特許第6189710号(P6189710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6189710-持続可能なトナー 図000008
  • 特許6189710-持続可能なトナー 図000009
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189710
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】持続可能なトナー
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/199 20060101AFI20170821BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   C08G63/199
   G03G9/08 331
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-221624(P2013-221624)
(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-95076(P2014-95076A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】13/670,879
(32)【優先日】2012年11月7日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケ・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ゲリノ・ジー・サクリパンテ
(72)【発明者】
【氏名】ユーリン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ダマト
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−172027(JP,A)
【文献】 特開2005−148641(JP,A)
【文献】 特開2010−020170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00 − 63/91
CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物と、
(b)少なくとも2種類のジオールとの重縮合生成物を含み、
少なくとも2種類のジオールは、不均化ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを含む、ポリエステル樹脂。
【請求項2】
前記不均化ロジンジオールが、不均化蒸留ロジン酸から誘導される、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項3】
前記不均化蒸留ロジン酸は、酸価が約176mg KOH/g ロジン〜約180mg KOH/g ロジンである、請求項2に記載のポリエステル樹脂。
【請求項4】
前記不均化蒸留ロジン酸が、未精製ロジン酸の不均化および蒸留によって得られる、請求項2に記載のポリエステル樹脂。
【請求項5】
前記不均化ロジンジオールが、ロジン酸およびグリセリンカーボネートから誘導される、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項6】
前記ポリエステル樹脂が、約50℃〜約65℃のガラス転移点を有する、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項7】
前記ポリエステル樹脂が、約110℃〜約130℃の軟化点温度を有する、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項8】
前記ポリエステル樹脂が、約5mg KOH/g〜約30mg KOH/gの酸価を有する、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項9】
前記ポリエステル樹脂は、約3〜約100の多分散指数(Mw/Mn)を有する、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項10】
二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物が、コハク酸、セバシン酸およびイソフタル酸からなる群から選択される、請求項1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項11】
(a)二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物と、
(b)少なくとも2種類のジオールとの重縮合生成物を含み、
少なくとも2種類のジオールが、ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを含む、ポリエステル樹脂を含むトナー粒子を含むトナー組成物。
【請求項12】
前記ポリエステル樹脂はアモルファスである、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項13】
結晶性ポリエステル樹脂をさらに含む、請求項12に記載のトナー組成物。
【請求項14】
前記トナー粒子は、約3μm〜約20μmの粒径を有する、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項15】
前記トナー粒子は、約0.93〜0.99の真円度を有する、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項16】
二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物が、コハク酸、セバシン酸およびイソフタル酸からなる群から選択される、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項17】
約50℃〜約55℃での前記トナー組成物の熱凝固は、0〜20質量%である、請求項11に記載のトナー組成物。
【請求項18】
(a)二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物と、
(b)少なくとも2種類のジオールと重縮合させることを含み、
少なくとも2種類のジオールは、ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを含む、ポリエステル樹脂を調製する方法。
【請求項19】
