特許第6189561号(P6189561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6189561グリップヒータ制御装置、およびグリップヒータ制御装置を備えた車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6189561
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】グリップヒータ制御装置、およびグリップヒータ制御装置を備えた車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 33/00 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   B62J33/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-36631(P2017-36631)
(22)【出願日】2017年2月28日
【審査請求日】2017年2月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森脇 秀之
(72)【発明者】
【氏名】大野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】山取 真也
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−058898(JP,A)
【文献】 特開2007−230415(JP,A)
【文献】 特開2015−085767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 33/00
B62K 21/26、23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルグリップに設けられたグリップヒータに供給する電力の通電量を制御するグリップヒータ制御装置であって、
電源となるバッテリの電圧が所定の増加基準電圧以上の場合に、グリップヒータへの通電量を徐々に増加させる一方、
バッテリの電圧が所定の減少基準電圧以下の場合に、グリップヒータへの通電量を徐々に減少させるように構成され、
バッテリの電圧が、上記増加基準電圧よりも高い通電復帰基準電圧以上の場合に、グリップヒータへの通電量をあらかじめ設定された設定通電量にするように構成されたことを特徴とするグリップヒータ制御装置。
【請求項2】
請求項1のグリップヒータ制御装置であって、
バッテリの電圧が、上記減少基準電圧よりも低い通電停止基準電圧以下の場合に、グリップヒータへの通電を停止させるように構成されたことを特徴とするグリップヒータ制御装置。
【請求項3】
請求項2のグリップヒータ制御装置であって、
上記設定通電量による通電時には、バッテリの電圧が上記減少基準電圧以下であっても、上記通電停止基準電圧以下になるまで、その設定通電量による通電を維持するように構成されたことを特徴とするグリップヒータ制御装置。
【請求項4】
請求項2のグリップヒータ制御装置であって、
上記設定通電量による通電時に、
上記バッテリの電圧が上記減少基準電圧以下の場合に、グリップヒータへの通電量を徐々に減少させる制御と、
上記バッテリの電圧が上記減少基準電圧以下であっても、上記通電停止基準電圧以下になるまで、その設定通電量による通電を維持する制御と、
を選択的に実行し得るように構成されたことを特徴とするグリップヒータ制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか1項のグリップヒータ制御装置であって、
上記グリップヒータへの通電量を徐々に増加させる場合の増加程度と、徐々に減少させる場合の減少程度とが、互いに異なることを特徴とするグリップヒータ制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4のうち何れか1項のグリップヒータ制御装置であって、
上記グリップヒータへの通電量を徐々に増加させる場合の増加タイミングの間隔と、徐々に減少させる場合の減少タイミングの間隔とが、互いに異なることを特徴とするグリップヒータ制御装置。
【請求項7】
グリップヒータが設けられたハンドルと、
バッテリと、
請求項1から請求項6のうち何れか1項のグリップヒータ制御装置と、
