(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記引張ひずみ除去形状構成がそれぞれ、前記スピン軸(52)に沿って見られるような、前記スポーク本体の波状部分、または前記スポーク本体の分岐部分(114)を備える、請求項1に記載のCMG(20)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]例示を簡潔かつ明確にするために、図面は、大まかな構成のやり方を示す。図面中の要素は、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図中の要素または領域のうちのいくつかの寸法は、本発明の実施形態の理解を改善するのを助けるために他の要素または領域に比較して誇張される場合がある。よく知られた特色および技法の説明および例示は、本発明を不必要に不明瞭にするのを避けるために省略され得る。
【0010】
[0014]以下の詳細の説明は、本質的に例示的なものに過ぎず、本発明、または本発明の用途および使用を制限するものではない。さらに、先の背景または以下の詳細な説明に示される任意の理論によって制約されるものではない。
【0011】
[0015]
図1は、本発明の代表例によって示される高性能ロータ22を備える制御モーメントジャイロスコープ(CMG)20の断面図である。ロータ22は、必ずではないが、モノリシック部品または単一の部品として製造されることが有利であり、したがって、本明細書では「モノリシックCMGロータ22」と呼ばれる。そのような単一またはモノリシックの構成は、CMGロータ22が、高トルクデューティサイクルで疲労し、ロータの動作の寿命をあまりにも早く制限する傾向がある溶接継手を少なくとも一部なくすことによって格段の構造的整合性を伴って生産されることが可能になる。そのような溶接継手、または他の機械的な取付け点をなくすことのよって、モノリシックCMGロータ22が、より高い回転速度およびより大きいトルク荷重で動作することが可能になり、それによってCMG20の性能的側面を強化し(例えば、より大きい運動量と重量の比)、一方、応力集中、全体的な機械的疲労を減少させ、ロータの動作寿命を増加させる。運動量と重量の比、およびCMG性能の他の尺度の改善は、高い角度剛性またはねじり剛性をそれぞれ有しつつ、スポークがロータシャフトに連結または接触する位置からスポークがロータリムに連結または接触する位置へ半径方向にとるとき、比較的適合でもあるいくつかの半径方向に延びるロータスポークを有するようにCMGロータ22を製造することによっても実現される。いっそうさらなる利点として、モノリシックCMGロータ22、およびしたがって全体的にCMG20は、コスト効率の良い、比較的時を得たやり方で製造することができる。モノリシックCMGロータ22は、
図2〜
図4に関連して以下詳細に説明され、第2の例示的なCMGロータ100は、
図5に関連して以下説明され、CMGロータ22(
図1〜
図4)またはCMGロータ100(
図5)などのモノリシックCMGロータを製造する例示的な方法120は、
図6に関連して以下説明される。しかし、CMG20の全体的な議論は、まず代表例を確立するように与えられるが、例示的なCMGロータ22がより良く理解できる非限定の内容である。
【0012】
[0016]
図1に示される例示的な実施形態を参照すると、CMG20は、2つの主組立体、すなわち、内部ジンバル組立体(IGA)24およびステータ組立体26から構成される。モノリシックCMGロータ22はIGA24内に収容され、IGA24はロータ支持構造28をさらに含み、CMGロータ22は、ロータ支持構造28に回転可能に取り付けられる。ロータ支持構造28は、CMGの動作中にロータ22を支持するのに適した任意の構造上の要素または構造要素の集まりを含むことができる。例示の例では、ロータ支持構造28は、ヨークまたは鞍構造30を含み、ヨークまたは鞍構造30は、ベースリング組立体32にボルト留めされる、または他のやり方でベースリング組立体32に固定される。ベースリング組立体32は、ステータ組立体26のハウジングに取り付けられ、ベースリング組立体32、したがって全体的にIGA24は、(以下に説明される、鎖線60によって
図1に表される)ジンバル軸を中心にしてステータ組立体26に対して回転することができる。
図2〜
図4に関連して以下より十分に説明されるように、モノリシックCMGロータ22は、固定端36(
図1に示される向きのロータシャフト34の上端)、および対向する浮遊端38(例示の向きのシャフト34の下端)を有するロータシャフト34を含むように製造される。ロータシャフト34の固定端36は、ロータ支持構造28内、具体的には鞍構造30の第1のアーム内に設けられた第1の円筒形空洞または環状部分40内に受け入れられ、一方、浮遊端38は、鞍構造30の対向するアーム内に設けられた第2の環状部分42内に受け入れられる。
