【文献】
ベーシック薬学教科書シリーズ20 薬剤学(第2版),(株)化学同人,2013年 4月10日,p.106-110
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(E)が、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール及びリモネンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項3記載の外用塗布剤。
成分(A)の含有量が、ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で、外用塗布剤100質量部中、0.01〜10質量部である請求項1〜4のいずれか1項に記載の外用塗布剤。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<成分(A)>
本発明の外用塗布剤に含まれるロキソプロフェン又はその塩には、ロキソプロフェンそのもののほか、ロキソプロフェンの薬学上許容される塩、さらにはこれらと水やアルコール等との溶媒和物も含まれる。本発明においては、ロキソプロフェンナトリウム水和物(化学名:Monosodium 2-[4-[(2-oxocyclopentyl)methyl]phenyl]propanoate dihydrate)が好ましい。
ロキソプロフェン又はその塩は公知の化合物であり、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。
【0011】
また、ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)の含有量は、所望の消炎鎮痛効果に応じて適宜検討すればよく、外用塗布剤100質量部中、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がさらに好ましい。
【0012】
<成分(B)>
本発明の外用塗布剤に含まれるイソプロパノールは、示性式がCH
3CH(OH)CH
3と表される2価アルコールの1種の公知化合物である。命名法の違いにより、2−プロパノール、プロパン−2−オール、イソプロピルアルコールなどとも表記される。
イソプロパノールの含有量は、イソプロパノールが有する外用塗布剤における澄明性調節能等に応じて適宜検討すればよく、外用塗布剤100質量部中、5〜70質量部が好ましく、7〜60質量部がより好ましく、10〜50質量部がさらに好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(B)イソプロパノールとの含有量の質量比率〔(B)/(A)〕としては、1〜60が好ましく、3〜50がより好ましく、5〜40がさらに好ましい。
【0013】
また、イソプロパノールは、公知の方法により製造できるほか、市販のものを用いることができる。例えば、第16改正日本薬局方解説書に記載の「イソプロパノール」を使用すればよい。
【0014】
本発明の外用塗布剤は、第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の公知の方法に基づき、成分(A)及び(B)を、必要に応じて、後述の成分(C)や(D)、通常用いられるその他製剤添加物と混合し、溶解又は分散させ、所望により固化等することにより製造することができる。
また、本発明の外用塗布剤の剤形としては、外用固形剤(チック剤)、外用液剤(リニメント剤、ローション剤)、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等が挙げられるが、外用固形剤、外用液剤が好ましく、外用塗布剤の塗布・塗擦時の不快感に繋がるべたつきや展延性を考慮すると、外用固形剤がより好ましい。また、外用固形剤の基剤としては、石けんゲル基剤が好ましい。
【0015】
<成分(C)>
本発明の外用塗布剤は、基剤としてアルコール(以下、成分(C)ということもある。)を含むものが好ましく、成分(C)のアルコールは、成分(B)のイソプロパノールと後述する成分(E)テルペン類のうちアルコール性水酸基を有するものとを除くアルコールを意味する。
アルコールとしては、1価アルコール、多価アルコールに大別され、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、メタノール変性アルコール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、八アセチルしょ糖変性アルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアルコール変性アルコール等が挙げられる。これらの中でも、エタノール、メタノール変性アルコール、八アセチルしょ糖変性アルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアルコール変性アルコール等が好ましい。
【0016】
また、多価アルコールはアルコール性水酸基を複数有し、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール;エリスリトール、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール等が挙げられる。これらの中でも、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
【0017】
