特許第6189697号(P6189697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189697
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】検体移し替え装置及び検体処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   G01N35/02 G
   G01N35/02 C
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-203408(P2013-203408)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-68727(P2015-68727A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高井 啓
(72)【発明者】
【氏名】立谷 洋大
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−500619(JP,A)
【文献】 特開2000−241435(JP,A)
【文献】 特開2012−021911(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19912211(DE,A1)
【文献】 国際公開第2013/070744(WO,A1)
【文献】 特開2013−152214(JP,A)
【文献】 特開2007−024635(JP,A)
【文献】 実開平05−027675(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体容器を支持する検体ラックから収納ラックへ検体容器を移し替える検体移し替え装置であって、
上流側から受け入れた検体ラックを下流側へと搬送するための検体ラック搬送路と、
前記検体ラック搬送部により搬送された検体ラックに支持された検体容器の上端よりも高い位置に複数の収納ラックを載置可能であって、前記複数の収納ラックを前記検体ラック搬送部の上方で引き出し可能に構成された収納部と、
検体ラックに支持された検体容器を把持する検体容器把持部と、
前記検体容器把持部を移動させる移動機構と、
前記移動機構により前記検体容器把持部とともに移動可能に設けられ、前記収納部に収納された複数の収納ラックに付された識別子から前記収納ラックを識別するための識別情報を読み取る識別情報読取部と、を備える、
検体移し替え装置。
【請求項2】
前記識別情報読取部は、前記識別情報を読み取るための読取面が下方を向くように前記移動機構に設けられている、
請求項1に記載の検体移し替え装置。
【請求項3】
前記識別情報読取部は、下方へ向けて光を照射する光源を有し、
前記読取面は水平方向に対して傾斜するように前記移動機構に設けられている、
請求項2に記載の検体移し替え装置。
【請求項4】
前記収納部は、第1の水平方向及び前記第1の水平方向と交差する第2の方向のそれぞれについて複数の収納ラックを載置する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の検体移し替え装置。
【請求項5】
前記識別情報読取部は、前記収納部の水平面に設けられた識別子の上方を移動可能に設けられており、
前記移動機構は、前記識別情報読取部が前記識別子から識別情報を読み取るときに、前記識別情報読取部を識別子の上方に位置させる、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の検体移し替え装置。
【請求項6】
前記移動機構は、前記検体容器把持部を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構と、前記鉛直移動機構を水平方向に移動させる水平移動機構と、を有し、
前記識別情報読取部は、前記水平移動機構に設けられている、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の検体移し替え装置。
【請求項7】
前記水平移動機構は、前記鉛直移動機構を第1の水平方向に移動させる第1移動機構と、前記第1移動機構を前記第1の水平方向と交差する第2の水平方向へ移動させる第2移動機構と、を有し、
前記識別情報読取部は、前記第1移動機構に取り付けられている、
請求項6に記載の検体移し替え装置。
【請求項8】
前記収納ラックの引き出し及び押し入れを検知可能なセンサをさらに備え、
前記収納ラックが引き出され、再度押し入れられたことが前記センサにより検知された際に、前記識別情報読取部は前記収納ラックを識別するための識別情報の読み取りを行う、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の検体移し替え装置。
【請求項9】
前記識別情報読取部は、前記検体移し替え装置が起動されると、前記複数の収納ラックの全てに対して、識別情報の読み取りを行う、
請求項1乃至の何れか1項に記載の検体移し替え装置。
【請求項10】
検体ラックから検体容器を取り出す際に、前記移動機構は前記検体容器把持部を前記識別情報読取部よりも上方の位置から前記識別情報読取部よりも下方の位置へ降下させ、前記下方の位置において検体容器を保持した前記検体容器把持部を、前記識別情報読取部よりも上方へ上昇させる、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の検体移し替え装置。
【請求項11】
収納ラックに検体容器を収納する際に、前記移動機構は検体容器を保持している前記検体容器把持部を前記識別情報読取部よりも上方の位置から前記識別情報読取部よりも下方の位置へ降下させ、前記下方の位置において前記検体容器を解放した前記検体容器把持部を、前記識別情報読取部よりも上方へ上昇させる、
請求項1乃至10の何れか1項に記載の検体移し替え装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の検体移し替え装置と、
検体容器に収容される検体に対し処理を行う検体処理装置と、
を備える、
検体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体が収容される複数の検体容器を載置する検体ラックから検体容器を移し替える検体移し替え装置及び検体移し替え装置を備える検体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被験者から採取された血液、尿、体液、組織等の検体を検査したり、検査した検体を保管したりするために、検体が収容された検体容器を一のラックから他のラックに移し替える検体移し替え装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された装置は、複数の採血管が載置されたラック(一のラック)から採血管を抜き取って、仕分け台に設置された仕分けカセット(他のラック)へ前記採血管を移載するように構成されている。
【0003】
上記のような検体移し替え装置では、検体容器の移し替え先のラックを複数設置することが可能であり、検体の種類、属性等に応じてどのラックに移し替えるかが検体毎に決定される。このため、移し替え先のラックには識別情報が符号化されたバーコードが付されており、検体移し替え装置に内蔵されるバーコードリーダによって、ラックの識別情報が読み取られ、この識別情報によってラックが識別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−140141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような検体移し替え装置では、設置された複数のラックのバーコードを読み取るために、バーコードリーダを装置内部で移動させる必要がある。このため、従来の検体移し替え装置では、バーコードリーダ専用の移動機構が設けられ装置が大型化していた。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体容器の移し替え先の識別情報を簡易な構成で読み取ることが可能な小型化された検体移し替え装置及び検体処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体移し替え装置は、検体容器を支持する検体ラックから収納ラックへ検体容器を移し替える検体移し替え装置であって、 上流側から受け入れた検体ラックを下流側へと搬送するための検体ラック搬送路と、前記検体ラック搬送部により搬送された検体ラックに支持された検体容器の上端よりも高い位置に複数の収納ラックを載置可能であって、前記複数の収納ラックを前記検体ラック搬送部の上方で引き出し可能に構成された収納部と、検体ラックに支持された検体容器を把持する検体容器把持部と、前記検体容器把持部を移動させる移動機構と、前記移動機構により前記検体容器把持部とともに移動可能に設けられ、前記収納部に収納された複数の収納ラックに付された識別子から前記収納ラックを識別するための識別情報を読み取る識別情報読取部と、を備える、