【0013】
[0017]モノリシックCMGロータ22の高速回転を容易にするために、第1のスピン軸受44(例えば、固定組合せ軸受カートリッジ)は、環状部分40内に配設され、ロータシャフト34の固定端36の周囲に配置される。同様に、第2のスピン軸受46(例えば、浮遊する組合せ軸受カートリッジ)は、環状部分42内に配設され、ロータシャフト34の浮遊端38の周囲に配置される。第1のスピンモータ48および第2のスピンモータ50は、いわゆる「デュアルスピンモータ構成」で、ロータシャフト34の対向する両端(すなわち、それぞれ固定端36および浮遊端38)の周囲にさらに配設される。通電されると、スピンモータ48および50は、(鎖線52による
図1に表される)スピン軸を中心にして比較的高い速度でモノリシックCMGロータ22を回転させ、これは、一例では、毎分約10,000回転に近づくまたは越えるものであり得る。IGA24は、簡潔さの理由から、1つまたは複数のヒータ、放出弁、回転センサ等などの業界で標準であるが、本明細書中では詳細に説明されていない様々な他の構成要素をさらに備えてもよい。例えば、
図1に示されるように、IGA24は、回路カードおよび光学チョッパ54を含むタコメータ組立体をさらに装備してもよく、それによってCMG20の動作中にモノリシックCMGロータ22の回転速度および/または角度位置を監視する。
【0014】
[0018]
図1を続けて参照すると、ステータ組立体26は、ステータ組立体ハウジング56、およびトルクモータ58を含み、トルクモータ58は、トルクモジュール組立体として実現することができる。ステータ組立体ハウジング56は、ロータ支持構造28、より一般的にはIGA24を支持する。CMG20の動作中、トルクモータ58は、スピン軸52に直交した(鎖線60によって
図1に表される)ジンバル軸を中心にしてIGA24を選択的に回転させる。ジンバル軸受62(例えば、大口径の組合せ軸受)は、ステータ組立体ハウジング56とロータ支持構造28に間に配設されて、IGA24がジンバル軸60を中心に回転するときに摩擦を最小にする。IGA24の回転速度および/または角度位置を検出するために、CMG20は、タコメータ、リゾルバ等などの1つまたは複数のセンサを装備することができる。例えば、
図1に一部示されるように、光学式ロータリーエンコーダ64は、ステータ組立体ハウジング56内に配設されてもよく、それによってIGA24の速度および/または位置を監視する。
図1に示されていないが、CMG20は、電気信号および/または電力を、ステータ組立体26に取り付けられた、またはホストビークルに搭載して設置された電気部品(例えば、電源)から回転インタフェースを横切ってIGA24に組み込まれる電気部品(例えば、スピンモータ48および50)に伝達するのに適しているスリップリング組立体、または(信号モジュール組立体として通常実現される)他の装置を含むこともできるが、信号モジュール組立体は、全ての実施形態に含まれる必要はなく、IGA24は、比較的制限された回転角度を有する実施において除外されてもよい。
【0015】
[0019]CMG20が、宇宙船(例えば、人工衛星)、航空機または他のビークルに取り付けられることを可能にするために、取付け面66は、ステータ組立体ハウジング56の外部上に設けられる。取付け面66は、ホストビークルの壁に直接ボルト留めされてもよく、または代わりに、ビークルに取り付けられる中間取付け構造にボルト留めされてもよい内部を貫通する複数のボルト穴を有する、例えば、環状構造を備えてもよい。上述のように、所望のトルクをホストビークルに付与するために、トルクモータ58は、IGA24を選択的に回転させ、したがってジンバル軸60を中心にしてロータ22を回転させる。モノリシックCMGロータ22(および特に、後述のロータリム72)は、十分な質量であり、CMGの動作中に、その回転面からのロータ22の移動が、スピン軸52とジンバル軸60の両方に直角をなす出力軸を中心にしてかなり大きいジャイロスコープのトルクを引き起こすのに十分に高い回転速度で回転させられる。この出力トルクは、CMGロータ22からスピン軸受44および46、ロータ支持構造28、ジンバル軸受62、およびステータ組立体ハウジング56を介して取付け面66へ伝達されて、所望のジャイロスコープのトルクをホストビークルに付与し、それによって高度に制御可能な姿勢調整を実行する。
【0016】
[0020]