アルコールの含有量としては、外用塗布剤100質量部中、通常10〜90質量部であり、15〜85質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましく、30〜70質量部が更に好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(C)アルコールとの含有量の質量比率〔(C)/(A)〕としては、外用塗布剤の剤形が外用固形剤の場合、これに適度な硬さを付与する観点から、10〜90が好ましく、15〜85がより好ましく、20〜80がさらに好ましく、30〜70が特に好ましい。
【0018】
また、成分(B)のイソプロパノールと上記1価アルコールとの合計含有量としては、外用塗布剤100質量部中、5〜70質量部が好ましく、7〜60質量部がより好ましく、10〜50質量部がさらに好ましい。
また、上記多価アルコールの含有量としては、外用塗布剤100質量部中、5〜80質量部が好ましく、10〜70質量部がより好ましく、20〜60質量部がさらに好ましい。
また、上記多価アルコールとしては、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選ばれる1種以上とグリセリンの組合せが好ましい。この場合において、グリセリンの含有量としては、外用塗布剤100質量部中、1〜60質量部が好ましく、3〜50質量部がより好ましく、5〜40質量部がさらに好ましい。
【0019】
<成分(D)>
本発明の外用塗布剤としては、斯かる塗布剤の剤形を固形剤とする際の基剤として、飽和高級脂肪酸塩(以下、成分(D)ということもある。)を含むものが好ましい。
飽和高級脂肪酸塩としては、炭素数12〜22のものが好ましい。例えば、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、ペンタデカン酸塩、パルミチン酸塩、マルガリン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩、アラキジン酸塩、ベヘン酸塩等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、炭素数14〜22のものがより好ましく、具体的にはパルミチン酸塩、ミリスチン酸塩、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩が好ましく、ステアリン酸塩、イソステアリン酸塩がより好ましいものとして挙げられる。
また、斯様な塩としては、アルミニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等の無機塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
また、飽和高級脂肪酸塩の好適な具体例としては、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸ナトリウム等が挙げられ、より好ましくはステアリン酸ナトリウムである。
【0020】
なお、飽和高級脂肪酸塩を用いて外用固形剤とする場合、飽和高級脂肪酸、好ましくは炭素数12〜22のもの及びこれと塩を形成するカチオンを解離する化合物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等)を配合して飽和高級脂肪酸塩を形成させてもよい。また、飽和高級脂肪酸塩(飽和高級脂肪酸のナトリウム塩等)を含む石けん用素地や薬用石けんを用いてもよい。
【0021】
外用固形剤における飽和高級脂肪酸塩の含有量としては、外用固形剤100質量部中、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましく、5〜10質量部が特に好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(D)飽和高級脂肪酸塩との含有量の質量比率〔(D)/(A)〕としては、外用固形剤に適度な硬さを付与する観点から、1〜25が好ましく、3〜15がより好ましく、5〜10がさらに好ましい。
【0022】
上述したその他製剤添加物としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、クロタミトン、スクワラン、スクワレン、セバシン酸ジエチル、ヒマシ油、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル等の油分;ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エスエル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール、ポリオキシエチレンセチルエーテル等の界面活性剤;オレイルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール;塩酸、酢酸ナトリウム水和物、酒石酸、酒石酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム等のpH調節剤;抗酸化剤等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
抗酸化剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、亜硫酸水素ナトリウム、アルファチオグリセリン、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、乾燥亜硫酸ナトリウム、クエン酸水和物、ジクロルイソシアヌール酸カリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、チオグリコール酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、天然ビタミンE、トコフェロール、d−δ−トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、濃縮混合トコフェロール、パルミチン酸アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、1,3−ブチレングリコール、ベンゾトリアゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、没食子酸プロピル、2−メルカプトベンズイミダゾール、リンゴ酸等が挙げられる。中でも、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、天然ビタミンE、トコフェロール、d−δ−トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、1,3−ブチレングリコール、ピロ亜硫酸ナトリウム等が好ましい。
