特許第6189701号(P6189701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189701
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】センサ、および固定具
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   A61B5/14 322
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-209470(P2013-209470)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-73557(P2015-73557A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 秀輝
【審査官】 早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−076405(JP,U)
【文献】 実開平05−048905(JP,U)
【文献】 特表平04−501520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の頭部に装着されるセンサであって、
第1端部と第2端部を有し、弧状に延びる第1固定具と、
前記第1固定具の内周側に設けられた第1結合部と、
第1貫通孔と第2貫通孔を有する第2固定具と、
前記第2固定具の第1の側に設けられ、前記第1結合部に対して着脱自在とされた第2結合部と、
前記第2固定具の第1の側に配置されて前記第1貫通孔に対向する発光素子と、
前記第2固定具の第1の側に配置されて前記第2貫通孔に対向する受光素子とを備え、 前記第1固定具は、第1端部と第2端部の間隔を拡開可能な弾性を有しており、
装着時において前記第1結合部は、被検者の額に対向する位置に配置され、
装着時において前記第1端部と前記第2端部は、被検者の後頭部に配置され、
前記第1結合部と前記第2結合部を結合することにより、前記発光素子と前記受光素子が、前記第1固定具と前記第2固定具の間に挟持され、
前記第2固定具における前記第1の側と反対側の第2の側は、装着時において前記額に接触する弾性の異なる第1接触部分と第2接触部分を有しており、
前記第1接触部分は、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔を有するとともに、前記第2接触部分よりも高い弾性を有しており、
前記第2接触部分は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔の間を延びているとともに、前記第1接触部分よりも前記額に向かう方向へ突出している、センサ。
【請求項2】
前記第1の側は第1凹部と第2凹部が形成されており、
前記発光素子は前記第1凹部内に配置され、
前記受光素子は前記第2凹部内に配置される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第1固定具は、前記第1固定具の長手方向における長さ寸法を調節可能な機構を備える、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第1固定具は、長手方向における中央部よりも前記第1端部寄りに設けられた第1ケーブル保持部、および当該中央部よりも前記第2端部寄りに設けられた第2ケーブル保持部を備え、
前記第1ケーブル保持部と前記第2ケーブル保持部は、それぞれ前記発光素子と前記受光素子に接続されたケーブルを保持可能に構成されている、請求項1からのいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記第1結合部は、面ファスナのループ側であり、前記第2結合部は、面ファスナのフック側である、請求項1からのいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
被検者に装着される第1固定具に対して、発光素子と受光素子を固定する第2固定具であって、
第1の側と、
前記第1の側と反対側であり、前記被検者に対向する第2の側と、
前記第1の側と前記第2の側を連通する第1貫通孔と、
前記第1の側と前記第2の側を連通する第2貫通孔と、
前記第1の側に設けられ、前記第1固定具が有する第1結合部に対して着脱自在とされた第2結合部とを備え、
前記第2結合部を前記第1結合部に結合することにより、前記発光素子と前記受光素子を前記第1固定具との間に挟持可能とされており
前記第2の側は、前記第1固定具の装着時において前記被検者に接触する弾性の異なる第1接触部分と第2接触部分を有しており、
前記第1接触部分は、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔を有するとともに、前記第2接触部分よりも高い弾性を有しており、
前記第2接触部分は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔の間を延びているとともに、前記第1接触部分よりも前記被検者に向かう方向へ突出している、第2固定具。
【請求項7】
前記第1の側に形成され、前記発光素子を保持可能な第1凹部と、