図1に示される例示的な実施形態では、ステータ組立体26が、IGAカバー68を含むように示されており、IGAカバー68は、IGA24およびモノリシックCMGロータ22の他の構成要素を封止で囲む。IGAカバー68は、真空に近い条件が、CMG20の地上試験中にステータ組立体26内に生成されることを可能にする。加えて、IGAカバー68は、モノリシックCMGロータ22、およびIGA24の他の構成要素(例えば、スピン軸受44および46)から熱を散逸させるための放射熱経路を与える。CMG20が宇宙船に搭載して設置された実施形態において、ある他の実施形態では、CMG20は、IGAカバー68を備えなくてもよい。しかし、設けられる場合、IGAカバー68は、CMG20の任意の追加の構成要素を支持することは必要とされず、IGAカバー68が伝達のための経路を用意することも必要とされない。したがって、IGAカバー68は、比較的薄い壁であると共に、完全またはほぼ完全な半球形状を有するように設計されてもよく、それによってCMG20の全体積および重量を最小にした。
【0017】
[0021]
図2および
図3は、それぞれ、モノリシックCMGロータ22の等角図および上面図である。ロータシャフト34に加えて、モノリシックCMGロータ22は、慣性要素またはロータリム72と、複数の半径方向に延びるスポーク74とを備え、これらは、ロータリム72をロータシャフト34に連結する。ロータスポーク74は、概して(
図1に特定される)ジンバル軸60を収容する面内に存在し、(
図1にもやはり特定される)スピン軸52に直交した縦軸に沿って延びる。ロータスポーク74は、ほぼ一定の間隔でスピン軸52(
図1)を中心にして円周方向にまたは角度で間隔をおいて配置され、例えば、CMGロータ22が7つのロータスポークを含む例示の例では、スポーク74は、約51.4°の間隔で離間される。この例にも関わらず、モノリシックCMGロータ22の実施形態が、スポークの総数が奇数であろうが偶数であろうが任意の実用的な個数のスポークを含むことができることを強調する。上で簡単に示されるように、
図4に関連して以下より十分に説明されるように、ロータスポーク74は、スピン軸52(
図1)に垂直な軸を中心にしてとるときに、それぞれ、比較的高いねじり応力の特性および高いねじり剛性を有するように製造される。同時に、ロータスポーク74は、スポークがロータシャフト34を連結する位置からスポークがロータリム72を連結する位置へ半径方向にとるときに、各スポーク74が、比較的適合または可撓性であるようにやはり製造される。このため、半径方向のスポーク74は、本明細書において以下、「ねじれに剛性のある、放射状に適合したスポーク74」またはより簡単には「放射状に適合したスポーク74」と呼ばれ得る。
【0018】
[0022]放射状に適合したスポーク74は、内側スポーク端76と、対向する外側スポーク端78とをそれぞれ備える。各外側スポーク端78は、その内周面82に沿ってロータリム72に連結される。反対に、各内側スポーク端76は、(
図3に特定される)ロータシャフト34の外周面80に連結される。
図1〜
図3に示されるように、ロータシャフト34の中間体または中間部分は、その中間部分に向かって移動するときに外径が増加して、拡大した中央ハブ領域を形成することができ、この拡大した中央ハブ領域にスポーク74の内側スポーク端76が接続され、好ましくは一体に連結される。そのような拡大した中央ハブ領域は、ロータシャフト34を剛化する。さらなる実施形態では、ロータシャフト34は、そのような拡大した中央ハブ領域を含まなくてもよく、代わりに、場合によりシャフト端部を除いて、シャフト本体の長さにわたって一定のままである比較的狭い外径を有してもよく、これは、典型的には、異なる直径のステップ部を有するように機械加工されて、1つまたは複数のスピンモータ(例えば、
図1に示されるスピンモータ48および50)、スピン軸受(例えば、
図1に示されるスピン軸受44および46)、および他のそのようなCMG構成要素を収納する。いずれにしても、ロータシャフト34は、半径方向のスポークの存在によってなお剛化され得る。これらの例にも変わらず、ロータシャフト34、ロータスポーク74、およびロータリム72の特定の寸法および幾何学的形状は、CMGロータ22の種々の実施形態の間で変わり得ることをやはり強調する。
【0019】
[0023]ロータリム72は、CMGロータ22の一次の慣性質量としての使用に適した任意の構造上の要素、グループ分け、または構造上の要素の集まりの形態を仮定することができる。
図1〜
図3に示されるように、ロータリム72は、典型的には、環状の単一部品の本体、またはモノリシックリングの形態を仮定する。例示の例では、スピン軸52(
図1)を含む切断面に沿ってとるとき、ロータリム72は、凸状外形を有する外周面84を含み、これは、リム72の質量を最大にしつつ、CMGロータ22に比較的コンパクトな外包を与える球の中央領域または赤道帯に近いが、ロータリム72の外側輪郭は、リム72の相対寸法となるので、いろいろとある実施形態の中で変わり得る。概して、ロータリム72の外径は典型的には、許容できる応力、運転ロータ速度、およびロータ重量によって決定され、一方、リム72の内径は最適化されて、所望の重量と運動量の比を実現することができる。ロータリム72の半径方向厚さの増加は、モノリシックCMGロータ22のトルク容量および運動量の能力を、対応する重量の罰則とともにではあるが、典型的には改善する。