【0008】
これにより、検体容器保持部を移動させる移動機構によって識別情報読取部を移動させることが可能であるので、識別情報読取部専用の移動機構を必要とせず、簡易な構成で収納部の識別情報を読み取ることができ、装置の小型化が可能となる。
【0009】
上記の態様において、前記識別情報読取部は、前記識別情報を読み取るための読取面が下方を向くように前記移動機構に設けられていてもよい。これにより、収納部の水平面に設けられた識別子から、識別情報読取部が識別情報を読み取りやすくなる。
【0010】
上記の態様において、前記識別情報読取部は、下方へ向けて光を照射する光源を有し、前記読取面は水平方向に対して傾斜するように前記移動機構に設けられていてもよい。これにより、識別子の表面において光源からの光が全反射された反射光を読取面で受けることが防止され、ハレーションによる識別情報の読取不良を防止することが可能となる。
【0011】
上記の態様において、前記収納部は、第1の水平方向及び前記第1の水平方向と交差する第2の方向のそれぞれについて複数の収納ラックを載置するように構成されていてもよい。これにより、高い自由度で収納ラックを配置することができる。
【0012】
上記の態様において、前記識別情報読取部は、前記収納部の水平面に設けられた識別子の上方を移動可能に設けられており、前記移動機構は、前記識別情報読取部が前記識別子から識別情報を読み取るときに、前記識別情報読取部を識別子の上方に位置させるように構成されていてもよい。これにより、識別子が収納ラックの水平面に設けられている場合に、識別情報読取部に容易に識別情報を読み取らせることが可能となる。
【0013】
上記の態様において、前記移動機構は、前記検体容器把持部を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構と、前記鉛直移動機構を水平方向に移動させる水平移動機構と、を有し、前記識別情報読取部は、前記水平移動機構に設けられていてもよい。これにより、鉛直移動機構は検体容器保持部を鉛直方向に移動させるだけでよいため、鉛直移動機構の動力を抑制することが可能となるとともに、識別情報読取部を水平移動機構によって水平方向に移動させることが可能となる。
【0014】
上記の態様において、前記水平移動機構は、前記鉛直移動機構を第1の水平方向に移動させる第1移動機構と、前記第1移動機構を前記第1の水平方向と交差する第2の水平方向へ移動させる第2移動機構と、を有し、前記識別情報読取部は、前記第1移動機構に取り付けられていてもよい。これにより、識別情報読取部を水平方向の任意の位置へ移動させることが可能となる。例えば、識別子が第1の水平方向又は第2の方向にのみ並んでいるのではなく、水平方向の様々な位置に配されている場合でも、識別情報読取部を各識別子へ移動させることが可能となる。
【0015】
上記の態様において、前収納ラックの引き出し及び押し入れを検知可能なセンサをさらに備え、前記収納ラックが引き出され、再度押し入れられたことが前記センサにより検知された際に、前記識別情報読取部は前記収納ラックを識別するための識別情報の読み取りを行うように構成されていてもよい。これにより、収納ラックが交換されたときに、新たに載置された収納ラックの識別子から識別情報を読み取ることが可能となる。
【0016】
上記の態様において、前記識別情報読取部は、前記検体移し替え装置が起動されると、前記複数の収納ラックの全てに対して、識別情報の読み取りを行うように構成されていてもよい。




【0017】
上記の態様において、検体ラックから検体容器を取り出す際に、前記移動機構は前記検体容器把持部を前記識別情報読取部よりも上方の位置から前記識別情報読取部よりも下方の位置へ降下させ、前記下方の位置において検体容器を保持した前記検体容器把持部を、前記識別情報読取部よりも上方へ上昇させるように構成されていてもよい。これにより、識別情報読取部よりも下方において検体容器保持部が検体容器を保持するため、検体容器の保持動作における検体容器保持部と識別情報読取部との干渉等を防止することが可能となる。
【0018】
収納ラックに検体容器を収納する際に、前記移動機構は検体容器を保持している前記検体容器把持部を前記識別情報読取部よりも上方の位置から前記識別情報読取部よりも下方の位置へ降下させ、前記下方の位置において前記検体容器を解放した前記検体容器把持部を、前記識別情報読取部よりも上方へ上昇させるように構成されていてもよい。これにより、識別情報読取部よりも下方において検体容器保持部が検体容器を解放するため、検体容器の解放動作における検体容器保持部と識別情報読取部との干渉等を防止することが可能となる。
【0019】
また、本発明の他の態様の検体処理システムは、上記の態様の検体移し替え装置と、検体容器に収容される検体に対し処理を行う検体処理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る検体移し替え装置及び検体処理システムによれば、簡易な構成でラックの識別情報を読み取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係る検体処理システムの構成を示す模式図。
図2A】検体容器の構成を示す斜視図。
図2B】検体ラックの構成を示す斜視図。
図3】実施の形態に係る検体移し替え装置の内部構成を示す斜視図。
図4A】1つのアーカイブラックを設置したときのトレイを示す平面図。
図4B】2つのアーカイブラックを設置したときのトレイを示す平面図。
図5】実施の形態に係る検体移し替え装置の内部を上側から見た場合の構成を示す模式図。
図6A】容器移送部の支持部の構成を模式的に示す斜視図。
図6B】容器移送部の支持部の構成を模式的に示す斜視図。
図7A】容器移送部の支持部の構成を模式的に示す正面図。
図7B】容器移送部の支持部の構成を模式的に示す側面図。
図8】把持部の検体容器の把持動作を説明するための支持部の側面図。
図9】昇降部の構成を模式的に示す斜視図。
図10】実施の形態に係る検体移し替え装置の概要構成を示すブロック図。
図11】実施の形態に係る検体移し替え装置の動作の流れを示すフローチャート。
図12】ラックIDの読取順序を説明するための収納部の部分平面図。
図13】検体の移し替え動作を説明するための模式図。
図14】2つのアーカイブラックが載置されているトレイにおけるラックIDの読取動作を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0023】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの構成を示す模式図である。
【0024】
本実施の形態に係る検体処理システム1は、投入ユニット21と、検体移し替え装置22と、中継ユニット23と、中継ユニット24と、回収ユニット25と、搬送ユニット31〜33と、血球分析装置6と、塗抹標本作製装置43と、搬送コントローラ7とを備えている。血球分析装置6は、情報処理ユニット5と、測定ユニット41、42とを備えている。また、検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ8と通信可能に接続されている。
【0025】
投入ユニット21、検体移し替え装置22、中継ユニット23,24、回収ユニット25、搬送ユニット31〜33のそれぞれは、検体ラックLの受け渡しが可能となるように、左右に一列に並べられ、隣り合うユニット又は装置同士が互いに接続されている。また、これらのユニット及び装置は、10本の検体容器Tを支持可能な複数の検体ラックLが載置可能となるよう構成されており、図1中の矢印に沿って検体ラックLが搬送可能となるよう構成されている。検体移し替え装置22には、検体ラックLを左方向に搬送する搬送路r1と、右方向に搬送する搬送路r2とが設けられている。
【0026】
図2Aは、検体容器Tの構成を示す斜視図であり、図2Bは、検体ラックLの構成を示す斜視図である。図2Bには、10本の検体容器Tが支持されている検体ラックLの外観が示されている。また、図2Bには、検体ラックLが搬送されるときの向き(図1に示す前後左右方向)が併せて示されている。
