(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記関数生成手段は、曜日別、平日/休日の別、週別、月別、又は季節別に前記相関を算出し、当該相関に基づいて、混雑度の予測対象の時点が属する曜日、平日、休日、週、月、又は季節における前記第1のエリアの混雑度に応じて将来の前記第2のエリアの混雑度の予測値を算出するための関数を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、発明の範囲をこれらに限定するものではない。
【0014】
図1を参照して、一実施形態に係る混雑度予測システムの構成について説明する。混雑度予測システム1は、混雑度予測装置10及び複数の端末装置20などの情報処理装置を主に備える。混雑度予測装置10と複数の端末装置20は、ネットワークNを介して相互に通信することができる。なお、
図1では、3つの端末装置20が記載されているが、混雑度予測装置10と通信可能な端末装置20の数は、任意である。
【0015】
ネットワークNは、混雑度予測装置10と端末装置20との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0016】
混雑度予測装置10は、ハードウェア構成として、制御部11、通信部14、及び記憶部15を主に備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12及びメモリ13を主に備えて構成される。混雑度予測装置10は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができ、例えば、CPU12がメモリ13等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能実現手段として機能する。なお、混雑度予測装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。
【0017】
制御部11では、CPU12は、記憶部15等に記憶されたプログラムをメモリ13に展開して実行することにより、混雑度予測装置10が備える各種構成の動作を制御し、また、各種処理の実行を制御する。制御部11において実行される処理の詳細は後述する。
【0018】
通信部14は、ネットワークNを介して端末装置20等の各種情報処理装置と通信するための通信インタフェースである。通信部14は、例えば、端末装置20からの測位情報を受信する。
【0019】
記憶部15は、ハードディスク等の記憶装置によって構成される。記憶部15は、制御部11における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報を記憶する。記憶部15に記憶されている情報の具体例については後述する。
【0020】
端末装置20は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータなどの現在位置を測位した測位情報を所定時間間隔でアップロードする機能を備えた情報端末を適用することができる。端末装置20は、図示しないが、主制御部、通信部、表示部、操作部、記憶部、測位処理部などの各種機能実現手段を主に備える。
【0021】
図2を参照して、一実施形態に係る混雑度予測装置10の機能構成を説明する。混雑度予測装置10は、機能構成として、エリア混雑度算出部111、路線混雑度算出部112、関数生成部113、移動方法特定部114、混雑度予測値算出部115、送信部116及びデータベース120を主に備える。これらの機能は、例えば、制御部11において、CPU12が、記憶部15等に記憶されたプログラムをメモリ13に展開して実行することにより実現される。
【0022】
エリア混雑度算出部111は、端末装置20の測位情報に基づいて、所定の時間における対象エリア(第1のエリア)の混雑度(第1の混雑度)を算出する。具体的には、エリア混雑度算出部111は、データベース120に記憶された端末装置20の過去の測位情報を参照し、任意に設定された所定の時間において、対象エリアに滞在していた端末装置20を特定し、特定された端末装置20の数と対象エリアの面積とに基づいて、その時間における対象エリアの混雑度を算出する。算出された対象エリアの混雑度の情報は、いつの混雑度の情報であるかを示す時間(対象エリア時間)の情報と関連付けて、データベース120に記憶される。なお、エリア混雑度算出部111は、対象エリアの混雑度ではなく、対象エリアに滞在していた端末装置20の数の情報をデータベース120に記憶しても良い。エリア混雑度算出部111は、対象エリアの複数の時間(複数の対象エリア時間)における混雑度又は端末装置20の数を算出し、データベース120に記憶する。対象エリアとしては、例えば、観光地など、ユーザが多く滞在しているエリアが考えられる。対象エリアの情報は、例えば、データベース120に記憶された地図情報が示す地図を任意の大きさ及び形状(例えば、矩形、円形、行政区画など)で区切ったエリアの情報で示される。