【0020】
[0024]前述のように、CMGロータ22は、モノリシックまたは単一の本体または塊として製造されることが好ましい。そのような場合、
図1〜
図3に示される例示的な実施形態を参照すると、ロータシャフト34、ロータリム72、および放射状に適合したスポーク74は、単一部品として一体に連結される。このことは、
図4を参照することによってより十分に理解され得るものであり、
図4は、
図3中の線4−4に沿ったモノリシックCMGロータ22(部分的に図示)の断面図である。一体に連結された領域、またはモノリシックもしくは単一部品の部分のセクションの間の正確な境界は、幾分概念的であることを理解の上で、ロータリム72と、(それらのうちのただ1つが、
図4に完全に示される)放射状に適合したスポーク74の外側末端端部との間の全体的な境界または区分を視覚的に見分けるために、
図4に破線88が与えられる。破線86は、ロータシャフト34と、放射状に適合したスポーク74の内側末端端部との間の全体的な区分を視覚的に見分けるためにさらに設けられる。各放射状に適合したスポーク74の外側スポーク端78がロータリム72の内周面82に一体接続される領域は、本明細書中では「リム・スポーク連結界面」と呼ばれ、円89によって
図4には概して特定される。第1および2の円は、概して、第1のおよび第2の軸方向に間隔をおいて配置されたスポーク・シャフト連結界面90および92をそれぞれ特定し、それに沿って、内側スポーク端76の対向する縁部領域が、ロータシャフト34に連結される(内側スポーク端76の縁部領域は、
図1に示されるシャフト34の縦軸またはスピン軸52に沿って得られるときに対向していている)。
【0021】
[0025]
図4に示されるように、各放射状に適合したスポーク74は、所定の長さL
1を有し、長さL
1は、内側スポーク端76がロータシャフト34に接続する位置(例えば、後述の(1つまたは複数の)スポーク・シャフト連結界面)から外側スポーク端78がロータリム72に接続する位置(例えば、スポーク・リム連結界面89)へ延びるCMGロータ22の半径に沿って得られる。一実施形態では、非限定の例だけによって、スポーク長さL
1は、(「R
1」として
図4に示される)モノリシックCMGロータ22の半径の約半分より長い。両矢印「H
1」によって
図4にさらに特定されるように、外側スポーク端78は、所定の軸方向高さを有するようにそれぞれ製造される。非限定の例によって、
図1〜
図4にさらに示されるように、各外側スポーク端78の軸方向高さ(H
1)は、ロータリム72の軸方向高さ未満またはそれにほぼ等しいものであり得る。しかし、さらなる実施形態では、この寸法は、調整されてもよく、例えば、放射状に適合したスポーク74の交差軸の剛性を微調整するようになっている。
【0022】
[0026]円93によって
図4に示されるように、内側スポーク端76の中間部分は、ロータシャフト34の中間セグメントに同様に接続され、内側スポーク端76は、シャフトの高さ全体に沿ってロータシャフト34に一体につなぎ合わされるようになっている。しかし、ロータスポーク78の後述の高いねじり剛性の特性が、内側スポーク端76の対向する縁部領域の比較的広いスタンスによって、および具体的には、スポーク・シャフト連結界面90と92の間の軸方向の間隔の増加によって少なくとも大部分で与えられることに留意されたい。CMGロータ22のさらなる実施形態では、中間スポーク・シャフト連結界面93は、一部または全体が除去されて追加の質量低減が行われてもよく、各ロータスポーク78が、対向するスポーク・シャフト連結界面90および92によって単独でロータシャフト34に連結されるようになっている。スポーク・シャフト連結界面90および92を形成してこのやり方で軸方向の間隔の増加を有することによって、(「H
2」として
図4に特定される)内側スポーク端76の軸方向高さは増加されて、各ロータスポーク74の角度剛性を強化する。いくつかの実施では、各ロータスポーク74は、その内側スポーク端76が、軸方向高さ(H
2)を有するように製造することができ、軸方向高さ(H
2)は、その外側スポーク端78の高さ(H
1)よりもロータシャフト34の長さ(L
2)に大きさが近い。他の実施では、各内側スポーク端76が、(「R
1」として
図4に特定される)モノリシックCMGロータ22の半径(R
1)にほぼ等価な(すなわち、それに比べて約10%だけ異なる)軸方向高さ(H
2)を有してもよい。一般に、内側スポーク端76(H
2)の最大高さは、外側スポーク端78の最大高さ(H
