(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、細胞培養用膜は、一般に数μm〜数十μm程度の薄さであり、このように薄い細胞培養用膜を確実に保持するためには、細胞培養用膜の外周を挟み込むための既述したリング状部材における凹凸形状の寸法精度を、十分に高くする必要があった。このように高い寸法精度が要求されると、細胞培養器具の製造工程の煩雑化やコストの増加を引き起こす可能性がある。そのため、細胞培養器具の構成部材の寸法精度に対する要求を抑えつつ、十分に高い信頼性で細胞培養用膜を保持できる細胞培養器具が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態は、細胞培養器具であって;筒状の第1の内筒と;前記第1の内筒の一方の端部全体を覆って配置された細胞培養用膜であって、前記第1の内筒の前記一方の端部の外周に沿って、前記第1の内筒の外側面側へと折り曲げられた細胞培養用膜と;筒状に形成されて、前記第1の内筒と高さ方向が一致するように前記第1の内筒を内部に収容する外筒であって、少なくとも前記第1の内筒の前記一方の端部と重なる領域において、前記高さ方向に延び、前記外筒を径方向に弾性変形可能にする第1のスリットが形成されると共に、前記第1の内筒が内部にはめ込まれたときには、前記外筒の弾性復元力により、前記外筒の内壁面と前記第1の内筒の外側面との間で、前記細胞培養用膜を挟持する外筒と;を備える。このような形態であれば、第1の内筒の一方の端部と重なる領域において高さ方向に延びる第1のスリットを設けて、外筒の内壁面と第1の内筒の外側面との間で細胞培養用膜を挟持するため、各部材の寸法精度に対する要求を抑えつつ十分に高い信頼性で、細胞培養用膜を保持することが可能になる。その結果、細胞培養器具の製造工程の煩雑化やコストの増加を抑えることができる。
その他、本発明は、以下のような形態として実現することも可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、細胞培養器具が提供される。この細胞培養器具は、筒状の第1の内筒と;前記第1の内筒の一方の端部全体を覆って配置された細胞培養用膜であって、前記第1の内筒の前記一方の端部の外周に沿って、前記第1の内筒の外側面側へと折り曲げられた細胞培養用膜と;筒状に形成されて、前記第1の内筒と高さ方向が一致するように前記第1の内筒を内部に収容する外筒であって、少なくとも前記第1の内筒の前記一方の端部と重なる領域において、前記高さ方向に延びる第1のスリットが形成されると共に、前記外筒の内壁面と前記第1の内筒の外側面との間で、前記細胞培養用膜を挟持する外筒と;を備える。
この形態の細胞培養器具によれば、第1の内筒の一方の端部と重なる領域において高さ方向に延びる第1のスリットを設けて、外筒の内壁面と第1の内筒の外側面との間で細胞培養用膜を挟持するため、各部材の寸法精度に対する要求を抑えつつ十分に高い信頼性で、細胞培養用膜を保持することが可能になる。その結果、細胞培養器具の製造工程の煩雑化やコストの増加を抑えることができる。
【0007】
(2)上記形態の細胞培養器具において、前記第1のスリットは、前記高さ方向に沿って前記外筒全体に形成されていることとしてもよい。この形態の細胞培養器具によれば、一方の端部に細胞培養用膜を配置した第1の内筒を外筒に嵌め込む動作を容易化することができる。
【0008】
(3)上記形態の細胞培養器具において、前記外筒は、前記第1の内筒の両端部のうちの前記一方の端部により近い側の端部において、該端部の開口を跨ぐように該開口の外周の異なる位置間を連結した第1の把持部を備えることとしてもよい。
このような構成とすれば、把持部を把持することによって細胞培養器具を吊り下げることが可能になり、細胞培養器具を取り扱う操作を容易化することができる。
【0009】
(4)上記形態の細胞培養器具において、さらに、前記第1の内筒と高さ方向が同じである筒状に形成されて、前記第1の内筒の前記一方の端部側で前記細胞培養用膜を介して前記第1の内筒と接するように前記外筒内に収容される第2の内筒を備えることとしてもよい。
このような構成とすれば、第1の内筒の外側に面する細胞培養用膜の面上に細胞を播種する際に、第1のスリットを介した細胞培養器具の外部への細胞の流出が第2の内筒によって抑えられる。そのため、播種する細胞数の精度を向上させることができる。
【0010】
(5)上記形態の細胞培養器具において、前記第2の内筒は、前記高さ方向の力を加えることにより、前記外筒内で前記高さ方向にスライド可能であって、スライドさせた位置にて保持可能であることとしてもよい。
このような構成とすれば、第2の内筒内で露出する細胞培養用膜上に細胞を播種した後に、第2の内筒をスライドさせて細胞培養用膜から離間させ、さらに細胞培養器具を上下反転させることにより、細胞培養用膜における上記細胞を播種した面上に残留するエアを、第1のスリットを介して容易に排出させることが可能になる。
