に取り込まれた状態で図3の(b)の如く矢印方向にスライドされることにより、第2係止部材212が図3の(d)の如く係止溝132に係合できる。
【0040】
その後、具体的に図示してはいないが、グラウト(grouting)工法によって結合溝部130にセメント400などを注入して第1浮遊体100と第2浮遊体200との結合をより強固に固定することができる。
【0041】
このとき、浮遊ボディ部110の上面(結合溝部が設けられた位置に対応する位置)から係止溝132まで垂直に第1貫通ホール133が設けられ、第2係止部材212にも第2貫通ホール213が設けられてもよい。
【0042】
したがって、第2係止部材212が係止溝132に係合された状態で、第1貫通ホール133の位置と第2貫通ホール213の位置とが一致した状態で結合ピン410が挿入できる。これにより、結合部210が結合溝部130から離脱するのを防止することができる。
【0043】
また、第1浮遊体100に連結される第2浮遊体200は、図1に示すように、第1浮遊体100の浮遊ボディ部110の一側面ずつ離れて第2浮遊体200が配置できる。したがって、複数の第2浮遊体200のうち、互いに隣接する第2浮遊体200同士の間に形成される離隔空間には、カバー部300が複数個配置できる。
【0044】
これらのカバー部300を介して、第1浮遊体100と第2浮遊体200との間に形成できる離隔空間をカバーすることができ、図4に示すように、多数の海上浮遊構造物10が連結される場合、これらの離隔空間をカバーすることにより、水面上にエア緩衝空間500を形成することができる。
【0045】
たとえば、正八角形の第1浮遊体100と第2浮遊体200とが互いに結合されることにより、正方形の離隔空間が形成でき、多数個の第1浮遊体100と第2浮遊体200とが互いに連結されて水面に配置される場合、この離隔空間の上側をカバー部300が覆うことにより、水面とカバー部との間の内部空気がエア緩衝空間500を形成してダンピング(damping)効果などの緩衝作用を行うことができる。
【0046】
エア緩衝空間500を介して波浪や波などから海上浮遊構造物10の動揺を低減させることができるうえ、水産養殖、畜養、レジャー空間としても活用が可能であり、隔室および圧気調節を介して振動水柱型波力発電にも使用することができるという特徴がある。
【0047】
図4は本発明に係る多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物が複数個結合されて構成される海上浮遊構造体を例示的に示す例示図である。
【0048】
図4に示すように、第1浮遊体100と多数の第2浮遊体200との結合で形成される海上浮遊構造物10が多数個連結されることにより、大規模の海上浮遊構造体20を形成することができる。
【0049】
海上浮遊構造物10をなす第2浮遊体200と、他の海上浮遊構造物10’をなす第2浮遊体200’とが互いに結合される方式で、海上浮遊構造体20が形成できる。
【0050】
このとき、第2浮遊体200と第2浮遊体200’とは、第1浮遊体100と第2浮遊体200とが結合される方式で連結されるか、或いは別途の連結部材を用いて様々な方式で連結され得る。
【0051】
図5及び図6は本発明に係る多数の浮遊体からなる海上浮遊構造物が他の形態で複数個結合されて構成される海上浮遊構造体を例示的に示す例示図および断面図である。
【0052】
図面を参照すると、第1浮遊体100と第2浮遊体200とが連続的に連結される方式で海上浮遊構造体20’を形成することができる。
【0053】
この場合、多数の第1浮遊体100と多数の第2浮遊体200とは、結合溝部130と結合部210との連結方式をそれぞれ採用することにより、別途の連結部材を使用することなく、上述した海上浮遊構造物10の製造方式で海上浮遊構造体20’を形成することができるという特徴がある。
【0054】
図7は本発明に係る海上浮遊構造物をなす第1浮遊体を概略的に示す斜視図、図8は本発明に係る第1浮遊体を示す側面図および上面図である。
【0055】
図面を参照すると、本発明に係る第1浮遊体100は、具体的に図示してはいないが、浮遊可能な材質で出来ており、浮遊ボディ部110とダンパー部120から構成できる。
【0056】
浮遊ボディ部110は、多角柱状をし、特に断面形状は正多角形、例えば正八角形であり得る。また、浮遊ボディ部110は、正八角形の他に、正六角形などの多様な断面形状を持つように形成できる。