前記ロジンジオールは、ロジン酸およびグリセリンカーボネートから合成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ロジン酸は、未精製ロジン酸の不均化および蒸留によって得られ、前記ロジン酸は、約176mg KOH/g ロジン〜約180mg KOH/g ロジンの酸価を有する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、画像形成用途に使用するトナー組成物に使用するのに適した樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
静電気的手段によって光伝導性材料の表面に画像を作成し、現像する基本的なプロセスは、光伝導体または感光体として知られる光伝導性絶縁層の上に均一な静電電荷を配置することと、この感光体に光と影像をあて、感光体のうち露光した領域にある電荷を散逸させることと、この画像の上に、トナーとして知られる精密に分割された検電材料を堆積させることによって、得られた静電潜像を現像することとを伴う。トナーは、典型的には、樹脂と着色剤とを含む。トナーは、通常は、感光体のうち、電荷が残っている領域に引き寄せられ、それによって、静電潜像に対応するトナー画像が作られる。次いで、この現像された画像を基材(例えば紙)に転写してもよい。その後、転写された画像を熱、圧力、熱と圧力の組み合わせ、または他の適切な固定手段(例えば、溶媒またはオーバーコーティング処理)によって基材に永久的に固着させてもよい。
【0003】
トナーを調製するのに多くのプロセスを利用することができる。このような方法には、乳化凝集(EA)がある。印刷物および/またはゼログラフィー画像を作成する際に乳化凝集トナーを使用することができる。乳化凝集技術は、例えば、米国特許第5,853,943号(参照することで開示内容は全体的に本明細書に組み込まれる)に開示されるように、樹脂を加熱し、乳化重合を用いることによって、樹脂粒子のエマルションラテックスを作成することを伴っていてもよい。ポリエステルEA超低融点(ULM)トナーは、例えば、米国特許第7,547,499号(参照することで開示内容は全体的に本明細書に組み込まれる)に開示されるように、アモルファスポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂を利用して調製された。
【0004】
例示的な乳化凝集トナーとしては、例えば、米国特許第6,120,967号に示されるようなスチレンアクリレートトナー粒子に由来するアクリレート系トナー、例えば、米国特許第5,916,725号および同第7,785,763号、米国特許公開第2008/0107989号(参照することで開示内容はそれぞれ全体的に本明細書に組み込まれる)に開示されるようなポリエステルトナー粒子が挙げられる。
【0005】
トナーを作成する際に利用される多くのポリマー材料は、化石燃料の抽出および処理に基づき、最終的には、温室ガスを増やし、非分解性の材料を環境中に蓄積してしまう。エネルギーおよび環境に関する政策、高騰しつつある揮発性油の値段、化石燃料がすぐに枯渇してしまうという公共/政治による喚起から、生体材料から誘導される持続可能なモノマーを見つける必要性が生じてきた。生物再生可能な原料を用いることによって、製造業者は、カーボンフットプリントを減らすことができ、ゼロカーボンまたはカーボンニュートラルなフットプリントへと移行することができる。生物由来のポリマーは、特定のエネルギーおよび排出量の削減という観点でも非常に魅力的である。生物由来の原料を用いることで、埋め立て地に向かうプラスチックの量を減らすことができ、国内の農業のための新たな収入源を与えるのに役立ち、石油に依存することに関連する経済的な危険性および不確実性を低減することができる。
【0006】
既知の組成物およびプロセスが、これらの意図する目的に適しているものの、石油以外の供給源および/または再生可能な資源から誘導される樹脂およびトナーを含む、改良された樹脂およびトナー組成物が望ましい。さらに、比較的安価な供給源から誘導されるトナーも必要である。それに加え、上述の利点を有するトナー(例えば、乳化凝集トナー)が必要である。さらに、高収率で得ることができ、粒径が小さく、制御された粒子構造または粒子形状を有し、狭い粒子GSDを有し、コア−シェル構造を有する、石油系の供給源または再生可能な資源から誘導される乳化凝集トナーが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施形態では、(a)二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物と、(b)少なくとも2種類のジオールとの重縮合生成物を含み、少なくとも2種類のジオールは、不均化ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを含む、ポリエステル樹脂が提供される。
【0008】
さらに、(a)二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物と、(b)少なくとも2種類のジオールとの重縮合生成物を含み、少なくとも2種類のジオールが、ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを含む、第1のポリエステル樹脂を含むトナー粒子を含むトナー組成物が提供される。
【0009】
さらに、(a)二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物と、(b)少なくとも2種類のジオールとを重縮合させることを含み、少なくとも2種類のジオールは、ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを含む、ポリエステル樹脂を調製する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1〜3の樹脂について、貯蔵弾性率を温度の関数として示したグラフを提供する。
図2図2は、実施例1〜3の樹脂について、粘度を温度の関数として示したグラフを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「二酸」は、例えば、2個のカルボン酸基を含む化合物を指す。酸無水物基は、重縮合反応条件下で二酸基に変換されるため、「二酸」との用語は、酸無水物官能基を有する化合物も指す。
【0012】
「ジエステル」は、例えば、2個のエステル基を含む化合物を指す。
【0013】
「ジオール」は、例えば、2個のヒドロキシル基を含む化合物を指す。
【0014】
「粘度」という用語は、例えば、複素粘度を指し、一定のせん断歪みまたは小さな振幅の正弦波変形をサンプルが受けることができる機械的なレオメーターによって与えられる典型的な測定値である。この種の装置では、オペレーターによってモーターにせん断歪みが加えられ、サンプルの変形(トルク)がトランスデューサーによって測定される。このような装置の例は、Rheometrics Fluid Rheometer RFS3またはARES機械分光器(両方ともTA Instrumentsの一部門であるRheometrics製)である。
