(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子と、前記発光素子の一端に駆動電圧を供給するスイッチング電源と、を有する発光装置に使用され、前記スイッチング電源のスイッチングトランジスタを制御するとともに、前記発光素子に流れる駆動電流を制御する制御回路であって、
前記発光素子の目標輝度に応じたレベルを有するアナログ調光用の調光制御信号に応じた駆動電流を生成し、前記発光素子に供給する電流ドライバと、
前記電流ドライバの電圧降下と所定の基準電圧の誤差を増幅し、フィードバック電圧を生成する誤差増幅器と、
設定された周波数を有するゲートパルス信号を生成するとともに、前記フィードバック電圧にもとづいて前記ゲートパルス信号のデューティ比を調節するパルス幅変調器と、
前記調光制御信号と前記ゲートパルス信号の周波数の関係を規定する制御特性が定められており、そのときの調光制御信号に応じた周波数を、前記パルス幅変調器に設定する周波数制御部と、
を備えることを特徴とする制御回路。
発光素子と、前記発光素子の一端に駆動電圧を供給するスイッチング電源と、を有する発光装置に使用され、前記スイッチング電源のスイッチングトランジスタを制御するとともに、前記発光素子に流れる駆動電流を制御する制御回路であって、
前記駆動電流の経路上に設けられた検出抵抗と、
前記検出抵抗の電圧降下と前記発光素子の目標輝度に応じたレベルを有するアナログ調光用の調光制御信号の誤差を増幅し、フィードバック電圧を生成する誤差増幅器と、
設定された周波数を有するゲートパルス信号を生成するとともに、前記フィードバック電圧にもとづいて前記ゲートパルス信号のデューティ比を調節するパルス幅変調器と、
前記調光制御信号と前記ゲートパルス信号の周波数の関係を規定する制御特性が定められており、そのときの調光制御信号に応じた周波数を、前記パルス幅変調器に設定する周波数制御部と、
を備えることを特徴とする制御回路。
前記制御特性は、前記調光制御信号が最大値のとき、前記周波数が所定の最大値をとり、前記調光制御信号が低くなるほど、前記周波数が低下するように定められていることを特徴とする請求項1または2に記載の制御回路。
前記制御特性は、前記調光制御信号が所定のしきい値より小さい範囲において、前記周波数が所定の最小値となるように定められていることを特徴とする請求項3に記載の制御回路。
前記周波数制御部は、前記アンプの出力電圧を所定のクランプレベルより低くならないようにクランプするクランプ回路をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の制御回路。
前記制御特性は、前記調光制御信号が最大値のとき、前記周波数が所定の最小値をとり、前記調光制御信号が低くなるほど、前記周波数が上昇するように定められていることを特徴とする請求項1または2に記載の制御回路。
前記制御特性は、前記調光制御信号が所定のしきい値より小さい範囲において、前記周波数が所定の最大値となるように定められていることを特徴とする請求項7に記載の制御回路。
前記周波数制御部は、前記アンプの出力電圧を所定のクランプレベルより高くならないようにクランプするクランプ回路をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の制御回路。
発光素子と、前記発光素子の一端に駆動電圧を供給するスイッチング電源と、を有する発光装置において、前記スイッチング電源のスイッチングトランジスタを制御するとともに、前記発光素子に流れる駆動電流をスイッチングする制御方法であって、
前記駆動電流の経路上に設けられた電流ドライバによって、発光素子の目標輝度に応じたレベルを有するアナログ調光用の調光制御信号に応じた駆動電流を前記発光素子に供給するステップと、
前記電流ドライバの電圧降下と所定の基準電圧の誤差を増幅し、フィードバック電圧を生成するステップと、
パルス幅変調器によって、設定された周波数を有するゲートパルス信号を生成するとともに、前記フィードバック電圧にもとづいて前記ゲートパルス信号のデューティ比を調節するステップと、
前記調光制御信号と前記ゲートパルス信号の周波数の関係を規定する制御特性をあらかじめ定めるステップと、
前記制御特性にもとづいて、そのときの調光制御信号に応じた周波数を、前記パルス幅変調器に設定するステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
発光素子と、前記発光素子の一端に駆動電圧を供給するスイッチング電源と、を有する発光装置において、前記スイッチング電源のスイッチングトランジスタを制御するとともに、前記発光素子に流れる駆動電流をスイッチングする制御方法であって、
前記駆動電流の経路上に設けられた検出抵抗の電圧降下と前記発光素子の目標輝度に応じたレベルを有するアナログ調光用の調光制御信号の誤差を増幅し、フィードバック電圧を生成するステップと、
パルス幅変調器によって、設定された周波数を有するゲートパルス信号を生成するとともに、前記フィードバック電圧にもとづいて前記ゲートパルス信号のデューティ比を調節するステップと、
前記調光制御信号と前記ゲートパルス信号の周波数の関係を規定する制御特性をあらかじめ定めるステップと、
前記制御特性にもとづいて、そのときの調光制御信号に応じた周波数を、前記パルス幅変調器に設定するステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