を備えたことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートバイやスノーモービル等に設けられるハンドルのグリップに備えられたグリップヒータへの通電を制御するグリップヒータ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二輪車等において人が握るハンドルのハンドルグリップでは、握る手を温めるためにヒータを内蔵したものがある。また、そのようなハンドルグリップのヒータへの供給電力を制御する制御装置として、バッテリの電圧低下を抑制しつつ加温を可能とする機会を多くするために、エンジン回転数に応じて供給電力量の上限を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−282041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようにエンジン回転数に応じて供給電力量の上限を制御する場合、例えばエンジン始動後のアイドリング状態の時など、エンジンの回転数が低い場合などには、十分な加温ができなかったり、ハンドルグリップの温度の大幅な低下を招いたりして、運転者の快適さを損なうことがある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、グリップヒータを使用する場合でも、バッテリの電圧低下を抑制しつつ、運転者の快適さをより向上させることなどができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
車両のハンドルグリップに設けられたグリップヒータに供給する電力の通電量を制御するグリップヒータ制御装置であって、
電源となるバッテリの電圧が所定の増加基準電圧以上の場合に、グリップヒータへの通電量を徐々に増加させる一方、
バッテリの電圧が所定の減少基準電圧以下の場合に、グリップヒータへの通電量を徐々に減少させるように構成されたことを特徴とする。
【0007】
これにより、バッテリ電圧に応じて通電量を徐々に増減させることが容易になり、バッテリの電圧低下を抑制しつつ、運転者の快適さをより向上させることなどが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、グリップヒータを使用する場合でも、バッテリの電圧低下を抑制しつつ、運転者の快適さをより向上させることなどができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】グリップヒータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1での制御動作を示すフローチャートである
図3】実施形態1での通電量制御の例を示すタイミングチャートである。
図4】実施形態2での制御動作を示すフローチャートである
図5】実施形態2での通電量制御の例を示すタイミングチャートである。
図6】実施形態3での制御動作を示すフローチャートである
図7】実施形態3での通電量制御の例を示すタイミングチャートである。
図8】実施形態4での制御動作を示すフローチャートである
図9】実施形態4での通電量制御の例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
(実施形態1)
(ヒータコントローラ100の概略構成)
グリップヒータ制御装置であるヒータコントローラ100は、例えば図1に示すように、バッテリ電圧検出部101と、制御部102と、通電電力出力部103とを備えて構成されている。バッテリ電圧検出部101は、バッテリ111が出力するバッテリ電圧Vを検出するものである。制御部102は、検出されたバッテリ電圧V、および車両の運転者等による操作部104のオンオフ操作や例えば3段階の加温強度設定操作に基づいて、通電電力出力部103への制御指示を生成するようになっている。通電電力出力部103は、制御部102からの指示に応じて、グリップヒータ112に供給する電圧および/または電流を制御するようになっている。なお、通電電力の制御方法は特に限定されないが、例えばPWM(パルス幅変調)による制御を適用することなどができる。また、バッテリ電圧Vの検出はリアルタイムに行われるようにしてもよいし、一定期間ごとに行われるようにしたりしてもよい。
【0012】
(ヒータコントローラ100の制御動作)
上記のように構成されたヒータコントローラ100では、例えば図2に示すような制御動作が行われ、図3に示すようなグリップヒータ112への通電が行われる。
【0013】
(a) まず、図3に示すタイミング(a)のようにバッテリ111の出力電圧がバッテリ電圧Vである時に、運転者が操作部104によってグリップヒータ112への通電を開始させる操作をしたとすると、まず(S101)で、バッテリ電圧Vが増加基準電圧Vup以上かどうかが判定される。YESであれば、(S111)で通電量を10%増加させる制御が行われ、制御は(S101)に戻って(S101)以降が繰り返される。ただし、通電量の上限は運転者の操作等によって設定された設定値に制限される。すなわち、この例では、通電量は100%に維持される。
【0014】
(b) 上記通電によってバッテリ電圧Vが徐々に低下して増加基準電圧Vupを下回ったとすると、制御は(S102)に移行し、バッテリ電圧Vが減少基準電圧Vdown以下かどうかが判定される。減少基準電圧Vdown以下になっていなければ(NO)、制御は(S101)に戻って(S101)(S102)が繰り返される。
【0015】
(c) やがて、バッテリ電圧Vが低下して減少基準電圧Vdown以下になったとすると、制御は(S112)に移行して、通電量が10%減少させられる。そこで、バッテリ電圧Vは低下し続けるが、その低下程度は小さくなる。