【0023】
また、エリア混雑度算出部111は、対象エリアの混雑度(又は端末装置20の数)を端末装置20のユーザの自宅エリア別に算出しても良い。ユーザの自宅エリアの情報は、ユーザ情報と関連付けてデータベース120に記憶されている。また、エリア混雑度算出部111は、端末装置20のユーザが対象エリアまでの移動に用いた移動方法(例えば、車、電車、船など)別に、対象エリアの混雑度(又は端末装置20の数)を算出しても良い。ユーザが用いた移動方法は、後述する移動方法特定部114により特定することができる。
【0024】
図3(A)は、データベース120に記憶された測位情報の例を示している。この例では、測位情報は、端末装置20が測位された時刻である測位時刻、端末装置20の識別情報である端末装置ID、端末装置20が測位された位置である測位位置(緯度、及び経度)の情報を含む。
【0025】
図3(B)は、データベース120に記憶されたユーザ情報の例を示している。この例では、ユーザ情報は、端末装置のユーザの識別情報であるユーザID、端末装置ID、端末装置へ情報を配信するためのアドレスである配信先アドレス、及びユーザの自宅エリアの識別情報である自宅エリアIDを含む。なお、自宅エリアIDなどのユーザの自宅エリアについての情報は、端末装置20のユーザによる入力に基づいた情報であっても良いし、端末装置20の測位情報に基づいて求められた情報であっても良い。測位情報に基づいて自宅エリアの情報を求める方法は任意の方法を用いることができるが、例えば、端末装置20のユーザの滞在時間、滞在回数、及び滞在日数のうちの少なくとも2つが最も高い値であるエリアを自宅エリアとすることができる。
【0026】
路線混雑度算出部112は、端末装置20の測位情報に基づいて、対象エリアから離れる方面の路線(又は当該路線の少なくとも一部を含むエリア)(第2のエリア)の所定の時間(路線時間)における混雑度(第2の混雑度)を算出する。ここで、路線時間は、前述の対象エリア時間よりも後の時間を含む。具体的には、路線混雑度算出部112は、まず、データベース120に記憶された端末装置20の過去の測位情報を参照し、任意に設定された所定の時間において、対象エリア(又は対象エリア付近のエリア)につながる路線(例えば、道路、鉄道路線、海路、空路、又はこれらの組み合わせを含む。)のうち、対象エリアから離れる方面に向かう1つ又は複数の路線に滞在していた(すなわち、路線を通過中であった)端末装置20を特定する。路線混雑度算出部112は、特定された端末装置20の数と、端末装置20の所有率と、その路線の混雑に影響を及ぼす要素と、に基づいて、その時間における各路線の混雑度を算出する。
【0027】
端末装置20の所有率は、その路線を含むエリアにおける端末装置20を所有しているユーザの割合の情報である。特定された端末装置20の数を端末装置20の所有率で割ることで、路線を通過している人の数の推定値を算出することができる。また、路線の混雑に影響を及ぼす要素としては、路線が道路である場合、例えば、道路の車線数、制限速度、信号の設置間隔、道路の種別(例えば、一般道路であるか高速道路であるか)などが含まれ、路線が鉄道路線である場合、例えば、車両の最大乗客数、発車時刻表の情報などが含まれる。また、路線の混雑度の値は、任意の尺度により示すことができる。例えば、道路の混雑度の値は、渋滞距離によって示すことができる。もしくは、路線のある区間を通過している人の数の推定値をその区間の長さ(又は面積)で割った値で表すことができる。さらに、鉄道路線の混雑度の値の場合、車両の乗客率によって示すことができる。もしくは、混雑度の値をレベルで(例えば、5段階のレベル)示すこともできる。なお、路線混雑度算出部112は、所定の時間におけるその路線の混雑度の情報を外部から取得してデータベース120に記憶しても良い。
【0028】
算出された(又は取得された)路線の混雑度の情報は、いつの混雑度の情報であるかを示す時間(路線時間)の情報と関連付けて、データベース120に記憶される。なお、路線混雑度算出部112は、路線の混雑度ではなく、路線に滞在していた(すなわち、路線を通過中であった)端末装置20の数の情報をデータベース120に記憶しても良い。路線混雑度算出部112は、各路線について、複数の時間(複数の路線時間)における混雑度又は端末装置20の数を算出し、データベース120に記憶する。ここで、路線時間には、前述の対象エリア時間より後の時間が含まれている。従って、路線混雑度算出部112により算出された路線の混雑度は、エリア混雑度算出部111により算出された対象エリアの混雑度の時間(対象エリア時間)より後の時間における混雑度を含む。