前記制御特性は、前記調光制御信号が最大値のとき、前記周波数が所定の最大値をとり、前記調光制御信号が低くなるほど、前記周波数が低下するように定められていることを特徴とする請求項20または21に記載の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0034】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0035】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る制御回路を備える発光装置を示す回路図である。発光装置3は、複数の発光素子6_1〜6_N(Nは整数)と、スイッチング電源4と、ホストプロセッサ9を備える。
【0036】
発光素子6_1〜6_Nはそれぞれ、直列に接続された複数のLEDを含むLEDストリングである。LEDストリングの本数Nは特に限定されない。発光素子6_1〜6_Nの一端(アノード)は、スイッチング電源4の出力端子P2に共通に接続される。
【0037】
ホストプロセッサ9は、発光装置3全体を統括的に制御する。具体的にはホストプロセッサ9は、発光素子6の目標輝度に応じた電圧レベルを有する調光制御信号V
DIMを生成し、制御回路100に送信する。なお、調光制御信号V
DIMは制御回路100の内部で生成してもよい。
【0038】
スイッチング電源4は、昇圧型のDC/DCコンバータであり、入力端子P1に入力された入力電圧V
INを昇圧し、その出力端子P2に接続された発光素子6の一端(アノード)に駆動電圧V
OUTを供給する。
【0039】
スイッチング電源4は、制御回路100および出力回路102を備える。出力回路102は、インダクタL1、整流ダイオードD1、スイッチングトランジスタM1、出力キャパシタC1を含む。出力回路102のトポロジーは一般的であるため、説明を省略する。
【0040】
制御回路100のスイッチング端子SWは、スイッチングトランジスタM1のゲートと接続される。制御回路100は、発光素子6の点灯に必要な出力電圧V
OUTが得られるように、フィードバックによりデューティ比が調節されるゲートパルス信号G2を生成し、スイッチングトランジスタM1のスイッチング動作を制御するとともに、発光素子6が目標の輝度で発光するように、発光素子6に流れる駆動電流I
LEDを調節する。
【0041】
制御回路100は、ひとつの半導体基板上に一体集積化された機能ICである。なお、「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。またスイッチングトランジスタM1は制御回路100に内蔵されてもよい。
【0042】
制御回路100は、入出力ピンとして、スイッチング(SW)端子、電流検出(CS)端子、バースト調光(PWM)端子、アナログ調光(ADIM)端子、フィードバック(FB)端子、N個のLED端子を有する。
【0043】
ADIM端子には、ホストプロセッサ9からの調光制御信号V
DIMが入力される。SW端子は、スイッチングトランジスタM1のゲートと接続される。FB端子には、位相補償用のキャパシタC
FBおよび抵抗R
FBを含む位相補償回路14が接続される。CS端子には、第2抵抗R2の電圧降下に応じた第2検出電圧V
R2が入力される。N個のLED端子はそれぞれ、発光素子6_1〜6_Nのカソードと接続される。
【0044】
制御回路100は、電流ドライバ8_1〜8_N、誤差増幅器10、周波数制御部20、パルス幅変調器30、ゲートドライバ40を備える。
【0045】
電流ドライバ8_1〜8_Nは、発光素子6_1〜6_Nごとに設けられる。電流ドライバ8_iは、対応する発光素子6_iの経路上に、具体的には、発光素子6_iの一端(カソード)と接地端子の間に設けられる。電流ドライバ8_iは、発光素子6_iの目標輝度に応じたレベルを有する調光制御信号V
DIMに応じた駆動電流I
LEDiを生成する。
【0046】
誤差増幅器10は、電流ドライバ8_1〜8_Nの電圧降下、つまりLED端子の電圧V
LED1〜V
LEDNのうち最も低い電圧と、所定の基準電圧V
REFの誤差を増幅し、フィードバック電圧V
FBを生成する。たとえば誤差増幅器10は、トランスコンダクタンス(gm)アンプ12および位相補償回路14を含む。位相補償回路14は、位相補償用のキャパシタC
FBおよび抵抗R
FBを含む。
【0047】
パルス幅変調器30は、後述の周波数制御部20により設定された周波数f
OSCを有するゲートパルス信号G2を生成する。パルス幅変調器30は、少なくともフィードバック電圧V
FBにもとづいて、LED端子の電圧V
LED1〜V
LEDNのうち最も低い電圧が基準電圧V
REFと一致するように、ゲートパルス信号G2のデューティ比を調節する。
【0048】
図3(a)〜(c)は、パルス幅変調器30の構成例を示す回路図である。
図3(a)〜(c)のパルス幅変調器30はそれぞれ、周波数制御部20が設定した周波数で発振するオシレータ32を含み、オシレータ32が生成する周期信号と同期して、ゲートパルス信号G2を生成する。
【0049】
図3(a)のパルス幅変調器30aは、電圧モード制御を行う。パルス幅変調器30aは、オシレータ32a、PWMコンパレータ33、を含む。オシレータ32aは、周波数制御部20により設定された周波数f
OSCを有する、三角波またはのこぎり波の周期信号(ランプ電圧)V
RAMPを生成する。PWMコンパレータ33は、フィードバック電圧V
FBと周期信号V
RAMPを比較し、比較結果に応じたゲートパルス信号G2を生成する。
【0050】
図3(b)のパルス幅変調器30bは、ピーク電流モード制御を行う。パルス幅変調器30bは、オシレータ32b、PWMコンパレータ33、スロープ補償回路34、ピーク検出コンパレータ35、フリップフロップ36を含む。パルス幅変調器30bには、スイッチングトランジスタM1に流れる電流に応じた、第2抵抗R2の電圧降下(検出電圧)V
R2が入力される。
【0051】
