(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2ブロックには前記刃物軸の中心線に平行な通し孔が形成され、前記通し孔には、受けピンが前記通し孔に沿って移動可能に設けられ、前記当接部は、前記受けピンの前記スペーサピンと当接する面とした、請求項3または請求項4に記載したスリッタ装置。
【背景技術】
【0002】
スリッタ装置の一例を、
図14を用いて説明する。
図14は上刃物軸と下刃物軸を備えたスリッタ装置の概略図である。
スリッタ装置200は、上刃3が装着されている上刃物軸1と、下刃4が装着されている下刃物軸2とが平行に設けられ、上刃3と下刃4との間に送られた帯状の被切断部材(図示せず)を長さ方向に沿って複数の狭幅帯体に切断するものである。
【0003】
図14に示すように、上刃物軸受箱5a、5bと下刃物軸受箱6a、6bにはそれぞれ軸受7により上刃物軸1と下刃物軸2が回転自在に支持されている。
下刃物軸2には所定の幅の円筒状のスペ−サ8を介して厚みのある円筒状の下刃4が装着されており、軸フランジ2bとねじ部2aに螺合された軸用ナット30によって下刃物軸2の所定の位置に固定されている。
一方、上刃物軸1には移動用ホルダー40が嵌装されている。移動用ホルダー40は、ホルダー本体31と、上刃取付け部34に皿バネ33と厚みの薄いリング状の上刃3が装着された上刃取付けブロック32からなる。上刃取付けブロック32はホルダー本体31にネジ固定され、上刃3は皿バネ33により初期的に所定の圧力で付勢されている。この移動用ホルダー40を上刃物軸1の軸線方向に移動させて、上刃3の刃先と下刃4の刃先とを初期的な圧力またはそれ以上の圧力で当接させ、移動用ホルダー40をネジ35で上刃物軸1に固定している。
そして、図示しない駆動手段によって上刃物軸1と下刃物軸2にそれぞれ切断方向の回転が与えられると、上刃3と下刃4との間に通された帯状の被切断部材が、複数の帯体に切断されるようになっている。
この場合、下刃4の幅W1とスペーサの幅W2を合わせた幅Wが切断幅となり、この切断幅Wが切断箇所によってばらつくことの無いように、下刃4の幅W1、スペーサの幅W2共に寸法公差が数十ミクロンから数ミクロンオーダーで精度良く加工されている。
【0004】
ところで、以上のようなスリッタ装置200において、帯状の被切断部材の切断幅を客先の要求に応じて数ミリメートル単位や0.1ミリメートル単位で頻繁に変えなければならない場合がある。この場合、切断幅を変えるには幅の異なるスペ−サ8と交換しなければならないが、従来のスペ−サ8は一体のリング状とされていたため、スペーサ8の交換は、下刃物軸受箱6bを取外して下刃物軸2を片持ちの状態にしておくか、場合によっては下刃物軸2をスリッタ装置200から取外したうえで、下刃物軸2から下刃4と共にスペーサ8を取外さなければならないので時間がかかり、また、刃物軸や刃物軸に組み込まれた下刃及びスペーサを合わせると重量物であり、下刃物軸2を片持ちにしたり取外したりすることは作業性が悪いという問題があった。
【0005】
それを改善すべく、文献1に示したスペーサとそれを用いたスリッタ装置が開示されている。
この2分割スペーサは、軸方向に移動して分割することは可能で、半径方向には分割できない形状になっている。これにより、切断幅を変更したい場合は、軸用ナット30を2分割スペーサが軸方向に移動して分割できるようになるまで緩めて2分割スペーサを取外し、別途用意した幅の異なるスペーサと交換することができるため、下刃物軸2を片持ちにしたり取外したりする必要はない。
また、この場合もスペーサの幅を精度良く加工することは可能で、切断幅が切断箇所によってばらつくことの無いようにできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、この場合、切断幅を変えるには、現在取付けられているスペーサ8を外して別の切断幅に合ったスペーサ8に交換しなければならない。幅の異なるスペーサ8を継ぎ足していく方法も考えられるが、どちらにしろ、切断条数が多い場合や切断幅の種類が多い場合には、その分のスペーサを用意しなければならない。そのため、コストが嵩むという問題があった。また、切断幅の種類が多くなれば幅の異なるスペーサ毎に管理しておかなければならないという問題もあった。
【0008】