【0027】
図2Aを参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。検体容器Tの側面には、バーコードラベルT1が貼付されている。バーコードラベルT1には、検体IDを含むバーコードが印刷されている。検体容器Tは、患者から採取された全血の血液検体を収容しており、上端の開口はゴム製の蓋部T2により密封されている。
【0028】
図2Bを参照して、検体ラックLの後方の側面には、バーコードラベルL1が貼付されている。バーコードラベルL1には、ラックIDを含むバーコードが印刷されている。また、検体ラックLには、10本の検体容器Tを垂直に支持することが可能な支持部が形成されている。以下、各支持部の位置を、便宜上、搬送方向の下流から上流に向かって支持位置1〜10と称する。
【0029】
図1に戻って、ユーザは、検体の測定を開始する場合、まず、検体を収容する検体容器Tを検体ラックLにセットし、この検体ラックLを投入ユニット21に載置する。投入ユニット21に載置された検体ラックLは、後方に搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。
【0030】
検体移し替え装置22は、内部に、バーコードユニット120を備えており、6つのアーカイブラックR1と、1つのソーティングラックR2とを着脱可能に支持している。また、アーカイブラックR1の後方には、検体移し替え装置22の筐体にバッファラック140が固定して設けられている。後述のように、バッファラック140と、アーカイブラックR1と、ソーティングラックR2とのそれぞれは、検体容器Tを支持する複数の支持部を備えている。また、ソーティングラックR2の前方には、検体ラックLを設置するスペースが設けられており、このスペースに5つの検体ラックLが設置されている。
【0031】
検体移し替え装置22は、投入ユニット21から検体移し替え装置22に搬出された検体ラックLに対して、まずバーコードユニット120による処理を行う。具体的には、バーコードユニット120は、検体ラックLのバーコードラベルL1からラックIDを読み取り、検体ラックLにおいて検体容器Tが支持されている支持位置を検知し、検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDを読み取る。検体移し替え装置22は、バーコードユニット120により読み取った検体IDを、搬送コントローラ7を介してホストコンピュータ8に送信する。ホストコンピュータ8は、各検体に設定されている測定オーダ及び分析結果等に基づいて、検体移し替え装置22内で検体容器Tを移し替えるための情報(以下、「移し替え情報」という)を作成する。そして、検体移し替え装置22は、搬送コントローラ7を介してホストコンピュータ8から移し替え情報を受信する。
【0032】
続いて、検体移し替え装置22は、受信した移し替え情報に従って、検体ラックLに支持されている検体容器Tを、バッファラック140、アーカイブラックR1、ソーティングラックR2、及びソーティングラックR2の前方に載置された検体ラックLの何れかに移し替える。また、検体移し替え装置22は、バッファラック140に支持されている検体容器Tを、適宜検体ラックLに移し替える。しかる後、この検体ラックLは中継ユニット23に搬出される。
【0033】
検体移し替え装置22から中継ユニット23に搬出された検体ラックLは、左方向に搬送される場合、中継ユニット24に搬出され、右方向に搬送される場合、中継ユニット23において前方へ搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。中継ユニット23から中継ユニット24に搬出された検体ラックLは、中継ユニット24において前方へ搬送された後、搬送ユニット31に搬出される。
【0034】
搬送ユニット31〜33は、それぞれ、上流側から搬出された検体ラックLを、搬送コントローラ7の指示に従って搬送する。具体的には、対応するユニット及び装置で処理が行われる場合、搬送ユニット31〜33は、上流側から搬出された検体ラックLを後方へ搬送し、それぞれ、対応するユニット及び装置に対向する前方位置まで搬送する。また、測定ユニット41、42で処理が行われない場合、搬送ユニット31、32は、上流側から搬出された検体ラックLを左方向へ直進させ、順次、下流側の搬送ユニットに搬出する。
【0035】
測定ユニット41、42は、それぞれ、前方位置に搬送された検体ラックLから検体容器Tを抜き出し、この検体容器Tに収容された検体を測定する。情報処理ユニット5は、測定ユニット41、42から検体の測定データを受信して解析し、測定項目の各分析値を含む分析結果を生成する。また、情報処理ユニット5は、ホストコンピュータ8と通信可能に接続されており、分析結果をホストコンピュータ8に送信する。
【0036】
塗抹標本作製装置43は、前方位置において、検体ラックLに支持された検体容器Tから検体を吸引し、吸引した検体の塗抹標本を作製する。また、塗抹標本作製装置43は、ホストコンピュータ8と通信可能に接続されており、塗抹標本の作製が終了した旨をホストコンピュータ8に送信する。
【0037】
測定ユニット41、42と塗抹標本作製装置43による処理が終了し、下流側で処理の必要がなくなると、検体ラックLは、搬送中の搬送ユニット内で前方に搬送された後、この搬送ユニットにより上流側へ搬出される。こうして、検体ラックLは順次上流方向へ搬送される。
【0038】
搬送ユニット31〜33から順次上流側へ搬送された検体ラックLは、さらに、中継ユニット24と中継ユニット23により右方向へ搬送され、検体移し替え装置22に搬出される。検体移し替え装置22は、中継ユニット23から搬入された検体ラックLを、投入ユニット21に搬出する。
【0039】
検体移し替え装置22から投入ユニット21に搬出された検体ラックLは、投入ユニット21において後方へ搬送され、再び検体移し替え装置22に搬出される。この場合も、上記と同様、バーコードユニット120による読み取りが行われ、検体移し替え装置22は、ホストコンピュータ8から移し替え情報を受信し、受信した移し替え情報に従って、検体ラックLに支持されている検体容器Tを移し替える。
【0040】
こうして、測定ユニット41、42による再検と塗抹標本作製装置43による再度の塗抹標本の作製(以下、単に「再検」という)が不要であり、検体処理システム1以外で処理を行う必要がない検体容器Tは、アーカイブラックR1に移し替えられる。再検は不要であるが、検体処理システム1以外で処理を行う必要がある検体容器Tは、ソーティングラックR2に移し替えられる。再検が必要な検体容器Tは、上記と同様、適宜検体ラックLに移し替えられた後、中継ユニット23に搬出される。検体処理システム1による検体容器Tの処理は、検体容器TがアーカイブラックR1又はソーティングラックR2に移し替えられることにより終了する。
【0041】
なお、支持している全ての検体容器Tが移し替えられて空になった検体ラックLは、中継ユニット23に搬出されると、中継ユニット23において前方へ搬送された後、検体移し替え装置22に搬出される。検体移し替え装置22は、中継ユニット23から搬入された空の検体ラックLを、投入ユニット21に搬出する。投入ユニット21に搬出された空の検体ラックLは、投入ユニット21により右方向へ搬送され、回収ユニット25に搬出される。そして、この検体ラックLは、回収ユニット25において後方へ搬送され、回収ユニット25に収容される。こうして、検体ラックLの搬送が終了する。
【0042】
搬送コントローラ7は、投入ユニット21と、検体移し替え装置22と、中継ユニット23、24と、回収ユニット25と、搬送ユニット31〜33と通信可能に接続されており、これらによる検体ラックLの搬送動作を制御する。ホストコンピュータ8は、検体IDに対応付けて、この検体の測定オーダと、この検体の分析結果等を記憶している。また、ホストコンピュータ8は、検体移し替え装置22内で検体容器Tを移し替えるためのルールを保持している。
【0043】
[検体移し替え装置の構成]
図3は、検体移し替え装置22の内部構成を示す斜視図である。なお、図3に示すX軸正方向、Y軸正方向、Z軸正方向は、それぞれ、左方向、前方、上方向に対応する。
【0044】
検体移し替え装置22は、図1に示すバーコードユニット120に加えて、容器移送部200と、搬送部110と、昇降部130と、空ラック貯留部150(図5参照)と、搬送部160と、収納部170と、バーコードリーダ190とを備えている。
【0045】