1)より大きく、好ましくは、外側スポーク端78の最大高さ(H
1)の少なくとも2倍である。
【0023】
[0027]
図4を続けて参照すると、放射状に適合したスポーク74は、対向する縦方向の畝または突起96および98をそれぞれ含む。例示の例では、外側スポーク端78から内側スポーク端76へ半径方向内側に移動するとき(すなわち、
図1に示されるスピン軸52に向かって移動するとき)、各放射状に適合したスポーク74は、軸方向高さが増加するにつれて、ロータシャフト34への近さが増加すると共に、突起96および98は、互いからおよびジンバル軸60(
図1)から分かれる。好ましくは、放射状に適合したスポーク74は、軸方向に先細りの幾何学的形状をそれぞれが有するように製造され、この幾何学的形状は、半径方向外側への方向にスポークの長さまたは本体に沿って移動するとき、徐々にまたはステップのない軸方向高さの増加を与えるが、軸方向にステップのある外形を有するようにスポーク74を製造する可能性は、決して除外されていない。例えば、各放射状に適合したスポーク74の対向する縦方向の畝または突起96および98は、概してアーチ型の外形、傾斜した外形、または放物線状の外形がそれぞれ付与され得る。そのような軸方向に先細りの設計は、高速CMG動作中のハブの応力を減少させ、スポークの突起96および98が、一定の応力ビームとして概して機能することを可能にする。
【0024】
[0028](「CT
1」として
図3に特定される)比較的狭い横の厚さまたは弦歯厚さを有するように各ロータスポーク74を製造することによって、CMGロータ22の重量は、スポークのねじり剛性にほとんど影響を及ぼすことなくさらに減少させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、非限定の例によって各ロータスポーク74は、各外側スポーク端78の最大軸方向高さ(H
1)が、少なくとも2倍の半径方向のスポークの弦歯厚(CT
1)であるように、各ロータスポーク74の平均の軸方向高さが、少なくとも2倍の半径方向のスポークの弦歯厚(CT
1)、および各内側スポーク端76の最大軸方向高さ(H
2)が半径方向のスポークの弦歯厚(CT
1)の少なくとも4倍であるように製造することができる。例示の例では、スポーク74が、スポークの長さまたは本体に沿って(
図3中の「CT
1」として特定される)ほぼ一定の弦歯厚を有するが、代替の実施形態では、放射状に適合したスポーク74の弦歯厚が、スポークの長さに沿って変化してもよく、例えば、いくつかの実施形態では、各半径方向のスポークの弦歯厚が、ロータシャフト34およびスピン軸52(
図1)への近さが増加するにつれて弦歯厚が次第に増加するように、スポークの高さとほとんど同じやり方で先細りであってもよいことに留意されたい。
【0025】
[0029]1つまたは複数のくぼみが、各ロータスポーク74内に形成されてもよく、および/または1つまたは複数の横開口が、各ロータスポーク74を通じて形成されてもよく、それによってスポークの質量をさらに減少させる。例えば、
図2および
図4に示されるように(
図1から省かれている)、肉抜き穴または窓94が、各ロータスポーク74の本体を通じて切断されもよく、または他のやり方で各ロータスポーク74の本体に形成されてもよい。好ましくは、各横窓94は、ロータスポーク74の中間部分を通じて形成され、(
図4に名前を付けられた)対向する突起96および98のどちらかを破らないで、角度スポーク剛性を維持する。
図2および
図4に示される例示的な実施形態では、ほぼ長方形プラットフォームの幾何学的形状を有するものとして示されているが、CMGロータ22のさらなる実施形態では、各窓94は、様々な他の形状(例えば、丸い幾何学的形状)を想定してもよい。
【0026】
[0030]ロータシャフト34の長さ(L
1)に対して内側スポーク端76の高さ(H
2)を上記のやり方で最大にし、それによってスポーク・シャフト連結界面90および92をロータシャフト34の対向する末端端部に向かって移動させることによって、ロータスポーク74の角度剛性またはねじり剛性が改善され得る。そのような高いねじりスポーク剛性によって、モノリシックCMGロータ22は、トルクモータ58によって加えられるトルクへの高い応答を残し、したがって非常に制御可能でありつつ、格段に急速な回転速度で回転することを可能にする。比較的高いねじり剛性を有することに加えて、各放射状に適合したスポーク74は、引張ひずみ除去形状構成を含むようにも製造されており、引張ひずみ除去形状構成は、例えば、ロータスピン軸に沿って見られるようなスポーク本体の湾曲したまたは直線でないセクションであってもよい。例示的なCMGロータ22の場合、具体的には、各スポーク74は、湾曲したスポークのセグメント99を有するように製造され、この湾曲したスポークのセグメント99は、引張ひずみ除去形状構成としての役割を果たす。いくつかの場合には、湾曲したスポークのセグメント99は、ほぼC形または放物線状の幾何学的形状を有してもよい。代替として、湾曲したスポークのセグメント99は、スピン軸52(