オシレータ32bは、周波数制御部20により設定された周波数f
OSCを有するパルス状の周期信号(セット信号)S
SETを生成する。スロープ補償回路34は、セット信号S
SETと同期したスロープ電圧を生成し、電流検出信号V
R2に重畳する。たとえばスロープ補償回路34は、スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成部34aと、スロープ電圧と電流検出信号V
R2を加算する加算器34bと、を含んでもよい。なおスロープ補償回路34の構成は特に限定されない。
【0052】
ピーク検出コンパレータ35は、スロープ補償された検出電圧V
R2’をフィードバック電圧V
FBと比較し、比較結果に応じたリセット信号S
RSTを生成する。フリップフロップ36は、セット信号S
SETとリセット信号S
RSTに応じてレベルが遷移するゲートパルス信号G2を生成する。たとえばフリップフロップ36は、セット端子にセット信号S
SETが、リセット端子にリセット信号S
RSTが入力されたSRフリップフロップであってもよい。
【0053】
図3(c)のパルス幅変調器30cは、平均電流モード制御を行う。パルス幅変調器30cは、オシレータ32c、フリップフロップ36、電流誤差増幅器38、コンパレータ39を含む。パルス幅変調器30cには、スイッチングトランジスタM1に流れる電流に応じた、第2抵抗R2の電圧降下(検出電圧)V
R2が入力される。
【0054】
オシレータ32cは、周波数制御部20により設定された周波数f
OSCを有する三角波またはのこぎり波の周期信号(ランプ電圧V
RAMP)および、周波数制御部20により設定された周波数f
OSCを有するセット信号S
SETを生成する。
【0055】
電流誤差増幅器38は、検出電圧V
R2とフィードバック電圧V
FBの誤差を増幅するとともに平均化する。コンパレータ39は、電流誤差増幅器38の出力電圧V
ERRとランプ信号V
RAMPを比較し、比較結果に応じたリセット信号S
RSTを生成する。フリップフロップ36は、セット信号S
SETとリセット信号S
RSTに応じてレベルが遷移するゲートパルス信号G2を生成する。
【0056】
当業者によれば、
図3(a)〜(c)に例示した以外にも、パルス幅変調器30が構成しうることが理解され、本発明において、パルス幅変調器30の構成が特に限定されないことが理解されよう。
【0057】
図2に戻る。ゲートドライバ40は、パルス幅変調器30が生成したゲートパルス信号G2にもとづいて、スイッチングトランジスタM1をスイッチングする。
【0058】
周波数制御部20には、調光制御信号V
DIMとゲートパルス信号G2の周波数f
OSCの関係を規定する制御特性があらかじめ定められている。周波数制御部20は、調光制御信号V
DIMを受け、制御特性にもとづいて、そのときの調光制御信号V
DIMに応じた周波数f
OSCをパルス幅変調器30に設定する。
【0059】
ここで調光制御信号V
DIMとスイッチング周波数f
OSCの関係を規定する制御特性について説明する。制御特性は、発光装置3に必要とされる性能に応じて制御回路100の設計者が任意に定めることができる。
図4(a)、(b)は、制御特性の具体例を示す図である。
【0060】
(第1の制御特性)
図4(a)は、第1の制御特性を示す。第1の制御特性は、調光制御信号V
DIMが最大輝度に相当する最大値V
MAXのとき、周波数f
OSCが標準値f
0をとり、調光制御信号V
DIMが低くなるほど、周波数f
OSCが低下するように定められている。好ましくは第1の制御特性は、調光制御信号V
DIMが所定のしきい値V
THより小さい範囲において、周波数f
OSCが所定の最小値f
MINとなるように定められる。
【0061】
(第2の制御特性)
図4(b)は、第2の制御特性を示す。第2の制御特性は、調光制御信号V
DIMが最大値V
MAXのとき、周波数f
OSCが標準値f
0をとり、調光制御信号V
DIMが低くなるほど、周波数f
OSCが上昇するように定められている。好ましくは第2の制御特性は、調光制御信号V
DIMが所定のしきい値V
THより小さい範囲において、周波数f
OSCが所定の最大値f
MAXとなるように定められる。
【0062】
周波数制御部20は、第1の制御特性と第2の制御特性が、外部からの設定データに応じて切りかえ可能に構成されてもよい。
【0063】
図5(a)、(b)は、周波数制御部20の構成例を示す回路図である。
【0064】
図5(a)の周波数制御部20aは、アンプ22およびクランプ回路24を含む。
第1の制御特性を実現するために、アンプ22は、調光制御信号V
DIMを所定の利得で非反転増幅する。クランプ回路24は、アンプ22の出力電圧を所定のクランプレベルより低くならないようにクランプする。オシレータ32は、アンプ22の出力電圧に応じた周波数で発振する。
【0065】
第2の制御特性を実現するために、アンプ22は、調光制御信号V
DIMを所定の利得で反転増幅する。クランプ回路24は、アンプ22の出力電圧を所定のクランプレベルより高くならないようにクランプする。
【0066】
図5(a)の周波数制御部20aによれば、
図4(a)、(b)に示す制御特性を実現できる。具体的には、アンプ22の利得に応じて、
図4(a)、(b)の制御特性の傾き、言い換えれば周波数f
OSCの変化幅を調節できる。また、クランプ回路24によるクランプレベルに応じて、第1の制御特性における周波数f
OSCの最小値f
MIN、第2の制御特性における周波数f
OSCの最大値f
MAXを調節できる。
【0067】
利得およびクランプレベルの少なくとも一方は、外部からの制御データに応じて変更可能に構成してもよい。この場合、制御回路100が搭載されるプラットフォームに応じて、制御特性を最適化できる。