【0011】
(6)上記形態の細胞培養器具において、前記外筒に形成される前記第1のスリットは、前記第1の内筒の前記一方の端部と前記外筒とが重なる位置から、前記第1の内筒から高さ方向に離間する方向に向かって延びるように形成されていることとしてもよい。
このような構成とすれば、前記第1の内筒の外部に面する前記細胞培養用膜の面上に細胞を播種した後に、細胞培養器具を上下反転させたときに、細胞培養用膜における上記細胞を播種した面上に残留するエアを、第1のスリットを介して容易に排出させることが可能になる。
【0012】
(7)上記形態の細胞培養器具において、前記第1の内筒は、該第1の内筒の両端部のうちの他方の端部において、該他方の端部の開口を跨ぐように該他方の端部の開口の外周の異なる位置間を連結した第2の把持部を備えることとしてもよい。
このような構成とすれば、第1の内筒の端部のうち、前記他方の端部側が鉛直方向上方となる向きに細胞培養器具が配置されるときに、第2の把持部を把持することによって細胞培養器具を吊り下げることが可能になり、細胞培養器具を取り扱う操作を容易化することができる。
【0013】
(8)上記形態の細胞培養器具において、前記第1の把持部は、前記第1の内筒の軸線上付近で交わる2本の線分状に形成されていることとしてもよい。
このような構成とすれば、第1又は第2の把持部を把持して細胞培養器具を吊り下げる際に、細胞培養用膜の水平を安定して保つことが容易となり、細胞培養用膜上で培養される細胞に対する望ましくない外的刺激(ノイズ)等を抑えることができる。
【0014】
(9)上記形態の細胞培養器具において、前記第2の把持部は、前記第1の内筒の軸線上付近で交わる2本の線分状に形成されていることとしてもよい。
このような構成とすれば、第1又は第2の把持部を把持して細胞培養器具を吊り下げる際に、細胞培養用膜の水平を安定して保つことが容易となり、細胞培養用膜上で培養される細胞に対する望ましくない外的刺激(ノイズ)等を抑えることができる。
【0015】
(10)上記形態の細胞培養器具において、前記第1の内筒には;前記外筒に設けた前記第1のスリットと重なる位置において、前記一方の端部から前記高さ方向に延びる第2のスリットと;前記外筒に設けた前記第1のスリットと重なる位置であって、前記第1の内筒の前記一方の端部における前記第2のスリットが開口する位置において、前記第1の内筒の径方向外側に向かって前記第1のスリットを経由して前記外筒の外側に延びる一対の膜支持部と;が設けられていることとしてもよい。
このような構成とすれば、前記第1の内筒の外部に面する前記細胞培養用膜の面上に細胞を播種する際に、細胞培養用膜における細胞を播種する面の裏面に残留するエアを、第1のスリットおよび第2のスリットを介して排出させることが可能になる。
【0016】
(11)上記形態の細胞培養器具において、前記第1の内筒は、該第1の内筒における前記一方の端部近傍の外側面であって、前記細胞培養用膜と接する位置に、凹凸形状が設けられていることとしてもよい。
このような構成とすれば、第1の内筒および外筒によって細胞培養用膜を挟持する際の保持力を高めることができる。
【0017】
本発明は、装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、細胞培養器具用の外筒、細胞培養器具の製造方法、細胞培養用膜の保持方法、あるいは細胞培養器具を用いた細胞培養方法等の形態で実現することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の細胞培養器具によれば、第1の内筒の一方の端部と重なる領域において高さ方向に延びる第1のスリットを設けて、外筒の内壁面と第1の内筒の外側面との間で細胞培養用膜を挟持するため、各部材の寸法精度に対する要求を抑えつつ十分に高い信頼性で、細胞培養用膜を保持することが可能になる。その結果、細胞培養器具の製造工程の煩雑化やコストの増加を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
A.第1の実施形態:
図1は、本発明の第1の実施形態である細胞培養器具10の構成を表わす断面模式図であり、
図2は、細胞培養器具10の組み立ての様子を説明するための分解斜視図であり、
図3は、細胞培養器具10の上面図である。なお、
図3では、
図1に示す断面の位置をA−A断面として示している。細胞培養器具10は、外筒12と、第1の内筒14と、細胞培養用膜16と、を備える。
【0021】