本発明は、上述したような従来のスペーサを取付けたスリッタ装置の欠点に鑑みてなされたものであり、スペーサの精度を保って所定の幅に切断することができて、品質を安定して保つことができるとともに、切断幅の変更を容易に行うことができ、また、コストを抑えることができるスペーサを取付けたスリッタ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題を解決するため、複数の刃物と、該刃物間に少なくとも1つ以上のスペーサと、を刃物軸に装着して、被切断部材を複数条に切断するスリッタ装置において、前記スペーサはスペーサ本体を備え、前記スペーサ本体の前記刃物と対向する面には、同心円上に前記刃物軸の中心線に平行な複数の通し孔が形成され、前記通し孔には、少なくとも1つ以上の長さが異なるスペーサピンが前記通し孔に沿って移動可能に設けられ、前記刃物の前記スペーサ本体と対向する一方の面には、同じ長さの前記スペーサピンが当接する当接部と、前記当接部と当接していない前記スペーサピンを逃がすための逃げ部と、が設けられ、前記刃物と前記スペーサ本体を刃物軸周りに相対的に回転させて前記当接部を異なる長さの前記スペーサピンに当接させることで、前記スペーサの幅を変化させることができるようにしたスリッタ装置とする。
【0010】
スリッタ装置のスペ−サを上記のようにしたことによって、切断幅の変更を行う際は、スペーサを取外すことなく容易に行うことができるようになる。
【0011】
また、スペーサの幅をスペーサピンの長さとする。これにより、スペーサピンの長さは容易に高精度に加工することができるので、帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の切断幅にすることができ、コストも抑えることができる。また、装着されているスペーサピンの一部または全てをスペーサ本体から取り外して、別な長さのスペーサピンに容易に交換することができるので、切断幅をより広範囲に変更することが可能になる。
【0012】
また、複数の刃物と、該刃物間に少なくとも1つ以上のスペーサと、を刃物軸に装着して、被切断部材を複数条に切断するスリッタ装置において、少なくとも1つ以上の前記スペーサは、前記刃物軸の中心線に沿って、前記刃物軸周りに回転可能な第1ブロックと第2ブロックの2つのブロックを備え、前記第1ブロックの前記第2ブロックと対向する面には、同心円上に前記刃物軸の中心線に平行な複数の通し孔が形成され、前記通し孔には、少なくとも1つ以上の長さが異なる前記スペーサピンが前記通し孔に沿って移動可能に設けられ、前記第2ブロックの前記第1ブロックと対向する面には、同じ長さの前記スペーサピンが当接する当接部と、前記当接部と当接していない前記スペーサピンを逃がすための逃げ部とが設けられ、前記2つのブロックを刃物軸周りに相対的に回転させて前記当接部を異なる長さの前記スペーサピンに当接させることで、前記スペーサの幅を変化させることができるようにしたスリッタ装置とする。
【0013】
スペ−サを上記のようにしたことによって、磨耗による再研磨または交換を必要とする刃物自体に余分な当接部や逃げ部を設ける必要が無く従来のままで使用できるので、より好ましい構成になる。
【0014】
また、スペーサの幅を第2ブロックの当接部を含む幅と、当接部と当接するスペーサピンの長さの和とする。これにより、スペーサピンの長さは容易に高精度に加工することができるので、帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の切断幅にすることができ、コストも抑えることができる。また、スペーサピンを別な長さのスペーサピンに容易に交換することができるので、切断幅をより広範囲に変更することが可能になる。
【0015】
また、前記第2ブロックには前記刃物軸の中心線に平行な通し孔が形成され、前記通し孔には、受けピンが前記通し孔に沿って移動可能に設けられ、前記当接部は、前記受けピンの前記スペーサピンと当接する面とする。これにより、受けピンの長さは容易に高精度に加工することができるので、帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の切断幅にすることができ、コストも抑えることができる。また、受けピンを別な長さの受けピンに容易に交換することができるので、切断幅をより広範囲に変更することが可能になる。
【0016】
また、前記スペーサの幅は、前記受けピンの当接部までの長さと該受けピンと当接する前記スペーサピンの長さの和で決定されるようにする。これにより、スペーサの幅の精度はスペーサピンと受けピンの長さの精度のみで決定され、支持ブロックや受けブロックの余分な加工精度を必要としないので、より好ましい構成になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スペーサの精度を保って所定の幅に切断することができて、品質を安定して保つことができるとともに、切断幅の変更を容易に行うことができ、さらにコストを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施例について
図1から
図3を用いて説明してゆく。本実施例では、スリッタ装置は
図14に示すように、下刃4が装着された下刃物軸2にスペーサ8が備えられている場合について説明する。
