特許第6189691号(P6189691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189691
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】回転電機の固定子
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   H02K3/28 J
   H02K3/28 K
   H02K3/28 N
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-195442(P2013-195442)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-61476(P2015-61476A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 正克
(72)【発明者】
【氏名】松岡 佑将
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−156245(JP,A)
【文献】 特開昭56−129543(JP,A)
【文献】 特開昭59−086445(JP,A)
【文献】 特開2013−207972(JP,A)
【文献】 特開2007−267570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子鉄心の複数のスロットに複数相のコイルが設けられた回転電機の固定子であって、
各相の前記コイルは、それぞれ、磁極を形成する複数の単位コイルを有しており、電源端子側の前記単位コイルが前記スロット内において同相の前記コイルに含まれる前記単位コイルとともに配置され、中性点側の前記単位コイルが前記スロット内において異相の前記コイルに含まれる前記単位コイルとともに配置されている回転電機の固定子。
【請求項2】
各相の前記コイルは、それぞれ、電源端子側の少なくとも1つの前記単位コイルが前記スロット内において同相の前記コイルに含まれる前記単位コイルとともに配置されている請求項1に記載の回転電機の固定子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機の固定子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回転電機には高トルク化や高出力化が求められており、これに伴い、コイルに印加される電圧が高くなってきている。そして、このような印加電圧の高電圧化に伴い、異相のコイル間における絶縁信頼性の向上が求められている。このような絶縁信頼性の向上は、例えば異相のコイルが配置されるスロット内に絶縁紙を挿入することにより行われている。しかし、この技術では、絶縁紙を挿入するためのスペースが必要となることからコイルの大きさや断面積が制限されてしまい、回転電機の出力効率が悪化してしまう。そこで、例えば特許文献1には、異相のコイルが配置されるスロットを分散させることにより、絶縁紙が必要となるスロット数を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−121491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来技術によっても、絶縁信頼性の確保が必要となるスロット数を十分に低減することができず、従って、コイルに対する印加電圧の高電圧化、ひいては回転電機の高トルク化や高出力化に十分に対応することができない。そこで、絶縁信頼性の確保が必要となるスロット数の一層の低減化を図ることができる技術が求められている。
【0005】
本実施形態は、絶縁信頼性の確保が必要となるスロット数の一層の低減化を図ることができ、回転電機の高トルク化や高出力化に対応することができる回転電機の固定子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る回転電機の固定子は、固定子鉄心の複数のスロットに複数相のコイルが設けられた回転電機の固定子であって、各相のコイルは、それぞれ、磁極を形成する複数の単位コイルを有しており、電源端子側の単位コイルがスロット内において同相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置され、中性点側の単位コイルがスロット内において異相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る回転電機の固定子を構成する固定子鉄心の展開図
図2】本実施形態に係る各相のコイルの接続態様の一例を模式的に示す図
図3】本実施形態に係るU相コイルの巻線パターンの一例を示す図1相当図
図4】本実施形態に係るV相コイルの巻線パターンの一例を示す図1相当図
図5】本実施形態に係るW相コイルの巻線パターンの一例を示す図1相当図
図6】従来構成の一例を示す図1相当図
図7】変形例を示す図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、回転電機の固定子に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。例えば図1には、本実施形態に係る回転電機の固定子を構成する固定子鉄心の展開図の一例を示しており、この固定子鉄心には、複数のスロットS[n]が設けられている。この場合、固定子鉄心には、48個のスロットS[1]〜S[48]が設けられており、図には、そのスロット番号のみを示している。これらスロットS[1]〜S[48]には、複数相、この場合、3相のコイル3,4,5が設けられている。この場合、図1に実線で示すコイル3はU相に対応し、破線で示すコイル4はV相に対応し、一点鎖線で示すコイル5はW相に対応している。詳しい説明は省略するが、このように固定子鉄心の各スロットに各相のコイルが設けられることで固定子が構成され、この固定子の内周側に回転子が回転可能に配置されることで、回転電機が構成される。なお、固定子鉄心は、周知のように、例えば電磁鋼板をプレスにより打ち抜いた鉄心材を積層することにより概ね円筒状に形成したものであり、その内周壁に複数のスロットを有する構成となっている。
