【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0025】
実施例1〜4,比較例1〜3
表1に示す培土基材と配合比(容積比)で基材培土を作製した。そこに、化成肥料として窒素(Nとして110mg/L)、リン酸(P
2O
5として250mg/L)、カリウム(K
2Oとして120mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を4.93×10
−4mol/L添加して混合し育苗用培土とした。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「マイヤー」住化農業資材)を播種し、バイオトロンを用いて育苗した。なお、育苗温度は昼温25℃(11時間)、夜温10℃(13時間)とした。
播種後23日目に、レタス苗の最大葉長と葉幅とを測定し葉面積を算出するとともに、地上部生重量、根乾重量を測定し、亜リン酸を添加しなかったときのレタス苗に対する増加率を算出した。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示すように、本発明の育苗用培土である実施例1〜4の培土において、実施例1では根乾重量増加率、実施例2では葉面積増加率が、亜リン酸を添加しなかった場合に比べてマイナス値となったが、全体的には亜リン酸を添加しなかった場合に比べてレタス苗の生育は優れていた。
これに対し、比較例1〜3の育苗用培土では、葉面積、地上部生重量、根乾重量の3つの測定項目の内、2つ以上の測定項目においてマイナス値となり、亜リン酸を添加したことによる肥料効果は十分には奏されなかった。
【0028】
実施例5〜8,比較例4〜8
表2に示す培土基材と配合比(容積比)で基材培土を作製した。そこに、化成肥料として窒素(Nとして110mg/L)、リン酸(P
2O
5として250mg/L)、カリウム(K
2Oとして120mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を4.93×10
−4mol/L添加して混合し育苗用培土とした。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「マイヤー」住化農業資材)を播種し、バイオトロンを用いて育苗した。なお、育苗温度は昼温25℃(11時間)、夜温10℃(13時間)とした。
播種後23日目に、植物体の地上部をサンプリングし、細かく刻んだ後よく混合し、サンプルの重量の10倍の重量の超純水を加え、エースホモジナイザーAM−11((株)日本精機製作所))で粉砕(フラッシュで3回粗粉砕後、回転数15,000rpmで30秒間粉砕)した。粉砕サンプルを濾紙(ADVANTEC社製 5C 直径125mm)を用いて、吸引濾過を行い回収した濾液を、イオンクロマトグラフィー(東ソー IC-2001(サプレッサー方式イオンクロマトグラフ))で分析し、植物体の亜リン酸吸収量を測定した。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2に示すように、亜リン酸添加量が同じであっても、本発明の育苗用培土である実施例5〜8で生育したレタスは、比較例4〜8の育苗用培土で生育したレタスよりも明らかに亜リン酸吸収量が多かった。
【0031】
実施例9〜12,比較例9
ピートモス:バーミキュライトを50:50(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして110mg/L)、リン酸(P
2O
5として250mg/L)、カリウム(K
2Oとして120mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表3に示す割合でそれぞれ添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「シルル」住化農業資材)を播種し、ビニールハウスで育苗した。なお、育苗中の平均地温は15℃、最低地温は10℃、最高地温は27℃であった。
播種後33日目に、レタス苗の最大葉長と最大葉幅とを測定し葉面積を算出した。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
表3に示すように、本発明の育苗用培土である実施例9〜12の培土で育苗したレタスの葉面積は、亜リン酸を添加しなかった比較例9の培土で育苗したレタスの葉面積よりも大きかった。
【0034】
実施例13〜16,比較例10
ピートモス:バーミキュライト:ゼオライトを45:45:5(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして100mg/L)、リン酸(P
2O
5として760mg/L)、カリウム(K
2Oとして150mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表4に示す割合でそれぞれ添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「シルル」住化農業資材)を播種し、ビニールハウスで育苗した。なお、育苗中の平均地温は15℃、最低地温は10℃、最高地温は27℃であった。
播種後33日目に、レタス苗の草丈、そして最大葉長と最大葉幅とを測定し葉面積を算出した。結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
表4に示すように、本発明の育苗用培土である実施例13〜16の培土で育苗したレタスの草丈は、亜リン酸を添加しなかった比較例10の培土で育苗したレタスの草丈よりも長く、また、葉面積についても実施例13〜16の培土で育苗したレタスの方が比較例10の培土で育苗したレタスよりも大きかった。
【0037】
実施例17〜20,比較例11
ピートモス:バーミキュライト:ゼオライトを45:45:5(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして160mg/L)、リン酸(P
2O
5として350mg/L)、カリウム(K
2Oとして170mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表5に示す割合で添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「シルル」住化農業資材)を播種し、ビニールハウスで育苗した。なお、育苗中の平均地温は15℃、最低地温は8℃、最高地温は30℃であった。
播種後24日目に、レタス苗の最大葉長と最大葉幅とを測定し葉面積を算出すると共に根乾重量を測定した。表5に結果を示す。また、
図1にレタスの生育状態を示す。
【0038】
【表5】
【0039】
表5に示すように、本発明の育苗用培土である実施例17〜20の培土で育苗したレタスの葉面積は、亜リン酸を添加しなかった比較例11の培土で育苗したレタスの葉面積よりも大きく、また、根乾重量についても実施例17〜19の培土で育苗したレタスの方が比較例11の培土で育苗したレタスよりも重かった。なお、実施例20の培土で育苗したレタスの根乾重量が比較例11のものよりも軽くなったが、これは、亜リン酸塩の添加量が好適範囲を超えていたため、亜リン酸の薬害が現れ始めたものと考えられる。
【0040】
実施例21,比較例12
ピートモス:バーミキュライトを50:50(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして160mg/L)、リン酸(P
2O
5として350mg/L)、カリウム(K
2Oとして170mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表6に示す割合で添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を220穴のポットシステム専用育苗箱(みのる産業社製)に充填し、レタスの種子(「ルシナ66」タキイ種苗)を播種し、ビニールハウスで育苗した。
播種後16日目に、レタス苗の健苗率と生育状況を調査した。表6に調査結果を示す。また、
図2にレタスの葉の生育状態、
図3にレタスの生育状態をそれぞれ示す。
【0041】
【表6】
【0042】
表6に示すように、本発明の育苗用培土である実施例21の培土で育苗したレタスの健苗率は、亜リン酸を添加しなかった比較例12の培土で育苗したレタスの健苗率よりも格段に高かった。また、
図2及び
図3から明らかなように、実施例21の培土で育苗したレタスは、比較例12の培土で育苗したレタスよりも、葉及び根の生育状態は優れていた。
【0043】
実施例22,比較例13
ピートモス:バーミキュライト:ゼオライトを40:40:10(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして1030mg/L)、リン酸(P
2O
5として2520mg/L)、カリウム(K
2Oとして400mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表7に示す割合で添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を220穴のポットシステム専用育苗箱(みのる産業社製)に充填し、ネギの種子(「夏扇4号」サカタのタネ)を播種し、ビニールハウスで育苗した。
播種後56日目に、ネギ苗の葉長、葉鞘径、根乾重量を測定した。表7に測定結果を示す。また、
図4にネギの葉の生育状態、
図5にネギの根の生育状態をそれぞれ示す。
【0044】
【表7】
【0045】
表7に示すように、本発明の育苗用培土である実施例22の培土で育苗したネギの葉長、葉鞘径、根乾重量はいずれも、亜リン酸を添加しなかった比較例13の培土で育苗したネギよりも大きかった。また、
図4及び
図5から明らかなように、実施例22の培土で育苗したネギは、比較例13の培土で育苗したネギよりも、葉及び根の生育状態は優れていた。