図1に示すように、スペ−サ8はスペーサ本体(以下、支持ブロックと記載)9を備え、支持ブロック9の下刃4と対向する一方の面9aには、同心円上に刃物軸中心線Aに平行な複数の通し孔11が開けられている。本実施例では
図2に示すように同心円上に15°等間隔で24個の通し孔11とした。
スペーサピン12は
図3に示すように下方から隣り合う長さが段階的に長くなるようにして8本のスペーサピン12(12a、12b、12c、12d,12e、12f、12g、12h)が通し孔11に沿って移動可能に挿通されている。本実施例では
図3に示すように、全てのスペーサピン12の一方の面と支持ブロック9の下刃4と対向する他方の面9bは面一とした。
スペーサピン12のうちの最小長さのスペーサピン12aは、その長さをSminとして支持ブロック9の幅をL1とすると、Smin≧L1とすることで、全てのスペーサピン12が支持ブロック9から突出するようにしている。
また、
図2に示すように、8本のスペーサピン12(12a、12b、12c、12d,12e、12f、12g、12h)を1つのピンブロック13として、120°間隔でピンブロック13が合計3個所に設けられている。
また、3箇所のピンブロック13にある同じ長さのピンは、その長さの誤差がミクロンからサブミクロン単位になるように精度良く加工されている。
【0020】
次に、下刃4には、外周縁の一方に刃先4aが形成されている。また、下刃4には、支持ブロック9における各ピンブロック13の同じ長さのスペーサピン12と対向して当接する当接部14が120°間隔で合計3箇所に設けられ、その他の部分はスペーサピン12が当接しないように逃げ部16が設けられている。また、
図3に示すように、当接部14の突出長さUは、最大長さのスペーサピン12hの長さをSmaxとし、最小長さのスペーサピン12aの長さをSminとすると、U≧Smax−Sminになるようにして、当接部14が最小長さのスペーサピン12aの先端部に当接する時に最大長さのスペーサピン12hと下刃4との間に
図3(b)に示すように隙間Vが、V≧0になるようにしている。
また、下刃4の3箇所の当接部14までの幅T1の誤差はミクロンからサブミクロン単位になるように精度良く加工されている。
尚、下刃4には、当接部14を形成するための突起部15が接着剤或いは図示しないボルト等で一体的に固定されている。
【0021】
これにより、スペーサ8の幅は、最小幅がSminから最大幅がSmaxまでスペーサピン12の長さの異なる本数に応じて変更可能となる。
また、スペーサ8の幅は、スペーサピン12の長さを精度良く加工することで精度を向上させることが可能になり、加工も容易である。
また、本実施例では、同じ長さのスペーサピン12が下刃4の当接部14に円周方向に等間隔で3箇所当接するので、スペーサの幅を安定して維持することができる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施例について
図4から
図7を用いて説明してゆく。
図4に示すように、スペ−サ8は、まず、刃物軸中心線Aに沿って円筒状の第1ブロック(以下、支持ブロックと記載)9と円筒状の第2ブロック(以下、受けブロックと記載)10の2つのブロックを備えている。
【0023】
支持ブロック9の受けブロック10と対向する面9aには、同心円上に刃物軸中心線A方向に沿って複数の通し孔11が開けられている。本実施例においても実施例1と同じく、
図2に示すように同心円上に15°等間隔で24個の通し孔11とした。
スペーサピン12は
図5に示すように下から隣り合う長さが段階的に長くなるようにして8本のスペーサピン12(12a、12b、12c、12d,12e、12f、12g、12h)が通し孔11に沿って移動可能に挿通されている。本実施例では
図5に示すように、全てのスペーサピン12の受けブロック10と対向しない面と支持ブロック9の受けブロック10と対向しない面9bは面一とした。
スペーサピン12のうちの最小長さのスペーサピン12aは、その長さをSminとして支持ブロック9の幅をL1とすると、Smin≧L1とすることで、全てのスペーサピン12が支持ブロック9から突出するようにしている。
また、本実施例においても実施例1と同じく、
図2で示したように8本のスペーサピン12(12a、12b、12c、12d,12e、12f、12g、12h)を1つのピンブロック13として、120°間隔でピンブロック13が合計3個所に設けられている。
また、3箇所のピンブロック13にある同じ長さのピンは、その長さの誤差がミクロンからサブミクロン単位になるように精度良く加工されている。
【0024】
次に、受けブロック10には、各ピンブロック13の同じ長さのスペーサピン12の先端部と対向して当接する当接部14が120°間隔で合計3箇所に設けられ、その他の部分はスペーサピン12が当接しないように逃げ部16が設けられている。また、当接部14の突出長さUは、最大長さのスペーサピン12hの長さをSmaxとし、最小長さのスペーサピン12aの長さをSminとすると、U≧Smax−Sminになるようにして、当接部14が最小長さのスペーサピン12aの先端部に当接する時に最大長さのスペーサピン12hと受けブロック10との間に
