(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記微細気泡水生成装置は、炭酸ガスによる微細気泡を含むアルカリ性水によるアルカリ性炭酸ガス微細気泡水を生成する機能を備えた請求項1から3のいずれかの項に記載の治療装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る治療装置を図面に基づいて説明する。
図1に示すように治療装置100は、人工透析に使用される血液透析装置200と共に、血液を浄化する機能を有する。
【0019】
血液透析装置200は、患者の動脈側から採取された血液を血液透析装置200に供給する動脈側回路211(動脈側の血液回路)と、血液透析装置200より透析された血液を静脈側に戻す静脈側回路212(静脈側の血液回路)とよる血液回路210とにより、患者Cに接続されている。
血液透析装置200は、動静脈吻合部Aの動脈側から血液を採取する血液ポンプ201と、血液透析液との濃度差により血液から老廃物や余分な水分を濾過して除去するダイアライザー202と、血液透析液を供給する透析液供給装置203とを備えている。
【0020】
また、血液ポンプ201とダイアライザー202との間には、動脈圧モニタ204が接続されている。ダイアライザー202と、動静脈吻合部Aの静脈側との間には、静脈圧モニタ205や気泡検知器(図示せず)が接続されている。ダイアライザー202と透析液供給装置203との間には、透析液監視装置206が接続されている。
【0021】
治療装置100は、微細気泡水生成装置10と、投入液供給装置20と、微細気泡水生成装置10を動脈側回路211に接続する混合器101と、動脈側回路211中に挿入された除去器30と、微細気泡水生成装置10を静脈側回路212に接続する混合器102と、透析液供給装置203と透析液監視装置206(ダイアライザー202)との間に微細気泡水生成装置10を接続する混合器103とを備えている。
【0022】
ここで、微細気泡水生成装置10の構成について、
図2から
図4に基づいて説明する。なお、
図2においては、配管の各所に逆止弁が設けられているが、便宜上、説明は省略する。
微細気泡水生成装置10は、第1の気体と第2の気体とを微細化して、原水とした水に混合するものである。
第1の気体は、水素タンクT1からの水素ガスとすることができる。また、第2の気体は、炭酸ガスタンクT2からの炭酸ガスとすることができる。
微細気泡水生成装置10は、原水である水を貯留する移動用タンクT3を備えている。移動用タンクT3は、薬液用2方向自動弁V1,V2を介して強電解水生成器11に接続されている。
【0023】
強電解水生成器11の酸性側は、薬液用3方向自動弁V3を介して酸イオン貯蔵タンクT4に接続されている。酸イオン貯蔵タンクT4は、強酸性電解水を5L貯留する機能を有する。
強電解水生成器11のアルカリ性側は、アルカリイオン貯蔵タンクT5に接続されている。アルカリイオン貯蔵タンクT5は、強アルカリ電解水を5L貯留する機能を有する。
酸イオン貯蔵タンクT4とアルカリイオン貯蔵タンクT5とには、強酸性電解水と強アルカリ電解水とを押し出すために、エア圧が供給される。
【0024】
酸イオン貯蔵タンクT4とアルカリイオン貯蔵タンクT5とは、それぞれ自動弁V5,V6を介して微細気泡混合器12に接続されている。
微細気泡混合器12は、水素タンクT1にエア用3方向自動弁V7を介して接続された第1混合器121およびターボミキサー122と、水素タンクT1にエア用3方向自動弁V7を介して接続されていると共に、炭酸ガスタンクT2にエア用3方向自動弁V8を介して接続された第2混合器123とを備えている。
【0025】
微細気泡混合器12は、磁気高圧処理器13に接続されている。
磁気高圧処理器13は、無給油ポンプ131と、磁気付与器132と、ミキサー133とを備えている。
ここで、磁気付与器132の構成について、