【0068】
オシレータ32の構成は特に限定されず、公知の回路を利用すればよい。オシレータ32は、たとえばキャパシタと、キャパシタを定電流で充放電する充放電回路と、で構成してもよい。この場合、定電流の電流値を、アンプ22の出力電圧に応じて変化させてもよい。
【0069】
図5(b)の周波数制御部20bは、A/Dコンバータ26、ロジック部28を含む。
A/Dコンバータ26は、調光制御信号V
DIMをデジタル値に変換する。ロジック部28には、制御特性を記述するテーブルが格納されており、あるいは制御特性が演算式として格納される。ロジック部28は、デジタル値に応じて、周波数f
OSCを指示するデータを出力する。オシレータ32は、ロジック部28からのデータに応じた周波数で発振するよう構成される。たとえばオシレータ32は、デジタルカウンタを含んでもよい。
【0070】
ロジック部28の後段にD/Aコンバータを設け、オシレータ32を、D/Aコンバータの出力電圧に応じた周波数で発振するように構成してもよい。
【0071】
以上が発光装置3の構成である。続いてその動作を、第1、第2の制御特性それぞれの場合について説明する。
【0072】
(第1の制御特性)
調光制御信号V
DIMのレベルが小さくなると、駆動電流I
LEDが減少し、スイッチング電源4が軽負荷状態で動作する。ここでスイッチングレギュレータでは、スイッチングトランジスタM1をオン、オフさせるために、そのゲート容量を充放電する必要がある。スイッチングトランジスタM1がバイポーラトランジスタの場合、そのベース電流を供給する必要がある。したがってスイッチングトランジスタM1をスイッチングするために必要な電力は、スイッチング周波数f
OSCに比例する。
【0073】
つまり、軽負荷状態において、重負荷状態と同じスイッチング周波数f
OSCでスイッチングトランジスタM1を駆動すると、負荷に供給される電力に対する、スイッチングトランジスタM1のスイッチングに要する電力の比率が高くなり、スイッチング電源4の効率が低下する。これに対して第1の制御特性にもとづいて周波数f
OSCを制御すれば、軽負荷時には、スイッチング周波数f
OSCが低下するため、軽負荷時の効率を改善することができる。
【0074】
一方で、軽負荷状態においてもスイッチング周波数f
OSCを低くしすぎると、発光素子6に十分な駆動電流I
LEDを供給できなくなる。そこで、スイッチング周波数f
OSCをあるレベルf
MINでクランプすることにより、軽負荷状態でも安定的に負荷を駆動できる。
【0075】
第1の制御特性は、高効率が要求される用途、たとえば電池駆動型のデバイスや、高省エネ性能が要求されるデバイスに搭載される発光装置3において有用である。
【0076】
(第2の制御特性)
図6(a)、(b)は、スイッチング電源4の入力電流I
INの波形図である。
図6(a)は、調光制御信号V
DIMにかかわらずスイッチング周波数を一定とした場合を、
図6(b)は、第2の制御特性を採用した場合を示す。
【0077】
スイッチング電源4の入力電流I
IN(I
L1)は、スイッチングトランジスタM1のスイッチングにともない増減を繰り返す。入力電流I
INは、スイッチング電源4の効率η、負荷電流I
OUT(=ΣI
LED)を用いて、式(1)で与えられる。
I
IN=V
OUT×I
OUT/V
IN×η …(1)
【0078】
また入力電流I
INのリップル量ΔI
Lは式(2)で与えられる。
ΔI
L=(V
OUT−V
IN)/V
OUT×V
IN/(f
OSC×L) …(2)
【0079】
図6(a)に示すように、スイッチング周波数f
OSCを負荷の軽重にかかわらず一定とした場合、式(2)で与えられるリップル量ΔI
Lは一定である。したがって、入力電流I
INの平均レベルがある程度小さくなると、
図6(a)の右欄に示すように、スイッチング電源4は不連続モードとなる。
【0080】
図6(b)に示すように、軽負荷状態においてスイッチング周波数f
OSCを高くすると、式(2)にしたがってリップル量ΔI
Lが小さくなる。したがって、
図6(b)の右欄においても、入力電流I
Lはゼロクロスすることなく増減を繰り返し、連続モードで動作し続ける。
【0081】
図7(a)、(b)は、連続モードと不連続モードの動作範囲を示す図である。
図7(a)に示すように、スイッチング周波数を固定した場合、連続モードと不連続モードの境界を制御することはできない。これに対して、スイッチング周波数を第2の制御特性にもとづいて変化させた場合、
図7(b)に示すように、スイッチング電源4が連続モードで動作する範囲を拡大することができる。これにより、軽負荷状態において、スイッチング電源4のスイッチングにともなうノイズを低減することができる。
【0082】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る制御回路を備える発光装置を示す回路図である。発光装置3aは、発光素子6と、スイッチング電源4と、ホストプロセッサ9を備える。
【0083】
制御回路100aは、
図2の電流ドライバ8に代えて、バースト調光用のスイッチ(調光用スイッチ)M2、検出抵抗R1、ドライバ50を備える。また制御回路100aのPWM端子には、ホストプロセッサ9から出力されるバースト調光用の調光パルス信号G1が入力される。調光パルス信号G1は、発光素子6の目標となる輝度に応じてパルス幅変調されており、目標輝度が高いほどデューティ比が大きい。
【0084】
調光用スイッチM2および検出抵抗R1は、発光素子6の経路上に、より具体的には、LED端子と接地端子の間に直列に設けられる。調光用のドライバ50は、調光用スイッチM2を調光パルス信号G1に応じてスイッチングし、駆動電流I