【0029】
関数生成部113は、エリア混雑度算出部111により算出された対象エリア(第1のエリア)の混雑度と、路線混雑度算出部112により算出された路線(特に、対象エリアを出た後に通過する路線)(第2のエリア)の混雑度との間の相関を算出する。関数生成部113は、算出された相関に基づいて、将来の路線(第2のエリア)の混雑度の予測値を対象エリア(第1のエリア)における混雑度に応じて算出するための関数を生成する。算出された相関及び生成された関数は、データベース120に記憶される。
【0030】
例えば、ある日(n)の所定の時間(対象エリア時間)における対象エリアの混雑度X
nと、対象エリア時間から一定時間(t)経過後の路線の混雑度P
nとの間の関係は、次の関数により示される。
P
n=a
tX
n
ここで、a
tは、対象エリアの混雑度Xと、対象エリア時間から一定時間(t)経過後の路線の混雑度Pとの間の相関に基づいて定まる係数である。関数生成部113は、複数の日についてのX
nとP
nの値から最小二乗法等を用いてa
tを算出する。このように算出されたa
tを用いることで、将来の路線の混雑度の予測値(P)を対象エリアにおける混雑度(X)に応じて算出することができる。関数生成部113は、対象エリア時間から一定時間(t)経過後の路線の混雑度Pを算出するための次のような関数を生成する。
P=a
tX
【0031】
また、異なる複数の値のt(t=t
1、t
2、t
3、・・・t
M)について、上記の関数をそれぞれ生成してもよい。そのようにすることで、時間の経過と路線の混雑度の変化との関係を把握することができる。
【0032】
このように、端末装置20の測位情報に基づいて算出又は生成された相関又は関数を用いることによって、将来の路線(対象エリアを出た後に通過する路線)の混雑度の予測値を算出することができる。従って、対象エリア又はその近隣に特別な装置等を設置したり、対象エリアに滞在する者に特別な装置を携帯させたりすることなく予測値を算出できる。端末装置20は、前述のとおり、携帯電話機、スマートフォン等によって構成されるため、ユーザが一般的に携帯する装置であり、特別な装置ではない。また、上記の方法では、車のナンバープレートを読み取る方法とは異なり、端末装置の測位情報に基づいて、路線の混雑度の予測値を算出できるため、電車などのナンバープレートを持たない移動手段の混雑度を算出することができる。すなわち、関数生成部113によって算出又は生成された相関又は関数を用いることによって、将来の路線の混雑度をより広い範囲で予測することができる。
【0033】
また、関数生成部113は、端末装置20のユーザの自宅エリアを考慮して、対象エリアにおけるユーザの自宅エリア別の混雑度と路線の混雑度との間の相関を算出し、対象エリアにおける自宅エリア別の混雑度に応じて将来の路線の混雑度の予測値を算出するための関数を生成することができる。
【0034】
例えば、ある日(n)の所定の時間(対象エリア時間)の対象エリアにおいて、エリアAを自宅エリアとするユーザの混雑度X
An、エリアBを自宅エリアとするユーザの混雑度X
Bn、エリアCを自宅エリアとするユーザの混雑度X
Cn、エリアDを自宅エリアとするユーザの混雑度X
Dnとする。このとき、対象エリアの混雑度と、対象エリア時間から一定時間(t)経過後の路線の混雑度P
nとの間の関係は、次の関数により示される。
P
n=a
tX
An+b
tX
Bn+c
tX
Cn+d
tX
Dn
ここで、a
t、b
t、c
t、d
tは、対象エリアの自宅エリア別の混雑度(X
A、X
B、X
C、X
D)と、対象エリア時間から一定時間(t)経過後の路線の混雑度Pとの間の相関に基づいて定まる係数である。
【0035】
関数生成部113は、複数の日についてのX
An、X
Bn、X
Cn、X
Dn、P
nの値から最小二乗法等を用いてa
t、b
t、c
t、d
tを算出する。このように算出されたa
t、b
t、c
t、d
tを用いて生成された次の関数を用いることで、対象エリア時間における対象エリアにおけるユーザの自宅エリア別の混雑度(X
A、X
B、X
C、X
D)に応じて将来(対象エリア時間から一定時間(t)経過後)の路線の混雑度(P)の予測値を算出することができる。
P=a
tX
A+b
tX
B+c
tX
C+d
tX
D
【0036】
一般に、ユーザがあるエリアから帰宅する場合、自宅エリアの位置に応じて利用する路線は異なる。従って、このようにユーザの自宅エリアを考慮して算出された対象エリアの混雑度と路線の混雑度との間の相関又は関数を用いることによって、路線の混雑度の予測値をより正確に算出することができる。
【0037】