【0009】
次に、各相のコイル3,4,5の構成例について説明する。なお、以下、コイル3をU相コイル3と称し、コイル4をV相コイル4と称し、コイル5をW相コイル5と称する。例えば図2に示すように、U相コイル3は、第1直列回路U1と第2直列回路U2とが並列に接続された構成となっている。第1直列回路U1は、それぞれ磁極を形成する複数個、この場合、8個の単位コイルU11〜U18が直列に接続された構成である。第2直列回路U2は、それぞれ磁極を形成する複数個、この場合、8個の単位コイルU21〜U28が直列に接続された構成である。これら第1直列回路U1および第2直列回路U2は、それぞれの一方の端部が共通の電源端子6(U相)に接続されており、それぞれの他方の端部がそれぞれ個別に異相のコイルに接続されて中性点N1および中性点N2を形成している。
【0010】
また、V相コイル4は、第1直列回路V1と第2直列回路V2とが並列に接続された構成となっている。第1直列回路V1は、それぞれ磁極を形成する複数個、この場合、8個の単位コイルV11〜V18が直列に接続された構成である。第2直列回路V2は、それぞれ磁極を形成する複数個、この場合、8個の単位コイルV21〜V28が直列に接続された構成である。これら第1直列回路V1および第2直列回路V2は、それぞれの一方の端部が共通の電源端子7(V相)に接続されており、それぞれの他方の端部がそれぞれ個別に異相のコイルに接続されて中性点N1および中性点N2を形成している。
【0011】
また、W相コイル5は、第1直列回路W1と第2直列回路W2とが並列に接続された構成となっている。第1直列回路W1は、それぞれ磁極を形成する複数個、この場合、8個の単位コイルW11〜W18が直列に接続された構成である。第2直列回路W2は、それぞれ磁極を形成する複数個、この場合、8個の単位コイルW21〜W28が直列に接続された構成である。これら第1直列回路W1および第2直列回路W2は、それぞれの一方の端部が共通の電源端子8(W相)に接続されており、それぞれの他方の端部がそれぞれ個別に異相のコイルに接続されて中性点N1および中性点N2を形成している。
【0012】
次に、U相コイル3、V相コイル4、W相コイル5の巻線パターンについて説明する。なお、U相コイル3、V相コイル4、W相コイル5をそれぞれ構成する複数の単位コイルのうち、電源端子6,7,8に最も近い側の単位コイルが第1単位コイルとなり、電源端子6,7,8から最も遠い側、つまり、中性点N1,N2に最も近い側の単位コイルが第8単位コイルとなる。
【0013】
例えば図3に示すように、U相コイル3は、電源端子6側である第1直列回路U1の前半部を構成する第1単位コイルU11がスロットS[1],S[43]に同心巻きで形成され、第2単位コイルU12がスロットS[37],S[31]に同心巻きで形成され、第3単位コイルU13がスロットS[25],S[19]に同心巻きで形成され、第4単位コイルU14がスロットS[13],S[7]に同心巻きで形成された構成となっている。この場合、これら第1単位コイルU11〜第4単位コイルU14は、第5単位コイルU15〜第8単位コイルU18よりもコイル径が大きい大コイルを構成している。
【0014】
また、U相コイル3は、中性点N1側である第1直列回路U1の後半部を構成する第5単位コイルU15がスロットS[48],S[44]に同心巻きで形成され、第6単位コイルU16がスロットS[36],S[32]に同心巻きで形成され、第7単位コイルU17がスロットS[24],S[20]に同心巻きで形成され、第8単位コイルU18がスロットS[12],S[8]に同心巻きで形成された構成となっている。この場合、これら第5単位コイルU15〜第8単位コイルU18は、第1単位コイルU11〜第4単位コイルU14よりもコイル径が小さい小コイルを構成している。
【0015】
また、この場合、第1単位コイルU11と第5単位コイルU15が同心となり、第2単位コイルU12と第6単位コイルU16が同心となり、第3単位コイルU13と第7単位コイルU17が同心となり、第4単位コイルU14と第8単位コイルU18が同心となる構成となっている。
【0016】
また、U相コイル3は、電源端子6側である第2直列回路U2の前半部を構成する第1単位コイルU21がスロットS[1],S[7]に同心巻きで形成され、第2単位コイルU22がスロットS[13],S[19]に同心巻きで形成され、第3単位コイルU23がスロットS[25],S[31]に同心巻きで形成され、第4単位コイルU24がスロットS[37],S[43]に同心巻きで形成された構成となっている。この場合、これら第1単位コイルU21〜第4単位コイルU24は、第5単位コイルU25〜第8単位コイルU28よりもコイル径が大きい大コイルを構成している。
【0017】
また、U相コイル3は、中性点N2側である第2直列回路U2の後半部を構成する第5単位コイルU25がスロットS[2],S[6]に同心巻きで形成され、第6単位コイルU26がスロットS[14],S[18]に同心巻きで形成され、第7単位コイルU27がスロットS[26],S[30]に同心巻きで形成され、第8単位コイルU28がスロットS[38],S[42]に同心巻きで形成された構成となっている。この場合、これら第5単位コイルU25〜第8単位コイルU28は、第1単位コイルU21〜第4単位コイルU24よりもコイル径が小さい小コイルを構成している。