容器移送部200は、検体容器Tを検体移し替え装置22の内部で移送する。搬送部110は、投入ユニット21から搬出された検体ラックLを、搬送路r1(図1参照)に沿って左方向に搬送する。昇降部130は、後述のように、搬送路r1の所定位置に位置付けられた検体ラックLを上方向に移動させる。搬送部160は、中継ユニット23から搬出された検体ラックLを、搬送路r2(図1参照)に沿って右方向に搬送する。
【0046】
収納部170は、6つのトレイ171及び2つのトレイ172、架台173、並びにバッファラック140を具備する。各トレイ171及び172のそれぞれは、検体移し替え装置22の筐体に固定された架台173に対して前後方向にスライド可能に取り付けられており、ユーザがトレイ171及び172を図3に示す状態から前方に引き出したり、引き出された状態のトレイ171及び172を筐体内に押し入れたりすることが可能である。
【0047】
トレイ171は、1つのアーカイブラックR1を着脱可能である。また、トレイ171は、1つのアーカイブラックR1に代えて、2つのアーカイブラックR3を着脱可能でもある。図4Aは、アーカイブラックR1を設置したときのトレイ171を示す平面図であり、図4Bは、2つのアーカイブラックR3を設置したときのトレイ171を示す平面図である。
【0048】
図4Aに示すように、1つのアーカイブラックR1には、125個の支持部R11が形成されている。トレイ171は、平面視において前後方向に長い長方形をなしており、同様に平面視において前後方向に長い長方形のアーカイブラックR1を保持する。また、アーカイブラックR1の上面の後部には、バーコードラベルB1が貼付される。バーコードラベルB1には、当該アーカイブラックR1を識別するためのラックIDが符号化されたバーコードが印刷される。
【0049】
また、図4Bに示すように、1つのアーカイブラックR3には、60個の支持部R11が形成されている。かかるアーカイブラックR3は、前後方向にアーカイブラックR1の約半分の長さと、左右方向にアーカイブラックR1と同じ長さを有している。トレイ171は、図4Bに示すように、2つのアーカイブラックR3を前後に並べた状態で保持する。また、各アーカイブラックR3の上面の後部には、バーコードラベルB1が貼付される。バーコードラベルB1には、当該アーカイブラックR3を識別するためのラックIDが符号化されたバーコードが印刷される。
【0050】
1つのソーティングラックR2には、200個の支持部R21が形成されている。トレイ172は、ソーティングラックR2を着脱可能であり、且つ、ソーティングラックR2の載置位置の前方において5つの検体ラックLを着脱可能である。また、2つのトレイ172は互いに連動して前後方向に移動するよう構成されている。ソーティングラックR2の上面後部にも、当該ソーティングラックR2を識別するためのラックIDのバーコードを有するバーコードラベルB1が貼付されている。
【0051】
バッファラック140は、6つのトレイ171の後方に配置されている。このバッファラック140は、架台173に固定されている。また、バッファラック140には、60個の支持部141が形成されている。
【0052】
収納部170には、6つのトレイ171及び2つのトレイ172のそれぞれに対応して、8つの近接センサ170aが設けられている(図3参照)。これらの近接センサ170aは、対応するトレイ171,172が引き出されているか、押し入れられているかを検出し、また、対応するトレイ171,172にアーカイブラックR1,R3又はソーティングラックR2が載置されているか否かを検出する。
【0053】
上述のごとき収納部170は、搬送部110、160よりも高い位置にあり、より詳細には、搬送部110、160によって搬送される検体容器Tの頭部(蓋部T2)よりも高い位置にある。これにより、トレイ171及び172のそれぞれを前方に引き出すときに、トレイ171及び172が搬送部110及び160と干渉することがない。
【0054】
図5は、検体移し替え装置22の内部を上側から見た場合の構成を示す模式図である。なお、図5では、便宜上、昇降部130が一点鎖線で示されている。
【0055】
容器移送部200は、前後方向に延びた2本のレール212と、左右方向に延びたレール222と、支持部230、240とを含んでいる。レール212は、検体移し替え装置22の筐体内に固定されており、レール222は、レール212に沿って前後方向に移動する。支持部230は、レール222に沿って左右方向に移動し、支持部240は、支持部230に沿って上下方向に移動する。支持部240の下端には、検体容器Tを把持可能な把持部243が設置されている。支持部230の下側には、上述したアーカイブラックR1,R3及びソーティングラックR2に付されたバーコードを読み取るためのバーコードリーダ190が設置されている。容器移送部200の構成については、追って、図6A図6B図7A、及び図7Bを参照して説明する。
【0056】
搬送部110は、左右方向に延びたベルト111、112と、ベルト111、112の前方と後方に設置された壁部117a〜117cと、ラック押出し機構118とを備えている。ベルト111、112が左方向に動くことにより、ベルト111、112に載置された検体ラックLが左方向に搬送される。
【0057】
投入ユニット21から搬出された検体ラックLは、ベルト111により左方向に搬送され、バーコードユニット120に対向する位置P1に位置付けられる。位置P1に位置付けられた検体ラックLは、センサs1によって検出される。バーコードユニット120は、検体ラックLにおいて検体容器Tが支持されている支持位置を検知すると共に、ラックIDと検体IDを読み取る。
【0058】
バーコードユニット120による検知と読み取りが終了すると、上述したように、検体移し替え装置22は、読み取った検体IDをホストコンピュータ8に送信し、ホストコンピュータ8から移し替え情報を受信する。検体ラックLに移し替えが必要な検体容器Tが支持されている場合、この検体ラックLは、ベルト111、112により左方向に搬送され、ラック押出し機構118の鍔部118aに当接することにより、位置P21に位置付けられる。位置P21に位置付けられた検体ラックLは、センサs2によって検出される。他方、検体ラックLに移し替えが必要な検体容器Tが支持されていない場合、この検体ラックLは、ベルト111、112により左方向に搬送され、位置P21を通過し、位置P3に位置付けられる。位置P3に位置付けられた検体ラックLは、センサs3によって検出され、中継ユニット23に搬出される。
【0059】
位置P21に位置付けられた検体ラックLは、昇降部130により上方向(Z軸正方向)の位置(以下、「移し替え位置」という)に移動される。そして、このようにして検体ラックLが移し替え位置に持ち上げられた状態で、検体ラックLに支持された検体容器Tが、適宜、収納部170へ移し替えられ、バッファラック140に支持された検体容器Tが、適宜、この検体ラックLに移し替えられる。検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが終了すると、この検体ラックLは、昇降部130により再び位置P21に位置付けられ、ベルト112により左方向に搬送され、位置P3に位置付けられる。位置P3に位置付けられた検体ラックLは、中継ユニット23に搬出される。
【0060】
なお、検体容器Tが取り出されて空になった検体ラックLは、位置P21に位置付けられた後、ラック押出し機構118によって前方側の面が押されることにより、空ラック貯留部150に押し出される。空ラック貯留部150に貯留された空の検体ラックLは、バッファラック140に支持された検体容器Tの本数が所定値に達すると、適宜、ラック押出し機構151により位置P21に押し出され、昇降部130により位置P22に位置付けられる。そして、この検体ラックLにバッファラック140の検体容器Tが移し替えられる。
【0061】
次に、中継ユニット23から搬送部160に搬入された検体ラックLは、搬送部160のベルト161又はベルト162によって右方向に搬送され、位置P4又は位置P5に位置付けられる。位置P5に位置付けられた検体ラックLは、ラック押出し機構163によって後方側の面が押されることにより、位置P4に位置付けられる。位置P4に位置付けられた検体ラックLは、ベルト161によって右方向に搬送され、投入ユニット21に搬出される。
【0062】
図6Aは、容器移送部200の支持部210の構成を模式的に示す斜視図である。
【0063】
