特許第6189741号(P6189741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6189741
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】育苗用培土及び育苗方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 1/00 20060101AFI20170821BHJP
   C09K 17/02 20060101ALI20170821BHJP
   C09K 17/08 20060101ALI20170821BHJP
   C09K 101/00 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
   A01G1/00 303C
   C09K17/02 H
   C09K17/08 H
   C09K101:00
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-264585(P2013-264585)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2015-119651(P2015-119651A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】596005964
【氏名又は名称】住化農業資材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】310022224
【氏名又は名称】OATアグリオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】差波 武志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】小野 拓生
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−184874(JP,A)
【文献】 特開2008−295368(JP,A)
【文献】 特開平01−117722(JP,A)
【文献】 特開2006−217915(JP,A)
【文献】 特開2012−055275(JP,A)
【文献】 特開2009−213446(JP,A)
【文献】 特開2013−014496(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0168885(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 1/00
C09K 17/02
C09K 17/08
C09K 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培土基材としてピートモスとバーミキュライトとを用い、亜リン酸及び/又は亜リン酸塩を含有することを特徴とする育苗用培土。
【請求項2】
培土基材としてゼオライトをさらに用いる請求項1記載の育苗用培土。
【請求項3】
ゼオライトの培土に占める容積割合が5容積%〜20容積%の範囲である請求項2記載の育苗用培土。
【請求項4】
亜リン酸及び/又は亜リン酸塩の含有量が2.46×10−4mol/L〜2.96×10−3mol/Lの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の育苗用培土。
【請求項5】
ピートモスとバーミキュライトと容積比率が15:85〜85:15の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の育苗用培土。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の育苗用培土を育苗用容器に充填した後、植物種子を播種し育苗することを特徴とする育苗方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗用培土及び育苗方法に関し、より詳細には、亜リン酸及び/又は亜リン酸塩(以下、単に「亜リン酸」と記すことがある)を含有する育苗用培土及び育苗方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リンは、植物の栄養源として重要な元素であり、植物に対して主としてリン酸の形態で施肥されている。しかしながら、施肥されたリン酸の大部分は、土壌中の鉄またはアルミニウムなどと結合して不溶化する。植物は不溶化したリン酸を栄養源として利用することができないので、施肥されたリン酸の大部分が無駄になるとともに、土壌中に大量のリン酸が残留することになる。
【0003】