本発明の外用塗布剤に抗酸化剤を含有せしめる場合、その含有量は、抗酸化剤の種類等に応じて適宜検討すればよいが、外用塗布剤100質量部中、0.01〜50質量部が好ましく、0.02〜10質量部がより好ましく、0.03〜2質量部がさらに好ましい。
【0024】
また、抗酸化剤として、リンゴ酸及び/又はクエン酸水和物を用いる場合は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸と併用するのが好ましい。抗酸化剤を含む場合におけるリンゴ酸及び/又はクエン酸水和物の含有量としては、外用固形剤100質量部中、0.1〜3質量部が好ましく、一方、高級脂肪酸の含有量としては、0.1〜5質量部が好ましい。
【0025】
また、本発明の外用塗布剤には、ロキソプロフェン又はその塩以外の薬物、例えば、局所刺激成分、鎮痛成分、抗炎症成分、殺菌・消毒成分、収れん・保護成分、血行促進成分、抗ヒスタミン成分、生薬類等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を含んでいてもよい。
【0026】
局所刺激成分としては、例えば、カプサイシン、テルペン類、ノナン酸バニリルアミド等が挙げられる。
鎮痛成分としては、例えば、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル等が挙げられる。
抗炎症成分としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム等が挙げられる。
殺菌・消毒成分としては、例えば、チモール等が挙げられる。収れん・保護成分としては、例えば、酸化亜鉛等が挙げられる。
血行促進成分としては、例えば、ニコチン酸ベンジル、ヘパリン類似物質、ポリエチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0027】
抗ヒスタミン成分としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、エメダスチンフマル酸塩等が挙げられる。
生薬類としては、例えば、アルニカ、鬱金、黄柏、黄連、乾姜桂皮、紅花、山梔子、セイヨウトチノミ、蕃椒、木天蓼、楊梅皮等及びこれらの抽出物(エキスやチンキ等)が挙げられる。
【0028】
<成分(E)>
本発明の外用塗布剤には、上述したとおり、種々の薬物を含有せしめることができるが、中でも、鎮痛鎮痒作用に基づく局所刺激作用や保形性の観点から、テルペン類(以下、成分(E)ということもある。)を含有せしめることが好ましい。テルペン類は、特に限定されるものでなく、モノテルペン、セスキテルペン等が挙げられる。
斯様なテルペン類としては、例えば、イソボルネオール、イロン、オシメン、カルベオール、カルボタナセトン、カルボメントン、カルボン、カレン、カロン、カンフェン、カンフル、ゲラニオール、サビネン、サフラナール、シクロシトラール、シトラール、シトロネラール、シトロネル酸、シトロネロール、シネオール、シメン、シルベストレン、イソツジョール、ツジョン、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、トリシクレン、ネロール、ピネン、ピノカンフェオール、ピノール、ピペリテノン、フェランドラール、フェランドレン、フェンチェン、フェンチルアルコール、ペリリルアルコール、ペリリルアルデヒド、ボルネオール、ミルセン、メントール、メントン、ヨノール、ヨノン、リナロール、リモネン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、カンフル、ゲラニオール、シトロネラール、テルピネオール、ボルネオール、メントール、リモネン等が好ましく、カンフル、メントールがより好ましく、dl−カンフル、l−メントール、dl−メントールが特に好ましい。
【0029】
また、上記テルペン類を外用塗布剤に含有せしめる場合、上述のようなテルペン類を含む精油を用いてもよい。
斯様な精油としては、例えば、アニス油、イランイラン油、イリス油、ウイキョウ油、オレンジ油、カナンガ油、カミツレ油、カヤプト油、カラウェー油、クベブ油、グレープフルーツ油、ケイヒ油、コリアンダー油、サフラン油、サンショウ油、シソ油、シトリオドラ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、ショウズク油、樟脳油、ジンジャーグラス油、スペアミント油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、ダイウイキョウ油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、バジル油、ハッカ油、パルマローザ油、ピメント油、プチグレン油、ベイ油、ペニローヤル油、ヘノポジ油、ベルガモット油、ボアドローズ油、ホウショウ油、マジョラン油、マンダリン油、メリッサ油、ユーカリ油、ライム油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、イランイラン油、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、ケイヒ油、シソ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、樟脳油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、ハッカ油、パルマローザ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等が好ましく、樟脳油、セイヨウハッカ油、ハッカ油がより好ましく、ハッカ油が特に好ましい。