図1)に沿って見られるような波状の幾何学的形状、起伏のある幾何学的形状、または曲がりくねった幾何学的形状を有してもよく、例えば、
図1〜
図4に示されるように、内側スポーク端76から外側スポーク端78に向かって移動するとき,各スポークセグメント99は、概してS形の経路に従うことができる。この構造上の構成の結果として、放射状に適合したスポーク74の湾曲したセグメント99は、CMGロータ22の高速回転中、曲げたわみによって外に真っ直ぐ伸ばし、したがってその半径方向長さを増大させ、用語「半径方向長さ」は、本明細書で見られる場合、ロータスポークがロータシャフトに連結する位置からロータスポークがロータリムに連結する位置へCMGロータ(例えば、CMGロータ22)の半径に沿ってとられるとき、ロータスポークの長さを示す。
【0027】
[0031]CMGロータ22が、その動作速度にもたらされると、ロータリム72は、ロータスポーク74がするよりも素早く半径方向に外側に拡張する傾向があり得る。直線または直線的なロータスポークを有する従来のCMGロータとは対照的に、これは、スポークの応力を増大させ、ロータ速度を制限し、これはロータの運動量の能力を制限する。したがって、ロータスポークを湾曲させる、または他のやり方で本明細書に記載したタイプの引張ひずみ除去形状構成(例えば、
図1〜
図4に示される湾曲したセグメント99)を含むようにスポーク74を製造することによって、放射状に適合したスポーク74は、リム72の外側への半径方向の成長に関連して半径方向に拡張することが可能にされ、小さい値の曲げ応力だけを引き起こしつつ、引張スポーク応力を最小にする。このようにして、CMGロータは、ロータスポークの応力制限によって必要以上の制限なしに、ロータの応力制限速度でまたはそれに近い制限速度で動作することができる。
【0028】
[0032]
図1〜
図4に関連して上述した例示的な実施形態では、ひずみ除去形状構成は、スポーク本体の波状の領域を形成すると想定するが、引張ひずみ除去形状構成は、代替の実施形態では、他の形態を想定してもよい。例えば、さらなる実施形態では、引張ひずみ除去形状構成は、スポーク本体の環状(すなわち、リング形または円形)セグメント、フォーク形セグメント、または分岐したセグメントなど、ロータのスピン軸に沿って見られるような、細長いスポーク本体の湾曲したまたは直線でない他のタイプのセクションとして実現することができる。さらに、この点を示すとき、
図6は、CMGロータ100および補助的なリム101の等角図であり、補助的なリム101は、CMGロータ100の周囲に取り付けられて、ロータ組立体100、102を作り出す。多くの点で、CMGロータ100は、
図1〜
図4に関連して上述したCMGロータ22に類似する。従来そうであったように、CMGロータ100は、ロータシャフト104と、ロータリム106と、ロータシャフト104をロータリム106に連結する複数の円周方向に間隔をおいて配置したスポーク108とを備える。ロータスポーク74は、ロータシャフト104の外周面に連結される内側端110と、ロータリム104の内周面に連結され対向する外側端112と、内側シャフト端部110と外側スポーク端112の間に配設される中間部分または中間部114とをそれぞれ含む。好ましくは、CMGロータ100は、モノリシック本体として製造され、ロータスポーク108、ロータシャフト104、およびロータリム106は、単一の部品として一体に連結されるようになっているが、これは、全ての実施形態においてそうである必要はない。
【0029】
[0033]
図1〜
図4に関連して上述したCMGロータ22の放射状に適合したスポーク74であるとき、好ましくは、CMGロータ100のロータスポーク108は、ロータリム106からロータシャフト104に向かって半径方向内側へ移動するときに次第に増大する軸方向高さを有するように各スポーク108を例えば製造することによって比較的高いねじり剛性がそれぞれ付与される。加えて、CMGロータ100のロータスポーク108は、1つまたは複数の引張ひずみ除去形状構成をやはり含むように製造されて、各スポーク108に所定の半径方向適合性を付与する。しかし、CMGロータ22(
図1〜