LEDの導通、遮断を切りかえる。調光用スイッチM2および第1抵抗R1は、制御回路100のICに外付けされてもよい。
【0085】
誤差増幅器10は、検出抵抗R1の電圧降下(検出電圧)V
R1と調光制御信号V
DIMの誤差を増幅し、フィードバック電圧V
FBを生成する。周波数制御部20、パルス幅変調器30は、
図2のそれらと同様である。ゲートドライバ40aは、調光パルス信号G1がローレベルの期間、スイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止し、調光パルス信号G1がハイレベルの期間、ゲートパルス信号G2にもとづいてスイッチングトランジスタM1をスイッチングする。
【0086】
パルス幅変調器30は、ゲートパルス信号G2のデューティ比を、フィードバック電圧V
FBにもとづいて、検出電圧V
R1が調光制御信号V
DIMと一致するように調節する。調光制御信号V
DIMは、制御回路100の内部で生成してもよい。
【0087】
図8の発光装置3aでは、調光制御信号V
DIMにもとづくアナログ調光と、調光パルス信号G1にもとづくバースト調光(PWM調光)が併用され、発光素子6の輝度が制御される。
【0088】
図8の発光装置3aによっても、
図2の発光装置3と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(第3の実施の形態)
図9は、本発明の第3の実施の形態に係る制御回路を備える発光装置を示す回路図である。制御回路100bは、
図8の制御回路100aに加えて、過電流保護用の第1コンパレータCMP1、第2コンパレータCMP2、電圧源70を備える。
【0090】
発光装置3bにおいて、回路素子を保護するために、過電流検出が行われる。制御回路100bは、M個(Mは整数)の検出抵抗R1、R2を備える。本実施の形態では、M=2である。M個の検出抵抗R1、R2はそれぞれ、発光装置3の過電流保護の対象となる電流の経路上に設けられる。より具体的には、第1の過電流保護の対象となる電流は、駆動電流I
LEDであり、したがって、M個の検出抵抗のひとつは、駆動電流I
LEDの経路上に設けられた第1検出抵抗R1である。また第2の過電流保護の対象となる電流は、スイッチングトランジスタM1に流れる電流であり、したがってM個の検出抵抗のひとつは、スイッチングトランジスタM1の経路上に設けられた第2検出抵抗R2である。なお、過電流保護の対象となる電流はこれらには限定されず、必要に応じて発光装置3の任意の経路の電流を対象とすることができる。第2検出抵抗R2は、スイッチングトランジスタM1のオン抵抗を代用してもよい。
【0091】
電圧源70は、M個の検出抵抗R1、R2に対応するM個のしきい値電圧V
TH1、V
TH2を生成する。
【0092】
M個のコンパレータCMP1、CMP2は、それぞれが検出抵抗R1、R2ごとに設けられる。第iコンパレータCMPiは、対応する検出抵抗Riの電圧降下V
Riに応じた検出電圧が、対応するしきい値電圧V
THiを超えると、過電流検出信号OCPiをアサート(たとえばハイレベル)するよう構成される。
【0093】
制御回路100bは、少なくともひとつの過電流検出信号OCPがアサートされると、所定の保護処理を実行する。たとえば、保護処理は、スイッチングトランジスタM1の一時的な停止であってもよいし、長期間にわたる停止であってもよい。あるいは発光装置3の完全なシャットダウンであってもよい。また保護処理は、過電流検出信号OCPごとに異なっていてもよい。
【0094】
電圧源70は、M個のしきい値電圧V
TH1、V
TH2の少なくともひとつを、調光制御信号V
DIMに応じたレベルをとるように生成する。
図10(a)は、調光制御信号V
DIMとしきい値電圧V
THの関係を示す図である。本実施の形態では、2つのしきい値電圧V
TH1およびV
TH2の両方が、調光制御信号V
DIMに応じたレベルを有する場合を説明するが本発明はそれには限定されない。たとえば、いずれか一方を一定値とし、他方のみを調光制御信号V
DIMに応じて変化させてもよい。
【0095】
M個のしきい値電圧V
TH1、V
TH2の少なくともひとつ(本実施の形態では両方)はそれぞれ、(i)調光制御信号V
DIMが所定の第1値Vaより高い範囲において、調光制御信号V
DIMが高いほど高くなり、(ii)調光制御信号V
DIMが第1値Vaより低い範囲において所定の下限値V
MINをとる。
【0096】
さらに、M個のしきい値電圧V
TH1、V
TH2の少なくともひとつ(本実施の形態では両方)はそれぞれ、(i-1)調光制御信号V
DIMが、第1値Vaより高く所定の第2値Vbより低い範囲において、調光制御信号V
DIMに応じて増大し、(i-2)調光制御信号V
DIMが第2値Vbより高い範囲において、所定の上限値V
MAXをとる。
【0097】
(i-1)調光制御信号V
DIMが、第1値Vaより高く所定の第2値Vbより低い範囲において、しきい値電圧V
TH1、V
TH2は、調光制御信号V
DIMに比例してもよい。この範囲において、
V
TH1=K1×V
DIM
V
TH2=K2×V
DIM
が成り立つものとする。
図10(a)には、K1=K2の場合が示されるが、本発明はそれには限定されず、K1≠K2であってもよい。
【0098】
なお、
図10(a)には、しきい値電圧V
TH1、V
TH2が完全に等しい場合を示すが、本発明はそれには限定されず、Va、Vb、V
MIN、V
MAXは、しきい値電圧ごとに異なっていてもよい。
【0099】
電圧源70は、調光指令信号V
DIM*を受け、調光指令信号V
DIM*に比例する調光制御信号V
DIMを生成するとともに、調光指令信号V
DIM*にもとづいて、M個のしきい値電圧V
TH1、V