【0016】
(d) そこで、再度(S102)が実行されると、やはり制御は(S112)に移行して、通電量がさらに10%減少させられる。そこで、バッテリ電圧Vは徐々に上昇し始める。
【0017】
(e) バッテリ電圧Vが依然、減少基準電圧Vdown以下であれば、(S112)で通電量がさらに10%減少させられる。そこで、バッテリ電圧Vは、より大きな上昇程度で上昇する。
【0018】
(f) バッテリ電圧Vが増加基準電圧Vup以上になると、(S101)でYESと判定され、制御は(S111)に移行して、通電量が10%増加させられる。すると、バッテリ電圧Vは上昇し続けるが、その上昇程度は小さくなる。
【0019】
(g) そこで、再度(S101)が実行されると、やはり制御は(S111)に移行して、通電量がさらに10%増加させられる。そこで、バッテリ電圧Vは徐々に低下し始め、やがて、定常状態になると、増加基準電圧Vupと減少基準電圧Vdownとの間でほぼ一定の状態、すなわち安定した加温状態が維持される。
【0020】
上記のように、グリップヒータへの通電を単にON/OFF制御する場合などに比べて、バッテリ電圧に応じて通電量を徐々に増減させることによって、バッテリの電圧低下を抑制しつつ、運転者の快適さをより向上させることなどができる。また、通電が停止している状態から通電が再開される場合でも、急激な通電、停止の繰り返しによって電圧変動が大きくなることなどが抑制されることにより、バッテリ寿命をより向上させたり、システムの負荷を軽減して故障の要因を低減することなども容易にできる。さらに、例えば通電の有無を表示するインジケータランプなどが頻繁に明滅することなどを抑制することも容易になるので、見映えを向上させることもできる。
【0021】
(実施形態2)
実施形態2、および以下の実施形態では、ヒータコントローラ100の基本的な構成は上記実施形態と同じであるが、例えば図4に示すような制御動作が行われる。
【0022】
(a) そこで、上記実施形態1と同様に、図5に示すタイミング(a)のようにバッテリ111の出力電圧がバッテリ電圧Vである時に、運転者が操作部104によってグリップヒータ112への通電を開始させる操作をしたとすると、まず(S201)で、バッテリ電圧Vが通電復帰基準電圧Von以上かどうか、すなわち通電を停止していた場合に復帰させるかどうかが判定される。YESであれば、(S211)に移行して、通電量が設定値にされるとともに、後に詳述するように増加基準電圧Vupや減少基準電圧Vdownとの比較に基づいた制御を行うかどうかを示す増減制御フラグがクリアされた後、制御は(S201)に戻って(S201)以降が繰り返される。
【0023】
(b) 上記通電によってバッテリ電圧Vが徐々に低下して通電停止基準電圧Vonを下回ったとすると、制御は(S202)に移行し、バッテリ電圧Vが通電停止基準電圧Voff以下になったかどうかが判定される。通電停止基準電圧Voffになっていなければ(NO)、制御は(S203)に移行して、増減制御フラグがセットされているかどうかが判定され、上記のようにクリアされていれば、制御は(S201)に戻る。すなわち、バッテリ電圧Vが徐々に低下しても、増加基準電圧Vupや減少基準電圧Vdownとの比較は行われず、バッテリ電圧Vが通電停止基準電圧Voff以下になるまで(S201)〜(S203)が繰り返される。
【0024】
(c) バッテリ電圧Vが通電停止基準電圧Voff以下になると、(S202)から(S212)に移行し、通電量が0%に、すなわち通電が停止状態にされる。これにより、バッテリ電圧Vは比較的速やかに回復し、バッテリ電圧Vが上昇する。また、増減制御フラグがセットされる。これにより、(S203)から(S204)に移行し、以下の(d)〜(g)で説明するように、実施形態1と同様の増加基準電圧Vup、および減少基準電圧Vdownとの比較に基づいた制御が行われる。
【0025】
(d) すなわち、バッテリ電圧Vが減少基準電圧Vdown以下である場合には、(S205)から(S214)に移行して、通電量が20%減少させられる。ただし、この例では既に0%にされているので、そのまま通電の停止状態が維持される。
【0026】
(e) やがてバッテリ電圧Vが上昇して増加基準電圧Vup以上になると、(S204)から(S213)に移行して、通電量が10%増加させられる。すると、バッテリ電圧Vは上昇し続けるが、その上昇程度は小さくなる。
【0027】
(f) 上記のように上昇程度は小さくなっても、バッテリ電圧Vの上昇が続けば、さらに、(S213)で通電量が10%増加させられ、バッテリ電圧Vは、やはり上昇するが、その上昇程度はさらに小さくなる。
【0028】
(g) さらに、(S213)で通電量が10%増加させられ、バッテリ電圧Vの回復よりも通電による電圧の低下の影響が大きくなり、バッテリ電圧Vは減少に転じる。やがて、バッテリ電圧Vが増加基準電圧Vupより低くなると、(S204)から(S205)に移行するが、バッテリ電圧Vが減少基準電圧Vdown以下になるまでは、制御は(S201)に戻る動作が繰り返される。