また、関数生成部113は、曜日別、平日/休日の別、週別、月別、又は季節別に、前述の相関を生成し、当該相関に基づいて、前述の関数を生成しても良い。このような相関及び関数は、曜日別、平日/休日の別、週別、月別、又は季節別の対象エリアの混雑度及び路線の混雑度を用いることによって算出できる。このように算出又は生成された相関又は関数を用いることによって、混雑度の予測対象の時点が属するある曜日、平日/休日、週、月、又は季節における対象エリアの混雑度に応じて、路線の混雑度の予測値を算出することができる。
【0038】
また、関数生成部113は、エリア混雑度算出部111によって算出された移動方法別の混雑度に基づいて、移動方法別の対象エリアの混雑度と、路線の将来の混雑度との間の相関を算出し、当該相関に基づいて、対象エリアにおける当該対象エリアまでの移動方法別の混雑度に応じて将来の路線の混雑度の予測値を算出するための関数を生成しても良い。一般に対象エリアまでの移動に用いた移動手段と対象エリアから出た後の移動の経路は関連していることが多いと考えられるため、このように生成された相関又は関数を用いることによって、路線の混雑度の予測値をより正確に算出することができる。
【0039】
なお、上記の例では、関数生成部113は、エリア混雑度算出部111及び路線混雑度算出部112によって算出された混雑度に基づいて、相関及び関数を算出又は生成しているがこれに限定しない。関数生成部113は、エリア混雑度算出部111及び路線混雑度算出部112によって算出された端末装置20の数に基づいて、相関及び関数を算出又は生成しても良い。
【0040】
移動方法特定部114は、データベース120に記憶された端末装置20の測位情報を参照して、端末装置20のユーザが対象エリアまでの移動に用いた移動方法、及び対象エリアからの移動に用いた移動方法を特定する。測位情報を用いた移動方法の特定は、任意の方法を用いることができる。例えば、移動方法特定部114は、測位位置と、測位位置及び測位時間に基づいて算出された移動速度とに基づいて移動手段を特定することができる。具体的には、移動方法特定部114は、端末装置20の測位位置の数が道路上に所定の割合(例えば、80%)以上ある場合、移動手段を車又は徒歩として特定し、測位位置及び測位時間を用いて算出された移動速度が所定値(例えば、150m/分)以上である場合、移動手段を車として特定することができる。
【0041】
混雑度予測値算出部115は、関数生成部113により生成された関数に基づいて、所定の時間における対象エリアの混雑度を用いて、当該所定の時間より後の時間における(すなわち、将来の)路線の混雑度の予測値を算出する。また、混雑度予測値算出部115は、関数生成部113により算出された相関に基づいて前述の関数を生成し、当該関数に基づいて、将来の路線の混雑度の予測値を算出することもできる。関数生成部113により生成された関数に基づいて将来の路線の混雑度の予測値を算出する方法は、前述したとおりである。算出された予測値は、データベース120に記憶される。
【0042】
また、混雑度予測値算出部115は、対象エリアの混雑度の予測値が所定値以上となる時間帯の予測値を路線ごとに算出することができる。具体的には、関数生成部113により、複数の異なるtのそれぞれについてa
tを算出しておき、算出されたそれぞれのa
tを用いて混雑度予測値算出部115により、それぞれのtについて予測値を算出することで、対象エリアの混雑度の予測値が所定値以上となる時間帯の予測値を算出することができる。
【0043】
さらに、上記の例では、1つのエリア(第1のエリア)の混雑度を用いて第2のエリアの将来の混雑度の予測値を算出しているが、2つのエリアの混雑度を用いて第2のエリアの将来の混雑度の予測値を算出してもよい。
【0044】
なお、混雑度予測値算出部115は、混雑度予測装置10とは別の外部装置に備えるようにしても良い。この場合、その外部装置は、関数生成部113により生成された相関及び関数の情報を記憶する記憶手段を備える。混雑度予測値算出部115は、この記憶手段に記憶された相関及び関数の情報に基づいて、所定の時間における対象エリアの混雑度を用いて、当該所定の時間より後の時間における路線の混雑度の予測値を算出する。さらに、この例の場合、この外部装置は、後述する送信部116も備える。
【0045】
送信部116は、混雑度予測値算出部115により算出された予測値(混雑度の予測値及び/又は混雑度の予測値が所定値以上となる時間帯の予測値)を対象エリアに滞在している(又は滞在していた)ユーザの端末装置20に送信する。端末装置20への送信先アドレスの情報は、データベース120にユーザ情報と関連付けて記憶されている。予測値の送信のタイミングは任意に設定することができる。例えば、対象エリアへの滞在ユーザが滞在の開始から所定時間(例えば、5時間)経過したとき、又は滞在ユーザが対象エリアから出たときを送信タイミングとすることができる。
【0046】