リン酸の有するかかる問題点を解決するために、リン酸以外の形態で植物に対してリンを施肥しようとする試みがなされている。例えば、特許文献1では、亜リン酸及び/又は亜リン酸塩を含有する粒状肥料組成物を元肥や追肥として使用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-184874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、亜リン酸が本質的に有している作物に対する薬害等の障害の懸念から、使用時期及び施肥量に制限があり、所望の肥料効果を得るためには所定の期間ごとに何度も施肥する必要があり、作業の煩雑性の点で課題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、薬害などの障害を発生させることなく、長期間にわたって亜リン酸の肥料効果が発揮される育苗用培土及び育苗方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、育苗用培土の基材として特定の基材を用いることによって、亜リン酸及び/又は亜リン酸塩の肥料効果を薬害を生じさせずに有効に発揮させることができるとの知見を得、本発明を成すに至った。すなわち、本発明の育苗培土は、培土基材としてピートモスとバーミキュライトとを用い、亜リン酸及び/又は亜リン酸塩を含有することを特徴とする。
【0008】
ここで、より長期間にわたって亜リン酸の効能を発揮させる観点からは、培土基材としてゼオライトをさらに用いるのが好ましい。
【0009】
ゼオライトの培土に占める容積割合としては、5容積%〜20容積%の範囲が好ましい。
【0010】
また、亜リン酸及び/又は亜リン酸塩の含有量は、2.46×10−4mol/L〜2.96×10−3mol/Lの範囲であるのが好ましい。
【0011】
そしてまた、ピートモスとバーミキュライトと容積比率は、15:85〜85:15の範囲であるのが好ましい。
【0012】
また本発明によれば、前記のいずれかに記載の育苗用培土を育苗用容器に充填した後、植物種子を播種し育苗することを特徴とする育苗方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の育苗培土及び育苗方法によれば、薬害などの障害を発生させることなく、長期間にわたって亜リン酸の肥料効果が発揮される。これにより、植物の初期生育が促進され、根張りがよくなり養分吸収が高まり、苗質が向上し健苗になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例17〜20と比較例11のレタスの生育状態を示す写真である。
図2】実施例21,比較例12のレタスの葉の生育状態を示す写真である。
図3】実施例21,比較例12のレタスの生育状態を示す写真である。
図4】実施例22,比較例13のネギの葉の生育状態を示す写真である。
図5】実施例22,比較例13のネギの根の生育状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る育苗用培土の大きな特徴は、培土基材としてピートモスとバーミキュライトとを用い、亜リン酸を含有することにある。
【0016】
培土基材として用いるピートモスとバーミキュライトとの配合割合に特に限定はなく、育苗する植物の種類等などを考慮し適宜決定すればよいが、通常、ピートモス:バーミキュライト=15:85〜85:15(容積比率)の範囲が好ましい。
【0017】
また、本発明で使用する培土基材として、ピートモス及びバーミキュライトの他にさらにゼオライトを加えてもよい。ゼオライトを培土基材に加えることで、長期間にわたって優れた肥料効果が発揮されるようになる。ゼオライトの配合割合としては、育苗用培土に対して5容積%〜20容積%の範囲が好ましい。
【0018】
本発明で使用する培土基材には、天然土など従来公知の培土基材を配合してもよいが、ピートモスとバーミキュライトとに、必要によりゼオライトとを加えた総容積が、育苗用培土の50容積%を超えていることが必要である。
【0019】
本発明で使用する亜リン酸及び亜リン酸塩としては、亜リン酸の他に、例えば、カリウム塩及びナトリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、並びにアンモニウム塩などが挙げられる。好適には亜リン酸及び亜リン酸のアルカリ金属塩であり、より好適には亜リン酸及び亜リン酸カリウムである。
【0020】
亜リン酸及び/又は亜リン酸塩の育苗用培土における含有量は、育苗する植物の種類等を考慮し適宜決定すればよいが、通常、2.46×10−4mol/L〜2.96×10−3mol/Lの範囲が好ましい。亜リン酸及び/又は亜リン酸塩の含有量がこの範囲であると、苗質の一層の向上が図れる。
【0021】
本発明に係る育苗用培土の作製は、前述の培土基材に亜リン酸を添加することにより行われる。具体的には、培土基材としてのピートモス、バーミキュライト、そして必要によりゼオライトを混合した後、亜リン酸を添加してもよいし、ピートモス及びバーミキュライトの少なくとも一方に亜リン酸を添加した後、これらを混合してもよい。なお、培土基材の混合は、ミキサーなど従来公知の混合機を用いることができる。
【0022】
本発明の育苗用培土には、植物の種類に応じた肥料を添加しておいてもよい。肥料としては、無機質肥料や有機質肥料、化学堆肥など従来公知のものを使用することができる。
【0023】