図4)とは対照的に、CMGロータ100のひずみ除去形状構成は、ロータスピン軸に沿って見るときに、各ロータスポーク108の分岐した中間部114として実現される。各スポーク中間部114が、内側スポーク端110から外側に延びるとき、各スポーク中間部114は、2つの湾曲した脚または曲がった脚に分かれ、この脚は、外側スポーク端112に再び合流するまである距離について隣り合わせの関係で延びる。分岐した中間部114の曲がった脚は、CMGロータ100のスピン軸にほぼ平行な軸に沿って各中間部114を通じて形成された軸方向開口部116によって一部画定される。CMGロータ100の高速動作中、分岐したスポーク中間部114は、曲げによってたわみ、曲がった脚は合流し、各半径方向のスポーク108の半径方向長さは、上記のやり方でロータリム106の外側への拡張を収納するように増大するようになっている。さらなる実施形態では、スポーク中間部114は、拡大されてもよく、各中間部114の曲がった脚の外形は、各放射状に適合したスポークに概してリング形または環状の幾何学的形状を付与するように変更されてもよい(例えば、各脚は、ロータスピン軸に沿って見られるような概して半球状の外形に従ってもよい)。そのような場合、放射状に適合したスポークは、本出願の内容において分岐したスポークセクションを含むとさらに考えられる。
【0030】
[0034]
図5を続けて参照すると、補助的なリム102は、ロータ組立体100、102の生産中にロータリム106の周囲に固定される。第1の例では、補助的なリム102は、金属または合金(例えば、鋼鉄)から一部品のリングとして製造することができる、これは、締まりばめプロセスまたはサーマルフィットプロセスを利用してロータリム106の周囲に取り付けられる。代替として、補助的なリム102は、CMGロータ100が製造される母材より高い係数を有する炭素繊維複合材などの複合材料から製造することができる。この場合、補助的なリム102は、CMGロータ100とは別個に予備硬化され、次いでロータリム106の周囲に装着されてもよく、または代わりに、可鍛性、予備硬化、または生の状態にあるときにリム106に巻き付けられ、その後、製造中に硬化される。そのような場合、ロータ100の構造上の要素(すなわち、ロータリム106、ロータスポーク108、およびロータシャフト104)が、単一の本体または単一部品として一体に形成されるとき、CMGロータ100は、モノリシックの構成によってさらに特徴付けられ得る。そのような補助的なリムをモノリシックCMGロータ100の周囲に取り付けることによって、補助的なリム102は、ロータリム106およびロータスポーク108を圧縮状態に置くことによって、および/またはロータリム106のフープ強度を補強することによって作用応力を減少させる。これは、さもなければ回転速度およびロータの寿命を望ましくなく制限し得る溶接継手がさらにないままで、改善された作用応力の特性を有するロータ組立体の生産を可能にする。本発明のさらなる実施形態では、
図1〜
図4に示されるCMGロータ22は、補助的なリムと組み合わすこともできて、ロータ組立体をもたらす。
【0031】
[0035]
図6は
図1〜
図4に関連して上述したCMGロータ22、または
図5に関連して上述したCMGロータ100などの、モノリシックCMGロータを含む制御モーメントジャイロスコープを製造する例示的な方法120を示す流れ図である。例示的な方法120は、モノリシックまたは一部品のCMGロータ予成形品を生産するステップを開始する(ステップ122)。一実施形態では、モノリシックロータ予成形品は、単一のビレットを円筒などの所望のバルク形状に鍛造することによって製造される。好ましくは、ビレットは、高い引張強度および降伏強度を有し、中程度から良好な延性を有し、および低いライフサイクル疲労特性を有する比較的高密度の合金で構成される。適切な材料には、高強度鋼が含まれるが、それらに限定されない。次に、ステップ124で、鍛造物または一部品のCMGロータ予成形品は、バルク機械加工を受け、その間にビレットの大部分は、仕上がったモノリシックCMGロータのニアネットシェイプを定めるために除去される。例えば、バルク機械加工中、一部品のCMGロータ予成形品の上領域および下領域は、ロータシャフトの上端および下端を定めるために除去することができ、CMGロータ予成形品の外周は、ロータリムの外側の幾何学的形状を定めるために丸められてもよい。次いで、熱処理が実行されてもよく(ステップ126)、これは熱間等静圧圧縮成形(「HIP」)プロセス、および場合によっては1つまたは複数の追加の高温処理のステップを伴い得る。
【0032】
[0036]例示的な方法120(
図6)を続けると、ニアネットロータ予成形品のさらなる機械加工が、次に、CMGロータのより複雑な特徴を定めるために実行されてもよい(ステップ128)。例えば、
図1〜
図4に示されるCMGロータ22、および