前記第1の側に形成され、前記受光素子を保持可能な第2凹部とを備える、請求項に記載の第2固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の頭部に装着されて生体情報を検出するセンサに関する。また本発明は、当該センサを被検者の頭部に固定する固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者の頭部に装着され、生体情報を検出するセンサが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなセンサは、装着部からの脱落を防止するために、ベルト状の固定具により頭部に固定される(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−505360号公報
【特許文献2】特表2007−524482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のセンサは、発光素子と受光素子を備えている。発光素子と受光素子は、センサ本体における被検者への装着面に配置されている。発光素子と受光素子は、装着面から突出するように設けられている。そのため、センサ本体を頭部に装着する際に、発光素子と受光素子の先端が皮膚に当接し、煩わしさを感じる。さらに特許文献2に記載のような固定具によりセンサ本体が皮膚に押し付けられるため、検査が長時間に及ぶと、発光素子および受光素子の皮膚への当接部に被検者が痛みを感じる。
【0005】
よって本発明は、センサを頭部に装着する際に、被検者が感じる煩わしさを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第1の態様は、被検者の頭部に装着されるセンサであって、
第1端部と第2端部を有し、弧状に延びる第1固定具と、
前記第1固定具の内周側に設けられた第1結合部と、
第1貫通孔と第2貫通孔を有する第2固定具と、
前記第2固定具の第1の側に設けられ、前記第1結合部に対して着脱自在とされた第2結合部と、
前記第2固定具の第1の側に配置されて前記第1貫通孔に対向する発光素子と、
前記第2固定具の第1の側に配置されて前記第2貫通孔に対向する受光素子とを備え、
前記第1固定具は、第1端部と第2端部の間隔を拡開可能な弾性を有しており、
装着時において前記第1結合部は、被検者の額に対向する位置に配置され、
装着時において前記第1端部と前記第2端部は、被検者の後頭部に配置され、
前記第1結合部と前記第2結合部を結合することにより、前記発光素子と前記受光素子が、前記第1固定具と前記第2固定具の間に挟持される。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第2の態様は、被検者の頭部に装着される第1固定具に対して、発光素子と受光素子を固定する第2固定具であって、
第1の側と、
前記第1の側と反対側であり、前記被検者に対向する第2の側と、
前記第1の側と前記第2の側を連通する第1貫通孔と、
前記第1の側と前記第2の側を連通する第2貫通孔と、
前記第1の側に設けられ、前記第1固定具が有する第1結合部に対して着脱自在とされた第2結合部とを備え、
前記第2結合部を前記第1結合部に結合することにより、前記発光素子と前記受光素子を前記第1固定具との間に挟持可能とされている。
【0008】
上記の構成によれば、弧状に延びる第1固定具の第1端部と第2端部が離間しており、その間隔が拡開可能な弾性を有している。また発光素子と受光素子は、第1結合部と第2結合部の結合により、第1固定具と第2固定具の間に保持されている。したがって、センサを被検者の額の前方から一動作で容易に装着できる。これにより、例えば被検者が就寝中においても、被検者の頭部を持ち上げる作業を必要とせずにセンサを装着できる。医療従事者にとっては作業性が向上するとともに、被検者にとってはセンサの装着に際しての煩わしさが抑制される。
【0009】
発光素子と受光素子が第1固定具と第2固定具の間に保持されているため、第1固定具は、発光素子と受光素子を被検者の額に押し付けて保持するための力を発生させる必要がない。第1固定具は、発光素子と受光素子を用いた測定が可能な程度に第2固定具を被検者の額に密着させる程度の力を発生させれば十分である。したがって、第2固定具が必要以上に強く額に押し付けられることがなく、被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0010】
また、このとき発光素子と受光素子は、第1固定具と第2固定具の間に挟持されて被検者の額に当接することがない。発光素子と受光素子よりも接触面積の大きな第2固定具が額に当接することにより押圧力が分散され、被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0011】
前記第1の側と反対側の第2の側は、第1弾性を有する第1部分、および前記第1弾性よりも低い第2弾性を有する第2部分を有する構成としてもよい。この場合、前記第2部分は、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔の間を延びている。
【0012】