【0018】
また、この場合、第1単位コイルU21と第5単位コイルU25が同心となり、第2単位コイルU22と第6単位コイルU26が同心となり、第3単位コイルU23と第7単位コイルU27が同心となり、第4単位コイルU24と第8単位コイルU28が同心となる構成となっている。
【0019】
また、この場合、U相コイル3は、例えば第1直列回路U1を構成する第1単位コイルU11と次の第2単位コイルU12との間に別の直列回路U2を構成する第4単位コイルU24が設けられている構成となっている。つまり、U相コイル3は、同一の直列回路において連続する2つの単位コイル間が他の直列回路に属する単位コイルによって隔てられた「隔極」となる構成となっている。
【0020】
なお、図4にはV相コイル4の巻線パターンを示し、図5にはW相コイル5の巻線パターンを示している。詳しい説明は省略するが、これらV相コイル4およびW相コイル5の巻線パターンも、各単位コイルが形成されるスロットの位置(スロット番号)が異なる点を除き、U相コイル3の巻線パターンと同様の巻線パターンで構成されている。従って、V相コイル4およびW相コイル5も、電源端子側である各直列回路の前半部を構成する第1単位コイル〜第4単位コイルが大コイルを形成し、それに続いて、中性点側である各直列回路の後半部を構成する第5単位コイル〜第8単位コイルが小コイルを形成するパターンとなっている。また、V相コイル4およびW相コイル5も、第1単位コイルと第5単位コイルが同心となり、第2単位コイルと第6単位コイルが同心となり、第3単位コイルと第7単位コイルが同心となり、第4単位コイルと第8単位コイルが同心となるパターンとなっている。また、V相コイル4およびW相コイル5も、同一の直列回路において連続する2つの単位コイル間が他の直列回路に属する単位コイルによって隔てられた「隔極」となる構成となっている。
【0021】
以上のような巻線パターンによって構成されたU相コイル3、V相コイル4、W相コイル5は、それぞれ、電源端子6,7,8側の単位コイル(この場合、第1単位コイル〜第4単位コイル)がスロット内において同相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置され、中性点N1,N2側の単位コイル(この場合、第5単位コイル〜第8単位コイル)がスロット内において異相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置されている構成となっている。
【0022】
即ち、例えばU相コイル3は、電源端子6側である第1直列回路U1の第1単位コイルU11が、スロットS[1]内において、同相の第2直列回路U2を構成する第1単位コイルU21とともに配置され、スロットS[43]内において、同相の第2直列回路U2を構成する第4単位コイルU24とともに配置されている。また、U相コイル3は、電源端子6側である第1直列回路U1の第2単位コイルU12が、スロットS[31]内において、同相の第2直列回路U2を構成する第3単位コイルU23とともに配置され、スロットS[37]内において、同相の第2直列回路U2を構成する第4単位コイルU24とともに配置されている。また、U相コイル3は、電源端子6側である第1直列回路U1の第3単位コイルU13が、スロットS[19]内において、同相の第2直列回路U2を構成する第2単位コイルU22とともに配置され、スロットS[25]内において、同相の第2直列回路U2を構成する第3単位コイルU23とともに配置されている。また、U相コイル3は、電源端子6側である第1直列回路U1の第4単位コイルU14が、スロットS[7]内において、同相の第2直列回路U2を構成する第1単位コイルU21とともに配置され、スロットS[13]内において、同相の第2直列回路U2を構成する第2単位コイルU22とともに配置されている。
【0023】
また、U相コイル3は、中性点N1側である第1直列回路U1の第5単位コイルU15が、スロットS[44]内において、異相であるW相コイル5の第1直列回路W1を構成する第6単位コイルW16とともに配置され、スロットS[48]内において、異相であるV相コイル4の第1直列回路V1を構成する第5単位コイルV15とともに配置されている。また、U相コイル3は、中性点N1側である第1直列回路U1の第6単位コイルU16が、スロットS[32]内において、異相であるW相コイル5の第1直列回路W1を構成する第7単位コイルW17とともに配置され、スロットS[36]内において、異相であるV相コイル4の第1直列回路V1を構成する第6単位コイルV16とともに配置されている。また、U相コイル3は、中性点N1側である第1直列回路U1の第7単位コイルU17が、スロットS[20]内において、異相であるW相コイル5の第1直列回路W1を構成する第8単位コイルW18とともに配置され、スロットS[24]内において、異相であるV相コイル4の第1直列回路V1を構成する第7単位コイルV17とともに配置されている。また、U相コイル3は、中性点N1側である第1直列回路U1の第8単位コイルU18が、スロットS[8]内において、異相であるW相コイル5の第1直列回路W1を構成する第5単位コイルW15とともに配置され、スロットS[12]内において、異相であるV相コイル4の第1直列回路V1を構成する第8単位コイルV18とともに配置されている。
【0024】