外筒12は、筒状の部材であって、一方の端部12oから他方の端部12tまで高さ方向に延びる第1のスリット12sが形成されている。外筒12は、一方の端部12oにおいて、この一方の端部12oの開口を跨ぐように、開口の外周の異なる位置間を連結した第1の把持部12hを備える。具体的には、第1の把持部12hは、第1の内筒14の軸線上で交わる2本の線分状、すなわち、上面視が十字形状となるように形成されている(
図2および
図3参照)。外筒12は、例えば、樹脂材料やゴムにより形成することができる。外筒12は、高さ方向に第1のスリット12sを設けることにより、径方向に弾性変形可能となる材料により形成すればよい。また、外筒12は、後述するように第1の内筒14との間で細胞培養用膜16を挟んで保持するため、径方向外側に弾性変形して第1の内筒14と共に細胞培養用膜16を挟持したときに、径方向内側に向かう十分な把持力を生じ得る材料により形成すればよい。
【0022】
第1の内筒14は、筒状の部材であって、外筒12よりも高さが小さく形成されている。第1の内筒14の一方の端部14oには、細胞培養用膜16が配置され、他方の端部14tには、外筒12に設けた第1の把持部12hと同様の第2の把持部14hが設けられている。第1の内筒14は、例えば、樹脂材料やガラスにより形成することができる。第1の内筒14は、後述するように外筒12との間で細胞培養用膜16を挟んで保持するため、外筒12の内壁面から径方向内側に向かう力が加えられたときに、実質的に変形しない剛性を実現できる材料により形成すればよい。
【0023】
なお、後述するように、細胞培養器具10は、細胞培養を行なう際には培養液中に浸漬して用いるため、外筒12および第1の内筒14は、培養細胞に影響し得る金属イオン等の成分が培養液中に実質的に溶出しない材料により形成すればよい。また、外筒12および第1の内筒14は、細胞培養器具10を培養液中で浮遊させない比重を有する材料により形成することが望ましい。外筒12および第1の内筒14を樹脂により形成する場合には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリメチルメタクリレート(PMMA)から選択される樹脂を用いることができる。
【0024】
細胞培養用膜16は、細胞培養を行なう際に培養細胞の足場となる膜である。細胞培養用膜16としては、例えば、ポリウレタン膜、セルロース膜、コラーゲン膜、羊膜、ヒアルロン酸膜等から選択される膜を用いることができる。ここで、本実施形態では、細胞培養用膜16を折り曲げて外筒12と第1の内筒14との間で挟持して細胞培養器具10を用いるため、細胞培養用膜16は、上記折り曲げおよび挟持に耐える弾性および強度を有すればよい。また、細胞培養用膜16として、膜の厚み方向に貫通する多数の細孔を有する多孔質膜を用いる場合には、後述するように両面で異なる種類の細胞を培養して、異種細胞間の相互作用を解析することが可能になる。そのため、膜を厚み方向に貫通する貫通孔の形成が容易であり、弾性および強度が優れているという観点から、細胞培養用膜16としては、特に多孔質ポリウレタン膜を用いることが望ましい。
【0025】
細胞培養用膜16として用いる多孔質ポリウレタン膜は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、ポリエーテルポリオール等のポリオールと、芳香族イソシアネート等のイソシアネートと、希釈溶剤とを含む未硬化ポリウレタン原料を用意する。その後、基板上に、用意した未硬化ポリウレタン原料の層を形成する。そして、未硬化ポリウレタン原料の層に対して水蒸気を供給しながらポリウレタン原料の層を硬化させることにより、ポリウレタン多孔質膜が得られる。
【0026】
未硬化ポリウレタン原料の層に対して水蒸気を供給する具体的な方法としては、例えば、水を入れた密閉容器内において、基板上の未硬化ポリウレタン原料の層の露出面が水に対向するように、未硬化ポリウレタン原料の層を配置する。そして、密閉容器内を所定の温度に維持して飽和蒸気圧にする。これにより、未硬化ポリウレタン原料の層の表面から水蒸気が供給されて、ポリウレタン原料中のイソシアネートと水蒸気とが反応して二酸化炭素を生じる。また、ポリオールとイソシアネートとによって硬化反応が進行する。このように、硬化途中のポリウレタンが発泡することにより、多孔質ポリウレタン膜が得られる。なお、上記した水蒸気の供給を伴う硬化反応における反応温度、反応時間、硬化時に供給する水蒸気の量、およびポリウレタン原料の組成から選択される条件を調節することにより、ポリウレタン多孔質膜の形状を制御することが可能になる。
【0027】
外筒12と第1の内筒14と細胞培養用膜16とを用いた細胞培養器具10の組み立て方法は、
図2に示すとおりである。すなわち、細胞培養器具10を組み立てる際には、まず、第1の内筒14の一方の端部14o(第2の把持部14hを有しない側の端部)上に、細胞培養用膜16を配置する。なお、