このような構成によれば、センサの装着時において、第1部分が被検者の額の形状にあわせて変形する。これにより、第2固定具の額への密着性が高まるとともに、被検者が感じる圧迫感を軽減できる。このとき第1部分よりも低い弾性を有する第2部分の変形量は、第1部分よりも小さく、第1貫通孔と第2貫通孔を隔てる隔壁として機能する。したがって、第1貫通孔を通過する発光素子より出射された光が、被検者の額による反射を経ることなく第2貫通孔側に回り込んで受光素子により検出される事態を回避できる。すなわち、圧迫感による被検者が感じる煩わしさを抑制しつつ、被検者の生体情報を正確に取得できる。
【0013】
前記第1の側に第1凹部と第2凹部が形成されている構成としてもよい。この場合、前記発光素子は前記第1凹部内に配置され、前記受光素子は前記第2凹部内に配置される。
【0014】
このような構成によれば、発光素子と受光素子の位置決めが確実になされ、保持性が高まるだけでなく、第2固定具の厚み寸法を小さくすることができる。これにより、センサの装着時における第2固定具の接触に伴う違和感が軽減され、被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0015】
前記第1固定具は、前記第1固定具の長手方向における長さ寸法を調節可能な機構を備える構成としてもよい。
【0016】
このような構成によれば、被検者の頭部のサイズに応じて第1固定具の長手方向における長さ寸法を調節可能である。これにより、第1固定具の装着に係る違和感が、被検者に応じて軽減されうる。したがって、センサの装着時に被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0017】
前記第1固定具は、長手方向における中央部よりも前記第1端部寄りに設けられた第1ケーブル保持部、および当該中央部よりも前記第2端部寄りに設けられた第2ケーブル保持部を備える構成としてもよい。この場合、前記第1ケーブル保持部と前記第2ケーブル保持部は、それぞれ前記発光素子と前記受光素子に接続されたケーブルを保持可能に構成される。
【0018】
このような構成によれば、額に装着された発光素子と受光素子から延びるケーブルが眼前で揺れることが防止され、被検者が感じる煩わしさが抑制されるとともに、ケーブルを通じて伝送される信号へのノイズ混入が防止される。また被検者の好みに応じて、あるいは検査条件に応じて、第1ケーブル保持部と第2ケーブル保持部の少なくとも一方を使用できるため、被検者が煩わしさを感じにくい態様でのケーブル保持が可能となる。
【0019】
前記第1結合部は、面ファスナのループ側であり、前記第2結合部は、面ファスナのフック側である構成としてもよい。
【0020】
第2結合部が結合される箇所以外の第1結合部は、第1固定具の内周側に設けられているため、被検者の額に当接する。しかしながら面ファスナのループ側は、肌触りが柔軟であるため、被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るセンサを示す斜視図である。
図2図1のセンサが備える第2固定具の第1の側における構成を示す図である。
図3図1のセンサが被検者の頭部に装着された状態を示す図である。
図4図1のセンサが備える第2固定具の第2の側における構成を示す図である。
図5図1のセンサが備える第1固定具の端部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る実施形態の例を添付の図面を参照しつつ以下詳細に説明する。なお以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサ1を示す斜視図である。被検者の頭部に装着されるセンサ1は、第1固定具10、第2固定具20、発光素子30、および受光素子40を備えている。
【0024】
第1固定具10は、第1端部11、第2端部12、および本体部13を備えている。第1端部11は、本体部13の左端部に接続されている。第2端部12は、本体部13の右端部に接続されている。
【0025】
第1固定具10は、全体として弧状に延び、第1端部11と第2端部12は離間している。第1固定具10は、第1端部11と第2端部12の間隔を拡開可能な弾性を有している。
【0026】
本体部13の内周側には、第1結合部14が設けられている。第1結合部14は、例えば面ファスナのループ側である。第1端部11と第2端部12の内周側には、それぞれクッション部材15が設けられている。クッション部材15の素材としては、低反発スポンジなどが挙げられる。
【0027】
第2固定具20は、第1固定具10の内周側と対向する第1の側、および当該第1の側の反対側である第2の側を有している。第2固定具20は、第1の側と第2の側を連通する第1貫通孔21と第2貫通孔22を有している。
【0028】
図2(a)は、第2固定具20の第1の側を拡大して示す斜視図である。第1の側には、第2結合部23が設けられている。第2結合部23は、例えば面ファスナのフック側であり、第1固定具10の第1結合部14に対して着脱自在とされている。
【0029】
図2(b)は、発光素子30と受光素子40を示す斜視図である。発光素子30は、発光部31、装着部32、および信号線33を備えている。受光素子40は、受光部41、装着部42、および信号線43を備えている。
【0030】
発光部31は、信号線33を通じて図示しない制御部から入力される制御信号に応じて、所定の波長を有する光を出射する。装着部32は、発光部31を包囲するように設けられ、第2固定具20の第2結合部23に対して着脱自在とされている。装着部32は、例えばゴム材料、タオル生地、パイル生地、または面ファスナのループ側である。