前後方向に延びた一対の支持板211は、検体移し替え装置22の左端と右端に設置されている。レール212は、支持板211上に設置されており、摺動部213は、レール212に対してY軸方向に摺動可能となっている。支持部材214は、摺動部213に固定されている。プーリ215a、215bは、レール212の前端付近と後端付近とにおいて、検体移し替え装置22の筐体内に設置されている。ベルト216は、プーリ215a、215bに掛けられており、支持部材214は、ベルト216に固定されている。右側のプーリ215aと左側のプーリ215aは軸217により接続されており、軸217にはベルト218を介してモータ219の軸が接続されている。このように支持部210が構成されると、モータ219が駆動されることにより、支持部材214がY軸方向に移動する。
【0064】
図6Bは、容器移送部200の支持部220の構成を模式的に示す斜視図である。
【0065】
X軸方向に延びた支持板221は、支持部210の一対の支持部材214(図6A参照)に固定されている。レール222は、支持板221に設置されており、摺動部223は、レール222に対してX軸方向に摺動可能となっている。支持部材224は、摺動部223に固定されている。プーリ225a、225bは、レール222の左端付近と右端付近とにおいて、支持板221に設置されている。ベルト226は、プーリ225a、225bに掛けられており、支持部材224は、ベルト226に固定されている。右側のプーリ225aにはモータ227の軸が接続されている。このように支持部220が構成されると、モータ227が駆動されることにより、支持部材224がX軸方向に移動する。
【0066】
図7Aは、容器移送部200の支持部230、240の構成を模式的に示す正面図であり、図7Bはその側面図である。
【0067】
まず、支持部230について説明する。Z軸方向に延びた支持板231は、支持部220の支持部材224(図6B参照)に固定されている。レール232は、支持板231に設置されており、摺動部233は、レール232に対してZ軸方向に摺動可能となっている。支持部材234は、摺動部233に固定されている。軸235はZ軸方向に延びており、軸235にはネジ状の溝が形成されている。支持部材234は、軸235がZ軸を中心として回転させられると、軸235の溝に沿ってZ軸方向に移動可能となるよう軸235に設置されている。軸235の上端にはモータ236の軸が接続されている。このように支持部230が構成されると、モータ236が駆動されることにより、支持部材234がZ軸方向に移動する。
【0068】
なお、支持部材234には遮光板237が設置されており、支持板231に設置された部材上には遮光式の一対のセンサ238が設置されている。支持部材234がZ軸方向に移動すると、遮光板237が一対のセンサ238の間に移動する。これにより、支持部材234が最も上側の位置(以下、「上側位置」という)に位置付けられたことが検出される。
【0069】
次に、支持部240について説明する。支持部材241は、支持部230の支持部材234に固定されている。支持部材241の下方には、支持部材241に対してバネを介して支持部材242が設置されている。支持部材242の下方には、検体容器Tの上部をY軸方向から把持可能な把持部243が設置されている。このように支持部240が構成されると、把持部243は、支持部210によりY軸方向に移動可能となり、支持部220よりX軸方向に移動可能となり、支持部230によりZ軸方向に移動可能となる。
【0070】
なお、支持部材241、242を繋ぐ部材の上部には遮光板244が設置されており、支持部材241に設置された部材上には遮光式の一対のセンサ245が設置されている。把持部243が下方に移動されるときに、把持部243に対してZ軸正方向に力が加えられると、遮光板244が一対のセンサ245の間に移動する。これにより、把持部243が下降中に検体容器Tの蓋部T2等に当接したことが検出される。
【0071】
次に、バーコードリーダ190について説明する。支持板231の下端部には、取付部材191が固定されている。この取付部材191は、支持板231の下端からさらに下方に延設されており、その下端部にバーコードリーダ190が取り付けられている。このように、バーコードリーダ190は支持部230に固定されているので、容器移送部200によって、把持部243と一体的にX軸方向及びY軸方向に移動される。また、把持部243がZ軸方向に移動する場合に、バーコードリーダ190はZ軸方向には移動することがない。
【0072】
バーコードリーダ190は、レーザ光を照射する光源と、反射光を受光するための受光部とを具備する。また、バーコードリーダ190は、直方体形状をなしており、その一面が、レーザ光を照射する照射面とされ、且つ、反射光を受ける受光面とされている。以下、この面を読取面という。
【0073】
バーコードリーダ190は、読取面190aが斜め下方を向くように、取付部材191に固定されている。より具体的には、読取面190aの垂線が鉛直方向に対して前側に10°傾斜するように、読取面190aは傾斜して配置されている。これにより、アーカイブラックR1,R3及びソーティングラックR2のバーコードラベルB1に対して斜め方向からレーザ光が照射され、その乱反射光が読取面190aによって受光されることとなり、正反射光を受光した場合に生じるハレーションが防止され、バーコードの読み取り精度が向上する。
【0074】
バーコードリーダ190の読取面190aの反対面からは、電力線及び信号線を含むケーブル190bが延設されている。このケーブル190bは、後述する制御部321に接続されている。読取面190aと直交する面(正面、側面、背面)からケーブル190bが延びると、例えば把持部243、軸235等のような検体移し替え装置22の動作機構等にケーブル190bが干渉する虞がある。これに対して、バーコードリーダ190の上方には他の部品が存在しないため、上記のようにバーコードリーダ190の読取面190aの反対面からケーブル190bを延ばすことによって、他の部品との干渉を防止することができる。
【0075】
図8は、把持部243の検体容器Tの把持動作を説明するための支持部230、240の側面図である。把持部243は、検体容器Tを把持するとき、及び、把持している検体容器Tを解放するとき以外は、上側位置(図8において実線で示す位置)に位置づけられる。検体容器Tを把持するとき、又は、把持している検体容器Tを解放するときには、検体ラックL又はバッファラック140における検体容器Tの支持部、若しくは、アーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、又は検体ラックLの空きの支持部の上方に把持部243が位置づけられた状態で、モータ236が駆動されることで、把持部243が下方の下側位置(図8において破線で示す位置)へ移動される。上側位置はバーコードリーダ190より上方の位置であり、下側位置はバーコードリーダ190より下方の位置である。つまり、把持部243は、検体容器Tを把持するとき、又は、把持している検体容器Tを解放するときに、バーコードリーダ190の設置高さを通過して、Z軸方向へと移動される。
【0076】
このように、把持部243は、バーコードリーダ190よりも下方の下側位置まで下降され、その下側位置において、検体容器Tの把持動作又は解放動作を行う。この把持動作又は解放動作においては、把持部243の2つの対向片がY軸方向に離反し、近接する。バーコードリーダ190より下方の下側位置において、かかる把持動作又は解放動作が行われるので、把持動作又は解放動作のときに把持部243がバーコードリーダ190に干渉する虞がない。
【0077】
また、図8に示すように、バッファラック140、アーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、及び検体ラックLに検体容器Tが支持された場合、これらのラックの上面からは検体容器Tが突出する。この突出量は、最も長い検体容器Tの場合で35mm以下である。これに対して、バーコードリーダ190の下端は、バッファラック140、アーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、及び検体ラックLの上面から上方に40mmの高さに位置する。このため、バーコードリーダ190は、水平方向に移動する場合に、検体ラックTと干渉することがない。
【0078】
図9は、昇降部130の構成を模式的に示す斜視図である。
【0079】