TH2の少なくともひとつ(本実施の形態では両方)を生成する。
図10(b)は、調光指令信号V
DIM*としきい値電圧V
THの関係を示す図である。調光制御信号V
DIMは、調光指令信号V
DIM*に比例する。また、V
DIM*<Vcのとき、V
TH=V
MINであり、Vd<V
DIM*のとき、V
TH=V
MMAXが成り立つ。
【0100】
図11(a)、(b)は、電圧源70の構成例を示す回路図である。
図11(a)の電圧源70aは、バッファ72、抵抗分圧回路74、第1クランプ回路76、第2クランプ回路78を備える。バッファ72は、調光指令信号V
DIM*を受ける。抵抗分圧回路74は、直列に接続された複数の抵抗を含み、バッファ72の出力電圧を所定の分圧比Kaで分圧し、調光制御信号V
DIMを生成する。これにより、調光指令信号V
DIM*に比例する調光制御信号V
DIMが生成される。
V
DIM=Ka×V
DIM*
【0101】
また、抵抗分圧回路74は、バッファ72の出力電圧を所定の分圧比Kbで分圧し、調光指令信号V
DIM*に比例するしきい値電圧V
TH1、V
TH2を生成する。
V
TH1=V
TH2=Kb×V
DIM*
【0102】
第1クランプ回路76は、しきい値電圧V
TH1、V
TH2を、所定の下限電圧V
MIN以下とならないようにクランプする。第2クランプ回路78は、しきい値電圧V
TH1、V
TH2を、所定の上限電圧V
MAX以上とならないようにクランプする。
【0103】
この構成によれば、
図4(b)に示すしきい値電圧V
TH1、V
TH2および調光制御信号V
DIMを生成でき、分圧比に応じて、領域(ii-1)の傾きを設定でき、第1クランプ回路76の下限電圧V
MINに応じてしきい値電圧V
TH1、V
TH2の下限値を設定でき、第2クランプ回路78の上限電圧V
MAXに応じて、しきい値電圧V
TH1、V
TH2の上限値を設定できる。
【0104】
なお、調光指令信号V
DIM*を生成する回路、つまりホストプロセッサ9の出力インピーダンスが十分に低い場合、バッファ72は省略してもよい。
【0105】
図11(b)の電圧源70bは、ロジック部79と、D/Aコンバータ80と、を含む。ロジック部79は、デジタルの調光指令信号D
DIM*を受ける。ロジック部79には、調光指令信号D
DIM*と、しきい値電圧V
TH1、V
TH2、調光制御信号V
DIMの関係を示すテーブルあるいは演算式が格納され、調光指令信号D
DIM*に応じたデジタル値を生成する。D/Aコンバータ80は、デジタル値をデジタル/アナログ変換することにより、しきい値電圧V
TH1、V
TH2および調光制御信号V
DIMを生成する。
【0106】
なお、電圧源70の構成は
図11(a)、(b)のそれらには限定されず、別の構成であってもよい。
【0107】
図9に戻る。好ましくは電圧源70は、複数のモードが切りかえ可能に構成される。モードごとに、調光制御信号V
DIMとM個のしきい値電圧V
TH1、V
TH2の少なくともひとつ(本実施の形態では両方)の関係が異なるように定められる。たとえば電圧源70は、一定モードと、ひとつあるいは複数の可変モードが切りかえ可能に構成される。
【0108】
図12は、一定モードと可変モードにおける、調光制御信号V
DIMとしきい値電圧V
TH1、V
TH2の関係を示す図である。一定モードにおいて、M個のしきい値電圧V
TH1、V
TH2の少なくともひとつ(本実施の形態において両方)が、調光制御信号V
DIMとは無関係な一定レベルに固定される(一点鎖線)。一定レベルは、可変モードにおける上限値V
MAXと一致していてもよい。可変モードでは、上述したように、しきい値電圧V
TH1、V
TH2が調光制御信号V
DIMに応じて変化する(実線、破線)。可変モードは複数用意されてもよい。
【0109】
電圧源70は、発光装置3の起動時において、一定モードに設定され、その後、起動完了後に可変モードに遷移する。起動の完了は、以下の少なくともひとつ、あるいは複数のを組み合わせて検出してもよい。
(i)起動開始後、所定の判定時間内に、過電流検出信号がアサートされないこと
(ii)第1検出電圧V
R1が調光制御信号V
DIMに達したこと
(iii)駆動電圧V
OUTが所定のしきい値に達したこと
(iv)起動開始後、所定の起動時間の経過したこと
【0110】
以上が発光装置3bの構成である。続いてその動作を説明する。
【0111】
パルス幅変調器30は、フィードバック制御によって、第1検出抵抗R1の電圧降下である第1検出電圧V
R1が、調光制御信号V
DIMに近づくように、ゲートパルス信号G2のデューティ比を調節する。その結果、駆動電流I
LEDは、調光制御信号V
DIMに比例した目標値(V
DIM/R1)に安定化される。
【0112】
発光装置3の利点は、比較技術との対比によって明確となる。比較技術では、駆動電流I
LEDの目標値にかかわらず、しきい値電圧V
TH1のレベルが定められ、固定的なしきい値電流I
TH1(たとえば200mAとする)が設定されていた。したがって、駆動電流I
LEDの目標値が小さな場合、たとえば20mAの場合でも、発光素子6に200mAが流れない限り保護動作が行われず、無駄な電流が消費されることになる。
【0113】
これに対し、本実施の形態では、
図10(a)に示すVa<V
DIM<Vbの範囲において、しきい値電圧V
TH1は、調光制御信号V
DIMに応じて変化するため、しきい値電流I
TH1(=V
TH1/R1)も、調光制御信号V
DIMに追従して変化する。
【0114】
たとえばK1=1.5のとき、駆動電流I
LEDの目標値が20mAのとき、しきい値電流I
TH1は30mAとなり、30mA以上の電流は流れないように保護がかかる。つまり、比較技術よりも、170mAの消費電流を低減することができる。