【0015】
本開示は、画像形成用途に使用するトナー組成物に使用するのに適した樹脂を提供する。さらに具体的には、本開示は、ロジンから誘導される樹脂およびこれらの樹脂を含有するトナーを提供する。本開示にしたがって製造されるポリエステル樹脂は、(a)少なくとも1種類の二酸、酸エステルまたはジエステルと、(b)少なくとも2種類のジオールとの重縮合生成物であってもよく、少なくとも2種類のジオールは、ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとを含む。
【0016】
少なくとも2種類のジオールのうち、1種類以上はロジンジオールであってもよい。ロジンジオールは、球果植物および他の植物から誘導されてもよい持続可能な材料であるロジンから誘導されてもよい。ロジンジオールは、ロジン酸から合成されてもよい。ロジン酸からロジンジオールを合成する既知の方法は、ロジン酸と、ビスフェノールAを含有するビス−エポキシドとから、または、ロジン酸とグリセリンカーボネート(これも持続可能な材料である)とからロジンジオールを合成することを含む。
【0017】
ロジンジオールは、酸価が約175mg KOH〜約185mg KOH、または約176mg KOH〜約180mg KOHのロジン酸から合成されてもよい。ロジン酸が、この範囲より小さな酸価を有する場合、酸価は、例えば、ロジン酸の不均化および蒸留によって大きくなってもよい。例えば、未精製ロジン酸は、酸価が約173未満、例えば、約150〜約170、または約150未満であってもよい。不均化および蒸留の後、未精製ロジン酸から精製された不均化蒸留ロジン酸は、酸価が約175mg KOH〜約185mg KOH、または約176mg KOH〜約180mg KOHであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、ポリエステル樹脂を合成するために用いられる少なくとも2種類のジオールの1つは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンであってもよい。
【化1】
【0019】
既知のプロセスによれば、ロジンジオールを、アゼライン酸、イソフタル酸(IPA)、プロポキシル化ビスフェノールA(BPA−PO)の混合物とともに重合させ、ポリエステル樹脂を作成してもよい。ビスフェノールAと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンは、炭素と酸素の比率が似ており、ビスフェノールAおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンは、両方ともC:O比が約15:2である。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いてポリエステル樹脂を合成してもよい。具体的には、ポリエステル樹脂は、ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと、少なくとも1種類の二酸、酸エステルまたはジエステルとの重縮合生成物であってもよい。
【0020】
少なくとも1種類の二酸、酸エステルまたはジエステルは、コハク酸(持続可能なモノマー)、セバシン酸およびIPA、またはこれらの混合物から選択されてもよい。持続可能であることに加え、コハク酸およびセバシン酸は、費用対効果が高いモノマーでもある。コハク酸、セバシン酸およびIPAの混合物中の成分の濃度を調節し、全体的な酸素に対する炭素の比率が約4〜約6、または約4.5〜約5.0の混合物を得てもよい。
【0021】
少なくとも1種類の二酸、酸エステルまたはジエステルと、少なくとも2種類のジオールとの重縮合によって製造されるポリエステル樹脂は、ガラス転移点が約50℃〜約65℃、または約54℃〜約60℃であってもよい。樹脂の軟化点は、約110℃〜約130℃、または約115℃〜約126℃であってもよい。本開示にしたがって製造したポリエステル樹脂の酸価は、約5mg KOH/g〜約30mg KOH/g、または約10mg KOH/g〜約18mg KOH/gであってもよい。
【0022】
ポリエステル樹脂は、有効な数平均分子量(Mn)が約1000〜約50000、例えば、約2000〜約25000であってもよい。樹脂は、重量平均分子量(Mw)が約2000〜約100000、例えば、約3000〜約80000であってもよい。本開示のポリエステル樹脂の多分散指数(M/M)は、約3〜約100、または約5〜約30の数であってもよい。
【0023】
生物再生可能な資源から製造されるポリエステル樹脂および/またはトナー組成物は、環境に優しくない化合物(例えば、ビスフェノールA)および/または非分解性材料を含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。「実質的に含まない」との句は、ほんの痕跡量の環境に優しくない化合物(例えば、ビスフェノールA)および/または非分解性材料が存在する、生物再生可能な資源から製造されるポリエステル樹脂またはトナー組成物、例えば、約0.1重量%未満の環境に優しくない化合物(例えば、ビスフェノールA)または非分解性材料が、ポリエステル樹脂またはトナー組成物中に存在するか、または約0.1重量%〜約0.001重量%の環境に優しくない化合物(例えば、ビスフェノールA)および/または非分解性材料が、ポリエステル樹脂またはトナー組成物中に存在する、ポリエステル樹脂またはトナー組成物を指す。
【0024】
トナー組成物は、第1のポリエステル樹脂(例えば、本開示によって製造されたポリエステル樹脂)を含んでいてもよく、さらに、第2のポリエステル樹脂も含んでいてもよい。第2のポリエステル樹脂は、任意の望ましいポリエステル樹脂(例えば、結晶性樹脂)であってもよい。
【0025】
トナー組成物は、ワックス、着色剤、界面活性剤、凝固剤、および1種類以上のさらなる添加剤とともに、本開示にしたがって製造されたポリエステル樹脂を含有するトナー粒子を含んでいてもよい。トナー組成物は、さらに、結晶性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。ポリエステル樹脂は、アモルファスであってもよい。
【0026】
調製されたトナーは、乳化凝集トナーであってもよい。このようなトナーは、任意の望ましい方法によって、例えば、上述のように調製したポリエステル樹脂と、場合により、ワックス、着色剤、界面活性剤、凝固剤、および1種類以上のさらなる添加剤とを含むエマルションを一緒に混合することによってスラリーを作成することによって、調製されてもよい。スラリーを加熱し、スラリー中で凝集粒子を作成してもよい。粒子が望ましい凝集粒径に達したら、凝集を凍結させてもよく、または既知の方法によって止めてもよい。その後、スラリー中の凝集粒子を加熱し、粒子をトナー粒子に融着させてもよい。トナー粒子は、GSDが約1.15〜約1.45、または約1.24〜約1.31であってもよい。トナー粒子は、GSDが約1.15〜約1.45、または約1.24〜約1.31であってもよい。凝集の後、トナー粒子は、真円度が約0.93〜約0.99、または約0.97〜約0.99であってもよい。本開示にしたがって製造されたトナーは、コア−シェル構造を有していてもよい。