【0029】
(h) バッテリ電圧Vが低下して、減少基準電圧Vdown以下になると、(S205)から(S214)に移行し、通電量が20%減少させられる。そこで、バッテリ電圧Vは回復して徐々に上昇し始める。ここで、通電量の減少程度は、実施形態1と同様に10%にしてもよいが、減少程度を大きくすることによって、バッテリ電圧Vをより迅速に回復させることができる。すなわち、通電量の減少程度は、バッテリ電圧Vの回復程度と、加温効果とを考慮して設定されればよい。
【0030】
(i) やがて、バッテリ電圧Vが上昇して増加基準電圧Vup以上になると、上記タイミング(f)と同様に再度通電量が10%増加させられる。
【0031】
(j) バッテリ電圧Vの低下は、グリップヒータ112への通電に限らず、例えばブレーキランプの点灯などによっても生じ得る。そのような場合の通電量がグリップヒータ112への通電量よりも大きい場合には、バッテリ電圧Vはより急激に低下する。
【0032】
(k) バッテリ電圧Vの急激な低下により、(S205)での減少基準電圧Vdown以下になったかどうかの判定よりも先に(S202)で通電停止基準電圧Voff以下になったと判定された場合には、(S212)に移行して、上記(c)と同様に通電量が0%に、すなわち通電が停止状態にされる。これにより、バッテリ電圧Vは比較的速やかに回復し、バッテリ電圧Vが上昇する。また、増減制御フラグがセットされ、再度、増加基準電圧Vup、および減少基準電圧Vdownとの比較に基づいた制御が行われるようにされる。
【0033】
(l) 一方、バッテリ電圧Vの上昇は、グリップヒータ112への通電量低下や通電停止に起因する回復によるのに限らず、例えばエンジンの回転数が上昇して発電量が大きくなると、急激に上昇し得る。
【0034】
(m) バッテリ電圧Vの急激な上昇により、(S204)での増加基準電圧Vup以上になったかどうかの判定よりも先に(S201)で通電復帰基準電圧Von以上になったと判定された場合には、(S211)に移行して、通電量は直ちに設定値の例えば100%にされ、グリップヒータ112の速やかな加温が行われるようにされる。
【0035】
(実施形態3)
実施形態3のヒータコントローラ100では、例えば図6に示すような制御動作が行われる。
【0036】
(a) そこで、図7に示すタイミング(a)のようにバッテリ111の出力電圧がバッテリ電圧Vである時に、運転者が操作部104によってグリップヒータ112への通電を開始させる操作をしたとすると、まず(S301)で、バッテリ電圧Vが通電復帰基準電圧Von以上かどうか、すなわち通電を停止していた場合に復帰させるかどうかが判定される。YESであれば、(S311)に移行して、通電量が設定値にされた後、制御は(S301)に戻って(S301)以降が繰り返される。
【0037】
(b) 上記通電によってバッテリ電圧Vが徐々に低下して通電停止基準電圧Vonを下回ったとすると、制御は(S302)に移行し、バッテリ電圧Vが増加基準電圧Vup以上かどうかが判定される。YESであれば、(S312)で通電量を10%増加させる制御が行われ、制御は(S301)に戻って(S301)以降が繰り返される。ただし、通電量の上限は運転者の操作等によって設定された設定値に制限される。すなわち、この例では、通電量は100%に維持される。
【0038】
(c) 上記通電によってバッテリ電圧Vが徐々に低下して通電停止基準電圧Vupを下回ったとすると、制御は(S303)に移行し、バッテリ電圧Vが通電停止基準電圧Voff以下になったかどうかが判定される。通電停止基準電圧Voffになっていなければ(NO)、制御は(S304)に移行し、バッテリ電圧Vが減少基準電圧Vdown以下かどうかが判定される。減少基準電圧Vdown以下になっていなければ(NO)、制御は(S301)に戻って(S301)〜(S304)が繰り返される。
【0039】
(d) やがて、バッテリ電圧Vが低下して減少基準電圧Vdown以下になったとすると、制御は(S314)に移行して、通電量が20%減少させられる。そこで、バッテリ電圧Vは低下し続けるが、その低下程度は小さくなる。
【0040】
(e) そこで、再度(S304)が実行されると、やはり制御は(S314)に移行して、通電量がさらに20%減少させられる。そこで、バッテリ電圧Vは徐々に上昇し始める。
【0041】
(f) さらに(S304)が実行されたときに、バッテリ電圧Vが減少基準電圧Vdown以下になっていなければ(NO)、制御は(S301)に戻って(S301)〜(S304)が繰り返され、バッテリ電圧Vはさらに上昇を続ける。
【0042】
(g) バッテリ電圧Vが増加基準電圧Vup以上になると、(S302)でYESと判定され、制御は(S312)に移行して、通電量が10%増加させられる。すると、バッテリ電圧Vは上昇し続けるが、その上昇程度は小さくなる。
【0043】