図2では、細胞培養用膜16を四角形状に表わしているが、異なる形状としてもよい。第1の内筒14の端部(横断面)よりも十分に大きく、第1の内筒14の一方の端部14o全体を覆うことが可能であって、外筒12と第1の内筒14とによって細胞培養用膜16の周縁部を挟持したときに、十分な信頼性で細胞培養用膜16を保持可能となる大きさであればよい。
【0028】
その後、第1の内筒14に対して、一方の端部14o側から、外筒12の他方の端部12t(第1の把持部12hを有しない側の端部)を嵌め込む。これにより、細胞培養用膜16は、第1の内筒14の一方の端部14oの外周に沿って折り曲げられ、折り曲げられた位置よりも外周側である周縁部は、第1の内筒14の外側面と外筒12の内壁面によって挟持されるようになる。本実施形態では、外筒12の上記他方の端部12tと、第1の内筒14の他方の端部14t(第2の把持部14hを有する側の端部)とが重なるまで、外筒12を嵌め込む(
図1(A)参照)。
【0029】
外筒12の内径は、上記嵌め込みを行なう前は、第1の内筒14の外径よりも小さく形成されている。そのため、外筒12内に第1の内筒14および細胞培養用膜16を収納するために、第1の内筒14の外側に外筒12を嵌め込む際には、第1のスリット12sが広がるように外筒12が押し広げられて、外筒12は、径方向外側に弾性変形する。これにより、外筒12から第1の内筒14側へと、径方向内側に向かう把持力が生じると共に、外筒12と第1の内筒14とが、細胞培養用膜16を介して隙間無く接する。その結果、細胞培養用膜16が、外筒12と第1の内筒14との間で保持される。なおここで、外筒12の嵌め込みの際には、外筒12の内径を、内筒14の外径と略等しく、または若干大きくなるように予め拡径した状態で、内筒14の外側に外筒12を嵌め込み、その後、外筒12をその弾性復元力により縮径させて、細胞培養膜16を保持させてもよい。上記のように第1の内筒14の外側に嵌め込まれた外筒12は、後述するように細胞培養器具10を上下反転させても外筒12内における第1の内筒14の相対的な位置が変化しない程度の把持力で、内筒14を把持している。
【0030】
組み立てた細胞培養器具10を細胞培養に用いる際には、細胞培養器具10を、さらに細胞培養用のプレートのウエル11内に入れて(
図2参照)、ウエル11内を培養液で満たせばよい。
【0031】
図1(A)は、細胞培養用膜16の一方の面(第1の内筒14の外部に露出する面)上に細胞αを播種した様子を模式的に表わす。なお、
図1では、培養液および細胞培養用プレートのウエル11については記載を省略している。細胞培養用膜16の一方の面上に細胞αを播種するには、外筒12の一方の端部12oが鉛直方向上方に位置するように細胞培養器具10を培養液中に浸漬した状態で、細胞培養用膜16の上記一方の面上に形成された外筒12内の空間に対して、所定量の細胞αを供給すればよい。
【0032】
図1(B)は、細胞培養用膜16の他方の面(第1の内筒14の内部に露出する面)上に、細胞αとは異なる細胞βをさらに播種した様子を示す。細胞βを播種する際には、
図1(A)のように細胞αを播種して所定期間培養した後に、細胞培養器具10を上下反転させ、細胞培養用膜16の上記他方の面上に形成された外筒12および第1の内筒14内の空間に対して、所定量の細胞βを供給すればよい。細胞培養用膜16として、厚み方向に貫通する多数の貫通孔を有する多孔質な膜を用いることで、上記のようにして異なる細胞を各々の面で培養し、異種細胞間の相互作用を解析することが可能になる。
【0033】
以上のように構成された本実施形態の細胞培養器具10によれば、高さ方向に延びる第1のスリット12sを有する外筒12を、細胞培養用膜16を配置した側から第1の内筒14の外側に嵌め込むため、外筒12から第1の内筒14側へと径方向内側に向かう把持力を生じさせて、外筒12と第1の内筒14とによって細胞培養用膜16を挟持することができる。そのため、各部材の寸法精度に対する要求を抑えつつ十分に高い信頼性で、細胞培養用膜16を保持することが可能になり、その結果、細胞培養器具の製造工程の煩雑化やコストの増加を抑えることができる。
【0034】
また、本実施形態の細胞培養器具10によれば、細胞培養器具10の組み立て動作を簡素化することができる。すなわち、第1の内筒14の一方の端部14o上に細胞培養用膜16を配置して、第1の内筒14の一方の端部14o側の開口に沿って細胞培養用膜16を折り曲げつつ、第1の内筒14および細胞培養用膜16の外側に外筒12を嵌め込むという簡便な動作により、細胞培養器具10を組み立てることができる。
【0035】
特に、本実施形態の細胞培養器具10によれば、外筒12に形成される第1のスリット12sが、外筒12の高さ方向全体にわたって形成されているため、端部に細胞培養用膜16を配置した第1の内筒14を外筒12に嵌め込む動作を容易化することができる。
【0036】