【0027】
本明細書に開示されたトナー中に含まれる樹脂は、ロジンから誘導されてもよい。ロジンは、球果植物および他の植物から誘導されてもよく、有機酸(例えば、アビエチン酸)および関連する化合物および異性体(ネオアビエチン酸、パルストリン酸、ピマル酸、レボピマル酸、イソピマル酸、デヒドロアビエチン酸、サンダラコピマル酸(これらの構造を以下に示す)の混合物を含む。
【化2】
【0028】
ポリエステル樹脂は、(a)二酸、酸エステルおよびジエステルからなる群から選択される少なくとも1種類の化合物と、(b)少なくとも2種類のジオールとを重縮合させることによって製造されてもよい。少なくとも2種類のジオールは、ロジンジオールと、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを含んでいてもよい。
【0029】
ロジンジオールをロジン酸から合成してもよい。ロジンジオールは、酸価が約175mg KOH〜約185mg KOH、または約176mg KOH〜約183mg KOHのロジン酸から合成されてもよい。ロジン酸が、この範囲より小さな酸価を有する場合(例えば、約130mg KOH〜約174 KOH、または約150mg KOH〜約160mg KOH)、酸価は、例えば、ロジン酸の不均化、蒸留および/または再結晶化によって大きくなってもよい。
【0030】
不均化は、モノカルボン酸ジテルペン酸、すなわちロジンを含む「樹脂酸」の分子間の水素の交換を伴い、樹脂酸の一部は水素化されており、他方は脱水されている。不均化は、例えば、約180℃〜約350℃、または約250℃〜約290℃の温度で行われていてもよい。不均化は、触媒の存在によって促進されてもよい。触媒は、炭素上の金属触媒であってもよく、金属は、パラジウム、白金またはニッケル、または炭酸カルシウム上の金属触媒であってもよく、この場合、金属は、パラジウム、白金またはニッケルであってもよい。不均化は、約1時間〜約7時間、または約3時間〜約5時間かけて行われてもよい。酸価が約175mg KOH未満の樹脂酸の不均化および蒸留によって、酸価が約0.5%〜約40%、または約2%〜約20%大きくなってもよい。
【0031】
ロジンジオールを、任意要素の触媒存在下、(a)少なくとも1種類の二酸、酸エステルまたはジエステルおよび(b)2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと反応させ、ポリエステル樹脂を作成してもよい。適切な二酸またはジエステルの例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチル、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
二酸、酸エステルまたはジエステルモノマーは、非石油系であるように選択され、その結果、得られたポリエステルは、再生可能な資源から誘導される。このようなモノマーの例としては、コハク酸、アゼライン酸、クエン酸、これらのエステルおよび酸無水物、およびこれらの混合物が挙げられる。少なくとも1種類の二酸、酸エステルまたはジエステルは、コハク酸、セバシン酸およびイソフタル酸からなる群から選択されてもよい。少なくとも1種類の二酸、酸エステルまたはジエステルは、コハク酸、セバシン酸およびイソフタル酸の混合物であってもよい。コハク酸、セバシン酸およびイソフタル酸の混合物中の成分の濃度を調節し、全体的な酸素に対する炭素の比率が約4〜約6、または約4.5〜約5の混合物を得てもよい。
【0033】
ポリエステル樹脂は、ガラス転移点(Tg)が約50℃〜約65℃、または約54℃〜約60℃であってもよい。
【0034】
ポリエステル樹脂は、軟化点(Ts)が約110℃〜約130℃、または約115℃〜約126℃であってもよい。
【0035】
ポリエステル樹脂は、酸価が約5mg KOH/g〜約30mg KOH/g、または約10mg KOH/g〜約18mg KOH/gであってもよい。
【0036】
酸価(または「中和数」または「酸数」または「酸性度」)は、既知の量のポリマーサンプルを有機溶媒に溶解し、既知の濃度の水酸化カリウム(KOH)溶液と、色指示薬としてフェノールフタレインを用いて滴定することによって測定してもよい。酸数は、化学物質1グラムを中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム単位での質量である。ポリエステル樹脂の場合、酸数は、ポリエステル分子中のカルボン酸基の量の測定値である。
【0037】
ロジン酸またはエステルから調製したポリエステル樹脂は、所望な場合、石油供給源から誘導されるものを含め、他のポリエステル樹脂と組み合わせて使用することができる。他の適切なポリエステル樹脂の例としては、スルホン酸化されたもの、スルホン酸化されていないもの、結晶性、アモルファス、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ポリエステル樹脂は、直鎖、分枝鎖、これらの組み合わせなどであってもよい。ポリエステル樹脂としては、米国特許第6,593,049号および第6,756,176号に開示されている樹脂が挙げられる。適切な樹脂は、米国特許第6,830,860号に開示されるようなアモルファスポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の混合物も含む。
【0038】
適切なポリエステルの他の例としては、任意要素の触媒存在下、ジオールと、二酸またはジエステルとを反応させることによって作られるものが挙げられる。結晶性ポリエステルを作成する場合、適切な有機ジオールとしては、約2〜約36個の炭素原子を含む脂肪族ジオール、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、エチレングリコール、これらの組み合わせなどが挙げられる。脂肪族ジオールは、約40mol%〜約60mol%、または約45mol%〜約53mol%の量であってもよい。アルカリスルホ脂肪族ジオールは、約0mol%より多く、約10mol%まで、または約1mol%〜約4mol%の量であってもよい。
【0039】
結晶性樹脂を調製するのに適した有機二酸またはジエステルの例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸およびメサコン酸、これらのジエステルまたは酸無水物など、およびこれらの組み合わせが挙げられる。有機二酸は、約40mol%〜約60mol%、または約45mol%〜約53mol%の量になるように選択されてもよい。