昇降部130は、検体移し替え装置22の内部に設置された支持部材131と、支持部材131に設置され上下方向に延びたレール132と、レール132に対して上下方向に摺動可能な摺動部133と、支持部材131の上部と下部に設置されたプーリ134a、134bと、プーリ134a、134bに掛けられたベルト135と、支持部材131の後方に設置されたモータ136と、遮光式の一対のセンサ137a、137bと、摺動部133に設置された支持体138と、支持体138の前方に設置された一対の支持部139とを備えている。
【0080】
モータ136の軸はプーリ134bに接続されており、モータ136が駆動すると、プーリ134bが回転し、ベルト135が移動する。摺動部133は、ベルト135に固定されており、ベルト135が移動することにより、レール132に沿って上下方向に移動する。摺動部133の左端には鍔部133aが形成されている。モータ136が駆動されると、鍔部133aが一対のセンサ137a、137bの間に移動する。これにより、摺動部133と、支持体138と、支持部139とが上端と下端とに位置付けられたことが検出される。
【0081】
支持部139は、Y軸方向の幅d1が、検体ラックLの短手方向の幅d2よりも大きくなるよう構成されている。これにより、図8に示すように、支持部139の水平面が検体ラックLの下面を支持した状態で支持体138上方向に駆動されると、検体ラックLが上方向に移動される。なお、支持体138には、検体ラックLの長手方向の幅よりも大きく、検体容器Tを支持した検体ラックLの高さ方向の幅よりも大きい開口138aが形成されている。これにより、位置P21に位置付けられた空の検体ラックLは、開口138aを介して、ラック押出し機構118により空ラック貯留部150に押し出される。
【0082】
かかる構成の昇降部130によって、支持部139が上昇状態(検体ラックLが移し替え位置に位置付けられた状態)で、適宜、この検体ラックLに支持された検体容器Tが収納部170に移し替えられ、バッファラック140に支持された検体容器Tが検体ラックLに移し替えられる。そして、検体ラックLに対する検体容器Tの移し替えが終了すると、支持部139が下降され、検体ラックLがベルト112によりX軸正方向に搬送される。なお、位置P21に位置付けられた空の検体ラックLが、空ラック貯留部150に押し出される場合、支持部139はさらに下方に位置付けられる。これにより、空の検体ラックLは、支持体138の開口138aを介してY軸負方向に押し出される。
【0083】
図10は、検体移し替え装置22の概要構成を示すブロック図である。
【0084】
検体移し替え装置22は、制御部321と、通信部322と、バーコードユニット120と、バーコードリーダ190と、容器移送部200と、駆動部323と、センサ部324とを備える。制御部321は、CPU及びメモリ等から構成されており、検体移し替え装置22内の各部を制御し、また、検体移し替え装置22内の各部から出力された信号を受信する。かかる制御部321は、通信部322を介して搬送コントローラ7と通信を行う。
【0085】
駆動部323は、モータ116、219、227、236、136と、ラック押出し機構118、151、163を駆動させるための駆動源と、把持部243を駆動させるための駆動源を含んでいる。センサ部224は、センサs1〜s3、238、245、137a、137b、及び近接センサ170aを含んでいる。
【0086】
本実施の形態では、駆動部323に含まれる各モータは、サーボモータより構成される。すなわち、駆動部323に含まれる各モータにより駆動される部材等が、どの位置にあるかを検出するための光学式センサ等がなくても、これらモータは精度良く制御され得る。なお、駆動部323に含まれる各モータにより駆動される部材等が、どの位置にあるかを検出するための光学式センサ(たとえば、図9のセンサ137a、137b)が適宜用いられても良い。こうすると、より精度良く各モータを制御することができる。
【0087】
[検体移し替え装置の動作]
次に、検体移し替え装置22の動作について説明する。図11は、検体移し替え装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0088】
検体移し替え装置22が起動されると、制御部321は、初期化処理を実行する(ステップS1)。この初期化処理では、制御部321の制御プログラムの初期設定、駆動部323の各モータの初期位置設定等が含まれる。
【0089】
次に、制御部321は、容器移送部200及びバーコードリーダ190を制御し、収納部170の各ラックのラックID読取動作を実行させる(ステップS2)。この動作についてさらに詳しく説明する。ステップS2におけるラックID読取動作では、収納部170に載置されている全てのアーカイブラックR1,R3及びソーティングラックR2についてラックIDの読み取りが行われる。
【0090】
上述したように、6つのトレイ171には、1つのアーカイブラックR1と、2つのアーカイブラックR3との何れかが載置される。例えば、最も左側のトレイ171は、1つのアーカイブラックR1を載置するためのものであり、左側から2番目のトレイ171は、2つのアーカイブラックR3を載置するためのものであるように、トレイ171毎に載置するアーカイブラックの種類が設定される。このトレイ171毎のアーカイブラックの種類の設定情報は、制御部321のメモリに記憶されている。制御部321は、かかる設定情報にしたがって容器移送部200及びバーコードリーダ190を制御し、ラックID読取動作を行わせる。
【0091】
図12は、ラックIDの読取順序を説明するための収納部200の部分平面図である。図12においては、左側から2番目と5番目のトレイ171は2つのアーカイブラックR3を載置するためのものであり、その他のトレイ171は1つのアーカイブラックR1を載置するためのものである。ステップS2のラックID読取動作では、左側から右側に向けて順番にトレイ171に載置されているアーカイブラックR1,R3のバーコードが読み取られ、さらにその後にトレイ172に載置されているソーティングラックR2のバーコードが読み取られる。また、2つのアーカイブラックR3が載置されているトレイ171においては、前側のアーカイブラックR3のバーコードが先に読み取られ、後側のアーカイブラックR3のバーコードが後に読み取られる。
【0092】
上述したように、バーコードリーダ190の下端の高さは、収納部170に載置されているアーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、及び検体ラックL、並びにバッファラック140の上面よりも40mm上方に位置しているため、制御部321は、ラックIDの読取動作において、容器移送部200をX軸方向及びY軸方向にのみ移動させる。また、バーコードリーダ190は読取面190aが傾斜して配置されているため(図7B等参照)、読取対象のバーコードの直上よりも若干後方の位置にバーコードリーダ190が位置づけられたときに容器移送部200を一時的に停止させ、バーコードリーダ190にこの位置からラックIDの読取を行わせる。
【0093】
上記のように読み取られたラックIDは、その位置情報(どのトレイ171,172に載置されているかを示す情報)と共に、制御部321のメモリに記憶される。
【0094】
ステップS2のラックID読取動作が終了すると、制御部321は、シャットダウンの要求を受け付けたか否かを判別する(ステップS3)。ユーザは、入力部に所定の入力を行うことで、シャットダウンの要求を検体移し替え装置22に与えることができる。制御部321は、かかるシャットダウン要求を受け付けたか否かを判別し、要求を受け付けていない場合には(ステップS3においてNO)、ステップS4に処理を移す。
【0095】
ステップS4において、制御部321は、検体の移し替え要求を受け付けたか否かを判定する。この処理について具体的に説明する。まず、投入ユニット21から搬出された検体ラックLが、ベルト111により位置P1に位置付けられる。続いて、バーコードユニット120により、この検体ラックLのどの支持位置に検体容器Tが支持されているかが検知され、検体ID及びラックIDの読み取りが行われる。制御部321は、支持している検体容器Tの移し替え情報を、ホストコンピュータ8に問い合わせる。しかる後、制御部321は、問い合わせた全ての検体容器Tの移し替え情報を受信したか否かを判別する。ここで、移し替え情報を受信した場合には、検体の移し替え要求を受け付けたと判断され、移し替え情報を受信しなかった場合には、検体の移し替え要求を受け付けなかったと判断される。
【0096】