また、本実施形態の細胞培養器具10によれば、外筒12の第1の把持部12hおよび第1の内筒14の第2の把持部14hとして、外筒12あるいは第1の内筒14の端部の開口を跨ぐように、該開口の外周の異なる位置間を連結した把持部を設けている。そのため、細胞培養器具10をウエル11内に配置する際、あるいは、細胞培養器具10をウエル11から引き上げる際に、これらの把持部12hまたは14hを把持することによって細胞培養器具10を吊り下げることが可能になり、細胞培養器具10を取り扱う操作を容易化することができる。
【0037】
特に、本実施形態では、第1の把持部12hおよび第2の把持部14hを第1の内筒14の軸線上で交わる2本の線分状に形成している。そのため、この2本の線分の交点で把持することにより、細胞培養器具10の重心の直上付近において細胞培養器具10を把持することが容易になる。その結果、細胞培養器具10を吊り下げる際に、細胞培養用膜16の水平を保ち、細胞培養用膜16上で培養される細胞に対する望ましくない外的刺激(ノイズ)等を抑えることが容易になる。
【0038】
なお、第1の把持部12hおよび第2の把持部14hに係る上記2本の線分の交点が存在する「第1の内筒14の軸線上」とは、第1の内筒14の軸線上付近を含むものである。具体的には、「上記交点が第1の内筒14の軸線上に存在する」とは、外筒12および第1の内筒14が円柱状である場合には、上記交点を含み第1の内筒14の軸線に垂直な面において、上記交点が、第1の内筒14の内周に比べて直径が10分の1である第1の内筒14の同心円の範囲内に含まれる構成を含む。また、後述するように、第1の内筒14は円柱状以外の筒状に形成することが可能であるが、このような場合には、上記交点を含み第1の内筒14の軸線に垂直な面において、上記交点が、第1の内筒14の内周を重心が一致する状態で10分の1に縮小させた範囲内に含まれる構成を含む。なお、細胞培養器具10を吊り下げる際に、細胞培養膜16の水平状態を保ち、細胞に対する望ましくない外的刺激(ノイズ)等を抑える観点からは、第1の内筒14における軸線に垂直な面の形状は、回転対称であることが望ましい。
【0039】
さらに、本実施形態の細胞培養器具10によれば、外筒12に形成される第1のスリット12sは、第1の内筒14の一方の端部14tと外筒12とが重なる位置から、第1の内筒14から高さ方向に離間する方向に向かって延びている。したがって、外筒12内の空間であって、細胞培養用膜16の一方の面(最初に播種される細胞αの培養面)上の空間が、細胞αの培養用面の近傍において、第1のスリット12sを介して外筒12の外部と連通している。そのため、細胞培養器具10を反転させた時に、細胞αの培養面から、第1のスリット12sを介して、容易にエアを抜くことができる。
図1(B)では、エアが抜かれる様子を矢印で示している。これにより、最初に播種される細胞αの培養面上にエアが残留することに起因する不都合(例えば、細胞αが培養液と接触しないこと)を抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態の細胞培養器具10によれば、細胞培養用膜16として、厚み方向に貫通する多数の貫通孔を有する多孔質な膜を用いて、細胞培養用膜の両面において細胞を培養することができる。このような場合には、細胞培養器具10を反転させるという簡便な操作により、細胞培養用膜16の各々の面に細胞を播種する動作を容易に行なうことが可能になる。
【0041】
B.第2の実施形態:
図4は、本発明の第2の実施形態である細胞培養器具110の構成を
図1と同様にして表わす断面模式図であり、
図5は、細胞培養器具110の組み立ての様子を説明するための分解斜視図である。以下の説明では、第1の実施形態の細胞培養器具10と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。細胞培養器具110は、外筒12と、第1の内筒14と、細胞培養用膜16と、に加えて、さらに第2の内筒18を備える。
【0042】
第2の内筒18は、第1の内筒14と同様の外径を有する筒状の部材であって、外筒12よりも高さが小さく形成されている。第2の内筒18は、第1の内筒14と同様の材料により形成することができる。
図4に示すように、第2の内筒18は、第1の内筒14と高さ方向が同じであって、第1の内筒14における一方の端部14o側で細胞培養用膜16を間に介して第1の内筒14に接するように、外筒12内に配置される。なお、第1の内筒14と外筒12とが細胞培養用膜16を挟持する際の把持力を損なわないように、第2の内筒18の外径は、第1の内筒14の外径を超えないように形成されている。
【0043】