【0040】
適切な結晶性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン、およびこれらの混合物が挙げられる。具体的な結晶性樹脂は、ポリエステル系、例えば、ポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(プロピレン−アジペート)、ポリ(ブチレン−アジペート)、ポリ(ペンチレン−アジペート)、ポリ(ヘキシレン−アジペート)、ポリ(オクチレン−アジペート)、ポリ(エチレン−サクシネート)、ポリ(プロピレン−サクシネート)、ポリ(ブチレン−サクシネート)、ポリ(ペンチレン−サクシネート)、ポリ(ヘキシレン−サクシネート)、ポリ(オクチレン−サクシネート)、ポリ(エチレン−セバケート)、ポリ(プロピレン−セバケート)、ポリ(ブチレン−セバケート)、ポリ(ペンチレン−セバケート)、ポリ(ヘキシレン−セバケート)、ポリ(オクチレン−セバケート)、アルカリコポリ(5−スルホイソフタロイル)−コポリ(エチレン−アジペート)、ポリ(デシレン−セバケート)、ポリ(デシレン−デカノエート)、ポリ−(エチレン−デカノエート)、ポリ−(エチレン−ドデカノエート)、ポリ(ノニレン−セバケート)、ポリ(ノニレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−セバケート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−デカノエート)、コポリ(エチレン−フマレート)−コポリ(エチレン−ドデカノエート)など、およびこれらの混合物であってもよい。結晶性樹脂は、トナー成分の約5重量%〜約50重量%、または約10重量%〜約35重量%の量で存在していてもよい。結晶性樹脂は、融点が約30℃〜約120℃、または約50℃〜約90℃であってもよい。結晶性樹脂は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定する場合、有効な数平均分子量(Mn)が約1,000〜約50,000、または約2,000〜約25,000であってもよい。結晶性樹脂は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィーによって決定する場合、重量平均分子量(Mw)が約2,000〜約100,000、または約3,000〜約80,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、約2〜約6、例えば、約3〜約4の数であってもよい。
【0041】
アモルファスポリエステルを調製するのに適した二酸またはジエステルの例としては、ジカルボン酸、酸無水物またはジエステル、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、ドデシルコハク酸、無水ドデシルコハク酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、無水フタル酸、フタル酸ジエチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、ドデシルコハク酸ジメチルなど、およびこれらの混合物が挙げられる。有機二酸またはジエステルは、樹脂の約40mol%〜約60mol%、または約45mol%〜約53mol%の量で存在していてもよい。
【0042】
アモルファスポリエステルを作成するのに適したジオールの例としては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキシド、ジプロピレングリコール、ジブチレンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。有機ジオールは、約40mol%〜約60mol%、または約45mol%〜約53mol%の量で存在していてもよい。
【0043】
適切なアモルファス樹脂の例としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレンなど、これらの混合物が挙げられる。
【0044】
適切な結晶性樹脂としては、米国特許第7,329,476号に開示されているものも挙げられる。ある具体的な適切な結晶性樹脂は、以下の式を有する、エチレングリコールと、ドデカン二酸およびフマル酸コモノマーの混合物を含み、
【化3】
式中、bは、約5〜約2000であり、dは、約5〜約2000である。別の適切な結晶性樹脂は、以下の式を有し、
【化4】
式中、nは、繰り返しモノマー単位の数をあらわす。
【0045】
乳化凝集粒子を調製するためのエマルションは、任意の望ましい方法または有効な方法、例えば、米国特許公開第2009/0155712号に開示される無溶媒乳化方法または相転移プロセスによって調製することができる。例えば、本開示のプロセスは、少なくとも1種類の樹脂を溶媒と接触させて樹脂混合物を作成することと、樹脂混合物を高温まで加熱することと、混合物を撹拌することと、中和剤を加え、樹脂の酸基を中和することと、相転移が起こり、相が逆転したラテックスエマルションが生成するまで、混合物に水滴を加えることと、ラテックスを蒸留し、蒸留物から水/溶媒混合物を除去し、高品質ラテックスを製造することと、蒸留物中の水から溶媒を分離することとを含んでいてもよい。このようにして蒸留物から分離した溶媒は、いくつかの実施形態では、再利用してもよく、それによって、本開示のプロセスは、もっと環境に優しいものとなる。
【0046】
エマルションを調製するプロセスは、米国特許第7,029,817号に開示されているように、さらに溶媒フラッシュ法を含んでいてもよい。このようなプロセスは、水混和性の有機溶媒に樹脂を溶解することと、熱水とともに混合することと、その後に、混合物からフラッシュ法によって有機溶媒を除去することとを含み、それによって、水中で樹脂エマルションを作成してもよい。蒸留によって溶媒を除去してもよく、将来の乳化のために回収してもよい。
【0047】
トナー粒子は、任意の望ましい方法または適切な方法によって調製することができる。トナー組成物およびトナー粒子は、粒径の小さな樹脂粒子を、適切な粒径のトナー粒子になるまで凝集させ、融着させ、最終的なトナー粒子の形状および形態を達成する凝集および融着プロセスによって調製することができる。
【0048】
トナー組成物は、任意要素の着色剤、任意要素のワックス、任意の他の望ましい添加剤または必要な添加剤、上述の選択された樹脂を含むエマルションの混合物を、場合により、界面活性剤中で凝集させることと、次いで、凝集混合物を融着させることとを含む乳化凝集プロセスによって調製することができる。任意要素の着色剤と、場合により、ワックスまたは他の材料(場合により、界面活性剤を含む分散物であってもよい)とをエマルション(樹脂を含む2種類以上のエマルションの混合物であってもよい)に加えることによって、混合物を調製することができる。