図3に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図3に示すように、磁気付与器132は、無給油ポンプ131から微細気泡水が流れ込む導水管1321と、導水管1321からの微細気泡水が通過する配管となる高圧スリーブ1322と、高圧スリーブ1322を挟んで異極同士を対向させた一対の磁石1323a,1323bと、一対の磁石1323a,1323bの間に配置された高圧スリーブ1322に設けられた誘電体の一例であるトルマリン1323cとを備えている。
【0027】
導水管1321の下流側には、流量調整金具1324が装着されている。
図4に示すように、流量調整金具1324は、導水管1321(
図3参照)の先端に嵌め込まれる円筒部1324aと、円筒部1324aの下流側の端部に設けられた蓋部1324bとを備えている。蓋部1324bには、管路の軸線を中心にして放射状に小径の貫通孔1324cが形成されている。
【0028】
図3に示すように、磁石1323aは、N極を高圧スリーブ1322側に向けて配置された永久磁石である。高圧スリーブ1322を挟んで磁石1323aと反対側に位置する磁石1323bは、S極を高圧スリーブ1322側に向けて配置された永久磁石である。磁石1323a,1323bは、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石が使用できる。磁石1323a,1323bは、電磁石でもよい。磁石1323a,1323bは、電磁石としたときには、磁気が一定方向を向くように電流を流してもよいし、磁気が交互に入れ替わるようにして電流を流してもよい。
【0029】
高圧スリーブ1322は、磁気透過な材質のもので形成されている。例えば、高圧スリーブ1322は、樹脂製とすることができる。
トルマリン1323cは、電気石とも称される鉱物である。トルマリン1323cは、球体状に形成され、高圧スリーブ1322と、高圧スリーブ1322の上流側に位置する流量調整金具1324およびダンパー1325の流量調整金具とに囲まれた空間に、互いが接触した状態で収納されている。
【0030】
高圧スリーブ1322の下流側の端部1322aには、下流方向に向かって拡径するダンパー1325の上流側の端部1325aが嵌め込まれるようにして接続されている。
高圧スリーブ1322の下流側の端部1322aとダンパー1325の上流側の端部1325aとの間の流路には、流量調整金具1326がダンパー1325の上流側の端部1325aに被さるように配置されている。
【0031】
流量調整金具1326は、流量調整金具1324と同様に、円筒部1326aと、管路の軸線を中心にして放射状に小径の貫通孔1326cが形成された蓋部1326bとを備えている。
【0032】
図2に示すように磁気高圧処理器13は、薬液用3方向自動弁V4を介して酸供給タンクT6とアルカリ供給タンクT7とに接続されている。
酸供給タンクT6は、図示しないコネクタを介して、
図1に示す混合器103に接続されている。また、アルカリ供給タンクT7は、図示しないコネクタを介して、
図1に示す混合器101,102に接続されている。
【0033】
次に、除去器30の構成について、
図5に基づいて説明する。
除去器30は、血液が流れる中空の筒状部31と、筒状部31の内周面に沿って形成され、プラス電圧が印加される電極部32と、筒状部31の入口側および出口側の両端に設けられ、動脈側回路211が接続される栓部33とを備えている。
【0034】
図1に示す投入液供給装置20は、治療に適した薬液や、ミネラルなどの栄養素を主成分とした栄養液が、投入液として貯留され、適量を混合器102に投入する機能を備えている。薬液や栄養液は、いずれか一方でもよいし、両方でもよい。投入液は、手動で、薬液や栄養液のいずれか一方か両方かを切り替え選択できることが望ましい。また、自動で、時間的に投入する投入液を選択できることが望ましい。
【0035】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る治療装置100および血液透析装置200の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
まず、
図2に示す強電解水生成器11の陽極側に生成された酸性水に、水素ガスによる微細気泡を混合させる場合を説明する。
【0036】