本発明の育苗用培土は、野菜や花卉、苗木、水稲などの容器での育苗に好適である。例えば、本発明の育苗用培土を、セル、ポット、トレー、苗箱などの育苗用容器に充填し、播種する。本発明の育苗用培土に播種するのに適する植物としては、レタス、ゴボウ、シュンギク、アスター、ジニア、ヒマワリ等のキク科作物、ネギ、タマネギ、ニラ等のユリ科作物、カンラン、ハクサイ、ブロッコリー、チンゲンサイ、カリフラワー、ハナヤサイ、ハボタン、ストック、アリッサム等のアブラナ科作物、ナス、トマト、台木ナス、ピーマン、シシトウガラシ、トウガラシ、タバコ、ペチュニア等のナス科作物、イチゴ等のバラ科作物、ホウレンソウ、テンサイ等のアカザ科作物、セロリ、パセリ等のセリ科作物、ダイズ、エンドウ等のマメ科作物、キュウリ、メロン、カボチャ、スイカ、ユウガオ、トウガン等のウリ科作物、ソバ等のタデ科作物、イネ、オオムギ、コムギ、メヒシバ、スイートコーン、ソルゴー類等のイネ科作物や工芸作物、ロベリア等のキキョウ科植物、デルフィニウム等のキンポウゲ科植物、キンギョソウ等のゴマノハグサ科植物、プリムラ等のサクラソウ科植物、ベゴニア等のシュウカイドウ科植物、パンジー、ビオラ等のスミレ科植物、トルコギキョウ等のリンドウ科植物、シソ、サルビア等のシソ科植物、スギ、ヒノキ等の樹木等が挙げられる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
【0025】
実施例1〜4,比較例1〜3
表1に示す培土基材と配合比(容積比)で基材培土を作製した。そこに、化成肥料として窒素(Nとして110mg/L)、リン酸(Pとして250mg/L)、カリウム(KOとして120mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を4.93×10−4mol/L添加して混合し育苗用培土とした。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「マイヤー」住化農業資材)を播種し、バイオトロンを用いて育苗した。なお、育苗温度は昼温25℃(11時間)、夜温10℃(13時間)とした。
播種後23日目に、レタス苗の最大葉長と葉幅とを測定し葉面積を算出するとともに、地上部生重量、根乾重量を測定し、亜リン酸を添加しなかったときのレタス苗に対する増加率を算出した。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
表1に示すように、本発明の育苗用培土である実施例1〜4の培土において、実施例1では根乾重量増加率、実施例2では葉面積増加率が、亜リン酸を添加しなかった場合に比べてマイナス値となったが、全体的には亜リン酸を添加しなかった場合に比べてレタス苗の生育は優れていた。
これに対し、比較例1〜3の育苗用培土では、葉面積、地上部生重量、根乾重量の3つの測定項目の内、2つ以上の測定項目においてマイナス値となり、亜リン酸を添加したことによる肥料効果は十分には奏されなかった。
【0028】
実施例5〜8,比較例4〜8
表2に示す培土基材と配合比(容積比)で基材培土を作製した。そこに、化成肥料として窒素(Nとして110mg/L)、リン酸(Pとして250mg/L)、カリウム(KOとして120mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を4.93×10−4mol/L添加して混合し育苗用培土とした。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「マイヤー」住化農業資材)を播種し、バイオトロンを用いて育苗した。なお、育苗温度は昼温25℃(11時間)、夜温10℃(13時間)とした。
播種後23日目に、植物体の地上部をサンプリングし、細かく刻んだ後よく混合し、サンプルの重量の10倍の重量の超純水を加え、エースホモジナイザーAM−11((株)日本精機製作所))で粉砕(フラッシュで3回粗粉砕後、回転数15,000rpmで30秒間粉砕)した。粉砕サンプルを濾紙(ADVANTEC社製 5C 直径125mm)を用いて、吸引濾過を行い回収した濾液を、イオンクロマトグラフィー(東ソー IC-2001(サプレッサー方式イオンクロマトグラフ))で分析し、植物体の亜リン酸吸収量を測定した。結果を表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
表2に示すように、亜リン酸添加量が同じであっても、本発明の育苗用培土である実施例5〜8で生育したレタスは、比較例4〜8の育苗用培土で生育したレタスよりも明らかに亜リン酸吸収量が多かった。
【0031】
実施例9〜12,比較例9
ピートモス:バーミキュライトを50:50(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして110mg/L)、リン酸(Pとして250mg/L)、カリウム(KOとして120mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表3に示す割合でそれぞれ添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「シルル」住化農業資材)を播種し、ビニールハウスで育苗した。なお、育苗中の平均地温は15℃、最低地温は10℃、最高地温は27℃であった。
播種後33日目に、レタス苗の最大葉長と最大葉幅とを測定し葉面積を算出した。結果を表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
表3に示すように、本発明の育苗用培土である実施例9〜12の培土で育苗したレタスの葉面積は、亜リン酸を添加しなかった比較例9の培土で育苗したレタスの葉面積よりも大きかった。
【0034】
実施例13〜16,比較例10