【0049】
着色剤、ワックス、トナー組成物を作成するために用いられる他の添加剤は、界面活性剤を含む分散物であってもよい。さらに、トナー粒子は、樹脂およびトナーの他の成分を1種類以上の界面活性剤と接触させた状態で置き、エマルションを作成し、トナー粒子を凝集させ、融着させ、場合により、洗浄し、乾燥し、回収する乳化凝集方法によって作られてもよい。
【0050】
1種類以上の界面活性剤を使用してもよい。界面活性剤は、イオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤から選択されてもよい。アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤は、「イオン系界面活性剤」という用語に包含される。界面活性剤は、トナー組成物の約0.01〜約5重量%、または約1〜約3重量%の量で存在していてもよい。
【0051】
ポリマーバインダー樹脂に加え、トナーは、さらにワックスを含んでいてもよく、ワックスは、1種類のワックスであってもよく、2種類以上の異なるワックスの混合物であってもよい。
【0052】
ワックスが含まれる場合、ワックスは、約1重量%〜約25重量%、または約5重量%〜約20重量%存在していてもよい。適切なワックスの例としては、重量平均分子量が約500〜約20,000、または約1,000〜約10,000のものが挙げられる。フューザーロール剥離剤としてワックスが含まれてもよい。
【0053】
トナーは、乾燥基準で、ワックスをトナーの約1〜約25重量%、または約5〜約11重量%の任意の量で含んでいてもよい。
【0054】
トナーは、少なくとも1種類の着色剤をさらに含んでいてもよい。例えば、着色剤または顔料は、顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料混合物、染料混合物などを含んでいてもよい。「着色剤」との用語は、特定の顔料または他の着色剤成分であると明記されていない限り、例えば、このような着色剤、染料、顔料、混合物を指す。着色剤は、顔料、染料、これらの混合物、カーボンブラック、マグネタイト、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、ブラウン、およびこれらの混合物を組成物の合計重量を基準として約0.1〜約35重量%、例えば、約1〜約25重量%の量で含んでいてもよい。
【0055】
得られた混合物のpHを酸によって調節してもよい。混合物のpHを約2〜約4.5に調節してもよい。さらに、所望な場合、混合物を均質化してもよい。混合物を均質化する場合、均質化は、毎分約600〜約4,000回転、または毎分約1,000〜約3,000回転で混合することによって行われる。均質化は、任意の望ましい方法または有効な方法によって、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザを用いて行われてもよい。
【0056】
上の混合物を調製した後、この混合物に凝集剤を加えてもよい。適切な凝集剤としては、二価カチオンまたは多価カチオンの水溶液が挙げられる。凝集剤の具体例としては、ポリハロゲン化アルミニウム、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、または対応する臭化物、フッ化物またはヨウ化物、ポリアルミニウムシリケート、例えば、ポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)、および水溶性金属塩(塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、硫酸銅などを含む)、およびこれらの混合物が挙げられる。樹脂のガラス転移点(Tg)よりも低い温度で、混合物に凝集剤を加えてもよい。
【0057】
混合物中の樹脂の約0.1重量%〜約8重量%、または約0.5重量%〜約5重量%の量で混合物に凝集剤を加え、トナーを作成してもよい。粒子の凝集および融着を制御するために、所望な場合、時間をかけて凝集剤を混合物に計量しつつ加えてもよい。例えば、この薬剤を約5分〜約240分、または約30分〜約200分かけて混合物に計量しつつ加えてもよい。さらに、この薬剤の添加は、混合物を例えば50rpm〜約1,000rpm、または約100rpm〜約500rpmで撹拌状態に維持しつつ行ってもよい。上述の樹脂のガラス転移点よりも低い温度で、例えば、約30℃〜約90℃、または約35℃〜約70℃の温度で、この薬剤を混合物に計量しつつ加えてもよい。
【0058】
所定の望ましい粒径が得られるまで、粒子を凝集させてもよい。所定の望ましい粒径とは、作成前に決定したように得られる望ましい粒径を指し、この粒径に達するまで、成長プロセス中、粒径を監視する。成長プロセス中にサンプルを採取し、例えば、平均粒径についてCoulter Counterを用いて分析してもよい。したがって、高温に維持することによって、または、撹拌しつつ、約40℃〜約100℃、または約70℃〜約96℃の温度までゆっくりと上げ、混合物をその温度で約0.5時間〜約6時間、または約1.5時間〜約4時間維持することによって凝集を進め、凝集粒子を得てもよい。所定の望ましい粒径に達したら、成長プロセスを止めてもよい。
【0059】
凝集剤を加えた後の粒子の成長および成形は、任意の適切な条件下で行われてもよい。例えば、成長および成形は、凝集が融着とは別個に起こる条件で行ってもよい。別個の凝集および融着の段階の場合、凝集プロセスは、高温、例えば、約40℃〜約90℃、または約45℃〜約80℃で(上述の樹脂のガラス転移点よりも低くてもよい)、せん断条件で行われてもよい。
【0060】
次いで、任意要素のシェルを塗布し、凝集したトナー粒子を作成してもよい。例えば、シェル樹脂は,界面活性剤を含むエマルションであってもよい。生成した凝集物の上にシェル樹脂がシェルを形成するように、上述の凝集粒子を上述のシェル樹脂エマルションと合わせてもよい。アモルファスポリエステルを用い、凝集物の上にシェルを作成し、コア−シェル構造を有するトナー粒子を作成してもよい。
【0061】
トナー粒子の望ましい最終粒径が得られたら、塩基を用い、混合物のpHを約6〜約10、または約6.2〜約7に調節してもよい。pHの調節を利用し、トナーの成長を凍結(つまり、停止)させてもよい。トナーの成長を停止させるために用いられる塩基としては、任意の適切な塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物が挙げられる。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を加え、pHを上述の所望な値に調節しやすくしてもよい。塩基を混合物の約2〜約25重量%、または約4重量%〜約10重量%の量で加えてもよい。