まず、移動用タンクT3から原水である水道水が、強電解水生成器11に供給される。この原水には、電解水の生成を促進するために適量の塩化ナトリウムが添加される。
強電解水生成器11の陽極側に生成された酸性水は、酸イオン貯蔵タンクT4に貯留される。
【0037】
酸イオン貯蔵タンクT4に貯留され酸性水は、自動弁V5を介して微細気泡混合器12へ圧送される。微細気泡混合器12では、水素ガスが水素タンクT1からエア用3方向自動弁V7を介して、まず第1混合器121により混合されることで、酸性水素気泡水となる。
ターボミキサー122では、内部で撹拌用のブレードが回転することで発生した負圧により、第1混合器121からの酸性水素気泡水と、水素タンクT1からの水素ガスとを吸引し、ブレードにより撹拌し、水素ガスを微細化すると共に、水素ガスを酸性水素気泡水に溶解させる。これにより、酸性水素気泡水は、水素ガスによる気泡が微細化すると共に、水素ガスが酸性水素気泡水に溶解して水素ガスの濃度が上がった酸性水素微細気泡水となる。
【0038】
気泡が微細化された微細気泡は、直径が1μm以下のナノバブルと称される気泡から、直径が50μm以下のマイクロバブルと称される気泡が混在したものである。
この酸性水素微細気泡水が第2混合器123へ流入する。
第2混合器123では、ターボミキサー122からの酸性水素微細気泡水に、水素タンクT1からの水素ガスが、更に混合される。第2混合器123により、ターボミキサー122により微細化された気泡を更に微細化させることができると共に、水素ガスの濃度を更に上昇させることができる。
【0039】
このように、直列に接続された複数の混合器(第1混合器121、ターボミキサー122および第2混合器123)に、水素ガスを送気する水素タンクT1が接続されているため、気体の量を分けて、液体に溶解させたり、液体中に微細気泡として浮遊させたりすることができる。従って、気体の溶解量や微細気泡の数量を増加させることができる。
【0040】
微細気泡混合器12からの酸性水素微細気泡水は、磁気高圧処理器13に流入する。磁気高圧処理器13では、まず、無給油ポンプ131により圧送された酸性水素微細気泡水が、
図3および
図4に示す導水管1321の流量調整金具1324を通過する。その際に、酸性水素微細気泡水が、流量調整金具1324の小径の貫通孔1324cを通過することで、更に、流速が高速となる。
高圧スリーブ1322では、異極同士が対向した磁石1323a,1323bによる磁場により、酸性水素微細気泡水の水分子に結合の変化を生じさせることができ、表面張力を減少させることができる。従って、酸性水素微細気泡水の溶解度を向上させることができるため水素ガスを、酸性水素微細気泡水の液体に溶解させることができ、高濃度化を図ることができる。
【0041】
また、高圧スリーブ1322に収納されたトルマリン1323cは、磁石1323a,1323bによる磁場に位置しているため、磁石1323a,1323bによる磁場内でのトルマリン1323cによって、更に、気体の溶解度を高めることができる。また、磁石1323a,1323bによる磁場内では、トルマリン1323cが静電気を発生するため、酸性水素微細気泡水に浮遊する微細気泡に電荷を付与することができる。電荷が付与された微細気泡は、微細気泡同士が反発し合い結合しないため、微細気泡同士が結合して気泡径が大きくなることを抑止することができる。
また、酸性水素微細気泡水が無給油ポンプ131により圧送されることで高速に流れ、トルマリン1323cに圧力が付与されて、更なる静電気が生じるため、微細気泡に効率よく電荷を付与することができる。従って、より多くの微細気泡を水中に浮遊させることができる。
従って、微細気泡水生成装置10は、微細気泡を水中に数多く存在させつつ、より効率的に微細気泡水の液体の溶解度を高めることができる。よって、微細気泡水の効果を発揮させることができる。
【0042】
磁気高圧処理器13からの酸性水素微細気泡水は、薬液用3方向自動弁V3,V4を介して酸イオン貯蔵タンクT4へ戻る。このような循環を繰り返すことで、気泡を更に微細化すると共に、水素ガスの濃度を高めることができる。そして、所定時間の巡回を繰り返すと、磁気高圧処理器13からの酸性水素微細気泡水は、薬液用3方向自動弁V4を介して酸供給タンクT6へ送られ貯留される。