【0031】
受光部41は、受光強度に応じた信号を信号線43を通じて出力する。装着部42は、受光部41を包囲するように設けられ、第2固定具20の第2結合部23に対して着脱自在とされている。装着部42は、例えばゴム材料、タオル生地、パイル生地、または面ファスナのループ側である。
【0032】
図2(c)に示すように、発光素子30と受光素子40は、第2固定具20の第1の側に配置される。具体的には、発光素子30の発光部31が第1貫通孔21に対向し、受光素子40の受光部41が第2貫通孔22に対向するように配置される。
【0033】
図1に示すように、第2固定具20は、第1固定具10の本体部13における内周側に装着される。このとき第1結合部14と第2結合部23が結合され、発光素子30と受光素子40が、第1固定具10と第2固定具20の間に挟持される。第2固定具20の装着場所は、第1結合部14が設けられている範囲内であれば、被検者に応じて任意に定めることができる。
【0034】
図3(a)は、上記の構成を有するセンサ1を、被検者の頭部に装着した状態を示す斜視図である。図3(b)は、同状態を頭部の上方から見た状態を示す図である。センサ1の装着時において、第1固定具10の第1結合部14は、被検者の額に対向する位置に配置される。またセンサ1の装着時において、第1固定具10の第1端部11と第2端部12は、被検者の後頭部に配置される。
【0035】
発光素子30と受光素子40は、例えばパルスオキシメータのプローブとして用いられる。この場合、赤色光と赤外光を照射するように構成される。発光素子30は、発光素子30の発光部31から照射された赤色光と赤外光は、第2固定具20の第1貫通孔21を通じて被検者の額に照射される。額により反射された赤色光と赤外光は、第2固定具の第2貫通孔22を通じて受光素子40の受光部41で検出される。血液中のヘモグロビンは、酸素との結合の有無により赤色光と赤外光の吸光度が異なるため、受光部41が検出する各光の強度を分析することにより、動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定できる。また心臓の拍動に伴う脈波成分を検出することにより、心拍数を測定できる。
【0036】
上記の構成を有するセンサ1によれば、弧状に延びる第1固定具10の第1端部11と第2端部が離間しており、その間隔が拡開可能な弾性を有している。また発光素子30と受光素子40は、第1結合部14と第2結合部23の結合により、第1固定具10と第2固定具20の間に保持されている。したがって、センサ1を被検者の額の前方から一動作で容易に装着できる。これにより、例えば被検者が就寝中においても、被検者の頭部を持ち上げる作業を必要とせずにセンサ1を装着できる。医療従事者にとっては作業性が向上するとともに、被検者にとってはセンサ1の装着に際しての煩わしさが抑制される。
【0037】
発光素子30と受光素子40が第1固定具10と第2固定具20の間に保持されているため、第1固定具10は、発光素子30と受光素子40を被検者の額に押し付けて保持するための力を発生させる必要がない。第1固定具10は、発光素子30と受光素子40を用いた測定が可能な程度に第2固定具20を被検者の額に密着させる程度の力を発生させれば十分である。図3(b)に示したように、センサ1の装着時において第1端部11と第2端部被検者の後頭部に回り込むことにより、第1固定具10自身が有する弾性と相俟って、このような力を発生させることができる。したがって、第2固定具20が必要以上に強く額に押し付けられることがなく、被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0038】
また、このとき発光素子30と受光素子40は、第1固定具10と第2固定具20の間に挟持されて被検者の額に当接することがない。発光素子30と受光素子40よりも接触面積の大きな第2固定具20が額に当接することにより押圧力が分散され、被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0039】
図4に示すように、第2固定具20の第2の側は、左接触部24、右接触部25、および中央接触部26を備えている。左接触部24と右接触部25(第1部分の一例)は、例えばスポンジなどにより形成されており、弾性を備えている。中央接触部26(第2部分の一例)は、例えば低反発性スポンジなどにより形成されており、左接触部24と右接触部25よりも低い弾性を備えている。
【0040】
第1貫通孔21は、左接触部24において開口している。第2貫通孔22は、右接触部25において開口している。中央接触部26は、第1貫通孔21と第2貫通孔22の間を横切るように延びている。
【0041】
このような構成によれば、センサ1の装着時において、左接触部24と右接触部25が被検者の額の形状にあわせて変形する。これにより、第2固定具20の額への密着性が高まるとともに、被検者が感じる圧迫感を軽減できる。このとき左接触部24と右接触部25よりも低い弾性を有する中央接触部26の変形量は、左接触部24と右接触部25よりも小さく、第1貫通孔21と第2貫通孔22を隔てる隔壁として機能する。したがって、第1貫通孔21を通過する発光素子30より出射された光が、被検者の額による反射を経ることなく第2貫通孔22側に回り込んで受光素子40により検出される事態を回避できる。すなわち、圧迫感による被検者が感じる煩わしさを抑制しつつ、被検者の生体情報を正確に取得できる。