【0062】
所望の粒径まで凝集させた後、上述のように任意要素のシェルを作成し、次いで、粒子を所望の最終形状になるように融着させてもよく、融着は、混合物を約55℃〜約100℃、または約68℃〜約72℃の温度まで加熱することによって達成される。もっと高い温度またはもっと低い温度を用いてもよく、温度は、バインダーに使用される樹脂の関数であることが理解される。
【0063】
融着を進め、約0.1時間〜約9時間、または約0.5時間〜約4時間かけて行ってもよい。
【0064】
融着の後、混合物を室温(約20℃〜約25℃)まで冷却してもよい。冷却した後、トナー粒子を場合により水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。
【0065】
トナー粒子は、所望な場合、他の任意要素の添加剤をさらに含んでいてもよい。例えば、トナーは、正または負の電荷制御剤をトナーの約0.1重量%〜約10重量%の量で含んでいてもよい。このような電荷制御剤を、上述の任意要素のシェル樹脂と同時に塗布してもよく、または、任意要素のシェル樹脂を塗布した後に塗布してもよい。
【0066】
さらに、トナー粒子と、流動補助添加剤を含む外部添加剤粒子とをブレンドしてもよく、トナー粒子表面に存在していてもよい。これらの外部添加剤は、それぞれ、トナーの約0.1重量%〜約5重量%の量で存在していてもよい。適切な添加剤としては、米国特許第3,590,000号、同第3,800,588号、同第6,214,507号に開示されているものが挙げられる。これらの添加剤を上述の任意要素のシェル樹脂と同時に塗布してもよく、または任意要素のシェル樹脂を塗布した後に塗布してもよい。
【0067】
トナー粒子を現像剤配合物に配合してもよい。トナー粒子を担体粒子と混合し、二成分系現像剤組成物を得てもよい。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の合計重量の約1重量%〜約25重量%、または約2重量%〜約15重量%の濃度であってもよい。
【0068】
例えば、Sysmex FPIA 2100分析器を用い、真円度についてトナー粒子を測定してもよい。真円度が1.000は、完全に円形の球を示す。製造したトナー粒子は、真円度が約0.93〜約0.99、または約0.95〜約0.97であってもよい。
【0069】
乳化凝集プロセスによって、トナー粒径の分布がもっと制御され、トナー中の細かいトナー粒子および粗いトナー粒子の量を制限することができる。トナー粒子は、比較的狭い粒度分布を有していてもよく、数比率幾何標準偏差(GSD)が、いくつかの実施形態では、約1.15〜約1.45、または約1.24〜約1.31が小さくてもよい。
【0070】
トナー粒子は、粒径が約3μm〜約20μm、または約5μm〜約7μmであってもよい。
【0071】
製造したトナーは、約50℃〜約55℃で、約0〜約20重量%、または約5〜約10重量%が凝固を示してもよい。
【0072】
トナー粒子の特徴を任意の適切な技術および装置によって決定してもよい。
【0073】
トナー樹脂が架橋可能な実施形態では、このような架橋は、任意の望ましい様式または有効な様式で行われてもよい。例えば、トナー樹脂が融合温度で架橋可能である場合、トナーを基材に融合させている間にトナー樹脂を架橋してもよい。また、架橋は、融合した画像を、例えば、融合後操作中、トナーが架橋すると思われる温度まで加熱することによって行われてもよい。約160℃以下、例えば、約70℃〜約160℃、または約80℃〜約140℃の温度で架橋を行ってもよい。
【0074】
すべての比率は、他の意味であると示されていない限り、重量基準である。
【実施例】
【0075】
(実施例1)
1LのParr反応器にメカニカルスターラー、底部排出弁、蒸留装置を取り付け、これに302.4グラムの市販の不均化ロジン酸(荒川化学工業株式会社から得た)、132.2グラムのグリセリンカーボネート、0.83グラムのヨウ化テトラエチルアンモニウムを入れた。反応器を170℃まで加熱し、撹拌を6時間続けた。混合物の酸価が1mg KOH/g未満になったことがわかるまで、サンプルを1時間おきに採取した。
【0076】
153.4グラムの2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、66.4グラムのイソフタル酸、80.8gのセバシン酸、97.7グラムのコハク酸、1.5グラムのFascat 4100触媒を混合物に加えた。ポリエステル樹脂が120〜122℃の軟化点を示すまで、混合物を約215℃〜約220℃まで加熱した。
【0077】
(実施例2)
3ッ口の丸底フラスコに乾留凝縮器を取り付け、200グラムの酸価173の市販の不均化ロジン酸(荒川化学工業株式会社から得た)、0.0666グラムの炭素触媒に支持されたパラジウムを加えた。Ar雰囲気下、混合物を280℃で4時間加熱した後、減圧蒸留を行った。約124グラムのロジンを約210℃〜約250℃の温度で集めた。精製したロジンの酸価は、約178〜約183mg KOH/g ロジンに達した。
【0078】
1LのParr反応器にメカニカルスターラー、底部排出弁、蒸留装置を取り付け、302.4グラムの精製ロジン酸、132.2グラムのグリセリンカーボネート、0.83グラムのヨウ化テトラエチルアンモニウムを入れた。反応器を170℃まで加熱し、撹拌を6時間維持した。混合物が酸価<1mg KOH/gになったことがわかるまで、混合物を1時間ごとに採取した。
【0079】
153.4グラムの2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、66.4グラムのイソフタル酸、80.8グラムのセバシン酸、97.7グラムのコハク酸、1.5グラムのFascat 4100触媒を混合物に加えた。ポリエステル樹脂の軟化点が120〜122℃になるまで、混合物を約215℃〜約220℃まで加熱した。
【0080】
(実施例3)
3ッ口の丸底フラスコに乾留凝縮器を取り付け、450グラムの酸価155の市販の不均化ロジン酸(Rosin Chemical(Wuping)Co.Ltd.から得た)、0.135グラムの炭素で支持されたパラジウム触媒を加えた。Ar雰囲気下、この混合物を280℃で5時間加熱し、その後、減圧蒸留した。約124グラムのロジンを約210℃〜250℃で集めた。精製ロジン酸の酸価は、約178〜約183mg KOH/g ロジンに達した。
【0081】
1LのParr反応器にメカニカルスターラー、底部排出弁、蒸留装置を取り付け、これに302.4グラムの上述のように精製したロジン酸、132.2グラムのグリセリンカーボネート、0.83グラムのヨウ化テトラエチルアンモニウムを入れた。反応器を170℃まで加熱し、撹拌を6時間維持した。混合物が酸価<1mg KOH/gになったことがわかるまで、混合物を1時間ごとに採取した。