また、送信部116は、混雑度予測値算出部115により算出された予測値の全てを対象エリアに滞在している(又は滞在していた)各ユーザの端末装置20へ送信するのではなく、そのユーザに関係する路線についての予測値のみを送信することができる。例えば、送信部116は、対象エリアに滞在している(又は滞在していた)ユーザの端末装置20へ、混雑度予測値算出部115により算出された予測値のうち、対象エリアから当該ユーザの自宅エリアの方面に向かうために通過する路線(帰宅路線)についての予測値のみを送信することができる。
【0047】
データベース120は、混雑度予測装置10において実行される上記の処理に必要な情報、及び当該処理により生成された情報など、各種情報を記憶する。データベース120は、例えば、測位情報、地図情報、エリア混雑度情報、路線混雑度情報、相関/関数情報、混雑度予測値情報、ユーザ情報を記憶している。
【0048】
次に、
図4及び
図5を参照して、混雑度予測装置10において実行される処理のフローを説明する。なお、以下に説明する処理フローに含まれる各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0049】
図4は、対象エリアXに端末装置20のユーザが現在3980人滞在しており、対象エリアXから東京及び千葉の方面に向かう場合には、経路Yを通過し、対象エリアXから群馬及び山梨の方面に向かう場合には、経路Zを通過することを示している。
【0050】
図5は、将来の経路Yの混雑度の予測値を算出してユーザへ送信するための処理のフローを示している。
【0051】
まず、ステップS11において、エリア混雑度算出部111は、データベース120に記憶された端末装置20の過去の測位情報を参照し、過去の所定の時間(過去の対象エリア時間)において、対象エリアXに滞在していた端末装置20を特定し、特定された端末装置20の数と対象エリアXの面積とに基づいて、その時間における対象エリアXの混雑度を算出する。また、エリア混雑度算出部111は、対象エリアの混雑度(又は端末装置20の数)を端末装置20のユーザの自宅エリア別に算出しても良い。ユーザの自宅エリアの情報は、ユーザ情報と関連付けてデータベース120に記憶されている。
【0052】
ステップS12において、路線混雑度算出部112は、まず、データベース120に記憶された端末装置20の過去の測位情報を参照し、任意に設定された所定の時間(ステップS11における過去の対象エリア時間より後の時間)において、路線Yに滞在していた(すなわち、路線Yを通過中であった)端末装置20を特定する。路線混雑度算出部112は、特定された端末装置20の数と、端末装置20の所有率と、その路線の混雑に影響を及ぼす要素と、に基づいて、その時間における路線Yの混雑度を算出する。
【0053】
ステップS13において、関数生成部113は、エリア混雑度算出部111により算出された対象エリアXの混雑度と、路線混雑度算出部112により算出された路線Yの混雑度との間の相関を算出する。関数生成部113は、算出された相関に基づいて、将来の路線Yの混雑度の予測値を対象エリアXにおける混雑度に応じて算出するための関数を生成する。相関及び関数の詳細は、関数生成部113の説明で前述したとおりである。
【0054】
ステップS14において、混雑度予測値算出部115は、対象エリアXに現在滞在する端末装置20のユーザ数(3980人)から対象エリアXの混雑度を算出し、当該混雑度と、関数生成部113により生成された関数とに基づいて、将来の路線の混雑度の予測値を算出する。
【0055】
ステップS15において、送信部116は、混雑度予測値算出部115により算出された予測値を対象エリアに滞在している(又は滞在していた)ユーザの端末装置20に送信する。
【0056】
以上のように本実施形態によれば、端末装置20の測位情報に基づいて算出又は生成された相関又は関数を用いることによって、将来の路線の混雑度の予測値を算出することができる。従って、対象エリア又はその近隣に特別な装置等を設置したり、対象エリアに滞在する者に特別な装置を携帯させたりすることなく予測値を算出できる。端末装置20は、前述のとおり、携帯電話機、スマートフォン等によって構成されるため、ユーザが一般的に携帯する装置であり、特別な装置ではない。また、上記の方法では、車のナンバープレートを読み取る方法とは異なり、端末装置の測位情報に基づいて、路線の混雑度の予測値を算出できるため、電車などのナンバープレートを持たない移動手段の混雑度を算出することができる。すなわち、関数生成部113によって算出又は生成された相関又は関数を用いることによって、将来の路線の混雑度をより広い範囲で予測することができる。
【0057】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。