【0057】
また、浮遊ボディ部110は、内部に収容空間111が形成され、該収容空間111に海洋設備10が設置できる。また、海洋設備10は浮遊ボディ部110の上面112に設置されてもよい。
【0058】
また、具体的に図示してはいないが、浮遊ボディ部110の側面には、リング部材などを形成して海底面にロープ、チェーンまたはワイヤーなどを連結することにより、海上に第1浮遊体100の位置を固定することができある。
【0059】
浮遊ボディ部110の下面にはダンパー部120が配置できる。具体的に、浮遊ボディ部110の中心部とダンパー部120の中心部とが一致するように配置され、浮遊ボディ部110に結合されたダンパー部120は水中に位置できる。
【0060】
ダンパー部120は、多角柱状をし、その断面形状が浮遊ボディ部110の断面と同じ形状でありうる。ダンパー部120の断面積は浮遊ボディ部110の断面積よりも大きく形成できる。
【0061】
また、ダンパー部120の高さは浮遊ボディ部110の高さよりも低く形成できる。
【0062】
図8に示すように、浮遊ボディ部110の高さH1とダンパー部120の高さH2は、1.5:1〜1.6:1の比率、好ましくは1.58:1の比率を有することができる。
【0063】
また、浮遊ボディ部110の断面の長さL1とダンパー部120の長さL2は、1:1.5〜1:1.6の長さ比を有することを特徴とする。
【0064】
図9は本発明に係る第1浮遊体と特性を比較するために、第2浮遊体の構成を概略的に示す斜視図である。図示の如く、浮遊体200は、多角柱状をし、断面形状が正八角形であってもよい。
【0065】
具体的に、第1浮遊体100の全体高さと第2浮遊体200の全体高さと同一であり、且つ、第2浮遊体200の断面積が浮遊ボディ部110の断面積と同一であるように形成できる。
【0066】
図10及び図11は不規則波に対する第1浮遊体と第2浮遊体の運動応答特性をそれぞれ示すグラフである。
【0067】
図10は不規則な波または波浪が適用できるように不規則波の条件で各浮遊体100、200の前後揺れ(Surge)、左右揺れ(Sway)および上下揺れ(Heave)の特性を示し、図11は横揺れ(roll)、縦揺れ(pitch)および船首揺れ(yaw)に対する特性を示す。
【0068】
各図面に示すように、第1浮遊体100の運動、すなわち動揺は有意値(Significant value)を基準に第2浮遊体200に比べて略30%〜60%が低減することが分かる。
【0069】
また、図12及び図13は規則波に対する第1浮遊体と第2浮遊体の運動応答特性をそれぞれ示すグラフである。図示の如く、第1浮遊体100は、第2浮遊体200と比較して上下揺れ(Heave)および縦揺れ(Pitch)に対する共振周期を低周波数領域へ移動させるもので、全体的に動揺の大きさを低めるものと確認できる。
【0070】
前述のように、本発明に係る第1浮遊体は、浮遊ボディ部の下面にダンパー部を装着することにより、波や波浪によって発生しうる動揺を低減させることができるという特徴がある。
【0071】
上述した本発明の内容は図示した実施例を参考として説明されたが、これは例示的なものに過ぎない。本技術分野における通常の知識を有する者であれば、これらの実施例から様々な変形及び均等実施が可能であるという点を理解するであろう。したがって、本発明の真正な技術的保護範囲は添付された特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の海上浮遊構造物は、第1浮遊体をなす浮遊ボディ部の側面に凹凸形状の結合溝を設け、該結合溝に挿入されて固定される締結部材によって、一定間隔離隔して配置される第2浮遊体と互いに連結することにより、各浮遊体の締結を容易に行うことができ、海上浮遊構造物の中心に位置する第1浮遊体に対して減揺用ダンパーを装着して波および波浪などによる揺れや動きを低減させることができる。
【0073】
また、本発明では、海上浮遊構造物を多数個結合し、各浮遊体同士の間に形成される離隔空間をカバーするカバー部を配置することにより、水面上にダンピング効果を持つエア緩衝空間を形成する海上浮遊構造体を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10
図11
図12
図13