【0082】
153.4グラムの2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、66.4グラムのイソフタル酸、80.8グラムのセバシン酸、97.7グラムのコハク酸、1.5グラムのFascat 4100触媒をこの混合物に加えた。ポリエステル樹脂が120〜122℃の軟化点を示すまで、混合物を約215℃〜約220℃まで加熱した。
【0083】
実施例1〜3の樹脂の特徴を表1にまとめている。
【表1】
【0084】
実施例1〜3の樹脂について、AR 2000 Rheometerを用いてレオロジー値を測定した。測定した値は、以下のとおりであった。貯蔵弾性率(G’)、単位パスカル。変形量を歪みで割った状態での応力、またはサンプルの弾性率の測定値、複素粘度(n*)、単位パスカル−秒、複素弾性率を周波数で割ったものであり、せん断試験で使用する値である。
【0085】
図1は、実施例1〜3の樹脂について、貯蔵弾性率を温度の関数としてあらわしたグラフを提供する。図2は、実施例1〜3の樹脂について、複素粘度を温度の関数として示す。
【0086】
(実施例4)
乳化凝集トナーを以下のように調製した。2Lのガラス反応器にオーバーヘッドミキサーを取り付け、312.96グラムの実施例1のエマルション(19.44重量%)、23.38グラムの結晶性樹脂エマルション(35.60重量%)、36.67グラムのIGIワックス分散物(30.19重量%)、41.80グラムのシアン顔料 PB15:3(17.21重量%)を加えた。別個に、均質化した状態で、1.51グラムのAl(SO(27.85重量%)をフロック剤として加えた。300rpmで撹拌しつつ、混合物を39.2℃まで加熱し、粒子を凝集させた。コア粒子が4.73μmの体積平均径に達し、GSDが1.21になるまで、Coulter Counterを用いて粒径を監視し、次いで、172.84グラムの実施例1の樹脂エマルションをシェル材料として加え、平均粒径が5.60μm、GSDが1.19のコア−シェル構造の粒子を得た。その後に、4重量% NaOH溶液を用いて反応スラリーのpHを7.9まで上げた後、2.50グラムのEDTA(39重量%)を加えてトナーの成長を凍結させた。凍結させた後、反応混合物を85℃まで加熱し、融着のために、pH5.7の酢酸/酢酸ナトリウム(HAc/NaAc)緩衝溶液を用いてpHを7.47まで下げた。融着させた後、トナーの反応を止め、最終粒径5.77μm、GSDが1.21、GSDが1.25、真円度が0.983であった。次いで、トナースラリーを室温まで冷却し、ふるいで分け(25mm)、濾過し、洗浄し、凍結乾燥させた。
【0087】
(実施例5)
乳化凝集トナーを以下のように調製した。2Lのガラス反応器にオーバーヘッドミキサーを取り付け、311.52グラムの実施例2のポリエステルエマルション(19.53重量%)、23.38グラムの結晶性樹脂エマルション(35.60重量%)、36.67グラムのIGIワックス分散物(30.19重量%)、41.80グラムのシアン顔料PB15:3(17.21重量%)を加えた。別個に、均質化した状態で、1.29グラムのAl(SO(27.85重量%)をフロック剤として加えた。300rpmで撹拌しつつ、混合物を39.7℃まで加熱し、粒子を凝集させた。コア粒子が5.15μmの体積平均径に達し、GSDが1.25になるまで、Coulter Counterを用いて粒径を監視した。次いで、172.04グラムの実施例2の樹脂エマルションをシェル材料として加え、平均粒径が5.77μm、GSDが1.23のコア−シェル構造の粒子を得た。その後に、4重量% NaOH溶液を用いて反応スラリーのpHを8.15まで上げた後、2.50グラムのEDTA(39重量%)を加えてトナーの成長を凍結させた。凍結させた後、反応混合物を85℃まで加熱し、融着のために、pH5.7の酢酸/酢酸ナトリウム(HAc/NaAc)緩衝溶液を用いてpHを7.6まで下げた。融着させた後、トナーの反応を止め、最終粒径が6.02μm、GSDが1.24、GSDが1.30、真円度が0.978であった。次いで、トナースラリーを室温まで冷却し、ふるいで分け(25mm)、濾過し、洗浄し、凍結乾燥させた。
【0088】
(実施例6)
乳化凝集トナーを以下のように調製した。2Lのガラス反応器にオーバーヘッドミキサーを取り付け、433.59グラムの実施例3のポリエステルエマルション(13.73重量%)、22.21グラムの結晶性樹脂エマルション(35.60重量%)、34.83グラムのIGIワックス分散物(30.19重量%)、39.71グラムのシアン顔料PB15:3(17.21重量%)を加えた。別個に、均質化した状態で、2.04グラムのAl(SO(27.85重量%)をフロック剤として加えた。300rpmで撹拌しつつ、この混合物を44.5℃まで加熱し、粒子を凝集させた。コア粒子が4μmの体積平均径に達し、GSDが1.23になるまで、Coulter Counterを用いて粒径を監視した。次いで、239.46グラムの実施例3の樹脂エマルションをシェル材料として加え、平均粒径が6.61μm、GSDが1.24のコア−シェル構造の粒子を得た。その後に、4重量% NaOH溶液を用いて反応スラリーのpHを8.6まで上げた後、4.39グラムのEDTA(39重量%)を加えてトナーの成長を凍結させた。凍結させた後、反応混合物を85℃まで加熱し、融着のために、pH5.7の酢酸/酢酸ナトリウム(HAc/NaAc)緩衝溶液を用いてpHを7.08まで下げた。融着させた後、トナーの反応を止め、最終粒径が6.97μm、GSDが1.27、GSDが1.41、真円度が0.973であった。次いで、トナースラリーを室温まで冷却し、ふるいで分け(25mm)、濾過し、洗浄し、凍結乾燥させた。
【0089】
(熱凝固の決定)
第1の開放した皿に、5グラムの実施例4にしたがって調製したトナーを入れ、第2の開放した皿に、5グラムの実施例5にしたがって調製したトナーを入れ、第3の開放した皿に、5グラムの実施例6にしたがって調製したトナーを入れた。55℃、相対湿度50%の環境室の中でサンプルを平衡状態にした。24時間後、サンプルを取り出し、周囲条件で30分間おいて平衡状態にした。次いで、再び平衡状態にしたサンプルを、2つのあらかじめ計量しておいたメッシュふるいを、1,000μmを上にし、106μmを下にして積み重ねたものに注いだ。このふるいを、Hosokawaフローテスターを用いて、振幅1mmで90秒間振動させた。振動が終了した後、ふるいを再び計量し、両方のふるいの上に残ったトナーの合計重量から、開始時の重量の割合としてトナーの熱凝固を計算した。
【0090】
実施例4〜6のトナーの熱凝固の結果を表2にまとめている。ブロッキング開始温度は、それぞれの実施例について、熱凝固が20%未満のままである最高温度に対応する。
【表2】
図1
図2