検体の移し替え要求を受け付けなかった場合には(ステップS4においてNO)、制御部321は、ラックの交換が行われたか否かを判定する(ステップS5)。この処理では、近接センサ170aの出力信号が監視され、何れかのトレイ171,172が引き出され、その後に架台173内に押し戻されたことが検出され、さらに架台173内に戻されたトレイ171,172にアーカイブラックR1,R3又はソーティングラックR2が載置されていることが検出された場合に、ラックの交換が行われたと判定される。また、これ以外は、ラックの交換が行われていないと判定される。つまり、トレイ171,172が引き出され、その後に架台173内に押し戻されたことが検出されたとしても、架台173内に戻されたトレイ171,172にアーカイブラックR1,R3又はソーティングラックR2が載置されていることが検出されなかった場合には、ラックの交換が行われなかったと判定される。
【0097】
ラックの交換が行われなかったと判定された場合には(ステップS5においてNO)、制御部321は、ステップS3へ処理を戻す。
【0098】
他方、ラックの交換が行われたと判定された場合には(ステップS5においてYES)、制御部321は、容器移送部200及びバーコードリーダ190を制御し、ラック交換が行われたトレイを対象として、ラックID読取動作を実行させる(ステップS6)。この動作についてさらに詳しく説明する。ステップS6におけるラックID読取動作では、ラックの交換が検出されたトレイに対してラックIDの読み取りが行われる。つまり、ラックの交換が検出されたのがトレイ171の場合には、当該トレイ171に載置されているアーカイブラックR1,R3に対してラックIDの読み取りが行われ、ラックの交換が検出されたのがトレイ172の場合には、当該トレイ172に載置されているソーティングラックR2に対してラックIDの読み取りが行われる。
【0099】
ここで、ラックの交換が検出されたのが、1つのアーカイブラックR1を載置するためのトレイ171である場合には、このトレイ171に載置された1つのアーカイブラックR1のバーコードの読取位置にバーコードリーダ190が移動され、ラックIDの読取が行われる。また、ラックの交換が検出されたのが、2つのアーカイブラックR3を載置するためのトレイ171である場合には、このトレイ171に載置された2つのアーカイブラックR3のうち、前側のアーカイブラックR3のバーコードの読取位置にまずバーコードリーダ190が移動され、ラックIDの読取が行われ、さらにその後、後側のアーカイブラックR3のバーコードの読取位置にバーコードリーダ190が移動され、ラックIDの読取が行われる。
【0100】
上記のように読み取られたラックIDは、その位置情報(どのトレイ171,172に載置されているかを示す情報)と共に、制御部321のメモリに記憶される。
【0101】
ステップS6のラックID読取動作が終了すると、制御部321は、ステップS3へ処理を戻す。
【0102】
一方、検体の移し替え要求を受け付けた場合には(ステップS4においてYES)、制御部321は、容器移送部200を制御し、検体の移し替え動作を開始させる(ステップS7)。
【0103】
以下、検体の移し替え動作について詳しく説明する。図13は、検体の移し替え動作を説明するための模式図である。検体の移し替え動作において、容器移送部200は、昇降部130により移し替え位置に位置づけられた検体ラックLの移送対象の検体容器Tの直上に、把持部243を位置づける。次に、容器移送部200は、把持部243を下降させつつ、把持部243の2つの対向片をY軸方向に離反させ、把持部243を下側位置に位置づける(図中「1」)。
【0104】
次に、容器移送部200は、把持部243の2つの対向片を近接させ、移送対象の検体容器Tを把持させる(図中「2」)。容器移送部200は、移送対象の検体容器Tを把持した状態の把持部243を上側位置まで上昇させ、移送対象の検体容器Tを検体ラックLから抜き出す(図中「3」)。
【0105】
さらに容器移送部200は、移送対象の検体容器Tを把持した把持部243を上側位置に位置づけた状態で、水平方向に移動させ、アーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2、及び検体ラックLのうちの目的のラックの支持部の直上に位置付けさせる(図中「4」)。その後、容器移送部200は、移送対象の検体容器Tを把持した把持部243を上側位置から下側位置まで下降させ、目的のラックの支持部に検体容器Tを挿入する(図中「5」)。支持部に検体容器Tが挿入された状態で、容器移送部200は把持部243の2つの対向片を離反させ、検体容器Tを把持部243から解放する(図中「6」)。さらに、容器移送部200は、2つの対向片が離反された状態の把持部243を上昇させつつ、把持部243の2つの対向片をY軸方向に近接させ、把持部243を上側位置に位置づける(図中「7」)。
【0106】
次に、容器移送部200は、検体容器Tを把持していない把持部243を、移し替え位置に位置づけられた検体ラックLの次の移送対象の検体容器Tの直上(次の移送対象の検体容器Tが存在しない場合には、移し替え位置の検体ラックLの所定の支持部の直上)に水平移動させる(図中「8」)。これらの1乃至8の動作を、移送対象の検体容器Tを全て移送するまで繰り返す。
【0107】
上記のような検体の移し替え動作の途中で、ユーザがトレイ171,172のラックを交換する場合がある。制御部321は、検体の移し替え動作の途中で、ラックの交換が行われたか否かを判定する(ステップS8)。ラックの交換の判定については、ステップS5の処理と同様である。
【0108】
ラックの交換が行われなかったと判定された場合(ステップS8においてNO)、制御部321は、継続して検体の移し替え動作を実行させ、ステップS12へ処理を移す。
【0109】
他方、ラックの交換が行われたと判定された場合には(ステップS8においてYES)、制御部321は、検体の移し替え動作を中断する(ステップS9)。このとき、検体容器Tが収納部170の支持部に挿入され、空の把持部243が前記支持部の直上の上側位置に位置づけた時点(即ち、図13中「7」の動作が終了した時点)で、検体の移し替え動作が中断される。つまり、検体の移し替え動作は、空の把持部243が収納部170の上方の上側位置に位置づけられている状態で中断される。
【0110】
つぎに、制御部321は、容器移送部200及びバーコードリーダ190を制御し、ラック交換が行われたトレイを対象として、ラックID読取動作を実行させる(ステップS10)。この動作では、ステップS6と同様に、ラックの交換が検出されたトレイに対してラックIDの読み取りが行われる。即ち、ラックの交換が検出されたのがトレイ171の場合には、当該トレイ171に載置されているアーカイブラックR1,R3に対してラックIDの読み取りが行われ、ラックの交換が検出されたのがトレイ172の場合には、当該トレイ172に載置されているソーティングラックR2に対してラックIDの読み取りが行われる。また、ラックの交換が検出されたのが、1つのアーカイブラックR1を載置するためのトレイ171である場合には、このトレイ171に載置された1つのアーカイブラックR1のバーコードに対してラックIDの読取が行われ、ラックの交換が検出されたのが、2つのアーカイブラックR3を載置するためのトレイ171である場合には、このトレイ171に載置された2つのアーカイブラックR3のうち、前側のアーカイブラックR3のバーコードに対してラックIDの読取が先に行われ、さらにその後、後側のアーカイブラックR3のバーコードに対してラックIDの読取が行われる。
【0111】
上記のように、2つのアーカイブラックR3が載置されているトレイ171がラックIDの読取対象である場合に、前側のアーカイブラックR3のバーコードを先に読み取り、後側のアーカイブラックR3のバーコードを後に読み取ることによって、次のような理由によって、ラックIDの読取動作に伴うバーコードリーダ190の移動が効率化される。図14は、2つのアーカイブラックR3が載置されているトレイ171におけるラックIDの読取動作を説明するための模式図である。検体の移し替え動作が中断された時点で、把持部243が、後側のアーカイブラックR3の前後方向(Y軸方向)中央よりも前方に位置づけられているとき(つまり、ラックIDの読取動作の直前に収納部170において検体容器Tが挿入された支持部が、後側のアーカイブラックR3の前後方向中央よりも前方に存在するとき)、その時点でのバーコードリーダ190の位置は、後側のアーカイブラックR3のバーコードよりも、前側のアーカイブラックR3のバーコードに近い。つまり、図中斜線で示す範囲にバーコードリーダ190があれば、バーコードリーダ190から後側のアーカイブラックR3のバーコードまでの距離よりも、バーコードリーダ190から前側のアーカイブラックR3のバーコードまでの距離の方が短い。収納部170における後側のアーカイブラックR3の前後方向中央よりも前方の領域(以下、「前側領域」という)は、後側のアーカイブラックR3の前後方向中央よりも後方の領域(以下、「後側領域」という)に比べて約3倍の大きさがある。このため、検体の移し替え動作において、前側領域の支持部に対して把持部243が検体容器Tの移送を行っている確率は、後側域の支持部に対して把持部243が検体容器Tの移送を行っている確率の約3倍である。このように、把持部243(つまり、バーコードリーダ190)が前側領域に位置している確率が、後側領域に位置している確率よりも高いので、前側領域に位置づけられているバーコードリーダ190に近い、前側のアーカイブラックR3のバーコードを先に読み取ることで、後側のアーカイブラックR3のバーコードを先に読み取る場合に比して、バーコードリーダ190の移動量を少なくすることができる。