図5に示すように、細胞培養器具110を組み立てる際には、第1の内筒14の一方の端部14o(第2の把持部14hを有しない側の端部)上に細胞培養用膜16を配置する際に、細胞培養用膜16上にさらに第2の内筒18を配置する点が、第1の実施形態と異なっている。その後、第1の内筒14に対する嵌め込みの方向が第1の実施形態と同様になるように、細胞培養用膜16を挟持する第1の内筒14および第2の内筒18の外側に、外筒12を嵌め込む。
【0044】
図4(A)は、
図1(A)と同様に、細胞培養用膜16の一方の面上に細胞αを播種した様子を表わす。また、
図4(B)は、
図4(A)の細胞培養器具110を反転させて、
図1(B)と同様に細胞培養用膜16の他方の面上に、細胞αとは異なる細胞βをさらに播種した様子を示す。本実施形態では、内部に第1の内筒14を収容したときの外筒12の内径と第2の内筒18の外径の関係、外筒12の内壁面と第2の内筒18の外側面の表面粗さ、および第2の内筒18の重量とを調節することにより、反転後であっても外筒12に対する第2の内筒18の相対的な位置を維持可能となっている。
【0045】
このような構成としても、第1の実施形態と同様に、外筒12に第1のスリット12sを設けたことで細胞培養用膜16を容易に保持できるという既述した効果が得られる。さらに、第2の実施形態では、第2の内筒18をさらに用いるため、細胞αを播種する際に、細胞培養用膜16上に供給した細胞αが、細胞培養器具110の外部に流出することを抑えられる。そのため、細胞αを播種する際に、播種する細胞数の精度を向上させることができる。
【0046】
C.第3の実施形態:
図6は、本発明の第3の実施形態である細胞培養器具210の構成を
図1と同様にして表わす断面模式図である。以下の説明では、第1の実施形態の細胞培養器具10と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。細胞培養器具210は、第1の内筒14に代えて第1の内筒214を備える以外は、細胞培養器具10と同様の構成を有している。第1の内筒214には、第2のスリット214sおよび一対の膜支持部214mが設けられている。
【0047】
図7は、第1の内筒214の一部を拡大して示す斜視図である。第2のスリット214sは、第1の内筒214において、一方の端部14o(第2の把持部14hを有しない側であって細胞培養用膜16が配置される側の端部。
図6参照)から高さ方向に延びるように形成されている。一対の膜支持部214mは、第1の内筒214の一方の端部14oにおける第2のスリット214sが開口する位置において、第1の内筒214の径方向外側に向かって延びるように設けられている。第1の内筒214は、第2のスリット214sおよび膜支持部214mが、外筒12に設けた第1のスリット12sと重なり、膜支持部214mが、第1のスリット12sを経由して外筒12の外側に延びるように、外筒12内に配置される。
【0048】
細胞培養器具210を組み立てる際には、第1の実施形態と同様に、第1の内筒214の一方の端部14o上に細胞培養用膜16を配置して、この一方の端部14o側から、外筒12の他方の端部12t(第1の把持部12hを有しない側の端部)を嵌め込む。これにより、細胞培養用膜16を、第1の内筒214の一方の端部14oの外周に沿って折り曲げて、細胞培養用膜16の周縁部を、第1の内筒214の外側面と外筒12の内壁面によって挟持する。このとき、第1の内筒214には膜支持部214mが設けられているため、膜支持部214mの近傍では、細胞培養用膜16が第1の内筒214の外側面に接することがない。その結果、第1の内筒214の第2のスリット214sが細胞培養用膜16に塞がれることなく、第1の内筒214の内部と外筒12の外部とは、第1のスリット12sおよび第2のスリット214sを介して連通する。
【0049】
このような構成としても、第1の実施形態と同様に、外筒12に第1のスリット12sを設けたことで細胞培養用膜16を容易に保持できるという既述した効果が得られる。さらに、第3の実施形態では、第1の内筒214に第2のスリット214sおよび膜支持部214mを設けて第1の内筒214内と外筒12の外部とを連通させている。そのため、
図6の状態で細胞培養を行なう際に、細胞培養用膜16の下側に残留するエアを、容易に排出することができる。
図6では、エアが抜かれる様子を矢印で示している。これにより、
図1(A)と同様に細胞αを播種して培養する際に、培養面の裏面にエアが残留することに起因する不都合を抑えることができる。さらに本実施形態では、
図6の状態から細胞培養器具210を上下反転させて、
図1(B)と同様に細胞βを培養する際にも、
図1(B)と同様に、細胞αの培養面から第1のスリット12sを介して容易にエアを抜くことができる。
【0050】
なお、第3の実施形態では、第2のスリット214sは、第1の内筒214の一方の端部14oから、第1の内筒214の高さ方向の途中の位置まで延びる切れ込み状の形状としたが、異なる形状としてもよい。例えば、第1の内筒214の高さ方向全体にわたって延びるように、第2のスリット214sを設けてもよい。第2のスリット214sは、細胞αの培養面の裏面の直上付近の空間が、外部と連通可能となる形状であればよい。