【0030】
また、テルペン類の含有量は、外用塗布剤における所望の鎮痛鎮痒作用に基づく局所刺激作用等に応じて適宜検討すればよく、外用塗布剤100質量部中、0.01〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましく、0.5〜7質量部がさらに好ましい。
また、(A)ロキソプロフェン又はその塩(ロキソプロフェンナトリウム無水和物換算)と(E)テルペン類との含有量の質量比率〔(E)/(A)〕としては、0.01〜15が好ましく、0.1〜10がより好ましく、0.5〜7が更に好ましい。
【0031】
なお、テルペン類が水酸基を有する場合は、その水酸基とロキソプロフェンのカルボキシ基とのエステル形成を抑制する観点で、尿素、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等の炭酸金属塩、亜硫酸水素ナトリウム、2−メルカプトベンズイミダゾール等をさらに含有せしめてもよい。これらを含む場合におけるこれら成分の含有量は、適宜検討すればよいが、外用塗布剤100質量部中、尿素は0.5〜3質量部含有せしめるのが好ましい。この場合特に、炭酸金属塩は0.01〜3質量部含有せしめるのが好ましく、亜硫酸水素ナトリウムは0.01〜2質量部含有せしめるのが好ましく、2−メルカプトベンズイミダゾールは0.01〜2質量部含有せしめるのが好ましい。
【0032】
本発明の外用塗布剤は容器に収納するものであるが、その容器としては、密閉容器を用いるのが好ましい。密閉容器としては、ボトル、ジャーボトル、チューブ容器、押出し式やダイヤル式の繰り上げ下げ式容器等が挙げられる。外用固形剤については、その使用・収納の観点からは、押出し式やダイヤル式の繰り上げ下げ式容器が好ましい。
【0033】
そして、後記実施例に記載のとおり、本発明の外用塗布剤は低温下や高温下で保存した後であっても、澄明な外観を有するため、商品価値が高い。
また、ロキソプロフェン又はその塩は、フェニルプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛剤としての消炎鎮痛効果を発揮するので、本発明の外用塗布剤は医療用医薬品やOTC医薬品として用いることができ、経皮吸収型の鎮痛・抗炎症剤として極めて有用である。対象となる症状、疾患としては、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛、肩こり、肩こりに伴う肩の痛み、腰痛、関節痛、腱鞘炎、肘の痛み、打撲、捻挫、骨折痛、筋肉疲労等が挙げられる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
試験例1
表1に示す濃度になるように、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l−メントール、日本薬局方濃グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール及び水を混合して溶解し、外用液剤を得た。得られた外用液剤100gを透明なガラス瓶に充填して密栓した。
得られた外用液剤の外観(澄明性・異物や析出物の有無)を肉眼で確認し、次いで、これを60℃及び−20℃で保存して、1ヶ月後の外用液剤における外観を検査した。結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
参考例1及び実施例1の外用塗布剤用液はいずれも澄明であり、特段の問題がないことが判断できた。
【0038】
試験例2
表2に示す濃度になるように、ロキソプロフェンナトリウム水和物、l−メントール、ステアリン酸ナトリウム、日本薬局方濃グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール及び水を混合して溶解し、外用固形剤用液を得た。得られた外用固形剤用液100gを透明なガラス瓶に充填し室温で固化させ、ガラス瓶に充填した外用固形剤を得た。
得られた外用固形剤の外観(澄明性・異物や析出物の有無)を肉眼で確認し、次いで、これを60℃及び−20℃で保存して、1ヶ月後の外用固形剤における外観を検査した。結果を表2に示した。
【0039】
【表2】
【0040】
比較例1の外用固形剤を高温下及び低温下で保存すると、不溶物や結晶が析出し、澄明な外観を維持することができなかった。一方、実施例2の外用固形剤を苛酷な高温下及び低温下で保存しても澄明であり、特段の問題がないことが分かった。
【0041】
試験例3
試験例2で得た実施例2の外用固形剤を40℃相対湿度75%で保存して、1週間後の外用固形剤における保存前後の減少率を測定した。減少率の測定は、保存前後の外用固形剤の体積を測定することにより求めた。結果、減少率は6%であり、保存開始時と比較して外用固形剤の体積減少はほとんど認められなかった。
【0042】
試験例4
表3及び4に示す各成分を所望により加熱して溶解し、容器に充填後室温に冷却して、処方1〜13の外用固形剤を製造した。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】