【0043】
次に、強電解水生成器11の陰極側に生成されたアルカリ性水に、水素ガスによる微細気泡を混合させる場合を説明する。
移動用タンクT3から水道水が強電解水生成器11に供給される。強電解水生成器11では、陰極側にアルカリ性水が生成される。強電解水生成器11の陰極側に生成されたアルカリ性水は、アルカリイオン貯蔵タンクT5に貯留される。アルカリイオン貯蔵タンクT5は、自動弁V6を微細気泡混合器12へ圧送される。
アルカリ性水が微細気泡混合器12へ圧送されると、酸性水のときと同様に、水素ガスが微細気泡となってアルカリ性水に混合され、微細気泡混合器12の第1混合器121によりアルカリ性水素気泡水となり、ターボミキサー122によりアルカリ性水素微細気泡水となってミキサー133を通過して、磁気高圧処理器13に流入する。
【0044】
そして、磁気高圧処理器13により磁化され、電荷を付与されて帯電して、薬液用3方向自動弁V3,V4を介してアルカリイオン貯蔵タンクT5へ戻る。
アルカリイオン貯蔵タンクT5に貯留されるアルカリ性水素微細気泡水も、このような循環を繰り返すことで、気泡が更に微細化されると共に、水素ガスの濃度が高められる。
そして、気泡が微細化され、水素ガス濃度が高められたアルカリ性水素微細気泡水は、磁気高圧処理器13から薬液用3方向自動弁V4を介してアルカリ供給タンクT7へ送られ貯留される。
【0045】
次に、強電解水生成器11の陰極側に生成されたアルカリ性水に、炭酸ガスによる微細気泡を混合させる場合を説明する。
酸性水に、炭酸ガスによる微細気泡を混合させるときには、水素タンクT1から水素ガスを供給する代わりに、炭酸ガスタンクT2から炭酸ガスを微細気泡混合器12へ供給して、アルカリ性水素微細気泡水を生成したときと同じ経路で、アルカリ性水に、炭酸ガスを混合させることで、アルカリ性炭酸ガス微細気泡水を生成することができる。
【0046】
このようにして、酸性水素微細気泡水、アルカリ性水素微細気泡水、アルカリ性炭酸ガス微細気泡水が生成されると、これを、
図1に示す血液回路210に投入する。
【0047】
図1に示す静脈側回路212では、微細気泡水生成装置10からのアルカリ性水素微細気泡水が混合器102を介して血液に混合される。また、静脈側回路212では、微細気泡水生成装置10からのアルカリ性炭酸ガス微細気泡水が混合器102を介して血液に混合される。
アルカリ性水素微細気泡水およびアルカリ性炭酸ガス微細気泡水が混合した血液は、シャンテ(図示せず)を通じて患者Cの体内へ返血される。
患者Cの体内に返血された微細気泡水(アルカリ性水素微細気泡水,アルカリ性炭酸ガス微細気泡水)が混合された血液が血管内を循環する。
【0048】
また、微細気泡水に応じて、投入液供給装置20から、薬液や栄養液が混合器102に投与される。
【0049】
酸性水素微細気泡水やアルカリ性水素微細気泡水、アルカリ性炭酸ガス微細気泡水に含まれる微細気泡は、磁気高圧処理器13により帯電させられるが、微細な気泡となったことによりマイナス電位を帯びることが知られている。
【0050】
図6に示すように、マイナス電位に帯電した微細気泡Bは、薬液や栄養液などの投入液Lが球面に吸着する。従って、酸性水素微細気泡水は、内部に水素ガスが取り込まれた酸性水膜の周囲面に、薬液が薬剤膜、栄養素が栄養膜となった状態で血液中を搬送される中空カプセルとして機能する。
また、アルカリ性水素微細気泡水およびアルカリ性炭酸ガス微細気泡水も同様に、アルカリ性膜の周囲面に、薬液が薬剤膜、栄養素が栄養膜となった状態で血液中を搬送される中空カプセルとして機能する。
【0051】
微細気泡水に含有された微細気泡は、免疫細胞が異物と誤感知する。投入液供給装置20が薬剤や栄養液を投与することで、マイナス電位に帯電した微細気泡Bに、薬液や栄養液が球面に吸着するため、免疫細胞が血液中の微細気泡を異物と誤感知することを防止することができる。従って、微細気泡が運ぶ薬剤や栄養液を、全身に行き渡らせることができる。
【0052】
例えば、
図7(A)に示すように、低比重リボ蛋白質(LDL)が血管の内膜に移行して変化した酸化LDLを血液中の単球が追いかけ内膜に移行することで、単球がマクロファージへ変化する。次に、