図5に示されるCMGロータ100を参照すると、円周方向に間隔をおいて配置した貫通穴が、複数の放射状に適合した半径方向のスポークの側面側壁を定めるようにスピン軸にほぼ平行な軸に沿ってロータ予成形品の本体を通じて切断されてもよい。このようにして、複数の放射状に適合した半径方向のスポークが、ロータシャフトに一体につなぎ合わされる内側スポーク端と、ロータリムの内周面に一体につなぎ合わされる外側スポーク端とをそれぞれ含むように製造することができる。ポークがロータシャフトに連結する位置からスポークがロータリムに連結する位置へとったとき、半径方向のスポークは、各スポークに所定の半径方向適合性または可撓性を付与するのに適した引張ひずみ除去形状構成を含むように製造されることが有利である。非限定の例によって、引張ひずみ経常構成は、
図1〜
図4に関連して上述されたようなスポーク本体の波状セクションであってもよく、
図5に関連して上述されたようなものなどのスポーク本体の概して円形セクション、環状セクションもしくは分岐セクションであってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。半径方向のスポークは、前述のようにロータシャフトへの近さが増加するにつれて次第に増加する先細りの軸方向高さ、および/またはロータシャフトへの近さが増加するにつれて同様に増加する先細りの弦歯厚を有するように製造されることも有利である。
【0033】
[0037]次に、ステップ130(
図6)で、1つまたは複数の追加の製造ステップが、必要に応じて、モノリシックCMGロータの製造を完成するために実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、補助的なリム(例えば、鉄鋼リング)が、
図5に関連して上述したようにサーマルフィットまたは締まりばめを利用してモノリシックCMGロータのリムの周囲に取り付けられてもよい。補助的なリムは、複合材料から製造することもでき、複合材料は、予備硬化され、次いでロータリムの周囲に装着されるか、または代わりに、生の予備硬化状態でモノリシックCMGロータのリムに巻き付けられ、次いでステップ130中に所定の位置に硬化される。例示的な方法120(
図6)を完結するために、CMGロータを、そのホストCMGの内部ジンバル組立体内で検査および装着することができる(ステップ132)。一実施形態では、検査は、特徴決定プロセスを伴うことができ、その間にCMGロータは、X線検査または別の検査法を利用して構造上の欠陥について調べられる。CMGロータ22および/またはCMGロータ100を、上記のやり方で一部品の予成形品(または単一の鍛造したビレット)から製造し、したがって複数の別個に製造された構成要素の溶接またはそれ以外では連結の必要をなくすことによって、CMGロータ22および/またはCMGロータ100の製造に関連した時間およびコストが、シェルロータ、および他の従来より知られている複数部品のロータの製造に比べてかなり減少させることができる。
【0034】
[0038]上記を考慮して、シェルロータ組立体および他の従来より知られているCMGロータ組立体に比べて、改善された性能特性(例えば、重量当たりの運動量の比の増加、より高い速度制限、より長い動作の寿命など)を有する改良型ロータを含む制御モーメントジャイロスコープの複数の例示的な実施形態を理解されたい。上記のCMGの実施形態は、モノリシックCMGロータを用いたものであり、モノリシックCMGロータは、コスト効率および時間効率の良い製造プロセスを利用する生産に適している。特に、上記のCMGは、放射状に適合したスポークを有するCMGロータを含んだものであり、放射状に適合したスポークは、高速ロータ回転中に半径方向長さの増加に対する曲げ作用によってたわみ、それによってスピン応力を緩和し、より効率的で、より高速のCMGロータの設計を可能にする。好ましい実施形態では、放射状に適合したスポークは、少なくとも1つの引張ひずみ除去形状構成をそれぞれ含むように製造されたものであり、少なくとも実質的な一部において、CMGロータの高速回転中のひずみ除去形状構成の曲げたわみによりスポークを長くすることを可能にし、それによってロータリムの半径方向の拡張を収納し、それによって、スポーク本体に沿ってかつロータスポークがロータリムとシャフトとに接続する連結界面でスピン応力を減少させる。前述の例は、そのような高性能ロータを含むCMGを生産するのに適した製造プロセスも提供した。
【0035】
[0039]少なくとも1つの例示的な実施形態が、前述の詳細な説明に示されたが、膨大な数の変形形態が存在することを理解されたい。例示的な一実施形態または複数の例示的な実施形態は、例に過ぎず、本発明の範囲、適用範囲、または構成を何らかの形で限定するものではないことも理解されたい。むしろ、前述の詳細な説明は、当業者に、本発明の例示的な実施形態を実行するための便利なロードマップを与えるものである。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱されることなく、例示的な実施形態に記載した要素の機能および配置の様々な変更がなされ得ることが理解されよう。