【0042】
図2(a)に示すように、第2固定具20の第1の側に設けられた第2結合部23の一部には、第1凹部27と第2凹部28が形成されている。第1凹部27の底部には第1貫通孔21が開口している。第2凹部28の底部には第2貫通孔22が開口している。第1凹部27と第2凹部28の形状は、それぞれ発光素子30の装着部32と受光素子40の装着部42に対応している。図2(c)に示す発光素子30と受光素子40の装着状態においては、装着部32が第1凹部27内に配置され、装着部42が第2凹部28内に配置される。
【0043】
第1凹部27と第2凹部28の底部は、それぞれ発光素子30の装着部32と受光素子40の装着部42と着脱自在に結合可能とされる限りにおいて、適宜の態様をとりうる。第2結合部23と同様に面ファスナのフック部として構成してもよいし、粘着テープを設けてもよい。
【0044】
このような構成によれば、発光素子30と受光素子40の位置決めが確実になされ、保持性が高まるだけでなく、第2固定具20の厚み寸法を小さくすることができる。これにより、センサ1の装着時における第2固定具20の接触に伴う違和感が軽減され、被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0045】
図5に示すように、第1固定具10の第2端部12は、本体部13に対してスライド可能に支持されている。図示を省略するが、第1端部11も同様の構成とされている。これにより、第1固定具10の長手方向における長さ寸法が調節可能である。センサ1の装着時において第1端部11と第2端部12が被検者の後頭部に配置されるように、スライド量が調節される。
【0046】
このような構成によれば、被検者の頭部のサイズに応じて第1固定具10の長手方向における長さ寸法を調節可能である。これにより、第1固定具10の装着時の違和感が、被検者に応じて軽減されうる。したがって、センサ1の装着時に被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0047】
図1に示すように、第1固定具10は、第1ケーブル保持部16と第2ケーブル保持部17を備えている。第1ケーブル保持部16は、第1固定具10の長手方向における中央部よりも第1端部11寄りに設けられている。第2ケーブル保持部17は、第1固定具10の長手方向における中央部よりも第2端部12寄りに設けられている。
【0048】
第1ケーブル保持部16と第2ケーブル保持部17は、発光素子30と受光素子40に接続された信号線33、43(ケーブルの一例)を保持可能な構成とされている。図3(a)に示すように、第1ケーブル保持部16と第2ケーブル保持部17のいずれかに信号線33、43の双方を保持させてもよいし、第1ケーブル保持部16と第2ケーブル保持部17にそれぞれ信号線33と信号線43を保持させてもよい(逆もまた然り)。本実施形態においては、第1ケーブル保持部16と第2ケーブル保持部17は、面ファスナにより着脱可能とされた一対のベルトである。しかしながら、信号線33、43を保持可能である限り、他の保持構造でもよい。
【0049】
このような構成によれば、額に装着された発光素子30と受光素子40から延びる信号線33、43が眼前で揺れることが防止され、被検者が感じる煩わしさが抑制されるとともに、信号線33、43を通じて伝送される信号にノイズが混入することが防止される。また被検者の好みに応じて、あるいは検査条件に応じて、第1ケーブル保持部16と第2ケーブル保持部17の少なくとも一方を使用できるため、被検者が煩わしさを感じにくい態様でのケーブル保持が可能となる。
【0050】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。
【0051】
上記の実施形態においては、第1固定具10の第1結合部14として面ファスナのループ側が用いられ、第2固定具20の第2結合部23として面ファスナのフック側が用いられている。
【0052】
第2結合部23が結合する箇所以外の第1結合部14は、第1固定具10の内周側に設けられているため、被検者の額に当接する。しかしながら面ファスナのループ側は、肌触りが柔軟であるため、被検者が感じる煩わしさを抑制できる。
【0053】
なお第1結合部14と第2結合部23は、相互に着脱自在とされる限りにおいて面ファスナ以外の構成を採用しうる。例えば、再粘着性のあるシリコン系接着剤層を表面に有するテープ部材を、第1結合部14と第2結合部23のそれぞれに用いてもよい。
【0054】
第1固定具10の長手方向の長さ調節を可能とする機構は、第1端部11と第2端部12のスライド機構に限定するものではない。第1固定具10の長手方向の長さを調節可能である限りにおいて、第1端部11、第2端部12、および本体部13の少なくとも1つに適宜の機構を採用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1:センサ、10:第1固定具、11:第1端部、12:第2端部、14:第1結合部、16:第1ケーブル保持部、17:第2ケーブル保持部、20:第2固定具、21:第1貫通孔、22:第2貫通孔、23:第2結合部、24:左接触部、25:右接触部、26:中央接触部、27:第1凹部、28:第2凹部、30:発光素子、40:受光素子
図1
図2
図3
図4
図5