図7(B)に示すように、マクロファージが酸化LDLを貪食した泡沫細胞が、血管組織内に蓄積することで、血管の内壁面が膨れたプラークによる粥状硬化が発生する。そして、プラークが破れると血栓ができ、血管が詰まるため血流が阻害される。
このような血管に、微細気泡水を投与することで、
図7(C)から同図(E)に示すように、微細気泡が泡沫細胞を除去するため、プラークを徐々に小さくして、血液の流れを改善することができる。
【0053】
また、薬液としてレシチンを投入液供給装置20(
図1参照)により投与することで、中空カプセルとして機能する微細気泡によりレシチンを血管中に送り込むことができる。レシチンが薬剤膜となって微細気泡により血管中に送り込まれることで、血管の内壁に付着した悪玉コレステロールである酸化コルステロールを吸着させ、動脈側回路211から排出させることができる。
動脈側回路211から排出した酸化コルステロールは、ダイアライザー202により血液から除去することができる。
【0054】
更に、炭酸ガス微細気泡は、血管拡張作用を促すことにより、血行を促進するため血行状態を良好なものとすることができ、新陳代謝、消化機能を活性化させることができる。また、炭酸ガス微細気泡は、血液中に溶解した老廃物を吸着して排出することができる。
【0055】
水素ガスによる微細気泡は、約4時間程度で消滅するが、炭酸ガスによる微細気泡はそれ以上消滅することなく血液中を浮遊する。従って、アルカリ性水素微細気泡水と、アルカリ性炭酸ガス微細気泡水とを一緒に投与した後に、アルカリ性水素微細気泡水を投与するときには、アルカリ性炭酸ガス微細気泡水を投与しなくても、先の投与で、アルカリ性炭酸ガス微細気泡水による効果が維持される。
【0056】
このようにして、微細気泡水生成装置10からの微細気泡水を、混合器102により静脈側回路212に投与して、血液に混合させることで、微細気泡の濃度が高い状態で血液中に混合することができる。そのため、微細気泡の各作用を、直接、血管や血液に作用させることができため、上記微細気泡による作用を効果的に血液に付与することができる。
また、静脈側の血液回路に混合器102が配置されていることで、微細気泡の濃度が高い状態の血液を、血液透析装置200を介さずに患者に返血することができる。
【0057】
図1に示す血液ポンプ201による吸引より動脈側回路211から採取された血液は、微細気泡水生成装置10からの微細気泡水が混合器101にて混合される。本実施の形態では、アルカリ性水素微細気泡水が混合される。
アルカリ性水素微細気泡水が混合された血液は、除去器30を通過する。血液中では、マイナス電位に帯電した水素微細気泡が、プラス電位となった老廃物や、血管壁から剥離したプラーク片、酸化コルステロールに吸着して取り込んでいる。
【0058】
図5に示すように、除去器30では、栓部33を介して筒状部31に老廃物や、プラーク片、酸化コルステロールに吸着して取り込んだ水素ガスによる微細気泡が入る。筒状部31の内周面に沿って形成された電極部32にプラス電圧が印加されている。従って、老廃物や、プラーク片、酸化コルステロールに吸着して取り込んだ水素ガスによる微細気泡が、電極部32に引き寄せられ、血液から除去される。
このようにして、ダイアライザー202の中空糸膜を透過できない、サイズが大きい、老廃物や、プラーク片、酸化コルステロールでも、除去器30による除去することができる。
【0059】
特に、微細気泡水生成装置10が接続された混合器102は、患者Cとダイアライザー202の間に位置しているため、静脈側回路212では大量の微細気泡を投入することができない。しかし、動脈側回路211であれば大量に微細気泡を投入することができる。従って、動脈側回路211に流れる血液に、混合器101を介して大量に微細気泡を投入することにより、老廃物や、プラーク片、酸化コルステロールを除去器30により微細気泡に吸着させて浄化させることができ、微細気泡に吸着させた微細気泡をダイアライザー202により排出することができる。
【0060】
血液ポンプ201により患者Cから動脈側回路211を介して導出された血液は、ダイアライザー202に流入する。ダイアライザー202に流入した血液は、透析膜を通じて透析液との間で、除去尿毒素などの老廃物の除去、水分量の調整などが行われる。