なお、詳しい説明は省略するが、V相コイル4も、電源端子7側である第1直列回路V1の第1単位コイルV11〜V14および第2直列回路V2の第1単位コイルV21〜V24がスロット内において同相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置され、中性点N1側である第1直列回路V1の第5単位コイルV15〜V18および中性点N2側である第2直列回路V2の第5単位コイルV25〜V28がスロット内において異相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置されている構成となっている。また、W相コイル5も、電源端子8側である第1直列回路W1の第1単位コイルW11〜W14および第2直列回路W2の第1単位コイルW21〜W24がスロット内において同相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置され、中性点N1側である第1直列回路W1の第5単位コイルW15〜W18および中性点N2側である第2直列回路W2の第5単位コイルW25〜W28がスロット内において異相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置されている構成となっている。
【0025】
本実施形態に係る構成において、例えばU相コイル3において電圧が最も高くなるスロット、即ち、最も電源端子6側で異相の単位コイル同士が挿入されるスロットは、例えば図1に示すように、U相コイル3の第2直列回路U2に属する第5単位コイルU25とV相コイル4の第2直列回路V2に属する第5単位コイルV25が挿入されるスロットS[6]である。これに対して、例えば図6に示す従来の巻線パターンの構成において、例えばU相コイル3´において電圧が最も高くなるスロット、即ち、最も電源端子側で異相の単位コイル同士が挿入されるスロットは、例えば、U相コイル3´の第2直列回路U2´に属する第2単位コイルU22´とV相コイル4´の第2直列回路V2´に属する第2単位コイルV22´が挿入されるスロットS[6]である。そして、本実施形態におけるスロットS[6]の電圧は、従来構成におけるスロットS[6]の電圧の0.57倍ほどに低減することが確かめられている。即ち、本実施形態によれば、異相の単位コイルが挿入されるスロットにかかる電圧を従来構成に比べ低減することができ、このようなスロットについては、例えば絶縁紙を配置するなどといった絶縁対策を不要とすることができる。これにより、絶縁信頼性の確保が必要となるスロットの数を一層低減することができ、回転電機の高トルク化や高出力化に十分に対応することができる。
【0026】
なお、本実施形態では、各相のコイル3,4,5は、それぞれを構成する各直列回路において電源端子側の半分の単位コイルがスロット内において同相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置され、中性点側の残り半分の単位コイルがスロット内において異相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置される構成を例示した。しかし、本実施形態は、この構成に限られるものではなく、各相のコイル3,4,5は、それぞれ、電源端子側の少なくとも1つの単位コイルがスロット内において同相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置され、中性点側の残りの単位コイルがスロット内において異相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置されるように構成してもよい。
【0027】
また、各相のコイル3,4,5は、巻き線の中心が同一となるいわゆる同心巻きにより単位コイルを形成する構成に限らず、例えば、巻き線の中心が同一とならないいわゆる重ね巻きにより単位コイルを形成する構成としてもよい。
また、各相のコイル3,4,5が備える単位コイルの数も、例えば各直列回路に12個ずつ設けるなど、適宜変更して実施することができる。また、固定子鉄心が備えるストット数も、適宜変更して実施することができる。
【0028】
また、例えば図7に示すように、U相コイル3は、例えば第1直列回路U1を構成する第1単位コイルU11と次の第2単位コイルU12とが隣接する構成、つまり、同一の直列回路において連続する2つの単位コイル間が他の直列回路に属する単位コイルによって隔てられない「隣極」となる構成としてもよい。なお、図7には示していないが、この場合、V相コイル4およびW相コイル5についても同様の「隣極」となる構成を採用する。
【0029】
本実施形態に係る回転電機の固定子は、固定子鉄心の複数のスロットに複数相のコイルが設けられた回転電機の固定子であって、各相のコイルは、それぞれ、磁極を形成する複数の単位コイルを有しており、電源端子側の単位コイルがスロット内において同相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置され、中性点側の単位コイルがスロット内において異相のコイルに含まれる単位コイルとともに配置されている。この構成によれば、絶縁信頼性の確保が必要となるスロット数の一層の低減化を図ることができ、回転電機の高トルク化や高出力化に対応することができる。
【0030】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
図面中、3,4,5はコイル、U11〜U18,U21〜U28,V11〜V18,V21〜V28,W11〜W18,W21〜W28は単位コイル、6,7,8は電源端子、N1,N2は中性点を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7