【0115】
また、調光制御信号V
DIMが第1レベルVaより低い領域では、駆動電流I
LEDが小さくなるため、第1検出抵抗R1の電圧降下V
R1が小さくなる。もし、
図10(a)に破線で示すように、V
DIM<Vaの領域において、第1しきい値電圧V
TH1を調光制御信号V
DIMに比例させた場合、非過電流状態(正常状態)における第1検出電圧V
R1と第1しきい値電圧V
TH1の差が小さくなるため、ノイズによる過電流状態の誤検出の可能性が高まる。
【0116】
これに対して、本実施の形態では、調光制御信号V
DIMが第1値Vaより低い範囲では、第1しきい値電圧V
TH1をある下限レベルV
MINにてクランプすることにより、ノイズによる過電流状態の誤検出を防止できる。
【0117】
また、もし、
図10(a)に破線で示すように、Vb<V
DIMの領域において、第1しきい値電圧V
TH1をクランプすることなく、調光制御信号V
DIMの増大にともなって第1しきい値電圧V
TH1を制限なく上昇させていくと、しきい値電流I
THが非常に大きくなり、保護対象の経路に非常に大きな電流が流れるおそれがある。
【0118】
これに対して、本実施の形態によれば、調光制御信号V
DIMが第2値Vbより高い範囲において、第1しきい値電圧V
TH1、つまりしきい値電流I
TH1をある上限レベルにてクランプすることにより、駆動電流I
LEDをある上限レベルで制約できる。その結果、回路を構成する部品の選定が容易となる。
【0119】
第2コンパレータCMP2および第2検出抵抗R2による、スイッチングトランジスタM1に流れる電流に対する過電流保護についても、同様の効果を得ることができる。
【0120】
続いて発光装置3の起動動作を説明する。
起動時において調光指令信号V
DIM*のレベルが非常に小さい場合がある。起動直後、スイッチング電源の出力電圧が低いため、ゲートパルス信号のデューティ比、すなわちスイッチングトランジスタのオン時間が大きくなる。したがって起動時にスイッチングトランジスタやインダクタに流れる電流は、通常動作時に比べて大きくなる。
【0121】
いま、起動時に調光制御信号のレベルが低く設定される状況について考える。このとき可変モードを採用すると、しきい値電流I
TH1、I
TH2が小さな値に設定され、スイッチングトランジスタやインダクタに流れる電流が、しきい値電流I
TH2によって制限されることになり、起動時間が長くなるおそれがある。
【0122】
これに対して、本実施の形態によれば、起動時に一定モードを選択することで、スイッチングトランジスタやインダクタに流れる電流を、不当に制約することなく、発光装置を短時間で起動することが可能となる。
【0123】
(第4の実施の形態)
図13は、第4の実施の形態に係る制御回路を備える発光装置を示す回路図である。制御回路100cは、
図2の制御回路100に加えて、過電流保護用の第1コンパレータCMP1、第2コンパレータCMP2、電圧源70を備える。なお
図13では説明の簡素化のため、
図2の周波数制御部20は不図示としている。
【0124】
第3の実施の形態と同様に、発光装置3は、過電流保護を目的として、M個の検出抵抗を有し、各検出抵抗は、発光装置3の過電流保護の対象となる電流の経路上に設けられる。
【0125】
電流ドライバ8はそれぞれ、トランジスタM4、第3検出抵抗R3、演算増幅器OP2を含む。トランジスタM4および第3検出抵抗R3は、駆動電流I
LEDの経路上に、具体的にはLED端子と接地端子の間に順に直列に設けられる。演算増幅器OA2の出力は、トランジスタM4の制御端子(ゲート)と接続され、その非反転入力端子には、調光制御信号V
DIMが入力され、その反転入力端子には第3検出抵抗R3の電圧降下に応じた第3検出電圧V
R3が入力される。電流ドライバ8_iにおいて、第3検出電圧V
R3が調光制御信号V
DIMと一致するようにフィードバックがかかり、駆動電流I
LEDiが、目標値V
DIM/R3に安定化される。
【0126】
誤差増幅器10は、電流ドライバ8_1〜8_Nの電圧降下、つまりLED端子の電圧V
LED1〜V
LEDNのうち最も低い電圧と、所定の基準電圧V
REFの誤差を増幅し、フィードバック電圧V
FBを生成する。
【0127】
パルス幅変調器30は、少なくともフィードバック電圧V
FBにもとづいて、LED端子の電圧V
LED1〜V
LEDNのうち最も低い電圧が基準電圧V
REFと一致するように、ゲートパルス信号G2のデューティ比を調節する。
【0128】
第4の実施の形態では、M個の検出抵抗のひとつは、電流ドライバ8に内蔵される第3検出抵抗R3である。第3コンパレータCMP3は、第3検出抵抗R3に生ずる第3検出電圧V
R3を、電圧源70により生成される第3しきい値電圧V
TH3と比較し、VR3>V
TH3のとき、第3過電流検出信号OCP3をアサートする。第3コンパレータCMP3は、電流ドライバ8ごとに設けられてもよい。
【0129】
以上が
図7の発光装置3cの構成である。
【0130】
この発光装置3cにおいて、第3検出抵抗R3は、駆動電流I
LEDの経路上に設けられており、第3検出抵抗R3および第3コンパレータCMP3によって、駆動電流I
LEDの過電流状態が検出される。つまり、第3検出抵抗R3は、第1の実施の形態における第1検出抵抗R1に相当する。
【0131】
第4の実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、
図13の制御回路100cは、アナログ調光に加えて、PWM調光を併用してもよい。この場合、電流ドライバ8のトランジスタM4が、調光パルス信号G1に応じてスイッチング可能に構成される。
【0132】