このとき、微細気泡のマイナス電位により吸着した老廃物や不活化した細菌は、ダイアライザー202で血液から排出される。ダイアライザー202により浄化された血液は、ダイアライザー202から静脈側回路212に流れる。
【0061】
また、透析液供給装置203からダイアライザー202への配管には、混合器103が配置されており、微細気泡水生成装置10からの酸性水素微細気泡水が、混合器103から血液透析液に混合される。
酸性水による微細気泡水は、殺菌作用があるため、血液透析液内の細菌に吸着して殺菌し、排出することができる。
【0062】
図8(A)に示すように、例えば、患者に、血管新生により血液からの栄養を得ている悪性腫瘍ができていたとする。このような血管に、アルカリ性水素微細気泡水を投与すると、マイナス電位となる水素ガスによる微細気泡水は、高い浸透性があり、微細気泡水がプラス電位となる病巣に引き寄せられるため、微細気泡水を病変細胞への進入口に進入させることができる。
【0063】
血管に面した病変細胞への進入口は、正常細胞に比べ病変細胞の方が大きいため、微細気泡の粒子径(気泡径)を、正常細胞には進入できずに、病変細胞へは進入できる大きさとする。そうすることで、微細気泡の周囲面に形成された薬剤膜による薬液を、原発巣や転移巣に送り込むことができる。
【0064】
また、水素ガスによる微細気泡が中空カプセルとして機能することで、進入口を満杯にして完全な塞栓状態を作り、腫瘍への栄養を断ち、活性水素で腫瘍の元となった活性酸素と結合して水に還元する。同時に水素ガスによる微細気泡が数時間にわたって崩壊することで、薬液を腫瘍内に放出する。このように、水素ガスによる微細気泡を、最適な薬剤溶出性塞栓物質とすることができる。
【0065】
このように、悪性腫瘍を有する患者に、アルカリ性水素微細気泡水を投与することで、
図8(B)から同図(D)に示すように、徐々に、悪性腫瘍を小さくすることができ、弱体化した病変細胞を健全細胞に置き換えることができる。このようなプロセスを繰り返すことで、自然治癒力を高め病状を回復させることができる。
【0066】
また、薬液としてインスリンを投入液供給装置20により投与すれば、中空カプセルとして機能する微細気泡によりインスリンを血管中に送り込むことができる。そうすることで、血液中のブドウ糖を吸着させることができため、脳血管のバリヤを通過させることができる。
【0067】
微細気泡は、圧壊時に衝撃力が発生するため、バイオフィルムを破壊することが期待できる。また、アルカリ性水素微細気泡水やアルカリ性炭酸ガス微細気泡水は、蛋白質や血餅を溶解する作用と、界面活性効果があり、角質や脂質によるプラークを血管壁から剥離させ血管内を洗浄することができる。
【0068】
本実施の形態に係る治療装置100では、除去器30が動脈側回路211に設けられていたが省略することができる。また、微細気泡水生成装置10は、静脈側回路212の混合器102から、アルカリ性炭酸ガス微細気泡水とアルカリ性水素微細気泡水とを血液に混合させていたが、動脈側回路211の混合器101から混合させてもよい。しかし、ダイアライザー202を介さずに返血できるため、微細気泡水は混合器101から混合させるのが望ましい。
【0069】
また、微細気泡水生成装置10では、高圧スリーブ1322内に誘電体の一例としてトルマリンを収納していたが、磁場により水の溶解度を向上させ、圧力により静電気を発生するものであれば他の誘電体でもトルマリンの代わりに使用できる。例えば、セラミック,水晶などとしてもよい。
【解決手段】治療装置100は、マイナス電位に帯電した微細気泡を含有する微細気泡水を生成する微細気泡水生成装置10と、微細気泡水生成装置10が生成した微細気泡水を、患者の動脈側回路211から採取された血液が血液透析装置200に供給され、血液透析装置200より透析された血液が静脈側回路212に戻される血液回路210に混合する混合器102とを備えている。微細気泡水生成装置10からの微細気泡水を、混合器102により血液に投与して、血液に混合させることで、微細気泡の濃度が高い状態で血液中に混合することができる。