【0051】
また、第3の実施形態では、
図7に示すように、第1の内筒214には、一方の端部14o近傍の外側面であって、細胞培養用膜16の周縁部と接する位置に、第1の内筒214の側面の周方向に沿って延びる細長い凹部である2本の溝214cが設けられている。このような構成とすることで、細胞培養用膜16の周縁部を第1の内筒214および外筒12によって挟持する際の保持力を高めることができる。なお、第1の内筒214の外側面に設ける構造は、上記2本の溝状構造のような凹部のみによって形成する他、凸部のみにより形成してもよく、凹部と凸部の組合せにより形成してもよく、細胞培養用膜16の保持力を高めることができる凹凸形状であればよい。また、このような凹凸形状は、他のいずれの実施形態や変形例に適用してもよい。
【0052】
D.第4の実施形態:
図8は、本発明の第4の実施形態である細胞培養器具310の構成を、
図1と同様にして表わす断面模式図である。以下の説明では、第1〜第3の実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。細胞培養器具310は、外筒12と、第1の内筒214と、細胞培養用膜16と、第2の内筒318とを備える。
【0053】
第2の内筒318は、高さ方向が同じになるように第1の内筒214と重ねて、第1の内筒214と共に細胞培養用膜16を端面で挟持するように配置される。この第2の内筒318は、細胞培養用膜16を対称面として、第1の内筒214と面対称となる形状を有している。すなわち、第2の内筒318には、第2のスリット214sと同様の第3のスリット318s、および、膜支持部214mと同様の膜支持部318mが設けられている。
【0054】
このような構成とすれば、第3の実施形態の細胞培養器具210と同様の効果を奏すると共に、さらに、細胞αを播種して培養した後、細胞培養器具310を上下反転させたときに、細胞αの培養面の直上に残留するエアを、第3のスリット318sを介して容易に排出可能となる。なお、第3のスリット318sの形状は、第2のスリット214sと同じ形状である必要はなく、細胞αの培養面の直上付近の空間が外部と連通可能となる形状であればよい。
【0055】
E.第5の実施形態:
図9は、本発明の第5の実施形態である細胞培養器具410の構成を表わす断面模式図である。以下の説明では、第1の実施形態の細胞培養器具10と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明は省略する。細胞培養器具410は、外筒12、第1の内筒14、および細胞培養用膜16に加えて、さらに第2の内筒418を備えている。
【0056】
第2の内筒418は、高さ方向が同じになるように第1の内筒14と重ねて、第1の内筒14と共に細胞培養用膜16を端面で挟持するように配置される。なお、本実施形態では、外筒12には第1の把持部12hが設けられておらず、細胞培養用膜16から離間する側の第2の内筒418の端部において、第1の把持部12hと同様の第3の把持部418hが設けられている。
【0057】
図9(A)は、
図1(A)と同様に、細胞培養用膜16の一方の面(第2の内筒418の内部に露出する面)上に細胞αを播種した様子を表わす。
図9(B)は、
図9(A)の状態から、第2の内筒418が細胞培養用膜16から離間するように高さ方向(鉛直方向上方)に第2の内筒418を引き上げた様子を表わす。このような第2の内筒418の引き上げは、第3の把持部418hを把持することで、容易に行なうことができる。
図9(C)は、
図9(B)の状態から細胞培養器具410を上下反転させて、細胞αの培養面の裏面に、さらに細胞βを播種した様子を表わす。細胞培養器具410を上下反転させる動作も、第3の把持部418hを把持して細胞培養器具410を吊り下げつつ引き上げることにより、容易に行なうことができる。
【0058】
本実施形態では、第2の内筒418は、外筒12を押さえつつ第2の内筒418に対して高さ方向上方の力を加えることにより、外筒12内で第2の内筒418を高さ方向にスライドさせて、スライドさせた位置にて保持可能となっている。このような構成は、内部に第1の内筒14を収容したときの外筒12の内径と第2の内筒418の外径の関係、外筒12の内壁面と第2の内筒418の外側面の表面粗さ、および第2の内筒418の重量とを調節することにより、実現可能である。
【0059】