図5(b)に示すように隙間Vが、V≧0になるようにしている。
また、受けブロック10の当接部14までの幅T1の寸法精度は、3箇所共ミクロンからサブミクロン単位になるように同時加工等により精度良く加工されている。
尚、受けブロック10には、当接部14を形成するための円筒状の突起部15が接着剤或いは図示しないボルト等で一体的に固定されている。
【0025】
これにより、スペーサ8の幅は、最小幅がW2min=T1+Sminから最大幅がW2max=T1+Smaxまでスペーサピン12の長さの異なる本数に応じて変更可能となる。
また、スペーサ8の幅は、スペーサピン12のSminからSmaxまでの長さと、受けブロック10の当接部14までの幅T1を精度良く加工することで精度を向上させることが可能になり、加工も容易である。
また、本実施例では、同じ長さのスペーサピン12が受けブロック10の当接部14に円周方向に等間隔で3箇所当接するので、スペーサの幅を安定して維持することができる。
【0026】
尚、受けブロック10は、
図4に示すように円筒状の突起部15を一体的に設けて、突起部以外の面を逃げ部16としたが、
図4の矢視B−Bに示した形状を
図6(a)に示すように支持ブロック9と対向する面を当接部14として、逃げ部16を切り欠き溝としてもよいし、
図6(b)に示すように支持ブロック9と対向する面を当接部14として、逃げ部16を長孔としてもよいし、
図6(c)に示すように、支持ブロック9と対向する面を当接部14として、逃げ部16をスペーサピン1本毎に対応する独立した通し孔または止まり穴(座ぐり穴)としてもよい。
また、
図7(a)から
図7(c)に示すように、受けブロック10にスペーサピン12が挿通可能な係止穴101を形成してその底面を当接部14とすることで、支持ブロック9と受けブロック10の円周方向の位置決めを確実にすることができる。
【0027】
次に、第3の実施例について
図8から
図10を用いて説明する。
支持ブロック9及びスペーサピン12は第2の実施例と同じなので説明を省略する。
【0028】
受けブロック10には刃物軸の中心線Aに平行な通し孔17が形成され、通し孔17には、受けピン18が通し孔17に沿って移動可能に設けられている。当接部14は、受けピン18のスペーサピン12と当接する面によって構成され、第2の実施例と同様に120°間隔で合計3箇所に設けられている。本実施例では
図9に示すように、受けピン18の支持ブロック9と対向しない面と、受けブロック10の支持ブロック9と対向しない面10bとは面一とした。
【0029】
また、受けピン18の受けブロック10からの突出長さUは、第1の実施例と同様に、U≧Smax−Sminとして、受けピン18が最小長さのスペーサピン12aに当接する時に最大長さのスペーサピン12hと受けブロック10との間に
図9(b)に示すように隙間Vが、V≧0になるようにしている。
【0030】
これにより、スペーサ8の幅は、受けピン18の当接部14までの長さT2と受けピン18と当接するスペーサピン12の長さの和で決定され、最小幅がW2min=T2+Sminから最大幅がW2max=T2+Smaxまでスペーサピン12の数に応じて変更可能となる。
また、スペーサ8の幅はスペーサピン12と受けピン18の長さで決まるので、スペーサピン12と受けピン18の長さを精度良く加工するだけでよいことから、加工が容易であり、また、スペーサ8の幅の精度をミクロン単位で維持することが可能になる。
また、本実施例でも同じ長さのスペーサピン12が受けピン18に円周方向に等間隔で3箇所当接するので、第1及び第2の実施例と同様に、スペーサの幅を安定して維持することができる。
【0031】
尚、受けピン18は、
図8の矢視B−Bに示した形状を
図10(a)に示すように端面が平坦な形状であってもよいが、
図10(b)に示すように、受けピン18にスペーサピン12が挿通可能な係止穴102を形成してその底面を当接部14とすることでもよく、これにより、支持ブロック9と受けブロック10の円周方向の位置決めを確実にすることができる。
【0032】
次に、第4の実施例について
図11及び
図12を用いて説明する。
支持ブロック9に挿通されたスペーサピン12は第1の実施例から第3の実施例までのスペーサピン12と異なり、最大長さのスペーサピン12hの長さSmaxは支持ブロック9の幅より引込量Yの分短くしている。その他のスペーサピン12は、
図12(a)に示すように隣り合うスペーサピンの長さが段階的に短くなるようにして挿通されている。
【0033】