続いて、発光装置3の用途を説明する。
図14は、発光装置3を備える電子機器2の例を示す図である。電子機器2はたとえば液晶ディスプレイ装置、テレビ受像器、カーナビ用ディスプレイ、あるいは液晶パネルを有する携帯電話端末、タブレットPC、オーディオプレイヤなどである。
【0133】
電子機器2は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル5を備える。発光装置3の発光素子6は、LCDパネル5の背面にバックライトとして設けられる。電子機器2の筐体内には、図示しないスイッチング電源4、電流ドライバ8、ホストプロセッサ9が内蔵される。
【0134】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセス、それらの組み合わせには、さまざまな変形例が存在しうる。以下、こうした変形例について説明する。
【0135】
(第1の変形例)
図4(a)、(b)に示した制御特性は、周波数f
OSCが調光制御信号V
DIMに対して連続的に変化する場合を示しているが、周波数f
OSCは調光制御信号V
DIMに対してステップ状に変化させてもよい。
【0136】
(第2の変形例)
実施の形態ではインダクタL1を用いた非絶縁型のスイッチング電源を説明したが、本発明はトランスを用いた絶縁型のスイッチング電源にも適用可能である。また、本発明は、昇圧型、降圧型、昇降圧型のいずれにも適用可能である。
図15(a)、(b)は、スイッチング電源の出力回路102の別の構成例を示す回路図である。
図15(a)の出力回路102aは、降圧型のトポロジーであり、整流ダイオードD1、インダクタL1、出力キャパシタC1、スイッチングトランジスタM1、第2抵抗R2を有する。
図15(b)の出力回路102bは、昇降圧型のトポロジーであり、整流ダイオードD1、キャパシタC1、C2、インダクタL1、L2、スイッチングトランジスタM1、第2抵抗R2を有する。
【0137】
(第3の変形例)
図16は、第2の変形例に係る制御回路100dの一部を示す回路図である。この変形例は、
図9の制御回路100bの変形例であり、調光用スイッチM2および第2検出抵抗R2は、制御回路100dに外付けされる。
【0138】
制御回路100dは、電圧源70が生成した調光制御信号V
DIMを、所定レベルV
UL以下にクランプするクランプ回路90を備える。クランプ回路90を設けることにより、発光素子6に大電流が流れるのを防止することができる。
【0139】
クランプ回路90の構成は特に限定されないが、たとえばクランプ回路90は、トランジスタM21、抵抗R21、演算増幅器OP3を備える。抵抗R21は、誤差増幅器10の反転入力端子と電圧源70の間に設けられる。トランジスタM21は、PチャンネルMOSFETであり、誤差増幅器10の非反転入力端子と接地端子の間に設けられる。演算増幅器OP3の非反転入力端子には、所定レベルV
ULが入力され、その反転入力端子は誤差増幅器10の非反転入力端子と接続される。このクランプ回路90によって、誤差増幅器10の非反転入力端子に入力される調光制御信号V
DIMを、所定レベルV
UL以下にクランプできる。
(第4の変形例)
実施の形態では、アナログ電圧の調光制御信号V
DIMあるいは調光指令信号V
DIM*がホストプロセッサ9から供給される場合を説明したが本発明はそれには限定されず、制御回路100の内部で生成してもよい。
図17は、調光制御信号V
DIMの生成回路の構成例を示す回路図である。生成回路60は、基準電圧源62と、V/I変換回路64と、I/V変換回路66と、を含む。
【0140】
基準電圧源62は、基準電圧V
REFを生成する。V/I変換回路64は、基準電圧V
REFを、基準電流I
REFに変換する。V/I変換回路64は、その変換利得が変更可能に構成される。より具体的には、V/I変換利得は、制御回路100の外付け抵抗R
EXTに応じて変更可能となっている。V/I変換回路64は、外付け抵抗R
EXTに加えて、演算増幅器OA1、トランジスタM3を含む。V/I変換回路64によって、基準電流I
REFが生成される。
I
REF=V
REF/R
EXT
【0141】
I/V変換回路66は、基準電流I
REFを、調光制御信号V
DIMに変換する。I/V変換回路66は、カレントミラー回路を形成するトランジスタM11、M12と、抵抗R11を含む。カレントミラー回路M11、M12は、基準電流I
REFを折り返す。抵抗R11は、折り返された基準電流I
REF’の経路上に設けられ、かつその一端は接地され、その電位が固定される。調光制御信号V
DIMは、カレントミラー回路のミラー比をKとすれば、以下の式で与えられ、外付け抵抗R
EXTの抵抗値に応じて、電圧レベルが調節可能であることがわかる。
V
DIM=I
REF’×R11=K×I
REF×R11=K×V
REF/R
EXT×R11
【0142】
なお電流ドライバ8は、演算増幅器OA2、トランジスタM4、第3検出抵抗R3を用いて、V/I変換回路64と同様に構成することができる。
【0143】
(第5の変形例)
発光素子6は、LEDストリングには限定されず、現在、あるいは将来利用可能なその他の発光素子であってもよい。
【0144】
(第6の変形例)
実施の形態では、発光装置3の用途として液晶パネルのバックライトを説明したが、本発明はそれには限定されない。たとえば発光装置3は、照明機器などにも利用可能である。
【0145】
また、本実施の形態で説明した各信号の、ハイレベル、ローレベルの設定は一例であって、インバータなどによって適宜反転させることにより自由に変更することが可能である。
【0146】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。