ピートモス:バーミキュライト:ゼオライトを45:45:5(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして100mg/L)、リン酸(Pとして760mg/L)、カリウム(KOとして150mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表4に示す割合でそれぞれ添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「シルル」住化農業資材)を播種し、ビニールハウスで育苗した。なお、育苗中の平均地温は15℃、最低地温は10℃、最高地温は27℃であった。
播種後33日目に、レタス苗の草丈、そして最大葉長と最大葉幅とを測定し葉面積を算出した。結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
表4に示すように、本発明の育苗用培土である実施例13〜16の培土で育苗したレタスの草丈は、亜リン酸を添加しなかった比較例10の培土で育苗したレタスの草丈よりも長く、また、葉面積についても実施例13〜16の培土で育苗したレタスの方が比較例10の培土で育苗したレタスよりも大きかった。
【0037】
実施例17〜20,比較例11
ピートモス:バーミキュライト:ゼオライトを45:45:5(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして160mg/L)、リン酸(Pとして350mg/L)、カリウム(KOとして170mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表5に示す割合で添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を200穴のユープラグトレイ(日泉ポリテック社製)に充填し、レタスの種子(「シルル」住化農業資材)を播種し、ビニールハウスで育苗した。なお、育苗中の平均地温は15℃、最低地温は8℃、最高地温は30℃であった。
播種後24日目に、レタス苗の最大葉長と最大葉幅とを測定し葉面積を算出すると共に根乾重量を測定した。表5に結果を示す。また、図1にレタスの生育状態を示す。
【0038】
【表5】
【0039】
表5に示すように、本発明の育苗用培土である実施例17〜20の培土で育苗したレタスの葉面積は、亜リン酸を添加しなかった比較例11の培土で育苗したレタスの葉面積よりも大きく、また、根乾重量についても実施例17〜19の培土で育苗したレタスの方が比較例11の培土で育苗したレタスよりも重かった。なお、実施例20の培土で育苗したレタスの根乾重量が比較例11のものよりも軽くなったが、これは、亜リン酸塩の添加量が好適範囲を超えていたため、亜リン酸の薬害が現れ始めたものと考えられる。
【0040】
実施例21,比較例12
ピートモス:バーミキュライトを50:50(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして160mg/L)、リン酸(Pとして350mg/L)、カリウム(KOとして170mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表6に示す割合で添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を220穴のポットシステム専用育苗箱(みのる産業社製)に充填し、レタスの種子(「ルシナ66」タキイ種苗)を播種し、ビニールハウスで育苗した。
播種後16日目に、レタス苗の健苗率と生育状況を調査した。表6に調査結果を示す。また、図2にレタスの葉の生育状態、図3にレタスの生育状態をそれぞれ示す。
【0041】
【表6】
【0042】
表6に示すように、本発明の育苗用培土である実施例21の培土で育苗したレタスの健苗率は、亜リン酸を添加しなかった比較例12の培土で育苗したレタスの健苗率よりも格段に高かった。また、図2及び図3から明らかなように、実施例21の培土で育苗したレタスは、比較例12の培土で育苗したレタスよりも、葉及び根の生育状態は優れていた。
【0043】
実施例22,比較例13
ピートモス:バーミキュライト:ゼオライトを40:40:10(容量比率)で混合した培土基材に、化成肥料として窒素(Nとして1030mg/L)、リン酸(Pとして2520mg/L)、カリウム(KOとして400mg/L)を添加し、さらに、亜リン酸を表7に示す割合で添加し混合して育苗用培土を作製した。
作製した育苗用培土を220穴のポットシステム専用育苗箱(みのる産業社製)に充填し、ネギの種子(「夏扇4号」サカタのタネ)を播種し、ビニールハウスで育苗した。
播種後56日目に、ネギ苗の葉長、葉鞘径、根乾重量を測定した。表7に測定結果を示す。また、図4にネギの葉の生育状態、図5にネギの根の生育状態をそれぞれ示す。
【0044】
【表7】
【0045】
表7に示すように、本発明の育苗用培土である実施例22の培土で育苗したネギの葉長、葉鞘径、根乾重量はいずれも、亜リン酸を添加しなかった比較例13の培土で育苗したネギよりも大きかった。また、図4及び図5から明らかなように、実施例22の培土で育苗したネギは、比較例13の培土で育苗したネギよりも、葉及び根の生育状態は優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る育苗培土及び育苗方法では、薬害などの障害を発生させることなく、長期間にわたって亜リン酸の肥料効果が発揮され有用である。
図1
図2
図3
図4
図5