このような構成としても、第1の実施形態と同様に、外筒12に第1のスリット12sを設けたことで細胞培養用膜16を容易に保持できるという既述した効果が得られる。さらに、第5の実施形態では、細胞培養器具410の反転に先立って第2の内筒418を高さ方向にスライドさせて細胞培養用膜16から離間させることで、細胞αの培養面上の直上の空間が、外筒12の第1のスリット12sを介して外筒12の外部と連通する。そのため、細胞培養器具410の反転後には、細胞αの培養面上に残留するエアを、第1のスリット12sを介して容易に排出することができる。
図9(C)では、エアが抜かれる様子を矢印で示している。これにより、細胞αの培養面にエアが残留することに起因する不都合を抑えることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、第1の内筒14と第2の内筒418の高さの合計は、外筒12の高さよりも短いが、異なる構成としてもよい。細胞培養器具410を反転させた後にも、第2の内筒418をスライドさせた位置にて保持可能であればよい。また、外筒12内での第2の内筒418の保持は、両者の間の摩擦力を利用するのではなく、例えば、外筒12の内壁面と第2の内筒418の外側面に、両者が係合可能となる係合部を設けてもよい。ただし、繰り返し任意の位置に第2の内筒418をスライド可能であるという観点からは、上記摩擦力を利用することが望ましい。
【0061】
F.変形例:
・変形例1:
上記各実施形態では、外筒12に設けた第1のスリット12sは、外筒12の高さ方向全体にわたって形成されている。これに対して、第1のスリット12sは、外筒12の高さ方向の一部の領域に形成することとしてもよい。第1のスリット12sは、外筒12の高さ方向に沿って延びており、少なくとも、細胞培養用膜16が配置される第1の内筒の端部と重なる位置に設けられていれば、第1の内筒と共に細胞培養用膜16を挟持することにより、細胞培養用膜16を保持するための把持力を生じることができる。
【0062】
なお、外筒12において高さ方向の一部の領域のみに第1のスリット12sを設ける場合には、外筒12に対する第1の内筒14等の挿入を容易にするために、例えば、内筒の挿入側先端部に、先端に向かって縮径するテーパを設けることが好ましい。あるいは、外筒12において、第1のスリット12sが設けられる領域以外の領域では、第1のスリット12sが設けられる領域に比べて外筒12の外径を若干大きくして、外筒12への第1の内筒14等の嵌め込みを容易化してもよい。
【0063】
・変形例2:
上記実施形態では、外筒12、第1の内筒、および第2の内筒に設けた把持部は、いずれも上面視を十字形状としたが、異なる形状としてもよい。把持部の形状は、例えば、外筒あるいは内筒の端部の開口を跨ぐように、該開口の外周の異なる位置間を連結した形状のように、細胞培養器具の把持の容易化が可能であればよい。細胞培養器具の重心の直上付近(軸線上付近)で器具を把持可能となる形状であれば、細胞培養器具を安定して保持し易く、培養細胞に対する外的刺激(ノイズ)を抑え易くなる観点から、特に望ましい。ただし、各実施形態で説明した把持部のうちの少なくとも一部を設けない構成も可能である。
【0064】
なお、培養細胞に対する外的刺激の低減の観点からは、細胞培養器具は培養液中に沈むことが望ましい。細胞培養器具の比重が十分に大きくない場合には、培養液中に沈んだ状態で細胞培養器具を保持する機構を設けることが望ましい。
【0065】
・変形例3:
上記実施形態では、細胞培養用膜の両面を用いて細胞培養することとしたが、片面のみを用いて細胞培養してもよい。この場合には、細胞培養用膜の両面間が貫通孔によって連通している必要はないため、例えばPET等の樹脂の薄膜から成る基板上に、培養細胞の足場となる層を成膜してもよい。すなわち、培養細胞の足場となる層自身が、十分な弾性および強度を有していなくても、基板を含めた全体で、第1の内筒の端部で折れ曲げられて、第1の内筒と外筒の間で挟持されるための十分な弾性および強度を有していればよい。
【0066】
細胞培養器具を片面培養に用いる場合には、細胞培養用膜の裏面に対して、播種のために細胞を懸濁した培養液を供給する必要がない。そのため、上記各実施形態のように、外筒12の高さ方向の中ほどに細胞培養用膜16を配置するのではなく、外筒12の他方の端部14tの近傍に細胞培養用膜16を配置してもよい。
【0067】
・変形例4:
上記各実施形態では、外筒および内筒(第1の内筒、第2の内筒)を円筒状としたが、異なる構成としてもよい。例えば、内筒を円筒状に形成し、外筒を、この内筒に外接する多角柱状(例えば六角柱や八角柱)としてもよい。また、外筒を円柱状に形成し、内筒を、この外筒に内接する多角柱状としてもよい。あるいは、内筒と外筒の双方を、多角柱状とすることも可能である。内筒の外側面と外筒の内壁面とは、周方向全体にわたって接する必要はなく、細胞培養膜を保持するために十分な把持力が生じる程度に接していればよい。
【0068】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。