受けブロック10の当接部14は、受けブロック10に形成された通し孔17に挿通された受けピン18によって構成される第3の実施例と同様に120°間隔で合計3箇所に設けられている。第3の実施例と異なるのは、受けピン18が支持ブロック9の通し穴11に入り込んだ状態でスペーサピン12と当接することにある。
【0034】
また、受けピン18の突出長さUは、U≧Y+(Smax−Smin)として、受けピン18が最小長さのスペーサピン12aに当接する時に最大長さのスペーサピン12hと受けブロック10との間に
図12(b)に示すように隙間Vが、V≧0になるようにしている。
【0035】
これにより、スペーサ8の幅は、最小幅がW2min=T2+Sminから最大幅がW2max=T2+Smaxまでスペーサピン12の数に応じて変更可能となる。
また、スペーサ8の幅はスペーサピン12と受けピン18の長さで決まるので、スペーサピン12と受けピン18の長さを精度良く加工すればよいことから、加工が容易であり、また、スペーサ8の幅の精度をミクロン単位で維持することができる。
また、同じ長さのスペーサピン12が受けピンに円周方向に等間隔で3箇所当接するので、スペーサの幅を安定して維持することができる。
また、受けピン18は通し穴17に挿通しているので、支持ブロック9と受けブロック10の円周方向の位置決めを確実にすることができる。
【0036】
次に、切断幅を変更する手順を
図14及び
図15を用いて説明する。
まず、上刃の刃先と下刃の刃先を当接状態から隙間が開く状態にしてやる必要がある。これは、
図14に示すように、上軸受箱5aと下軸受箱6a及び上軸受箱5bと下軸受箱6bとをそれぞれ固定する図示しない固定金具の固定ボルトを緩めて上軸受箱5a、5bを持ち上げ、下軸受箱6a、6bとの間にスペーサを挟んでおく等で可能になる。
【0037】
次に、切断幅を広げたい場合は、
図15に示すように、隙間Lが、現在の切断幅に対して(広げる幅×切断条数)以上になるように軸用ナット30を緩めて移動させる。この状態で、支持ブロック9または受けブロック10を回転させて、切断幅を広げるのに必要な長さのスペーサピン12と受けブロックの当接部を当接させる。全てのスペーサにこの作業を行った後、軸用ナット30を締め付けて下刃物軸2側の切断幅の変更作業が完了する。その後、上刃物軸1の移動用ホルダー40を移動させ、上刃物3の刃先と下刃物4の刃先を所定の圧力で当接させることで切断幅の変更作業が完了する。
【0038】
以上述べたように、本実施例のスリッタ装置によれば、切断幅の変更を容易に行うことができる。また、スペーサピン12と受けブロックの長さまたは受けピンの長さを精度良く加工することだけでよいので、容易に帯状の被切断部材を幅寸法を高精度に保って所定の幅に切断することができ、その品質を安定して保つことができる。また、コストを抑えることができる。
さらに、スペーサピン12の一部乃至全部を長さの異なるものに変えることや、或いは受けピン18を長さの異なるものに変えることが容易にできるので、変更可能な切断幅の範囲を増やすことができるようになる。
【0039】
尚、本発明の実施例では、8本のスペーサピン12の長さを12aから12hまで段階的に増加するようにして、且つ、120°間隔でピンブロック13が合計3箇所としたが、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定するものではなく、本発明の範囲において種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0040】
また、第1の実施例から第4の実施例までスペーサピン12や受けピン18は通し孔11や通し孔17に移動可能としているが、
図13に示すように支持ブロック9の通し孔11や受けブロック10の通し孔17に座グリ穴19を形成し、座グリ穴19に弾性リング20を挿入してスペーサピン12や受けピン18と所定の圧力で圧接させることで、スペーサピン12や受けピン18が通し孔から落下しないようにしてもよい。
【0041】
また、本発明の実施例では、
図3、
図5、
図9、
図12に示すように、全てのスペーサピン12の受けブロック10と対向しない面と、支持ブロック9の受けブロック10と対向しない面9bとを面一とし、また、
図9及び
図12に示すように、受けピン18の支持ブロック9と対向しない面と、受けブロック10の支持ブロック9と対向しない面10bとを面一として説明したが、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定するものではない。
【0042】
また、本発明の実施例では、スリッタ装置の一例として
図14に示すように、円筒状の下刃4が装着され、回転可能な下刃物軸2にスペーサ8が備えられている場合について説明したが、本発明の説明のための例示であり、たとえば、回転しない刃物軸に、軸直角断面が長方形の刃物でもよく、本発明の範囲を前述の実施例にのみ限定するものではない。