【0112】
上記のようなラックIDの読取動作が完了すると、制御部321は、中断されていた検体の移し替え動作を再開する(ステップS11)。この場合、最後のラックIDの読取位置にバーコードリーダ190が位置づけられ、且つ、把持部243が上側位置に位置づけられた状態で、ラックIDの読取動作が完了しているので、容器移送部200は、その状態から、移し替え位置に位置づけられた検体ラックLの次の移送対象の検体容器Tの直上(次の移送対象の検体容器Tが存在しない場合には、移し替え位置の検体ラックLの所定の支持部の直上)に、把持部243を水平移動させる(図13中「8」)。
【0113】
制御部321は、移し替え要求の対象となる検体容器Tが全て移し替えられたか否かを判定し(ステップS12)、移し替え要求の対象となる検体容器Tの全てがまだ移し替えられていない場合には(ステップS12においてNO)、ステップS8へと処理を戻す。
【0114】
他方、移し替え要求の対象となる検体容器Tの全てが移し替えられた場合には(ステップS12においてYES)、制御部321は、ステップS3へと処理を戻す。
【0115】
また、ステップS3において、シャットダウンの要求を受け付けた場合には(ステップS3においてYES)、制御部321は、シャットダウン処理を実行し(ステップS13)、処理を終了する。
【0116】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、支持部230にバーコードリーダ190を固定的に取り付け、容器移送部200によって、把持部243と一体的にX軸方向及びY軸方向にバーコードリーダ190を移動可能な構成について述べたが、これに限定されるものではない。把持部243を直接支持する支持部240にバーコードリーダ190を固定的に取り付け、容器移送部200によって、把持部243と一体的にX軸方向及びY軸方向だけでなく、Z軸方向にもバーコードリーダ190を移動可能な構成とすることが可能である。但し、このようにZ軸方向にバーコードリーダ190を移動可能とすると、ラックIDの読み取りにおいてバーコードリーダ190をZ軸方向に移動させる必要が生じる場合が考えられるので、ラックIDの読み取りにおいて水平方向にのみバーコードリーダ190を移動させる構成とする方が好ましい。また、支持部230にバーコードリーダ190を取り付ける構成とすれば、支持部240にバーコードリーダ190を取り付ける場合と比べて、支持部240をZ軸方向に移動させるためのモータ236の出力を小さくすることができる。
【0117】
また、支持部230をY軸方向に移動可能に支持する支持部220にバーコードリーダ190を固定的に取り付ける構成とすることも可能である。この場合、バーコードリーダ190は、容器移送部200によってY軸方向にのみ移動可能となる。このため、上述した実施の形態のように、収納部170においてX軸方向にアーカイブラックR1,R3、及びソーティングラックR2が並ぶように複数のトレイ171,172をY軸方向に出し入れ可能とするのではなく、収納部170においてY軸方向にアーカイブラックR1,R3、及びソーティングラックR2が並ぶように複数のトレイ171,172をX軸方向に出し入れ可能とする必要がある。このようにすることで、各ラックのバーコードがY軸方向に並ぶこととなるので、Y軸方向にのみバーコードリーダ190が移動可能であっても、各ラックIDの読み取りを行うことが可能となる。また、支持部220にバーコードリーダ190を取り付ける構成とすれば、支持部230にバーコードリーダ190を取り付ける場合と比べて、支持部230をX軸方向に移動させるためのモータ227の出力を小さくすることができる。
【0118】
また、上記の実施の形態においては、収納部170に複数のアーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2を着脱可能とし、これらのアーカイブラックR1,R3、ソーティングラックR2に付されたバーコードからラックIDを読み取る構成について述べたが、これに限定されるものではない。収納部170のバッファラック140のように、支持部を複数有する収納領域が固定的に収納部に複数が設けられ、これらの収納領域を識別するための識別情報が符号化されたバーコードが各収納領域に付され、バーコードリーダによってこれらのバーコードから識別情報を読み取る構成とすることも可能である。
【0119】
また、上記の実施の形態においては、アーカイブラックR1,R3及びソーティングラックR2の上面にバーコードラベルB1が貼付されていたが、これに限定されずバーコードラベルB1をアーカイブラックR1,R3及びソーティングラックR2の側面に貼付されてもよい。この場合、複数のアーカイブラックR3がトレイ171に載置されていたときは、2つのアーカイブラックR3の間に隙間を設け、容器移送部200によりバーコードリーダを隙間に移動させて、2つのアーカイブラックR3の間の側面に貼付されたバーコードを読み取ってもよい。
【0120】
また、上記の実施の形態においては、バーコードリーダ190によってバーコードとして符号化されたラックIDを読み取る構成について述べたが、これに限定されるものではない。バーコードに代えて、ラックIDを記憶したICタグを各ラックに取り付け、ICタグリーダによってラックIDを読み取る構成とすることも可能である。また、ラックの用途又は種類等を変更する場合に、ラックに取り付けたICタグに、ICタグリーダライタによって、ラックの用途又は種類に応じた新たな識別情報を書き込む構成とし、このように書き込まれた識別情報をICタグリーダライタによって読み取る構成とすることも可能である。また、書き換え可能な電子ペーパーによってバーコードを記録し、新たな識別情報を符号化したバーコードに書き換えたり、書き換えられたバーコードをバーコードリーダによって読み取ったりする構成とすることも可能である。
【0121】
また、上記の実施の形態においては、検体容器Tを移し替えるために、把持部243が検体容器Tを挟むことによって把持する構成について述べたが、これに限定されるものではない。把持部243に設けた爪により検体容器Tを引っかけたり、検体容器Tの頭部等を陰圧によって吸引したりすることで検体容器Tを把持し、把持された検体容器Tを移送して検体容器の移し替えを行う構成とすることも可能であるし、これら以外の保持方法によって検体容器を把持し、把持された検体容器Tを移送して検体容器の移し替えを行う構成とすることも可能である。
【0122】
また、上記の実施の形態においては、バーコードリーダ190を用いてバーコードの識別情報を取得していたが、ラック交換が行われたトレイに対してバーコードの読み取りが行えなかった際に、トレイにラックが載置されていないものと判断することができる。このように、バーコードリーダ190をトレイにおけるラックの有無の判断に用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る検体移し替え装置及び検体処理システムは、検体が収容される検体容器を載置する検体ラックから検体容器を移し替える検体移し替え装置及び検体容器に収容された検体を処理する検体処理システム等として有用である。
【符号の説明】
【0124】
22 検体移し替え装置
110 搬送部
120 バーコードユニット
130 昇降部
139 支持部
140 バッファラック
141 支持部
160 搬送部
190 バーコードリーダ
200 容器移送部
243 把持部
R1 アーカイブラック
R11 支持部
R2 ソーティングラック
R21 支持部
T 検体容器
L 検体ラック
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14