(h) さらに(S302)が実行されると、やはり制御は(S312)に移行して、通電量がさらに10%増加させられる。そこで、バッテリ電圧Vは徐々に低下し始める。
【0044】
(i) その後、上記(e)と同様に(S304)が実行されると、やはり制御は(S314)に移行して、通電量がさらに20%減少させられる。そこで、バッテリ電圧Vは徐々に上昇し始める。
【0045】
(j) 実施形態2と同様に、例えばブレーキランプの点灯などによって通電量が大幅に増加すると、バッテリ電圧Vは急激に低下する。
【0046】
(k) そこで、上記(d)と同様に、バッテリ電圧Vが低下して減少基準電圧Vdown以下になったとすると、制御は(S314)に移行して、通電量が20%減少させられる。そこで、バッテリ電圧Vは低下し続けるが、その低下程度は小さくなる。
【0047】
(l) さらに、バッテリ電圧Vの急激な低下により、(S303)で通電停止基準電圧Voff以下になったと判定された場合には、(S313)に移行して、通電量が0%に、すなわち通電が停止状態にされる。
【0048】
(m)(n) バッテリ電圧Vが上昇して増加基準電圧Vup以上になると、(S302)でYESと判定され、制御は(S312)に移行して、通電量が10%増加させられる。すると、バッテリ電圧Vは上昇し続けるが、その上昇程度は小さくなる。
【0049】
(o) また、実施形態2と同様に、例えばエンジンの回転数が上昇して発電量が大きくなると、バッテリ電圧Vは急激に上昇する。
【0050】
(p) バッテリ電圧Vの急激な上昇により、(S301)で通電復帰基準電圧Von以上になったと判定された場合には、(S311)に移行して、通電量は直ちに設定値の例えば100%にされ、グリップヒータ112の速やかな加温が行われるようにされる。
【0051】
上記のような制御が行われる場合には、バッテリ電圧Vが通電停止基準電圧Voffまで低下しなくても減少基準電圧Vdownになった時点で通電量を減少させることができるので、バッテリ111の容量が小さい場合や、劣化が進んでいる場合などには、一般に、バッテリ電圧Vの低下を抑制するのに有利である。なお、上記実施形態2、3のような制御を組み合わせるようにしてもよい。すなわち、例えば、実施形態2のような制御を行っている場合に、通電の停止が1分間に10回以上行われた場合には、実施形態3のような制御が行われるようにしたりしてもよい。
【0052】
(実施形態4)
実施形態4のヒータコントローラ100では、例えば図8に示すように、実施形態3の場合と比べて、(S402)で、バッテリ電圧Vが単に増加基準電圧Vup以上かどうかの判定ではなく、そのような状態で10秒以上経過したかが判定される点が異なる。他の
(S401)(S403)〜(S414)では、実施形態3の場合と同じような動作が行われる。
【0053】
すなわち、例えば図9の(a)〜(f)では実施形態3と同じようにバッテリ電圧Vおよび通電量が変化するが、例えば(g)でバッテリ電圧Vが増加基準電圧Vup以上になったとしても、その状態が10秒以上経過していなければ、(S402)ではNOと判定され、引き続き(S401)〜(S404)が繰り返されて、バッテリ電圧Vは徐々に上昇する。やがて、(S402)で、10秒以上、バッテリ電圧Vが増加基準電圧Vup以上であると判定されると、制御は(S412)に移行して、通電量がさらに10%増加させられる。そこで、バッテリ電圧Vは徐々に低下し始め、やがて、定常状態になると、増加基準電圧Vupと減少基準電圧Vdownとの間でほぼ一定の状態、すなわち安定した加温状態が維持される。
【0054】
このように、所定時間経過を条件に通電量を増加させることによって、バッテリ電圧Vの変動をより緩やかにするとともに、その低下の程度を小さく抑えることが容易にできる。なお、上記のような判定時間は特に限定されず、例えば1秒などでもよいし、10秒より長くてもよく、実際のグリップの温度や周囲の温度、バッテリ111の状態などに応じて設定されればよい。
【0055】
なお、上記各実施形態で説明した要素は、論理的に矛盾しない範囲で種々組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 ヒータコントローラ
101 バッテリ電圧検出部
102 制御部
103 通電電力出力部
104 操作部
111 バッテリ
112 グリップヒータ
【要約】
【課題】グリップヒータを使用する場合でも、バッテリの電圧低下を抑制しつつ、運転者の快適さをより向上させることなどができるようにする。
【解決手段】
車両のハンドルグリップに設けられたグリップヒータ112に供給する電力の通電量を制御するグリップヒータ制御装置(ヒータコントローラ100)は、
電源となるバッテリ111の電圧が所定の増加基準電圧以上の場合に、グリップヒータ112への通電量を徐々に増加させる一方、
バッテリ111の電圧が所定の減少基準電圧以下の場合に、グリップヒータ112への通電量を徐々に減少させるように構成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9